JP2005019875A - 放熱板、放熱モジュール、半導体実装モジュール、及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放熱性の向上、製造工程の簡略化、および製造工程におけるハンドリングに優れた放熱板、放熱モジュール、半導体実装モジュール、および半導体装置を提供すること。
【解決手段】本発明の放熱板1は、金属、又は金属にセラミックを分散してなる金属・セラミック複合材を含むヒートシンク材2と、前記ヒートシンク材2の両面に接合されたセラミック基板3とを備えて成り、前記ヒートシンク材2の端面が、前記セラミック基板3の端面より突出し、又は、面一である。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の放熱板1は、金属、又は金属にセラミックを分散してなる金属・セラミック複合材を含むヒートシンク材2と、前記ヒートシンク材2の両面に接合されたセラミック基板3とを備えて成り、前記ヒートシンク材2の端面が、前記セラミック基板3の端面より突出し、又は、面一である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱板、放熱モジュール、半導体実装モジュール、及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルミナ焼結体や、チッ化アルミニウム焼結体、チッ化珪素焼結体などのセラミック基板の表面に、導電性を有する回路金属層を形成し、その上に半導体素子を搭載した回路基板が普及している。その中でも、大電力を消費する半導体素子が搭載されている場合には、半導体素子より生じる熱を放出するために、前記回路金属層だけでなく、セラミック基板上に放熱用の金属層、又はヒートシンクを接合した放熱モジュールが普及している。
【0003】
半導体素子に対する高電流密度化に伴って、更なる放熱性の向上が、放熱モジュールに要求される。従来のようにセラミック基板に、アルミナを用いた構造よりも、放熱性を向上させるために、セラミック基板として、チッ化珪素を用い、しかもその窒化ケイ素基板の表面にろう付される銅板における所定深さ位置でのユニバーサル硬さを所定の値に調整してなる構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、チッ化珪素基板と、前記チッ化珪素基板に接合されたところの、銅又はアルミニウムを主成分とするヒートシンクとを具備する放熱部品が提案されている。この放熱部品では、チッ化珪素基板と、ヒートシンクとは、活性金属法等で接合されており、はんだを有しない接合方法を採用している(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−85571号公報(図1、[0018])
【特許文献2】
特開平09−97865号公報(請求項1、図1、[0020])
【0006】
しかしながら、本願明細書に添付された図9に記載されたように、特許文献1に記載された構造では、放熱性は向上しているものの、この構造を得るまでの工程は▲1▼接合▲2▼エッチング▲3▼ヒートシンクとの半田付となっており、各工程の管理をする上で製造コストが増大するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2記載の放熱部品では、放熱性が向上し、かつ、一体化の構造を採用しているため、製造コストを低減することができる。しかしながら、特許文献2記載の放熱部品は、本願明細書に添付された図8に示されるように、チッ化珪素基板14と、このチッ化珪素基板14の一方の表面に設けられた、銅又はアルミニウムを主成分とする薄い金属層15と、このチッ化珪素基板14の他方の表面に設けられたチッ化珪素より厚いヒートシンク13とを備えて成るので、チッ化珪素基板14と、金属層15との熱膨張係数の差により、ヒートシンク13側に大きく凹状に反り返る問題がある。
【0008】
そのため、前記放熱部品においては、形成された金属層にパターン形成などを行う工程におけるハンドリングが悪くなり、更にベースヒートシンクを取り付けると、ベースヒートシンク面に対し凸状に反り返っていることから放熱部品とベースヒートシンクとの空隙が大きくなるので、放熱部品として求められる放熱性が十分に得られないという問題が引き続いて起こる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点を解消し、放熱性の向上、製造工程の簡略化、及び製造工程におけるハンドリングに優れた放熱板、放熱モジュール、半導体実装モジュール、及び半導体装置を提供することをその課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の放熱板は、金属、又は金属にセラミックを分散してなる金属・セラミック複合材を含むヒートシンク材と、前記ヒートシンク材の両面に接合されたセラミック基板とを備えて成り、
前記ヒートシンク材の端面が、前記セラミック基板の端面より突出し、又は、面一であることを特徴とする。
【0011】
本発明の放熱板では、前記ヒートシンク材は、その金属が、Cu及び/又はAlを含むことが好ましい。
【0012】
本発明の放熱板では、前記セラミック基板は、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素から選択される少なくともいずれか1種を焼結させて成ることが好ましい。
【0013】
本発明の放熱板では、前記セラミック基板は、前記ヒートシンク材上に、熱処理により接合されて成ることが好ましい。
【0014】
また、本発明の放熱モジュールは、前記放熱板と、少なくとも一方の前記セラミック基板の表面に形成されるとともに、Ag、Cu、Al、Ni、Mo、及びWから選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層とを備えて成ることを特徴とする。
【0015】
本発明の放熱モジュールでは、前記金属層は、前記放熱板上に、熱処理により形成されて成ることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の半導体実装モジュールは、前記放熱モジュールと、前記金属層上に接合された半導体素子とを備えて成ることを特徴とする。
【0017】
そして、本発明の半導体装置は、前記半導体実装モジュールと、前記半導体実装モジュールを支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンクとを備えて成ることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[放熱板]
図1及び図2には、本発明の実施形態に係る放熱板1が示されている。放熱板1は、図1、図2に示されるように、ヒートシンク材2と、ヒートシンク材2の両面に接合されたセラミック基板3とを備えて成り、ヒートシンク材2の端面は、セラミック基板3の端面より突出しているか、もしくは、面一である。
【0019】
ここで、図1は、ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出している放熱板を示している。また、図2は、ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面と面一である放熱板を示している。
【0020】
ヒートシンク材2は、金属、又は金属にセラミックを分散してなる金属・セラミック複合材を含み、好適には金属又は金属・セラミック複合材からなる。
【0021】
ヒートシンク材2は、Cu単体でもよく、Al単体でもよく、Cu及びAlの合金でもよい。また、Cuの合金としては、CuMo、CuW、CuFe、CuAg、CuZr等が挙げられる。さらに、Alの合金としては、Cu、Si、Mg、Fe、Mn等との合金が挙げられる。そして、ヒートシンク材2は、上記したCuの合金及びAlの合金を含んでいても良い。
【0022】
金属・セラミック複合体におけるセラミックとしては、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素等が挙げられる。この金属・セラミック複合体の製造方法としては、例えば、一例として、Al−SiC複合材を例に挙げる。このAl−SiC複合材は、まず、多孔質状(スポンジ状)のSiCプリフォームを予め作製し、微量のSi、Mgを含んだAl溶湯を含浸させることにより作製することができる。ヒートシンク材2の厚みとしては、放熱板1の用途により相違するものの、通常、2〜4mmが好適である。
【0023】
一方、セラミック基板3は、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素から選択される少なくともいずれか1種を焼結させて成ることが好ましい。
【0024】
ここで、焼結の方法としては、雰囲気焼結法、反応焼結法、熱プラズマ焼結法、通電加熱焼結法、多軸通電加熱焼結法、放電プラズマ焼結法、熱間等方加圧式焼結法等が挙げられる。
【0025】
ここで、セラミック基板3の熱伝導率は、20〜250W/m・Kの範囲内であることが好ましい。
【0026】
ここで、セラミック基板3の熱伝導率が、20W/m・K未満であると、放熱特性が十分でなくなる場合がある。セラミック基板3の熱伝導率が、250W/m・Kを超えると、例えばチッ化アルミニウムにおいては著しい機械特性の低下(強度・靭性)を招き、その結果として、放熱構造を形成した場合の熱サイクル等の熱応力によるセラミック破壊が生じ、最終的には信頼性に問題があるものとなる。
【0027】
このセラミック基板3は、ヒートシンク材2の両表面上に、熱処理により接合されて成る。
【0028】
ここで、熱処理の方法としては、ろう材を用いて接合する方法、DBC(Direct Bonding Copper)法、SQ(Squeeze Casting)法のような鋳込み法等が挙げられる。
【0029】
ろう材を用いて接合する方法としては、一般的なAgCu共晶組成のろう材にTi、Zr、V、及びHf等のようなセラミックに対して活性な金属が添加されている活性ろう材を用いる方法等が挙げられる。または、活性ろう材としては、CuSnTi系ろう材等が挙げられる。
【0030】
DBC法とは、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)と、Cuとの接合に関し、ろう材を介さず、直接接合する方法であり、具体的には、アルミナ(酸化アルミニウム)、焼結助剤酸化物、及びCu表面の酸化被膜(CuO)と、Cuとの反応により接合するもので、Cuの融点1080℃直下で生じるCu−O共晶反応(温度、約1066℃)で接合する方法である。
【0031】
SQ法とは、例えば、高圧力をかけた鋳込み法による異種材料の接合方法であり、具体的には、鋳型底面にセラミック等を配置し、鋳型に高圧力で溶解した金属を鋳込むことにより接合を行う方法である。かくしてヒートシンク材2の表面に接合されるセラミック基板3の厚みは、この放熱板1の用途により相違するが、通常0.15〜0.4mmが好適である。
【0032】
[放熱モジュール]
本発明に係る放熱モジュールは、本発明に係る放熱板と、その放熱板における少なくとも一方のセラミック基板の、前記放熱板におけるヒートシンク材とは反対側の表面に、Ag、Cu、Al、Ni、Mo、及びW(以下において、これら金属を特定金属と称することがある。)から選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層5とを備えて成る。
【0033】
図3及び図4には、本発明の実施形態に係る放熱モジュール4(4A、4B)がそれぞれ示されている。図3に示される放熱モジュール4Aは、放熱板1と、放熱板1における一方のセラミック基板3の、ヒートシンク材2とは反対側の表面に形成されるとともに、前記特定金属から選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層5Aとを備えて成る。図4に示される放熱モジュール4Bは、放熱板1と、放熱板1における両方のセラミック基板3の、ヒートシンク材2とは反対側の表面それぞれに形成されるとともに、前記特定金属から選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層5A,5Bとを備えて成る。
【0034】
金属層5の形成方法としては、メタライズ形成を行う方法、金属板状に形成する方法等が挙げられる。
【0035】
ここで、金属層5のメタライズ形成の方法としては、所望の金属をペースト印刷し、次いで熱処理により形成する方法、物理的蒸着法、化学的蒸着法等が挙げられる。
【0036】
物理的蒸着法としては、熱蒸着法(真空蒸着法ともいう)、スパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等が挙げられる。
【0037】
熱蒸着法としては、抵抗加熱法、フラッシュ蒸発法、アーク蒸発法、レーザー加熱法、高周波加熱法、電子ビーム加熱法、分子エピタキシー法等が挙げられる。
【0038】
スパッタリング法としては、2極DCグロー放電法、3極DCグロー放電法、2極RFグロー放電法、イオンビームスパッタ法、マグネトロン法等が挙げられる。
【0039】
一方、化学的蒸着法としては、大気圧CVD(Chemical Vapor Deposition、文中CVDと略)、減圧CVD、光CVD、プラズマCVD等が挙げられる。
【0040】
なお、少なくとも一方のセラミック基板3の表面に接合された金属層5は、図4に示されるように、両方に金属層5が接合された場合は、一方の表面に接合された金属層5が、回路金属層5Aとなり、他方の表面に接合された金属層5が、放熱金属層5Bとなる。回路金属層5Aは、電流が導通する回路として機能する。回路金属層5Aは、例えば、セラミック基板3の表面に金属層を形成し、その金属層の表面にエッチングレジストを形成し、次いで塩化鉄、フッ化アンモニウムによる化学エッチングにより回路パターンを現出させて形成することができる。
【0041】
なお、放熱金属層5Bは、熱を外部に効率良く放出することができるようにセラミック基板3の表面に形成されていればよく、このような放熱機能が確保されている限りにおいて回路パターン等が形成されていても、形成されていなくてもよい。もっとも、放熱金属層5Bの外縁は、例えばエッチング等によりセラミック基板3の外周より小さくしておくのが好ましい。
【0042】
というのは、接合後そのままの状態において、放熱金属層5Bの外縁がセラミック基板3の外縁と同じであり、またはセラミック基板3の外縁から突出しているとすると、セラミック基板3の外縁部において放熱金属層5Bとセラミック基板3とに接合隙間が生じる可能性が高く、もしもそのような接合間隙が生じているとすればその接合間隙が熱サイクルによる応力集中部となり、その接合間隙から界面剥離が発生する可能性があり、これら接合隙間をエッチングにより除去することが出来るからである。
【0043】
一方、図3に示されるように、片方のセラミック基板3の表面にのみ金属層5が接合された場合は、この片面にのみ形成された金属層5が、回路金属層5Aとなる。この場合、回路金属層5Aは、電力供給用及び/又は信号電送用として機能する。この発明においては、放熱モジュールにおける金属層の厚みは、この放熱モジュールの用途により相違するが、通常0.15〜0.6mmであるのが、好ましい。
【0044】
本発明の放熱モジュール4では、金属層5は、放熱板1上に、熱処理により接合されて成ることが好ましい。
【0045】
ここで、熱処理の方法としては、ろう材を用いて接合する方法、DBC法、SQ法等が挙げられる。
【0046】
[半導体実装モジュール]
本発明に係る半導体実装モジュールは、本発明に係る放熱モジュールと、この放熱モジュールにおける金属層上に接合された半導体素子とを備えて成る。図5には、本発明の実施形態に係る半導体実装モジュール6が示されている。半導体実装モジュール6は、放熱モジュール4と、放熱モジュール4における金属層5上に接合された半導体素子7とを備えて成る。ここで一例をあげて説明する半導体実装モジュール6においては、放熱モジュール4として、前記した放熱モジュール4A(4)が採用されている。
【0047】
半導体素子7は、放熱モジュール4A(4)の回路金属層5Aに、接合層10を介して接合されている。この接合層10は、はんだ及びろう材等により形成される。なお、半導体素子7は、公知のシリコン、SiC半導体及び化合物半導体等のいずれかから成り、又はこれらの組み合わせから成る半導体素子を採用できる。半導体素子7としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が挙げられる。
【0048】
この半導体実装モジュール6では、半導体素子7は、金属層5上に、熱処理により接合されて成ることが好ましく、はんだ付けやろう材により接合することがより好ましい。
【0049】
この半導体実装モジュール6は、上記した放熱板1や放熱モジュール4を備えることにより、放熱板1や放熱モジュール4と同様の作用・効果を得ることができる。
【0050】
[半導体装置]
本発明に係る半導体装置は、本発明に係る半導体実装モジュールと、この半導体実装モジュールを支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンクとを備えて成る。図6及び図7には、本発明の実施形態に係る半導体装置8(8A、8B)がそれぞれ示されている。
【0051】
図6に示される半導体装置8A及び図7に示される半導体装置8Bのいずれも、本発明の実施形態に係る半導体実装モジュール6と、この半導体実装モジュール6を支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンク9とを備えて成る。
【0052】
さらに言うと、図6に示される半導体装置8A(8)においては、半導体実装モジュール6は、回路金属層5Aとして形成された金属層5のみを片方のセラミック基板3の表面に形成して成る放熱モジュール4A(4)を、備えて成る。ベースヒートシンク9と金属層5が形成されていないセラミック基板3の面とが、グリス層11を介して、機械的に固着されている。
【0053】
機械的な固着とは、例えばネジによる締結によるもので、放熱板1や放熱モジュール4の外周部に貫通孔もしくは面方向に凹部を設け、孔もしくは凹部でネジを締め付ける方法、並びに、放熱板1及び放熱モジュール4の外周部を枠形状の押さえ治具で押しつけることにより固着する方法等が挙げられる。上記機械的な固着において、ネジまたは押さえ治具が接する場所は、放熱板1又は放熱モジュール4の構造におけるセラミック基板が存在する場所であることが好ましい。
【0054】
なぜならば、本発明におけるセラミック基板より突き出したベースヒートシンクは接合等の熱処理により焼鈍されているので、ベースヒートシンクにおけるセラミック基板の存在しない部位で機械的な固着を行うと、前記ベースヒートシンクは締め付け応力に耐えきれずに変形してしまい、その結果として前記ベースヒートシンクと放熱板又は放熱モジュールにおけるセラミック基板との間における十分な密着が実現されず、最終的に、充分な放熱の効果が奏されなくなることがあるからである。これに対し、上記機械的な固着において、ネジまたは治具が接する場所を、放熱板又は放熱モジュールの構造におけるセラミック基板が存在する部位にすると、前記ベースヒートシンクが締め付け応力に耐え得るようになって充分な放熱の効果を奏することができる。
【0055】
また、半導体装置8B(8)は、図7に示されるように、半導体実装モジュール6と、半導体実装モジュール6を支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンク9とを備えて成る。この半導体実装モジュール6は、ヒートシンク材2の一方の表面に接合されたセラミック基板3の表面に形成された金属層5としての回路金属層5Aと、ヒートシンク材の他方の表面に接合されたセラミック基板3の表面に形成された金属層5としての放熱金属層5Bとを備えて成る放熱モジュール4B(4)を有する。ベースヒートシンク9と前記放熱モジュール4B(4)における放熱金属層5Bとが、グリス層11を介して、機械的に固着されている。この機械的な固着は、図6に示される半導体装置8Aにおいて説明されたのと、同様である。
【0056】
ベースヒートシンク9は、水冷式のヒートシンクである。本発明におけるベースヒートシンクとしては、水冷式のヒートシンクに限られず、空冷式等の他のヒートシンクを用いてもよい。
【0057】
この半導体装置8は、上記した放熱モジュール4を備えることにより、放熱板1及び放熱モジュール4と同様の作用・効果を得ることができる。この半導体装置8は、エレベータ、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車等におけるモータ制御用インバータ等に搭載可能な大電力半導体装置として好適に使用されることができる。
【0058】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)絶縁機能を有するセラミック基板をヒートシンク材の片面に接合して成る放熱部品では、前記セラミック基板と前記ヒートシンク材との熱膨張係数差によりヒートシンク板側に大きく凹となって放熱板として機能しなくなる。これに対し、本発明においては、ヒートシンク材2をセラミック基板3で挟み込んで成る放熱板1とすることにより、放熱時の熱による湾曲を生じることなく、大きな絶縁機能を発揮することができる。さらに、セラミック基板3上に金属層5を介して搭載された半導体素子7がその動作時に発熱すると、この半導体素子7からの熱は、セラミック基板3からヒートシンク材2に伝導し、次いでヒートシンク材2から放出されるので、放熱性の向上を図ることができる。さらに、ヒートシンク材2の端面は、セラミック基板3の端面より突出しているか、もしくは、面一であることにより、セラミック基板3同士の接触や、落下等によって、セラミック基板3の端面が欠けることがないので、製造時、加工時、輸送時、設置時、使用時等におけるハンドリングが向上する。
【0059】
(2)ヒートシンク材2は、金属特にCu及び/又はAlを含む場合には、熱伝導性が良いので、効率良く放熱することができる。
【0060】
(3)ヒートシンク材2は、さらに、金属・セラミック複合材を含む場合には、セラミック基板3との熱膨張性等が同様となるので、放熱板の反りを小さくすることができる。
【0061】
(4)放熱板1は、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素から選択される少なくともいずれか1種を焼結させて成るセラミック基板3を用いているので、強度及び絶縁性の向上を達成することができる。
【0062】
(5)セラミック基板3は、ヒートシンク材2上に、熱処理により接合されて成る。その熱処理時に、ヒートシンク材2とセラミック基板3との界面において反応が生じてヒートシンク材2とセラミック基板3とが化学的な結合により強固に接合される。したがって、例えば半導体素子7の実稼動による発熱状態から実使用環境温度例えば常温のような温度サイクルに対しても、この放熱板1は高い信頼性を有する。
【0063】
(6)金属層5が、Ag、Cu、Al、Ni、Mo、及びWから選択される少なくともいずれか1種の、電気伝導性の良好な金属により形成されて成ることにより、回路金属として好適に機能する。更には、前記特定の金属で形成された金属層5は、セラミック基板3に対する応力緩和の効果が大きいので、セラミック基板3との接合強度を向上させることができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
【0065】
[放熱板に関する実験]
[実施例1〜実施例3]
使用するセラミック基板は、実施例及び比較例共に、同様のものである。このセラミック基板は、ドクターブレード法によりチッ化珪素(Si3N4)を成型し、焼結することにより得られた。そのセラミック基板の寸法は、縦25mm、横60mm、及び厚み0.3mmであった。その熱伝導率は、60W/m・Kであった。一方、ヒートシンク材は、銅板であり、その寸法は、縦25mm、横60mm、及び厚み3mmであった。
【0066】
この接合の際には、CuSnTi系ろう材を用い、スクリーン印刷後、乾燥させた。この接合の際の加熱温度は、1000℃であった。加熱時間は、60分であった。圧力は、真空中(1.333×10−2Pa(1×10− 4Torrを換算した値))であった。
【0067】
以上のヒートシンク材及びセラミック基板を用いて、ヒートシンク材の両面にセラミック基板を接合した。さらに、ヒートシンク材の端面は、前記セラミック基板の端面より突出しているか、もしくは、面一であるようにした。なお、この接合後に、実施例1においては、セラミック基板が熱膨張係数の差異により、セラミック基板の方が、ヒートシンク材よりも突き出た状態となるため、セラミック基板の外周端面に対して研削を行って、面一となるようにした。
【0068】
なお、実施例1における放熱板は、図2に示される構造を有していた。また、実施例2、3における放熱板は、図1の構造を有していた。
【0069】
[実施例4〜実施例7]
実施例4〜実施例7における放熱板は、実施例1〜実施例3における放熱板とは、ヒートシンク材の素材が表1に示されるように異なる。
【0070】
ここで、実施例4及び5において採用されているAlSiC複合材は、スポンジ状と称することのできるほどの多孔質状であるSiCプリフォームを予め作製し、微量のSi及びMgを含んだAl溶湯を前記SiCプリフォームに含浸することにより作製された。なお、AlSiC複合材から成るヒートシンク材と、セラミック基板との接合は、まずセラミック基板表面に、Ti、Mo、Niの順に蒸着によるメタライズ(各厚み 1μm)を施した。その後、このメタライズ上に、JIS BA4145に規定されたろう材を用い、N2気流中で、580℃に60分かけて加熱するという条件で、接合を行った。
【0071】
また、Cu−Mo合金から成るヒートシンク材と、セラミック基板との接合は、上記したように、CuSnTi系ろう材を用い、スクリーン印刷後、乾燥させた。この接合の際の加熱温度は、1000℃である。加熱時間は、60分であった。圧力は、真空中(1.333×10−2Pa(1×10− 4Torrを換算した値))であった。
【0072】
なお、実施例4における放熱板は、図2に示される構造を有していた。また、実施例5〜7における放熱板は、図1に示される構造を有していた。
【0073】
[比較例1〜比較例8]
一方、比較例1〜比較例4における放熱板は、ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出しておらず、しかも、面一でないように形成された。さらに、比較例1、2、6、8における放熱板においては、ヒートシンク材の片面にのみセラミック基板を接合しており、比較例3、4、5、7における放熱板においては、ヒートシンク材の両面にセラミック基板を接合して成る。
【0074】
[放熱板に関する評価方法及び評価結果]
前述した実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例8における放熱板を以下の方法により評価し、その評価結果を各製造条件とともに、表1に示す。なお、「−」は、該当するものがないことを意味している。
【0075】
[反り量]
各実施例及び比較例における放熱板の反り量は、レーザ式表面変位計により図10に示されるような面全体の変位を測定し、(面全体の変位/取り付けピッチ間の距離)の計算式により算出した。
【0076】
[耐衝撃テスト]
各実施例、比較例における放熱板につき、耐衝撃テストを行った。耐衝撃テストは、傾け衝突テスト及び落下テストからなる。まず、50cm角のトレーに各サンプル10個を入れ、このトレーを水平から約45度程度まで傾ける動作を50回行って、サンプル同士を衝突させた(傾け衝突テスト)。その後、上記傾け衝突テストで用いたサンプル10個を1個づつ、平らな面を地面に向けて、約30cmの高さより地面に落下させた(落下テスト)。以上の耐衝撃テストにおいて、セラミック基板の欠けが生じたらNG、生じなければOKとした。
【0077】
【表1】
【0078】
以上の表1によれば、比較例1、2、6及び8に示されるように、ヒートシンク材の片面にのみセラミック基板を接合したものは反りが大きく、実用上、放熱板として用いることができない。また、実施例1〜実施例7における放熱板は、比較例1〜比較例8におけるものと比較して、反り量、耐衝撃テストの結果が良好であることがわかった。したがって、放熱板のヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出しているか、もしくは、面一であれば、製造工程などにおけるハンドリングが良好になる。
【0079】
[放熱モジュールに関する実験]
[実施例8〜実施例13]
一方、上記[放熱板に関する実験]において用いた放熱板に回路金属層、放熱金属層を形成した。両方のセラミック基板の表面に接合された金属層は、一方の表面に接合された金属層が、回路金属層となり、他方の表面に接合された金属層が、放熱金属層となる。回路金属層は、エッチングレジストを用い、塩化鉄及びフッ化アンモニウム等による化学エッチングにより形成された回路パターン層である。なお、放熱金属層は、回路パターン層に形成されていない。
【0080】
ここで、実施例8〜13における放熱モジュールは、ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出しているか、もしくは、面一であるように形成された。
【0081】
以上のように、以下の表2に示す各条件で、放熱モジュールを作成した後、半導体素子を回路金属層にはんだ付けにより接合し、次いでワイヤボンディングを行った。
【0082】
[比較例9〜比較例15]
比較例における放熱モジュールは、ヒートシンク材の端面がセラミック基板の端面より突出しておらず、しかも、面一でないようにした外は、実施例8〜実施例13における放熱モジュールと同様にして、以下の表2に示す各条件で、作成された。
【0083】
[放熱モジュールに関する評価方法及び評価結果]
前述した実施例8〜実施例13及び比較例9〜比較例15で得られた放熱モジュールを以下の方法により評価し、その評価結果を各製造条件とともに、表2に示す。なお、「−」は、該当するものがないことを意味している。また、「接合構造」において、例えば、3は、図3に示される放熱モジュールの構造であることを意味する。
【0084】
さらに、「接合構造8」は、図8に示されるような従来の放熱モジュール12の構造である。
【0085】
また、「接合構造9」は、図9に示されるような従来の放熱モジュール16の構造である。
【0086】
[反り量]
放熱板の反り量を測定したのと同様の手法で反り量を算出した。
【0087】
[耐衝撃テスト]
放熱板についての耐衝撃テストと同様にして各実施例、比較例の放熱モジュールにつき耐衝撃テストを行った。
【0088】
[半導体素子温度]
各実施例、比較例の放熱モジュールを使用し、水温25℃に制御された水冷のベースヒートシンクを半導体素子が接合された面とは反対側の面に固着した。その後、半導体素子に150Wの電気的負荷をかけて、その半導体素子の温度を測定し、放熱性に関する評価を行った。
【0089】
【表2】
【0090】
以上の表2によれば、実施例8〜実施例13における放熱モジュールは、比較例9〜比較例15における放熱モジュールと比較して、反り量、半導体素子温度の結果が略同様であるものの、耐衝撃テストにおいて、より良好であることがわかった。したがって、放熱モジュールにおけるヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出しているか、もしくは、面一であることによって、製造工程の簡略化における効果を維持しつつ、製造工程におけるハンドリングが良好になる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、放熱性の向上、製造工程の簡略化、及び製造工程におけるハンドリングに優れた放熱板、放熱モジュール、半導体実装モジュール、及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る放熱板の概略的な断面図(ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出している状態)を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明に係る放熱板の概略的な断面図(ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面と面一である状態)を示す概略説明図である。
【図3】図3は、本発明に係る放熱モジュールの概略断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る第1の変形例の放熱モジュールの概略断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る半導体実装モジュールの概略断面図である。
【図6】図6は、本発明に係る半導体装置の概略断面図である。
【図7】図7は、本発明に係る第1の変形例の半導体装置の概略断面図である。
【図8】図8は、従来の放熱モジュールの概略断面図である。
【図9】図9は、従来の他の放熱モジュールの概略断面図である。
【図10】図10は、反り量を示す為の概略説明図である。
【符号の説明】
1 放熱板
2 ヒートシンク材
3 セラミック基板
4 放熱モジュール
4A 放熱モジュール
4B 放熱モジュール
5 金属層
5A 回路金属層
5B 放熱金属層
6 半導体実装モジュール
7 半導体素子
8 半導体装置
8A 半導体装置
8B 半導体装置
9 ベースヒートシンク
10 接合層
11 グリス層
12 放熱モジュール
13 ヒートシンク材
14 基板
15 金属層
16 放熱モジュール
17 ヒートシンク材
18 セラミック基板
19 回路金属層
20 放熱金属層
21 接合層
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱板、放熱モジュール、半導体実装モジュール、及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルミナ焼結体や、チッ化アルミニウム焼結体、チッ化珪素焼結体などのセラミック基板の表面に、導電性を有する回路金属層を形成し、その上に半導体素子を搭載した回路基板が普及している。その中でも、大電力を消費する半導体素子が搭載されている場合には、半導体素子より生じる熱を放出するために、前記回路金属層だけでなく、セラミック基板上に放熱用の金属層、又はヒートシンクを接合した放熱モジュールが普及している。
【0003】
半導体素子に対する高電流密度化に伴って、更なる放熱性の向上が、放熱モジュールに要求される。従来のようにセラミック基板に、アルミナを用いた構造よりも、放熱性を向上させるために、セラミック基板として、チッ化珪素を用い、しかもその窒化ケイ素基板の表面にろう付される銅板における所定深さ位置でのユニバーサル硬さを所定の値に調整してなる構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、チッ化珪素基板と、前記チッ化珪素基板に接合されたところの、銅又はアルミニウムを主成分とするヒートシンクとを具備する放熱部品が提案されている。この放熱部品では、チッ化珪素基板と、ヒートシンクとは、活性金属法等で接合されており、はんだを有しない接合方法を採用している(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−85571号公報(図1、[0018])
【特許文献2】
特開平09−97865号公報(請求項1、図1、[0020])
【0006】
しかしながら、本願明細書に添付された図9に記載されたように、特許文献1に記載された構造では、放熱性は向上しているものの、この構造を得るまでの工程は▲1▼接合▲2▼エッチング▲3▼ヒートシンクとの半田付となっており、各工程の管理をする上で製造コストが増大するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2記載の放熱部品では、放熱性が向上し、かつ、一体化の構造を採用しているため、製造コストを低減することができる。しかしながら、特許文献2記載の放熱部品は、本願明細書に添付された図8に示されるように、チッ化珪素基板14と、このチッ化珪素基板14の一方の表面に設けられた、銅又はアルミニウムを主成分とする薄い金属層15と、このチッ化珪素基板14の他方の表面に設けられたチッ化珪素より厚いヒートシンク13とを備えて成るので、チッ化珪素基板14と、金属層15との熱膨張係数の差により、ヒートシンク13側に大きく凹状に反り返る問題がある。
【0008】
そのため、前記放熱部品においては、形成された金属層にパターン形成などを行う工程におけるハンドリングが悪くなり、更にベースヒートシンクを取り付けると、ベースヒートシンク面に対し凸状に反り返っていることから放熱部品とベースヒートシンクとの空隙が大きくなるので、放熱部品として求められる放熱性が十分に得られないという問題が引き続いて起こる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点を解消し、放熱性の向上、製造工程の簡略化、及び製造工程におけるハンドリングに優れた放熱板、放熱モジュール、半導体実装モジュール、及び半導体装置を提供することをその課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の放熱板は、金属、又は金属にセラミックを分散してなる金属・セラミック複合材を含むヒートシンク材と、前記ヒートシンク材の両面に接合されたセラミック基板とを備えて成り、
前記ヒートシンク材の端面が、前記セラミック基板の端面より突出し、又は、面一であることを特徴とする。
【0011】
本発明の放熱板では、前記ヒートシンク材は、その金属が、Cu及び/又はAlを含むことが好ましい。
【0012】
本発明の放熱板では、前記セラミック基板は、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素から選択される少なくともいずれか1種を焼結させて成ることが好ましい。
【0013】
本発明の放熱板では、前記セラミック基板は、前記ヒートシンク材上に、熱処理により接合されて成ることが好ましい。
【0014】
また、本発明の放熱モジュールは、前記放熱板と、少なくとも一方の前記セラミック基板の表面に形成されるとともに、Ag、Cu、Al、Ni、Mo、及びWから選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層とを備えて成ることを特徴とする。
【0015】
本発明の放熱モジュールでは、前記金属層は、前記放熱板上に、熱処理により形成されて成ることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の半導体実装モジュールは、前記放熱モジュールと、前記金属層上に接合された半導体素子とを備えて成ることを特徴とする。
【0017】
そして、本発明の半導体装置は、前記半導体実装モジュールと、前記半導体実装モジュールを支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンクとを備えて成ることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[放熱板]
図1及び図2には、本発明の実施形態に係る放熱板1が示されている。放熱板1は、図1、図2に示されるように、ヒートシンク材2と、ヒートシンク材2の両面に接合されたセラミック基板3とを備えて成り、ヒートシンク材2の端面は、セラミック基板3の端面より突出しているか、もしくは、面一である。
【0019】
ここで、図1は、ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出している放熱板を示している。また、図2は、ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面と面一である放熱板を示している。
【0020】
ヒートシンク材2は、金属、又は金属にセラミックを分散してなる金属・セラミック複合材を含み、好適には金属又は金属・セラミック複合材からなる。
【0021】
ヒートシンク材2は、Cu単体でもよく、Al単体でもよく、Cu及びAlの合金でもよい。また、Cuの合金としては、CuMo、CuW、CuFe、CuAg、CuZr等が挙げられる。さらに、Alの合金としては、Cu、Si、Mg、Fe、Mn等との合金が挙げられる。そして、ヒートシンク材2は、上記したCuの合金及びAlの合金を含んでいても良い。
【0022】
金属・セラミック複合体におけるセラミックとしては、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素等が挙げられる。この金属・セラミック複合体の製造方法としては、例えば、一例として、Al−SiC複合材を例に挙げる。このAl−SiC複合材は、まず、多孔質状(スポンジ状)のSiCプリフォームを予め作製し、微量のSi、Mgを含んだAl溶湯を含浸させることにより作製することができる。ヒートシンク材2の厚みとしては、放熱板1の用途により相違するものの、通常、2〜4mmが好適である。
【0023】
一方、セラミック基板3は、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素から選択される少なくともいずれか1種を焼結させて成ることが好ましい。
【0024】
ここで、焼結の方法としては、雰囲気焼結法、反応焼結法、熱プラズマ焼結法、通電加熱焼結法、多軸通電加熱焼結法、放電プラズマ焼結法、熱間等方加圧式焼結法等が挙げられる。
【0025】
ここで、セラミック基板3の熱伝導率は、20〜250W/m・Kの範囲内であることが好ましい。
【0026】
ここで、セラミック基板3の熱伝導率が、20W/m・K未満であると、放熱特性が十分でなくなる場合がある。セラミック基板3の熱伝導率が、250W/m・Kを超えると、例えばチッ化アルミニウムにおいては著しい機械特性の低下(強度・靭性)を招き、その結果として、放熱構造を形成した場合の熱サイクル等の熱応力によるセラミック破壊が生じ、最終的には信頼性に問題があるものとなる。
【0027】
このセラミック基板3は、ヒートシンク材2の両表面上に、熱処理により接合されて成る。
【0028】
ここで、熱処理の方法としては、ろう材を用いて接合する方法、DBC(Direct Bonding Copper)法、SQ(Squeeze Casting)法のような鋳込み法等が挙げられる。
【0029】
ろう材を用いて接合する方法としては、一般的なAgCu共晶組成のろう材にTi、Zr、V、及びHf等のようなセラミックに対して活性な金属が添加されている活性ろう材を用いる方法等が挙げられる。または、活性ろう材としては、CuSnTi系ろう材等が挙げられる。
【0030】
DBC法とは、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)と、Cuとの接合に関し、ろう材を介さず、直接接合する方法であり、具体的には、アルミナ(酸化アルミニウム)、焼結助剤酸化物、及びCu表面の酸化被膜(CuO)と、Cuとの反応により接合するもので、Cuの融点1080℃直下で生じるCu−O共晶反応(温度、約1066℃)で接合する方法である。
【0031】
SQ法とは、例えば、高圧力をかけた鋳込み法による異種材料の接合方法であり、具体的には、鋳型底面にセラミック等を配置し、鋳型に高圧力で溶解した金属を鋳込むことにより接合を行う方法である。かくしてヒートシンク材2の表面に接合されるセラミック基板3の厚みは、この放熱板1の用途により相違するが、通常0.15〜0.4mmが好適である。
【0032】
[放熱モジュール]
本発明に係る放熱モジュールは、本発明に係る放熱板と、その放熱板における少なくとも一方のセラミック基板の、前記放熱板におけるヒートシンク材とは反対側の表面に、Ag、Cu、Al、Ni、Mo、及びW(以下において、これら金属を特定金属と称することがある。)から選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層5とを備えて成る。
【0033】
図3及び図4には、本発明の実施形態に係る放熱モジュール4(4A、4B)がそれぞれ示されている。図3に示される放熱モジュール4Aは、放熱板1と、放熱板1における一方のセラミック基板3の、ヒートシンク材2とは反対側の表面に形成されるとともに、前記特定金属から選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層5Aとを備えて成る。図4に示される放熱モジュール4Bは、放熱板1と、放熱板1における両方のセラミック基板3の、ヒートシンク材2とは反対側の表面それぞれに形成されるとともに、前記特定金属から選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層5A,5Bとを備えて成る。
【0034】
金属層5の形成方法としては、メタライズ形成を行う方法、金属板状に形成する方法等が挙げられる。
【0035】
ここで、金属層5のメタライズ形成の方法としては、所望の金属をペースト印刷し、次いで熱処理により形成する方法、物理的蒸着法、化学的蒸着法等が挙げられる。
【0036】
物理的蒸着法としては、熱蒸着法(真空蒸着法ともいう)、スパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等が挙げられる。
【0037】
熱蒸着法としては、抵抗加熱法、フラッシュ蒸発法、アーク蒸発法、レーザー加熱法、高周波加熱法、電子ビーム加熱法、分子エピタキシー法等が挙げられる。
【0038】
スパッタリング法としては、2極DCグロー放電法、3極DCグロー放電法、2極RFグロー放電法、イオンビームスパッタ法、マグネトロン法等が挙げられる。
【0039】
一方、化学的蒸着法としては、大気圧CVD(Chemical Vapor Deposition、文中CVDと略)、減圧CVD、光CVD、プラズマCVD等が挙げられる。
【0040】
なお、少なくとも一方のセラミック基板3の表面に接合された金属層5は、図4に示されるように、両方に金属層5が接合された場合は、一方の表面に接合された金属層5が、回路金属層5Aとなり、他方の表面に接合された金属層5が、放熱金属層5Bとなる。回路金属層5Aは、電流が導通する回路として機能する。回路金属層5Aは、例えば、セラミック基板3の表面に金属層を形成し、その金属層の表面にエッチングレジストを形成し、次いで塩化鉄、フッ化アンモニウムによる化学エッチングにより回路パターンを現出させて形成することができる。
【0041】
なお、放熱金属層5Bは、熱を外部に効率良く放出することができるようにセラミック基板3の表面に形成されていればよく、このような放熱機能が確保されている限りにおいて回路パターン等が形成されていても、形成されていなくてもよい。もっとも、放熱金属層5Bの外縁は、例えばエッチング等によりセラミック基板3の外周より小さくしておくのが好ましい。
【0042】
というのは、接合後そのままの状態において、放熱金属層5Bの外縁がセラミック基板3の外縁と同じであり、またはセラミック基板3の外縁から突出しているとすると、セラミック基板3の外縁部において放熱金属層5Bとセラミック基板3とに接合隙間が生じる可能性が高く、もしもそのような接合間隙が生じているとすればその接合間隙が熱サイクルによる応力集中部となり、その接合間隙から界面剥離が発生する可能性があり、これら接合隙間をエッチングにより除去することが出来るからである。
【0043】
一方、図3に示されるように、片方のセラミック基板3の表面にのみ金属層5が接合された場合は、この片面にのみ形成された金属層5が、回路金属層5Aとなる。この場合、回路金属層5Aは、電力供給用及び/又は信号電送用として機能する。この発明においては、放熱モジュールにおける金属層の厚みは、この放熱モジュールの用途により相違するが、通常0.15〜0.6mmであるのが、好ましい。
【0044】
本発明の放熱モジュール4では、金属層5は、放熱板1上に、熱処理により接合されて成ることが好ましい。
【0045】
ここで、熱処理の方法としては、ろう材を用いて接合する方法、DBC法、SQ法等が挙げられる。
【0046】
[半導体実装モジュール]
本発明に係る半導体実装モジュールは、本発明に係る放熱モジュールと、この放熱モジュールにおける金属層上に接合された半導体素子とを備えて成る。図5には、本発明の実施形態に係る半導体実装モジュール6が示されている。半導体実装モジュール6は、放熱モジュール4と、放熱モジュール4における金属層5上に接合された半導体素子7とを備えて成る。ここで一例をあげて説明する半導体実装モジュール6においては、放熱モジュール4として、前記した放熱モジュール4A(4)が採用されている。
【0047】
半導体素子7は、放熱モジュール4A(4)の回路金属層5Aに、接合層10を介して接合されている。この接合層10は、はんだ及びろう材等により形成される。なお、半導体素子7は、公知のシリコン、SiC半導体及び化合物半導体等のいずれかから成り、又はこれらの組み合わせから成る半導体素子を採用できる。半導体素子7としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が挙げられる。
【0048】
この半導体実装モジュール6では、半導体素子7は、金属層5上に、熱処理により接合されて成ることが好ましく、はんだ付けやろう材により接合することがより好ましい。
【0049】
この半導体実装モジュール6は、上記した放熱板1や放熱モジュール4を備えることにより、放熱板1や放熱モジュール4と同様の作用・効果を得ることができる。
【0050】
[半導体装置]
本発明に係る半導体装置は、本発明に係る半導体実装モジュールと、この半導体実装モジュールを支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンクとを備えて成る。図6及び図7には、本発明の実施形態に係る半導体装置8(8A、8B)がそれぞれ示されている。
【0051】
図6に示される半導体装置8A及び図7に示される半導体装置8Bのいずれも、本発明の実施形態に係る半導体実装モジュール6と、この半導体実装モジュール6を支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンク9とを備えて成る。
【0052】
さらに言うと、図6に示される半導体装置8A(8)においては、半導体実装モジュール6は、回路金属層5Aとして形成された金属層5のみを片方のセラミック基板3の表面に形成して成る放熱モジュール4A(4)を、備えて成る。ベースヒートシンク9と金属層5が形成されていないセラミック基板3の面とが、グリス層11を介して、機械的に固着されている。
【0053】
機械的な固着とは、例えばネジによる締結によるもので、放熱板1や放熱モジュール4の外周部に貫通孔もしくは面方向に凹部を設け、孔もしくは凹部でネジを締め付ける方法、並びに、放熱板1及び放熱モジュール4の外周部を枠形状の押さえ治具で押しつけることにより固着する方法等が挙げられる。上記機械的な固着において、ネジまたは押さえ治具が接する場所は、放熱板1又は放熱モジュール4の構造におけるセラミック基板が存在する場所であることが好ましい。
【0054】
なぜならば、本発明におけるセラミック基板より突き出したベースヒートシンクは接合等の熱処理により焼鈍されているので、ベースヒートシンクにおけるセラミック基板の存在しない部位で機械的な固着を行うと、前記ベースヒートシンクは締め付け応力に耐えきれずに変形してしまい、その結果として前記ベースヒートシンクと放熱板又は放熱モジュールにおけるセラミック基板との間における十分な密着が実現されず、最終的に、充分な放熱の効果が奏されなくなることがあるからである。これに対し、上記機械的な固着において、ネジまたは治具が接する場所を、放熱板又は放熱モジュールの構造におけるセラミック基板が存在する部位にすると、前記ベースヒートシンクが締め付け応力に耐え得るようになって充分な放熱の効果を奏することができる。
【0055】
また、半導体装置8B(8)は、図7に示されるように、半導体実装モジュール6と、半導体実装モジュール6を支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンク9とを備えて成る。この半導体実装モジュール6は、ヒートシンク材2の一方の表面に接合されたセラミック基板3の表面に形成された金属層5としての回路金属層5Aと、ヒートシンク材の他方の表面に接合されたセラミック基板3の表面に形成された金属層5としての放熱金属層5Bとを備えて成る放熱モジュール4B(4)を有する。ベースヒートシンク9と前記放熱モジュール4B(4)における放熱金属層5Bとが、グリス層11を介して、機械的に固着されている。この機械的な固着は、図6に示される半導体装置8Aにおいて説明されたのと、同様である。
【0056】
ベースヒートシンク9は、水冷式のヒートシンクである。本発明におけるベースヒートシンクとしては、水冷式のヒートシンクに限られず、空冷式等の他のヒートシンクを用いてもよい。
【0057】
この半導体装置8は、上記した放熱モジュール4を備えることにより、放熱板1及び放熱モジュール4と同様の作用・効果を得ることができる。この半導体装置8は、エレベータ、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車等におけるモータ制御用インバータ等に搭載可能な大電力半導体装置として好適に使用されることができる。
【0058】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)絶縁機能を有するセラミック基板をヒートシンク材の片面に接合して成る放熱部品では、前記セラミック基板と前記ヒートシンク材との熱膨張係数差によりヒートシンク板側に大きく凹となって放熱板として機能しなくなる。これに対し、本発明においては、ヒートシンク材2をセラミック基板3で挟み込んで成る放熱板1とすることにより、放熱時の熱による湾曲を生じることなく、大きな絶縁機能を発揮することができる。さらに、セラミック基板3上に金属層5を介して搭載された半導体素子7がその動作時に発熱すると、この半導体素子7からの熱は、セラミック基板3からヒートシンク材2に伝導し、次いでヒートシンク材2から放出されるので、放熱性の向上を図ることができる。さらに、ヒートシンク材2の端面は、セラミック基板3の端面より突出しているか、もしくは、面一であることにより、セラミック基板3同士の接触や、落下等によって、セラミック基板3の端面が欠けることがないので、製造時、加工時、輸送時、設置時、使用時等におけるハンドリングが向上する。
【0059】
(2)ヒートシンク材2は、金属特にCu及び/又はAlを含む場合には、熱伝導性が良いので、効率良く放熱することができる。
【0060】
(3)ヒートシンク材2は、さらに、金属・セラミック複合材を含む場合には、セラミック基板3との熱膨張性等が同様となるので、放熱板の反りを小さくすることができる。
【0061】
(4)放熱板1は、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素から選択される少なくともいずれか1種を焼結させて成るセラミック基板3を用いているので、強度及び絶縁性の向上を達成することができる。
【0062】
(5)セラミック基板3は、ヒートシンク材2上に、熱処理により接合されて成る。その熱処理時に、ヒートシンク材2とセラミック基板3との界面において反応が生じてヒートシンク材2とセラミック基板3とが化学的な結合により強固に接合される。したがって、例えば半導体素子7の実稼動による発熱状態から実使用環境温度例えば常温のような温度サイクルに対しても、この放熱板1は高い信頼性を有する。
【0063】
(6)金属層5が、Ag、Cu、Al、Ni、Mo、及びWから選択される少なくともいずれか1種の、電気伝導性の良好な金属により形成されて成ることにより、回路金属として好適に機能する。更には、前記特定の金属で形成された金属層5は、セラミック基板3に対する応力緩和の効果が大きいので、セラミック基板3との接合強度を向上させることができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
【0065】
[放熱板に関する実験]
[実施例1〜実施例3]
使用するセラミック基板は、実施例及び比較例共に、同様のものである。このセラミック基板は、ドクターブレード法によりチッ化珪素(Si3N4)を成型し、焼結することにより得られた。そのセラミック基板の寸法は、縦25mm、横60mm、及び厚み0.3mmであった。その熱伝導率は、60W/m・Kであった。一方、ヒートシンク材は、銅板であり、その寸法は、縦25mm、横60mm、及び厚み3mmであった。
【0066】
この接合の際には、CuSnTi系ろう材を用い、スクリーン印刷後、乾燥させた。この接合の際の加熱温度は、1000℃であった。加熱時間は、60分であった。圧力は、真空中(1.333×10−2Pa(1×10− 4Torrを換算した値))であった。
【0067】
以上のヒートシンク材及びセラミック基板を用いて、ヒートシンク材の両面にセラミック基板を接合した。さらに、ヒートシンク材の端面は、前記セラミック基板の端面より突出しているか、もしくは、面一であるようにした。なお、この接合後に、実施例1においては、セラミック基板が熱膨張係数の差異により、セラミック基板の方が、ヒートシンク材よりも突き出た状態となるため、セラミック基板の外周端面に対して研削を行って、面一となるようにした。
【0068】
なお、実施例1における放熱板は、図2に示される構造を有していた。また、実施例2、3における放熱板は、図1の構造を有していた。
【0069】
[実施例4〜実施例7]
実施例4〜実施例7における放熱板は、実施例1〜実施例3における放熱板とは、ヒートシンク材の素材が表1に示されるように異なる。
【0070】
ここで、実施例4及び5において採用されているAlSiC複合材は、スポンジ状と称することのできるほどの多孔質状であるSiCプリフォームを予め作製し、微量のSi及びMgを含んだAl溶湯を前記SiCプリフォームに含浸することにより作製された。なお、AlSiC複合材から成るヒートシンク材と、セラミック基板との接合は、まずセラミック基板表面に、Ti、Mo、Niの順に蒸着によるメタライズ(各厚み 1μm)を施した。その後、このメタライズ上に、JIS BA4145に規定されたろう材を用い、N2気流中で、580℃に60分かけて加熱するという条件で、接合を行った。
【0071】
また、Cu−Mo合金から成るヒートシンク材と、セラミック基板との接合は、上記したように、CuSnTi系ろう材を用い、スクリーン印刷後、乾燥させた。この接合の際の加熱温度は、1000℃である。加熱時間は、60分であった。圧力は、真空中(1.333×10−2Pa(1×10− 4Torrを換算した値))であった。
【0072】
なお、実施例4における放熱板は、図2に示される構造を有していた。また、実施例5〜7における放熱板は、図1に示される構造を有していた。
【0073】
[比較例1〜比較例8]
一方、比較例1〜比較例4における放熱板は、ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出しておらず、しかも、面一でないように形成された。さらに、比較例1、2、6、8における放熱板においては、ヒートシンク材の片面にのみセラミック基板を接合しており、比較例3、4、5、7における放熱板においては、ヒートシンク材の両面にセラミック基板を接合して成る。
【0074】
[放熱板に関する評価方法及び評価結果]
前述した実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例8における放熱板を以下の方法により評価し、その評価結果を各製造条件とともに、表1に示す。なお、「−」は、該当するものがないことを意味している。
【0075】
[反り量]
各実施例及び比較例における放熱板の反り量は、レーザ式表面変位計により図10に示されるような面全体の変位を測定し、(面全体の変位/取り付けピッチ間の距離)の計算式により算出した。
【0076】
[耐衝撃テスト]
各実施例、比較例における放熱板につき、耐衝撃テストを行った。耐衝撃テストは、傾け衝突テスト及び落下テストからなる。まず、50cm角のトレーに各サンプル10個を入れ、このトレーを水平から約45度程度まで傾ける動作を50回行って、サンプル同士を衝突させた(傾け衝突テスト)。その後、上記傾け衝突テストで用いたサンプル10個を1個づつ、平らな面を地面に向けて、約30cmの高さより地面に落下させた(落下テスト)。以上の耐衝撃テストにおいて、セラミック基板の欠けが生じたらNG、生じなければOKとした。
【0077】
【表1】
【0078】
以上の表1によれば、比較例1、2、6及び8に示されるように、ヒートシンク材の片面にのみセラミック基板を接合したものは反りが大きく、実用上、放熱板として用いることができない。また、実施例1〜実施例7における放熱板は、比較例1〜比較例8におけるものと比較して、反り量、耐衝撃テストの結果が良好であることがわかった。したがって、放熱板のヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出しているか、もしくは、面一であれば、製造工程などにおけるハンドリングが良好になる。
【0079】
[放熱モジュールに関する実験]
[実施例8〜実施例13]
一方、上記[放熱板に関する実験]において用いた放熱板に回路金属層、放熱金属層を形成した。両方のセラミック基板の表面に接合された金属層は、一方の表面に接合された金属層が、回路金属層となり、他方の表面に接合された金属層が、放熱金属層となる。回路金属層は、エッチングレジストを用い、塩化鉄及びフッ化アンモニウム等による化学エッチングにより形成された回路パターン層である。なお、放熱金属層は、回路パターン層に形成されていない。
【0080】
ここで、実施例8〜13における放熱モジュールは、ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出しているか、もしくは、面一であるように形成された。
【0081】
以上のように、以下の表2に示す各条件で、放熱モジュールを作成した後、半導体素子を回路金属層にはんだ付けにより接合し、次いでワイヤボンディングを行った。
【0082】
[比較例9〜比較例15]
比較例における放熱モジュールは、ヒートシンク材の端面がセラミック基板の端面より突出しておらず、しかも、面一でないようにした外は、実施例8〜実施例13における放熱モジュールと同様にして、以下の表2に示す各条件で、作成された。
【0083】
[放熱モジュールに関する評価方法及び評価結果]
前述した実施例8〜実施例13及び比較例9〜比較例15で得られた放熱モジュールを以下の方法により評価し、その評価結果を各製造条件とともに、表2に示す。なお、「−」は、該当するものがないことを意味している。また、「接合構造」において、例えば、3は、図3に示される放熱モジュールの構造であることを意味する。
【0084】
さらに、「接合構造8」は、図8に示されるような従来の放熱モジュール12の構造である。
【0085】
また、「接合構造9」は、図9に示されるような従来の放熱モジュール16の構造である。
【0086】
[反り量]
放熱板の反り量を測定したのと同様の手法で反り量を算出した。
【0087】
[耐衝撃テスト]
放熱板についての耐衝撃テストと同様にして各実施例、比較例の放熱モジュールにつき耐衝撃テストを行った。
【0088】
[半導体素子温度]
各実施例、比較例の放熱モジュールを使用し、水温25℃に制御された水冷のベースヒートシンクを半導体素子が接合された面とは反対側の面に固着した。その後、半導体素子に150Wの電気的負荷をかけて、その半導体素子の温度を測定し、放熱性に関する評価を行った。
【0089】
【表2】
【0090】
以上の表2によれば、実施例8〜実施例13における放熱モジュールは、比較例9〜比較例15における放熱モジュールと比較して、反り量、半導体素子温度の結果が略同様であるものの、耐衝撃テストにおいて、より良好であることがわかった。したがって、放熱モジュールにおけるヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出しているか、もしくは、面一であることによって、製造工程の簡略化における効果を維持しつつ、製造工程におけるハンドリングが良好になる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、放熱性の向上、製造工程の簡略化、及び製造工程におけるハンドリングに優れた放熱板、放熱モジュール、半導体実装モジュール、及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る放熱板の概略的な断面図(ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面より突出している状態)を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明に係る放熱板の概略的な断面図(ヒートシンク材の端面が、セラミック基板の端面と面一である状態)を示す概略説明図である。
【図3】図3は、本発明に係る放熱モジュールの概略断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る第1の変形例の放熱モジュールの概略断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る半導体実装モジュールの概略断面図である。
【図6】図6は、本発明に係る半導体装置の概略断面図である。
【図7】図7は、本発明に係る第1の変形例の半導体装置の概略断面図である。
【図8】図8は、従来の放熱モジュールの概略断面図である。
【図9】図9は、従来の他の放熱モジュールの概略断面図である。
【図10】図10は、反り量を示す為の概略説明図である。
【符号の説明】
1 放熱板
2 ヒートシンク材
3 セラミック基板
4 放熱モジュール
4A 放熱モジュール
4B 放熱モジュール
5 金属層
5A 回路金属層
5B 放熱金属層
6 半導体実装モジュール
7 半導体素子
8 半導体装置
8A 半導体装置
8B 半導体装置
9 ベースヒートシンク
10 接合層
11 グリス層
12 放熱モジュール
13 ヒートシンク材
14 基板
15 金属層
16 放熱モジュール
17 ヒートシンク材
18 セラミック基板
19 回路金属層
20 放熱金属層
21 接合層
Claims (8)
- 金属、又は金属にセラミックを分散してなる金属・セラミック複合材を含むヒートシンク材と、前記ヒートシンク材の両面に接合されたセラミック基板とを備えて成り、
前記ヒートシンク材の端面が、前記セラミック基板の端面より突出し、又は、面一であることを特徴とする放熱板。 - 前記ヒートシンク材は、その金属がCu及び/又はAlを含むことを特徴とする前記請求項1記載の放熱板。
- 前記セラミック基板は、チッ化珪素、酸化アルミニウム、チッ化アルミニウム、及び炭化珪素から選択される少なくともいずれか1種を焼結させて成ることを特徴とする前記請求項1又は請求項2に記載の放熱板。
- 前記セラミック基板は、前記ヒートシンク材上に、熱処理により接合されて成ることを特徴とする前記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の放熱板。
- 前記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の放熱板と、
少なくとも一方の前記セラミック基板の、前記ヒートシンク材とは反対側の表面に、Ag、Cu、Al、Ni、Mo、及びWから選択される少なくともいずれか1種により形成されて成る金属層とを備えて成ることを特徴とする放熱モジュール。 - 前記金属層は、前記放熱板上に、熱処理により形成されて成ることを特徴とする前記請求項5に記載の放熱モジュール。
- 前記請求項5又は請求項6に記載の放熱モジュールと、
前記金属層上に接合された半導体素子とを備えて成ることを特徴とする半導体実装モジュール。 - 前記請求項7に記載の半導体実装モジュールと、この半導体実装モジュールを支持するとともに、熱を放出するベースヒートシンクとを備えて成ることを特徴とする半導体装置。
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JP2019033132A (ja) * | 2017-08-04 | 2019-02-28 | デンカ株式会社 | ベース板及びパワーモジュール |
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-
2003
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