JP2004343035A - 放熱部品、回路基板および半導体装置 - Google Patents

放熱部品、回路基板および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【目的】セラミックスによる十分な絶縁性能を持ち、セラミックス基板と放熱部材の熱膨張差に起因する反りを抑制し、且つ放熱特性の向上を達成することができる、放熱部品、これを適用した回路基板や半導体装置などの一体化構造を提供することを目的とする。
【解決手段】Cu、Al、Ni、W、Moなどの金属からなる放熱板、または、金属を主成分とする無機化合物を含む複合材からなる放熱板、の両面に、セラミックス部材が接合されている放熱部品。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体素子等の発熱性電子部品を搭載する、放熱部材又は、その構造体にかかわり、特にその製造時の形状、放熱特性及び、ヒートサイクル特性を改善した、接合構造体に関する。
リードフレームを用いたディスクリート半導体(TO−3P、TO−220等)に代表される、比較的小型の半導体部品においては、放熱性を向上させるために、Cuまたは、Cu合金を主成分とした厚み1mm程度の放熱板がエポキシモールドにより一体化成型されている。この放熱板の一方の面には、半導体チップ部品がはんだ付けにより実装されている。このため放熱板は、電位を持つが、放熱性を向上させるため非絶縁の状態でヒートシンクに取り付けされるのが一般的である。
感電に対する安全性等を考慮し、絶縁したい用途向けには、これら表面に露出している通電個所全体及び、ヒートシンクへの取り付け穴も含め、エポキシや、ポリイミド系の絶縁材料を皮膜形成する処理がなされた絶縁方法もある。
IGBTやMOSFETに代表される、比較的大型のパワー半導体モジュールにおいては、高電圧の絶縁機能と、半導体素子が発生する熱を効率よく放熱する手段として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び、窒化珪素に代表されるセラミックス基板の両面に金属が接合されたセラミックス回路基板を適用し、安価なCu又は、Cu−Fe合金製の放熱板上にはんだ実装する形態が一般的である。しかし、近年前述のパワー半導体モジュールが、産業用機械から、電鉄や、ハイブリッドカーおよび、燃料電池車等に適用拡大されるにあたって、より高い放熱性とヒートサイクルにおける信頼性の向上が強く求められている。
このようなパワー半導体モジュールの従来構造においては、金属層、セラミックス層、はんだ層及び、放熱板といったそれぞれ、熱膨張率の異なる部材から形成されているため、半導体発熱時に、これに起因する熱応力が発生し、接合層、セラミックス基板及び、はんだ層等へのクラックが発生する場合があった。これらのクラックは、絶縁不良による地絡事故の発生や、熱抵抗の増大により放熱特性が大幅に悪化し、半導体素子の熱破壊を引き起こす。
これらの熱応力に起因する問題点を改善する手段として、軟質金属であるAlを金属板として適用し、セラミックスと金属板の接合部に生じる応力緩和を促す方法や、放熱板に熱膨張率の小さいAl−SiCや、Cu−W、Cu−Moなど複合材を適用する方式が提案されている。これらのモジュールは、従来のものと比較し、熱応力が緩和されることから、ヒートサイクルにおける信頼性が高いものとなっている。特に放熱板に適用されるAl−SiC、Cu−W、Cu−Moといった複合材の熱膨張率は、Cuまたは、Cu−Fe合金(熱膨張率=16〜17ppm/K)に比較して、9〜11ppm/K程度に抑制されており、セラミックス回路基板−放熱板間のはんだ層への応力を低減することができる。
特許3171234号公報 特許3180677号公報
その他の方法として、クラックが発生しやすい、セラミックス回路基板と放熱板間のはんだ層自体が信頼性低下の要因であるとの考え方から、セラミックス回路基板と放熱板をろう付けにより接合する方法も提案されている。
特開平2002−43475号公報
また、接合時に凹凸に形成された治具を用いて、本来反りが発生する方向と反対方向に高い圧力をかけながら、セラミックス回路基板と、放熱板を低温接合する手法も提案されている。
しかし、エポキシや、ポリイミド系の絶縁材料を皮膜形成する絶縁方法では、ヒートシンクと放熱板間に、介在する絶縁材料の熱伝導率が(0.5W/mK以下程度)と低いため、放熱板の放熱特性が低下し、熱抵抗値が非絶縁タイプに比べ数倍以上増大する。更には、絶縁層がモジュール外皮表面で形成されているため、外部応力による、キズやへこみ等による絶縁劣化の可能性もあり、信頼性においても十分ではない。
上述のように、比較的小型の半導体部品においては、絶縁機能及び、放熱性に優れるセラミックス層を放熱板上に形成することが望ましいが、放熱板の一方の面にセラミックスを接合した場合には、その熱膨張差から放熱板のヒートシンクと接する面において、凹の大幅な反りを生じてしまう問題がある。
しかし、軟質金属であるAlを金属板として適用し、セラミックスと金属板の接合部に生じる応力緩和を促す方法や、放熱板に熱膨張率の小さいAl−SiCや、Cu−W、Cu−Moなど複合材を適用する方式では、製造工程が複雑で、回路基板とのはんだ付けや接合においては、特殊な表面処理が必要であるため、Cu又は、Cu−Fe合金に比べ、数倍程度の高価格である。さらに、熱膨張率の小さい材料を複合材として使用しているため、熱伝導率がCu、Cu−Fe合金(350〜400W/mK)とに比べ、150〜250W/mK程度と劣っている。
放熱板の熱伝導率の低下は、熱拡散効果を低減させ、放熱特性を悪化させる。すなわち、高価な放熱板を適用することで、セラミックス回路基板−放熱板間のはんだ層のヒートサイクル信頼性は向上できるものの、放熱特性は従来形態よりも悪化する問題がある。
また、Cu、Al又は、Cu−Fe合金製の放熱板にセラミックス回路基板を接合した場合には両者の熱膨張率の差から、放熱板側裏面に大きな反りを生ずる。この反りは、モジュール製作時には半導体チップ搭載時のはんだボイドの発生の要因となり、モジュールをヒートシンクに取り付けする際には、ヒートシンクとの接触が不十分となり、熱抵抗が増大し放熱特性を大幅に悪化させてしまう。
また、圧力をかけながら、セラミックス回路基板と、放熱板を低温接合する手法では、反り量は、接合されるセラミックス回路基板材料や、放熱板の材質、厚み及び、面積によっても変化し、且つ加圧条件が複雑であることから、実用的ではない。また、各種回路基板と放熱板間に、応力緩和を目的とした中間層を設ける方式においても、十分な反り抑制効果は得られず、中間層が放熱特性を悪化させる。
上記のように、セラミックス回路基板を用いたパワー半導体モジュールにおいても、熱膨張率の小さい放熱板を適用した場合には、ヒートサイクル信頼性の向上ははかれるものの、放熱特性や製造コストの面で十分でない。安価な金属を放熱板に用いて、セラミックス回路基板と放熱板をはんだ層を介在せず、接合する方式においては、熱膨張差に起因する大幅な凹の反りが抑制できない。
上記の課題に対して、本発明では、セラミックスによる十分な絶縁性能を持ち、セラミックス基板と放熱部材の熱膨張差に起因する反りを抑制し、且つ放熱特性の向上を達成することができる、放熱部品及び、これを適用した一体化構造を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記事情に鑑みて、セラミックス基板と放熱板を接合した際の反りを完全に抑制し、放熱特性を向上する方法について、さまざまな構成の放熱部品を製作し、鋭意検討を実施した。この結果、特殊な治具や、複雑な製造工程を使用せず、放熱板と、セラミックス基板の接合体での反りが発生しない、フラットな放熱部品が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明の請求項1に記載の放熱部品は、金属からなる放熱板、または、金属を主成分とする無機化合物を含む複合材からなる放熱板、の両面に、セラミックス部材が接合されている放熱部品である。
かかる発明において、熱拡散効果を有する放熱板の一方の面にセラミックス部材を接合する際に、セラミックス部材の熱膨張率に拘束されない他方の面に発生する伸びを、もう一方のセラミックス部材を他方の面に同時に接合することにより拘束し、接合後の大幅な凹の反りを抑制できることを特徴とする放熱部品である。
放熱部品は、伝達された熱を大気または、冷却水等に放熱するため、一方の面を金属製のヒートシンクに固着し適用される。この際、放熱部品のヒートシンクと接触する面に大きな反りがある場合には、隙間が発生し、接触面積が小さくなってしまう。本放熱部品は、絶縁機能を備えた上で、反りを抑制することにより、放熱部品−ヒートシンク間との熱抵抗を最小に抑制できる。放熱部品のヒートシンクに接する面の理想的な形状としては、その反り量が10μm/cm以下である。更には、放熱部品のネジ締め付け時における、圧接によるヒートシンク面との密着度を考慮し、下に凸の反りを形成するのが好ましい。
また、一般には、セラミックス面はRmax=15μm未満程度に抑制されているが、下面セラミックス面がRmax=15μm以上と極端に粗い場合、ヒートシンクとの密着度を向上させることで放熱性を向上させるために、下面セラミックスのヒートシンクと対面する側に、裏面金属層を形成してもよい。
しかしながら以下の理由から、裏面金属層は配置しない方がより好ましい。
図8に下面セラミックスに接合する裏面金属層を変化させた場合の放熱特性を評価した結果を示す。評価試料の構成は、上から半導体部品であるシリコン半導体,厚み0.4mmのCuの回路金属層,厚み0.25mmの窒化珪素板、厚み3.0mmのCuの放熱板,厚み0.25mmの窒化珪素板、最下面金属層の順である。この最下面金属層の厚みを0.1mm〜1.0mmまで変化させたときの、放熱特性を発熱体を用いて測定し、熱抵抗により評価した。なお、このとき用いた、セラミックスの表面粗さは、Rmax=10μmである。また、熱抵抗はシリコン半導体及び冷却水温度をそれぞれ測定し、発生損失を100Wとして、熱抵抗(℃/W)=((シリコン半導体の温度)−(冷却水の温度))/発生損失(W)より算出した。
裏面金属層厚が増加するにつれ、熱抵抗は小さくなり放熱特性は向上し、回路金属層とほぼ同じ厚みのときに最も低くなり、厚みが0.4mm付近で最も熱抵抗が小さくなるが、金属層がない場合よりは劣る。更に裏面金属層の厚みが増加すると、急激に放熱特性は低下する。この理由は、一般に放熱経路間にある層が介在することにより、熱抵抗が増加するからである。層厚が増加するに伴い、熱の水平方向への拡散効果が得られ熱抵抗は減少する。しかし、反対側の面の回路金属層の厚みを超えると、ヒートシンクに対面する側が下に凹にそるために、接触部分の熱抵抗が急激に増加する。すなわち、第1として裏面金属層の配置による放熱特性の向上が得られない場合がある。
また、裏面金属層を配置すると、回路金属の厚みを例えば1.0mmと大きくとれる場合があるが、厚い金属が接合されているため、表裏の金属層の有無が一致していない個所である回路側外周部や、パターン溝などに、局部的なそりが発生しやすい。すなわち、第2として、裏面側に厚い金属層を設置した場合には、外周部やパターン溝に局部的なそりが発生し、理想的な下に凸のそりが得られない場合がある。
モジュールの裏面は、常に大気に晒されると同時に、Alなどの金属ヒートシンクに接触して設置される。従ってこの面は、異種金属との接触による電食の防止や、無電解Niメッキ等の防錆処置をした方がよい。
すなわち、第3として裏面金属の配置は材料コスト、防錆処置を含めた工数の増加の要因となる。
以上3点の理由から、裏面金属層は配置しない方がより好ましい。」なお、裏面金属層を配置しない場合は、下面のセラミックス部材がヒートシンクに直接接するか、グリスを介して接する。
さらに、これらの放熱板材料はセラミックス部材との接合性の向上、及び防錆等の目的に応じて、メッキ処理や、メタライズ処理を施してもよい。
但し、裏面金属層を配置する場合には、錆による放熱特性の低下を防止するために、裏面金属層の防錆処置をするのが好ましい。
本発明の請求項2に記載の放熱部品は、前記放熱板の主成分が、Cu、Al、Ni、W、Moの金属、または前記金属のうち少なくとも1つを含む合金である請求項1記載の放熱部品である。
かかる発明において、放熱板は、熱伝達及び、熱拡散効果を期待できる材料であれば、特に指定はないが、Cu、Al、Ni、W、およびMoの純金属または、これらの合金を用いると、放熱性、入手性や製造コストにおいて好ましい。
本発明の請求項3に記載の放熱部品は、前記放熱板の主成分が、Cu、Al、Ni、W、Moの金属または前記金属のうち少なくとも1種を含む合金と、セラミックスと、の複合材である請求項1記載の放熱部品である。
かかる発明において、放熱板をCu、Al、Ni、W、Moの金属または、前記金属のうち少なくとも1つを含む合金または焼結体を含み、セラミックスを含む複合材とすることにより、セラミックスと放熱板の熱膨張率差による反りを更に低減し、軽量とすることができる。
本発明の請求項4に記載の放熱部品は、前記複合材における前記セラミックスが、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素、BeO、SiO、CuO、NiOのうち少なくとも1つを含む請求項3記載の放熱部品である。
かかる発明において、前記の複合材におけるセラミックスとは、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素、BeO、SiO、CuO、NiOのいずれかを用いると、放熱板の放熱性および、材料のコストが低いため好ましい。
本発明の請求項5に記載の放熱部品は、前記セラミックス部材のうち少なくとも一方が、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素のいずれかからなる請求項1〜4のいずれかに記載の放熱部品である。
かかる発明において、放熱板の両面に接合されるセラミックスは、少なくとも一方に絶縁機能を有する材料であればよい。窒化珪素を用いると、強度、熱伝導率及び、耐熱性が向上し、窒化アルミニウムを用いると、熱伝導率及び、耐熱性が向上し、酸化アルミニウムを用いると耐熱性が向上することから好ましく、炭化珪素を用いると、放熱板の放熱性が高い。
かかる発明において、同一の熱膨張率であるセラミックス基板を、同一面積で放熱板の両面に接合する際、特に、セラミックスに窒化珪素を用いた場合には、0.62〜1.6倍、窒化アルミニウムを用いた場合には、0.8〜1.28倍、酸化アルミニウムを用いた場合においては、0.78〜1.25倍とすると、放熱部品の反り量を10μm/cm以下に抑制できるため、より好ましい。また、下面セラミックス側を厚くすることで、下に凸の形状が得られ、上面セラミックスを厚くすることで、下に凹の形状となる。
下に凸または、フラットとすることにより、放熱部品とヒートシンク面の接触熱抵抗が低減されるため、この値を1以下とすることが更に好ましい。また、両面のセラミックスの熱膨張率が異なる場合においては、一方のセラミックスより他方のセラミックスを厚くする又は、接合面積を変化させることで、上記同様に任意の反り形状を得ることもできる。
かかる発明において、特に、放熱板がCuで、セラミック部材が窒化珪素では、放熱板の厚みを、放熱板の両面に接合するセラミックス部材の厚みの和の12.5倍以下とすると、ヒートサイクルに対して、高い信頼性が得られるため、より好ましい。
また、セラミックス部材が窒化アルミニウムで、放熱板がCuでは、放熱板の厚みを、放熱板の両面に接合するセラミックス部材の厚みの和の6.25倍以下とすることが好ましい。また、セラミックス部材が窒化珪素で、放熱板がAlでは、放熱板の厚みを、放熱板の両面に接合するセラミックス部材の厚みの和の15以下とすることが好ましい。また、セラミックス部材が窒化アルミニウムで、放熱板がAlでは、放熱板の厚みを、放熱板の両面に接合するセラミックス部材の厚みの和の7.5倍以下とすることが好ましい。また、セラミックス部材が酸化アルミニウムで、放熱板がCuでは、放熱板の厚みを、放熱板の両面に接合するセラミックス部材の厚みの和の10倍以下とすることが好ましい。更に、セラミックス部材が酸化アルミニウムで、放熱板がAlでは、放熱板の厚みを、放熱板の両面に接合するセラミックス部材の厚みの和の12倍以下とすることが好ましい。
本発明の請求項6に記載の放熱部品は、少なくとも一方の前記セラミックス部材の厚みが0.15mm以上1mm以下であり、放熱板の厚みが1mm以上、6mm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の放熱部品である。
かかる発明において、少なくとも一方のセラミックス部材の厚みは、0.15mm以上1mm以下である。セラミックス部材の厚みが0.15mm以上であると、その製造工程において、反りの発生を抑制でき、且つ、放熱部品への適用において締め付けに対する抗折強度が十分に確保できるため、好ましい。また、セラミックス部材の厚みが1mm以下であると、熱抵抗が小さく抑えられ、放熱性の高い放熱部品が得られるため、好ましい。
また、放熱板の厚みとしては、1mm以上6mm以下とする。放熱板の厚みが、1mm以上あると、剛性が確保されるため、締め付け等の外部応力による、反りが抑制され、放熱板の厚みが、6mm以下であるとモジュール全体の厚み、重量を最小限とすることができ、放熱特性を十分に発揮させることができるためである。
本発明の請求項7に記載の放熱部品は、前記放熱板の、半導体部品が実装されている側に接合される前記セラミックス部材である、上面セラミックス部材の熱伝導率をλ、厚みをDとし、前記放熱板の、上面セラミックス部材との接合面と反対の面に接合されている前記セラミックス部材である、下面セラミックス部材の熱伝導率をλ、厚みをDとすると、前記上面セラミックスの熱通過率(λ/D)は、前記下面セラミックスの熱通過率(λ/D)以上である請求項1〜6のいずれかに記載の放熱部品である。
本発明において、熱通過率をセラミックス部材の熱伝導率/セラミックス部材の厚みとするとき、上面セラミックス部材においては、熱通過率の増加とともに、放熱特性が大幅に向上する。一方、下面セラミックス部材においては、熱通過率の増加に伴い、放熱特性は多少向上するものの、改善量は小さい。このことから、発熱部設置側すなわち、上面セラミックス部材に熱通過率の大きなセラミックスを配置することにより、より高い放熱特性が得られるため好ましい。
本発明の請求項8に記載の放熱部品は、ヒートシンクへの取り付け用の穴もしくは切り欠き部を形成した請求項1〜7のいずれかに記載の放熱部品である。
かかる発明において、本発明の放熱部品にヒートシンクへの取り付け穴または、切り欠き部を形成することにより、放熱部品を直接ヒートシンクに固定するため、放熱部品の周囲にエポキシ等のモールドによる構成部分を設け、その1部分に取り付け穴を形成する場合に比べて、直接放熱部品を押さえつけることができるため、ヒートシンクへのより高い密着度が得られ、好ましい。
本発明の請求項9に記載の回路基板は、請求項1〜8のいずれかに記載されている放熱部品の、少なくとも一方の前記セラミックス部材の表面に、金属を主成分とする、回路層を有する回路基板である。
かかる発明において、本発明の回路基板の少なくとも一方に形成される、回路層は他の部材、例えば半導体部品の実装するための層、または/および回路としての層、として機能する。これらの回路層は、電気伝導及び、電極取り出しを可能する材料であれば、特に材料の指定はない。また、回路層は、メタライズまたは金属板の接合により形成することができる。
また、接合により回路層を形成する場合には、セラミックスと金属板の間に、ヒートサイクル負荷による応力を緩和するための層をさらに設けてもよい。
かかる発明において、回路層に特にCu板を用いた場合には、回路層を放熱板厚の0.25倍以下に、回路層にAlを用いた場合には0.3倍以下とすることで、回路層と、セラミックス基板の接合強度が確保され、25℃、125℃における反り量が10μm/cm未満、450℃における反り量が50μm/15mm未満に抑制できるため、好ましい。
かかる発明において、特に回路層にCuを用いた場合は、回路層の厚みを0.8mm以下、回路層にAlを用いた場合は、回路層の厚みを1.0mm以下とすることにより、放熱性が高く、更に好ましい。
本発明の請求項10に記載の回路基板は、前記回路層が、Cu、Al、W、Ni,Moの金属もしくは、前記金属の合金または焼結体、を含む請求項9に記載の回路基板である。
かかる発明において、回路層が、Cu、Al、Ni、W、Moの金属もしくは、これらの金属の合金または焼結体を用いると、電気伝導率及び、熱伝導率が高いため好ましい。これらの回路層は、メタライズ処理により形成することもできる。これらの層には用途に応じて、メッキ処理等を施してもよい。
本発明の請求項11に記載の回路基板は、前記回路層が、Cu、Al、W、Ni,Moもしくは、それらの合金または焼結体、をガラス中に分散させたガラスメタライズである請求項9〜10のいずれかに記載の回路基板である。
かかる発明において、回路層が、Cu、Al、Ni、W、Moの金属もしくは、これらの金属の合金または焼結体を用いると、回路層の熱伝導率が高く且つ、電気抵抗が小さいため、好ましい。
本発明の請求項12に記載の回路基板は、ヒートシンクへの取り付け穴もしくは、切り欠き部を形成した請求項9〜11のいずれかに記載の回路基板である。
かかる発明において、本発明の回路基板にヒートシンクへの取り付け穴または切り欠き部を形成することにより、回路基板を直接ヒートシンクに固定するため、回路基板の周囲にエポキシ等のモールドによる構成部分を設け、その一部分に取り付け穴を形成する場合に対して、直接回路基板を押さえつけることにより、ヒートシンクへのより高い密着度が得られ、好ましい。
また、放熱性向上の手段として、ヒートシンクとの密着度を向上させるため、下面セラミックスのヒートシンクと対面する側に、裏面金属層を形成してもよいが、裏面金属層は配置しない方がより好ましい。
さらに、これらの放熱板材料はセラミックス部材との接合性の向上、及び防錆等の目的に応じて、メッキ処理や、メタライズ処理を施してもよい。
但し、裏面金属層を配置する場合には、錆による放熱特性の低下を防止するために、裏面金属層の防錆処置をするのが好ましい。
本発明の請求項13に記載の回路基板は、請求項1〜8の放熱部品または、請求項9〜12の回路基板の表面に半導体部品を搭載した半導体装置である。
かかる発明においては、本発明の放熱部品または回路基板に、半導体部品を搭載することにより、高い熱伝導率と、ヒートサイクルに対する、信頼性とを同時に実現する。そのため、放熱特性が高く、ヒートサイクルに対して、クラックが発生しづらく、好ましい。
本発明に係わる放熱部品は、放熱特性改善と信頼性の向上を、複雑な製造工程を用いず、実現することができる。また、この放熱部材は、鉛フリー化,製造工程におけるボイドの発生及び、熱応力によるクラック発生等で問題となる、セラミックス基板−放熱板間のはんだ層を削除できる。さらに、この放熱部品は絶縁機能が付加されているため、回路層を表面に形成するのみで、絶縁基板と放熱板一体構造として適用でき、高い放熱特性とヒートサイクル信頼性が同時に実現できる。
本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
(放熱部品)
本発明の放熱部品の形態を図1に示す。本発明の放熱部品1は金属または金属を主成分とする放熱板4と、放熱板4の上面に接合される上面セラミックス部材3と、放熱板下面に接合される下面セラミックス部材5とで構成されている。なお、上面セラミックス3の上面には、発熱性の半導体部品2が配置され、この面を放熱部品1の上面とする。また、下面セラミックス部材5は、ヒートシンク6に接した状態で設置される。
本発明の放熱部品は、上面セラミックス部材3および/または下面セラミックス部材5で電気的絶縁を保持した上で、発熱性の半導体部品が発生する熱を上面セラミックス部材3、放熱板4、および下面セラミックス部材5を介してヒートシンク6に伝え、放熱を行う。
以下に、本発明の放熱部品の製造方法の1例を示す。
本発明の実施例において、放熱板に接合する上面セラミックス部材3および下面セラミックス部材5は、窒化珪素(熱伝導率:60W/mK、3点曲げ強さ:650MPa、破壊靭性値:6.5MPa・m1/2、熱膨張率:3.5ppm/℃、厚み:0.32mm)とし、放熱板4は、Cu(厚み:3mm)とする。
第1に、上面セラミックス3および下面セラミックス5の放熱板への接着面に、ろう材としてCu−Sn系活性金属ペーストをスクリーン印刷を用いて塗布し、乾燥させる。
第2に、下面セラミックス5の印刷面上に、放熱板4を配置し、上面セラミックス3のペースト印刷側を放熱板4に密着した状態で積層配置する。
第3に上面セラミックス3と下面セラミックス5を平板で挟み、500g〜1kgのウエイトをかける。この状態で、10−4torr台の真空雰囲気において1000℃で1時間加熱し接合後、冷却することにより、放熱部品とする。
また、放熱部品への取り付け穴または、切り欠き部を形成する場合には、あらかじめ穴または、切り欠き部を形成した、セラミックス部材および放熱板を準備し、穴または、切り欠き部を基準位置として位置合わせし、上記条件で接合することにより、放熱部品を得ることができる。ただし、接合により、セラミックス部材と放熱板の熱膨張差に起因して位置ずれ等が発生する場合においては、セラミックス部材のみに穴または、切り欠き部を形成したものを使用し、接合後に放熱板に穴または切りかき部を形成してもよい。
(下面セラミックスの有無)
表1に示す材質、厚みを有する、上面セラミックス3、放熱板4、下面セラミックス5、および表1に示すろう材を用いて、上記と同様の製造方法により、実施例1〜7を製造する。なお、窒化珪素は、熱伝導率:60W/mK、3点曲げ強さ:650MPa、破壊靭性値:6.5MPa・m1/2、熱膨張率:3.5ppm/℃であり、窒化アルミニウムは、熱伝導率:180W/mK、3点曲げ強さ:400MPa、破壊靭性値:3MPa・m1/2、熱膨張率:4.1ppm/℃であり、酸化アルミニウムは、熱伝導率:25W/mK、3点曲げ強さ:350MPa、破壊靭性値:4.5MPa・m1/2、熱膨張率:7.4ppm/℃である。
また、本実施例に用いた放熱板材料としてのAl合金はJIS5052であり、ろう材は、Cu板との接合には、Cu−Sn系活性金属ペーストを用いており、Alまたは、Al合金との接合においては、Al−Si系ろう材を用いた。また、焼成条件に関しては、Cu板との接合には、1000℃、1時間であり、Alまたは、Al合金との接合においては、610℃、1時間とした。
ただし、窒化珪素とAlまたは、Al合金との接合においては、窒化珪素基板の表面上にTi、Mo、Niの順に各100nmの層を形成した上でろう材を用いて接合した。
比較例1は、下面セラミックス部材5を配置しない状態で、上面セラミックス部材3として窒化珪素基板、および放熱板4としてCu板を接合したものである。
表1の実施例1〜7においては、いずれの材料を用いたケースにおいても、目視上の反りはない。比較例1においては、放熱板裏面に、過大で、ヒートシンクへの設置時に熱抵抗を大幅に悪化させる凹の反りが発生した。本発明の放熱部品では、放熱板の両面の熱膨張をセラミックスで拘束するため、フラットな放熱部品が得られた。
(セラミックス部材の厚み比)
本発明品における反りは、放熱部品の両面に接合されるセラミックス部材の拘束力に依存して変化する。このことから、両面に接合するセラミックス部材厚の比(=上面セラミックス部材3厚み/下面セラミックス部材5の厚み)に対する、接合、冷却後における放熱部品の反り形状と反り量を表2に示した。なお、反り量の測定は、レーザ式表面変位計により図7における、面全体の変位を測定し、面全体の変位/取り付けピッチ間の距離とした。
市販の半導体モジュールに適用される空冷または、水冷用のヒートシンクは、放熱板裏面と、ヒートシンク表面の接触熱抵抗を抑制するため、取り付けピッチ間(90mm)に対し、反りが100μm以下程度であることが要求されている。本発明品においても反り量をこの値以下にする必要があるため、10μm/cmを限度値とした。
実施例8〜17は、厚みが3mmのCu板と、窒化珪素製の上面セラミックス部材3の厚みを0.32mmに規定し、下面セラミックス部材5側の厚みをそれぞれ変化させたものを接合した放熱部品である。実施例18〜21は、上面セラミックス部材3の厚みを0.25mmで規定し、同様に下面セラミックス5の厚みを変化させたものである。実施例22〜30は、厚みが3mmのCu板と、窒化アルミニウム製の上面セラミックス部材3の厚みを0.64mmに規定し、下面セラミックス部材5側の厚みをそれぞれ変化させたものを接合した放熱部品である。実施例31〜37は、厚みが3mmのCu板と、酸化アルミニウム製の上面セラミックス部材3側の厚みを0.25mmに規定し、下面セラミックス部材5側の厚みをそれぞれ変化させたものを接合した放熱部品である。
表2の結果より、セラミックス部材の厚みの上下比を以下のようにすることで、室温(25℃)における反りを10μm/cm未満に抑制することができる。セラミックス部材の厚みは、セラミックス部材に窒化珪素を用いた場合には、0.62以上1.6以下、窒化アルミニウムを用いた場合には、0.8以上1.28以下、酸化アルミニウムを用いた場合においては、0.78以上1.25以下とすると好ましい。また、下面セラミックス部材5側を厚くすることで、下に凸の形状が得られ、上面セラミックス部材3を厚くすることで、下に凹の形状となる。
下に凸とすることにより、放熱部品とヒートシンク面の接触熱抵抗が低減されることから、セラミックス部材の厚みの比を1以下とすることが更に好ましい。また、接合する異なる熱膨張率のセラミックスを適用したり、セラミックスと放熱板の接合面積を制御することによっても、同様に任意の反り形状が得られる。
(セラミックス部材の厚み)
放熱板を厚くすることは、熱拡散効果を有効に得る点では有利であるが、セラミックスとの接合界面における熱膨張差に起因する応力を増大させ、セラミックスとの界面付近にクラックを発生させる可能性がある。セラミックスを厚くすることで、その強度をあげクラックの発生を抑制することが可能となる。
表3にセラミックス部材の厚みと、放熱板の厚みとの比に対する、熱衝撃に対する信頼性をヒートサイクル試験を示した。ヒートサイクル試験は、−40℃〜25〜125〜25℃を1サイクルとし、各温度において、30分間保持した後,加熱または、冷却を繰り返す。500サイクル実施毎に、蛍光探傷検査によりクラック発生の有無を調査した。
表3に示す実施例38〜67は、放熱板としてCu板(厚み5mm)とAl(厚み6mm)を適用した。比較例は、窒化アルミニウム基板の両面に金属板としてCuを用いて、回路基板を製作したものである。この基板では、ヒートサイクル試験の結果、500サイクル未満でクラックが発生している。一方、本発明の放熱部品は、1000サイクル以上の信頼性が得られ、好ましい。
特に、セラミックス部材に窒化珪素を適用し、放熱板にCuを適用した場合では、放熱板厚みを、セラミックス部材の厚みの和の12.5倍以下、とすることが望ましく、放熱板にAlを適用した場合では15倍以下、とすることが望ましい。セラミックス部材として、窒化アルミニウムを適用した場合、Cu放熱板との組み合わせでは、6.25倍以下、Al放熱板の組み合わせでは、7.50倍以下が望ましい。更に、酸化アルミニウムをセラミックス部材として適用した場合には、Cu放熱板との組み合わせにおいては、10倍以下、Al放熱板の組み合わせでは、12倍以下が望ましい。以上の条件とすると、3000サイクル以上の高い信頼性が得られる。
厚みが1、3、5、6mmのCu放熱板を準備し、厚み0.32mmの窒化珪素基板を放熱板の両面に接合し、実施例68〜72とした。そして、放熱部品の一方の面にTi、Mo、Niの順に各100nmの層を形成した。
この表面に市販のシリコン半導体をはんだつけし、半導体モジュールとした。この半導体モジュールをAl製の水冷ヒートシンク上に、シリコーングリースを介して固定した。この状態で、室温中(25℃)でシリコン半導体で100Wの損失を発生させたときの、シリコン半導体の温度を図4に示す。
図4において、放熱板が厚くなるほど、チップ温度は低下し、放熱特性は向上するが、6mm付近では飽和傾向を示した。また、放熱板が厚くなると、モジュール全体が大型化し、重くなることから、放熱板の厚みは6mm以下が好ましい。
厚み3mmのCu製の放熱板を準備し、厚みが0.4、0.64、0.8、1.0、1.2mmの窒化アルミニウム基板を両面同じ厚みで、放熱板に接合し実施例73〜77を制作した。上述の評価と同様に放熱特性を図5に示す。
図5において、セラミックス部材が厚くなるとともに、半導体中心部の温度は、ほぼ厚みに比例して上昇していく。セラミックス部材の厚みの増加とともに、放熱特性は悪化し、且つ原材料費や加工費も増加することから、セラミックス部材の厚みは1mm以下が好ましい。
(セラ部材の熱透過率)
上面セラミックス部材3として窒化珪素基板(厚み:0.32、0.25mm)または酸化アルミニウム基板(厚み:0.5、0.25mm)と、放熱板4としてCu(厚み:3mm)と、下面セラミックス部材5として窒化珪素基板(厚み:0.32mm)と、を用いて実施例78〜81を製作し、上面セラミックス部材3の上面に金属蒸着処理を施した。
金属蒸着は、上面セラミックス部材3表面上にTi、Mo、Niの順に各100nmの層を形成した。
次に、上面セラミックス部材3として窒化珪素基板(厚み:0.32mm)と、放熱板4としてCu(厚み:3mm)と、下面セラミックス部材5として窒化珪素基板(厚み:0.32、0.25mm)または酸化アルミニウム基板(厚み:0.5、0.25mm)と、を用いて、実施例82〜85を製作し、上記と同様にセラミックス表面に金属蒸着処理を施した。
実施例78〜85の放熱部品に対し、熱通過率(=熱伝導率/セラミックス部材厚み)に対する、放熱特性評価を表4および図6に示す。
図6より、半導体部品設置側すなわち、上面セラミックス部材3側に熱通過率の大きなセラミックスを配置することにより、下面セラミックス部材5側に熱通過率の大きなセラミックスを配置するよりも、放熱特性がより向上することが明らかである。
(回路基板)
次に、本発明の回路基板の形態の例を図2に示す。本発明の回路基板は、金属または金属を主成分とする放熱板4と、放熱板4の上面に接合される上面セラミックス部材3と、放熱板4の下面に接合される下面セラミックス部材5と、上面セラミックス部材3の上面に形成される金属を主成分とする回路層11と、で構成される。この回路層11の上面には、発熱性の半導体部品2が配置され、この面を回路基板の上面とする。また、下面セラミックス部材5には、ヒートシンク6に接した状態で設置される。
本発明の回路基板10は、上面セラミックス部材3および/または下面セラミックス部材5で電気的絶縁を保持した上で、発熱性の半導体部品10が発生する熱を上面セラミックス部材3、下面セラミックス部材5、および放熱板4を介してヒートシンク6に伝え、放熱を行う。また、回路層11は、上面セラミックス部材3と半導体部品2を接続する機能、上面セラミックス部材3上で回路としてふるまう機能のうち、いずれかおよび両方の機能を有する。
以下に、本発明の回路基板の製造方法の1例を示す。本発明の実施例において、放熱板に接合する上面セラミックス部材3および下面セラミックス部材5は、窒化珪素(熱伝導率:60W/mK、3点曲げ強さ:650MPa、破壊靭性値:6.5MPa・m1/2、熱膨張率:3.5ppm/℃、厚み:0.32)とし、放熱板4は、Cu(厚み:4mm)とし、回路層11は、Cu(厚み:0.3〜1.5mm)とした。
第1に、上面セラミックス3および下面セラミックス5の放熱板への接着面に、Cu−Sn系活性金属ペーストをスクリーン印刷を用いて塗布し、乾燥させる。
第2に、下面セラミックス5の印刷面上に、放熱板4を配置し、上面セラミックス3のペースト印刷側を放熱板4に密着させ、上面セラミックス3の上面に回路層11を積層配置する。
第3に上面セラミックス3と下面セラミックス5を平板で挟み、500g〜1kgのウエイトをかける。この状態で、10−4torr台の真空雰囲気において1000℃で1時間加熱し接合後、冷却する。
第4に回路層表面に露光硬化型のエッチングレジストとして、アルカリ現像用感光性フィルムを表面に形成し、露光現像した後、塩化第2鉄溶液を用いて、エッチング処理にて所望の回路パターンを形成し、実施例86〜91の回路基板とする。
また、回路基板への取り付け穴または、切り欠き部を形成する場合には、あらかじめ、穴または切り欠き部を形成した、セラミックス部材、放熱板、および回路層となる金属板を準備し、穴または、切り欠き部を基準位置として位置合わせし、上記条件で接合することにより、製作することができる。ただし、接合により、セラミックスと放熱板の熱膨張差に起因して位置ずれ等が発生する場合においては、セラミックスのみに穴または切り欠き部を形成したものを使用し、放熱板または、回路層には接合後に、穴または切りかき部を形成する方法をとっても良い。ただし、回路層に穴、切り欠き部がない場合は、回路層について特に考慮する必要はない。
更に、本発明の回路基板の製造方法の別の1例を示す。
本発明の実施例において、放熱板に接合する上面セラミックス部材3および下面セラミックス部材5は、窒化アルミニウム(熱伝導率:180W/mK、3点曲げ強さ:400MPa、破壊靭性値:3MPa・m1/2、熱膨張率:4.1ppm/℃、厚み:0.64)とし、放熱板4は、Al(厚み:4mm)とし、回路層11は、Al(厚み:0.3〜1.5mm)とした。
第1に、上面セラミックス3および下面セラミックス5の放熱板への接着面に、Al−Si系ろう材をスクリーン印刷を用いて塗布し、乾燥させる。
第2に、下面セラミックス5の印刷面上に、放熱板4を配置し、上面セラミックス3のペースト印刷側を放熱板4に密着させ、上面セラミックス3の上面に回路層11を積層配置する。
第3に上面セラミックス3と下面セラミックス5を平板で挟み、500g〜1kgのウエイトをかける。この状態で、10−4torr台の真空雰囲気において600〜630で30分間加熱し接合後、冷却する。
第4に回路金属層表面に露光硬化型のエッチングレジストであるアルカリ現像形感光性フィルムを表面に形成し、露光現像した後、塩化第2鉄溶液を用いて、エッチング処理にて所望の回路パターンを形成し、実施例92〜97の回路基板とする。
また、回路基板への取り付け穴または、切り欠き部を形成する場合には、あらかじめ、穴または切り欠き部を形成した、セラミックス部材、放熱板、および回路層となる金属板を準備し、穴または、切り欠き部を基準位置として位置合わせし、上記条件で接合することにより、製作することができる。ただし、接合により、セラミックスと放熱板の熱膨張差に起因して位置ずれ等が発生する場合においては、セラミックスのみに穴または切り欠き部を形成したものを使用し、放熱板または、回路層には接合後に、穴または切りかき部を形成する方法をとっても良い。ただし、回路層に穴、切り欠き部がない場合は、回路層について特に考慮する必要はない。
(回路層の厚み)
それぞれ、回路層の厚みが異なる回路基板に対して、25℃〜125℃においては、10μm/cmを限度値として評価した。回路金属層には、はんだ付けにより半導体部品が搭載されるが半導体部品の接合時、短時間ではあるが、450℃の雰囲気に晒される。この温度における反りが、設計上のはんだ厚(80〜120μm)を超えてしまうとはんだ層にボイドが発生するとともに、均一な厚みが得られず、信頼性が低下する。従って、半導体チップ実装面積を15mm角とし、この長さにおける回路金属面の反りの許容値をはんだ層厚のおよそ半分の50μmとした。さらに、これらの試料に対し、ヒートサイクル試験を実施し、500サイクル毎に精密超音波探傷装置を用いて回路層の界面剥離の有無を評価した結果を表5に示す。
回路層の厚みT4の放熱板の厚みにT3に対する比において、回路層の厚みを放熱板の厚みに対して以下の厚みとすることにより、25℃、125℃における反り量が10μm/cm未満、450℃における反り量が50μm/15mm未満に抑制できる。回路層に、Cuを用いた場合には0.25倍以下、Al又はAl合金の場合には0.30倍以下が望ましい。
更に、ヒートサイクル試験の結果から、回路板としてCuを用いた場合には、0.8mm以下、回路基板にAlを用いた場合には、1.0mm以下とすると、3000サイクルを超えても回路金属層の界面剥離が発生せず、高い信頼性が得られ、更に望ましい。
(従来製品とのちがい)
本発明品と図3に示す従来構造品の放熱特性比較試験を実施した。実施例98は、セラミックス部材1、2として、窒化珪素(厚み:0.25mm)、放熱板としてCu(厚み:3mm)及び、回路層として、Cu(厚み:0.4mm)を用いて接合体を作成した後、回路層表面に露光硬化型のエッチングレジストを施し、エッチング処理にて所望の回路パターンを形成し、回路基板を得た。更に、従来構造の比較例として、図3および表6中の比較例3〜5に示す回路基板を製作した。
具体的には、第1に、上面セラミックス部材の両面にCu-Sn系の活性金属ろう材をスクリーン印刷する。その後、上面セラミックス部材の片面側に回路層となる金属板を、他面側には金属層となる金属板を接着し、平板ではさんだ状態で、ウエイトをかけ800〜1000℃程度で接合し接合体を得る。
第2に、接合体の回路層側に、露光型レジストを必要なパターン形状で焼き付け、現像をする。塩化第2鉄溶液を用いてエッチングをした。
第3に、接合体の金属層表面にCu(厚み:3mm)の放熱板をPb−Sn系はんだを用いて取り付けした。上記配線基板及び、比較例についてシリコン半導体をはんだ付けし、モジュールを形成し、水冷ヒートシンク上に熱伝導性グリースを介在させ、取り付けした。シリコン半導体で、100Wの損失を発生させた際の、シリコン半導体の温度を評価した結果、本願発明の回路基板はいずれの基板を用いた従来構造の回路基板よりも、高い放熱特性が得られる。
なお、本発明は以下の実施の形態によって限定されるものではなく、本発明の範囲内で構成および製造方法は、適宜選択可能である。
たとえば、本発明の実施例においては、金属材料としてCuを用いたが、酸素の含有率が一定以下の割合である、無酸素Cuまたはタフピッチでもよい。
本発明の1例における放熱部品の側面図である。 本発明の1例における回路基板の側面図である。 従来製品の回路基板の側面図である。 本発明の1例における放熱部品における放熱板の厚みとシリコン半導体の温度の関係を示すグラフである。 本発明の1例における放熱部品におけるセラミックス部材の厚みとシリコン半導体の温度の関係を示すグラフである。 本発明の1例における放熱部品におけるセラミックス部材の熱透過率とシリコン半導体の温度の関係を示すグラフである。 反り量の測定方法を示す図である。 本発明の1例における半導体装置における裏面金属層厚と熱抵抗との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 放熱部品
2 半導体部品
3 上面セラミックス部材
4 放熱板
5 下面セラミックス部材
6 ヒートシンク
10 回路基板
11 回路層
20 従来の回路基板

Claims (13)

  1. 金属からなる放熱板、または、金属を主成分とする無機化合物を含む複合材からなる放熱板、の両面に、セラミックス部材が接合されている放熱部品。
  2. 前記放熱板の主成分が、Cu、Al、Ni、W、Moの金属、または前記金属のうち少なくとも1つを含む合金である請求項1記載の放熱部品。
  3. 前記放熱板の主成分が、Cu、Al、Ni、W、Moの金属または前記金属のうち少なくとも1種を含む合金と、セラミックスと、の複合材である請求項1記載の放熱部品。
  4. 前記複合材における前記セラミックスが、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素、BeO、SiO、CuO、NiOのうち少なくとも1つを含む請求項3記載の放熱部品。
  5. 前記セラミックス部材のうち少なくとも一方が、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素のいずれかからなる請求項1〜4のいずれかに記載の放熱部品。
  6. 少なくとも一方の前記セラミックス部材の厚みが0.15mm以上1mm以下であり、放熱板の厚みが1mm以上、6mm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の放熱部品。
  7. 前記放熱板の、半導体部品が実装される側に接合されている前記セラミックス部材である、上面セラミックス部材の熱伝導率をλ、厚みをDとし、前記放熱板の、上面セラミックス部材との接合面と反対の面に接合されている前記セラミックス部材である、下面セラミックス部材の熱伝導率をλ、厚みをDとすると、前記上面セラミックスの熱通過率(λ/D)は、前記下面セラミックスの熱通過率(λ/D)以上である請求項1〜6のいずれかに記載の放熱部品。
  8. ヒートシンクへの取り付け用の穴もしくは切り欠き部を形成した請求項1〜7のいずれかに記載の放熱部品。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載されている放熱部品の、少なくとも一方の前記セラミックス部材の表面に、金属を主成分とする、回路層を有する回路基板。
  10. 前記回路層が、Cu、Al、W、Ni,Moの金属もしくは、前記金属の合金または焼結体、を含む請求項9に記載の回路基板。
  11. 前記回路層が、Cu、Al、W、Ni,Moもしくは、それらの合金または焼結体、をガラス中に分散させたガラスメタライズである請求項9〜10のいずれかに記載の回路基板。
  12. ヒートシンクへの取り付け穴もしくは、切り欠き部を形成した請求項9〜11のいずれかに記載の回路基板。
  13. 請求項1〜8の放熱部品または、請求項9〜12の回路基板の表面に半導体部品を搭載した半導体装置。
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