JP3354140B2 - 衛生陶器 - Google Patents

衛生陶器

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JP3354140B2
JP3354140B2 JP2000588097A JP2000588097A JP3354140B2 JP 3354140 B2 JP3354140 B2 JP 3354140B2 JP 2000588097 A JP2000588097 A JP 2000588097A JP 2000588097 A JP2000588097 A JP 2000588097A JP 3354140 B2 JP3354140 B2 JP 3354140B2
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川 信 早
浩 一 林
藤 正 美 安
藤 正 昭 伊
木 智 康 一
橋 弘 孝 石
田 光 義 町
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東陶機器株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の背景] 発明の分野 本発明は、大便器、小便器、便器のサナ、便器タン
ク、洗面台の洗面器、手洗い器等の衛生陶器に関する。
背景技術 衛生陶器の表面が美観を有し、かつ清浄であることは
衛生上および美観上重要である。さらにそのような状態
が長期にわたり保たれることは好ましいことである。
衛生陶器表面を衛生的に清浄に保ち、美観を保つため
に、界面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワシやブラ
シに付けて強く衛生陶器表面をこすることが行われてい
る。すなわち、洗剤による化学的洗浄力およびタワシや
ブラシでこすることによる物理的洗浄力により、表面の
汚れを除去する。
しかしながら、このような洗浄作業は軽労働とは言い
難く、その頻度は低いことが望まれる。さらに、近年、
界面活性剤が含有される排水による環境汚染が指摘され
ていることから、界面活性剤の使用もその量および頻度
において低いことが望ましい。
このような状況に鑑み、衛生上および美観上に優れた
表面を有する衛生陶器の提案もいくつかなされている。
例えば、衛生陶器表面にフッ素樹脂またはフルオロア
ルキル基を含有するシロキサン樹脂を被覆して、表面エ
ネルギーを低下させ、汚れが付着しにくい表面とする方
法が提案されている。
また、表面をできるだけ滑らかにすることにより汚れ
の衛生陶器表面への強固な付着を防止しようとする方法
が提案されている。しかし、表面の状態と、汚れの付着
のし難さ、耐久性、光沢の程度との関係については従来
充分な検討はされておらず、平滑表面であれば汚れが付
きにくく、美観上好ましいという程度の概念的な認識の
もと、平滑な表面を有する衛生陶器が提案されてきたに
すぎない。
さらに、表面の抗菌性と関連して、表面釉薬層を改良
した技術としては次のものが知られている。
特開平10−236846号公報には、無機系抗菌剤
を配合してなる透明釉薬層を、通常の色釉薬の上に焼成
前に施釉すると共に、色釉薬と透明釉薬とを焼成して得
られた陶磁器製品が開示されている。
WO96/23412号公報には、抗菌性部材表面に
形成する釉薬層のベース釉薬として、水と、釉薬基材
と、顔料とを混合・粉砕してベース釉薬とし、このベー
ス釉薬に、抗菌性金属を担持した耐熱性粉体を混合し、
その後バインダーを混合したものを用いる技術が開示さ
れている。
[発明の概要] 本発明の目的は、衛生陶器表面の汚れを、例えば流水
程度で簡単に除去できるようにした衛生陶器を提供する
ことにある。
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので
あり、その第一の態様による衛生陶器は、陶器素地と、
その最外層としての最外層釉薬層とを少なくとも有して
なる衛生陶器であって、原子価が1価の金属成分および
/またはポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属
成分(以下、洗浄性金属成分という)が、付着汚れに対
するセルフクリーニング機能を前記最外層釉薬層表面に
与えるのに十分な量、前記最外層釉薬層表面の全面にわ
たって均一かつ連続的に放出可能にされてなり、前記金
属成分が、前記最外層釉薬層および/または陶器素地か
ら前記最外層釉薬層表面の全面に供給され得るものであ
る。
また、本発明の第二の態様による衛生陶器は、前記最
外層釉薬層が、透明性の釉薬層であり、前記陶器素地と
前記最外層釉薬層との間に、着色性の中間層釉薬層をさ
らに有してなるものである。
さらに、本発明の第三の態様による衛生陶器は、前記
陶器素地と前記最外層釉薬層との間に、前記金属成分を
主成分として含有する金属成分層をさらに有してなり、
前記金属成分が、前記金属成分層から前記最外層釉薬層
表面の全面に供給され得るものである。
また、本発明の第四の態様による衛生陶器は、前記最
外層釉薬層が、透明性の釉薬層であり、前記陶器素地と
前記最外層釉薬層との間に、前記陶器素地側に形成され
る着色性の中間層釉薬層と、前記最外層釉薬層側に形成
される前記金属成分を主成分として含有する金属成分層
とをさらに有してなり、前記金属成分が、前記金属成分
層から前記最外層釉薬層表面の全面に供給され得るもの
である。
そして、本発明の第五の態様による衛生陶器は、前記
最外層釉薬層が、透明性の釉薬層であり、前記陶器素地
と前記最外層釉薬層との間に、前記陶器素地側に形成さ
れる前記金属成分を主成分として含有する金属成分層
と、前記最外層釉薬層側に形成される着色性の中間層釉
薬層とをさらに有してなり、前記金属成分が、前記金属
成分層から前記最外層釉薬層表面の全面に供給され得る
ものである。
[図面の簡単な説明] 図1は、衛生陶器の最外層表面における洗浄性金属成
分の分布状態を模式的に示す図である。
図2は、汚れ分子にアルカリ金属成分が吸着・置換さ
れ、水溶性化される状態を示す図である。
図3は、衛生陶器表面に水和層ができる状態を示す図
である。
図4は、本発明の第一の態様における層構成を示す図
である。図中、1は陶器素地を、2は最外層釉薬層を示
す(以下、図8まで同じ)。
図5は、本発明の第二の態様における層構成を示す図
である。図中、3は中間層釉薬層を示す(以下、図8ま
で同じ)。
図6は、本発明の第三の態様における層構成を示す図
である。図中、4は金属成分層を示す(以下、図8まで
同じ)。
図7は、本発明の第四の態様における層構成を示す図
である。
図8は、本発明の第五の態様における層構成を示す図
である。
図9は、本発明に係わる衛生陶器(実施例C1)にお
ける釉薬層表面の電子プローブマイクロアナライザー
(日本電子製、JXA8900RL)により測定した反
射電子組成像およびマッピング像である。(a)はKの
分布を示すものであり白い部分ほどKの濃度が高い。
(b)はNaの分布を示すものであり、白い部分ほどN
aの濃度が高い。(c)は反射電子組成像であり、白い
部分にZrO2が存在している。
図10は、従来の衛生陶器(比較例C1)における釉
薬層表面の電子プローブマイクロアナライザー(日本電
子製、JXA8900RL)により測定した反射電子組
成像およびマッピング像である。(a)はKの分布を示
すものであり白い部分ほどKの濃度が高い。(b)はN
aの分布を示すものであり、白い部分ほどNaの濃度が
高い。(c)は反射電子組成像であり、白い部分にZr
2が存在している。
[発明の具体的説明] 定義 本発明において、「衛生陶器」とは、トイレおよび洗
面所周りで用いられる陶器製品を意味し、具体的には大
便器、小便器、便器のサナ、便器タンク、洗面台の洗面
器、手洗い器などを意味する。
また、「陶器」とは、陶磁器のうち、素地の焼き締ま
りがやや吸水性のある程度で、かつ表面に釉薬を施した
ものを意味する。
セルフクリーニング機能を有する衛生陶器 本発明による衛生陶器は、付着汚れに対するセルフク
リーニング機能を有する。この「セルフクリーニング機
能」は、界面活性剤を使用せず、かつタワシやブラシで
強くこすらなくても、衛生陶器表面の汚れを、例えば流
水程度で簡単に除去できる性質をいう。
本発明による衛生陶器は、陶器素地と、その最外層と
しての最外層釉薬層とを少なくとも有してなる。そし
て、本発明にあっては、洗浄性金属成分が、付着汚れに
対するセルフクリーニング機能を最外層釉薬層表面に与
えるのに十分な量、最外層釉薬層表面の全面にわたって
均一かつ連続的に放出可能にされてなる。さらに、この
洗浄性金属成分は、最外層釉薬層および/または陶器素
地から前記最外層釉薬層表面の全面に供給される。
本発明において洗浄性金属成分は、原子価が1価の金
属成分および/またはポーリングの電気陰性度の尺度が
1以下の金属成分を意味する。これらの金属成分は、焼
成により機能を失われない洗剤成分(ビルダー)として
機能する。すなわち、衛生陶器を焼成する1100〜1
300℃の温度で加熱処理された後においてもその機能
を失わない。
ここで、原子価が1価の金属成分としては、Li、N
a、K、Rb、Cs、Ag、Cu、Au等が好適に利用
できる。また、ポーリングの電気陰性度の尺度が1以下
の金属成分としては、Li、Na、K、Rb、Cs、B
a、Sr等が好適に利用できる。また、上記原子価が1
価の金属成分のうち、AgおよびCuに関しては抗菌性
をも発揮するので好ましい。なお、このような洗浄性金
属成分の含有量は、X線光電子分光法により測定するこ
とができる。
本発明において、最外層釉薬層は実質的に非晶質から
なり、非晶質構造は等方的であるため、その内部におい
て前記洗浄性金属成分は比較的均一に網膜構造内を移動
することが可能となると考えられる。その結果、最外層
釉薬層および/または陶器素地内に置かれた洗浄性金属
成分は、最外層表面に移動し、かつ連続的に放出可能と
なる。更に、本発明にあっては、前記洗浄性金属成分の
放出は、最外層釉薬層表面の全面にわたり均一かつ連続
的に行われる。
従来の衛生陶器では、釉薬中にジルコン粒子等の乳濁
剤粒子や顔料粒子が混入されていたため、焼成中にこれ
らの粒子が最表面に露出してきて洗浄性金属成分の層表
面への放出を妨害し、その部分には、洗浄機能が作用し
なかった。すなわち、乳濁剤粒子が表面に部分的に露出
されるために、その部分に油性汚れ除去効果のある洗浄
性金属成分が供給されなかった。そのために、最表面に
洗浄性金属成分が存在している場合であっても、乳濁剤
粒子を起点として油性汚れが付着してしまい、結果とし
て、衛生陶器表面に付着した汚れが流水のみでは充分に
は除去されなかった。
本発明にあっては、このような妨害粒子をなくすこと
で、洗浄性金属成分を衛生陶器の最外層表面の全面にわ
たって均一かつ連続的に放出を可能とした。図1に、衛
生陶器の釉薬層最表面における洗浄性金属成分の分布状
態を模式的に示す。図1に示されるように、洗浄性金属
成分は最外層釉薬層表面の全面にわたって均一に存在し
ている。これにより、最外層表面の全域にわたって油性
汚れの付着防止性が飛躍的に向上して、優れたセルフク
リーニング機能が発揮される。
図2に、汚れ分子に洗浄性金属成分が吸着・置換さ
れ、水溶性化される状態を示す。衛生陶器表面に齋され
る付着汚れは、例えば、大便器においては大便(オレイ
ン酸と細菌を多く含む)や細菌、真菌等の微生物、水
垢、小便器においては水垢、尿石、細菌、洗面器におい
ては、金属石鹸(石鹸カス)、脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、蛋白質、アミノ酸、水垢等であり、主要な付着汚れ
はカルボキシル末端基を含有する油性汚れ、および水垢
である。
図2に示されるように、このカルボキシル末端基を含
有する油性汚れが衛生陶器表面にもたらされる場合に、
洗浄性金属成分(図2ではNa+)が存在すると、洗浄
性金属成分が置換反応により優先的に上記油性汚れに付
加され、或いは吸着される。それにより、上記汚れの水
との親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚れが水
溶性化(ケン化)される。それにより、上記汚れの陶器
表面への親和性よりも水との親和性が高くなり、上記汚
れが水洗により容易に除去されるようになる。また、こ
のとき、一度表面から離脱した汚れが再吸着するのが防
止される。これは、原子価が1価の金属成分および/ま
たはポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分
のビルダーの作用(阿部芳郎著、「洗剤通論」、近代編
集社、1985、22〜23ページ)によるものであ
る。
この洗浄性金属成分の最外層釉薬層表面への供給源と
しては、最外層釉薬層、陶器素地、および(最外層釉薬
層と陶器素地との間に中間層としての釉薬層がある場合
には)中間層釉薬層のいずれであってもよく、または洗
浄性金属成分を主成分として含有する層を金属成分層と
して別個に設けてもよい。これにより、長期にわたり表
面洗浄性を発揮させることができ、上記セルフクリーニ
ング機能は半永久的に確保される。
本発明の好ましい態様によれば、このような表面状態
は、洗浄性金属成分の層表面への放出を妨害する粒子
(ZrO2等の乳濁剤や顔料等)を最外層釉薬層表面に
実質的に存在させないようにすることにより実現するこ
とができる。このような方法としては、例えば、以下の
いずれかの方法により行われるのが好ましい。
(1)妨害粒子を排除する方法:洗浄性金属成分を含有
させるとともに、妨害粒子である顔料や乳濁剤を含有さ
せない透明性の釉薬を準備する。この透明性の釉薬を衛
生陶器上に最外層として塗布して、焼成する。あるい
は、妨害粒子を含まない釉薬として、洗浄性金属成分を
含んでなるフリット釉薬を準備し、このフリット釉薬を
衛生陶器上に最外層釉薬層として塗布して、焼成する。
(2)妨害粒子を粉砕する方法:洗浄性金属成分を含ん
でなるフリット釉薬、または洗浄性金属成分を含む塩を
添加した着色性の釉薬を準備し、妨害粒子が微細化する
まで粉砕する。この着色性の釉薬を衛生陶器上に最外層
釉薬層として塗布して、焼成する。ここで、妨害粒子の
微細化の程度としては、レーザー回析装置に基づく平均
粒径が6μm以下にするのが好ましい。
本発明の好ましい態様においては、最外層釉薬層の表
面粗さRaが触針式表面粗さ測定装置(JIS−B06
51)により、0.07μm未満、好ましくは0.05
μm以下、より好ましくは0.03μm以下であるよう
にする。これにより、表面の凹凸に汚れが付着しにくく
なり、付着汚れに対するセルフクリーニング機能が著し
く向上する。
ここで、本発明において、「表面粗さ(Ra)」と
は、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さlの部分
を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率
の方向をY軸とし、粗さ曲線をY=f(x)で表したと
き、次の式によって求められる値をいう。
本発明において表面粗さRaの測定は、JIS−B0
601(1994年)による定義と表示に従い、JIS
−B0651(1996年)に準拠した触針式表面粗さ
測定装置により実施される。これらJIS基準は日本工
業規格(日本国東京都港区赤坂4−1−24)から、そ
の英訳とともに容易に入手可能である。
本発明の好ましい態様にあっては、最外層釉薬層が実
質的に非晶質成分(好ましくはガラス成分)からなるよ
うにする。これにより、上記洗剤成分の釉薬層中の移動
度が減少するので、付着汚れに対するセルフクリーニン
グ機能の長期維持性が向上するものと考えられる。
本発明の好ましい態様によれば、最外層釉薬層が実質
的に水和可能な物質からなるようにする。ここで、水和
可能な物質としては、構造中を水分子が通過可能な非架
橋酸素を有するSiO4網目構造体を含む物質(例え
ば、シリカ、シリケート等)が挙げられる。図3に、衛
生陶器表面に水和層ができる状態を示す。図3および図
2からも分かるように、ケン化された汚れが水和可能な
物質上を電解質としてかなり自由に移動できるようにな
る。従って、衛生陶器表面が重力方向に傾いている面で
は、特に水洗によらずとも重力方向に上記油性汚れが移
動するようになり、汚れがより一層自動的に除去される
ようになる。
本発明の好ましい態様によれば、最外層釉薬層には、
さらに抗菌性金属が含有されているようにするのが好ま
しい。これにより、便器や洗面器等の衛生陶器の長期不
使用時の菌の繁殖による汚れを防止可能となる。本発明
のより好ましい態様においては、上記構成において、抗
菌性金属が銀および/または銅であり、最外層釉薬層中
の全金属成分に対して酸化物換算量で0.1重量%以
上、より好ましくは0.5重量%以上含有されているよ
うにする。これにより、便器や洗面器等の衛生陶器の長
期不使用時の菌の繁殖による汚れをより一層充分に防止
可能となる。なお、銀は、緑膿菌、大腸菌、黒色酵母菌
(黒カビ)、赤色酵母菌(ピンクスライム)等の細菌へ
の抗菌力が強い点で好ましく、一方、銅は、カビ等の真
菌への抗菌力が強い点で好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、最外層釉薬層表面の
ゼータ電位はpHが7付近において負であり、且つその
絶対値が60mV以上であるようにするのが好ましい。
これにより、一般的にpHが7付近の水中において負に
帯電している大腸菌等の菌類に対する、最外層釉薬層表
面の菌類との電気的反発力を増加させることができ、菌
類の付着をより有効に防止することができる。したがっ
て、本発明のセルフクリーニング機能がより一層向上す
る。
なお、最外層釉薬層の厚みは一般的には0.05〜
1.2mmであり、好ましくは0.1〜0.8mmであ
り、より好ましくは0.15〜0.4mmである。ま
た、中間層釉薬層を設ける場合、その厚みは一般的には
0.05〜1.8mmであり、好ましくは0.1〜1.
2mmであり、より好ましくは0.2〜0.7mmであ
る。
このように、本発明の衛生陶器にあっては、衛生陶器
表面にセルフクリーニング機能を付与するために、層構
成および表面形成方法において種々の態様が考えられ
る。その好ましい例である、五つの態様を以下に具体的
に説明する。
第一の態様による衛生陶器 図4は、第一の態様による衛生陶器の層構成を示すも
のである。図4に示されるように、本発明の第一の態様
による衛生陶器は、陶器素地1と、その最外層としての
最外層釉薬層2とを少なくとも有してなる。
この態様においては、陶器素地1および最外層釉薬層
2の少なくともいずれか一方が、洗浄性金属成分を、最
外層釉薬層2表面の全面に供給し得るとともに、洗浄性
金属成分が最外層釉薬層2表面の全面にわたって均一か
つ連続的に放出可能にされてなる。これにより、前述し
たメカニズムにより、衛生陶器表面が付着汚れに対する
セルフクリーニング機能を長期にわたり発揮するように
なる。
本発明の好ましい態様によれば、洗浄性金属成分が、
少なくとも陶器素地1中に含有されているのが好まし
い。これにより、洗浄性金属成分が主成分がガラス質の
材料からなる最外層釉薬層2を通過して作用するように
なるため、徐放効果が増し、より長期にわたり付着汚れ
に対するセルフクリーニング機能を発揮するようにな
る。さらに、衛生陶器の非施釉面においても、上記と同
様な付着汚れに対するセルフクリーニング機能を発揮す
るようになる。
本発明の好ましい態様によれば、洗浄性金属成分が、
最外層釉薬層2に含有されているのがより好ましい。こ
れにより、使用開始時の付着汚れに対するセルフクリー
ニング機能をも向上させることができる。なお、陶器素
地1および最外層釉薬層2の両方に洗浄性金属成分を含
有させてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、最外層釉薬層2中に
含有される洗浄性金属成分の量が、最外層釉薬層2中の
全金属成分に対してその酸化物換算量で7重量%以上で
あるのが好ましい。これにより、付着汚れに対するセル
フクリーニング機能が著しく向上する。
本発明の好ましい態様によれば、最外層釉薬層2中に
含有される洗浄性金属成分の量が、最外層釉薬層2中の
全金属成分に対して酸化物換算量で20重量%未満、好
ましくは15重量%以下であるのが好ましい。これによ
り、付着汚れに対するセルフクリーニング機能を充分に
発揮させつつ、昇温時における粘土の化学反応等に伴い
陶器素地1内に生成した気体が、焼結時の収縮に伴い外
部に放出される際に釉薬内に気泡として残留してしまう
ことに基づく製品欠陥を低減できる。さらに、最外層釉
薬層2の熱膨張係数が大きくなりすぎて、陶器素地1と
の熱膨張率の差が大きくなることに起因するクラックの
発生を防止することができる。また、別の好ましい態様
として、陶器素地1表面にエンゴーベ層を形成して、陶
器素地1内に生成した気体を釉薬内に浸入させないよう
にしてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、陶器素地1中に含有
される洗浄性金属成分の量が、陶器素地1中の全金属成
分に対して酸化物換算量で5重量%以上であるのが好ま
しい。これにより、付着汚れに対するセルフクリーニン
グ機能の長期維持性が向上する。
このような第一の態様による衛生陶器の製造方法は特
に限定されるものではないが、例えば以下の(1)〜
(4)の方法を挙げることができる。
(1)第一の態様の衛生陶器を製造する1つの方法は、
例えば、酸化物換算量で7重量%以上が洗浄性金属成分
からなるフリット釉薬を準備し、必要に応じて粉砕す
る。こうして得た釉薬を、陶器成形素地上に塗布し、1
100〜1300℃の温度で焼成する。
(2)第一の態様の衛生陶器を製造する他の方法は、例
えば、通常の着色性の釉薬原料に洗浄性金属成分を含む
塩を釉薬の全金属成分に対して酸化物換算量で7重量%
以上添加した釉薬を準備し、妨害粒子が微細化するまで
粉砕する。こうして得た釉薬を、陶器成形素地上に塗布
し、1100〜1300℃の温度で焼成する。
(3)第一の実施態様の衛生陶器を製造する他の方法
は、例えば、フリットと妨害粒子等を含む混合物からな
る釉薬を準備し、妨害粒子が微細化するまで粉砕する。
こうして得た釉薬を、陶器成形素地上に塗布、1100
〜1300℃の温度で焼成する。
(4)第一の実施態様の衛生陶器を製造する他の方法
は、例えば、陶器素地上に洗浄性金属成分を含む塩を含
浸させた後に、施釉し、1100〜1300℃の温度で
焼成する。
第二の態様による衛生陶器 図5に、第二の態様による衛生陶器の層構成を示す。
図5に示されるように、本発明の第二の態様による衛生
陶器は、衛生素地1と、この陶器素地表面に形成される
着色性の中間層釉薬層3と、この中間層釉薬層表面に最
外層として形成される透明性の最外層釉薬層2とを有し
てなる。
この態様においては、陶器素地1、最外層釉薬層2お
よび中間層釉薬層3の群から選択される少なくとも一つ
が、洗浄性金属成分を、最外層釉薬層2表面の全面に供
給し得るとともに、洗浄性金属成分が最外層釉薬層2表
面の全面にわたって均一かつ連続的に放出可能にされて
なる。これにより、前述したメカニズムにより、衛生陶
器表面が付着汚れに対するセルフクリーニング機能を長
期にわたり発揮するようになる。
特に、この第二の態様においては、最表層を形成する
最外層釉薬層2が透明性の釉薬層であるため、顔料や乳
濁剤等の妨害粒子を含まない。このため、洗浄性金属成
分が最外層釉薬層2表面の全面にわたって均一かつ連続
的に放出可能にされやすく、洗浄性金属成分の徐放性も
向上し、本発明のセルフクリーニング機能を長期にわた
り発揮するようになる。また、最外層釉薬層2はその成
分が陶器素地との熱膨張係数等の整合性と無関係に設定
可能となるので、より多量の洗浄性金属成分を最外層釉
薬層2に混入することができ、使用開始時におけるセル
フクリーニング機能も向上する。
本発明の好ましい態様によれば、洗浄性金属成分が、
少なくとも最外層釉薬層2には含有されているのが好ま
しい。この最外層釉薬層2はその成分が陶器素地1との
熱膨張係数等の整合性と無関係に設定可能なので、より
多量の上記洗剤成分を最外層釉薬層2に混入可能であ
り、そこに洗浄性金属成分を含有させることにより、使
用開始時における付着汚れに対するセルフクリーニング
機能を向上させることができる。
本発明の好ましい態様によれば、洗浄性金属成分が、
陶器素地1および中間層釉薬層3の少なくともいずれか
一方に含有されているのが好ましい。これにより、洗浄
性金属成分が主成分がガラス質の材料からなる最外層釉
薬層2を通過して作用するようになるため、徐放効果が
増し、より長期にわたり付着汚れに対するセルフクリー
ニング機能を発揮するようになる。
本発明の好ましい態様によれば、最外層釉薬層2中に
含有される洗浄性金属成分の量が、最外層釉薬層2中の
全金属成分に対してその酸化物換算量で7重量%以上で
あるのが好ましい。これにより、付着汚れに対するセル
フクリーニング機能が著しく向上する。
本発明の好ましい態様によれば、最外層釉薬層2中に
含有される洗浄性金属成分の量が、最外層釉薬層2中の
全金属成分に対して酸化物換算量で30重量%未満、好
ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以
下であるようにする。これにより、付着汚れに対するセ
ルフクリーニング機能を充分に発揮しつつ、昇温時にお
ける粘土の化学反応等に伴い陶器素地1内に生成した気
体が、焼結時の収縮に伴い外部に放出される際に釉薬内
に気泡として残留してしまうことに基づく製品欠陥が生
じにくくなる。
本発明の好ましい態様によれば、陶器素地1中に含有
される洗浄性金属成分の量が、陶器素地1中の全金属成
分に対して酸化物換算量で5重量%以上であるようにす
る。これにより、付着汚れに対するセルフクリーニング
機能の長期維持性が向上する。
このような第二の態様による衛生陶器の製造方法は特
に限定されるものではないが、例えば、陶器成形素地上
に通常の着色性の釉薬を塗布した後に、さらにその上に
洗浄性金属成分を酸化物換算量で7重量%以上含む顔料
が乳濁剤を含まない(フリット)釉薬を塗布し、110
0〜1300℃の温度で焼成することにより製造するこ
とができる。
第三の態様による衛生陶器 図6に、第三の態様による衛生陶器の層構成を示す。
図6に示されるように、本発明の第三の態様の衛生陶器
は、陶器素地1と、この陶器素地表面に形成され、洗浄
性金属成分を主成分として含有する金属成分層4と、こ
の金属成分層表面に最外層として形成される最外層釉薬
層2とを有してなる。
この態様においては、主に金属成分層4が洗浄性金属
成分を、最外層釉薬層2表面の全面に供給し得るととも
に、洗浄性金属成分が最外層釉薬層2表面の全面にわた
って均一かつ連続的に放出可能にされてなる。これによ
り、前述したメカニズムにより、衛生陶器表面が付着汚
れに対するセルフクリーニング機能を長期にわたり発揮
するようになる。
特に、この第三の態様においては、第一の態様と同様
の陶器素地1および最外層釉薬層2を有し、陶器素地1
と最外層釉薬層2との間に、洗浄性金属成分の供給源と
して金属成分層4が設けられる。これにより、洗浄性金
属成分の貯蔵量をより多くできるとともに、洗浄性金属
成分の徐放性も向上することから、衛生陶器表面が付着
汚れに対するセルフクリーニング機能がより一層長期に
わたり発揮されるようになる。なお、洗浄性金属成分
は、陶器素地1および/または最外層釉薬層2にも含有
させることができる。
金属成分層4とは、洗浄性金属成分を主成分として含
有する層であり、具体的には、洗浄性金属成分を主成分
として含有する化合物から実質的になるのが好ましい。
このような洗浄性金属成分含有化合物としては、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウ
ム、炭酸ルビジウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウ
ム、炭酸銀、炭酸第一銅、珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム、珪酸リチウム、珪酸セシウム、珪酸ルビジウム、珪
酸バリウム、珪酸ストロンチウム、珪酸銀、珪酸第一
銅、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩
化セシウム、塩化ルビジウム、塩化バリウム、塩化スト
ロンチウム、塩化銀、塩化第一銅、酢酸ナトリウム、酢
酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、酢酸ルビジ
ウム、酢酸バリウム、酢酸ストロンチウムン、酢酸銀、
酢酸第一銅、硫酸ナトリウム、、硫酸カリウム、硫酸リ
チウム、硫酸セシウム、硫酸ルビジウム、硫酸バリウ
ム、硫酸ストロンチウム、硫酸銀、硫酸第一銅、硝酸ナ
トリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝酸セシウ
ム、硝酸ルビジウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウ
ム、硝酸銀、硝酸第一銅、乳酸ナトリウム、乳酸カリウ
ム、乳酸リチウム、乳酸セシウム、乳酸バリウム、乳酸
ルビジウム、乳酸ストロンチウム、乳酸銀、乳酸第一
銅、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸リチウ
ム、ホウ酸セシウム、ホウ酸ルビジウム、ホウ酸バリウ
ム、ホウ酸ストロンチウム、プロピオン酸ナトリウム、
プロピオン酸カリウム、プロピオン酸リチウム、プロピ
オン酸セシウム、プロピオン酸ルビジウム、プロピオン
酸バリウム、プロピオン酸ストロンチウム、プロピオン
酸銀、プロピオン酸第一銅、酪酸ナトリウム、酪酸カリ
ウム、酪酸リチウム、酪酸セシウム、酪酸ルビジウム、
酪酸バリウム、酪酸ストロンチウム、酪酸銀、酪酸第一
銅、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸リチウム、ギ
酸セシウム、ギ酸ルビジウム、ギ酸バリウム、ギ酸スト
ロンチウム、ギ酸銀、ギ酸第一銅、塩化第一金、水金、
金粉、銀粉、水ガラス、H(AuCl4)・4H2O、
Na(AuCl4)・2H2O等が好適に利用できる。
このような第三の態様による衛生陶器の製造方法は特
に限定されるものではないが、例えば以下の(1)およ
び(2)の方法を挙げることができる。
(1)第三の態様の衛生陶器を製造する方法は、まず、
陶器成形素地上に、水ガラス等の焼成により洗浄性金属
成分を含有する物質を金属成分層として塗布する。次い
で、着色性の釉薬を準備し、妨害粒子が微細化するまで
粉砕する。こうして得た釉薬を金属成分層上に塗布し、
1100〜1300℃の温度で焼成する。
(2)第三の実施態様の衛生陶器を製造する他の方法
は、まず、陶器成形素地上に、水ガラス等の洗浄性金属
成分を含有する物質を金属成分層として塗布する。次い
で、洗浄性金属成分からなるフリット釉薬を、必要に応
じて粉砕する。得られた釉薬を、金属成分層上に塗布
し、1100〜1300℃の温度で焼成する。
第四の態様による衛生陶器 図7に、第四の態様による衛生陶器の層構成を示す。
図7に示されるように、本発明の第四の態様の衛生陶器
は、陶器素地1と、この陶器素地表面に形成される着色
性の中間層釉薬層3と、この中間層釉薬層表面に形成さ
れ、洗浄性金属成分を主成分として含有する金属成分層
4と、この金属成分層表面に最外層として形成される透
明性の最外層釉薬層2とを有してなる。
このような本発明の第四の態様においては、主に金属
成分層4が洗浄性金属成分を、最外層釉薬層2表面の全
面に供給し得るとともに、洗浄性金属成分が最外層釉薬
層2表面の全面にわたって均一かつ連続的に放出可能に
されてなる。これにより、前述したメカニズムにより、
衛生陶器表面が付着汚れに対するセルフクリーニング機
能を長期にわたり発揮するようになる。
特に、この第四の態様においては、第二の態様と同様
の陶器素地1、中間層釉薬層3および最外層釉薬層2を
有し、さらに中間層釉薬層3と最外層釉薬層2との間
に、洗浄性金属成分の供給源として第三の態様と同様の
金属成分層4が設けられる。すなわち、最外層釉薬層2
が透明性の釉薬層であるため、顔料や乳濁剤等の妨害粒
子を含まないとともに、金属成分層4が洗浄性金属成分
の供給源として機能する。このため、洗浄性金属成分が
最外層釉薬層2表面の全面にわたって均一かつ連続的に
放出可能にされやすく、本発明のセルフクリーニング機
能を充分に発揮するとともに、その機能をより長期間維
持することができる。
このような第四の態様による衛生陶器の製造方法は特
に限定されるものではない。例えば、陶器形成素地上に
通常の着色性の釉薬を塗布した後に、その上に水ガラス
等の洗浄性金属成分を含有する物質を金属成分層として
塗布する。次いで、顔料や乳濁剤を含まない釉薬を塗布
し、1100〜1300℃の温度で焼成することにより
製造することができる。
第五の態様による衛生陶器 図8に、第五の態様による衛生陶器の層構成を示す。
図8に示されるように、本発明の第五の態様の衛生陶器
は、陶器素地1と、この陶器素地表面に形成され、洗浄
性金属成分を主成分として含有する金属成分層4と、こ
の金属成分層表面に形成される着色性の中間層釉薬層3
と、この中間層釉薬層表面に最外層として形成される透
明性の最外層釉薬層2とを有してなる。
このような本発明の第五の態様においては、主に金属
成分層4が洗浄性金属成分を、最外層釉薬層2表面の全
面に供給し得るとともに、洗浄性金属成分が最外層釉薬
層2表面の全面にわたって均一かつ連続的に放出可能に
されてなる。これにより、前述したメカニズムにより、
衛生陶器表面が付着汚れに対するセルフクリーニング機
能を長期にわたり発揮するようになる。
特に、本発明の第五の態様においては、第二の態様と
同様の陶器素地1、中間層釉薬層3および最外層釉薬層
2を有し、さらに陶器素地1と中間層釉薬層3との間
に、洗浄性金属成分の供給源として第三の態様と同様の
金属成分層4が設けられる。すなわち、最外層釉薬層2
が透明性の釉薬層であるため、顔料や乳濁剤等の妨害粒
子を含まないとともに、金属成分層4が洗浄性金属成分
の供給源として機能する。このため、洗浄性金属成分が
最外層釉薬層2表面の全面にわたって均一かつ連続的に
放出可能にされやすく、本発明のセルフクリーニング機
能を充分に発揮するとともに、その機能をより長期間維
持することができる。
このような第五の態様による衛生陶器の製造方法は特
に限定されるものではない。例えば、水ガラス等の洗浄
性金属成分を含有する物質を塗布した後に、その上に通
常の着色性の釉薬を塗布する。次いで、その上に顔料や
乳濁剤を含まない釉薬を塗布し、1100〜1300℃
の温度で焼成することにより製造することができる。
用途 本発明の衛生陶器は、トイレおよび洗面所周りで用い
られる陶器製品を意味し、大便器、小便器、便器のサ
ナ、便器タンク、洗面台の洗面器、手洗い器など幅広い
用途に適用することができる。
本発明の好ましい態様においては、上記構成におい
て、衛生陶器が、便器であるようにする。
人間の大便中の主要成分はオレイン酸と細菌であり、
いずれもカルボキシル末端基含有物質である。従って、
本発明を便器に利用すれば、便器ボール面は水洗可能で
あるから、大便の付着しにくいボール面を有する便器が
提供可能となる。
また、便器に水垢が付着すると、付着表面が親水性表
面から撥水性表面へと変化し、その部分に洗浄水が流れ
なくなり、加速的に汚れるようになる。従って、本発明
を便器に利用すれば、洗浄水が便器ボール面にあまねく
流れるようになり、汚れの付着しにくい便器が提供可能
となる。
また、便器に水垢が付着していき、ある程度の膜厚に
なるとクラックを生じるようになる。このクラック部に
カビ等の微生物が繁殖し、所定数を超えると黒ずみ汚れ
となって見えると推定される。従って、本発明を便器に
利用すれば、水垢被膜を形成させないようにすることが
でき、その結果、黒ずみ汚れが生じにくい便器が提供可
能となる。
さらに、便器に尿石が付着すると、そこが菌の繁殖の
温床となり、菌数が一定数を超えると黄色やピンク色や
茶色に汚れる原因となる。本発明を便器に利用すれば、
菌の繁殖する温床となる尿石が付着しなくなるので、汚
れにくい便器が提供可能となる。
本発明の好ましい態様においては、上記構成におい
て、衛生陶器が洗面器であるようにする。
洗面器の主要の汚れ成分は、人間の脂質(脂肪酸エス
テル)および石鹸カス(脂肪酸カルシウム)であるが、
それらはいずれもカルボキシル末端基含有物質である。
従って、本発明を洗面器に利用すれば、洗面器ボール面
は水洗可能であるから、洗面器ボール面に汚れの付着し
にくい洗面器が提供可能となる。
[実 施 例] 本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
釉薬組成 以下の実施例および比較例にあって、釉薬基材Aとは
以下の表1に示される組成を有するものを意味する。
試験方法 以下の実施例および比較例における評価測定試験方法
は以下の通りとした。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さ測定 釉薬層の表面粗さは、触針式表面粗さ測定器(JIS
−B0651)を用い、表面粗さRaを測定した。
試験2:釉薬層表面のゼータ電位測定 釉薬層表面のゼータ電位は、レーザーゼータ電位計
(大塚電子製、ELS−6000)を用いて測定した。
具体的には、pH7.0、濃度10mMのNaCl水溶
液を電解質として用い、ポリスチレンラテックスを光散
乱のモニター粒子として電気浸透流を測定し、これを森
・岡本の式で解析することにより行った。
試験3:抗菌性試験 抗菌性の評価は、大腸菌(Eschericia c
oli、IFO 3972)に対する殺菌効果を試験す
ることにより行った。
まず、予め70vol%のエタノールで殺菌し乾燥さ
せておいた試料の釉薬層表面に、菌液0.2ml(菌
数:1×105〜5×105個)を滴下し、45×45m
mのポリエチレン製フィルムで被覆して密着させた。こ
うして得た試料を、温度37±1℃、相対湿度90%以
上の雰囲気中で24時間静置した。その後、フィルムを
はがし、NA培地でスタンプし、温度35±1℃の環境
下で16〜20時間培養して、生菌数(以下、供試品生
菌数という)を測定した。
一方、抗菌性の無いブランクサンプル(対照品)につ
いても、上記同様にして試料を作成して、生菌数(以
下、対照品生菌数という)を測定した。
このようにして測定した供試品生菌数と、対照品生菌
数とを用いて、以下の式により滅菌率および増殖抑制率
を算出し、抗菌性を判定した。
滅菌率(%)=100×([対照品生菌数]−[供試品生菌数]) /[対照品生菌数] 増殖抑制率=log([対照品生菌数]/[供試品生菌数]) 試験4:疑似汚れによる水中での耐汚染試験 まず、オレイン酸200重量部、エンジンオイル1重
量部、オイルブラック1重量部から成る疑似汚れを作成
した。ここで、オレイン酸は大便中の主要成分、エンジ
ンオイルとオイルブラックは油が目視で見え易いように
するための添加剤である。次に、300ccビーカーに
蒸留水を約270cc入れ、続いて、上記疑似汚れを約
30cc入れた。このビーカー中に板状試験片を沈め、
試料沈降時に釉薬層表面に付着した油汚れが水中で剥離
するまでの時間を計測した。
試験5:疑似汚れによる空気中での耐汚染試験 まず、試験4と同様の成分の疑似汚れ0.3ccを水
平に置いた板状試料の中央に滴下し、その後、垂直に傾
けて5分間経過した時に釉薬面上の疑似汚れの残存状態
を目視により評価した。
試験6:釉薬層の表面観察 釉薬層表面の外観を目視により評価した。
試験7:釉薬層の表面分析 釉薬層表面を電子プローブマイクロアナライザー(E
PMA;日本電子製、JXA8900RL)で分析し
た。
実施例A1 釉薬基材Aからなる釉薬原料2kgと水1kgおよび
球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に入
れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。ここで得ら
れた釉薬スラリーを、釉薬Aとする。レーザー回折式粒
度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Aの粒径を測
定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径
(D50)が5.8μmであった。
一方、釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2
顔料を除いた組成から成る釉薬基材を、電気炉を用いて
1300〜1400℃にて溶融し、水中で急冷してガラ
スフリットを得た。このガラスフリットを、スタンプミ
ルにより粉砕して粉末を得た。得られた粉末600g、
銀粉3.0g(釉薬に対して0.5重量%)、水400
gおよびアルミナボール1kgを、容量2リットルの陶
器製ポット中に入れ、ボールミルにより約24時間粉砕
した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Bとする。
レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた
釉薬Bの粒径を測定したところ、10μm以下が68
%、50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。
次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛
生陶器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試験
片を作製した。この板状試験片上に、下層として釉薬A
をスプレーコーティングし、続いて、上層として釉薬B
をスプレーコーティングした後、1100〜1200℃
で焼成することにより試料を得た。
得られた試料について、上記試験1〜3を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.02
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−68.
3mVであった。
試験3:減菌率99.994%、増殖抑制率4.2で
あり、抗菌性ありと判定された。
実施例A2 釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2と顔料を
除いた組成から成る釉薬基材を、電気炉を用いて130
0〜1400℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリ
ットを得た。このガラスフリットを、スタンプミルによ
り粉砕して粉末を得た。得られた粉末600g、酸化銅
粉末6.0g(釉薬に対して1.0重量%)、水400
gおよびアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶
器製ポット中に入れ、ボールミルにより約24時間粉砕
した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Cとする。
レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた
釉薬Cの粒径を測定したところ、10μm以下が68
%、50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。
次に、実施例A1と同様の板状試験片上に、下層とし
て釉薬Aをスプレーコーティングし、続いて、上層とし
て釉薬Cをスプレーコーティングした後、 1100〜1200℃で焼成することにより試料を得
た。
得られた試料について、上記試験1〜3を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−60.
2mVであった。
試験3:減菌率99.0%、増殖抑制率2.0であ
り、抗菌性ありと判定された。
実施例A3 実施例A1で作製したフリット釉(乳濁剤および顔料
を含まない、D50=6.0μm)スラリー80重量部
と、フリット化する前の乳濁剤および顔料を含まない釉
薬(D50=5.9μm)スラリー20重量部とを混合
した。この混合スラリーに、釉薬の固形分に対して0.
5重量%の銀粉を添加し、プランジャーを使用して撹拌
・混合した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Dと
する。レーザー回折式粒度分布計を用いて、混合後に得
られた釉薬Dの粒径を測定したところ、10μm以下が
57%、50%平均粒径(D50)が6.0μmであっ
た。
次に、実施例A1と同様の板状成形片上に、下層とし
て釉薬Aをスプレーコーティングし、続いて、上層とし
て釉薬Dをスプレーコーティングした後、 1100〜1200℃で焼成することにより試料を得
た。
得られた試料について、上記試験1〜3を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.05
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−61.
3mVであった。
試験3:減菌率99.991%、増殖抑制率4.0で
あり、抗菌性ありと判定された。
実施例A4 釉薬基材A600gと銀粉3.0g(釉薬に対して
0.5重量%)と水400gおよびアルミナボール1k
gを、容積2リットルの陶器製ポット中に入れ、ボール
ミルにより約65時間粉砕した。ここで得られた釉薬ス
ラリーを、釉薬Eとする。レーザー回折式粒度分布計を
用いて、粉砕後に得られた釉薬Eの粒径を測定したとこ
ろ、10μm以下が98%、50%平均粒径(D50)
が1.2μmであった。
次に、実施例A1と同様の板状成形体上に釉薬Eをス
プレーコーティング法により塗布し、1100〜120
0℃で焼成することにより試料を得た。
得られた試料について、上記試験1〜3を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.02
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−62.
4mVであった。
試験3:減菌率99.990%、増殖抑制率4.0で
あり、抗菌性ありと判定された。
比較例A1 実施例A1と同様の板状試験片上に釉薬Aをスプレー
コーティングした後、 1100〜1200℃で焼成することにより試料を得
た。
得られた試料について、上記試験1〜3を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.10
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−57.
2mVであった。
試験3:減菌率は25%、増殖抑制率は0.12であ
り、抗菌性なしと判定された。
本発明の実施例A1〜A4および比較例A1における
評価結果を表2に示す。
実施例B1 釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2と顔料を
除くとともに、Na2O成分が多くなるように調合した
釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわち K2O、Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して
10重量%である)を調製した。この釉薬基材を、電気
炉を用いて1300〜1400℃にて溶融し、水中で急
冷してガラスフリットを得た。これを、スタンプミルに
より粉砕して粉末を得た。得られた粉末600g、銀粉
3.0g(釉薬に対して0.5%)、水400gおよび
アルミナボール1kgを、容量2リットルの陶器製ポッ
ト中に入れ、ボールミルにより約24時間粉砕した。こ
こで得られた釉薬スラリーを、釉薬Fとする。レーザー
回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Fの
粒径を測定したところ、10μm以下が68%、50%
平均粒径(D50)が6.0μmであった。
次に、実施例A1と同様の板状試験片上に、下層とし
て釉薬Aをスプレーコーティングし、続いて、上層とし
て釉薬Fをスプレーコーティングした後、 1100〜1200℃で焼成することにより試料を得
た。
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.02
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−68.
3mVであった。
試験3:減菌率99.994%、増殖抑制率4.2で
あり、抗菌性ありと判定された。
試験4:水没後35秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
実施例B2 釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2と顔料を
除いた釉薬基材に、炭酸ナトリウム粉末および銀粉を添
加し(原子価が1価の金属成分、すなわちK2O、Na2
Oの重量はガラス成分の合計重量に対して10重量%、
Agは0.5重量%である)、約3時間撹拌した。ここ
で得られた釉薬スラリーを、釉薬Gとする。レーザー回
折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Gの粒
径を測定したところ、10μm以下が68%、50%平
均粒径(D50)が6.0μmであった。
次に、実施例A1と同様の板状試験片上に、下層とし
て釉薬Aをスプレーコーティングし、続いて、上層とし
て釉薬Gをスプレーコーティングした後、 1100〜1200℃で焼成することにより試料を得
た。
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−66.
5mVであった。
試験3:減菌率99.991%、増殖抑制率4.0で
あり、抗菌性ありと判定された。
試験4:水没後30秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
実施例B3 釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2と顔料を
除くとともに、Na2O成分が多くなるように調合した
釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわち K2O、Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して
20重量%である)を調製した。この釉薬基材2kg、
銀粉10g(釉薬に対して0.5重量%)、水1kgお
よび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中に
入れ、ボールミルにより約20時間粉砕した。ここで得
られた釉薬スラリーを、釉薬Hとする。レーザー回折式
粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Hの粒径を
測定したところ、10μm以下が63%、50%平均粒
径(D50)が6.5μmであった。
また、表1から乳濁剤であるZrO2と顔料を除いた
組成からなる釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すな
わちK2O、Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対
して3.5重量%である)を調製した。この釉薬基材
を、電気炉を用いて1300〜1400℃にて溶融し、
水中で急冷してガラスフリットを得た。これを、スタン
プミルにより粉砕して粉末を得た。得られた粉末600
gと水400gおよびアルミナボール1kgを、容積2
リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約
18時間粉砕した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉
薬Iとする。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕
後に得られた釉薬Iの粒径を測定したところ、10μm
以下が68%、50%平均粒径(D50)が6.0μm
であった。
次に、実施例A1と同様の板状試験片上に、第一層と
して釉薬Aをスプレーコーティングし、続いて、第二層
として釉薬Iをスプレーコーティングし、さらに、第三
層として釉薬Hをスプレーコーティングした後、110
0〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−72.
0mVであった。
試験3:減菌率99.9991%、増殖抑制率5.0
であり、抗菌性ありと判定された。
試験4:水没後45秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
実施例B4 実施例A1と同様の板状試験片上に、下層として実施
例A1と同一の釉薬Aをスプレーコーティングし、続い
て、上層として実施例B3と同一組成の釉薬IにAgを
0.5重量%添加して約3時間撹拌した釉薬スラリーを
スプレーコーティングした。さらに、その上から炭酸ナ
トリウム水溶液(濃度10%)1.0gをスプレーした
後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を
得た。
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−68.
8mVであった。
試験3:減菌率99.994%、増殖抑制率4.2で
あり、抗菌性ありと判定された。
試験4:水没後60秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
実施例B5 実施例A1と同様の板状試験片上に、炭酸ナトリウム
水溶液(濃度20%)1.0gをスプレーした後、下層
として比較例A1と同一の釉薬Aをスプレーコーティン
グした。続いて、上層として実施例B3と同一組成の釉
薬IにAgを0.5重量%添加して約3時間撹拌した釉
薬スラリーをスプレーコーティングした。こうして得た
試験片を1100〜1200℃で焼成することにより試
料を得た。
得られた試料について、上記試験1〜5を行った。そ
の結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−67.
5mVであった。
試験3:減菌率99.990%、増殖抑制率4.0で
あり、抗菌性ありと判定された。
試験4:水没後45秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
実施例B1〜B5における評価結果を表3に示す。
実施例C1 釉薬基材A(原子価が1価の金属成分、すなわちK2
O、Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して
3.5重量%、Li2O成分は含まない)2kgと水1
kgおよび球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポッ
ト中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。こ
こで得られた釉薬スラリーを、釉薬Jとする。レーザー
回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Jの
粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%
平均粒径(D50)が5.8μmであった。
一方、釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2
顔料を除くとともに、 Na2O成分が多くなるように調合した釉薬基材(原子
価が1価の金属成分、すなわちK2O、Na2Oの重量は
ガラス成分の合計重量に対して10重量%、 Li2O成分は含まない)を調製した。この釉薬基材
を、電気炉を用いて1300〜1400℃にて溶融し、
水中で急冷してガラスフリットを得た。これを、スタン
プミルにより粉砕して粉末を得た。得られた粉末600
gと水400gおよびアルミナボール1kgを、容積2
リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約
24時間粉砕した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉
薬Kとする。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕
後に得られた釉薬Kの粒径を測定したところ、10μm
以下が68%、50%平均粒径(D50)が6.0μm
であった。
次に、実施例A1と同様の板状試験片上に、下層とし
て釉薬Jをスプレーコーティングし、続いて、上層とし
て釉薬Kをスプレーコーティングした後、1100〜1
200℃で焼成することにより試料を得た。
得られた試料について、上記試験1、2および4〜7
を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.04
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−68.
3mVであった。
試験4:水没後35秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた 試験6:釉薬層の外観は、目視においてクラック等の
欠陥は見られず、衛生陶器として全く問題なかった。
試験7:釉薬層表面の反射電子組成像およびマッピン
グ像を図9に示す。釉薬層表面には乳濁剤であるZrO
2や溶解しなかったシリカ粒子は存在せず、ビルダー成
分(例えばナトリウム、カリウム)が釉薬層表面の全域
にわたり観察され、ビルダー成分(例えばナトリウム、
カリウム)が釉薬層表面の全域にわたり放出されうる組
成構造になっていた。
実施例C2 釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2と顔料を
除いた組成から成る釉薬基材(原子価が1価の金属成
分、すなわちK2O、Na2Oの重量はガラス成分の合計
重量に対して3.6重量%、Li2O成分は含まない)
を調製した。この釉薬基材を、電気炉を用いて1300
〜1400℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリッ
トを得た。これを、スタンプミルにより粉砕して粉末を
得た。得られた粉末600gと水400gおよびアルミ
ナボール1kgを、容積2リットルの陶器製ポット中に
入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。ここで得
られた釉薬スラリーに炭酸ナトリウム粉末を添加し(原
子価が1価の金属成分、すなわちK2O、Na2Oの重量
はガラス成分の合計重量に対して10重量%、Li2O成
分は含まない)、約1時間撹拌した。ここで得られた釉
薬スラリーを、釉薬Lとする。レーザー回折式粒度分布
計を用いて、撹拌後に得られた釉薬Lの粒径を測定した
ところ、10μm以下が68%、50%平均粒径(D5
0)が6.0μmであった。
次に、実施例A1と同様の板状試験片上に、下層とし
て釉薬Jをスプレーコーティングし、続いて、上層とし
て釉薬Lをスプレーコーティングした後、1100〜1
200℃で焼成することにより試料を得た。
得られた試料について、上記試験1、2および4〜6
を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−66.
5mVであった。
試験4:水没後30秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
試験6:釉薬層の外観は、目視においてクラック等の
欠陥は見られず、衛生陶器として全く問題なかった。
実施例C3 釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2と顔料を
除くとともに、Na2O成分が多くなるように調合した
釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわちK2O、
Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して20重
量%、Li2O成分は含まない)を調製した。この釉薬
基材2kgと水1kgおよび球石4kgを、容積6リッ
トルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約20
時間粉砕した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬M
とする。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に
得られた釉薬Mの粒径を測定したところ、10μm以下
が63%、50%平均粒径(D50)が6.5μmであ
った。
一方、釉薬基材Aの組成から乳濁剤であるZrO2
顔料を除いた組成から成る釉薬基材(原子価が1価の金
属成分、すなわちK2O、Na2Oの重量はガラス成分の
合計重量に対して3.6重量%、Li2O成分は含まな
い)を調製した。この釉薬基材を、電気炉を用いて13
00〜1400℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフ
リットを得た。これを、スタンプミルにより粉砕して粉
末を得た。得られた粉末600gと水400gおよびア
ルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器製ポット
中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。ここ
で得られた釉薬スラリーを、釉薬Nとする。レーザー回
折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Nの粒
径を測定したところ、10μm以下が68%、50%平
均粒径(D50)が6.0μmであった。
次に、実施例A1と同様の板状試験片上に、第一層と
して釉薬Jをスプレーコーティングし、続いて、第二層
として釉薬Nをスプレーコーティングし、さらに、第三
層として釉薬Mをスプレーコーティングした。得られた
板状試験片を、1100〜1200℃で焼成することに
より試料を得た。
得られた試料について、上記試験1、2および4〜6
を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.06
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−72.
0mVであった。
試験4:水没後45秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
試験6:釉薬層の外観は、目視においてクラック等の
欠陥は見られず、衛生陶器として全く問題なかった。
実施例C4 実施例A1と同様の板状試験片を作製した。この板状
試験片上に、下層として実施例C1と同一の釉薬Jをス
プレーコーティングし、続いて、上層として実施例C3
と同一の釉薬Nをスプレーコーティングし、さらに、上
から炭酸ナトリウム水溶液(濃度10%)1.0gをス
プレーした後、1100〜1200℃で焼成することに
より試料を得た。
得られた試料について、上記試験1、2および4〜6
を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.04
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−68.
8mVであった。
試験4:水没後60秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
試験6:釉薬層の外観は、目視においてクラック等の
欠陥は見られず、衛生陶器として全く問題なかった。
実施例C5 実施例C3で調製した釉薬スラリーNに炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウムおよび炭酸リチウム粉末を添加し(原
子価が1価の金属成分、すなわちK2O、Na2Oの重量
はガラス成分の合計重量に対して7.2重量%、Li2
O成分は0.7重量%である)、約1時間撹拌した。こ
こで得られた釉薬スラリーを、釉薬Oとする。レーザー
回折式粒度分布計を用いて、撹拌後に得られた釉薬Oの
粒径を測定したところ、10μm以下が68%、50%
平均粒径(D50)が6.0μmであった。
次に、実施例A1と同様の板状試験片上に、下層とし
て釉薬Jをスプレーコーティングし、続いて、上層とし
て釉薬Oをスプレーコーティングした後、1100〜1
200℃で焼成することにより試料を得た。
得られた試料について、上記試験1、2および4〜6
を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.04
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−63.
2mVであった。
試験4:水没後50秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に
剥離した。
試験5:釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、
滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。
試験6:釉薬層の外観は、目視においてクラック等の
欠陥は見られず、衛生陶器として全く問題なかった。
比較例C1 実施例A1と同様の板状試験片上に釉薬Jをスプレー
コーティングした後、 1100〜1200℃で焼成することにより試料を得
た。
得られた試料について、上記試験1、2および4〜7
を行った。その結果は以下の通りであった。
試験1:最外層釉薬層の表面粗さは、Ra=0.10
μmであった。
試験2:最外層釉薬層表面のゼータ電位は、−51.
5mVであった。
試験4:水没後5分間経っても釉薬面の一部分に油膜
が残っていた。
試験5:釉薬層表面には上下方向に幅の広い油膜が帯
状に残存していた。
試験6:釉薬層の外観は、目視においてクラック等の
欠陥は見られず、衛生陶器として全く問題なかった。
試験7:釉薬層表面の反射電子組成像およびマッピン
グ像を図10に示す。図10に示されるように、釉薬層
表面には乳濁剤であるZrO2や溶解しなかったシリカ
粒子が全面に亘り分散して存在しており、かつその対応
する部分では、ビルダー成分(例えばナトリウム、カリ
ウム)が存在しなかった。従って、乳濁剤であるZrO
2や溶解しなかったシリカ粒子が、ビルダー成分(例え
ばナトリウム、カリウム)の層表面への放出を妨害して
いると考えられる。
実施例C1〜C5および比較例C1における評価結果
を表4に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平11−255824 (32)優先日 平成11年9月9日(1999.9.9) (33)優先権主張国 日本(JP) 早期審査対象出願 (72)発明者 伊 藤 正 昭 福岡県北九州市小倉北区中島二丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 一 木 智 康 福岡県北九州市小倉北区中島二丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 石 橋 弘 孝 福岡県北九州市小倉北区中島二丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 町 田 光 義 福岡県北九州市小倉北区中島二丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 41/86,41/89

Claims (45)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陶器素地と、その最外層としての最外層釉
    薬層とを少なくとも有してなる衛生陶器であって、 前記最外層釉薬層が乳濁剤および顔料を含まないか、ま
    たは、前記最外層釉薬層が乳濁剤および/または顔料を
    含む場合には前記最外層釉薬層に含まれる粒子の平均粒
    径が6.0μm以下であり、かつJIS−B0651
    (1996年)に準拠した触針式表面粗さ測定装置によ
    り測定された前記最外層釉薬層表面の表面粗さRaが
    0.07μm未満であり、さらに最外層表面からのX線
    光電子分光法によって測定された、前記最外層釉薬層中
    における、原子価が1価の金属成分および/またはポー
    リングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分の含有量
    が、前記最外層釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換
    算量で20重量%未満であり、 その結果、前記金属成分が、付着汚れに対するセルフク
    リーニング機能を前記最外層釉薬層表面に与えるのに十
    分な量、前記最外層釉薬層表面の全面にわたって均一か
    つ連続的に放出可能にされてなり、前記金属成分が、前
    記最外層釉薬層および/または陶器素地から前記最外層
    釉薬層表面の全面に供給され得る、衛生陶器。
  2. 【請求項2】前記最外層釉薬層表面のpH7におけるゼ
    ータ電位が負であり、かつその絶対値が60mV以上で
    ある、請求項1に記載の衛生陶器。
  3. 【請求項3】前記金属成分が少なくとも前記陶器素地中
    に含有されてなる、請求項1または2に記載の衛生陶
    器。
  4. 【請求項4】前記金属成分が前記最外層釉薬層および陶
    器素地中に含有されてなる、請求項3に記載の衛生陶
    器。
  5. 【請求項5】最外層表面からのX線光電子分光法によっ
    て測定された、前記最外層釉薬層中における前記金属成
    分の含有量が、前記最外層釉薬層中の全金属成分に対し
    て酸化物換算量で7重量%以上である、請求項1〜4の
    いずれか一項に記載の衛生陶器。
  6. 【請求項6】前記陶器素地中における前記金属成分の含
    有量が、前記陶器素地中の全金属成分に対して酸化物換
    算量で5重量%以上である、請求項1〜5のいずれか一
    項に記載の衛生陶器。
  7. 【請求項7】前記最外層釉薬層が実質的に非晶質成分か
    らなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の衛生陶
    器。
  8. 【請求項8】前記最外層釉薬層が実質的に水和可能な物
    質からなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の衛生
    陶器。
  9. 【請求項9】前記最外層釉薬層が抗菌性金属をさらに含
    んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の衛生陶
    器。
  10. 【請求項10】前記抗菌性金属が銀および/または銅で
    あり、最外層釉薬層表面からのX線光電子分光法によっ
    て測定された、前記最外層釉薬層中における前記抗菌性
    金属の含有量が、全金属成分に対して酸化物換算量で
    0.1重量%以上である、請求項9に記載の衛生陶器。
  11. 【請求項11】陶器素地と、その最外層としての最外層
    釉薬層とを少なくとも有してなる衛生陶器であって、 前記最外層釉薬層が乳濁剤および顔料を含まない透明性
    の釉薬層であり、前記陶器素地と前記最外層釉薬層との
    間に、着色性の中間層釉薬層をさらに有してなり、か
    つ、 JIS−B0651(1996年)に準拠した触針式表
    面粗さ測定装置により測定された前記最外層釉薬層表面
    の表面粗さRaが0.07μm未満であり、さらに最外
    層表面からのX線光電子分光法によって測定された、前
    記最外層釉薬層中における原子価が1価の金属成分およ
    び/またはポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金
    属成分の含有量が、前記最外層釉薬層中の全金属成分に
    対して酸化物換算量で30重量%未満であり、 その結果、前記金属成分が、付着汚れに対するセルフク
    リーニング機能を前記最外層釉薬層表面に与えるのに十
    分な量、前記最外層釉薬層表面の全面にわたって均一か
    つ連続的に放出可能にされてなり、前記金属成分が、前
    記最外層釉薬層および/または陶器素地から前記最外層
    釉薬層表面の全面に供給され得る、衛生陶器。
  12. 【請求項12】前記最外層釉薬層表面のpH7における
    ゼータ電位が負であり、かつその絶対値が60mV以上
    である、請求項11に記載の衛生陶器。
  13. 【請求項13】前記金属成分が少なくとも前記最外層釉
    薬層中に含有されてなる、請求項11または12に記載
    の衛生陶器。
  14. 【請求項14】前記金属成分が前記陶器素地および中間
    層釉薬層中に含有されてなる、請求項11〜13のいず
    れか一項に記載の衛生陶器。
  15. 【請求項15】最外層釉薬層表面からのX線光電子分光
    法によって測定された、前記最外層釉薬層中における前
    記金属成分の含有量が、前記最外層釉薬層中の全金属成
    分に対して酸化物換算量で7重量%以上である、請求項
    11〜14のいずれか一項に記載の衛生陶器。
  16. 【請求項16】前記陶器素地中における前記金属成分の
    含有量が、前記陶器素地中の全金属成分に対して酸化物
    換算量で5重量%以上である、請求項11〜15のいず
    れか一項に記載の衛生陶器。
  17. 【請求項17】前記最外層釉薬層が実質的に非晶質成分
    からなる、請求項11〜16のいずれか一項に記載の衛
    生陶器。
  18. 【請求項18】前記最外層釉薬層が実質的に水和可能な
    物質からなる、請求項11〜17のいずれか一項に記載
    の衛生陶器。
  19. 【請求項19】前記最外層釉薬層が抗菌性金属をさらに
    含んでなる、請求項11〜18のいずれか一項に記載の
    衛生陶器。
  20. 【請求項20】前記抗菌性金属が銀および/または銅で
    あり、最外層釉薬層表面からのX線光電子分光法によっ
    て測定された、前記最外層釉薬層中における前記抗菌性
    金属の含有量が、全金属成分に対して酸化物換算量で
    0.1重量%以上である、請求項19に記載の衛生陶
    器。
  21. 【請求項21】陶器素地と、その最外層としての最外層
    釉薬層とを少なくとも有してなる衛生陶器であって、 前記陶器素地と前記最外層釉薬層との間に、前記金属成
    分を主成分として含有する金属成分層をさらに有してな
    り、 前記最外層釉薬層が乳濁剤および顔料を含まないか、ま
    たは、前記最外層釉薬層が乳濁剤および/または顔料を
    含む場合には前記最外層釉薬層に含まれる粒子の平均粒
    径が6.0μm以下であり、かつJIS−B0651
    (1996年)に準拠した触針式表面粗さ測定装置によ
    り測定された前記最外層釉薬層表面の表面粗さRaが
    0.07μm未満であり、 その結果、前記金属成分が、付着汚れに対するセルフク
    リーニング機能を前記最外層釉薬層表面に与えるのに十
    分な量、前記最外層釉薬層表面の全面にわたって均一か
    つ連続的に放出可能にされてなり、前記金属成分が、前
    記最外層釉薬層および/または陶器素地、ならびに前記
    金属成分層から前記最外層釉薬層表面の全面に供給され
    得る、衛生陶器。
  22. 【請求項22】前記最外層釉薬層表面のpH7における
    ゼータ電位が負であり、かつその絶対値が60mV以上
    である、請求項21に記載の衛生陶器。
  23. 【請求項23】前記最外層釉薬層が実質的に非晶質成分
    からなる、請求項21または22に記載の衛生陶器。
  24. 【請求項24】前記最外層釉薬層が実質的に水和可能な
    物質からなる、請求項21〜23のいずれか一項に記載
    の衛生陶器。
  25. 【請求項25】前記最外層釉薬層が抗菌性金属をさらに
    含んでなる、請求項21〜24のいずれか一項に記載の
    衛生陶器。
  26. 【請求項26】前記抗菌性金属が銀および/または銅で
    あり、最外層釉薬層表面からのX線光電子分光法によっ
    て測定された、前記最外層釉薬層中における前記抗菌性
    金属の含有量が、全金属成分に対して酸化物換算量で
    0.1重量%以上である、請求項25に記載の衛生陶
    器。
  27. 【請求項27】陶器素地と、その最外層としての最外層
    釉薬層とを少なくとも有してなる衛生陶器であって、 前記最外層釉薬層が乳濁剤および顔料を含まない透明性
    の釉薬層であり、 前記陶器素地と前記最外層釉薬層との間に、前記陶器素
    地側に形成される着色性の中間層釉薬層と、前記最外層
    釉薬層側に形成される前記金属成分を主成分として含有
    する金属成分層とをさらに有してなり、かつ、 JIS−B0651(1996年)に準拠した触針式表
    面粗さ測定装置により測定された前記最外層釉薬層表面
    の表面粗さRaが0.07μm未満であり、 その結果、前記金属成分が、付着汚れに対するセルフク
    リーニング機能を前記最外層釉薬層表面に与えるのに十
    分な量、前記最外層釉薬層表面の全面にわたって均一か
    つ連続的に放出可能にされてなり、 前記金属成分が、前記最外層釉薬層および/または陶器
    素地、ならびに前記金属成分層から前記最外層釉薬層表
    面の全面に供給され得る、衛生陶器。
  28. 【請求項28】前記最外層釉薬層表面のpH7における
    ゼータ電位が負であり、かつその絶対値が60mV以上
    である、請求項27に記載の衛生陶器。
  29. 【請求項29】前記最外層釉薬層が実質的に非晶質成分
    からなる、請求項27または28に記載の衛生陶器。
  30. 【請求項30】前記最外層釉薬層が実質的に水和可能な
    物質からなる、請求項27〜29のいずれか一項に記載
    の衛生陶器。
  31. 【請求項31】前記最外層釉薬層が抗菌性金属をさらに
    含んでなる、請求項27〜30のいずれか一項に記載の
    衛生陶器。
  32. 【請求項32】前記抗菌性金属が銀および/または銅で
    あり、最外層釉薬層表面からのX線光電子分光法によっ
    て測定された、前記最外層釉薬層中における前記抗菌性
    金属の含有量が、全金属成分に対して酸化物換算量で
    0.1重量%以上である、請求項31に記載の衛生陶
    器。
  33. 【請求項33】陶器素地と、その最外層としての最外層
    釉薬層とを少なくとも有してなる衛生陶器であって、 前記陶器素地と前記最外層釉薬層との間に、前記陶器素
    地側に形成される前記金属成分を主成分として含有する
    金属成分層と、前記最外層釉薬層側に形成される着色性
    の中間層釉薬層とをさらに有してなり、 前記最外層釉薬層が乳濁剤および顔料を含まない透明性
    の釉薬層であり、かつJIS−B0651(1996
    年)に準拠した触針式表面粗さ測定装置により測定され
    た前記最外層釉薬層表面の表面粗さRaが0.07μm
    未満であり、 その結果、前記金属成分が、付着汚れに対するセルフク
    リーニング機能を前記最外層釉薬層表面に与えるのに十
    分な量、前記最外層釉薬層表面の全面にわたって均一か
    つ連続的に放出可能にされてなり、前記金属成分が、前
    記最外層釉薬層および/または陶器素地、ならびに前記
    金属成分層から前記最外層釉薬層表面の全面に供給され
    得る、衛生陶器。
  34. 【請求項34】前記最外層釉薬層表面のpH7における
    ゼータ電位が負であり、かつその絶対値が60mV以上
    である、請求項33に記載の衛生陶器。
  35. 【請求項35】前記最外層釉薬層が実質的に非晶質成分
    からなる、請求項33または34に記載の衛生陶器。
  36. 【請求項36】前記最外層釉薬層が実質的に水和可能な
    物質からなる、請求項33〜35のいずれか一項に記載
    の衛生陶器。
  37. 【請求項37】前記最外層釉薬層が抗菌性金属をさらに
    含んでなる、請求項33〜36のいずれか一項に記載の
    衛生陶器。
  38. 【請求項38】前記抗菌性金属が銀および/または銅で
    あり、最外層釉薬層表面からのX線光電子分光法によっ
    て測定された、前記最外層釉薬層中における前記抗菌性
    金属の含有量が、全金属成分に対して酸化物換算量で
    0.1重量%以上である、請求項37に記載の衛生陶
    器。
  39. 【請求項39】前記衛生陶器が便器である、請求項1〜
    38のいずれか一項に記載の衛生陶器。
  40. 【請求項40】前記衛生陶器が洗面器である、請求項1
    〜38のいずれか一項に記載の衛生陶器。
  41. 【請求項41】前記衛生陶器が便器のサナである、請求
    項1〜38のいずれか一項に記載の衛生陶器。
  42. 【請求項42】前記衛生陶器が大便器である、請求項1
    〜38のいずれか一項に記載の衛生陶器。
  43. 【請求項43】前記衛生陶器が小便器である、請求項1
    〜38のいずれか一項に記載の衛生陶器。
  44. 【請求項44】前記衛生陶器が便器のタンクである、請
    求項1〜38のいずれか一項に記載の衛生陶器。
  45. 【請求項45】前記衛生陶器が手洗器である、請求項1
    〜38のいずれか一項に記載の衛生陶器。
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