JP2000239080A - セルフクリーニング機能を有する部材 - Google Patents
セルフクリーニング機能を有する部材Info
- Publication number
- JP2000239080A JP2000239080A JP11231304A JP23130499A JP2000239080A JP 2000239080 A JP2000239080 A JP 2000239080A JP 11231304 A JP11231304 A JP 11231304A JP 23130499 A JP23130499 A JP 23130499A JP 2000239080 A JP2000239080 A JP 2000239080A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- self
- cleaning function
- function according
- glaze
- component
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
- Sanitary Device For Flush Toilet (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 部材表面の汚れを、例えば重力や流水程度で
簡単に除去できるようにしたセルフクリーニング機能を
有する部材を提供すること。 【解決手段】 基材表面に、(a)実質的に水和可能な
物質と、(b)少なくとも原子価が1価の金属成分及び
/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成
分を含む層が形成されており、且つ前記層中の前記
(b)成分の量は5重量%以上であることを特徴とする
セルフクリーニング機能を有する部材。
簡単に除去できるようにしたセルフクリーニング機能を
有する部材を提供すること。 【解決手段】 基材表面に、(a)実質的に水和可能な
物質と、(b)少なくとも原子価が1価の金属成分及び
/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成
分を含む層が形成されており、且つ前記層中の前記
(b)成分の量は5重量%以上であることを特徴とする
セルフクリーニング機能を有する部材。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大便(主要成分は
脂肪酸や細菌)、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属石鹸
(石鹸カス)、蛋白質、アミノ酸等の油性汚れや、水
垢、尿石等、或いは細菌、真菌等の微生物が容易に除去
可能な部材に関する。
脂肪酸や細菌)、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属石鹸
(石鹸カス)、蛋白質、アミノ酸等の油性汚れや、水
垢、尿石等、或いは細菌、真菌等の微生物が容易に除去
可能な部材に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、生活用品の場合、その表面を清
浄に保つこと、及び長期に亘って美観を高く保つこと
は、使用者が快適に生活する上において必要とされる特
性である。古くより一般家庭において、生活用品を衛生
的に清浄に保ち、美観を高く保つための方法として、界
面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワシやブラシに付
けて強くこする方法が採られてきた。
浄に保つこと、及び長期に亘って美観を高く保つこと
は、使用者が快適に生活する上において必要とされる特
性である。古くより一般家庭において、生活用品を衛生
的に清浄に保ち、美観を高く保つための方法として、界
面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワシやブラシに付
けて強くこする方法が採られてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法によれば、汚れが付着する度に、タワシやブラシでこ
するという労働が要求される。特に、老齢者において、
かかる労働が毎回要求されるのは大変である。また、と
りわけ、生活用品のうち便器や浴槽の洗浄に関しては、
使用者にとって、できれば、清掃頻度がより低くなって
ほしいという願望は強いものがある。さらに、近年上記
界面活性剤が含有される家庭排水の垂れ流しによる河川
の汚染が問題となっている。
法によれば、汚れが付着する度に、タワシやブラシでこ
するという労働が要求される。特に、老齢者において、
かかる労働が毎回要求されるのは大変である。また、と
りわけ、生活用品のうち便器や浴槽の洗浄に関しては、
使用者にとって、できれば、清掃頻度がより低くなって
ほしいという願望は強いものがある。さらに、近年上記
界面活性剤が含有される家庭排水の垂れ流しによる河川
の汚染が問題となっている。
【0004】そこで、本発明の目的は、界面活性剤を使
用しないという意味で地球にやさしく、且つタワシやブ
ラシで強くこすらなくても、部材表面の汚れを、例えば
重力や流水程度で簡単に除去できるようにしたセルフク
リーニング機能を有する部材を提供することを目的とす
る。
用しないという意味で地球にやさしく、且つタワシやブ
ラシで強くこすらなくても、部材表面の汚れを、例えば
重力や流水程度で簡単に除去できるようにしたセルフク
リーニング機能を有する部材を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、基材表面に、(a)実質的に水和可能な物
質と、(b)少なくとも原子価が1価の金属成分及び/
又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分
を含む層が形成されており、且つ前記層中の前記(b)
成分の量は5重量%以上であることを特徴とするセルフ
クリーニング機能を有する部材を提供する。例えば、部
材表面に付着する汚れが、大便(主要成分は脂肪酸や細
菌)、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属石鹸(石鹸カ
ス)、蛋白質、アミノ酸等のカルボキシル末端基を含有
する油性汚れの場合、まず上記原子価が1価の金属成分
及び/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金
属成分が置換反応により優先的に上記油性汚れに付加さ
れ、或いは吸着される。それにより、上記汚れの水との
親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚れが水溶性
化(ケン化)される。ここで、上記層に水和可能な物質
が存在する(好ましくは上記層が実質的に水和可能な物
質から成るようにする)と、ケン化された上記汚れは水
和可能な物質中を電解質としてかなり自由に移動できる
ようになる(図1)。従って、部材表面が重力方向に傾
いている面では、特に水洗によらずとも重力方向に上記
油性汚れが移動するようになり、汚れは自動的に除去さ
れるようになる(図2)。ここで、少なくとも原子価が
1価の金属成分及び/又はポーリングの電気陰性度の尺
度が1以下の金属成分の量が上記層中において5重量%
以上であるようにするとその効果はより顕著に発揮され
る。
解決すべく、基材表面に、(a)実質的に水和可能な物
質と、(b)少なくとも原子価が1価の金属成分及び/
又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分
を含む層が形成されており、且つ前記層中の前記(b)
成分の量は5重量%以上であることを特徴とするセルフ
クリーニング機能を有する部材を提供する。例えば、部
材表面に付着する汚れが、大便(主要成分は脂肪酸や細
菌)、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属石鹸(石鹸カ
ス)、蛋白質、アミノ酸等のカルボキシル末端基を含有
する油性汚れの場合、まず上記原子価が1価の金属成分
及び/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金
属成分が置換反応により優先的に上記油性汚れに付加さ
れ、或いは吸着される。それにより、上記汚れの水との
親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚れが水溶性
化(ケン化)される。ここで、上記層に水和可能な物質
が存在する(好ましくは上記層が実質的に水和可能な物
質から成るようにする)と、ケン化された上記汚れは水
和可能な物質中を電解質としてかなり自由に移動できる
ようになる(図1)。従って、部材表面が重力方向に傾
いている面では、特に水洗によらずとも重力方向に上記
油性汚れが移動するようになり、汚れは自動的に除去さ
れるようになる(図2)。ここで、少なくとも原子価が
1価の金属成分及び/又はポーリングの電気陰性度の尺
度が1以下の金属成分の量が上記層中において5重量%
以上であるようにするとその効果はより顕著に発揮され
る。
【0006】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記部材表面の表面粗さRaが触針式表面
粗さ測定装置(JIS−B0651)により、0.07
μm未満、好ましくは0.05μm以下、より好ましく
は0.03μm以下であるようにする。そうすることに
より、表面の凹凸に汚れが付着しにくくなるとともに、
傾斜面での凹凸の存在による汚れの部分的滞留を防止す
ることが可能となり、付着汚れに対するセルフクリーニ
ング機能が著しく向上する。
成において、前記部材表面の表面粗さRaが触針式表面
粗さ測定装置(JIS−B0651)により、0.07
μm未満、好ましくは0.05μm以下、より好ましく
は0.03μm以下であるようにする。そうすることに
より、表面の凹凸に汚れが付着しにくくなるとともに、
傾斜面での凹凸の存在による汚れの部分的滞留を防止す
ることが可能となり、付着汚れに対するセルフクリーニ
ング機能が著しく向上する。
【0007】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記部材は水と接触した環境で使用する際
に、さらに表面に電気二重層を形成し、且つ前記電気二
重層部にも前記(b)成分が固定されるようになってい
るようにする。そうすることにより、例えば、部材表面
に付着する汚れが、大便(主要成分は脂肪酸や細菌)、
脂肪酸、脂肪酸エステル、金属石鹸(石鹸カス)、蛋白
質、アミノ酸等のカルボキシル末端基を含有する油性汚
れや水垢、尿石等或いは細菌、真菌等の微生物であり、
上記汚れが水とともに齎される場合に、速やかに(b)
成分が置換反応により優先的に上記油性汚れに付加さ
れ、或いは吸着される。それにより、上記汚れの水との
親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚れが水溶性
化(ケン化)され、上記汚れが水洗により容易に除去
(除菌)されるようになる。
成において、前記部材は水と接触した環境で使用する際
に、さらに表面に電気二重層を形成し、且つ前記電気二
重層部にも前記(b)成分が固定されるようになってい
るようにする。そうすることにより、例えば、部材表面
に付着する汚れが、大便(主要成分は脂肪酸や細菌)、
脂肪酸、脂肪酸エステル、金属石鹸(石鹸カス)、蛋白
質、アミノ酸等のカルボキシル末端基を含有する油性汚
れや水垢、尿石等或いは細菌、真菌等の微生物であり、
上記汚れが水とともに齎される場合に、速やかに(b)
成分が置換反応により優先的に上記油性汚れに付加さ
れ、或いは吸着される。それにより、上記汚れの水との
親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚れが水溶性
化(ケン化)され、上記汚れが水洗により容易に除去
(除菌)されるようになる。
【0008】本発明の好ましい態様においては、前記部
材表面のゼータ電位はpHが7付近において負であるよ
うにする。上記構成にすることにより、大腸菌等の菌類
は、一般的にpHが7付近の水中において負に帯電して
いるので、水を接触させた状態では部材表面と菌類とが
電気的に反発し、菌類の付着を防止することができる。
材表面のゼータ電位はpHが7付近において負であるよ
うにする。上記構成にすることにより、大腸菌等の菌類
は、一般的にpHが7付近の水中において負に帯電して
いるので、水を接触させた状態では部材表面と菌類とが
電気的に反発し、菌類の付着を防止することができる。
【0009】本発明の好ましい態様においては、前記部
材表面のゼータ電位はpHが7付近において負であり、
且つその絶対値が60mV以上であるようにする。上記
構成にすることにより、一般的にpHが7付近の水中に
おいて負に帯電している大腸菌等の菌類に対して、部材
表面と菌類との電気的反発力を増加させることができ、
菌類の付着をより有効に防止することができる。
材表面のゼータ電位はpHが7付近において負であり、
且つその絶対値が60mV以上であるようにする。上記
構成にすることにより、一般的にpHが7付近の水中に
おいて負に帯電している大腸菌等の菌類に対して、部材
表面と菌類との電気的反発力を増加させることができ、
菌類の付着をより有効に防止することができる。
【0010】本発明の好ましい態様においては、前記層
中には、さらに抗菌性金属が含有されているようにす
る。そうすることにより、部材表面に菌が付着した場合
においても、抗菌性金属の殺菌力と原子価が1価の金属
成分及び/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下
の金属成分による水溶性化(ケン化)により、部材表面
における菌の繁殖及びそれに伴う汚れを防止することが
できる。
中には、さらに抗菌性金属が含有されているようにす
る。そうすることにより、部材表面に菌が付着した場合
においても、抗菌性金属の殺菌力と原子価が1価の金属
成分及び/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下
の金属成分による水溶性化(ケン化)により、部材表面
における菌の繁殖及びそれに伴う汚れを防止することが
できる。
【0011】本発明の好ましい態様においては、前記二
重層部には、さらに抗菌性金属イオンが含有されている
ようにする。電気二重層部に抗菌性金属イオンが含有さ
れているようにすることにより、部材表面に近づく菌が
部材に固着する前に、抗菌性金属イオンが優先吸着して
菌を死滅させ、原子価が1価の金属成分及び/又はポー
リングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分による水
溶性化(ケン化)が可能となり、菌の部材への付着が防
止されるようになる(図3)。
重層部には、さらに抗菌性金属イオンが含有されている
ようにする。電気二重層部に抗菌性金属イオンが含有さ
れているようにすることにより、部材表面に近づく菌が
部材に固着する前に、抗菌性金属イオンが優先吸着して
菌を死滅させ、原子価が1価の金属成分及び/又はポー
リングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分による水
溶性化(ケン化)が可能となり、菌の部材への付着が防
止されるようになる(図3)。
【0012】本発明の好ましい態様においては、前記部
材は生活用品であるようにする。生活用品においては、
上述したように、その表面を清浄に保つこと、及び長期
に亘って美観を高く保つことは、使用者が快適に生活す
る上において必要とされる特性であり、セルフクリーニ
ング機能の寄与するところが大きい。
材は生活用品であるようにする。生活用品においては、
上述したように、その表面を清浄に保つこと、及び長期
に亘って美観を高く保つことは、使用者が快適に生活す
る上において必要とされる特性であり、セルフクリーニ
ング機能の寄与するところが大きい。
【0013】本発明の好ましい態様においては、前記部
材は衛生陶器であるようにする。衛生陶器は一般的に水
を使用する環境下で用いられる生活用品であるので、上
記重力によるセルフクリーニング機能と上記水洗による
セルフクリーニング機能の双方を享受可能である。
材は衛生陶器であるようにする。衛生陶器は一般的に水
を使用する環境下で用いられる生活用品であるので、上
記重力によるセルフクリーニング機能と上記水洗による
セルフクリーニング機能の双方を享受可能である。
【0014】本発明の好ましい態様においては、前記部
材は便器であるようにする。人間の大便中の主要成分は
オレイン酸と細菌であり、いずれもカルボキシル末端基
含有物質である。従って、本発明を便器に利用すれば、
便器ボール面は水洗可能であるから、大便の付着しにく
いボール面を有する便器が提供可能となる。また、便器
に水垢が付着すると、付着表面の凹凸が激しくなり、そ
の周囲に洗浄水が流れなくなり、周囲から加速的に汚れ
るようになる。従って、本発明を便器に利用すれば、洗
浄水が便器ボール面にあまねく流れるようになり、汚れ
の付着しにくい便器が提供可能となる。また、便器に水
垢が付着していき、ある程度の膜厚になるとクラックを
生じるようになる。このクラック部にカビ等の微生物が
繁殖し、所定数を超えると黒ずみ汚れとなって見えると
推定される。従って、本発明を便器に利用すれば、水垢
被膜の形成させないようにすることができ、その結果、
黒ずみ汚れが生じにくい便器が提供可能となる。さら
に、便器に尿石が付着すると、そこが菌の繁殖の温床と
なり、菌数が一定数を超えると黄色やピンク色や茶色に
汚れる原因となる。本発明を便器に利用すれば、菌の繁
殖する温床となる尿石が付着しなくなるので、汚れにく
い便器が提供可能となる。
材は便器であるようにする。人間の大便中の主要成分は
オレイン酸と細菌であり、いずれもカルボキシル末端基
含有物質である。従って、本発明を便器に利用すれば、
便器ボール面は水洗可能であるから、大便の付着しにく
いボール面を有する便器が提供可能となる。また、便器
に水垢が付着すると、付着表面の凹凸が激しくなり、そ
の周囲に洗浄水が流れなくなり、周囲から加速的に汚れ
るようになる。従って、本発明を便器に利用すれば、洗
浄水が便器ボール面にあまねく流れるようになり、汚れ
の付着しにくい便器が提供可能となる。また、便器に水
垢が付着していき、ある程度の膜厚になるとクラックを
生じるようになる。このクラック部にカビ等の微生物が
繁殖し、所定数を超えると黒ずみ汚れとなって見えると
推定される。従って、本発明を便器に利用すれば、水垢
被膜の形成させないようにすることができ、その結果、
黒ずみ汚れが生じにくい便器が提供可能となる。さら
に、便器に尿石が付着すると、そこが菌の繁殖の温床と
なり、菌数が一定数を超えると黄色やピンク色や茶色に
汚れる原因となる。本発明を便器に利用すれば、菌の繁
殖する温床となる尿石が付着しなくなるので、汚れにく
い便器が提供可能となる。
【0015】本発明の好ましい態様においては、前記部
材は洗面器であるようにする。洗面器の主要の汚れ成分
は、人間の脂質(脂肪酸エステル)及び石鹸カス(脂肪
酸カルシウム)であるが、それらはいずれもカルボキシ
ル末端基含有物質である。従って、本発明を洗面器に利
用すれば、洗面器ボール面は水洗可能であるから、洗面
器ボール面に汚れの付着しにくい洗面器が提供可能とな
る。
材は洗面器であるようにする。洗面器の主要の汚れ成分
は、人間の脂質(脂肪酸エステル)及び石鹸カス(脂肪
酸カルシウム)であるが、それらはいずれもカルボキシ
ル末端基含有物質である。従って、本発明を洗面器に利
用すれば、洗面器ボール面は水洗可能であるから、洗面
器ボール面に汚れの付着しにくい洗面器が提供可能とな
る。
【0016】本発明の好ましい態様においては、前記部
材は浴室用部材であるようにする。浴室における主要の
汚れ成分は、人間の脂質(脂肪酸エステル)及び石鹸カ
ス(脂肪酸カルシウム)であるが、それらはいずれもカ
ルボキシル末端基含有物質である。従って、本発明を浴
室用部材に利用すれば、浴室用部材はシャワー等により
水洗可能であるから、汚れの付着しにくい浴室用部材が
提供可能となる。
材は浴室用部材であるようにする。浴室における主要の
汚れ成分は、人間の脂質(脂肪酸エステル)及び石鹸カ
ス(脂肪酸カルシウム)であるが、それらはいずれもカ
ルボキシル末端基含有物質である。従って、本発明を浴
室用部材に利用すれば、浴室用部材はシャワー等により
水洗可能であるから、汚れの付着しにくい浴室用部材が
提供可能となる。
【0017】本発明の好ましい態様においては、前記部
材はタイルであるようにする。タイルは、内装用として
は、浴室の床材、壁材、天井材、台所のキッチンバッ
ク、流し等に利用されている。また、外装用としては建
造物の壁面、舗装、プール床面、プール壁面等に利用さ
れている。浴室用部材、台所用部材は水洗可能であり、
外装用途では雨による洗浄も期待できる。従って、上記
重力によるセルフクリーニング機能と上記水洗によるセ
ルフクリーニング機能の双方を享受可能である。
材はタイルであるようにする。タイルは、内装用として
は、浴室の床材、壁材、天井材、台所のキッチンバッ
ク、流し等に利用されている。また、外装用としては建
造物の壁面、舗装、プール床面、プール壁面等に利用さ
れている。浴室用部材、台所用部材は水洗可能であり、
外装用途では雨による洗浄も期待できる。従って、上記
重力によるセルフクリーニング機能と上記水洗によるセ
ルフクリーニング機能の双方を享受可能である。
【0018】本発明の好ましい態様においては、前記部
材は鏡であるようにする。鏡も浴室や洗面所で利用され
るため、その主要な汚れはカルボキシル末端基含有物質
や水垢である。洗面鏡では上記重力によるセルフクリー
ニング機能が発揮可能である。また、浴室鏡では上記重
力によるセルフクリーニング機能と上記水洗によるセル
フクリーニング機能の双方を享受可能である。さらに、
車両用ミラーでは上記重力によるセルフクリーニング機
能と上記雨水によるセルフクリーニング機能の双方を享
受可能である。鏡においては、さらに表面に水和可能な
物質が含有されていることにより、防曇性や防滴性も発
揮可能となる。
材は鏡であるようにする。鏡も浴室や洗面所で利用され
るため、その主要な汚れはカルボキシル末端基含有物質
や水垢である。洗面鏡では上記重力によるセルフクリー
ニング機能が発揮可能である。また、浴室鏡では上記重
力によるセルフクリーニング機能と上記水洗によるセル
フクリーニング機能の双方を享受可能である。さらに、
車両用ミラーでは上記重力によるセルフクリーニング機
能と上記雨水によるセルフクリーニング機能の双方を享
受可能である。鏡においては、さらに表面に水和可能な
物質が含有されていることにより、防曇性や防滴性も発
揮可能となる。
【0019】本発明の好ましい態様においては、前記部
材はフィルムであるようにする。フィルムにおいては、
種々の物品に、必要な時にのみ、貼着して使用可能であ
る。
材はフィルムであるようにする。フィルムにおいては、
種々の物品に、必要な時にのみ、貼着して使用可能であ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において、水和可能な物質
としては、構造中を水分子が通過可能な非架橋酸素を有
するSiO4網目構造体を含む物質(例えば、シリカ、
シリケート、水ガラス、高アルカリ質釉薬等)、ベーマ
イト、水酸化アルミニウム等が利用できる。
としては、構造中を水分子が通過可能な非架橋酸素を有
するSiO4網目構造体を含む物質(例えば、シリカ、
シリケート、水ガラス、高アルカリ質釉薬等)、ベーマ
イト、水酸化アルミニウム等が利用できる。
【0021】原子価が1価の金属成分としては、H3O
(H)、Li、Na、K、Rb、Cs、Ag、Cu、A
u等が好適に利用できる。また、ポーリングの電気陰性
度の尺度が1以下の金属成分としては、Li、Na、
K、Rb、Cs、Ba、Sr等が好適に利用できる。
(H)、Li、Na、K、Rb、Cs、Ag、Cu、A
u等が好適に利用できる。また、ポーリングの電気陰性
度の尺度が1以下の金属成分としては、Li、Na、
K、Rb、Cs、Ba、Sr等が好適に利用できる。
【0022】抗菌性金属としては、銀、銅、亜鉛が好適
に利用できる。そのうち、細菌に対して最も好ましい金
属は銀であり、上記層の構成成分に対して0.1重量%
以上、好ましくは0.5重量%以上含有されているよう
にするとよい。また、黴等の真菌に対して最も好ましい
金属は銅である。さらに、水和可能な物質として高アル
カリ質釉薬を用いる場合には、亜鉛が焼成時の発色等が
生じにくく、好ましい。上記銀、銅、亜鉛の特性を兼ね
備えさせるために、上記金属は複数種配合させて用いる
ようにしてもよい。
に利用できる。そのうち、細菌に対して最も好ましい金
属は銀であり、上記層の構成成分に対して0.1重量%
以上、好ましくは0.5重量%以上含有されているよう
にするとよい。また、黴等の真菌に対して最も好ましい
金属は銅である。さらに、水和可能な物質として高アル
カリ質釉薬を用いる場合には、亜鉛が焼成時の発色等が
生じにくく、好ましい。上記銀、銅、亜鉛の特性を兼ね
備えさせるために、上記金属は複数種配合させて用いる
ようにしてもよい。
【0023】本発明の基材の材質としては、例えば、金
属、陶磁器、セラミック、ガラス、プラスチック、木、
石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、それらの複
合材、積層材、塗装材等が好適に利用できる。
属、陶磁器、セラミック、ガラス、プラスチック、木、
石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、それらの複
合材、積層材、塗装材等が好適に利用できる。
【0024】また、本発明の利用可能な部材としては、
車両用ミラー、浴室用鏡、洗面鏡、歯科用鏡、道路鏡等
の鏡、眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡
レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レン
ズ等のレンズ、プリズム、建築用窓ガラス、自動車用窓
ガラス、鉄道車両用窓ガラス、航空機用窓ガラス、船舶
用窓ガラス、潜水艇用窓ガラス等の乗物用窓ガラス、オ
ートバイの風防ガラス、ゴーグル、ヘルメットシール
ド、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシー
ルド、冷凍食品陳列ケース、保温用陳列ケース、加熱食
品用透明蓋、計測機器用カバーガラス、車両用照明灯カ
バー等の透明部材や、建材、タイル、建物外装、建物内
装、窓枠、構造部材、自動車外装、鉄道車両外装、航空
機外装、船舶外装等の乗物外装、塗装物、機械装置、物
品外装、防塵カバー、交通標識、各種表示装置、広告
塔、道路用防音壁、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋
梁、ガードレール外装、トンネル内装、碍子、太陽電池
カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、住
宅設備、便器、大便器、小便器、便器タンク、手洗器、
便器サナ、浴槽、洗面器、照明器具、照明カバー、台所
用品、食器、食器洗浄機、食器乾燥機、流し、キッチン
バック、浴室壁、調理レンジ、浴室床、浴室天井、キッ
チンフード、換気扇、傘、墓石等が挙げられる。
車両用ミラー、浴室用鏡、洗面鏡、歯科用鏡、道路鏡等
の鏡、眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡
レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レン
ズ等のレンズ、プリズム、建築用窓ガラス、自動車用窓
ガラス、鉄道車両用窓ガラス、航空機用窓ガラス、船舶
用窓ガラス、潜水艇用窓ガラス等の乗物用窓ガラス、オ
ートバイの風防ガラス、ゴーグル、ヘルメットシール
ド、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシー
ルド、冷凍食品陳列ケース、保温用陳列ケース、加熱食
品用透明蓋、計測機器用カバーガラス、車両用照明灯カ
バー等の透明部材や、建材、タイル、建物外装、建物内
装、窓枠、構造部材、自動車外装、鉄道車両外装、航空
機外装、船舶外装等の乗物外装、塗装物、機械装置、物
品外装、防塵カバー、交通標識、各種表示装置、広告
塔、道路用防音壁、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋
梁、ガードレール外装、トンネル内装、碍子、太陽電池
カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、住
宅設備、便器、大便器、小便器、便器タンク、手洗器、
便器サナ、浴槽、洗面器、照明器具、照明カバー、台所
用品、食器、食器洗浄機、食器乾燥機、流し、キッチン
バック、浴室壁、調理レンジ、浴室床、浴室天井、キッ
チンフード、換気扇、傘、墓石等が挙げられる。
【0025】次に、本発明の部材の製造方法について、
基材がプラスチックの場合、ガラスの場合、陶磁器の場
合を例にとり、説明する。基材がプラスチックの場合
は、例えば、基材表面に原子価が1価の金属成分及び/
又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分
を含む化合物を塗布して乾燥させる。基材がガラスの場
合は、上記方法でもよいが、さらに500℃以下程度の
熱処理を行って、上記層を固着させてもよい。この操作
を行う方が一般的に平滑性も向上する。基材が衛生陶器
やタイル等の陶磁器の場合は、上記方法でもよいが、さ
らに1500℃以下程度の熱処理を行って、上記層を固
着させてもよい。この操作を行う方が一般的に平滑性も
向上する。
基材がプラスチックの場合、ガラスの場合、陶磁器の場
合を例にとり、説明する。基材がプラスチックの場合
は、例えば、基材表面に原子価が1価の金属成分及び/
又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分
を含む化合物を塗布して乾燥させる。基材がガラスの場
合は、上記方法でもよいが、さらに500℃以下程度の
熱処理を行って、上記層を固着させてもよい。この操作
を行う方が一般的に平滑性も向上する。基材が衛生陶器
やタイル等の陶磁器の場合は、上記方法でもよいが、さ
らに1500℃以下程度の熱処理を行って、上記層を固
着させてもよい。この操作を行う方が一般的に平滑性も
向上する。
【0026】ここで、原子価が1価の金属成分及び/又
はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分を
含む化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸バ
リウム、炭酸ストロンチウム、炭酸銀、炭酸第一銅、珪
酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸セシ
ウム、珪酸ルビジウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチ
ウム、珪酸銀、珪酸第一銅、塩化ナトリウム、塩化カリ
ウム、塩化リチウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、
塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化銀、塩化第一
銅、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢
酸セシウム、酢酸ルビジウム、酢酸バリウム、酢酸スト
ロンチウム、酢酸銀、酢酸第一銅、硫酸ナトリウム、、
硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸セシウム、硫酸ルビ
ジウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸銀、
硫酸第一銅、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチ
ウム、硝酸セシウム、硝酸ルビジウム、硝酸バリウム、
硝酸ストロンチウム、硝酸銀、硝酸第一銅、乳酸ナトリ
ウム、乳酸カリウム、乳酸リチウム、乳酸セシウム、乳
酸バリウム、乳酸ルビジウム、乳酸ストロンチウム、乳
酸銀、乳酸第一銅、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウ
ム、ホウ酸リチウム、ホウ酸セシウム、ホウ酸ルビジウ
ム、ホウ酸バリウム、ホウ酸ストロンチウム、プロピオ
ン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸
リチウム、プロピオン酸セシウム、プロピオン酸ルビジ
ウム、プロピオン酸バリウム、プロピオン酸ストロンチ
ウム、プロピオン酸銀、プロピオン酸第一銅、酪酸ナト
リウム、酪酸カリウム、酪酸リチウム、酪酸セシウム、
酪酸ルビジウム、酪酸バリウム、酪酸ストロンチウム、
酪酸銀、酪酸第一銅、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、
ギ酸リチウム、ギ酸セシウム、ギ酸ルビジウム、ギ酸バ
リウム、ギ酸ストロンチウム、ギ酸銀、ギ酸第一銅、塩
化第一金、水金、金粉、銀粉、水ガラス、H(AuCl
4)・4H2O、Na(AuCl4)・2H2O等が好適に
利用できる。
はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成分を
含む化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸バ
リウム、炭酸ストロンチウム、炭酸銀、炭酸第一銅、珪
酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸セシ
ウム、珪酸ルビジウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチ
ウム、珪酸銀、珪酸第一銅、塩化ナトリウム、塩化カリ
ウム、塩化リチウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、
塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化銀、塩化第一
銅、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢
酸セシウム、酢酸ルビジウム、酢酸バリウム、酢酸スト
ロンチウム、酢酸銀、酢酸第一銅、硫酸ナトリウム、、
硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸セシウム、硫酸ルビ
ジウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸銀、
硫酸第一銅、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチ
ウム、硝酸セシウム、硝酸ルビジウム、硝酸バリウム、
硝酸ストロンチウム、硝酸銀、硝酸第一銅、乳酸ナトリ
ウム、乳酸カリウム、乳酸リチウム、乳酸セシウム、乳
酸バリウム、乳酸ルビジウム、乳酸ストロンチウム、乳
酸銀、乳酸第一銅、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウ
ム、ホウ酸リチウム、ホウ酸セシウム、ホウ酸ルビジウ
ム、ホウ酸バリウム、ホウ酸ストロンチウム、プロピオ
ン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸
リチウム、プロピオン酸セシウム、プロピオン酸ルビジ
ウム、プロピオン酸バリウム、プロピオン酸ストロンチ
ウム、プロピオン酸銀、プロピオン酸第一銅、酪酸ナト
リウム、酪酸カリウム、酪酸リチウム、酪酸セシウム、
酪酸ルビジウム、酪酸バリウム、酪酸ストロンチウム、
酪酸銀、酪酸第一銅、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、
ギ酸リチウム、ギ酸セシウム、ギ酸ルビジウム、ギ酸バ
リウム、ギ酸ストロンチウム、ギ酸銀、ギ酸第一銅、塩
化第一金、水金、金粉、銀粉、水ガラス、H(AuCl
4)・4H2O、Na(AuCl4)・2H2O等が好適に
利用できる。
【0027】
【実施例】(比較例1)
【0028】
【表1】
【0029】表1の組成から成る釉薬原料(原子価が1
価の金属成分、すなわちK2O、Na2Oの重量はガラス
成分の合計重量に対して3.5重量%である)2kgと
水1kg及び球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポ
ット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。
ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Aとする。レーザ
ー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬A
の粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50
%平均粒径(D50)が5.8μmであった。また、表
1から乳濁剤であるZrO2と顔料を除いた組成から成
る釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわちK
2O、Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して
3.5重量%である)2kgと水1kg及び球石4kg
を、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミ
ルにより約18時間粉砕した。ここで得られた釉薬スラ
リーを、釉薬Bとする。レーザー回折式粒度分布計を用
いて、粉砕後に得られた釉薬Bの粒径を測定したとこ
ろ、10μm以下が68%、50%平均粒径(D50)
が6.0μmであった。次に、ケイ砂、長石、粘土等を
原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×
150mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上
に釉薬Aをスプレーコーティングした後、1100〜1
200℃で焼成することにより試料を得た。得られた試
料について、釉薬層の表面粗さ測定、疑似汚れによる水
中及び空気中での耐汚染試験、釉薬層表面のゼータ電位
測定、抗菌性試験を行った。釉薬層の表面粗さは、触針
式表面粗さ測定器(JIS−B0651)を用い、中心
線平均粗さRaを測定した。その結果、Ra=0.07
μmであった。疑似汚れによる水中での耐汚染試験は、
初めに、オレイン酸200重量部、エンジンオイル1重
量部、オイルブラック1重量部から成る疑似汚れを作製
した。ここで、オレイン酸は大便中の主要成分、エンジ
ンオイルとオイルブラックは油が目視で見え易いように
するための添加剤である。次に、300ccビーカーに
蒸留水を約270cc入れ、続いて、上記疑似汚れを約
30cc入れた。このビーカー中に上記板状試料を沈
め、試料沈降時に釉薬層表面に付着した油汚れが水中で
剥離するまでの時間を計測した。その結果、5分間経っ
ても釉薬面の一部分に油膜が残っていた。また、疑似汚
れによる空気中での耐汚染試験は、上記成分の疑似汚れ
0.3ccを水平に置いた板状試料の中央に滴下し、そ
の後、垂直に傾けて5分間経過した時に釉薬面上の疑似
汚れの残存状態を目視により評価した。その結果、上下
方向に幅の広い油膜が帯状に残存していた。釉薬層表面
のゼータ電位測定は、レーザーゼータ電位計(大塚電子
製、ELS−6000)を用い、pH〜7.0、濃度1
0mMのNaCl水溶液を電解質とし、ポリスチレンラ
テックスを光散乱のモニター粒子として、レーザーの散
乱光の様子から電気泳動時における電気浸透流の分布を
測定し、これを森・岡本の式で解析することにより行っ
た。その結果、釉薬層表面のゼータ電位は、−57.2
mVであった。抗菌性の評価については、大腸菌(Es
chericia coli、IFO3972)に対す
る殺菌効果を試験した。すなわち、予め70vol%の
エタノールで殺菌し乾燥させておいた上記試料の釉薬層
表面に、菌液0.2ml(菌数:1×105〜5×105
個)を滴下し、45×45mmのポリエチレン製フィル
ムで被覆して密着させ、温度37±1度、相対湿度90
%以上の雰囲気中で24時間静置した。その後、フィル
ムをはがし、NA培地でスタンプし、温度35±1度の
環境下で16〜20時間培養して生菌数を測定した。同
時に、抗菌性の無いブランクサンプル(対照品)で試験
して培養した菌数と、上記サンプル(供試品)で試験し
て培養した菌数を比較することにより、減菌率及び増殖
抑制率を算出し、抗菌性を判定した。減菌率は、以下の
式により計算される。 減菌率(%)=100×([対照品生残菌数]−[供試
品生残菌数])/[対照品生残菌数] また、増殖抑制率は、以下の式により計算される。 増殖抑制率=log([対照品生残菌数]/[供試品生
残菌数]) なお、抗菌効果の有無の判定基準は、上記減菌率が99
%以上又は増殖抑制率が2.0以上の場合「抗菌効果あ
り」、それ以下の場合は「抗菌効果なし」と判定する。
その結果、本比較例1試料の減菌率は25%、増殖抑制
率は0.12であり、抗菌性なしと判定された。
価の金属成分、すなわちK2O、Na2Oの重量はガラス
成分の合計重量に対して3.5重量%である)2kgと
水1kg及び球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポ
ット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。
ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Aとする。レーザ
ー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬A
の粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50
%平均粒径(D50)が5.8μmであった。また、表
1から乳濁剤であるZrO2と顔料を除いた組成から成
る釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわちK
2O、Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して
3.5重量%である)2kgと水1kg及び球石4kg
を、容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミ
ルにより約18時間粉砕した。ここで得られた釉薬スラ
リーを、釉薬Bとする。レーザー回折式粒度分布計を用
いて、粉砕後に得られた釉薬Bの粒径を測定したとこ
ろ、10μm以下が68%、50%平均粒径(D50)
が6.0μmであった。次に、ケイ砂、長石、粘土等を
原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×
150mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上
に釉薬Aをスプレーコーティングした後、1100〜1
200℃で焼成することにより試料を得た。得られた試
料について、釉薬層の表面粗さ測定、疑似汚れによる水
中及び空気中での耐汚染試験、釉薬層表面のゼータ電位
測定、抗菌性試験を行った。釉薬層の表面粗さは、触針
式表面粗さ測定器(JIS−B0651)を用い、中心
線平均粗さRaを測定した。その結果、Ra=0.07
μmであった。疑似汚れによる水中での耐汚染試験は、
初めに、オレイン酸200重量部、エンジンオイル1重
量部、オイルブラック1重量部から成る疑似汚れを作製
した。ここで、オレイン酸は大便中の主要成分、エンジ
ンオイルとオイルブラックは油が目視で見え易いように
するための添加剤である。次に、300ccビーカーに
蒸留水を約270cc入れ、続いて、上記疑似汚れを約
30cc入れた。このビーカー中に上記板状試料を沈
め、試料沈降時に釉薬層表面に付着した油汚れが水中で
剥離するまでの時間を計測した。その結果、5分間経っ
ても釉薬面の一部分に油膜が残っていた。また、疑似汚
れによる空気中での耐汚染試験は、上記成分の疑似汚れ
0.3ccを水平に置いた板状試料の中央に滴下し、そ
の後、垂直に傾けて5分間経過した時に釉薬面上の疑似
汚れの残存状態を目視により評価した。その結果、上下
方向に幅の広い油膜が帯状に残存していた。釉薬層表面
のゼータ電位測定は、レーザーゼータ電位計(大塚電子
製、ELS−6000)を用い、pH〜7.0、濃度1
0mMのNaCl水溶液を電解質とし、ポリスチレンラ
テックスを光散乱のモニター粒子として、レーザーの散
乱光の様子から電気泳動時における電気浸透流の分布を
測定し、これを森・岡本の式で解析することにより行っ
た。その結果、釉薬層表面のゼータ電位は、−57.2
mVであった。抗菌性の評価については、大腸菌(Es
chericia coli、IFO3972)に対す
る殺菌効果を試験した。すなわち、予め70vol%の
エタノールで殺菌し乾燥させておいた上記試料の釉薬層
表面に、菌液0.2ml(菌数:1×105〜5×105
個)を滴下し、45×45mmのポリエチレン製フィル
ムで被覆して密着させ、温度37±1度、相対湿度90
%以上の雰囲気中で24時間静置した。その後、フィル
ムをはがし、NA培地でスタンプし、温度35±1度の
環境下で16〜20時間培養して生菌数を測定した。同
時に、抗菌性の無いブランクサンプル(対照品)で試験
して培養した菌数と、上記サンプル(供試品)で試験し
て培養した菌数を比較することにより、減菌率及び増殖
抑制率を算出し、抗菌性を判定した。減菌率は、以下の
式により計算される。 減菌率(%)=100×([対照品生残菌数]−[供試
品生残菌数])/[対照品生残菌数] また、増殖抑制率は、以下の式により計算される。 増殖抑制率=log([対照品生残菌数]/[供試品生
残菌数]) なお、抗菌効果の有無の判定基準は、上記減菌率が99
%以上又は増殖抑制率が2.0以上の場合「抗菌効果あ
り」、それ以下の場合は「抗菌効果なし」と判定する。
その結果、本比較例1試料の減菌率は25%、増殖抑制
率は0.12であり、抗菌性なしと判定された。
【0030】(実施例1)比較例1で調製した釉薬Bの
組成に対して、Na2O成分が多くなるように調合した
釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわちK2O、
Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して10重
量%である)を、電気炉を用いて1300〜1400℃
にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。こ
れを、スタンプミルにより粉砕し、得られた粉末600
g、銀粉3.0g(釉薬に対して0.5%)、水400
g及びアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器
製ポット中に入れ、ボールミルにより約24時間粉砕し
た。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Cとする。レ
ーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉
薬Cの粒径を測定したところ、10μm以下が68%、
50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。次
に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶
器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試験片を
作製した。この板状試験片上に、下層として釉薬Aをス
プレーコーティングし、続いて、上層として釉薬Cをス
プレーコーティングした後、1100〜1200℃で焼
成することにより試料を得た。得られた試料について、
比較例1と同様に評価したところ、釉薬層の表面粗さ
は、Ra=0.02μmであった。疑似汚れによる水中
での耐汚染試験については、水没後35秒後に釉薬面の
油膜がほぼ完全に剥離した。疑似汚れによる空気中での
耐汚染試験については、釉薬層表面には極微量の油滴が
あるものの、滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちてい
た。釉薬層表面のゼータ電位測定結果は、−68.3m
Vであった。抗菌性試験結果は、減菌率99.994
%、増殖抑制率4.2であり、抗菌性ありと判定され
た。
組成に対して、Na2O成分が多くなるように調合した
釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわちK2O、
Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して10重
量%である)を、電気炉を用いて1300〜1400℃
にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。こ
れを、スタンプミルにより粉砕し、得られた粉末600
g、銀粉3.0g(釉薬に対して0.5%)、水400
g及びアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器
製ポット中に入れ、ボールミルにより約24時間粉砕し
た。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Cとする。レ
ーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉
薬Cの粒径を測定したところ、10μm以下が68%、
50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。次
に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶
器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試験片を
作製した。この板状試験片上に、下層として釉薬Aをス
プレーコーティングし、続いて、上層として釉薬Cをス
プレーコーティングした後、1100〜1200℃で焼
成することにより試料を得た。得られた試料について、
比較例1と同様に評価したところ、釉薬層の表面粗さ
は、Ra=0.02μmであった。疑似汚れによる水中
での耐汚染試験については、水没後35秒後に釉薬面の
油膜がほぼ完全に剥離した。疑似汚れによる空気中での
耐汚染試験については、釉薬層表面には極微量の油滴が
あるものの、滴下した油汚れはほぼ完全に流れ落ちてい
た。釉薬層表面のゼータ電位測定結果は、−68.3m
Vであった。抗菌性試験結果は、減菌率99.994
%、増殖抑制率4.2であり、抗菌性ありと判定され
た。
【0031】(実施例2)比較例1で調製した釉薬スラ
リーBに炭酸ナトリウム粉末及び銀粉を添加し(原子価
が1価の金属成分、すなわちK2O、Na2Oの重量はガ
ラス成分の合計重量に対して10重量%、Agは0.5
重量%である)、約3時間撹拌した。ここで得られた釉
薬スラリーを、釉薬Dとする。レーザー回折式粒度分布
計を用いて、撹拌後に得られた釉薬Dの粒径を測定した
ところ、10μm以下が68%、50%平均粒径(D5
0)が6.0μmであった。次に、ケイ砂、長石、粘土
等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、7
0×150mmの板状試験片を作製した。この板状試験
片上に、下層として釉薬Aをスプレーコーティングし、
続いて、上層として釉薬Dをスプレーコーティングした
後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を
得た。得られた試料について、比較例1と同様に評価し
たところ、釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03μmで
あった。疑似汚れによる水中での耐汚染試験について
は、水没後30秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離し
た。疑似汚れによる空気中での耐汚染試験については、
釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、滴下した油
汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。釉薬層表面のゼータ
電位測定結果は、−66.5mVであった。抗菌性試験
結果は、減菌率99.991%、増殖抑制率4.0であ
り、抗菌性ありと判定された。
リーBに炭酸ナトリウム粉末及び銀粉を添加し(原子価
が1価の金属成分、すなわちK2O、Na2Oの重量はガ
ラス成分の合計重量に対して10重量%、Agは0.5
重量%である)、約3時間撹拌した。ここで得られた釉
薬スラリーを、釉薬Dとする。レーザー回折式粒度分布
計を用いて、撹拌後に得られた釉薬Dの粒径を測定した
ところ、10μm以下が68%、50%平均粒径(D5
0)が6.0μmであった。次に、ケイ砂、長石、粘土
等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、7
0×150mmの板状試験片を作製した。この板状試験
片上に、下層として釉薬Aをスプレーコーティングし、
続いて、上層として釉薬Dをスプレーコーティングした
後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を
得た。得られた試料について、比較例1と同様に評価し
たところ、釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03μmで
あった。疑似汚れによる水中での耐汚染試験について
は、水没後30秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離し
た。疑似汚れによる空気中での耐汚染試験については、
釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、滴下した油
汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。釉薬層表面のゼータ
電位測定結果は、−66.5mVであった。抗菌性試験
結果は、減菌率99.991%、増殖抑制率4.0であ
り、抗菌性ありと判定された。
【0032】(実施例3)比較例1で調製した釉薬Bの
組成に対して、Na2O成分が多くなるように調合した
釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわちK2O、
Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して20重
量%である)2kg、銀粉10g(釉薬に対して0.5
重量%)、水1kg及び球石4kgを、容積6リットル
の陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約20時間
粉砕した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Eとす
る。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得ら
れた釉薬Eの粒径を測定したところ、10μm以下が6
3%、50%平均粒径(D50)が6.5μmであっ
た。次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した
衛生陶器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試
験片を作製した。この板状試験片上に、第一層として釉
薬Aをスプレーコーティングし、続いて、第二層として
釉薬Bをスプレーコーティングし、さらに、第三層とし
て釉薬Eをスプレーコーティングした後、1100〜1
200℃で焼成することにより試料を得た。得られた試
料について、比較例1と同様に評価したところ、釉薬層
の表面粗さは、Ra=0.03μmであった。疑似汚れ
による水中での耐汚染試験については、水没後45秒後
に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離した。疑似汚れによる
空気中での耐汚染試験については、釉薬層表面には極微
量の油滴があるものの、滴下した油汚れはほぼ完全に流
れ落ちていた。釉薬層表面のゼータ電位測定結果は、−
72.0mVであった。抗菌性試験結果は、減菌率9
9.9991%、増殖抑制率5.0であり、抗菌性あり
と判定された。
組成に対して、Na2O成分が多くなるように調合した
釉薬基材(原子価が1価の金属成分、すなわちK2O、
Na2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して20重
量%である)2kg、銀粉10g(釉薬に対して0.5
重量%)、水1kg及び球石4kgを、容積6リットル
の陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約20時間
粉砕した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Eとす
る。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得ら
れた釉薬Eの粒径を測定したところ、10μm以下が6
3%、50%平均粒径(D50)が6.5μmであっ
た。次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した
衛生陶器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試
験片を作製した。この板状試験片上に、第一層として釉
薬Aをスプレーコーティングし、続いて、第二層として
釉薬Bをスプレーコーティングし、さらに、第三層とし
て釉薬Eをスプレーコーティングした後、1100〜1
200℃で焼成することにより試料を得た。得られた試
料について、比較例1と同様に評価したところ、釉薬層
の表面粗さは、Ra=0.03μmであった。疑似汚れ
による水中での耐汚染試験については、水没後45秒後
に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離した。疑似汚れによる
空気中での耐汚染試験については、釉薬層表面には極微
量の油滴があるものの、滴下した油汚れはほぼ完全に流
れ落ちていた。釉薬層表面のゼータ電位測定結果は、−
72.0mVであった。抗菌性試験結果は、減菌率9
9.9991%、増殖抑制率5.0であり、抗菌性あり
と判定された。
【0033】(実施例4)ケイ砂、長石、粘土等を原料
として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×15
0mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に、
下層として比較例1と同一の釉薬Aをスプレーコーティ
ングし、続いて、上層として比較例1と同一釉薬BにA
gを0.5重量%添加して約3時間撹拌した釉薬スラリ
ーをスプレーコーティングし、さらに、上から炭酸ナト
リウム水溶液(濃度10%)1.0gをスプレーした
後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を
得た。得られた試料について、比較例1と同様に評価し
たところ、釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03μmで
あった。疑似汚れによる水中での耐汚染試験について
は、水没後60秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離し
た。疑似汚れによる空気中での耐汚染試験については、
釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、滴下した油
汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。釉薬層表面のゼータ
電位測定結果は、−68.8mVであった。抗菌性試験
結果は、減菌率99.994%、増殖抑制率4.2であ
り、抗菌性ありと判定された。
として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×15
0mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に、
下層として比較例1と同一の釉薬Aをスプレーコーティ
ングし、続いて、上層として比較例1と同一釉薬BにA
gを0.5重量%添加して約3時間撹拌した釉薬スラリ
ーをスプレーコーティングし、さらに、上から炭酸ナト
リウム水溶液(濃度10%)1.0gをスプレーした
後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を
得た。得られた試料について、比較例1と同様に評価し
たところ、釉薬層の表面粗さは、Ra=0.03μmで
あった。疑似汚れによる水中での耐汚染試験について
は、水没後60秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離し
た。疑似汚れによる空気中での耐汚染試験については、
釉薬層表面には極微量の油滴があるものの、滴下した油
汚れはほぼ完全に流れ落ちていた。釉薬層表面のゼータ
電位測定結果は、−68.8mVであった。抗菌性試験
結果は、減菌率99.994%、増殖抑制率4.2であ
り、抗菌性ありと判定された。
【0034】(実施例5)ケイ砂、長石、粘土等を原料
として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×15
0mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に、
炭酸ナトリウム水溶液(濃度20%)1.0gをスプレ
ーした後、下層として比較例1と同一の釉薬Aをスプレ
ーコーティングし、続いて、上層として比較例1と同一
釉薬BにAgを0.5重量%添加して約3時間撹拌した
釉薬スラリーをスプレーコーティングした後、1100
〜1200℃で焼成することにより試料を得た。得られ
た試料について、比較例1と同様に評価したところ、釉
薬層の表面粗さは、Ra=0.03μmであった。疑似
汚れによる水中での耐汚染試験については、水没後45
秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離した。疑似汚れに
よる空気中での耐汚染試験については、釉薬層表面には
極微量の油滴があるものの、滴下した油汚れはほぼ完全
に流れ落ちていた。釉薬層表面のゼータ電位測定結果
は、−67.5mVであった。抗菌性試験結果は、減菌
率99.990%、増殖抑制率4.0であり、抗菌性あ
りと判定された。
として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×15
0mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に、
炭酸ナトリウム水溶液(濃度20%)1.0gをスプレ
ーした後、下層として比較例1と同一の釉薬Aをスプレ
ーコーティングし、続いて、上層として比較例1と同一
釉薬BにAgを0.5重量%添加して約3時間撹拌した
釉薬スラリーをスプレーコーティングした後、1100
〜1200℃で焼成することにより試料を得た。得られ
た試料について、比較例1と同様に評価したところ、釉
薬層の表面粗さは、Ra=0.03μmであった。疑似
汚れによる水中での耐汚染試験については、水没後45
秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離した。疑似汚れに
よる空気中での耐汚染試験については、釉薬層表面には
極微量の油滴があるものの、滴下した油汚れはほぼ完全
に流れ落ちていた。釉薬層表面のゼータ電位測定結果
は、−67.5mVであった。抗菌性試験結果は、減菌
率99.990%、増殖抑制率4.0であり、抗菌性あ
りと判定された。
【0035】
【表2】
【0036】本発明の実施例における評価結果をまとめ
て表2に示す。このように本発明の実施例においては、
表面の凹凸が小さく、水中及び空気中での付着汚れが残
存しにくいことから、重力や流水程度で簡単に汚れを除
去することが可能なセルフクリーニング機能を有する表
面になっているものと推定される。また、本発明の実施
例においては、表面のゼータ電位が大きな負の値を持っ
ているので、水中では電気二重層に多くのAg+イオン
を保持することができ、表面に近づいてきた菌類とAg
+イオンとの接触確率が増加するため、より高い抗菌効
果が得られるものと推定される。
て表2に示す。このように本発明の実施例においては、
表面の凹凸が小さく、水中及び空気中での付着汚れが残
存しにくいことから、重力や流水程度で簡単に汚れを除
去することが可能なセルフクリーニング機能を有する表
面になっているものと推定される。また、本発明の実施
例においては、表面のゼータ電位が大きな負の値を持っ
ているので、水中では電気二重層に多くのAg+イオン
を保持することができ、表面に近づいてきた菌類とAg
+イオンとの接触確率が増加するため、より高い抗菌効
果が得られるものと推定される。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、金属石鹸(石鹸カス)、蛋白質、アミノ酸、細菌、
真菌等のカルボキシル末端基を含有する油性汚れや、水
垢、尿石等の付着汚れ対するセルフクリーニング機能を
有する部材を提供することが可能となる。
ル、金属石鹸(石鹸カス)、蛋白質、アミノ酸、細菌、
真菌等のカルボキシル末端基を含有する油性汚れや、水
垢、尿石等の付着汚れ対するセルフクリーニング機能を
有する部材を提供することが可能となる。
【図1】 部材表面に水和層ができる状態を示す図。
【図2】 汚れ分子にアルカリ金属成分が吸着・置換さ
れ、水溶性化される状態を示す図。
れ、水溶性化される状態を示す図。
【図3】 水中における部材の電気二重層の状態を示す
図。
図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E03D 11/02 E03D 11/02 Z (72)発明者 伊藤 正昭 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 安藤 正美 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 林 浩一 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 早川 信 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 2D039 AA01 CD01 DB04 4H011 AA02 BA01 BB18 BC18 BC23 DA01 DG16 4J038 AA011 AA012 HA062 HA216 HA441 HA451 HA551 JC32
Claims (17)
- 【請求項1】 基材表面に、(a)実質的に水和可能な
物質と、(b)少なくとも原子価が1価の金属成分及び
/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成
分を含む層が形成されていることを特徴とするセルフク
リーニング機能を有する部材。 - 【請求項2】 基材表面に、(a)実質的に水和可能な
物質と、(b)少なくとも原子価が1価の金属成分及び
/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1以下の金属成
分を含む層が形成されており、かつ前記層中の前記
(b)成分の量は5重量%以上であることを特徴とする
セルフクリーニング機能を有する部材。 - 【請求項3】 前記層表面の表面粗さRaが触針式表面
粗さ測定装置(JIS−B0651)により、0.07
μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記
載の付着汚れに対するセルフクリーニング機能を有する
部材。 - 【請求項4】 前記部材は水と接触した環境で使用する
際に、さらに表面に電気二重層を形成し、且つ前記電気
二重層部にも前記(b)成分が固定されるようになって
いることを特徴とする請求項1乃至3に記載のセルフク
リーニング機能を有する部材。 - 【請求項5】 前記部材表面のゼータ電位はpHが7付
近において負であることを特徴とする請求項1乃至4に
記載のセルフクリーニング機能を有する部材。 - 【請求項6】 前記部材表面のゼータ電位はpHが7付
近において負であり、且つその絶対値が60mV以上で
あることを特徴とする請求項1乃至4に記載のセルフク
リーニング機能を有する部材。 - 【請求項7】 前記(b)成分は、H3O(H)、L
i、Na、K、Rb、Cs、Ag、Cu、Au、Ba、
Srの群から選ばれる成分のうちの少なくとも1種以上
であることを特徴とする請求項1乃至6に記載のセルフ
クリーニング機能を有する部材。 - 【請求項8】 前記層中には、さらに抗菌性金属が含有
されていることを特徴とする請求項1乃至7に記載のセ
ルフクリーニング機能を有する部材。 - 【請求項9】 前記二重層部には、さらに抗菌性金属イ
オンが含有されていることを特徴とする請求項4乃至8
に記載のセルフクリーニング機能を有する部材。 - 【請求項10】 前記部材は、生活用品であることを特
徴とする請求項1乃至9に記載のセルフクリーニング機
能を有する部材。 - 【請求項11】 前記部材は、衛生陶器であることを特
徴とする請求項1乃至9に記載のセルフクリーニング機
能を有する部材。 - 【請求項12】 前記部材は、便器であることを特徴と
する請求項1乃至9に記載のセルフクリーニング機能を
有する部材。 - 【請求項13】 前記部材は、洗面器であることを特徴
とする請求項1乃至9に記載のセルフクリーニング機能
を有する部材。 - 【請求項14】 前記部材は、浴室用部材であることを
特徴とする請求項1乃至9に記載のセルフクリーニング
機能を有する部材。 - 【請求項15】 前記部材は、タイルであることを特徴
とする請求項1乃至9に記載のセルフクリーニング機能
を有する部材。 - 【請求項16】 前記部材は、鏡であることを特徴とす
る請求項1乃至9に記載のセルフクリーニング機能を有
する部材。 - 【請求項17】 前記部材は、フィルムであることを特
徴とする請求項1乃至9に記載のセルフクリーニング機
能を有する部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11231304A JP2000239080A (ja) | 1998-12-26 | 1999-08-18 | セルフクリーニング機能を有する部材 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37674198 | 1998-12-26 | ||
JP10-376741 | 1998-12-26 | ||
JP11231304A JP2000239080A (ja) | 1998-12-26 | 1999-08-18 | セルフクリーニング機能を有する部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000239080A true JP2000239080A (ja) | 2000-09-05 |
Family
ID=26529800
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11231304A Pending JP2000239080A (ja) | 1998-12-26 | 1999-08-18 | セルフクリーニング機能を有する部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000239080A (ja) |
-
1999
- 1999-08-18 JP JP11231304A patent/JP2000239080A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN1874855B (zh) | 含有有机硅烷季铵化合物和过氧化氢的清洁和多功能涂层组合物及其使用方法 | |
JP3339640B2 (ja) | 衛生陶器およびその製造方法 | |
JP2007016201A (ja) | 非反応性の研磨剤固体粒子および有機シラン四級化合物を含有し界面活性剤を含まない洗浄性かつ多機能性液体被覆組成物、および使用法 | |
JP3354140B2 (ja) | 衛生陶器 | |
JP2000279905A (ja) | 複合材の清浄化方法及びセルフクリーニング性複合材機構 | |
CN1302282A (zh) | 卫生陶器及其制造方法 | |
JP2000308860A (ja) | 複合材の清浄化方法及びセルフクリーニング性複合材機構 | |
JP2000239080A (ja) | セルフクリーニング機能を有する部材 | |
JP3859170B1 (ja) | コーティング組成物およびそれを用いた被膜の製造方法 | |
TW581750B (en) | Ceramic product used with water and method of stain resistant treatment therefor | |
JP2000240134A (ja) | 衛生陶器 | |
JP2003336010A (ja) | 高純度シリカ薄膜を形成するための溶液の製造方法、及びそれを用いたコーティング方法 | |
JP4240516B2 (ja) | 防汚性部材 | |
JP2000351682A (ja) | タイル及びその洗浄方法並びにタイル用洗剤 | |
JP2000265527A (ja) | 衛生陶器及びその洗浄方法並びに衛生陶器用洗剤 | |
JP2000247766A (ja) | 衛生陶器 | |
JP2000257139A (ja) | 水洗式便器 | |
JP2000302574A (ja) | タイル及びその製造方法 | |
JP4122524B2 (ja) | スプレー剤 | |
JP2000308861A (ja) | 複合材の清浄化方法及びセルフクリーニング性複合材機構 | |
JP2000256084A (ja) | 衛生陶器及びその洗浄方法並びに衛生陶器用洗剤 | |
JPH10286537A (ja) | 複合材表面に付着した親水性基を有する固体汚染物及び脂肪酸系油の除去方法 | |
JP2000257138A (ja) | 防汚性便器 | |
JP2000128669A (ja) | 防汚性衛生陶器 | |
JP2000309886A (ja) | ホーロー製品及びその洗浄方法並びにホーロー製品用洗剤 |