JP2000257139A - 水洗式便器 - Google Patents
水洗式便器Info
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- flush toilet
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- glaze
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C8/00—Enamels; Glazes; Fusion seal compositions being frit compositions having non-frit additions
- C03C8/14—Glass frit mixtures having non-frit additions, e.g. opacifiers, colorants, mill-additions
- C03C8/18—Glass frit mixtures having non-frit additions, e.g. opacifiers, colorants, mill-additions containing free metals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C2204/00—Glasses, glazes or enamels with special properties
- C03C2204/02—Antibacterial glass, glaze or enamel
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C2217/00—Coatings on glass
- C03C2217/70—Properties of coatings
- C03C2217/77—Coatings having a rough surface
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- Chemical & Material Sciences (AREA)
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- Geochemistry & Mineralogy (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Detergent Compositions (AREA)
- Sanitary Device For Flush Toilet (AREA)
- Glass Compositions (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 水洗式便器の溜水部表面の汚れを、例えば流
水程度で簡単に除去できるようになる水洗式便器を提供
すること。 【解決手段】 溜水部を有する水洗式便器であって、前
記溜水部の表面を形成する釉薬層中にはNa成分が前記
釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重
量%以上含有されている、或いはK成分が前記釉薬層中
の全金属成分に対して酸化物換算量で4.1重量%以上
含有されていることを特徴とする水洗式便器。
水程度で簡単に除去できるようになる水洗式便器を提供
すること。 【解決手段】 溜水部を有する水洗式便器であって、前
記溜水部の表面を形成する釉薬層中にはNa成分が前記
釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重
量%以上含有されている、或いはK成分が前記釉薬層中
の全金属成分に対して酸化物換算量で4.1重量%以上
含有されていることを特徴とする水洗式便器。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溜水部壁面に大便
(主要成分は脂肪酸や細菌)等の油性の汚物の付着しに
くい水洗式便器に関する。
(主要成分は脂肪酸や細菌)等の油性の汚物の付着しに
くい水洗式便器に関する。
【0002】
【従来の技術】衛生陶器の表面を清浄に保つこと、及び
長期に亘って美観を高く保つことは、水洗式便器が一般
的に生活用品として広く使用されていることから必要と
される特性である。古くより一般家庭において、水洗式
便器表面を衛生的に清浄に保ち、美観を高く保つための
方法として、界面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワ
シやブラシに付けて強くこする方法が採られてきた。
長期に亘って美観を高く保つことは、水洗式便器が一般
的に生活用品として広く使用されていることから必要と
される特性である。古くより一般家庭において、水洗式
便器表面を衛生的に清浄に保ち、美観を高く保つための
方法として、界面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワ
シやブラシに付けて強くこする方法が採られてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法によれば、汚れが付着する度に、タワシやブラシでこ
するという労働が要求される。特に、老齢者において、
かかる労働が毎回要求されるのは大変である。また、便
器の洗浄、特に、水洗式便器の溜水部は清掃しにくい箇
所であるため、使用者にとって、できれば、清掃頻度が
より低くなってほしいという願望は強いものがある。
法によれば、汚れが付着する度に、タワシやブラシでこ
するという労働が要求される。特に、老齢者において、
かかる労働が毎回要求されるのは大変である。また、便
器の洗浄、特に、水洗式便器の溜水部は清掃しにくい箇
所であるため、使用者にとって、できれば、清掃頻度が
より低くなってほしいという願望は強いものがある。
【0004】そこで、本発明の目的は、タワシやブラシ
で強くこすらなくても、水洗式便器の溜水部表面の汚れ
を、例えば流水程度で簡単に除去できるようにした水洗
式便器を提供することを目的とする。
で強くこすらなくても、水洗式便器の溜水部表面の汚れ
を、例えば流水程度で簡単に除去できるようにした水洗
式便器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、溜水部を有する水洗式便器であって、前記
溜水部の表面を形成する釉薬層中にはNa成分が前記釉
薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重量
%以上含有されていることを特徴とする水洗式便器を提
供する。焼成により機能を失われない洗剤成分であるN
a成分を利用することで、焼成後に特別な加工、処理を
行わなくとも溜水部表面に付着汚れに対するセルフクリ
ーニング機能を付与することが可能となる。また、溜水
部の表面は主成分がガラス質の材料からなる釉薬により
形成されているため、Na成分は連続的に外部に放出さ
れる傾向を有する。それゆえ、長期にわたり汚れに対す
るセルフクリーニング機能を発揮するようになる。ま
た、一度表面から離脱した汚れが再吸着するのが防止さ
れるようになる。このことにつき、以下に詳述する。溜
水部表面に齎される付着汚れは、例えば、大便器におい
ては大便(オレイン酸と細菌を多く含む)や細菌、真菌
等の微生物、水垢、小便器においては水垢、尿石、細
菌、である。例えば、カルボキシル末端基を含有する油
性汚れが溜水部表面に齎される場合に、Na成分が存在
すると、Na成分が置換反応により優先的に上記油性汚
れに付加され、或いは吸着される。それにより、上記汚
れの水との親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚
れが水溶性化(ケン化)される。それにより、上記汚れ
の溜水部表面への親和性よりも水との親和性が高くな
り、上記汚れが溜水部の水中に移行して容易に除去され
るようになる(図2)。また、一度表面から離脱した汚
れが再吸着するのが防止されるようになるのは、Na成
分のビルダーの作用(阿部芳郎著、「洗剤通論」、近代
編集社、1985、第1章、1〜102ページ)によ
る。また、Na成分の量を、前記釉薬層中の全金属成分
に対して酸化物換算量で2.6重量%以上、好ましくは
3重量%以上であるようにすることにより、付着汚れに
対するセルフクリーニング機能が著しく向上する。
解決すべく、溜水部を有する水洗式便器であって、前記
溜水部の表面を形成する釉薬層中にはNa成分が前記釉
薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重量
%以上含有されていることを特徴とする水洗式便器を提
供する。焼成により機能を失われない洗剤成分であるN
a成分を利用することで、焼成後に特別な加工、処理を
行わなくとも溜水部表面に付着汚れに対するセルフクリ
ーニング機能を付与することが可能となる。また、溜水
部の表面は主成分がガラス質の材料からなる釉薬により
形成されているため、Na成分は連続的に外部に放出さ
れる傾向を有する。それゆえ、長期にわたり汚れに対す
るセルフクリーニング機能を発揮するようになる。ま
た、一度表面から離脱した汚れが再吸着するのが防止さ
れるようになる。このことにつき、以下に詳述する。溜
水部表面に齎される付着汚れは、例えば、大便器におい
ては大便(オレイン酸と細菌を多く含む)や細菌、真菌
等の微生物、水垢、小便器においては水垢、尿石、細
菌、である。例えば、カルボキシル末端基を含有する油
性汚れが溜水部表面に齎される場合に、Na成分が存在
すると、Na成分が置換反応により優先的に上記油性汚
れに付加され、或いは吸着される。それにより、上記汚
れの水との親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚
れが水溶性化(ケン化)される。それにより、上記汚れ
の溜水部表面への親和性よりも水との親和性が高くな
り、上記汚れが溜水部の水中に移行して容易に除去され
るようになる(図2)。また、一度表面から離脱した汚
れが再吸着するのが防止されるようになるのは、Na成
分のビルダーの作用(阿部芳郎著、「洗剤通論」、近代
編集社、1985、第1章、1〜102ページ)によ
る。また、Na成分の量を、前記釉薬層中の全金属成分
に対して酸化物換算量で2.6重量%以上、好ましくは
3重量%以上であるようにすることにより、付着汚れに
対するセルフクリーニング機能が著しく向上する。
【0006】本発明の他の態様においては、溜水部を有
する水洗式便器であって、前記溜水部の表面を形成する
釉薬層中にはK成分が前記釉薬層中の全金属成分に対し
て酸化物換算量で4.1重量%以上含有されていること
を特徴とする水洗式便器を提供する。焼成により機能を
失われない洗剤成分であるK成分を利用することで、焼
成後に特別な加工、処理を行わなくとも溜水部表面に付
着汚れに対するセルフクリーニング機能を付与すること
が可能となる。また、溜水部の表面は主成分がガラス質
の材料からなる釉薬により形成されているため、K成分
は連続的に外部に放出される傾向を有する。それゆえ、
長期にわたり汚れに対するセルフクリーニング機能を発
揮するようになる。また、一度表面から離脱した汚れが
再吸着するのが防止されるようになる。このことにつ
き、以下に詳述する。溜水部表面に齎される付着汚れ
は、例えば、大便器においては大便(オレイン酸と細菌
を多く含む)や細菌、真菌等の微生物、水垢、小便器に
おいては水垢、尿石、細菌、である。例えば、カルボキ
シル末端基を含有する油性汚れが溜水部表面に齎される
場合に、K成分が存在すると、K成分が置換反応により
優先的に上記油性汚れに付加され、或いは吸着される。
それにより、上記汚れの水との親和性が向上し、汚れが
低分子の場合には汚れが水溶性化(ケン化)される。そ
れにより、上記汚れの溜水部表面への親和性よりも水と
の親和性が高くなり、上記汚れが溜水部の水中に移行し
て容易に除去されるようになる(図4)。また、一度表
面から離脱した汚れが再吸着するのが防止されるように
なるのは、K成分のビルダーの作用(阿部芳郎著、「洗
剤通論」、近代編集社、1985、第1章、1〜102
ページ)による。また、K成分の量を、前記釉薬層中の
全金属成分に対して酸化物換算量で4.1重量%以上、
好ましくは5重量%以上であるようにすることにより、
付着汚れに対するセルフクリーニング機能が著しく向上
する。
する水洗式便器であって、前記溜水部の表面を形成する
釉薬層中にはK成分が前記釉薬層中の全金属成分に対し
て酸化物換算量で4.1重量%以上含有されていること
を特徴とする水洗式便器を提供する。焼成により機能を
失われない洗剤成分であるK成分を利用することで、焼
成後に特別な加工、処理を行わなくとも溜水部表面に付
着汚れに対するセルフクリーニング機能を付与すること
が可能となる。また、溜水部の表面は主成分がガラス質
の材料からなる釉薬により形成されているため、K成分
は連続的に外部に放出される傾向を有する。それゆえ、
長期にわたり汚れに対するセルフクリーニング機能を発
揮するようになる。また、一度表面から離脱した汚れが
再吸着するのが防止されるようになる。このことにつ
き、以下に詳述する。溜水部表面に齎される付着汚れ
は、例えば、大便器においては大便(オレイン酸と細菌
を多く含む)や細菌、真菌等の微生物、水垢、小便器に
おいては水垢、尿石、細菌、である。例えば、カルボキ
シル末端基を含有する油性汚れが溜水部表面に齎される
場合に、K成分が存在すると、K成分が置換反応により
優先的に上記油性汚れに付加され、或いは吸着される。
それにより、上記汚れの水との親和性が向上し、汚れが
低分子の場合には汚れが水溶性化(ケン化)される。そ
れにより、上記汚れの溜水部表面への親和性よりも水と
の親和性が高くなり、上記汚れが溜水部の水中に移行し
て容易に除去されるようになる(図4)。また、一度表
面から離脱した汚れが再吸着するのが防止されるように
なるのは、K成分のビルダーの作用(阿部芳郎著、「洗
剤通論」、近代編集社、1985、第1章、1〜102
ページ)による。また、K成分の量を、前記釉薬層中の
全金属成分に対して酸化物換算量で4.1重量%以上、
好ましくは5重量%以上であるようにすることにより、
付着汚れに対するセルフクリーニング機能が著しく向上
する。
【0007】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記釉薬層表面の表面粗さRaが触針式表
面粗さ測定装置(JIS−B0651)により、0.0
7μm未満、好ましくは0.05μm以下、より好まし
くは0.03μm以下であるようにする。そうすること
により、表面の凹凸に汚れが付着しにくくなり、付着汚
れに対するセルフクリーニング機能が著しく向上する。
成において、前記釉薬層表面の表面粗さRaが触針式表
面粗さ測定装置(JIS−B0651)により、0.0
7μm未満、好ましくは0.05μm以下、より好まし
くは0.03μm以下であるようにする。そうすること
により、表面の凹凸に汚れが付着しにくくなり、付着汚
れに対するセルフクリーニング機能が著しく向上する。
【0008】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記釉薬層は実質的に非晶質成分からなる
ようにする。釉薬層を実質的に非晶質成分(好ましくは
ガラス成分)からなるようにすることにより、上記洗剤
成分の釉薬層中の移動度が減少するので、付着汚れに対
するセルフクリーニング機能の長期維持性が向上する。
成において、前記釉薬層は実質的に非晶質成分からなる
ようにする。釉薬層を実質的に非晶質成分(好ましくは
ガラス成分)からなるようにすることにより、上記洗剤
成分の釉薬層中の移動度が減少するので、付着汚れに対
するセルフクリーニング機能の長期維持性が向上する。
【0009】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記釉薬層は実質的に水和可能な物質から
なるようにする。釉薬層が水和可能な物質からなるよう
にすることにより、溜水部表面に付着した油性汚れ、水
垢等の付着汚れが容易に除去されやすくなる。このこと
につき、以下に詳述する。便器表面に齎される付着汚れ
は、例えば、大便器においては大便(オレイン酸と細菌
を多く含む)や細菌、真菌等の微生物、水垢、小便器に
おいては水垢、尿石、細菌である。例えば、溜水部表面
に付着した上記カルボキシル末端基を含有する油性汚れ
は、まずNa或いはK成分の存在により、Na或いはK
成分が置換反応により優先的に上記油性汚れに付加さ
れ、或いは吸着される。それにより、上記汚れの水との
親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚れが水溶性
化(ケン化)される。ここで、釉薬層が水和可能な物質
からなるようにすると、ケン化された上記汚れは水和可
能な物質中を電解質としてかなり自由に移動できるよう
になる(図1、3)。従って、溜水部表面における上記
油性汚れの移動が容易となり、汚れは自動的に除去され
るようになる(図2、4)。
成において、前記釉薬層は実質的に水和可能な物質から
なるようにする。釉薬層が水和可能な物質からなるよう
にすることにより、溜水部表面に付着した油性汚れ、水
垢等の付着汚れが容易に除去されやすくなる。このこと
につき、以下に詳述する。便器表面に齎される付着汚れ
は、例えば、大便器においては大便(オレイン酸と細菌
を多く含む)や細菌、真菌等の微生物、水垢、小便器に
おいては水垢、尿石、細菌である。例えば、溜水部表面
に付着した上記カルボキシル末端基を含有する油性汚れ
は、まずNa或いはK成分の存在により、Na或いはK
成分が置換反応により優先的に上記油性汚れに付加さ
れ、或いは吸着される。それにより、上記汚れの水との
親和性が向上し、汚れが低分子の場合には汚れが水溶性
化(ケン化)される。ここで、釉薬層が水和可能な物質
からなるようにすると、ケン化された上記汚れは水和可
能な物質中を電解質としてかなり自由に移動できるよう
になる(図1、3)。従って、溜水部表面における上記
油性汚れの移動が容易となり、汚れは自動的に除去され
るようになる(図2、4)。
【0010】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記釉薬層には、さらにAg、Cu、Zn
等の抗菌性金属が含有されているようにする。それによ
り、便器の長期不使用時における溜水部表面の菌の繁殖
による汚れを防止可能となる。
成において、前記釉薬層には、さらにAg、Cu、Zn
等の抗菌性金属が含有されているようにする。それによ
り、便器の長期不使用時における溜水部表面の菌の繁殖
による汚れを防止可能となる。
【0011】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記抗菌性金属は銀であり、銀は前記釉薬
層中の全金属成分に対して酸化物換算量で0.1重量%
以上、好ましくは0.5重量%以上含有されているよう
にする。銀が酸化物換算量で0.1重量%以上、より好
ましくは0.5重量%以上であるようにすると、便器の
長期不使用時の溜水部表面の菌の繁殖による汚れを充分
に防止可能となる。
成において、前記抗菌性金属は銀であり、銀は前記釉薬
層中の全金属成分に対して酸化物換算量で0.1重量%
以上、好ましくは0.5重量%以上含有されているよう
にする。銀が酸化物換算量で0.1重量%以上、より好
ましくは0.5重量%以上であるようにすると、便器の
長期不使用時の溜水部表面の菌の繁殖による汚れを充分
に防止可能となる。
【0012】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記釉薬層表面のゼータ電位は負であるよ
うにする。前記釉薬層表面のゼータ電位を負にすること
によって、溜水部表面に除菌効果を持たせることができ
るようになる。このことにつき、以下に詳述する。大腸
菌等の菌類は、一般的に水中において負に帯電している
ことが知られている。従って、溜水部表面のゼータ電位
を負にすることによって、常に水中に位置する溜水部表
面と菌類とが電気的に反発し、菌類の付着を防止するこ
とができる。
成において、前記釉薬層表面のゼータ電位は負であるよ
うにする。前記釉薬層表面のゼータ電位を負にすること
によって、溜水部表面に除菌効果を持たせることができ
るようになる。このことにつき、以下に詳述する。大腸
菌等の菌類は、一般的に水中において負に帯電している
ことが知られている。従って、溜水部表面のゼータ電位
を負にすることによって、常に水中に位置する溜水部表
面と菌類とが電気的に反発し、菌類の付着を防止するこ
とができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図5は、本発明の便器の一実施例
を示すものであり、図6は溜水部1の表面部分の拡大図
を示している。溜水部1最表面は釉薬層2で被覆され、
該釉薬層2中にはNa成分が前記釉薬層中の全金属成分
に対して酸化物換算量で2.6重量%以上、或いはK成
分が前記釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で
4.1重量%以上含有されている。図5では、洋式大便
器の例を示したが、本発明はそれに限定されるものでは
なく、和式大便器や小便器にも利用できる。
を示すものであり、図6は溜水部1の表面部分の拡大図
を示している。溜水部1最表面は釉薬層2で被覆され、
該釉薬層2中にはNa成分が前記釉薬層中の全金属成分
に対して酸化物換算量で2.6重量%以上、或いはK成
分が前記釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で
4.1重量%以上含有されている。図5では、洋式大便
器の例を示したが、本発明はそれに限定されるものでは
なく、和式大便器や小便器にも利用できる。
【0014】ここで、釉薬層中に含有されるアルカリ金
属成分の量は、前記釉薬層中の全金属成分に対して酸化
物換算量で好ましくは30重量%未満、より好ましくは
20重量%未満であるようにするとよい。一般的に、衛
生陶器は、陶器成形素地に釉薬を塗布した後に、陶器が
充分に焼結する1100〜1300度で焼成することに
より製造される。釉薬は成形素地の焼結温度で軟化して
下地の陶器素地に固着される。ここで、成形素地の焼結
温度において釉薬の粘性が低くなりすぎていると、昇温
時における粘土の化学反応等に伴い陶器素地内に生成し
た気体が、焼結時の収縮に伴い外部に放出される際に釉
薬内に気泡として残留してしまうことに基づく製品欠陥
を生じる。そのため、従来の陶器では、釉薬中に添加量
の増加に伴い焼成温度における粘性を急激に低める成分
であるアルカリ金属等の1価成分の添加を極力抑え(釉
薬中の金属成分のうち酸化物換算で2〜4重量%)、主
に添加量の増加に伴い焼成温度における粘性を緩やかに
低める成分であるCa、Mg、Zn(釉薬中の金属成分
のうち酸化物換算で12〜28重量%)により粘性の調
整を行っていた。しかしながら、上記Ca等を多量に添
加している従来の衛生陶器では、表面に油性汚れ成分中
のカルボキシル基との親和性が高くかつ水に対して不溶
性のCa等が多く露出することも原因となり、大便(オ
レイン酸と細菌を多く含む)、脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、金属石鹸(石鹸カス)、蛋白質、アミノ酸、細菌、
真菌等のカルボキシル末端基を含有する油性汚れや微生
物、水垢、尿石等が付着しやすく、付着汚れに対するセ
ルフクリーニング機能が充分に発揮されなかった。従っ
て、アルカリ金属成分を酸化物換算量で30重量%未
満、好ましくは20重量%以下にすることにより、付着
汚れに対するセルフクリーニング機能を充分に発揮しつ
つ、昇温時における粘土の化学反応等に伴い陶器素地内
に生成した気体が、焼結時の収縮に伴い外部に放出され
る際に釉薬内に気泡として残留してしまうことに基づく
製品欠陥が生じにくくなる。さらに、釉薬層の熱膨張係
数が大きくなりすぎて、陶器素地との整合性がとれなく
なることに起因するクラックの発生を防止することがで
きる。
属成分の量は、前記釉薬層中の全金属成分に対して酸化
物換算量で好ましくは30重量%未満、より好ましくは
20重量%未満であるようにするとよい。一般的に、衛
生陶器は、陶器成形素地に釉薬を塗布した後に、陶器が
充分に焼結する1100〜1300度で焼成することに
より製造される。釉薬は成形素地の焼結温度で軟化して
下地の陶器素地に固着される。ここで、成形素地の焼結
温度において釉薬の粘性が低くなりすぎていると、昇温
時における粘土の化学反応等に伴い陶器素地内に生成し
た気体が、焼結時の収縮に伴い外部に放出される際に釉
薬内に気泡として残留してしまうことに基づく製品欠陥
を生じる。そのため、従来の陶器では、釉薬中に添加量
の増加に伴い焼成温度における粘性を急激に低める成分
であるアルカリ金属等の1価成分の添加を極力抑え(釉
薬中の金属成分のうち酸化物換算で2〜4重量%)、主
に添加量の増加に伴い焼成温度における粘性を緩やかに
低める成分であるCa、Mg、Zn(釉薬中の金属成分
のうち酸化物換算で12〜28重量%)により粘性の調
整を行っていた。しかしながら、上記Ca等を多量に添
加している従来の衛生陶器では、表面に油性汚れ成分中
のカルボキシル基との親和性が高くかつ水に対して不溶
性のCa等が多く露出することも原因となり、大便(オ
レイン酸と細菌を多く含む)、脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、金属石鹸(石鹸カス)、蛋白質、アミノ酸、細菌、
真菌等のカルボキシル末端基を含有する油性汚れや微生
物、水垢、尿石等が付着しやすく、付着汚れに対するセ
ルフクリーニング機能が充分に発揮されなかった。従っ
て、アルカリ金属成分を酸化物換算量で30重量%未
満、好ましくは20重量%以下にすることにより、付着
汚れに対するセルフクリーニング機能を充分に発揮しつ
つ、昇温時における粘土の化学反応等に伴い陶器素地内
に生成した気体が、焼結時の収縮に伴い外部に放出され
る際に釉薬内に気泡として残留してしまうことに基づく
製品欠陥が生じにくくなる。さらに、釉薬層の熱膨張係
数が大きくなりすぎて、陶器素地との整合性がとれなく
なることに起因するクラックの発生を防止することがで
きる。
【0015】また、溜水部の構成を、陶器素地表面に着
色性の第一の釉薬層が形成し、前記第一の釉薬層表面に
透明性の第二の釉薬層が形成するようにして、かつ表面
を形成する第二の釉薬層釉薬層中にはNa成分が前記釉
薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重量
%以上、好ましくは3重量%以上含有されている、或い
はK成分が前記釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換
算量で4.1重量%以上、好ましくは5重量%以上含有
されているようにしてもよい。上記構成にすることによ
り、最表層を形成する第二の釉薬層には顔料や乳濁剤を
含まないことになるので、上記洗剤成分の徐放性が向上
し、付着汚れに対するセルフクリーニング機能を長期に
わたり維持するようになる。また、上記第二の釉薬層は
その成分が陶器素地との熱膨張係数等の整合性と無関係
に設定可能となるので、より多量のK成分を第二の釉薬
層に混入可能となり、使用開始時における付着汚れに対
するセルフクリーニング機能も向上する。さらに、最表
層を形成する第二の釉薬層には顔料や乳濁剤を含まない
ことになるので表面平滑性が良好となり、従って、表面
の凹凸に汚れが付着しにくくなり、付着汚れに対するセ
ルフクリーニング機能が著しく向上する。
色性の第一の釉薬層が形成し、前記第一の釉薬層表面に
透明性の第二の釉薬層が形成するようにして、かつ表面
を形成する第二の釉薬層釉薬層中にはNa成分が前記釉
薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重量
%以上、好ましくは3重量%以上含有されている、或い
はK成分が前記釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換
算量で4.1重量%以上、好ましくは5重量%以上含有
されているようにしてもよい。上記構成にすることによ
り、最表層を形成する第二の釉薬層には顔料や乳濁剤を
含まないことになるので、上記洗剤成分の徐放性が向上
し、付着汚れに対するセルフクリーニング機能を長期に
わたり維持するようになる。また、上記第二の釉薬層は
その成分が陶器素地との熱膨張係数等の整合性と無関係
に設定可能となるので、より多量のK成分を第二の釉薬
層に混入可能となり、使用開始時における付着汚れに対
するセルフクリーニング機能も向上する。さらに、最表
層を形成する第二の釉薬層には顔料や乳濁剤を含まない
ことになるので表面平滑性が良好となり、従って、表面
の凹凸に汚れが付着しにくくなり、付着汚れに対するセ
ルフクリーニング機能が著しく向上する。
【0016】水和可能な物質としては、構造中を水分子
が通過可能な非架橋酸素を有するSiO4網目構造体を
含む物質(例えば、シリカ、シリケート等)が利用でき
る。
が通過可能な非架橋酸素を有するSiO4網目構造体を
含む物質(例えば、シリカ、シリケート等)が利用でき
る。
【0017】図6の実施態様の衛生陶器を製造する1つ
の方法は、例えば、Na含有量が酸化物換算量で2.6
重量%以上、好ましくは3重量%以上であるフリット釉
薬を準備し、必要に応じて粉砕した後に、陶器成形素地
の溜水部表面上に塗布し、1100〜1300度の温度
で焼成する。図6の実施態様の衛生陶器を製造する他の
方法は、例えば、通常の着色性の釉薬原料にNaを含む
塩を釉薬の全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重
量%以上、好ましくは3重量%以上になるように添加し
た釉薬を準備し、必要に応じて粉砕した後に、陶器成形
素地の溜水部表面に塗布し、1100〜1300度の温
度で焼成する。図6の実施態様の衛生陶器を製造する他
の方法は、例えば、陶器成形素地上に通常の着色性の釉
薬を塗布した後に、さらに溜水部表面に関してはその上
に通常の着色性の釉薬原料にNa成分を含む塩を釉薬の
全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重量%以上、
好ましくは3重量%以上になるように添加した釉薬を塗
布し、1100〜1300度の温度で焼成する。図6の
実施態様の衛生陶器を製造する他の方法は、例えば、陶
器成形素地上に通常の着色性の釉薬を塗布した後に、さ
らに溜水部表面に関してはその上にK成分を酸化物換算
量で4.1重量%以上、好ましくは5重量%以上含む顔
料や乳濁剤を含まない(フリット)釉薬を塗布し、11
00〜1300度の温度で焼成する。
の方法は、例えば、Na含有量が酸化物換算量で2.6
重量%以上、好ましくは3重量%以上であるフリット釉
薬を準備し、必要に応じて粉砕した後に、陶器成形素地
の溜水部表面上に塗布し、1100〜1300度の温度
で焼成する。図6の実施態様の衛生陶器を製造する他の
方法は、例えば、通常の着色性の釉薬原料にNaを含む
塩を釉薬の全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重
量%以上、好ましくは3重量%以上になるように添加し
た釉薬を準備し、必要に応じて粉砕した後に、陶器成形
素地の溜水部表面に塗布し、1100〜1300度の温
度で焼成する。図6の実施態様の衛生陶器を製造する他
の方法は、例えば、陶器成形素地上に通常の着色性の釉
薬を塗布した後に、さらに溜水部表面に関してはその上
に通常の着色性の釉薬原料にNa成分を含む塩を釉薬の
全金属成分に対して酸化物換算量で2.6重量%以上、
好ましくは3重量%以上になるように添加した釉薬を塗
布し、1100〜1300度の温度で焼成する。図6の
実施態様の衛生陶器を製造する他の方法は、例えば、陶
器成形素地上に通常の着色性の釉薬を塗布した後に、さ
らに溜水部表面に関してはその上にK成分を酸化物換算
量で4.1重量%以上、好ましくは5重量%以上含む顔
料や乳濁剤を含まない(フリット)釉薬を塗布し、11
00〜1300度の温度で焼成する。
【0018】
【実施例】(比較例1) 現行#SC1
【0019】
【表1】
【0020】表1の組成から成る釉薬原料(Na2O、
K2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して、それぞ
れ0.5重量%、2.9重量%である)2kgと水1k
g及び球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中
に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。ここで
得られた釉薬スラリーを、釉薬Aとする。レーザー回折
式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Aの粒径
を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均
粒径(D50)が6.2μmであった。次に、ケイ砂、
長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を
用いて、70×150mmの板状試験片を作製した。こ
の板状試験片上に釉薬Aをスプレーコーティングした
後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を
得た。得られた試料について、釉薬層の表面粗さ測定、
溜水部を有する便器を想定した疑似汚れによる水中での
耐汚染試験、釉薬層表面のゼータ電位測定を行った。釉
薬層の表面粗さは、触針式表面粗さ測定器(JIS−B
0651)を用い、中心線表面粗さRaを測定した。そ
の結果、Ra=0.10μmであった。溜水部を有する
便器を想定した疑似汚れによる水中での耐汚染試験は、
初めに、オレイン酸200重量部、エンジンオイル1重
量部、オイルブラック1重量部から成る疑似汚れを作製
した。ここで、オレイン酸は大便中の主要成分、エンジ
ンオイルとオイルブラックは油が目視で見え易いように
するための添加剤である。次に、300ccビーカーに
蒸留水を約270cc入れ、続いて、上記疑似汚れを約
30cc入れた。このビーカー中に上記板状試料を沈
め、試料沈降時に釉薬層表面に付着した油汚れが水中で
剥離するまでの時間を計測した。その結果、5分間経っ
ても釉薬面の一部分に油膜が残っていた。釉薬層表面の
ゼータ電位測定は、レーザーゼータ電位計(大塚電子
製、ELS−6000)を用い、pH〜7.0、濃度1
0mMのNaCl水溶液を電解質とし、ポリスチレンラ
テックスを光散乱のモニター粒子として電気浸透流を測
定し、これを森・岡本の式で解析することにより行っ
た。その結果、釉薬層表面のゼータ電位は、−53.8
mVであった。
K2Oの重量はガラス成分の合計重量に対して、それぞ
れ0.5重量%、2.9重量%である)2kgと水1k
g及び球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポット中
に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。ここで
得られた釉薬スラリーを、釉薬Aとする。レーザー回折
式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Aの粒径
を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均
粒径(D50)が6.2μmであった。次に、ケイ砂、
長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を
用いて、70×150mmの板状試験片を作製した。こ
の板状試験片上に釉薬Aをスプレーコーティングした
後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を
得た。得られた試料について、釉薬層の表面粗さ測定、
溜水部を有する便器を想定した疑似汚れによる水中での
耐汚染試験、釉薬層表面のゼータ電位測定を行った。釉
薬層の表面粗さは、触針式表面粗さ測定器(JIS−B
0651)を用い、中心線表面粗さRaを測定した。そ
の結果、Ra=0.10μmであった。溜水部を有する
便器を想定した疑似汚れによる水中での耐汚染試験は、
初めに、オレイン酸200重量部、エンジンオイル1重
量部、オイルブラック1重量部から成る疑似汚れを作製
した。ここで、オレイン酸は大便中の主要成分、エンジ
ンオイルとオイルブラックは油が目視で見え易いように
するための添加剤である。次に、300ccビーカーに
蒸留水を約270cc入れ、続いて、上記疑似汚れを約
30cc入れた。このビーカー中に上記板状試料を沈
め、試料沈降時に釉薬層表面に付着した油汚れが水中で
剥離するまでの時間を計測した。その結果、5分間経っ
ても釉薬面の一部分に油膜が残っていた。釉薬層表面の
ゼータ電位測定は、レーザーゼータ電位計(大塚電子
製、ELS−6000)を用い、pH〜7.0、濃度1
0mMのNaCl水溶液を電解質とし、ポリスチレンラ
テックスを光散乱のモニター粒子として電気浸透流を測
定し、これを森・岡本の式で解析することにより行っ
た。その結果、釉薬層表面のゼータ電位は、−53.8
mVであった。
【0021】(実施例1) F100+Na 表1から乳濁剤であるZrO2と顔料を除き、Na2O
成分が多くなるように調合した釉薬基材(Na2Oの重
量はガラス成分の合計重量に対して6.6重量%であ
る)を、電気炉を用いて1300〜1400℃にて溶融
し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これを、ス
タンプミルにより粉砕し、得られた粉末600gと水4
00g及びアルミナボール1kgを、容積2リットルの
陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約24時間粉
砕した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Bとす
る。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得ら
れた釉薬Bの粒径を測定したところ、10μm以下が6
8%、50%平均粒径(D50)が6.0μmであっ
た。次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した
衛生陶器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試
験片を作製した。この板状試験片上に下層として釉薬A
をスプレーコーティングし、続いて、上層として釉薬B
をスプレーコーティングした後、1100〜1200℃
で焼成することにより試料を得た。得られた試料につい
て、比較例1と同様に評価したところ、表面粗さ測定結
果は、Ra=0.03μmであった。溜水部を有する便
器を想定した疑似汚れによる水中での耐汚染試験につい
ては、水没後35秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離
した。釉薬層表面のゼータ電位測定結果は、−68.3
mVであった。
成分が多くなるように調合した釉薬基材(Na2Oの重
量はガラス成分の合計重量に対して6.6重量%であ
る)を、電気炉を用いて1300〜1400℃にて溶融
し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これを、ス
タンプミルにより粉砕し、得られた粉末600gと水4
00g及びアルミナボール1kgを、容積2リットルの
陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約24時間粉
砕した。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Bとす
る。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得ら
れた釉薬Bの粒径を測定したところ、10μm以下が6
8%、50%平均粒径(D50)が6.0μmであっ
た。次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した
衛生陶器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試
験片を作製した。この板状試験片上に下層として釉薬A
をスプレーコーティングし、続いて、上層として釉薬B
をスプレーコーティングした後、1100〜1200℃
で焼成することにより試料を得た。得られた試料につい
て、比較例1と同様に評価したところ、表面粗さ測定結
果は、Ra=0.03μmであった。溜水部を有する便
器を想定した疑似汚れによる水中での耐汚染試験につい
ては、水没後35秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離
した。釉薬層表面のゼータ電位測定結果は、−68.3
mVであった。
【0022】(実施例2) F100+K 表1から乳濁剤であるZrO2と顔料を除き、K2O成
分が多くなるように調合した釉薬基材(K2Oの重量は
ガラス成分の合計重量に対して12.2重量%である)
を、電気炉を用いて1300〜1400℃にて溶融し、
水中で急冷してガラスフリットを得た。これを、スタン
プミルにより粉砕し、得られた粉末600gと水400
g及びアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器
製ポット中に入れ、ボールミルにより約24時間粉砕し
た。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Cとする。レ
ーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉
薬Cの粒径を測定したところ、10μm以下が68%、
50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。次
に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶
器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試験片を
作製した。この板状試験片上に下層として釉薬Aをスプ
レーコーティングし、続いて、上層として釉薬Cをスプ
レーコーティングした後、1100〜1200℃で焼成
することにより試料を得た。得られた試料について、比
較例1と同様に評価したところ、表面粗さ測定結果は、
Ra=0.04μmであった。溜水部を有する便器を想
定した疑似汚れによる水中での耐汚染試験については、
水没後40秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離した。
釉薬層表面のゼータ電位測定結果は、−60.9mVで
あった。
分が多くなるように調合した釉薬基材(K2Oの重量は
ガラス成分の合計重量に対して12.2重量%である)
を、電気炉を用いて1300〜1400℃にて溶融し、
水中で急冷してガラスフリットを得た。これを、スタン
プミルにより粉砕し、得られた粉末600gと水400
g及びアルミナボール1kgを、容積2リットルの陶器
製ポット中に入れ、ボールミルにより約24時間粉砕し
た。ここで得られた釉薬スラリーを、釉薬Cとする。レ
ーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉
薬Cの粒径を測定したところ、10μm以下が68%、
50%平均粒径(D50)が6.0μmであった。次
に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶
器素地泥漿を用いて、70×150mmの板状試験片を
作製した。この板状試験片上に下層として釉薬Aをスプ
レーコーティングし、続いて、上層として釉薬Cをスプ
レーコーティングした後、1100〜1200℃で焼成
することにより試料を得た。得られた試料について、比
較例1と同様に評価したところ、表面粗さ測定結果は、
Ra=0.04μmであった。溜水部を有する便器を想
定した疑似汚れによる水中での耐汚染試験については、
水没後40秒後に釉薬面の油膜がほぼ完全に剥離した。
釉薬層表面のゼータ電位測定結果は、−60.9mVで
あった。
【0023】
【表2】
【0024】本発明の実施例における評価結果をまとめ
て表2に示す。このように本発明の実施例においては、
水中の付着汚れが残存しにくい釉薬層表面になってお
り、そのため、溜水部を有する便器での実使用において
も、汚物が除去し易くなっているものと推定される。ま
た、本発明の実施例においては、釉薬層表面のゼータ電
位が大きな負の値を持っており、大腸菌等の菌類に対し
ては大きな電気的反発力を生じるため、除菌効果が得ら
れるものと推定される。
て表2に示す。このように本発明の実施例においては、
水中の付着汚れが残存しにくい釉薬層表面になってお
り、そのため、溜水部を有する便器での実使用において
も、汚物が除去し易くなっているものと推定される。ま
た、本発明の実施例においては、釉薬層表面のゼータ電
位が大きな負の値を持っており、大腸菌等の菌類に対し
ては大きな電気的反発力を生じるため、除菌効果が得ら
れるものと推定される。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、水洗式便器の溜水部表
面の汚れを、例えば流水程度で簡単に除去できるように
なる。
面の汚れを、例えば流水程度で簡単に除去できるように
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 衛生陶器表面に水和層ができる状態を示す
図。
図。
【図2】 汚れ分子にNa成分が吸着・置換され、水溶
性化される状態を示す図。
性化される状態を示す図。
【図3】 衛生陶器表面に水和層ができる状態を示す
図。
図。
【図4】 汚れ分子にK成分が吸着・置換され、水溶性
化される状態を示す図。
化される状態を示す図。
【図5】 本発明の一実施例を示す図。
【図6】 本発明の実施例の溜水部の最表面を示す図。
1…溜水部 2…最表面を構成する釉薬層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 正昭 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 安藤 正美 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 林 浩一 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 早川 信 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 2D039 AA01 4G062 AA08 AA09 AA15 BB01 DA06 DA07 DB03 DB04 DC01 DD01 DE03 DF01 EA01 EB02 EB03 EC03 ED02 ED03 EE03 EE04 EF01 EG01 FA01 FB01 FC02 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH12 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM07 NN40 PP12 4H003 AB03 BA16 BA27 DA06 EA07 EA21 EA25
Claims (8)
- 【請求項1】 溜水部を有する水洗式便器であって、前
記溜水部の表面を形成する釉薬層中にはナトリウム(N
a)成分が前記釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換
算量で2.6重量%以上含有されていることを特徴とす
る水洗式便器。 - 【請求項2】 溜水部を有する水洗式便器であって、前
記溜水部の表面を形成する釉薬層中にはカリウム(K)
成分が前記釉薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量
で4.1重量%以上含有されていることを特徴とする水
洗式便器。 - 【請求項3】 前記釉薬層表面の表面粗さRaが触針式
表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により、0.
07μm未満であることを特徴とする請求項1、2に記
載の付着汚れに対するセルフクリーニング機能を有する
水洗式便器。 - 【請求項4】 前記釉薬層は実質的に非晶質成分からな
ることを特徴とする請求項1〜3に記載の付着汚れに対
するセルフクリーニング機能を有する水洗式便器。 - 【請求項5】 前記釉薬層は実質的に水和可能な物質か
らなることを特徴とする請求項1〜4に記載の付着汚れ
に対するセルフクリーニング機能を有する水洗式便器。 - 【請求項6】 前記釉薬層には、さらに抗菌性金属が含
有されていることを特徴とする請求項1〜5に記載の付
着汚れに対するセルフクリーニング機能を有する水洗式
便器。 - 【請求項7】 前記抗菌性金属は銀であり、銀は前記釉
薬層中の全金属成分に対して酸化物換算量で0.1重量
%以上含有されていることを特徴とする請求項6に記載
の付着汚れに対するセルフクリーニング機能を有する水
洗式便器。 - 【請求項8】 前記釉薬層表面のゼータ電位は負である
ことを特徴とする請求項1〜7に記載の付着汚れに対す
るセルフクリーニング機能を有する水洗式便器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6547799A JP2000257139A (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 水洗式便器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6547799A JP2000257139A (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 水洗式便器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000257139A true JP2000257139A (ja) | 2000-09-19 |
Family
ID=13288232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6547799A Pending JP2000257139A (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 水洗式便器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000257139A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107793027A (zh) * | 2017-11-30 | 2018-03-13 | 南宁市生润科技有限公司 | 一种具有自洁功能的陶瓷釉料 |
-
1999
- 1999-03-11 JP JP6547799A patent/JP2000257139A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107793027A (zh) * | 2017-11-30 | 2018-03-13 | 南宁市生润科技有限公司 | 一种具有自洁功能的陶瓷釉料 |
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