JP3347001B2 - 耐熱性銅基合金 - Google Patents

耐熱性銅基合金

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JP3347001B2 JP28945196A JP28945196A JP3347001B2 JP 3347001 B2 JP3347001 B2 JP 3347001B2 JP 28945196 A JP28945196 A JP 28945196A JP 28945196 A JP28945196 A JP 28945196A JP 3347001 B2 JP3347001 B2 JP 3347001B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、瞬間湯沸器,給湯
器等の熱交換器に使用される伝熱管等のように熱伝導
性,導電性に加えて耐熱性が必要とされる製品ないし部
品であって、特に、製作時や使用時において鑞付け等に
より相当以上の高温に加熱される製品ないし部品の構成
材料として好適に使用される耐熱性銅基合金に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、銅基合金は熱伝導性や導電性を
必要とする製品ないし部品の構成材料として使用されて
いるが、特に、瞬間湯沸器,給湯器等の熱交換器に使用
される伝熱管等のように耐熱性を必要とする製品ないし
部品の構成材としては、耐熱性に優れた燐脱酸銅(JI
S C1220)が最も一般的に使用されている。
【0003】ところで、例えば瞬間湯沸器,給湯器等の
熱交換器に使用される伝熱管は、一般に、銅製のフィン
や胴板等を取着したものであり、その製作時において
は、フィン等を取着するために相当以上の高温に加熱さ
れる。
【0004】すなわち、伝熱管にはフィンや胴板等が硬
蝋付けや溶接等により取着されるが、その際に、伝熱管
の一部(フィン等が取着される部分)や全体が蝋付け熱
や溶接熱等により一時的に高温に加熱されることにな
る。例えば、伝熱管とフィンや胴板等との蝋付けは、一
般に、伝熱管を、その被鑞付け箇所にフィン等を固定す
ると共にそこに適宜の鑞付け材をセットした状態で、非
酸化性雰囲気に保持された加熱炉(連続熱処理炉)内を
通過させることによって、行なわれる。かかる炉内鑞付
け法にあっては、蝋付け材として、一般に、強度やコス
トの面を考慮して燐銅蝋(JIS Z3264 BCu
P−2)が使用されるが、この燐銅蝋の融点が固相線温
度710℃,液相線温度795℃であることから、鑞付
け時には伝熱管全体を炉内において800℃程度に加熱
することになる。また、フィン等を含む伝熱管の形状や
構造によっては炉内鑞付け法を採用できないことがある
が、この場合には、加熱炉を使用せず、蝋付け材及びフ
ィン等を含めて伝熱管の必要箇所(被鑞付け箇所)を人
為的に加熱することによって、鑞付けを行なう。かかる
場合にも、鑞付け材の材質やその加熱温度等の鑞付け条
件は炉内鑞付け法におけると同様であり、伝熱管が局部
的に約800℃に加熱されることになる。溶接による場
合も、かかる人為的鑞付け法による場合と同様に、伝熱
管の被溶接箇所が鑞付け温度(約800℃)と同程度又
はそれ以上に高温加熱されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、燐脱酸銅製の
伝熱管にあっては、上記したフィン等の鑞付け,溶接に
より局部的又は全体的に約800℃以上の高温に加熱さ
れた場合、燐脱酸銅の結晶粒が粗大化することになるた
め、燐脱酸銅におけるマトリックス強度が低いこととも
相俟って、加熱後(鑞付け後又は溶接後)の機械的強度
(例えば、引張強さ,耐力,伸び,疲労強さ,硬さ等)
が著しく低下することになる。特に、耐力及び疲労強度
については、その低下が甚だしい。なお、このような燐
脱酸銅製の伝熱管等における結晶粒の粗大化による機械
的強度の低下は、伝熱管等の素材製作条件によって多少
異なるが、一般には600〜700℃以上に加熱された
場合に顕著に認められる。
【0006】したがって、燐脱酸銅製の伝熱管を使用し
た瞬間湯沸器,給湯器等の熱交換器にあっては、伝熱管
の機械的強度が製作段階で低下しているため、当然に耐
久性に問題があった。例えば、瞬間湯沸器,給湯器等に
あっては、その使用により伝熱管が頻繁に熱膨張と熱収
縮とを繰り返すため、それによる繰り返し荷重により伝
熱管が局部的に疲労破壊する等の虞れがあり、製品寿命
が短いといった問題があった。
【0007】このような問題は、硬鑞付けや溶接を必要
とする伝熱管に限らず、製作時又は使用時において高温
加熱ないし高温熱処理されることのある、あらゆる燐脱
酸銅製の製品,部品において指摘されるところであり、
燐脱酸銅の結晶粒が粗大化するような温度(一般に、6
00〜700℃以上)に加熱されたときにも機械的強度
並びに熱伝導性ないし導電性が著しく低下しない耐熱性
銅基合金の開発が強く要請されている。
【0008】本発明は、かかる要請に応えるべくなされ
たもので、製作時や使用時において燐脱酸銅の結晶粒が
粗大化するような高温度に加熱(ないし熱処理)される
ことがある製品,部品の構成材料として好適に使用する
ことができ、かかる加熱後においても機械的強度並びに
熱伝導性ないし導電性が低下しない耐熱性銅基合金を提
供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記の目的
を達成すべく、次のような金属組成をなす耐熱性銅基合
金を提案する。
【0010】
【0011】すなわち、本発明の銅基合金は、コバルト
0.05〜0.7質量%と、錫0.10〜1.0質量
と、燐0.02〜0.20質量%と、亜鉛0.01〜
2.0質量%と、ニッケル0.05〜0.7質量と、
マグネシウム0.005〜0.10質量%と、を含有
し、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる金属組成を
なすものである。
【0012】コバルトは伝熱管等の製作時又は使用時に
おける高温加熱条件下(例えば、硬鑞付け時における約
800℃の加熱条件下)での結晶粒の粗大化を抑制する
ための必須元素である。すなわち、コバルトの添加によ
り、高温(600〜700℃以上)に加熱されたときに
おける結晶粒の成長を良好に抑制して、金属組成を微細
に保持させることができ、且つ高温加熱後の合金の耐疲
労性が向上される。而して、このようなコバルト添加に
よる効果は、その添加量が0.10質量%未満であると
きは、充分に発揮されないが、本発明における如く、ニ
ッケル及びマグネシウム(以下、これらを総称していう
ときは「共添ニッケル等」という)を添加させる場合に
は、後述するように、共添ニッケル等の作用と相俟っ
て、コバルト添加量が0.10質量%未満であっても、
0.05質量%以上であれば、上記効果が充分に発揮さ
れる。一方、コバルト添加による効果には限度があり、
必要以上の添加は無意味であり、添加量に見合う効果を
得ることができないし、却って、導電性,熱伝導性とい
った銅基合金本来の特性を損なう虞れがある。すなわ
ち、コバルトを共添ニッケル等を添加させる場合には
0.7質量%を超えて添加しても、それに見合うだけの
効果が得られないばかりか、却って銅基合金本来の特性
である導電性,熱伝導性が低下することなる。勿論、コ
バルトは非常に高価なものであるから、これを必要以上
に添加することは、経済的にも問題がある。このような
理由から、コバルトの添加量を、共添ニッケル等が添加
させる場合には0.05〜0.7質量%とした。
【0013】燐は、コバルトと同様に、高温加熱による
結晶粒の成長抑制機能を発揮するものであるが、その機
能は、コバルトとの共添によって飛躍的に向上される。
したがって、コバルトに加えて燐を添加しておくことに
より、高温加熱による結晶粒の成長を極めて効果的に抑
制して、加熱後も微細な結晶状態を確実に維持する。而
して、かかる燐の添加による効果は、その添加量が0.
020質量%未満では有効に発揮されず、さほど期待で
きない。しかし、0.20質量%を超えて添加しても、
その添加量に見合う効果は得られないばかりか、却って
導電性,熱伝導性が低下することになり、しかも熱間加
工性も低下することになる。したがって、燐の添加量は
0.02〜0.20質量%とした。
【0014】錫は、マトリックスへの固溶強化により、
上記したコバルト及び燐による結晶粒の成長抑制作用及
び微細化作用を向上させると共にコバルト,燐の析出速
度を増大させ得て、高温加熱後における機械的強度を向
上させるものである。しかし、かかる錫の添加による効
果は、その添加量が0.10質量%未満では充分に発揮
されず、また1.0質量%を超えると、機械的強度は添
加量に応じてある程度向上するものの、導電性,熱伝導
性が低下することになる。かかる理由から、錫の添加量
は0.10〜1.0質量%とした。
【0015】亜鉛は、マトリックスの強化により機械的
強度の向上を図るために添加する。すなわち、結晶粒が
如何に微細であっても、マトリックス自体の強度が低い
場合には、当然に合金全体としての機械的強度は低いも
のとなるため、亜鉛はかかるマトリックスの強化を図る
ために添加する。この点は、錫も同様であるが、亜鉛の
添加は、更に、鑞付け性を向上させる効果を奏する。す
なわち、亜鉛を添加することにより、燐銅蝋(JIS
Z3264)等の鑞付け材との濡れ性を向上させること
ができるのある。而して、かかる亜鉛添加の効果は、そ
の添加量が0.01質量%未満では充分に発揮されず、
逆に2.0質量%を超えると、導電性,熱伝導性が低下
すると共に、応力割れや腐食割れに対する感受性が高く
なる。かかる理由から、亜鉛の添加量は0.01〜2.
質量%とした。
【0016】ニッケル及びマグネシウムは、コバルト添
加による上記効果を維持しつつ高価なコバルトの添加量
を可及的に減じるために添加されるものである。すなわ
ち、ニッケルは、マトリックスへのコバルト固溶限度を
減少せしめて、コバルト機能を少ない添加量で有効に発
揮させる役割を果たし、経済的な効果を発揮させる。さ
らには、コバルト,ニッケル,燐との共添による相乗効
果によって、導電性,熱伝導性をより高めると共に、コ
バルト,燐との共添による相乗効果によって、耐熱性の
更なる向上を図るものである。また、マグネシウムも、
ニッケルと同様に、マトリックスへのコバルト固溶限度
を減少せしめて、上記したコバルト機能を少ない添加量
で有効に発揮させる役割を果たし、コバルトの固溶量を
減少させることにより熱,電気の伝導性を高めるもので
あり、熱間加工性を高める効果もある。而して、添加量
が、ニッケル0.05質量%未満,マグネシウム0.0
05質量%未満では、上記した添加効果が充分に発揮さ
れず、逆にニッケル0.7質量,マグネシウム0.1
質量%を超える添加によっては、添加量に見合う添加
効果が認められないし、却って導電性,熱伝導性が低下
する等の弊害を生じる。このような理由から、共添ニッ
ケル等の添加量を、ニッケル0.05〜0.7質量%及
びマグネシウム0.005〜0.10質量%とした。
【0017】而して、このような金属組成をなす本発
の銅基合金が、硬鑞付けや熱処理等により600〜70
0℃以上の高温度に加熱された後においても、機械的強
度が低下せず、良好な熱伝導性,導電性,鑞付け性等を
有するものであり、熱交換器の伝熱管等の構成材料とし
て好適に使用できるものであることは、以下に述べる実
施例から容易且つ明瞭に理解されるであろう。
【0018】
【実施例】すなわち、表1に示す合金組成をなす本発明
に係る銅基合金(以下「実施例合金」という)No.
を、高周波溶解炉を使用して、木炭の被覆下において大
気溶解し、厚み35mm,幅90mm,長さ250mm
の鋳塊を得た。そして、各鋳塊を850℃に加熱して、
熱間圧延により厚み5mmの板状素材を得た。しかる
後、各板状素材を、その表面を酸洗処理した上で、厚さ
0.63mmとなるように冷間圧延し、更に焼鈍した上
で冷間仕上圧延を行なうことにより厚み0.6mmの板
材を得た
【0019】
【表1】
【0020】また、比較例として、表2に示す合金組成
をなす銅基合金(以下「比較例合金」という)No.2
1〜No.26を、各々、上記実施例と同一条件下で溶
解して、同一形状の鋳塊を得た。そして、各鋳塊から上
記実施例と同一条件下で同一工程により、同一形状の板
材(厚さ0.6mm)を得た。但し、比較例合金No.
26については、鋳塊を熱間圧延した段階で割れが生じ
たため、板材を得ることができなかった。なお、比較例
合金No.21は、冒頭で述べた如く熱交換器の伝熱管
等の構成材料として一般に使用されている燐脱酸銅(J
IS C1220)である。
【0021】
【表2】
【0022】かくして得られた各板材を、炉内鑞付け法
を実施する場合と同一の条件で連続熱処理炉内を通過さ
せることにより、800℃(10分)に加熱処理した。
このときの各板材の温度変化は、図1に示す通りであ
る。
【0023】そして、このように加熱処理された各板材
について、各々、結晶粒度及び導電率を測定すると共
に、各板材から得た試験片を使用して常法による引張試
験及び疲労試験(シェンク型繰り返し曲げ疲労試験)を
行なった。すなわち、引張試験においては、引張強さ
(N/mm2 )及び伸び(%)を測定し、疲労試験にお
いては、105 の繰り返し数に対する疲れ強さ(N/m
2 )及び疲れ強さが100N/mm2 に達したときの
繰り返し数(疲労寿命)を測定した。
【0024】その結果は、表3に示す通りであった。な
お、比較例合金No.26に係るものについては、前述
したように板材を得ることができなかったため、これら
の測定,試験は行なっていない。
【0025】
【表3】
【0026】また、比較例合金No.21からなる板材
については、連続熱処理炉に入れる前(800℃に加熱
する前)の段階においても、上記した結晶粒度及び導電
率の測定並びに引張試験及び疲労試験を行なった。その
結果は、結晶粒度:0.020mm,導電率:87%I
ACS,引張強さ:259N/mm2 ,伸び:40%,
疲れ強さ:140N/mm2 ,繰り返し数(疲労寿
命):5×105 であった。
【0027】ところで、熱,電気の伝導性に富む銅基合
金やアルミニウム等にあって、熱伝導率と導電率とは極
めて高い相関関係を示すものである。すなわち、両者は
略一定の比例関係にあり、例えば、熱伝導率が高い銅基
合金にあっては導電率も高く、逆に導電率が高い銅基合
金にあっては熱伝導率も高い。したがって、銅基合金や
アルミニウム等については、その導電率を測定すること
によって、熱伝導率ないし熱伝導性の良否を相当程度正
確に把握することができることから、ここでは、導電率
の測定値をもって実施例合金及び比較例合金相互におけ
る熱伝導率(熱伝導性)の相対的評価を行なうこととし
た。
【0028】而して、これらの結果から、燐脱酸銅であ
る比較例合金No.21では、冒頭で述べた如く、鑞付
け温度である800℃に加熱されることによって、結晶
粒が粗大化して、機械的強度が大幅に低下することが理
解される。すなわち、結晶粒度は加熱前においては0.
020mmであるが、加熱後は0.3mmであり、結晶
粒が大幅に粗大化している。そして、加熱前後において
導電率及びこれから把握される熱伝導率は変化しないも
のの、機械的強度については、加熱前において259N
/mm2 (引張強さ),40%(伸び),140N/m
2 (疲れ強さ),5×105 (繰り返し数)であった
が、加熱後においては207N/mm2(引張強さ),
26%(伸び),84N/mm2 (疲れ強さ),0.7
×105(繰り返し数)となり、800℃に加熱したこ
とによって大幅に低下している。
【0029】これに対して、実施例合金No.8につい
ては、800℃に加熱された後においても、結晶粒度は
加熱前の比較例合金No.21(燐脱酸銅)よりも小さ
くなっており、結晶粒が殆ど粗大化しないことが理解さ
れる。このことから、機械的強度が加熱後も殆ど低下し
ないことが当然に理解され、加熱後の機械的強度が、加
熱後の比較例合金No.21に比しては勿論、加熱前の
比較例合金21に比しても、大幅に高くなっていること
が表3から明瞭に理解される。すなわち、表3から明ら
かなように、実施例合金No.8は、加熱後の引張強
さ,伸び,疲れ強さ,繰り返し数(疲労寿命)の何れも
が加熱前の比較例合金No.21を大幅に上回ってい
る。したがって、本発明に係る耐熱性銅基合金を構成材
料として使用すれば、従来において最も一般的な耐熱性
銅基合金である燐脱酸銅(比較例合金No.21)を構
成材料とする製品,部品の耐久性,耐用寿命等を大幅に
向上させることができ、更には、高温加熱後の機械的強
度等の面で燐脱酸銅等を使用し得なかった製品,部品の
実用化を可能として、銅基合金の用途を大幅に拡大する
ことができる。
【0030】また、実施例合金No.8の導電率及びこ
れから把握される熱伝導率は、表3に示す如く、比較例
合金No.21より低くなっているものの、一般に燐脱
酸銅製の製品,部品(例えば、熱交換器の伝熱管等)に
必要とされる導電率,熱伝導率と同程度又はそれ以上の
値を示しており、特に問題はない。例えば、熱交換器の
伝熱管等の構成材料としては、従来からも、燐脱酸銅の
他、アルミニウムが使用されているが、かかるアルミニ
ウムの導電率は約60%IACSであり、実施例合金N
o.8の導電率は、このアルミニウムの導電率と同等
である。したがって、少なくとも、アルミニウムを構
成材料として使用される製品,部品(熱交換器の伝熱管
等)にあっては、アルミニウムに代えて本発明に係る銅
基合金を使用する上で、熱伝導性ないし導電性が問題と
なることは全くない。
【0031】一方、比較例合金No.22〜No.24
は、800℃に加熱後の導電率(熱伝導率)、疲れ強さ
及び疲労寿命(繰り返し数)が、実施例合金No.
りも明らかに低くなっている。また、比較例合金No.
25は、実施例合金No.に比して、疲れ強さ及び疲
労寿命(繰り返し数)は同等であるが、800℃に加熱
後の導電率(熱伝導率)が明らかに低くなっている。こ
れらのことから、本発明において各元素の添加量及び添
加元素の選択を前述した如く決定しておく意義が明瞭に
確認された。なお、比較例合金No.26については、
前述した如く熱間加工性に問題があり、伝熱管等の構成
材料たり得ないことは明らかである。
【0032】ところで、実施例合金No.について
は、蝋付け材として燐銅蝋(JISZ3264)を使用
して硬鑞付けしたが、その鑞付け性には何らの問題も生
じず、本発明に係る銅基合金が鑞付け性にも優れたもの
であることが確認された。
【0033】
【発明の効果】以上の説明からも容易に理解されるよう
に、本発明の耐熱性銅基合金は、最も一般的な耐熱性銅
基合金である燐脱酸銅の結晶粒が粗大化されるような高
温度(600〜700℃以上)に加熱された場合にも、
加熱によって結晶粒が粗大化されることがなく、加熱後
も機械的強度や銅合金本来の特性(熱伝導性,導電性
等)が低下することがない。特に、機械的強度について
は燐脱酸銅に比して大幅に向上しており、加熱後の機械
的強度は加熱前の燐脱酸銅よりも優れている。
【0034】したがって、本発明の耐熱性銅基合金によ
れば、製作時又は使用時において600〜700℃以上
の高温に晒される(特に、硬鑞付けや溶接により800
℃以上に加熱される)熱交換器の伝熱管等の各種製品,
部品についての耐久性ないし耐用寿命を、一般的な燐脱
酸銅製のものに比して、大幅に向上させることができ
る。
【0035】しかも、本発明の耐熱性銅基合金を構成材
料として使用することによって、燐脱酸銅を使用する場
合に比して、その用途の大幅な拡大が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例合金又は比較例合金からなる各板材を、
炉内鑞付け法を実施する場合と同一の条件で連続熱処理
炉内を通過させた場合における、当該板材の温度変化と
経過時間との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−147829(JP,A) 特開 平1−108332(JP,A) 特開 平4−272148(JP,A) 特開 昭56−90946(JP,A) 特開 昭60−13040(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 9/00 - 9/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コバルト0.05〜0.7質量%と、 錫0.10〜1.0質量%と、 燐0.02〜0.20質量%と、 亜鉛0.01〜2.0質量%と、 ニッケル0.05〜0.7質量と、 マグネシウム0.005〜0.10質量%と、 を含有し、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる金属
    組成をなすことを特徴とする耐熱性銅基合金。
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