JPH07102337A - ブレージング用アルミニウム合金フィン材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法 - Google Patents

ブレージング用アルミニウム合金フィン材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法

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JPH07102337A
JPH07102337A JP26796293A JP26796293A JPH07102337A JP H07102337 A JPH07102337 A JP H07102337A JP 26796293 A JP26796293 A JP 26796293A JP 26796293 A JP26796293 A JP 26796293A JP H07102337 A JPH07102337 A JP H07102337A
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less
brazing
aluminum alloy
fin
alloy
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JP26796293A
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English (en)
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Tokinori Onda
時伯 恩田
Koji Okada
光司 岡田
Takenobu Dokou
武宜 土公
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 0.03wt%を越え 1.2wt%以下のSi、0.05wt
%を越え 2.0wt%以下のFe、 0.6wt%を越え 2.0wt%
以下のMn、0.05wt%を越え 2.0wt%以下のCuを含有
し、さらに0.05wt%を越え 5.0wt%以下のZn、 0.002
wt%を越え 0.3wt%以下のIn、 0.002wt%を越え 0.3
wt%以下のSnのうち1種または2種以上を含有するア
ルミニウム合金芯材の両面に 7.0wt%を越え12.0wt%以
下のSi、0.1 wt%を越え 8.0wt%以下のCuを含有
し、さらに 0.002wt%を越え 0.3wt%以下のIn、 0.0
02wt%を越え 0.3wt%以下のSn、0.5 wt%を越え6wt
%以下のZnのうち1種または2種以上を含有するアル
ミニウム合金ろう材をクラッドしたブレージングシート
フィン材。 【効果】 本発明のフィン材はろう付中の座屈が少な
く、熱交換器の小型、軽量化が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム合金フィ
ン材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法に関
するものであり、さらに詳しくは、熱効率に優れたアル
ミニウム合金製熱交換器を、ろう付け工法により製造す
るためのブレージングシートフィンおよびそれらに対す
るろう付方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】図1は
サーペンタインタイプのエバポレーターであるが、熱間
または温間で管状に押し出し成形した管材(1)を蛇行
状に折り曲げ、管材の間にブレージングシートからなる
コルゲートフィン(2)を取付けたものである。ここで
(3)はコネクターを示す。管材にはJIS3003
(Al−0.15wt%Cu− 1.1wt%Mn)合金等が用いら
れ、フィンにはJIS3003合金やそれに犠牲効果を
与える目的でZn等を含有した合金を芯材とし、JIS
4045(Al−10wt%Si)合金やJIS4343
(Al− 7.5wt%Si)合金等のろう材を両面にクラッ
ドしている。これらは、いずれも 600℃付近の温度に加
熱してろう付けするブレージングにより組み立てられる
が、ブレージング工法としては、フラックスブレージン
グ法、非腐食性のフラックスを用いたノコロックブレー
ジング法等が行われる。
【0003】ところで、近年、熱交換器は軽量・小型化
の方向にあり、そのために材料の薄肉化が望まれてい
る。しかし、従来の方法で薄肉化を行った場合、多くの
問題点が生じる。
【0004】まず、冷媒通路構成部材(チューブ材等)
にしても、フィンにしても材料の肉厚が減少する分強度
を向上させる必要があり、高強度合金がいくつか提案さ
れているが十分な強度が得られていない。これは、材料
の強度を向上させるためには合金元素の添加が必要であ
るが、合金元素を添加すると該材料の融点が低下し、60
0 ℃付近の温度に加熱するブレージング工程時に溶融し
てしまうためである。
【0005】また、ブレージング時にフィンが座屈した
り、フィンにろうが拡散し溶融してしまう現象は、フィ
ンが薄くなるほど生じやすくなり、ベアのフィンでは板
厚50μm、ブレージングシートフィンで板厚 100μmが
薄肉化の限界とされている。座屈が生じると通風抵抗の
増加により熱交換器の熱効率が低下する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこれに鑑み、高
強度アルミニウム合金フィン材およびそれを用いて熱効
率に優れた熱交換器を製造するためのろう付方法につい
て、開発したものである。
【0007】すなわち、本発明ブレージングシートフィ
ン材は、0.03wt%を越え 1.2wt%以下のSi、0.05wt%
を越え 2.0wt%以下のFe、 0.6wt%を越え 2.0wt%以
下のMn、0.05wt%を越え 2.0wt%以下のCuを含有
し、さらに0.05wt%を越え 5.0wt%以下のZn、 0.002
wt%を越え 0.3wt%以下のIn、 0.002wt%を越え 0.3
wt%以下のSnのうち1種または2種以上を含有し、残
部アルミニウムおよび不可避的不純物とからなるアルミ
ニウム合金を芯材とし、その両面に 7.0wt%を越え12.0
wt%以下のSi、 0.1wt%を越え 8.0wt%以下のCuを
含有し、さらに0.002 wt%を越え 0.3wt%以下のIn、
0.002wt%を越え 0.3wt%以下のSn、0.5wt%を越え
6wt%以下のZnのうち1種または2種以上を含有し、
残部アルミニウムと不可避的不純物とからなるアルミニ
ウム合金ろう材をクラッドしたことを特徴とするもので
ある。
【0008】また本発明の他のブレージングシートフィ
ン材は、0.03wt%を越え 1.2wt%以下のSi、0.05wt%
を越え 2.0wt%以下のFe、 0.6wt%を越え 2.0wt%以
下のMn、0.05wt%を越え 2.0wt%以下のCuを含有
し、さらに0.05wt%を越え 5.0wt%以下のZn、 0.002
wt%を越え 0.3wt%以下のIn、 0.002wt%を越え 0.3
wt%以下のSnのうち1種または2種以上を含有し、さ
らに、0.03wt%を越え0,5 wt%以下のMg、0.05wt%を
越え 2.0wt%以下のNi、0.03wt%を越え 0.3wt%以下
のCr、0.03wt%を越え 0.3wt%以下のZr、0.03wt%
を越え 0.3wt%以下のTiのうち1種または2種以上を
含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物とから
なるアルミニウム合金を芯材とし、その両面に 7.0wt%
を越え12.0wt%以下のSi、 0.1wt%を越え 8.0wt%以
下のCuを含有し、さらに0.002 wt%を越え 0.3wt%以
下のIn、 0.002wt%を越え 0.3wt%以下のSn、0.5
wt%を越え6wt%以下のZnのうち1種または2種以上
を含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とからな
るアルミニウム合金ろう材をクラッドしたことを特徴と
するものである。
【0009】さらに本発明のAl合金製熱交換器の製造
方法は、上記いずれかのブレージングシートフィン材を
用いて熱交換器を製造するにあたり、ブレージング加熱
温度を 570℃を越え 585℃以下とすることを特徴とする
ものである。
【0010】まず、本発明の考え方について説明する。
アルミニウム合金製熱交換器を上記のようにブレージン
グ工法にて製造する場合、その加熱は通常 600℃付近の
温度で行われている。この 600℃という温度はフィン材
にとってかなりの高温であるため、次の3つの問題が生
じる。すなわち、加熱中にフィンが座屈する、合金
中の金属間化合物が再固溶してフィンの熱伝導性が低下
する、低融点の高強度合金が使用できない。
【0011】発明者らは、これらの問題を解決するため
に鋭意検討を行い、ブレージング加熱温度を下げること
が有効ではないかと考え、何℃以下に下げたらこのよう
な問題点を解決できるか検討したところ、 585℃以下で
あれば、ろう付中のフィンの座屈が生じにくくなり、熱
伝導性の低下がわずかとなり、Siの添加量を増やすこ
とで合金の強度を向上できることを見出した。上記3点
をさらに詳しく説明する。
【0012】 フィンの座屈の大部分は、高温でのフ
ィンに高温クリープ現象が生じることで発生するもので
あり、 590℃付近を境にそれより高い温度で急激に生じ
る(フィンが弱くなる)ことを見出した。そのため、 5
85℃以下であればこれを原因とする座屈は生じないので
ある。さらに、フィンにろうが拡散することを原因とす
る座屈があるが、ろうの拡散は 595℃付近を境にそれよ
り高い温度で急激に生じることを見出した。そのため、
585℃以下であればろう拡散は少なくなり、全体として
フィンの座屈は生じにくくなるのである。
【0013】 ブレージングを行うフィン材の熱伝導
性は、アルミニウム合金中に析出していた金属間化合物
がろう付加熱時に再固溶するために低下する。そして加
熱温度が高いほど合金元素の固溶限が大きくなりかつ拡
散速度が大きくなるので、再固溶は進行しやすくなる。
そのため、ブレージング温度を下げることはフィンの熱
伝導性を高めるのに効果があることを見出し、 585℃以
下であれば再固溶の進行速度が小さく、熱伝導性の低下
は少ないことを見出した。
【0014】 強度については、高強度アルミニウム
合金として添加される元素はCu,Mg,Si等がある
が、冷媒通路構成部材として用いる場合、耐食性やろう
付性を考慮しなければならないし、フィンとして用いる
場合、犠牲効果、熱伝導性やろう付性を考慮しなければ
ならない。よって、強度向上のために添加量を増すこと
ができる元素は限られ、具体的にはCuの添加が有力で
ある。 600℃のろう付で芯材に添加可能のCu量は1wt
%程度であるのが、芯材にCuを添加するとフィン芯材
からフィンろう材にCuが拡散してフィンろう材に添加
したZnの効果によるフィン材の犠牲防食効果が損なわ
れてしまう。しかし、 585℃でろう付けすることで芯材
のCuがろう材へ拡散することでのフィン材表面の自然
電位が貴にならずにフィン材の犠牲防食効果が損なわれ
ないことが判った。
【0015】さて、このように通常のろう付温度より低
い温度でろう付を行う方法に、低温ろう付と言われてい
る 500℃前後の温度でろう付を行う方法が知られてい
る。この方法はZnを20%以上を含有したAl−Zn系
合金やZn合金を通常ろうとして用いるために、ろう付
後にろう材が腐食されやすいという問題点があり、現実
的には熱交換器として使用されていない。さらに、Al
−Zn系合金でZnの添加量が8%を越えると圧延性が
非常に悪くなり、合わせ圧延によるブレージングシート
の製造は不可能であり、工業的に安定して低温ろう付用
のブレージングシートを供給する製造方法は確立されて
いない。そのため、置きろう等としてろうを用いねばな
らず、製造できる部材の種類は限られている。しかし、
発明者らは上記のように低温ろう付よりはるかに高温で
ある 585℃以下のろう付温度でも熱交換器の特性向上が
可能なことを見出しており、これに適したフィン合金の
開発は可能と考え、本発明に到ったのである。
【0016】ところで、従来より低融点のアルミニウム
合金ろうとして知られている合金がある(例えば特開平
3-57588 号公報)。これらは、主に鋳物をろう付するた
めに開発されたものであり、多量のCuが含有されてい
たり、上記のように8%を越えるZnを添加しているた
め、圧延加工を行うと割れてしまう問題があり、ブレー
ジングシートの製造ができなかったのである。ブレージ
ングシートとして使用できなければ、工業的に熱交換器
を製造するのに実用性が乏しく、本発明の方法は行われ
ていなかった。
【0017】ここで、本発明のブレージングシートフィ
ンの芯材の合金組成は、0.03wt%を越え 1.2wt%以下の
Si、0.05wt%を越え 2.0wt%以下のFe、 0.6wt%を
越え2.0 wt%以下のMn、0.05wt%を越え 2.0wt%以下
のCuを含有し、これに0.05wt%を越え 5.0wt%以下の
Zn、 0.002wt%を越え 0.3wt%以下のIn、 0.002wt
%を越え 0.3wt%以下のSnのうち1種または2種以上
を添加したアルミニウム合金、またはこれにさらに0.03
wt%を越え 0.5wt%以下のMg、0.05wt%を越え 2.0wt
%以下のNi、0.03wt%を越え 0.3wt%以下のCr、0.
03wt%を越え0.3 wt%以下のZr、0.03wt%を越え 0.3
wt%以下のTiのうち1種または2種以上を添加したア
ルミニウム合金である。本発明フィン材の添加元素の役
割および合金組成の限定理由について説明する。
【0018】Siは、その添加により強度を向上させ
る。強度向上の効果は0.03wt%以下の場合には無い、
1.2wt%を越えるとろう付け加熱中に再固溶化が促進さ
れてフィンの導電率を低下させてしまう。したがって、
0.03wt%を越え 1.2wt%以下のSiとする。
【0019】Feは金属間化合物を形成し、強度向上に
寄与する。その量が0.05wt%以下では効果がなく、 2.0
wt%を越えるとろう付時にフィンの再結晶粒が微細にな
りろうの拡散が大きくなり、フィンが潰れやすくなる。
【0020】Mnは合金中に微細な金属間化合物を形成
し、強度を向上するとともに、ろう付加熱時に再結晶粒
が微細になるのを防止する効果を有する。その量が 0.6
wt%以下では効果がなく、 2.0wt%を越えるとフィンの
成形性が低下してコルゲート成形できなくなる。
【0021】Cuは合金中に固溶し強度向上に寄与す
る。その添加量が0.05wt%以下では効果が無く、 2.0wt
%以上ではフィンとチューブ表面の電位差が無くなって
しまうためフィンの犠牲効果が損なわれてしまう。した
がって0.05wt%越え 2.0wt%以下のCuとする。
【0022】Zn、In、Snはフィン材に犠牲陽極効
果を付与するために添加する元素である。0.05wt%以下
のZn、 0.002wt%以下のIn、 0.002wt%以下のSn
では強度向上のために添加したCuが犠牲効果を損なう
分を埋め合わせることができない。しかし、 5.0wt%を
越えたZn、 0.3wt%を越えたIn、 0.3wt%を越えた
Snを添加した場合、フィン材の犠牲効果を発揮するこ
とは可能で有るが、フィン材の冷間加工性、ろう付け加
熱後の熱伝導性が低下する。したがって、添加量は 0.0
02wt%を越え 0.3wt%以下のIn、 0.002wt%を越え
0.3wt%以下のSn、0.05wt%を越え 5.0wt%以下のZ
nと規定した。
【0023】Mg、Ni、Cr、Zr、Tiは強度をさ
らに向上するために添加する元素である。0.03wt%以下
のMg、0.05wt%以下のNi、0.03wt%以下のCr、Z
r、Tiでは効果がなく、 0.5wt%を越えるMgはろう
付性を低下させ、 2.0wt%を越えたNi、 0.3wt%を越
えたCr、Zr、Tiは成形性を低下させフィンのコル
ゲート成形ができにくくなる。したがって、これらの元
素の添加量は上記範囲に定める。ただし、Tiについて
は、上記作用のためにその添加量の下限は0.03wt%であ
るが、鋳塊組織の微細化のために添加される場合があ
り、その場合の下限は 0.001wt%とする。
【0024】次に本合金の不可避不純物であるが、鋳塊
組織の微細化のために添加されるB等があり、これらの
元素はそれぞれ0.03wt%以下であれば添加されていても
差し支えない。
【0025】以上が本発明ブレージングシートフィン材
の芯材組成である。次にブレージングシートフィン材の
ろう材は、 7.0wt%を越え12.0wt%以下のSi、 0.1wt
%を越え8.0 wt%以下のCu、0.05wt%を越え 0.5wt%
以下のFeを含有し、さらに0.5 wt%を越え6wt%以下
のZn、 0.002wt%を越え 0.3wt%以下のIn、0.002
wt%を越え 0.3wt%以下のSnのうち1種または2種以
上を含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とから
なるアルミニウム合金とする。このろう材の芯材へのク
ラッド率は通常3%〜20%程度である。以下のろう材合
金組成の限定理由について説明する。
【0026】Siは合金の融点を下げるが、その量が
7.0wt%以下では十分に融点が低下せず、 585℃以下の
温度でろう付できない。さらに、その量が12.0wt%を越
えると逆に融点が上がるため、 585℃以下の温度でろう
付できなくなる。
【0027】Cuは合金の融点を下げ、ろう流れ性を向
上する。さらにCuは冷媒通路構成部材にCuを添加し
た合金を用いる場合に熱交換器の外部耐食性を高める働
きを有する。すなわち、熱交換器の外部耐食性について
さまざまな検討を行い、ろう材にCuを添加しない場
合、通路構成部材中に添加されているCuがろう付中に
ろう材に拡散し、ろう材と通路構成部材との境界付近に
低Cu領域が生じてそこが優先的に腐食されるため、膨
れをともなう激しい腐食を生じるのを見出した。本発明
ではろうにCuを添加することで、通路構成部材からろ
う材へのCuの拡散を防止し、ろう材と犠牲材との境界
付近に低Cu領域が生じないようにし、耐食性を向上さ
せた。ここで、Cuの量が 0.1wt%以下では上記の効果
が十分でなく、その量が 8.0wt%を越えるとろうの電位
が貴になりすぎて、冷媒通路構成部材が優先的に腐食す
るようになり、耐食性が低下する上に、合金の圧延加工
性が低下し、熱交換器用のブレージングシートに用いる
ろうとしては適さなくなる。したがって、Cuは 0.1wt
%を越え 8.0wt%以下とするが、特に 0.5〜3.5 wt%で
安定した特性を示す。
【0028】さらに、本発明のようにCuを添加したろ
う合金では外部腐食によるふくれの発生は抑えられるも
のの、ろうの電位が芯の電位より貴になり、外部腐食が
ピット状に進行しその速度が速いという問題がある。Z
nの添加はろうの電位を下げ、ろうの電位を芯合金の電
位に近づけ、耐食性を向上させる。しかし、その量が0.
5 wt%以下では効果が十分でなく、その量が 8.0wt%を
越えるとろうの圧延加工性が低下することがわかってい
るが、耐食性の観点からも考えてZnの添加量は6wt%
を越えないことが望ましい。
【0029】InおよびSnもZnと同じ目的で添加す
る。すなわち、ろうの電位を卑にし冷媒通路構成部材の
耐食性を向上させる。その量が 0.002wt%以下では効果
が十分でなく、その量が 0.3wt%を越えると合金の圧延
加工性が低下する。
【0030】ろう材の合金組成は以上の通りであるが、
不可避的不純物として、Feは 1.0wt%以下であれば含
有可能である。しかし、Feはろうが凝固するときに金
属間化合物を形成し、これが腐食の起点となる。そのた
め、Fe量は 0.5wt%以下が望ましい。Fe以外の不純
物元素として、他の元素もそれぞれ0.05wt%以下であれ
ば含有してもよい。以上が本発明のブレージングシート
フィンに用いられるろう合金であるが、ベアフィンとし
て本発明のフィンを用いるときはこのろう材を用いて、
冷媒通路構成部材のブレージングシートを製造して用い
ればよい。
【0031】本発明フィン材は、ろう付により製造する
アルミニウム合金製熱交換器に用いられる。ここでいう
アルミニウム合金製熱交換器は、ラジエーター、コンデ
ンサー、エバポレーター等が上げられるがこれに限定す
るものでない。ここでフィンの合金組成は上記のように
限定するが、それ以外の冷媒通路構成部材に用いられる
アルミニウム合金の合金組成は特に限定しない。 600℃
付近の温度でろう付を行うための合金(例えば3003
合金をベースに各種元素を添加した合金や1000系の
合金)をそのまま用いて構わない。これは、本発明のフ
ィンを用いて 585℃以下の温度でろう付を行った場合、
フィンの高温座屈性および熱伝導性は必ず向上するから
である。また、合金の高強度を狙って、例えば1000
系合金や3000系合金でSiを 1.2wt%以上添加した
アルミニウム合金を冷媒通路構成部材に使用することも
可能である。
【0032】本発明では、ろう付温度を 570℃を越え 5
85℃以下で行う。ろう付温度が 570℃以下では、本発明
のろうでろう付できないからである。また 585℃を越え
ると、上記のように、フィンの熱伝導性が低下し、かつ
高温座屈性が低下し、さらに溶融してしまう。なお、こ
のようにろう付温度を低下させることで、ろう付炉の寿
命が延びるという効果と冷媒通路構成部材の耐食性が向
上するという効果を有する。
【0033】ここで、本発明のろう付条件は上記のよう
に、温度は限定されるが、それ以外の条件は従来と同様
でよい。すなわち、フラックスブレージング法、非腐食
性のフラックスを用いたノコロックブレージング法等で
あればよく特に限定するものではない。ろう付け前の組
み立て、洗浄、場合によってフラックス塗布等は従来通
り行えばよい。この場合フラックスは、例えばセシウム
系のフラックスを用いれば、本発明の温度域でろう付可
能である。
【0034】なお、本発明では、加熱の後の工程は特に
限定しない。従来より行われているように、時効処理や
フラックス除去や塗装等の工程を行えばよい。
【0035】本発明のフィンの製造は、半連続鋳造によ
り鋳塊を製造し、熱間圧延(合わせ圧延)、冷間圧延・
焼鈍の工程で製造可能であり、また、連続鋳造圧延、冷
間圧延・焼鈍の工程でも製造可能である。
【0036】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0037】表1および表2の左欄に示す合金組成の芯
材の両面に同じく右欄に示す合金組成のろう材をクラッ
ドしたブレージングシートフィンを作製した。このブレ
ージングシートフィンは板厚0.11mmであり、芯材の両面
にろう材を10%ずつクラッドしたH14調質である。こ
れらを表3の条件でN2 ガス中で加熱を行い、垂下試
験、引張試験を行った。そしてこれらの結果を表3に示
した。
【0038】垂下試験は突き出し長さ50mmで実施した。
クラッドフィンの場合ろうが表面に存在し、ろう付加熱
後のフィンの正確な断面積の測定が困難なため、強度を
測定してもその信頼性が十分でないため、クラッドフィ
ンの強度は芯材と同一の組成のベアフィンに同じ加熱を
施して測定して代用した。クラッドフィンの強度は同一
の芯材を有するベアフィンの強度にほぼ対応した傾向を
示すことが知られている。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】従来および比較例のフィン材は引張強さと
垂下性に優れているものがないのに対して、本発明フィ
ン材は優れた値を示している。
【0043】上記表1および表2で示すブレージングシ
ートフィンと通常用いられているJIS1050押し出
しチューブ(4.00mm)とを組み合わせ、本発明例No.1
〜No.30のフィン材と組合せたものは 575℃×5分、比
較例、従来例のものは 600℃×5分、N2 ガス中で加熱
を行い図1に示すエバポレーターコアを作製した。この
コアにJISH8681に準じるCASS試験を 750時
間行い、試験後のチューブの孔食深さを測定し、フィン
の犠牲効果を確認した。測定結果を表4に示す。なお、
5%NaCl溶液中で測定したフィンの自然電位を表4
に示す。
【0044】
【表4】
【0045】本発明例のフィンは比較例、従来例と比べ
て自然電位は卑であり、エバポレーターチューブの孔食
深さも浅い。
【0046】
【発明の効果】以上のように本発明のフィン材を使用
し、熱交換器を製造した場合、ろう付中のフィンの座屈
が少なく、フィンの強度向上効果があり、熱交換器の小
型、軽量化が可能であり、工業上顕著な効果を奏するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】サーペンタインタイプのエバポレーターを示す
一部断面の斜視図である。
【符号の説明】
1 偏平チューブ 2 フィン 3 コネクター
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 21/02 C22F 1/04 Z F28F 1/32 G

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.03wt%を越え 1.2wt%以下のSi、0.
    05wt%を越え 2.0wt%以下のFe、 0.6wt%を越え 2.0
    wt%以下のMn、0.05wt%を越え 2.0wt%以下のCuを
    含有し、さらに0.05wt%を越え 5.0wt%以下のZn、
    0.002wt%を越え 0.3wt%以下のIn、 0.002wt%を越
    え 0.3wt%以下のSnのうち1種または2種以上を含有
    し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物とからなる
    アルミニウム合金を芯材とし、その両面に 7.0wt%を越
    え12.0wt%以下のSi、 0.1wt%を越え 8.0wt%以下の
    Cuを含有し、さらに 0.002wt%を越え 0.3wt%以下の
    In、 0.002wt%を越え 0.3wt%以下のSn、 0.5wt%
    を越え6wt%以下のZnのうち1種または2種以上を含
    有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とからなるア
    ルミニウム合金ろう材をクラッドしたことを特徴とする
    ブレージングシートフィン材。
  2. 【請求項2】 0.03wt%を越え 1.2wt%以下のSi、0.
    05wt%を越え 2.0wt%以下のFe、 0.6wt%を越え 2.0
    wt%以下のMn、0.05wt%を越え 2.0wt%以下のCuを
    含有し、さらに0.05wt%を越え 5.0wt%以下のZn、
    0.002wt%を越え 0.3wt%以下のIn、 0.002wt%を越
    え 0.3wt%以下のSnのうち1種または2種以上を含有
    し、さらに、0.03wt%を越え 0.5wt%以下のMg、0.05
    wt%を越え 2.0wt%以下のNi、0.03wt%を越え 0.3wt
    %以下のCr、0.03wt%を越え0.3 wt%以下のZr、0.
    03wt%を越え 0.3wt%以下のTiのうち1種または2種
    以上を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物
    とからなるアルミニウム合金を芯材とし、その両面に
    7.0wt%を越え12.0wt%以下のSi、 0.1wt%を越え 8.
    0wt%以下のCuを含有し、さらに 0.002wt%を越え 0.
    3wt%以下のIn、0.002wt%を越え 0.3wt%以下のS
    n、0.5 wt%を越え6wt%以下のZnのうち1種または
    2種以上を含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物
    とからなるアルミニウム合金ろう材をクラッドしたこと
    を特徴とするブレージングシートフィン材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれか1項記載の
    ブレージングシートフィン材を用いて熱交換器を製造す
    るにあたり、ブレージング加熱温度を 570℃を越え 585
    ℃以下とすることを特徴とするアルミニウム合金製熱交
    換器の製造方法。
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