JP3316316B2 - アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法 - Google Patents
アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法Info
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Description
材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法に関
し、さらに詳しくは、熱交換効率に優れ、高強度のアル
ミニウム合金製熱交換器をろう付け法により製造するた
めのアルミニウム合金ろう材および前記ろう材を用いた
アルミニウム合金製熱交換器の製造方法に関する。
1に示すように複数本の偏平チューブ(冷媒通路)(1)
の間にコルゲート状に加工したフィン(2) を一体に形成
し、偏平チューブの両端はヘッダー(3) とタンク(4) と
で構成される空間にそれぞれ開口しており、高温冷媒
を、一方のタンク側の空間から偏平チューブ(1) 内を通
して他方のタンク(4) 側の空間に送り、偏平チューブ
(1) およびフィン(2) の部分で熱交換し、冷却後の冷媒
を再び循環させる構造のものである。このような熱交換
器は、チューブ材とヘッダー材に、例えば、JIS-3003合
金を芯材とし、前記芯材の内側、すなわち冷媒に常時触
れている側には内張材としてJIS-7072合金を、そして前
記芯材の外側には、JIS-4045合金のろう材をクラッドし
た3層構造のブレージングシートを用い、コルゲート加
工したフィン等の他の部材とともに 600℃付近の温度に
加熱してろう付けするブレージング工法により一体に組
立てられる。
ーである。このコンデンサーは、熱間または温間で管状
に押出し成形したチューブ材(5) を蛇行状に折り曲げ、
チューブ材の間にブレージングシートからなるコルゲー
トフィン(6) を取付けたものである。ここで(7) はコネ
クターである。チューブ材にはJIS-3003合金等が用いら
れ、コルゲートフィン(6) には、JIS-3003合金やそれに
犠牲陽極効果を与える目的でZn等を添加した合金を芯材
とし、その両面にJIS-4045合金やJIS-4343合金等のろう
材をクラッドしたブレージングシートが用いられてい
る。このコンデンサーも前記と同じブレージング工法に
より組立てられる。
換器は軽量・小型化の方向にあり、そのために部材の薄
肉化が望まれている。しかし、薄肉化には、次のような
問題がある。(1)フィンは薄肉化すると熱伝導性が低下
するので、熱伝導性に優れた Al-Zr系合金のフィン材が
開発されたが、このフィン材は強度が低いためブレージ
ング時に座屈し易く、また、 (2)フィン中の析出物が再
固溶してフィンの熱伝導性が低下する。 (3)部材の強度
を合金元素を増やして高めようとすると融点が低下して
ブレージング時に溶融してしまう。 (4)チューブの場
合、薄肉化した分、芯材にCuを含有させて強度を高めよ
うとすると、ブレージング時にCuが犠牲層に熱拡散して
犠牲層が貴となり、耐食性が低下する。
地球資源の有効利用の見地からリサクイクル問題が重視
されている。ろう付け工法で製造されるアルミニウム合
金製熱交換器は部材毎に合金組成が異なり、熱交換器全
体の平均組成は半端な組成になる。したがって、熱交換
器のスクラップを熱交換器用原料としてそのままリサイ
クルすることができないという問題がある。
するために鋭意研究を行い、性能に係わる問題に対して
は、ブレージング温度を下げることが有効であると考え
た。そこで、何度に下げたら良いかを検討して、 585℃
以下であれば、 (1)ろう付け中のフィンの座屈が防止で
きること、 (2)析出物の再固溶によるフィンの熱伝導性
の低下を抑制できること、 (3)高強度部材の溶融を防止
できること、 (4)合金元素の熱拡散によるチューブ材の
耐食性低下を阻止できることを見出した。同時にリサイ
クルに適した組成であることを配慮して、ろう材の合金
元素を選定して、本発明を完成するに到った。本発明
は、小型・軽量でリサイクルが可能なアルミニウム合金
製熱交換器の製造に適したアルミニウム合金ろう材、お
よび前記ろう材を用いたアルミニウム合金製熱交換器の
製造方法の提供を目的とする。
有させた Al-Zn系合金やZn合金が知られている。この低
融点ろう材は 500℃前後の温度でろう付けできるが、腐
食し易いため、熱交換器には用いられていない。また A
l-Zn系合金ではZnの含有量が8%を超えると加工性が悪化
し、3層構造のブレージングシートの圧延加工が困難に
なる。鋳物用ろう材(例えば特開平3-57588 号)は、Cu
やZnが多量に含有されているため、加工性が悪く、やは
りブレージングシートに圧延できない。最近、熱交換器
用ろう材が提案された(特開平6-182582号)が、このろ
う材は融点の低下が不十分であり、また耐食性に対する
配慮が欠けている。このように従来の低融点ろう材は、
熱交換器に適用するには耐食性や加工性の点で問題があ
った。
7.0wt%を超え12.0wt% 以下のSi、1.0wt%を超え8.0wt%以
下のCu、0.5wt%を超え6.0wt%以下のZn、 0.15wt%以上1.
2wt%以下のMn、0.05wt% を超え0.5wt%以下のFeを含有
し、残部アルミニウムと不可避的不純物からなることを
特徴とするアルミニウム合金ろう材である。
wt% 以下のSi、1.0wt%を超え8.0wt%以下のCu、0.5wt%を
超え6.0wt%以下のZn、 0.15wt%以上1.2wt%以下のMn、0.
05wt% を超え0.5wt%以下のFeを含有し、0.3wt%以下のI
n、0.3wt%以下のSnのうち1種または2種を含有し、残
部アルミニウムと不可避的不純物からなることを特徴と
するアルミニウム合金ろう材である。
う材を用いてアルミニウム合金製熱交換器を製造する方
法で、その構成は、アルミニウム合金製熱交換器をろう
付けにより製造する方法において、7.0wt%を超え12.0wt
% 以下のSi、1.0wt%を超え8.0wt%以下のCu、0.5wt%を超
え6.0wt%以下のZn、 0.15wt%以上1.2wt%以下のMn、 0.0
5wt%を超え0.5wt%以下のFeを含有し、残部アルミニウム
と不可避的不純物からなるアルミニウム合金ろう材を用
い、 570℃〜585 ℃の温度でろう付けを行うことを特徴
とするものである。
う材を用いてアルミニウム合金製熱交換器を製造する方
法で、その構成は、アルミニウム合金製熱交換器をろう
付けにより製造する方法において、7.0wt%を超え12.0wt
% 以下のSi、1.0wt%を超え8.0wt%以下のCu、0.5wt%を超
え6.0wt%以下のZn、 0.15wt%以上1.2wt%以下のMn、 0.0
5wt%を超え0.5wt%以下のFeを含有し、0.3wt%以下のIn、
0.3wt%以下のSnのうち1種または2種を含有し、残部ア
ルミニウムと不可避的不純物からなるアルミニウム合金
ろう材を用い、 570℃〜585 ℃の温度でろう付けを行う
ことを特徴とするものである。
して、アルミニウム合金製熱交換器のろう付けに用いら
れる。ここでいうアルミニウム合金製熱交換器は、ラジ
エーター、コンデンサー、エバポレーター等であるが、
これらに限定するものではない。本発明のろう材の用途
を熱交換器に限定した理由は、本発明のろう材のもつ熱
伝導性向上効果が熱交換器に極めて効果的に作用し、さ
らに、熱交換器の構成部材であるフィンの高温座屈を有
効に改善し得るためである。本発明において、フィンや
チューブ材に用いられるアルミニウム合金部材は、融点
が 600℃付近のろう材を用いたときと同じ従来の合金組
成の部材(例えば3003合金をベースに各種元素を添加し
た合金や1000系の合金等)を、そのまま使用できる。こ
れは、本発明のろう材を用いて 585℃以下の温度でろう
付けを行った場合、フィンの耐座屈性や熱伝導性等は必
ず向上するからである。また、合金の高強度化を狙っ
て、1000系合金や3000系合金にSiを1.2wt%以上添加した
アルミニウム合金等も使用可能である。
う付け温度は限定するが、それ以外のろう付け条件は従
来の場合と殆ど同じでよい。すなわち、ろう付け法は、
フラックスブレージング法、非腐食性のフラックスを用
いたノコロックブレージング法等が適用でき、特に限定
されない。ろう付け前の組立て、洗浄、場合により行う
フラックス塗布等は従来通り行えばよい。この場合フラ
ックスは、例えばフッ化物系の低融点フラックスやセシ
ウム系のフラックスを用いれば、本発明のろう付け温度
範囲内でろう付けが可能である。本発明では、ろう付け
後の工程は特に限定せず、時効処理、フラックス除去、
塗装等の工程を従来通り行えばよい。
限定理由を説明する。Siは合金の融点を下げる。その含
有量を7.0wt%を超え12.0wt% 以下に限定した理由は、7.
0wt%以下でも 12.0wt%を超えても融点が 585℃を超えて
しまい、 585℃以下の温度でろう付けができなくなるた
めである。
流動性を向上させる。さらにCuはチューブ材にCuを含有
させた合金を用いる場合に、熱交換器の外部耐食性を向
上させる。Cuの含有量を1.0wt%を超え8.0wt%以下に限定
した理由は、1.0wt%以下では融点が十分に低下せず、8.
0wt%を超えるとろうの電位が貴になりすぎて、チューブ
材が優先的に腐食して耐食性が低下し、また、8.0wt%を
超えると、合金の圧延加工性が低下し、熱交換器用のブ
レージングシートに用いるろうとしては適さないためで
ある。したがって、Cuは1.0wt%を超え8.0wt%以下とする
が、特に 1.0〜3.5wt%で安定した特性を示す。
について説明を加える。すなわち、ろう材にCuを添加し
ない場合は、通路構成部材中に添加されているCuがろう
付け中にろう材に拡散し、ろう材と通路構成部材との境
界付近に低Cu領域が生じ、そこが優先的に、膨れをとも
なって激しく腐食する。しかし、ろう材にCuを添加して
おくと、通路構成部材からろう材へのCuの拡散が阻止さ
れ、前記低Cu領域が生じなくなり、その結果耐食性が向
上する。このことは、発明者等が熱交換器の外部耐食性
についてさまざまな検討を行い見出したものである。
また、ろう材にCuが添加されている場合、ろう材が芯材
より貴になって外部腐食が急速に進行するのを防止す
る。Znの含有量を0.5wt%を超え6.0wt%以下に限定した理
由は、0.5wt%以下では、その効果が十分に得られず、6.
0wt%を超えるとろうの自己耐食性が低下する上に、圧延
加工性が低下し、熱交換器用ブレージングシートには適
さなくなる。
金属間化合物をMn系化合物にして耐食性を向上させる。
すなわち、Mnが添加されていない場合、Al-Fe-Si系金属
間化合物が析出し、これが腐食の起点となる。本発明で
はこの化合物中にMnが含有されることで、金属間化合物
の特性が変化し耐食性が著しく向上した。後の実施例で
示すが、このMnの作用により耐食寿命は2倍以上に伸び
るのである。前記効果はMnの含有量が0.15wt% 未満では
十分に得られず、1.2wt%を超えるとMn系化合物が粗大化
し鋳塊の加工性が低下する。 Mnは上記のような効果を有
する元素であるが、Mnの含有量を0.15wt% 以上とした理
由は、後述するリサイクル性のためである。一般にブレ
ージングシートの芯材合金には1wt% 以上のMnが添加さ
れているため、熱交換器屑から本ろう材へのリサイクル
を効率良く行うためには、Mn添加量は0.15wt% 以上必要
である。
を微細化し、フィレット(隅肉)の強度を高める。Feの
含有量を 0.05wt%を超え0.5wt%以下に限定した理由は、
0.05wt% 以下ではその効果が十分にえられず、0.5wt%を
超えると腐食の起点となるAl-Fe-Si系金属間化合物が増
加して耐食性が低下するためである。
InやSnは、ろうの電位を卑にしチューブ材の耐食性を向
上させるもので、Znの耐食効果を助長する。各々の含有
量を0.3wt%以下に限定した理由は、0.3wt%を超えると合
金の圧延加工性が低下するためである。なお0.002wt%以
下ではその効果が十分に得られなくなる。不可避的不純
物として含有される他の元素は、 0.30wt%以下であれば
差し支えない。特には、 0.05wt%以下が望ましい。
付け温度を 570℃を超え 585℃以下に限定した理由は、
ろう付け温度が 570℃以下では、ろう材が溶融せずろう
付けができないためである。 585℃を超えると、 (1)フ
ィンが座屈し易くなり、 (2)フィンの析出物が再固溶し
てフィンの熱伝導性が低下し、 (3)Cu等の融点を下げる
元素を多量に含有した部材が溶融し、 (4)チューブ内で
合金元素が拡散してチューブの耐食性が低下するためで
ある。さらに、ろう付け温度を下げることで、ブレージ
ング炉の寿命が延びるという効果も得られる。
する。 (1)フィンの座屈の大部分は、フィンの高温クリープ現
象により発生する。この高温クリープ現象は、フィンが
弱くなる 590℃付近より高温で急激に起きる。そのた
め、 585℃以下であればこれが原因となる座屈は生じな
い。座屈はフィンにろうが拡散しても起きる。フィンへ
のろうの拡散は 595℃以上の温度で急激に生じる。その
ため 585℃以下であればろう拡散は少なくなり、全体と
してフィンの座屈は生じ難くなる。 (2)フィン材は、ブレージング時に、析出していた合金
元素が再固溶して熱伝導性が低下する。ブレージング温
度が高いほど合金元素の固溶限が大きくなりかつ拡散速
度が大きくなって、再固溶が進行する。そのため、ブレ
ージング温度を下げることはフィンの熱伝導性を高める
のに効果がある。 585℃以下であれば再固溶の進行速度
が小さく、熱伝導性の低下は少ない。 (3)強度向上のための合金元素にはCu,Mg,Si等がある。
チューブ材の合金元素は、耐食性、ろう付け性等を考慮
して選定する。フィン材の合金元素は、犠牲陽極効果、
熱伝導性、ろう付け性等を考慮して選定する。このよう
に種々考慮するため、添加量を増加できる合金元素は限
定される。具体的にはSiが有力である。Siの添加量は、
ろう付け温度が 600℃の場合、1wt%程度であるが、 585
℃以下の場合、2.5wt%程度に増加できる。 (4)犠牲層を有するチューブ材では、高強度化のため
に、芯材にCuを添加するとチューブ材の耐食性が急激に
低下する。この原因は、芯材中のCuが犠牲層に拡散し、
犠牲層の成分(例えばZn)が芯材に拡散して、犠牲層の
成分がブレージング前と比べ大きく変化し、犠牲陽極効
果が減少するためである。本発明では、ブレージング温
度を従来の 600℃より、585 ℃〜570 ℃と低く設定した
ので、拡散量が減り、耐食性が向上する。
材の特徴は、ろう付け温度が 570℃〜585 ℃と低いとい
うこと以外に、リサイクルが考慮されている点にある。
アルミニウム合金製熱交換器に用いられる各々の部材の
主たる合金元素は、強度と耐食性向上のためのCu、フィ
ン等に犠牲陽極効果を付与するためのZn、ろうの低融点
化のためのSi、芯材の強度向上のためのMn等である。熱
交換器のスクラップをリサイクルする場合は、これらの
合金元素は平均化され、そのままでは、熱交換器用の各
々の部材に再使用できない組成のものであった。現在、
このスクラップは鋳物用原料として使用されているが、
省資源の見地からは熱交換器から熱交換器へという真の
リサイクルが望ましい。
素を見ると、Si、Cu、Zn、Mn、Fe、In、Snを含有してい
る。すなわち、ろう付け工法で製造されるアルミニウム
合金製熱交換器に通常添加されている元素が全て含まれ
ている。すなわち、熱交換器から熱交換器部材へという
リサイクルを可能した合金組成になっている。
る。 (実施例1) 表1に示す合金組成のブレージングシートフィンを常法
により作製した。フィンの板厚は0.07mmであり、ろうは
いずれも芯材の両面に10% ずつクラッドしたH14 調質材
である。得られたブレージングシートフィンについて、
垂下試験を 575〜610 ℃の窒素ガス雰囲気中で、突き出
し長さ50mmの条件で行った。結果を表2に示す。
に、本発明例品 (No.1〜13) は、いずれも垂下量が小さ
く、優れた垂下性を示した。これに対して、比較例品の
No.14,16〜20は、本発明のろう材の組成範囲外で融点が
高く、ろう付け温度が高温のため、いずれも垂下量が大
きくなった。また、No.15 はCuおよびZnが多すぎて加工
性が悪化し、フィンに加工できなかった。
ニウム合金チューブ用の3層ブレージングシート板材
(板厚0.25mm)を常法により製造した。ろう材と芯材の
組成を表3に示す。犠牲材にはAl−4wt%Zn 合金を用い
た。ろう材のクラッド率は10%、犠牲材のクラッド率は
15%である。ただし、従来例では、犠牲材にAl-1wt%Zn
合金を用いクラッド率は10% とした。また、犠牲材には
不純物として、Fe、Siがそれぞれ0.01〜0.2wt%含まれて
いる。得られたブレージングシート板材を、窒素ガス雰
囲気中で種々温度で加熱し、加熱後の板材について引張
試験および耐食性試験を行った。耐食性試験は、ろう材
を外側、犠牲材を内側にしたチューブ材を想定して、外
部耐食性試験と内部耐食性試験を行った。外部耐食性試
験は、ろう材の表面中央部のみを露出させ、他の面をす
べてシールしたサンプルについて、CASS試験(JIS-
H-8681) を 500時間行なった。試験後、ろう材表面の孔
食の発生状況とその深さを調べた。孔食深さは、光学顕
微鏡を用いた焦点深度法により求めた。内部耐食性試験
は、ろう材部分をマスキングしたサンプルを、Cu2+イオ
ンを10ppm 添加した水道水中に5カ月間浸漬し、80℃×
8時間と室温×16時間のサイクル腐食試験を行った。試
験後、犠牲材表面に発生した孔食の深さを測定した。結
果を、ろう付け加熱時間を併記して表6に示す。
に、本発明例品(No.23〜38) は、いずれも、外部、内部
両方の耐食性に優れている。引張強さが高めのもの(No.
23〜35) についても良好な耐食性が得られた。これに対
し、比較例品の No.39はろう材にZn、In、Snが含有され
ていないたまた、 No.40はろう材のCu量が少なく、また
Mnを含有していないため、 No.45はろう材にMnが含有さ
れていないため、いずれも外部耐食性が低下している。
比較例品の No.41、42、44、46は本発明のろう合金の範
囲をはずれており融点が高く 600℃以上の温度で加熱し
たため、芯材が溶融してしまった。比較例品の No.43は
ろう合金のCu、Znの含有量が多すぎたため、圧延時に割
れてしまいブレージングシートに加工できなかった。従
来例品の No.47は芯材にCuが比較的多く含有されたもの
であるが、内部、外部とも耐食性が劣った。
ー材を用いて、図1に示す構造のラジエーターを組立て
た。チューブ材は厚さ 0.3mmのコイル状板材を35.0mmの
条材にスリッターし、この条材を電縫管製造装置によ
り、幅16.0、厚さ2.2mm の通液用電縫管に加工して作製
した。ヘッダー材は、板さ 1.0mmのコイル状板材を幅60
mmにスリッターして作製した。組立てられたラジエータ
ーは、フッ化カリウム系フラックスの10%濃度液を塗布
し、窒素ガス中で種々のろう付け温度に加熱した。得ら
れたラジエーターについて、フィンおよびチューブの潰
れ具合を外観観察により調査し、また、フィレットの形
成具合を観察してろう付け性を判定した。また、きちん
とろう付けされた熱交換器について熱効率を調査した。
熱効率はJIS-D-1618(自動車用冷房機試験方法)に準じ
て調査した。熱効率は従来品を基準にとって比較表示し
た。また、ろう付け後のチューブ材について引張試験を
行った。結果を、材料および加熱条件の組合せを併記し
て表8に示す。
明例品(No.48〜51) は、フィンやチューブが潰れずに熱
交換器が製造されており、高強度材の使用が可能であ
り、製造されたラジエーターは、熱効率が従来品(No.5
4) より 0.5〜2.5 %向上した。チューブ材の引張強さ
も高い値を示した。これに対し、比較例品は、ろう材の
融点が高く、ろう付けを 600℃の高温で行わなければな
らなかったため、フィンまたはチューブに潰れが発生し
た。フィンが潰れたもの(No.52) は熱効率が低下し、チ
ューブが潰れたもの(No.53) は熱効率の測定ができなか
った。
れば、低温でろう付けができるため、ろう付け中にフィ
ンが座屈したり、析出物が再固溶して熱伝導性が低下し
たりしない。また部材に高強度材を使用しても、部材が
ろう付け中に溶融したり、合金元素が拡散してチューブ
の耐食性が低下することもない。したがって、熱交換器
の小型・軽量化が可能である。さらに、本発明のろう材
は、Si、Fe、Cu、Mn、Znを必須元素としており、これら
合金元素は熱交換器の他の部材の主要合金元素に含まれ
ており、スクラップを熱交換器の原料として再使用でき
る。また、本発明の製造方法では、前記ろう材を 570〜
585 ℃の比較的低温でろう付けするので、前述と同様の
効果が得られ、工業上顕著な効果を奏する。
一部断面の斜視図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 7.0wt%を超え12.0wt% 以下のSi、1.0wt%
を超え8.0wt%以下のCu、0.5wt%を超え6.0wt%以下のZn、
0.15wt%以上1.2wt%以下のMn、 0.05wt%を超え0.5wt%以
下のFeを含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物か
らなることを特徴とするアルミニウム合金ろう材。 - 【請求項2】 7.0wt%を超え12.0wt% 以下のSi、1.0wt%
を超え8.0wt%以下のCu、0.5wt%を超え6.0wt%以下のZn、
0.15wt%以上1.2wt%以下のMn、 0.05wt%を超え0.5wt%以
下のFeを含有し、0.3wt%以下のIn、0.3wt%以下のSnのう
ち1種または2種を含有し、残部アルミニウムと不可避
的不純物からなることを特徴とするアルミニウム合金ろ
う材。 - 【請求項3】 アルミニウム合金製熱交換器をろう付け
により製造する方法において、7.0wt%を超え12.0wt% 以
下のSi、1.0wt%を超え8.0wt%以下のCu、0.5wt%を超え6.
0wt%以下のZn、 0.15wt%以上1.2wt%以下のMn、 0.05wt%
を超え0.5wt%以下のFeを含有し、残部アルミニウムと不
可避的不純物からなるアルミニウム合金ろう材を用い、
570℃〜585 ℃の温度でろう付けを行うことを特徴とす
るアルミニウム合金製熱交換器の製造方法。 - 【請求項4】 アルミニウム合金製熱交換器をろう付け
により製造する方法において、7.0wt%を超え12.0wt% 以
下のSi、1.0wt%を超え8.0wt%以下のCu、0.5wt%を超え6.
0wt%以下のZn、 0.15wt%以上1.2wt%以下のMn、 0.05wt%
を超え0.5wt%以下のFeを含有し、0.3wt%以下のIn、0.3w
t%以下のSnのうち1種または2種を含有し、残部アルミ
ニウムと不可避的不純物からなるアルミニウム合金ろう
材を用い、570 ℃〜585 ℃の温度でろう付けを行うこと
を特徴とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方法。
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JP23889994A JP3316316B2 (ja) | 1994-10-03 | 1994-10-03 | アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法 |
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JPH08103883A JPH08103883A (ja) | 1996-04-23 |
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1994
- 1994-10-03 JP JP23889994A patent/JP3316316B2/ja not_active Expired - Fee Related
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