JP2686037B2 - アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法

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JP2686037B2 JP5214879A JP21487993A JP2686037B2 JP 2686037 B2 JP2686037 B2 JP 2686037B2 JP 5214879 A JP5214879 A JP 5214879A JP 21487993 A JP21487993 A JP 21487993A JP 2686037 B2 JP2686037 B2 JP 2686037B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム合金ろう
材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、熱効率に優れ、高強度
のアルミニウム合金製熱交換器をろう付工法により製造
するためのアルミニウム合金ろう材およびそれを用いた
アルミニウム合金製熱交換器の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術とその課題】ラジエーター等の熱交換器は
例えば図1に示すように複数本の偏平チューブ1の間に
コルゲート状に加工した薄肉フィン2を一体に形成し、
該偏平チューブ1の両端はヘッダー3とタンク4とで構
成される空間にそれぞれ開口しており、一方のタンク側
の空間から偏平チューブ1内を通して高温冷媒を他方の
タンク4側の空間に送り、偏平チューブ1および薄肉フ
ィン2の部分で熱交換して低温になった冷媒を再び循環
させるものである。このような熱交換器のチューブ材お
よびヘッダー材は例えば JIS 3003 合金を芯材とし、該
芯材の内側、すなわち冷媒に常時触れている側には犠牲
材として JIS 7072 合金を、そして、該芯材の外側に
は、通常 JIS 4045 合金等のろう材をクラッドしたブレ
ージングシートを用い、コルゲート加工を行ったフィン
材等のの他の部材とともに、ブレージングにより一体に
組み立てられている。
【0003】また、図2はサーペンタインタイプのコン
デンサーであるが、熱間または温間で管状に押し出し成
形した管材5を蛇行状に折り曲げ、管材の間にブレージ
ングシートからなるコルゲートフィン6を取付けたもの
である。ここで7はコネクターを示す。管材には JIS 3
003 合金等が用いられ、フィンには JIS 3003 合金やそ
れに犠牲効果を与える目的でZn等を含有した合金を芯
材とし、 JIS 4045 合金や JIS 4343 合金等のろう材を
両面にクラッドしている。
【0004】これらは、いずれも600℃付近の温度に
加熱してろう付けするブレージングにより組み立てられ
るが、ブレージング工法としては、フラックスブレージ
ング法、非腐食性のフラックスを用いたノコロックブレ
ージング法等が行われる。
【0005】ところで、近年、熱交換器は軽量・小型化
の方向にあり、そのために材料の薄肉化が望まれてい
る。しかし、従来の材料で薄肉化を行った場合、多くの
問題点が生じる。まず、冷媒通路構成部材(チューブ材
等)にしても、フィン材にしても材料の肉厚が減少する
分強度を向上させる必要があり、高強度合金がいくつか
提案されているが十分な強度が得られていない。これ
は、強度を向上させるためには合金元素の添加が必要で
あるが、合金元素を添加すると融点が低下し、600℃
付近の温度に加熱するブレージング工程の際に溶融して
しまうためである。また、犠牲層を有する冷媒通路構成
部材では、芯材にCuを含有した合金を用いるとブレー
ジングの際にCuが犠牲層に拡散し、犠牲層が犠牲層と
しての効果を果たさなくなり耐食性が低下する。そのた
め、強度向上のために添加できる芯材へのCu添加量は
限られてしまう。また、ブレージングの際にフィンが座
屈したり、フィンにろうが拡散し溶融してしまう現象
は、フィンが薄くなるほど生じやすくなり、ベアのフィ
ンでは50μm、ブレージングシートフィンでは100
μmが限界とされている。座屈が生じると通風抵抗の増
加により熱交換器の熱効率が低下する。さらに材料の薄
肉化に伴い、熱交換器の熱効率が低下する問題を解決す
るために、熱伝導性に優れたフィンの開発がなされてお
り、例えばAl−Zr系合金のフィン材が提案されてい
る。しかし、そのようなフィン材では強度が低く、さら
にろう付加熱時にろうが拡散し易いという問題点があ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこれに鑑み、熱
効率に優れ、小型、軽量化が可能な高強度のアルミニウ
ム合金製熱交換器を製造するためのアルミニウム合金ろ
う材およびそれを用いたアルミニウム合金製熱交換器の
製造方法を開発したものである。即ち請求項1記載の発
明は7.0wt%を超え、12.0wt%以下のSi、
0.5wt%を超え、4.5wt%以下のCu、0.5
wt%を超え、6.0wt%以下のZn、0.05wt
%を超え、0.5wt%以下のFeを含有し、残部Al
と不可避的不純物とからなることを特徴とするアルミニ
ウム合金ろう材である。また請求項2記載の発明は7.
0wt%を超え、12.0wt%以下のSi、0.5w
t%を超え、4.5wt%以下のCu、0.5wt%を
超え、6.0wt%以下のZn、0.05wt%を超
え、0.5wt%以下のFeを含有し、さらに0.00
2wt%を超え、0.3wt%以下のIn、0.002
wt%を超え、0.3wt%以下のSnのうちの1種ま
たは2種を含有し、残部Alと不可避的不純物とからな
ることを特徴とするアルミニウム合金ろう材である。さ
らに請求項3記載の発明はアルミニウム合金製熱交換器
をろう付により製造するにあたり、7.0wt%を超
え、12.0wt%以下のSi、0.5wt%を超え、
4.5wt%以下のCu、0.5wt%を超え、6.0
wt%以下のZn、0.05wt%を超え、0.5wt
%以下のFeを含有し、残部Alと不可避的不純物とか
らなるアルミニウム合金ろう材を用い、570〜585
℃の温度でろう付を行うことを特徴とするアルミニウム
合金製熱交換器の製造方法である。またさらに請求項4
記載の発明はアルミニウム合金製熱交換器をろう付によ
り製造するにあたり、7.0wt%を超え、12.0w
t%以下のSi、0.5wt%を超え、4.5wt%以
下のCu、0.5wt%を超え、6.0wt%以下のZ
n、0.05wt%を超え、0.5wt%以下のFeを
含有し、さらに0.002wt%を超え、0.3wt%
以下のIn、0.002wt%を超え、0.3wt%以
下のSnのうちの1種または2種を含有し残部Alと不
可避的不純物とからなるアルミニウム合金ろう材を用
い、570〜585℃の温度でろう付を行うことを特徴
とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方法である。
【0007】
【作用】まず、本発明の考え方について説明する。アル
ミニウム合金製熱交換器を上記のようにブレージング工
法にて製造する場合、その加熱は通常600℃付近の温
度で行われている。この600℃という温度はアルミニ
ウム合金にとってかなりの高温であるため、つぎの4つ
の問題を生じる。即ちろう付加熱中にフィンが座屈す
る。合金中の金属間化合物が再固溶して熱伝導性が低
下する。低融点の高強度合金が使用できない。犠牲
層を有する冷媒通路構成部材では芯材のCuが犠牲層に
拡散して耐食性が低下する。発明者らは、これらの問題
を解決するために鋭意検討を行い、ろう付け加熱温度を
下げることが有効ではないかと考え、ろう付加熱温度を
何℃以下に下げたらこのような問題点を解決できるか検
討したところ、585℃以下であれば、ろう付中のフィ
ンの座屈が生じにくくなり、熱伝導性の低下がわずかと
なり、フィン中のSiの添加量を増やすことで合金の強
度を向上できること、さらにCuの拡散量が減り耐食性
が向上することを見出した。
【0008】上記4点をさらに詳しく説明する。 フィンの座屈の大部分は、高温でのフィンの高温ク
リープ現象を原因として生じるものであるが、この現象
は590℃付近を境にこれより高い温度で急激に生じる
ことを見出した。従って、585℃以下であればこれを
原因とする座屈は生じないのである。さらに、フィンに
ろうが拡散することによる座屈があるが、ろうの拡散は
595℃付近を境に、これより高い温度で急激に生じる
ことを見出した。そのため、585℃以下であればろう
の拡散は少なくなり、全体としてフィンの座屈は生じに
くくなるのである。 ブレージングを行うフィンの熱伝導性はアルミニウ
ム合金中に析出していた金属間化合物がろう付加熱時に
再固溶することで低下するのであるが、加熱温度が高い
ほど合金元素の固溶限が大きくなりかつ拡散速度が大き
くなるので、再固溶は進行しやすくなる。そのため、ブ
レージング温度を下げることはフィンの熱伝導性を高め
る効果があることを見出し、585℃以下であれば再固
溶の進行速度が小さく、熱伝導性の低下は少ないことを
見出した。 強度については、高強度アルミニウム合金としては
添加される元素はCu、Mg、Si等があるが、冷媒通
路構成部材として用いる場合、耐食性やろう付性を考慮
しなければならないし、フィンとして用いる場合、犠牲
効果、熱伝導性やろう付性を考慮しなければならない。
よって、強度向上のために添加できる元素は限られ、具
体的にはSiの添加が有力である。600℃のろう付で
添加可能のSi量は1wt%程度であるが、585℃以下
では、2.5wt%程度の添加が可能となる。 冷媒通路構成部材として犠牲層を有する材料では、
これまで、高強度化が難しかった。それは、高強度化の
ために、芯材にCuを添加すると冷媒通路構成部材の耐
食性が急激に低下するためである。この原因について発
明者らが鋭意検討を行ったところ、芯材中のCuが犠牲
層に拡散することおよび犠牲材の成分(例えばZn)が
芯材に拡散することで、犠牲層の成分がブレージング前
と大きく変化し、これが原因で犠牲効果が減じ耐食性が
低下することを見出した。拡散を防止する方法を種々検
討したが、高温での原子の拡散が原因で生じるために、
通常の方法では防止効果がなく、ろう付加熱温度を低下
させることが有効な手段であることを見出し、その温度
を検討した。そこで上記〜の上限温度である585
℃と通常のろう付加熱温度である600℃とを比較して
みたところ、585℃では600℃と比較して拡散量が
減り、耐食性が向上することを見出したのである。
【0009】さて、このように通常のろう付温度より低
い温度でろう付を行う方法に、低温ろう付と言われてい
る500℃前後の温度でろう付を行う方法が知られてい
る。この方法はZnを20wt%以上を含有したAl−Z
n系合金やZn合金を通常ろうとして用いるために、ろ
う付後にろう材が腐食されやすいという問題点があり、
現実には熱交換器には用いられていない。さらにAlー
Zn系合金でZnの添加量が8wt%を超えると圧延性が
非常に悪くなり、合わせ圧延によるブレージングシート
の製造は不可能であり、工業的に安定して低温ろう付用
のブレージングシートを供給する製造方法は確立されて
いない。そのため、置きろう等としてろうを用いねばな
らず、製造できる部材の種類は限られている。しかし、
発明者らは上記のような低温ろう付よりはるかに高温で
ある585℃程度のろう付温度でも熱交換器の特性向上
が可能なことを見出しており、それならば、ブレージン
グシートとして製造できるろう材の開発が可能であると
考えたのである。
【0010】ところで、従来より低融点のアルミニウム
合金ろう材として知られている合金がある(例えば特開
平3−57588)。これらは、主に鋳物をろう付する
ために開発されたものであり、多量のCuが含有されて
いたり、上記のように多量のZnが添加されていたりす
るため、圧延加工を行うと割れてしまう問題がありブレ
ージングシートの製造ができなかったのである。ブレー
ジングシートとして使用できなければ、工業的に熱交換
器を製造するのに実用性が乏しい。本発明ではこのよう
な問題点を解決し、ブレージングシートとして製造可能
なろう材を開発したものである。
【0011】ここで、本発明のろう材の合金組成は7.
0wt%を超え、12.0wt%以下のSi、0.1wt%を
超え、8.0wt%以下のCu、0.5wt%を超え6.0
wt%以下のZn、0.05wt%を超え、0.5wt%以下
のFeを含有し、残部Alと不可避的不純物とからなる
アルミニウム合金およびこれにさらに0.002wt%を
超え、0.3wt%以下のIn、0.002wt%を超え、
0.3wt%以下のSnのうちの1種または2種を添加し
たアルミニウム合金であり、以下にその限定理由を説明
する。
【0012】Siの添加は合金の融点を下げるが、その
量が7.0wt%以下では十分に融点が低下せず、585
℃以下の温度でろう付できない。さらに、その量が1
2.0wt%を超えると逆に融点が上がるため、585℃
以下の温度でろう付できなくなる。
【0013】Cuの添加は合金の融点を下げ、ろう流れ
性を向上させる。さらにろう材中のCuは冷媒通路構成
部材にCuを添加した合金を用いる場合に熱交換器の外
部耐食性を高める働きを有する。即ち、熱交換器の外部
耐食性についてさまざまな検討を行い、ろう材にCuを
添加しない場合、冷媒通路構成部材中に添加されている
Cuがろう付中にろう材に拡散し、ろう材と冷媒通路構
成部材との境界に低Cu領域が生じて、そこが優先的に
腐食されるため、膨れを伴う激しい腐食を生じることを
見出した。本発明ではろう材にCuを添加することで、
冷媒通路構成部材からろう材へのCuの拡散を防止し、
ろう材と冷媒通路構成部材との境界に低Cu領域が生じ
ないようにし、耐食性を向上させた。ここでCu量が
0.5wt%以下では以上の効果が十分でなく、その量
が4.5wt%を超えると、ろう材の電位が貴になりす
ぎて、冷媒通路構成部材が優先的に腐食するようにな
り、耐食性が低下する上に、合金の圧延加工性が低下
し、熱交換器用のブレージングシートに用いるろう材と
しては適さなくなる。従って、Cuは0.5wt%を超
え、4.5wt%以下とするが、とくに0.5wt%を
超え3.5wt%以下で安定した特性を示す。
【0014】Znの添加は合金の融点を下げる。さら
に、本発明のようにCuを添加したろう材では外部腐食
による膨れの発生は抑えられるものの、ろう材の電位が
芯材の電位より貴になり、外部腐食がピット状に進行
し、その速度が速いという問題がある。Znの添加はろ
う材の電位を芯材の電位に近づけ、耐食性を向上させ
る。しかし、その量が0.5wt%以下では効果が十分で
はなく、その量が6.0wt%を超えるとろう材の自己耐
食性が低下する上に、合金の圧延加工性が低下し、熱交
換器用のブレージングシートに用いるろう材としては適
当ではなくなる。
【0015】Feはろう材が溶融後、凝固するときの結
晶粒を微細化し、フィレットの強度を高める働きを有す
るが、その量が0.05wt%以下では十分に効果を発揮
しない。さらに、Feは凝固時に金属間化合物を形成
し、これが腐食の起点となる。そのため、Fe量は結晶
粒の微細化効果と耐食性とのバランスからその上限を
0.5wt%とする。
【0016】InおよびSnはろう材の電位を卑にし、
冷媒通路構成部材の耐食性を向上させるもので、Znの
効果を助ける意味で添加する。その量が0.002wt%
以下では効果が十分ではなく、0.3wt%を超えると合
金の圧延加工性が低下する。
【0017】本発明ろう材の合金元素は以上の通りであ
るが、不可避的不純物として、他の元素もそれぞれ0.
05wt%以下であれば含有してもよい。
【0018】本発明ろう材は、ブレージングシートとし
て、アルミニウム合金製熱交換器のろう付に用いられ
る。ここでいうアルミニウム合金製熱交換器は、ラジエ
ーター、コンデンサー、エバポレーター等が挙げられる
がこれらに限定するものでない。ここで本発明の用途を
熱交換器に限定したのは、本発明を実施した場合、材料
の熱伝導性の向上効果により熱交換器の熱効率の向上の
効果があり、さらに、熱交換器には通常フィンを有して
いるが、フィンの耐高温座屈性向上に効果があるためで
ある。この場合、ろう材合金組成は上記のように限定す
るが、それ以外のフィンや冷媒通路構成部材に用いられ
るアルミニウム合金の合金組成は特に限定しない。60
0℃付近の温度でろう付を行うための合金(例えば30
03合金をベースに各種元素を添加した合金や1000
系の合金)をそのまま用いても構わない。これは、本発
明のろう材を用いて585℃以下の温度でろう付を行っ
た場合、フィンの耐高温座屈性および熱伝導性は必ず向
上するからである。また、合金の高強度化を狙って、例
えば1000系合金や3000系合金でSiを1.2wt
%以上添加したアルミニウム合金の使用も可能である。
【0019】本発明では、ろう付温度を570℃以上5
85℃以下とする。ここでいうろう付温度とは工業的に
ろう付を行うための被ろう付品の最高到達温度である。
たとえば、Al−Siの共晶組成であるAl−11.7
%Siでの液相線温度は577℃であり、実験的に成分
と温度の管理を行い、小さな試験片のろう付を行うとき
は、580℃程度の加熱で可能である。しかし、工業的
に熱交換器をろう付する場合、熱交換器の場所毎(板
厚、熱の加わり方、伝熱の状態が異なる)に温度が異な
るために、上記Al−11.7%Siのようなろう材を
使用したブレージングシートでろう付を完全に行おうと
すると、熱交換器中に温度分布が生じ580℃〜610
℃程度の実体温度となる。本発明ではろう付する際の熱
交換器の各部の到達温度のうち最高の温度をろう付温度
とする。ろう付温度が570℃未満では、本発明のろう
材中に溶融しない組成があり、ろう付することができな
いためである。また、585℃を超えると、材料の熱伝
導性が低下し、かつフィンの高温座屈性が低下するため
であり、さらに、低融点の合金やCuを多量に含有した
合金を冷媒通路構成部材に使用できなくなるためであ
る。なお、このようにろう付温度を低下させることで、
ろう付炉の寿命が延びるという効果も有する。
【0020】ここで、本発明のろう付条件は上記のよう
に、温度は限定されるが、それ以外の条件は従来とほと
んど同様でよい。即ち、フラックスブレージング法、非
腐食性のフラックスを用いたブレージング法等であれば
よいが、真空ろう付には適用できない。真空ろう付では
ろう付中にZnの蒸発が生じるためにろう付中に成分が
変化し発明の効果(耐食性向上、低融点でろう付可能)
が得られないからである。また、本発明合金はMgを含
有していないことからも真空中でろう付できない。ろう
付前の組み立て、洗浄、場合によってフラックス塗布等
は従来通り行えばよい。この場合フラックスは、たとえ
ばセシウム系のフラックスを用いれば、本発明の温度域
でろう付可能である。また、本発明では、加熱の後の工
程は特に限定しない。従来より行われているように、時
効処理やフラックス除去や塗装等の工程を行えばよい。
【0021】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明する。 〔実施例1〕表1、表2の合金組成のろう材と芯材から
なるブレージングシートからフィンを作製した。フィン
の板厚は0.11mmであり、ろう材はいずれも芯材の両
面に10%ずつクラッドしたH14調質である。これら
を、表3の条件でN2 ガス中で加熱を行い、垂下試験を
行った。垂下試験は突き出し長さ50mmで実施した。結
果を表3に記した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】表3から明らかなように、本発明のろう材
を用いた本発明例No. 1〜19は従来例および比較例よ
りも垂下特性が極めて向上している。
【0026】〔実施例2〕表4、表5に示す合金組成の
ろう材、芯材および犠牲材からなるチューブ材用の板厚
0.25mmの3層のブレージングシートを通常の方法
で作製した。ろう材のクラッド率は10%、犠牲材のク
ラッド率は15%である。また、犠牲材中には不純物と
して、Fe、Siがそれぞれ0.01〜0.2wt%の範
囲内で含まれている。これらを、表6の条件の条件でN
2 ガス中で加熱を行った。加熱後のブレージングシート
について引張試験並びにろう材部を外側、犠牲材部を内
側として、外部耐食性試験および内部耐食性試験を行っ
た。外部耐食性試験は、ろう材の表面中央部のみを露出
させ、他の面をすべてシールし、CASS試験(JIS
H8681)を360時間行い、孔食の発生状態を調べ
た。結果を表6に記した。内部耐食性試験は、ろう材部
をマスキングしたブレージングシートをCu2+イオンを
10ppm添加した水道水中に5カ月間浸漬し、80℃
×8時間と室温×16時間のサイクル腐食試験を行い、
犠牲材表面に発生したピット深さを光学顕微鏡による焦
点深度法によって求めた。これらの結果を表6に記し
た。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】表4、5、6から明らかなように、比較例
No. 48はろう材にZn、In、Snを含有していない
もので、外部耐食性が低下している。比較例No. 49は
ろう材にCuを含有していないもので、外部耐食性が低
下している。比較例No. 50、51、53は本発明ろう
材の合金組成範囲を外れており、585℃以下ではろう
材が溶融しないため、600℃以上の温度で加熱を行っ
たが、芯材が溶融してしまった。比較例No. 52はろう
材中のCu、Znが本発明の範囲より多く添加されてい
るもので、圧延時に割れてしまい、ブレージングシート
を製造することができなかった。従来例No. 54はCu
を比較的多く芯材に含有した例であるが、耐食性に劣っ
ている。これに対し、本発明例No. 31〜47は高強度
材の使用が可能であるため、強度が高く、また耐食性に
も優れている。
【00031】〔実施例3〕表7に示す合金組成のろう
材と芯材からなるブレージングシートから作製したフィ
ン材とチューブ材、ヘッダー材とを表8に示すように組
合せ、図1に示すラジエーターを組み立てた。フィン材
はベア材で板厚0.06mmとし、チューブ材は、表7に
示す構成の板厚0.3mmのコイル状板材を通常の方法に
より製造し、このコイル状板材を電縫管のサイズに合わ
せてスリッターして幅35.0mmの条材にした。この条
材を電縫管製造装置を用い、幅16.0mm、厚さ2.2
mmの通液管用の電縫管に加工した。また、ヘッダー材は
チューブ材と同一の構成の板厚1.0mmのコイル状板材
を幅60mmにスリッターしてヘッダー用の条材とした。
組み立てられたラジエーターは、セシウム系フラックス
の10%濃度液を塗布し、N2 ガス中で表8の条件で加
熱を行い、ろう付けした。材料および加熱条件の組合せ
を表8に示す。得られたラジエーターについて、外観観
察によりフィンおよびチューブの潰れ具合、フィレット
の形成について調査した。結果を表8に示す。また、き
ちんとろう付されていたラジエーターについてはその熱
効率を調査した。熱効率は、 JIS D 1618 (自動車用冷
房機試験方法)に準じて行い、それぞれ従来法によるラ
ジエーターの熱効率に対する向上の度合を表8に記し
た。また、参考のためにチューブ材については、ろう付
加熱後引張試験を行い強度を調べ、表8に併記した。
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】表8から明らかなように本発明法によって
製造されたラジエーターNo.〜は、フィンの潰れが
生じることなく製造されており、高強度材の使用が可能
であり、また従来法によるラジエーターNo.と比較し
て熱効率に優れており、ろう付性も良好である。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように本発明のろう材を使用
し、熱交換器を製造した場合、ろう付中のフィンの座屈
が少なく、部材の熱伝導性、強度向上効果があり、熱交
換器の小型、軽量化が可能であり、工業上顕著な効果を
奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジエーターを示す一部断面の斜視図。
【図2】サーペンタインタイプのエバポレーターを示す
一部断面の斜視図。
【符号の説明】
1 偏平チューブ 2 薄肉フィン 3 ヘッダー 4 タンク 5 管材 6 コルゲートフィン 7 コネクター
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−57588(JP,A) 特開 昭61−202772(JP,A) 特公 昭53−15974(JP,B2) 特公 昭55−12355(JP,B2) 米国特許3881879(US,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 7.0wt%を超え、12.0wt%以
    下のSi、0.5wt%を超え、4.5wt%以下のC
    u、0.5wt%を超え、6.0wt%以下のZn、
    0.05wt%を超え、0.5wt%以下のFeを含有
    し、残部Alと不可避的不純物とからなることを特徴と
    するアルミニウム合金ろう材。
  2. 【請求項2】 7.0wt%を超え、12.0wt%以
    下のSi、0.5wt%を超え、4.5wt%以下のC
    u、0.5wt%を超え、6.0wt%以下のZn、
    0.05wt%を超え、0.5wt%以下のFeを含有
    し、さらに0.002wt%を超え、0.3wt%以下
    のIn、0.002wt%を超え、0.3wt%以下の
    Snのうちの1種または2種を含有し、残部Alと不可
    避的不純物とからなることを特徴とするアルミニウム合
    金ろう材。
  3. 【請求項3】 アルミニウム合金製熱交換器をろう付に
    より製造するにあたり、7.0wt%を超え、12.0
    wt%以下のSi、0.5wt%を超え、4.5wt%
    以下のCu、0.5wt%を超え、6.0wt%以下の
    Zn、0.05wt%を超え、0.5wt%以下のFe
    を含有し、残部Alと不可避的不純物とからなるアルミ
    ニウム合金ろう材を用い、570〜585℃の温度でろ
    う付を行うことを特徴とするアルミニウム合金製熱交換
    器の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム合金製熱交換器をろう付に
    より製造するにあたり、7.0wt%を超え、12.0
    wt%以下のSi、0.5wt%を超え、4.5wt%
    以下のCu、0.5wt%を超え、6.0wt%以下の
    Zn、0.05wt%を超え、0.5wt%以下のFe
    を含有し、さらに0.002wt%を超え、0.3wt
    %以下のIn、0.002wt%を超え、0.3wt%
    以下のSnのうちの1種または2種を含有し、残部Al
    と不可避的不純物とからなるアルミニウム合金ろう材を
    用い、570〜585℃の温度でろう付を行うことを特
    徴とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方法。
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