JPH07116888A - アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法

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JPH07116888A
JPH07116888A JP28435793A JP28435793A JPH07116888A JP H07116888 A JPH07116888 A JP H07116888A JP 28435793 A JP28435793 A JP 28435793A JP 28435793 A JP28435793 A JP 28435793A JP H07116888 A JPH07116888 A JP H07116888A
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brazing
aluminum alloy
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less
temperature
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JP28435793A
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Tokinori Onda
時伯 恩田
Koji Okada
光司 岡田
Takenobu Dokou
武宜 土公
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱効率に優れ、高強度のアルミニウム合金製
熱交換器をろう付工法により製造するためのアルミニウ
ム合金ろう材およびそれを用いた熱交換器の製造方法を
提供する。 【構成】 (1)7.0wt%を超え、12.0wt%以下のS
i、0.1wt%を超え、8.0wt%以下のCuを含有
し、必要に応じてさらに0.002wt%を超え、0.3
wt%以下のIn、0.002wt%を超え、0.3wt%以
下のSn、0.05wt%を超え、0.5wt%以下のZn
のうちの1種または2種以上を含有し、残部Alと不可
避的不純物とからなることを特徴とするアルミニウム合
金ろう材。 (2) アルミニウム合金製熱交換器をろう付により製造す
るにあたり、上記のアルミニウム合金ろう材を用い、5
70〜585℃の温度でろう付を行うことを特徴とする
アルミニウム合金製熱交換器の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム合金ろう
材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、熱効率に優れ、高強度
のアルミニウム合金製熱交換器をろう付工法により製造
するためのアルミニウム合金ろう材およびそれを用いた
アルミニウム合金製熱交換器の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術とその課題】ラジエーター等の熱交換器は
例えば図1に示すように複数本の偏平チューブ1の間に
コルゲート状に加工した薄肉フィン2を一体に形成し、
該偏平チューブ1の両端はヘッダー3とタンク4とで構
成される空間にそれぞれ開口しており、一方のタンク側
の空間から偏平チューブ1内を通して高温冷媒を他方の
タンク4側の空間に送り、偏平チューブ1および薄肉フ
ィン2の部分で熱交換して低温になった冷媒を再び循環
させるものである。このような熱交換器のチューブ材お
よびヘッダー材は例えば JIS 3003 合金を芯材とし、該
芯材の内側、すなわち冷媒に常時触れている側には犠牲
材として JIS 7072 合金を、そして、該芯材の外側に
は、通常 JIS 4045 合金等のろう材をクラッドしたブレ
ージングシートを用い、コルゲート加工を行ったフィン
材等のの他の部材とともに、ブレージングにより一体に
組み立てられている。
【0003】また、図2はサーペンタインタイプのコン
デンサーであるが、熱間または温間で管状に押し出し成
形した管材5を蛇行状に折り曲げ、管材の間にブレージ
ングシートからなるコルゲートフィン6を取付けたもの
である。ここで7はコネクターを示す。管材には JIS 3
003 合金等が用いられ、フィンには JIS 3003 合金やそ
れに犠牲効果を与える目的でZn等を含有した合金を芯
材とし、 JIS 4045 合金や JIS 4343 合金等のろう材を
両面にクラッドしている。
【0004】これらは、いずれも600℃付近の温度に
加熱してろう付けするブレージングにより組み立てられ
るが、ブレージング工法としては、フラックスブレージ
ング法、非腐食性のフラックスを用いたノコロックブレ
ージング法等が行われる。
【0005】ところで、近年、熱交換器は軽量・小型化
の方向にあり、そのために材料の薄肉化が望まれてい
る。しかし、従来の材料で薄肉化を行った場合、多くの
問題点が生じる。まず、冷媒通路構成部材(チューブ材
等)にしても、フィン材にしても材料の肉厚が減少する
分強度を向上させる必要があり、高強度合金がいくつか
提案されているが十分な強度が得られていない。これ
は、強度を向上させるためには合金元素の添加が必要で
あるが、合金元素を添加すると融点が低下し、600℃
付近の温度に加熱するブレージング工程の際に溶融して
しまうためである。また、犠牲層を有する冷媒通路構成
部材では、芯材にCuを含有した合金を用いるとブレー
ジングの際にCuが犠牲層に拡散し、犠牲層が犠牲層と
しての効果を果たさなくなり耐食性が低下する。そのた
め、強度向上のために添加できる芯材へのCu添加量は
限られてしまう。また、ブレージングの際にフィンが座
屈したり、フィンにろうが拡散し溶融してしまう現象
は、フィンが薄くなるほど生じやすくなり、ベアのフィ
ンでは50μm、ブレージングシートフィンでは100
μmが薄さの限界とされている。座屈が生じると通風抵
抗の増加により熱交換器の熱効率が低下する。さらに材
料の薄肉化に伴い、熱交換器の熱効率が低下する問題を
解決するために、熱伝導性に優れたフィンの開発がなさ
れており、例えばAl−Zr系合金のフィン材が提案さ
れている。しかし、そのようなフィン材では強度が低
く、さらにろう付加熱時にろうが拡散し易いという問題
点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこれに鑑み、熱
効率に優れ、小型、軽量化が可能な高強度のアルミニウ
ム合金製熱交換器を製造するためのアルミニウム合金ろ
う材およびそれを用いたアルミニウム合金製熱交換器の
製造方法を開発したものである。即ち請求項1記載の発
明は7.0wt%を超え、12.0wt%以下のSi、0.
1wt%を超え、8.0wt%以下のCuを含有し、残部A
lと不可避的不純物とからなることを特徴とするアルミ
ニウム合金ろう材である。また請求項2記載の発明は
7.0wt%を超え、12.0wt%以下のSi、0.1wt
%を超え、8.0wt%以下のCuを含有し、さらに0.
002wt%を超え、0.3wt%以下のIn、0.002
wt%を超え、0.3wt%以下のSn、0.05wt%を超
え、0.5wt%以下のZnのうちの1種または2種以上
を含有し、残部Alと不可避的不純物とからなることを
特徴とするアルミニウム合金ろう材である。さらに請求
項3記載の発明はアルミニウム合金製熱交換器をろう付
により製造するにあたり、7.0wt%を超え、12.0
wt%以下のSi、0.1wt%を超え、8.0wt%以下の
Cuを含有し、残部Alと不可避的不純物とからなるア
ルミニウム合金ろう材を用い、570〜585℃の温度
でろう付を行うことを特徴とするアルミニウム合金製熱
交換器の製造方法である。またさらに請求項4記載の発
明はアルミニウム合金製熱交換器をろう付により製造す
るにあたり、7.0wt%を超え、12.0wt%以下のS
i、0.1wt%を超え、8.0wt%以下のCuを含有
し、さらに0.002wt%を超え、0.3wt%以下のI
n、0.002wt%を超え、0.3wt%以下のSn、
0.05wt%を超え、0.5wt%以下のZnのうちの1
種または2種以上を含有し残部Alと不可避的不純物と
からなるアルミニウム合金ろう材を用い、570〜58
5℃の温度でろう付を行うことを特徴とするアルミニウ
ム合金製熱交換器の製造方法である。
【0007】
【作用】まず、本発明の考え方について説明する。アル
ミニウム合金製熱交換器を上記のようにブレージング工
法にて製造する場合、その加熱は通常600℃付近の温
度で行われている。この600℃という温度はアルミニ
ウム合金にとってかなりの高温であるため、つぎの4つ
の問題を生じる。即ちろう付加熱中にフィンが座屈す
る。合金中の金属間化合物が再固溶してフィンの熱伝
導性が低下する。低融点の高強度合金が使用できな
い。犠牲層を有する冷媒通路構成部材では芯材のCu
が犠牲層に拡散して耐食性が低下する。発明者らは、こ
れらの問題を解決するために鋭意検討を行い、ろう付け
加熱温度を下げることが有効ではないかと考え、ろう付
加熱温度を何℃以下に下げたらこのような問題点を解決
できるか検討したところ、585℃以下であれば、ろう
付中のフィンの座屈が生じにくくなり、熱伝導性の低下
がわずかとなり、フィン中のSiの添加量を増やすこと
で合金の強度を向上できること、さらにCuの拡散量が
減り耐食性が向上することを見出した。
【0008】上記4点をさらに詳しく説明する。 フィンの座屈の大部分は、高温でのフィンの高温ク
リープ現象を原因として生じるものであるが、この現象
は590℃付近を境にこれより高い温度で急激に生じる
(フィンが弱くなる)ことを見出した。従って、585
℃以下であればこれを原因とする座屈は生じないのであ
る。さらに、フィンにろうが拡散することを原因とする
座屈があるが、ろうの拡散は595℃付近を境に、これ
より高い温度で急激に生じることを見出した。そのた
め、585℃以下であればろうの拡散は少なくなり、全
体としてフィンの座屈は生じにくくなるのである。 ブレージングを行うフィン材の熱伝導性はアルミニ
ウム合金中に析出していた金属間化合物がろう付加熱時
に再固溶することで低下するのであるが、加熱温度が高
いほど合金元素の固溶限が大きくなりかつ拡散速度が大
きくなるので、再固溶は進行しやすくなる。そのため、
ブレージング温度を下げることはフィンの熱伝導性を高
める効果があることを見出し、585℃以下であれば再
固溶の進行速度が小さく、熱伝導性の低下は少ないこと
を見出した。 強度については、高強度アルミニウム合金としては
添加される元素はCu、Mg、Si等があるが、冷媒通
路構成部材として用いる場合、耐食性やろう付性を考慮
しなければならないし、フィンとして用いる場合、犠牲
効果、熱伝導性やろう付性を考慮しなければならない。
よって、強度向上のために添加できる元素は限られ、具
体的にはSiの添加が有力である。600℃のろう付で
添加可能のSi量は1wt%程度であるが、585℃以下
では、2.5wt%程度の添加が可能となる。 冷媒通路構成部材として犠牲層を有する材料では、
これまで、高強度化が難しかった。それは、高強度化の
ために、芯材にCuを添加すると冷媒通路構成部材の耐
食性が急激に低下するためである。この原因について発
明者らが鋭意検討を行ったところ、芯材中のCuが犠牲
層に拡散することおよび犠牲材の成分(例えばZn)が
芯材に拡散することで、犠牲層の成分がブレージング前
と大きく変化し、これが原因で犠牲効果が減じ耐食性が
低下することを見出した。拡散を防止する方法を種々検
討したが、高温での原子の拡散が原因で生じるために、
通常の方法では防止効果がなく、ろう付加熱温度を低下
させることが有効な手段であることを見出し、その温度
を検討した。そこで上記〜の上限温度である585
℃と通常のろう付加熱温度である600℃とを比較して
みたところ、585℃では600℃と比較して拡散量が
減り、耐食性が向上することを見出したのである。
【0009】さて、このように通常のろう付温度より低
い温度でろう付を行う方法に、低温ろう付と言われてい
る500℃前後の温度でろう付を行う方法が知られてい
る。この方法はZnを20wt%以上を含有したAl−Z
n系合金やZn合金を通常ろうとして用いるために、ろ
う付後にろう材が腐食されやすいという問題点があり、
現実には熱交換器には用いられていない。さらにAl−
Zn系合金でZnの添加量が8wt%を超えると圧延性が
非常に悪くなり、合わせ圧延によるブレージングシート
の製造は不可能であり、工業的に安定して低温ろう付用
のブレージングシートを供給する製造方法は確立されて
いない。そのため、置きろう等としてろうを用いねばな
らず、製造できる部材の種類は限られている。しかし、
発明者らは上記のように低温ろう付よりはるかに高温で
ある585℃程度のろう付温度でも熱交換器の特性向上
が可能なことを見出しており、それならば、ブレージン
グシートとして製造できるろう材の開発が可能であると
考えたのである。
【0010】ところで、従来より低融点のアルミニウム
合金ろう材として知られている合金がある(例えば特開
平3−57588)。これらは、主に鋳物をろう付する
ために開発されたものであり、多量のCuが含有されて
いたり、上記のように多量のZnが添加されていたりす
るため、圧延加工を行うと割れてしまう問題がありブレ
ージングシートの製造ができなかったのである。ブレー
ジングシートとして使用できなければ、工業的に熱交換
器を製造するのに実用性が乏しい。本発明ではこのよう
な問題点を解決し、ブレージングシートとして製造可能
なろう材を開発したものである。
【0011】ここで、本発明のろう材の合金組成は7.
0wt%を超え、12.0wt%以下のSi、0.1wt%を
超え、8.0wt%以下のCuを含有し、残部Alと不可
避的不純物とからなるアルミニウム合金およびこれにさ
らに0.002wt%を超え、0.3wt%以下のIn、
0.002wt%を超え、0.3wt%以下のSn、0.0
5wt%を超え、0.5wt%以下のZnのうちの1種また
は2種以上を添加したアルミニウム合金であり、以下に
その限定理由を説明する。
【0012】Siの添加は合金の融点を下げるが、その
量が7.0wt%以下では十分に融点が低下せず、585
℃以下の温度でろう付できない。さらに、その量が1
2.0wt%を超えると逆に融点が上がるため、585℃
以下の温度でろう付できなくなる。
【0013】Cuの添加は合金の融点を下げ、ろう流れ
性を向上させる。さらにろう材中のCuは冷媒通路構成
部材にCuを添加した合金を用いる場合に熱交換器の外
部耐食性を高める働きを有する。即ち、熱交換器の外部
耐食性についてさまざまな検討を行い、ろう材にCuを
添加しない場合、冷媒通路構成部材中に添加されている
Cuがろう付中にろう材に拡散し、ろう材と冷媒通路構
成部材との境界に低Cu領域が生じて、そこが優先的に
腐食されるため、膨れを伴う激しい腐食を生じることを
見出した。本発明ではろう材にCuを添加することで、
冷媒通路構成部材からろう材へのCuの拡散を防止し、
ろう材と冷媒通路構成部材との境界に低Cu領域が生じ
ないようにし、耐食性を向上させた。ここでCu量が
0.1wt%以下では以上の効果が十分でなく、その量が
8.0wt%を超えると、ろう材の電位が貴になりすぎ
て、冷媒通路構成部材が優先的に腐食するようになり、
耐食性が低下する上に、合金の圧延加工性が低下し、熱
交換器用のブレージングシートに用いるろう材としては
適さなくなる。従って、Cuは0.1wt%を超え、8.
0wt%以下とするが、特に0.5〜3.5wt%で安定し
た特性を示す。
【0014】In、SnおよびZnはろう材の電位を卑
にし、冷媒通路構成部材の耐食性を向上させる。Inお
よびSnの場合、その添加量が0.002wt%以下では
上記効果が十分ではなく、0.3wt%を超えると合金の
圧延加工性が低下する。Znの場合、その添加量が0.
05wt%以下ではろう材の電位を卑にする効果が十分で
はなく、0.5wt%を超えると耐食性が低下する。また
Feの場合、特に規定はしていないが、1.0wt%を超
えるとAl3 Fe等の晶出物によりろう材の耐食性を損
なうので、1.0wt%以下が望ましい。
【0015】本発明ろう材の合金元素は以上の通りであ
るが、不可避的不純物として、他の元素もそれぞれ0.
05wt%以下であれば含有してもよい。
【0016】本発明ろう材は、ブレージングシートとし
て、アルミニウム合金製熱交換器のろう付に用いられ
る。ここでいうアルミニウム合金製熱交換器は、ラジエ
ーター、コンデンサー、エバポレーター等が挙げられる
がこれらに限定するものでない。ここで本発明の用途を
熱交換器に限定したのは、本発明を実施した場合、材料
の熱伝導性の向上効果により熱交換器の熱効率の向上の
効果があり、さらに、熱交換器には通常フィンを有して
いるが、フィンの耐高温座屈性向上に効果があるためで
ある。この場合、ろう材合金組成は上記のように限定す
るが、それ以外のフィンや冷媒通路構成部材に用いられ
るアルミニウム合金の合金組成は特に限定しない。60
0℃付近の温度でろう付を行うための合金(例えば30
03合金をベースに各種元素を添加した合金や1000
系の合金)をそのまま用いても構わない。これは、本発
明のろう材を用いて585℃以下の温度でろう付を行っ
た場合、フィンの耐高温座屈性および熱伝導性は必ず向
上するからである。また、合金の高強度化を狙って、例
えば1000系合金や3000系合金でSiを1.2wt
%以上添加したアルミニウム合金の使用も可能である。
【0017】本発明では、ろう付温度を570〜585
℃とする。ろう付温度が570℃未満では、本発明のろ
う材中に溶融しない組成があり、ろう付することができ
ないためである。また、585℃を超えると、材料の熱
伝導性が低下し、かつフィンの高温座屈性が低下するた
めであり、さらに、低融点の合金やCuを多量に含有し
た合金を冷媒通路構成部材に使用できなくなるためであ
る。なお、このようにろう付温度を低下させることで、
ろう付炉の寿命が延びるという効果も有する。
【0018】ここで、本発明のろう付条件は上記のよう
に、温度は限定されるが、それ以外の条件は従来とほと
んど同様でよい。すなわち、フラックスブレージング
法、非腐食性のフラックスを用いたノコロックブレージ
ング法等であればよく特に限定するものではない。ろう
付前の組み立て、洗浄、場合によってフラックス塗布等
は従来通り行えばよい。この場合フラックスは、例えば
セシウム系のフラックスを用いれば、本発明の温度域で
ろう付可能である。また、本発明では、加熱の後の工程
は特に限定しない。従来より行われているように、時効
処理やフラックス除去や塗装等の工程を行えばよい。
【0019】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明する。 〔実施例1〕表1、表2に示す合金組成のろう材と芯材
からなるブレージングシートからフィンを作製した。ろ
う材には最大1.0wt%のFeが含有されている。フィ
ンの板厚は0.11mmであり、ろう材はいずれも芯材
の両面に10%ずつクラッドしたH14調質である。こ
れらを、表3の条件でN2 ガス中で加熱を行い、垂下試
験を行った。垂下試験は突き出し長さ50mmで実施し
た。結果を表3に記した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】表3から明らかなように、本発明のろう材
を用いた本発明例No. 1〜23は従来例および比較例よ
りも垂下特性が極めて向上している。
【0024】〔実施例2〕表4に示す合金組成のろう
材、芯材および犠牲材からなるチューブ材用の板厚0.
25mmの3層のブレージングシートを通常の方法で作
製した。ろう材には最大1.0wt%程度のFeが含有さ
れている。ろう材のクラッド率は10%、犠牲材のクラ
ッド率は15%である。これらを、表5の条件でN2
ス中で加熱を行った。加熱後のブレージングシートにつ
いて引張試験並びにろう材部を外側、犠牲材部を内側と
して、外部耐食性試験および内部耐食性試験を行った。
外部耐食性試験は、ろう材の表面中央部のみを露出さ
せ、他の面をすべてシールし、CASS試験(JISH
8681)を360時間行い、孔食の発生状態を調べ
た。結果を表5に記した。内部耐食性試験は、ろう材部
をマスキングしたブレージングシートをCu2+イオンを
10ppm添加した水道水中に5カ月間浸漬し、80℃
×8時間と室温×16時間のサイクル腐食試験を行い、
犠牲材表面に発生したピット深さを光学顕微鏡による焦
点深度法によって求めた。これらの結果を表5に記し
た。
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】表4、5から明らかなように、比較例No.
53〜56はろう材が本発明ろう材の合金組成範囲を外
れており、585℃以下ではろう材が溶融しないため、
600℃以上の温度で加熱を行ったが、芯材が溶融して
しまった。従来例No. 57、58は、耐食性に劣ってお
り、強度も十分にでていない。これに対し、本発明例N
o. 41〜52は高強度材の使用が可能であるため、強
度が高く、また耐食性にも優れている。
【00028】(実施例3)表6に示す合金組成のフィ
ン材と、表7に示す合金組成のろう材、芯材および犠牲
材で構成されたブレージングシートから作製したチュー
ブ材およびヘッダー材とを表8に示すように組合わせ、
図1に示すラジエーターを組み立てた。フィン材はベア
材で板厚0.06mmとし、チューブ材は、表7に示す
構成のブレージングシートから板厚0.3mmのコイル
状板材を通常の方法により製造し、このコイル状板材を
電縫管のサイズに合わせてスリッターして幅35.0m
mの条材にした。この条材を電縫管製造装置を用い、幅
16.0mm、厚さ2.2mmの通液管用の電縫管に加
工した。また、ヘッダー材はチューブ材と同一の構成の
板厚1.0mmのコイル状板材を幅60mmにスリッタ
ーしてヘッダー用の条材とした。組み立てられたラジエ
ーターは、フッ化カリウム系フラックスにセシウム系フ
ラックスを3%混合したフラックスの10%濃度液を塗
布し、N2 ガス中で表8の条件で加熱を行い、ろう付け
した。材料および加熱条件の組合せを表8に示す。得ら
れたラジエーターについて、外観観察によりフィンおよ
びチューブの潰れ具合、フィレットの形成について調査
した。結果を表8に示す。また、きちんとろう付されて
いたラジエーターについてはその熱効率を調査した。熱
効率は、 JIS D 1618 (自動車用冷房機試験方法)に準
じて行い、それぞれ従来法によるラジエーターの熱効率
に対する向上の度合を表8に記した。また、参考のため
にチューブ材については、ろう付加熱後引張試験を行い
強度を調べ、表8に併記した。
【0029】
【表6】
【0030】
【表7】
【0031】
【表8】
【0032】表8から明らかなように、本発明法によっ
て製造されたラジエーターNo.(1)〜(12)は、フィンの
潰れが生じることなく製造されており、高強度材の使用
が可能であり、また従来法によるラジエーターNo.(1
9)、(20)と比較して熱効率に優れており、ろう付性も良
好である。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように本発明のろう材を使用
し、熱交換器を製造した場合、ろう付中のフィンの座屈
が少なく、部材の熱伝導性、強度向上効果があり、熱交
換器の小型、軽量化が可能であり、工業上顕著な効果を
奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジエーターを示す一部断面の斜視図。
【図2】サーペンタインタイプのコンデンサーを示す一
部断面の斜視図。
【符号の説明】
1 偏平チューブ 2 薄肉フィン 3 ヘッダー 4 タンク 5 管材 6 コルゲートフィン 7 コネクター

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 7.0wt%を超え、12.0wt%以下の
    Si、0.1wt%を超え、8.0wt%以下のCuを含有
    し、残部Alと不可避的不純物とからなることを特徴と
    するアルミニウム合金ろう材。
  2. 【請求項2】 7.0wt%を超え、12.0wt%以下の
    Si、0.1wt%を超え、8.0wt%以下のCuを含有
    し、さらに0.002wt%を超え、0.3wt%以下のI
    n、0.002wt%を超え、0.3wt%以下のSn、
    0.05wt%を超え、0.5wt%以下のZnのうちの1
    種または2種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物
    とからなることを特徴とするアルミニウム合金ろう材。
  3. 【請求項3】 アルミニウム合金製熱交換器をろう付に
    より製造するにあたり、7.0wt%を超え、12.0wt
    %以下のSi、0.1wt%を超え、8.0wt%以下のC
    uを含有し、残部Alと不可避的不純物とからなるアル
    ミニウム合金ろう材を用い、570〜585℃の温度で
    ろう付を行うことを特徴とするアルミニウム合金製熱交
    換器の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム合金製熱交換器をろう付に
    より製造するにあたり、7.0wt%を超え、12.0wt
    %以下のSi、0.1wt%を超え、8.0wt%以下のC
    uを含有し、さらに0.002wt%を超え、0.3wt%
    以下のIn、0.002wt%を超え、0.3wt%以下の
    Sn、0.05wt%を超え、0.5wt%以下のZnのう
    ちの1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避的
    不純物とからなるアルミニウム合金ろう材を用い、57
    0〜585℃の温度でろう付を行うことを特徴とするア
    ルミニウム合金製熱交換器の製造方法。
JP28435793A 1993-10-19 1993-10-19 アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法 Pending JPH07116888A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009162450A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
KR20160070613A (ko) * 2014-12-10 2016-06-20 서울시립대학교 산학협력단 저온 알루미늄 브레이징 합금 조성물 및 저온 알루미늄 브레이징 합금 제조 방법

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