JP3345850B2 - 電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート条 - Google Patents
電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート条Info
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Description
チューブ材として使用される熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシート条、さらに詳しくは、電縫加工に
よりチューブ材とするアルミニウム合金ブレージングシ
ート条に関するものであり、本発明のブレージングシー
ト条は電縫加工が可能でありかつ得られたチューブ材は
ろう付後の強度が高いものである。
ーター等の熱交換器は例えば図1に示すように複数本の
偏平チューブ(1)の間にコルゲート状に加工した薄肉
フィン(2)を一体に形成し、該偏平チューブ(1)の
両端はヘッダー(3)とタンク(4)とで構成される空
間にそれぞれ開口しており、一方のタンク側の空間から
偏平チューブ(1)内を通して高温冷媒を他方のタンク
(4)側の空間に送り、チューブ(1)およびフィン
(2)の部分で熱交換して低温になった冷媒を再び循環
させるものである。
JIS3003合金(Al−0.15wt%Cu− 1.1wt%M
n)を芯材とし、該芯材の内側、すなわち冷媒に常時触
れている側には内張材としてJIS7072合金(Al
−1wt%Zn)を、そして、該芯材の外側には、通常J
IS4045合金(Al−10wt%Si)等のろう材をク
ラッドしたブレージングシートを電縫加工によりチュー
ブ材として用いており、コルゲート加工を行ったフィン
等の他の部材とともにブレージングにより一体に組み立
てられている。ブレージング工法としては、フラックス
ブレージング法、非腐食性のフラックスを用いたノコロ
ックブレージング法等が行われ、 600℃付近の温度に加
熱してろう付けされる。
の方向にあり、そのために材料の薄肉化が望まれてい
る。チューブ材の薄肉化を行うには、まず、材料の肉厚
が減少する分強度を向上させ、耐食性を確保する必要が
ある。これに対して高強度合金がいくつか提案されてお
り、芯材合金にSiやCuを多く添加することにより強
度を向上させる方法や犠牲材にMgを含有させて強度を
向上させる方法が有力視されている。しかし、近年この
ような高強度化により、薄肉化が進むにつれて従来生じ
ていなかった問題が発生するようになった。すなわち、
電縫加工時にチューブに割れが生じる問題である。チュ
ーブに割れが生じると液漏れや腐食の原因となり、製品
として使用できない。
に鑑み鋭意検討の結果、ろう付後の強度に優れ、電縫加
工による割れの生じない熱交換器用アルミニウム合金ブ
レージングシート条を開発したものである。
一つは、Si: 0.4wt%を越え、2.5 wt%以下、Cu:
0.01wt%を越え0.7 wt%以下、Fe:0.05wt%を越え
2.0wt%以下、Mn:0.05wt%を越え 2.0wt%以下を含
有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とからなるア
ルミニウム合金を芯材とし、その片面にMg:0.05wt%
を越え 2.5wt%以下、Zn: 0.5wt%を越え 6.0wt%以
下、In: 0.002wt%を越え 0.3wt%以下、Sn: 0.0
02wt%を越え 0.3wt%以下、Mn:0.05wt%を越え 1.6
wt%以下のうち1種または2種以上を含有し残部アルミ
ニウムと不可避的不純物とからなるアルミニウム合金を
犠牲材としてクラッドし、他の片面にアルミニウム合金
からなるろう材をクラッドした3層構造の電縫加工によ
り熱交換器用チューブを得るブレージングシート条の、
該芯材の長手方向に直角な断面における平均結晶粒径を
30μm以下とし、さらに該ブレージングシート条を硬質
材としたことを特徴とするものである。
つは、Si: 0.4wt%を越え 2.5wt%以下、Cu:0.01
wt%を越え 0.7wt%以下、Fe:0.05wt%を越え 2.0wt
%以下、Mn:0.05wt%を越え 2.0wt%以下を含有し、
さらにMg:0.05wt%を越え0.5 wt%以下、Cr:0.03
wt%を越え 0.3wt%以下、Zr:0.03wt%を越え 0.3wt
%以下、Ti:0.03wt%を越え 0.3wt%以下のうち1種
または2種以上を含有し、残部アルミニウムと不可避的
不純物とからなるアルミニウム合金を芯材とし、その片
面にMg:0.05wt%を越え 2.5wt%以下、Zn: 0.5wt
%を越え 6.0wt%以下、In: 0.002wt%を越え 0.3wt
%以下、Sn: 0.002wt%を越え 0.3wt%以下、Mn:
0.05wt%を越え 1.6wt%以下のうち1種または2種以上
を含有し残部アルミニウムと不可避的不純物とからなる
アルミニウム合金を犠牲材としてクラッドし、他の片面
にアルミニウム合金からなるろう材をクラッドした3層
構造の電縫加工により熱交換器用チューブを得るブレー
ジングシート条の、該芯材の長手方向に直角な断面にお
ける平均結晶粒径を30μm以下とし、さらに該ブレージ
ングシート条を硬質材としたことを特徴とするものであ
る。
他の一つは、上記ブレージングシート条のうち、少なく
ともMg:0.05wt%を越え 2.5wt%以下を必須に含有す
るアルミニウム合金を犠牲材としたブレージングシート
条の、該犠牲材と芯材との界面から両材料中へそれぞれ
5μmの深さ以内に存在する粒径 0.2μm以上のMg2
Si粒子を面積率で 0.5%以下としたことを特徴とする
ものである。
のものは、これらブレージングシート条において、ろう
材が、Si: 7.0wt%を越え12.0wt%以下、Cu: 0.1
wt%を越え 8.0wt%以下を含有し、さらにZn: 0.5wt
%を越え 6.0wt%以下、In: 0.002wt%を越え 0.3wt
%以下、Sn: 0.002wt%を越え 0.3wt%以下のうち1
種または2種以上を含有し、残部アルミニウムと不可避
的不純物とからなるアルミニウム合金であることを特徴
とするものである。
の合金組成について説明する。本発明に用いる芯材合金
は高強度合金であり、Siの添加量が高いことが特徴で
ある。すなわち、芯材は、Si: 0.4wt%を越え 2.5wt
%以下、Cu:0.01wt%を越え 0.7wt%以下、Fe:0.
05wt%を越え 2.0wt%以下、Mn:0.05wt%を越え 2.0
wt%以下を含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物
とからなるアルミニウム合金、またはこれにさらに、M
g:0.05wt%を越え 0.5wt%以下、Cr:0.03wt%を越
え 0.3wt%以下、Zr:0.03wt%を越え 0.3wt%以下、
Ti:0.03wt%を越え 0.3wt%以下のうち1種または2
種以上を添加したアルミニウム合金である。このなか
で、特に 1.2wt%を越えるSiを添加した合金は、融点
が低下するためにブレージング用として従来用いられて
いない合金である。
る。Siは、強度向上に寄与する。Siが 0.4wt%以下
の場合強度向上効果が十分でなく、 2.5wt%を越えると
融点が低下し、本発明のろう合金を用いてもブレージン
グ時に溶融してしまう。したがって、Siは 0.4wt%を
越え 2.5wt%以下とするが、特に 1.0wt%以下で安定し
た電縫加工特性を示し、強度とろう付性では1.2 wt%付
近で優れた特性を示す。したがって、 0.4wt%〜 1.2wt
%の範囲が特に推奨される。
在し、強度を向上させる。Cuが0.01wt%以下の場合強
度向上効果がなく、Cu量が 0.7wt%を越えると犠牲材
の組成と厚さによっては芯材に粒界腐食が発生し、内部
耐食性が低下することがある。したがって、Cu量は0.
01wt%を越え 0.7wt%以下とするが、犠牲材のZn量が
3wt%以下の場合は 0.4wt%以下が望ましい。また、犠
牲材のZn量が3wt%を越える場合には、強度向上の面
から、 0.4wt%を越える添加が望ましい。
布させ、本発明のブレージングシート条の結晶粒を微細
にし、電縫加工時の割れを防止する作用を有する。その
量が0.05wt%以下ではこの効果が十分でなく、 2.0wt%
を越えて添加した場合は成形性が低下し、電縫加工時に
ブレージングシートが割れてしまう。
布させ、耐食性を低下させることなく強度を向上させる
ための必須元素である。その量が0.05wt%以下ではこの
効果が十分でなく、 2.0wt%を越えて添加した場合成形
性が低下し、電縫加工時にブレージングシートが割れて
しまう。
の微細な析出相として存在し、強度を向上させる。その
量が0.05wt%以下では効果がなく、 0.5wt%を越えて添
加すると非腐食性のフラックスを用いたろう付けをする
場合にフラックスとMgが反応してろう付けができなく
なる。
化合物を形成し合金の強度を向上させる働きを有する。
しかし、含有量がそれぞれ0.03wt%以下では効果がな
く、それぞれ 0.3wt%を越えて添加した場合成形性が低
下し、組付け等の加工時にブレージングシートが割れて
しまう。
鋳塊組織の微細化のために添加されるB等、上記以外の
元素はそれぞれ0.05wt%以下であれば含有されていても
かまわない。
材について説明する。本発明の犠牲材合金は、Mg:0.
05wt%を越え 2.5wt%以下、Zn: 0.5wt%を越え 6.0
wt%以下、In: 0.002wt%を越え 0.3wt%以下、S
n: 0.002wt%を越え 0.3wt%以下、Mn:0.05wt%を
越え 1.6wt%以下のうち1種または2種以上を含有し残
部アルミニウムと不可避的不純物とからなるアルミニウ
ム合金である。
材合金を高強度化し、材料全体の強度を向上する。その
量が0.05wt%以下では効果がなく、 2.5wt%を越えると
融点が低下し、ろう付時に溶融してしまう。
の量が 0.5wt%以下では効果が十分でなく、その量が
6.0wt%を越えると融点が低下し、本発明のろう合金を
用いたとしてもろう付時に溶融してしまう。本発明のブ
レージングシート条のうち芯材に 0.4wt%を越えるCu
を含有する場合には、 3.0wt%〜5wt%のZnが最も適
した量である。
る。その量が 0.002wt%以下では効果が十分でなく、そ
の量が 0.3wt%を越えると合金の圧延加工性が低下し、
3層材のブレージングシートに用いる犠牲材としては適
さなくなる。
体の強度を向上する。その量が0.05wt%以下では効果が
なく、 1.6wt%を越えると合金の圧延加工性が低下し、
3層材のブレージングシートに用いる犠牲材としては適
さなくなる。
したものが本発明の犠牲材合金であるが、 3.0wt%を越
え5wt%以下のZnを必須元素として含有し、その他の
元素を1種または2種以上を含有したものが耐食性の点
から最も優れており、 3.0wt%を越え5wt%以下のZn
と 0.5wt%を越え2wt%以下のMgを必須元素として含
有し、その他の元素を1種または2種以上を含有したも
のが強度と耐食性の点から最も推奨されるものである。
るが、不可避的不純物として、Siは強度向上の働きも
有している。そして耐食性の点からは 0.5wt%以下であ
れば含有可能であるが、 0.1wt%以下が望ましい。Fe
は 0.8wt%以下であれば含有可能であるが、 0.1wt%以
下が望ましい。また強度向上のためのCr、Zr、Ti
等の上記以外の元素もそれぞれ0.05wt%以下であれば不
純物元素として含有してもかまわない。
る。本発明において、芯材の合金組成のうち、 1.2wt%
未満のSiの組成範囲では、従来からろう材として用い
られているJIS4343合金(Al− 7.5wt%Si)
やJIS4045合金等のAl−Si系合金や本発明で
規定するろう材を用いることが可能である。しかし、高
強度の芯材合金(1.2wt%以上のSiを含有した芯材合
金)を用いた場合は本発明で規定するろう材を用いるも
のとする。
芯材合金の融点が低いためろう付時に溶融するという問
題があるためである。本発明のろう合金はこれを解決し
たもので、本発明の芯材合金と組み合わせたときに効果
を発揮するものである。すなわち、本発明者らは熱交換
器の外部耐食性についてさまざまな検討を行い、従来用
いられているろう材合金と本発明の高強度の芯材合金を
組み合わせた場合、芯材合金中に添加されているCuが
ろう付時にろう材中に拡散し、ろう材と芯材との境界付
近に低Cu領域が生じそこが優先的に腐食されるため、
膨れをともなう激しい腐食を生じることを見出した。
することで、芯材からろう材へのCuの拡散を防止し、
ろう材と芯材の境界付近に低Cu領域を生じないように
し、耐食性を向上させた。そして、従来 600℃付近の温
度でろう付していたのを585 ℃以下の温度でろう付でき
るようにすれば芯材合金の溶融がなくなると考え、従来
のろう合金よりもろう付温度が低い合金を開発した。
以下に説明する。ここで、本発明のろう材の合金組成は
Si: 7.0wt%を越え12.0wt%以下、Cu: 0.1wt%を
越え 8.0wt%以下を含有し、さらにZn: 0.5wt%を越
え 6.0wt%以下、In: 0.002wt%を越え 0.3wt%以
下、Sn: 0.002wt%を越え 0.3wt%以下のうち1種ま
たは2種以上を含有し、残部アルミニウムと不可避的不
純物とからなるアルミニウム合金である。
量が 7.0wt%以下では十分に融点が低下せず、ろう付け
温度で芯材が溶融してしまう。さらに、その量が12.0wt
%を越えると逆に融点が上がるため、芯材が溶融してし
まう。
性を向上する。さらに、前記の理由で冷媒通路構成部材
にCuを添加した合金を用いる場合に熱交換器の外部耐
食性を高める働きを有する。しかし、Cuの量が 0.1wt
%以下では以上の効果が十分でなく、その量が 8.0wt%
を越えるとろう材の電位が貴になりすぎて、芯材が優先
的に腐食するようになり、耐食性が低下する上に、合金
の圧延加工性が低下し、熱交換器用のブレージングシー
トとして製造できなくなる。したがって、Cuは 0.1wt
%を越え 8.0wt%以下とするが、特に 0.5wt%〜 3.5wt
%で安定した特性を示す。
に、本発明のようにCuを添加したろう合金では外部腐
食によるふくれの発生は抑えられるものの、ろう材の電
位が芯材の電位より貴になり、外部腐食がピット状に進
行しその速度が早いという問題がある。Znの添加はろ
う材の電位を下げ、ろう材の電位を芯材合金の電位に近
づけ、耐食性を向上させる。しかし、その量が 6.0wt%
を越えるとろう材の自己耐食性が低下する上に、合金の
圧延加工性が低下し、熱交換器用のブレージングシート
に用いるろう材としては適さなくなる。
媒通路構成部材の耐食性を向上させる。その量がそれぞ
れ 0.002wt%以下では効果が十分でなく、またそれぞれ
0.3wt%を越えると合金の圧延加工性が低下する。
あるが、不可避的不純物として、Feは 1.0wt%以下で
あれば含有可能である。しかし、Feはろうが凝固する
時には金属間化合物を形成し、これが腐食の起点とな
る。そのため、Fe量は 0.5wt%以下が望ましい。Fe
以外の不可避的不純物として、他の元素もそれぞれ0.05
wt%以下であれば含有してもよい。
う付温度を 570℃を越え 585℃以下でブレージングを行
うことが望ましい。ろう付温度が 570℃以下では、本発
明のろう材の組成によっては溶融しない場合があるの
で、ろう付することができないためである。また、 585
℃を越えると、芯材の組成によっては該芯材が溶融する
ためである。また、本発明のろう材を用いてろう付を行
うとフィンの耐高温座屈性および熱伝導性を向上させる
効果もある。なお、このようにろう付温度を低下させる
ことで、ろう付炉の寿命が延びるという効果も有する。
グシートの合金組成であるが、次に構成を説明する。本
発明で製造する熱交換器用アルミニウム合金ブレージン
グシート条は図2に示すような3層構造を有する。すな
わち、高強度アルミニウム合金を芯材(5)とし、この
芯材の片面にろう材(6)、他の片面に犠牲材(7)を
有する。そして電縫加工によりろう材を外側に、犠牲材
を冷媒通路構成側にしたチューブとするための条であ
る。ブレージングシート条の板厚は 0.4mm以下であり、
犠牲材のクラッド率は5〜30%、ろう材のクラッド率は
5〜30%である。
に直角な断面における平均結晶粒径を30μm以下とし、
且つ該ブレージングシート条を硬質材とする。また本発
明では犠牲材と芯材との界面から両材料中へそれぞれ深
さ5μm以下の範囲内に存在する粒径 0.2μm以上の大
きさのMg2 Si粒子を面積率で 0.5%以下とする。
先ず本発明が解決した電縫加工時に生じる割れについて
説明する。この種の割れには2種類あり、一つは図3に
示すように、溶接部(8)近傍でひげ状に生じる割れ
(9)と、図4に示すように、犠牲材(7)と芯材
(5)との界面で生じる割れ(10)がある。図3の割れ
(9)は、本発明のように高強度の芯材合金を用いたも
ので生じ、図4の割れ(10)は、犠牲材にMgを添加し
た高強度合金のみに生じた。
ころ、アルミニウム合金条が硬質材で溶接時に高温にな
っているにもかかわらず、溶接部に再結晶は生じていな
いことを見いだした。通常、ひずみが蓄積されているア
ルミニウム合金(硬質材)を加熱すると再結晶が生じる
が、電縫加工の場合おそらく非常に急速に昇温されるの
で、再結晶が生じないと考えられた。そして、割れは条
の結晶粒界に沿って生じる割れであることが判明した。
本発明では、上記知見を元に検討を行ったところ、電縫
加工時の変形応力が粒界に集中し粒界に割れを生じる
が、芯材の平均結晶粒径を30μm以下とすれば、粒界の
量が増えるので応力が分散し、割れが生じなくなること
を見いだした。なお、下限は3μm程度である。
るものであった。そこで従来は、ブレージングシートは
通常熱間圧延で圧着して3層構造とするが、Mgを添加
した合金は表面に酸化皮膜が形成されやすいので界面が
接合されにくいと考えられたり、芯材合金と犠牲材合金
との変形抵抗が大きく違うため圧着されていないと考え
られて、これらをもとに各種対策が行われていた。しか
し、このような対策では全く解決されなかった。
面付近の組織を詳細に調べたところ、図5に模式的に示
すように、Mg2 Si粒子が界面付近に存在する場合
に、電縫加工時に割れが生じることを見出した。そし
て、このMg2 Si粒子の量が一定以下であれば、電縫
加工時に割れが生じなくなることを見出した。また、こ
のMg2 Si粒子の発生理由は、ブレージングシートを
製造中に犠牲材から芯材へMgが拡散し芯材中に含有し
ているSiと反応して生じるもの、および芯材から犠牲
材へSiが拡散し犠牲材中に含有しているMgと反応し
て生じるものであることを見出した。すなわち、高強度
化のために芯材のSi添加量を増やし、犠牲材にMgを
添加したブレージングシートに特有の現象であることが
解明された。
ルミニウム合金を用い、犠牲材にMgを0.05〜 2.5wt%
を含有したアルミニウム合金を用いた高強度電縫加工用
ブレージングシート条材で、犠牲材と芯材との界面から
両材料中へそれぞれ5μm以内の範囲内に存在する粒径
0.2μm以上の大きさのMg2 Si粒子を面積率で0.5
%以下とした。
両側にそれぞれ5μm以内の範囲に存在するMg2 Si
粒子について規定しているのは、拡散によりMg2 Si
粒子を生じやすい範囲がこの範囲であるためである。す
なわち、界面が最もMg2 Si粒子を生じやすく、界面
から離れるに従い、拡散量が減るので界面から5μmの
深さ以内(犠牲層側に5μm、芯材側に5μmの10μm
の部分)を考えればよいのである。
子を問題としているのは、この大きさより小さいと、電
縫加工時の加熱時に固溶するため、割れに影響しないか
らである。
の断面を研磨し、走査型電子顕微鏡の反射電子像で加速
電圧を下げて観察すればよい。粒径は最大径である。M
g2Si粒子が面積率で 0.5%を越えるとその部分が電
縫加工時に溶融しやすくなり、割れを生じる。よって、
犠牲材と芯材との界面から両材料中にそれぞれ5μmの
深さ範囲内に存在する粒径 0.2μm以上の大きさのMg
2 Si粒子を面積率で0.5%以下とする。
態を制御するのであるが、その最も代表的な方法は急速
昇温による溶体化・焼き入れ処理である。すなわち、M
g2Si粒子が生じるのは主に熱間圧延および焼鈍中で
あるから、焼鈍後のコイルを溶体化温度以上に加熱し、
冷却中にMg2 Siが生じない速度で急冷すればよい。
この溶体化・焼き入れ処理は再結晶温度より高いのが通
常であるので、焼鈍を兼ねて行うことで本発明で規定す
る範囲の結晶粒径が得られる。
とする。ここでいう硬質材とはJIS H 0001で
規定されている調質処理のうち、H1X材(加工硬化の
みを施したもの)、H2X材(加工硬化後に適度の熱処
理を行って所定の強度を得るもの)、H3X材(加工硬
化後安定化処理により強度と伸びを得るもの)等の処理
を行ったものをいい、後工程での熱処理の有無にかかわ
らず加工硬化により強度を増加したものである。
う付加熱中に再結晶をしないためにろう付時に結晶粒が
粗大化しなく本発明の結晶粒径のままでろう付されてし
まうと、ろう拡散が非常に大きくなるからである。硬質
材とすることで、ろう付中に生じる再結晶粒は加熱前と
比較し、粗大になりろう拡散が生じない。具体的には、
最終冷間圧延率で10〜80%程度の調質が望ましい。
しない。従来より行われているように、ろう付により熱
交換器を製造すればよい。
る。表1に示す組成のアルミニウム合金チューブ材用の
板厚0.25mmの3層ブレージングシート条材を製造した。
表1に示す芯材合金を 400mm厚にDC鋳造後、 450℃〜
600℃の温度範囲で均質化処理し、面削後あらかじめ準
備したろう材合金板および犠牲材合金板と合わせ、加熱
後熱間圧延を行って板厚 3.5mmの熱間圧延コイルを得
た。ろう材のクラッド率は13%、犠牲材のクラッド率は
14%である。また、犠牲材中には不純物元素として、F
e、Siがそれぞれ0.01〜0.2 wt%の範囲内で含まれて
いる。熱間圧延コイルを 0.4mmまで冷間圧延し、種々の
焼鈍条件で焼鈍を行った。さらに、0.25mmまで冷間圧延
を行い、冷間圧延後に必要に応じて部分焼鈍を行った。
縫管のサイズに合わせてスリッターして幅35.0mmの条材
にした。得られた条材からサンプルを採取し、断面の組
織観察を行い、芯材の長手方向に直角な断面における平
均結晶粒径を切断法により求め、また芯材と犠牲材との
界面から両側にそれぞれ深さ5μm以内の範囲に存在す
る 0.2μm以下の大きさのMg2 Si粒子の面積率を測
定してそれらの結果を表2および表3に示す。
得られたチューブについて最大5MPaの圧力まで加圧
し、漏れの発生を調べる耐圧試験および断面観察を行っ
た。また、得られた条材をN2 ガス中で加熱を行い、引
張試験を行った。そしてこれらの結果を表2及び表3に
記した。なおろう付加熱は合金番号B、C、E、Gで58
0 ℃×5分、他の合金では 600℃×5分とした。
の組成であるが、従来の工程(中間焼鈍を 320℃〜 420
℃にて 0.5〜4hバッチ炉で行った)等で製造したた
め、芯材の結晶粒径やMg2 Siの量が本発明の条件を
外れるため、電縫加工で割れを生じており、耐圧値が低
いことが判る。また比較例22、23は本発明の芯材のSi
量の範囲をはずれており、電縫加工で割れを生じない
が、ろう付後の強度が低く、従来例24も電縫加工で割れ
を生じないが、ろう付後の強度が低いことが判る。対し
て、本発明例では、ろう付後の強度が高いにもかかわら
ず、いずれも電縫加工で割れを生じていない。
材料は電縫加工時に割れが生じることがなく、高強度
で、熱交換器を製造した場合、小型、軽量化が可能であ
り、工業上顕著な効果を奏するものである。
である。
面図である。
の断面図である。
の状態を示す模式図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 Si: 0.4wt%を越え 2.5wt%以下、C
u:0.01wt%を越え0.7 wt%以下、Fe:0.05wt%を越
え 2.0wt%以下、Mn:0.05wt%を越え 2.0wt%以下を
含有し、残部アルミニウムと不可避的不純物とからなる
アルミニウム合金を芯材とし、その片面にMg:0.05wt
%を越え 2.5wt%以下、Zn: 0.5wt%を越え 6.0wt%
以下、In: 0.002wt%を越え 0.3wt%以下、Sn:
0.002wt%を越え 0.3wt%以下、Mn:0.05wt%を越え
1.6wt%以下のうち1種または2種以上を含有し残部ア
ルミニウムと不可避的不純物とからなるアルミニウム合
金を犠牲材としてクラッドし、他の片面にアルミニウム
合金からなるろう材をクラッドした3層構造の電縫加工
により熱交換器用チューブを得るブレージングシート条
の、該芯材の長手方向に直角な断面における平均結晶粒
径を30μm以下とし、さらに該ブレージングシート条を
硬質材としたことを特徴とする電縫加工用アルミニウム
合金ブレージングシート条。 - 【請求項2】 Si: 0.4wt%を越え 2.5wt%以下、C
u:0.01wt%を越え0.7 wt%以下、Fe:0.05wt%を越
え 2.0wt%以下、Mn:0.05wt%を越え 2.0wt%以下を
含有し、さらにMg:0.05wt%を越え 0.5wt%以下、C
r:0.03wt%を越え0.3 wt%以下、Zr:0.03wt%を越
え 0.3wt%以下、Ti:0.03wt%を越え 0.3wt%以下の
うち1種または2種以上を含有し、残部アルミニウムと
不可避的不純物とからなるアルミニウム合金を芯材と
し、その片面にMg:0.05wt%を越え 2.5wt%以下、Z
n: 0.5wt%を越え 6.0wt%以下、In: 0.002wt%を
越え 0.3wt%以下、Sn: 0.002wt%を越え 0.3wt%以
下、Mn:0.05wt%を越え1.6 wt%以下のうち1種また
は2種以上を含有し残部アルミニウムと不可避的不純物
とからなるアルミニウム合金を犠牲材としてクラッド
し、他の片面にアルミニウム合金からなるろう材をクラ
ッドした3層構造の電縫加工により熱交換器用チューブ
を得るブレージングシート条の、該芯材の長手方向に直
角な断面における平均結晶粒径を30μm以下とし、さら
に該ブレージングシート条を硬質材としたことを特徴と
する電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート
条。 - 【請求項3】 請求項1または2記載のブレージングシ
ート条のうち、少なくともMg:0.05wt%を越え 2.5wt
%以下を必須に含有するアルミニウム合金を犠牲材とし
たブレージングシート条の、該犠牲材と芯材との界面か
ら両材料中へそれぞれ5μmの深さ以内に存在する粒径
0.2μm以上のMg2 Si粒子を面積率で 0.5%以下と
したことを特徴とする電縫加工用アルミニウム合金ブレ
ージングシート条。 - 【請求項4】 請求項1、2または3記載のブレージン
グシート条において、ろう材が、Si: 7.0wt%を越え
12.0wt%以下、Cu: 0.1wt%を越え 8.0wt%以下を含
有し、さらにZn: 0.5wt%を越え 6.0wt%以下、I
n: 0.002wt%を越え 0.3wt%以下、Sn: 0.002wt%
を越え 0.3wt%以下のうち1種または2種以上を含有
し、残部アルミニウムと不可避的不純物とからなるアル
ミニウム合金であることを特徴とする電縫加工用アルミ
ニウム合金ブレージングシート条。
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