JPH0210212B2

JPH0210212B2 -

Info

Publication number: JPH0210212B2
Application number: JP56163798A
Authority: JP
Inventors: Ken Toma; Masanao Iida; Isao Takeuchi
Original assignee: Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Current assignee: MA Aluminum Corp
Priority date: 1981-10-14
Filing date: 1981-10-14
Publication date: 1990-03-07
Also published as: JPS5864339A

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は、すぐれた犠牲陽極効果と耐垂下性
を有する熱交換器フイン材に関するものである。一般に、例えば自動車のラジエータや空調機器
などにはAl合金製熱交換器が広く使用されてい
る。この熱交換器は、例えばAl−Mn系合金の冷
延板、あるいはAl−Mn系合金を芯材とし、この
芯材の片面または両面にAl−Si系合金のろう材
をクラツドしたものからなるブレージングシート
で構成されたフイン材を、例えばAl−Mn系合金
を芯材とし、この芯材の表側片面にAl−Si系合
金のろう材をクラツドしたものからなるブレージ
ングシート、あるいは純AlやAl−Mn系合金の冷
延板から成形された管材に、真空中、不活性ガス
中、あるいはフラツクスを用いた場合には大気中
でろう付けすることによつて製造されている。し
かし、この従来Al合金製熱交換器においては、
その製造に際して、ろう付け時の高温加熱によつ
てフイン材の強度が著しく低下するようになるば
かりでなく、ろう材中のSiがフイン材中に拡散侵
食して耐垂下性を劣化させるようになるため、フ
イン材が変形し、この結果フイン材を管材にうま
くろう付けすることができない場合がしばしば発
生し、また、その実用に際しては、フイン材中の
Mnには、これを電気化学的に著しく貴にする作
用があるため、例えば管材に純Al系のものを使
用した場合には、管材がフイン材に比して卑にな
ることから、管材の腐食が促進され、この結果管
材には貫通孔が形成されるようになり、この貫通
孔に原因する事故がしばしば発生するものであつ
た。そこで、本発明者等は、上述のような観点か
ら、ろう付けに際しての加熱に対しても変形のな
い、すぐれた耐垂下性を有し、かつ管材に比して
相対的に電気化学的に卑な特性をもつAl合金製
熱交換器のフイン材を開発すべく研究を行なつた
結果、重量％で（以下％は重量％を示す）、 Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、さらに必要に応じて、 Mn：0.1〜0.9％、Cr：0.05〜0.3％、Mg：0.1
〜0.7％、Cu：0.05〜0.5％、のうちの１種または
２種以上、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成を有するAl合金の冷延板、またはこのAl合金
を芯材とし、この芯材の片面または両面にAl−
Si系合金のろう材をクラツドしてなるブレージン
グシートで構成された熱交換器フイン材は、これ
を構成する前記組成のAl合金が、Al−Zr化合物
が微細に析出した組織をもち、しかもこのAl−
Zr化合物の析出はSiによつて著しく促進されるた
めに、再結晶温度が上昇し、この結果ろう付け加
熱時に形成される再結晶粒がきわめて大きくなつ
て高温強度が高くなるばかりでなく、ろうの粒界
からの侵入が抑制されるようになることから、す
ぐれた耐垂下性をもつようになり、またZnの含
有によつて電気化学的に卑になるため管材に対し
てすぐれた犠牲陽極効果をもつようになり、さら
に必要に応じて含有されるMnおよびCrによつて
耐垂下性が一段と向上し、また同じくMgおよび
Cuの含有によつて強度が向上するようになると
いう知見を得たのである。この発明は、上記知見にもとづいてなされたも
のであつて、以下にフイン材を構成するAl合金
の成分組成を上記の通りに限定した理由を説明す
る。 (a) Zr Zrの含有によつて、ろう付け加熱時に微細
なAl−Zr化合物が析出してAl合金の再結晶温
度が著しく上昇するようになり、この結果再結
晶粒が粗大化して高温強度を上昇させ、かつろ
うの粒界からの侵入が抑制されるようになるこ
とから、ろう付け時の耐垂下性が著しく改善さ
れるようになるが、その含有量が0.02％未満で
は所望の耐垂下性改善効果が得られず、一方
0.2％を越えて含有させてもより一層の改善効
果が得られず、逆に溶解鋳造時に巨大晶を形成
し易くなつて加工性が損なわれるようになるこ
とから、含有量を0.02〜0.2％と定めた。 (b) Si Si成分には、Al−Zr化合物の析出を促進し、
もつてAl−Zr化合物による上記の作用を促進
する作用があるが、その含有量が0.1％未満で
は前記作用に所望の促進効果が得られず、一方
0.9％を越えて含有させると電気化学的に貴に
なる傾向が現われ、犠牲陽極効果が十分発揮で
きなくなることから、その含有量を0.1〜0.9％
と定めた。 (c) Zn Zn成分には、Al合金を電気化学的に卑にし、
もつて管材に対して犠牲陽極効果を発揮せしめ
る作用があるが、その含有量が0.1％未満では
前記作用に所望の効果が得られず、一方その含
有量が0.4％以上になると耐食性に低下傾向が
現われるようになることから、その含有量を
0.1〜0.4％未満と定めた。 (d) MnおよびCr これらの成分には、耐垂下性を一段と向上さ
せる作用があるので、必要に応じて含有される
が、その含有量が、それぞれMn：0.1％未満お
よびCr：0.05％未満では所望の耐垂下性向上効
果が得られず、一方その含有量が、それぞれ
Mn：0.9％およびCr：0.3％を越えると、犠牲
陽極効果が低下するようになることから、その
含有量をMn：0.1〜0.9％、Cr：0.05〜0.3％と
定めた。 (e) MgおよびCu これらの成分には、耐垂下性を損なうことな
く強度を向上させる作用があるので、特に高強
度が要求される場合に必要に応じて含有される
が、それぞれMg：0.1％未満およびCu：0.05％
未満の含有では、所望の強度向上効果が得られ
ず、一方Mg：0.7％およびCu：0.5％をそれぞ
れ越えて含有させると耐垂下性が劣化するよう
になるばかりでなく、特にCuの0.5％を越えた
含有は、合金を電気化学的に貴にし、犠牲陽極
効果が損なわれるようになることから、その含
有量を、それぞれMg：0.1〜0.7％、Cu：0.05
〜0.5％と定めた。つぎに、この発明の熱交換器フイン材を実施例
により具体的に説明する。通常の溶解法により、それぞれ第１表に示され
る最終成分組成をもつたフイン材用本発明Al合
金１〜２４、フイン材用比較Al合金、管材用Al
合金、およびろう材用Al合金を溶製し、鋳造し
て鋳塊とし、フイン材用本発明Al合金以外の鋳
塊に均質化処理を施した。ついで、この結果得られた各種のAl合金鋳塊
について、フイン材用本発明Al合金、フイン材
用比較Al合金、および管材用Al合金の鋳塊には
熱間圧延を施して８mmの板厚を有する熱延板と
し、一方ろう材用Al合金の鋳塊は同じく熱間圧
延により板厚：５mmの熱延板とし、さらに前記の
ろう材用熱延板には冷間圧延を施して板厚：１mm
の冷延板とした。また、上記のフイン材用本発明
Al合金、フイン材用比較Al合金、および管材用
Al合金の熱延板の一部には冷間圧延を施して、
前記フイン材用のものからはそれぞれ板厚：0.5
mmおよび0.16mmを有する冷延板からなる本発明冷
延板フイン材１〜２４および比較冷延板フイン材
をそれぞれ製造した。また、管材用Al合金の熱延板は板厚：１mmの
冷延板管材とした。なお、上記各種の冷延板フイン材の製造に際し
ては、昇温速度：２℃／min、加熱温度：370℃、
保持時間：２時間の条件での中間焼鈍を行ない、
かつ最終冷間圧延率を30％とした。

【表】さらに残りのフイン材用本発明Al合金、フイ
ン材用比較Al合金、および管材用Al合金の熱延
板については、それぞれその両面（フイン材用の
熱延板）および片面（管材用の熱延板）に上記の
板厚：１mmのろう材用Al合金の冷延板を熱間圧
延によつてクラツドしていずれも板厚：３mmとし
た後、引続いて上記の条件での中間焼鈍を施しな
がら最終冷間圧延率：30％にて冷間圧延を行な
い、フイン材用のものは板厚：0.5mmおよび0.16
mmとし、かつ管材用のものは板厚：１mmとするこ
とにより、本発明ブレージングシートフイン１〜
２４、および比較ブレージングシートを製造し、
さらにブレージングシート管材を製造した。ついで、この結果得られたいずれも板厚：0.16
mmを有する各種の冷延板フイン材およびブレージ
ングシートフイン材について、真空中で耐垂下性
試験を行なつた。耐垂下性試験は、試験片として
幅：30mm×長さ：140mmの寸法をもつたものを使
用し、この試験片の長さ方向の一端から30mmの部
分を水平保持した状態で、約10^-4torrの真空中、
温度：620℃に５分間保持した後の前記試験片の
他端における垂下高さを測定することによつて行
なつた。この測定結果を第２表に合せて示した。第２表に示される結果から、本発明冷延板フイ
ン材１〜２４および本発明ブレージングシートフ
イン材１〜２４は、いずれもすぐれた耐垂下性を
示し、ろう付け時に“へたり”や変形の発生がき
わめて少なく、良好なろう付けが可能であること
を示しているのに対して、合金元素としてZrを
含有するが、SiおよびZnを含有しない比較Al合
金で構成された比較冷延板フイン材および比較ブ
レージングシートフイン材は、著しく耐垂下性が
劣ることが明らかである。また、上記の耐垂下性試験に用いたと同じ試験
片を用い、１気圧の窒素ガス雰囲気中、温度：
620℃に５分間保持した後の１規定食塩水中での
孔食発生電位（飽和カロメル基準）を測定し、犠
牲陽極効果を評価した。この測定結果も第２表に
示した。第２表に示されるように、本発明冷延板フイン
材１〜２４および本発明ブレージングシートフイ
ン材１〜２４は、いずれも比較冷延板フイン材お
よび比較ブレージングシートフイン材に比して、
いずれも電気化学的に著しく卑になつており、す
ぐれた犠牲陽極効果を発揮することが明白であ
る。さらに、いずれも0.5mmの板厚を有し、かつ
幅：30mm×長さ：50mmの寸法を有する上記の各種
の冷延板フイン材およびブレージングシートフイ
ン材２を、第１図に斜視図で示されるように、１
mmの板厚を有し、かつ幅：40mm×長さ：50mmの寸
法を有する冷延板管材およびブレージングシート
管材１の中心部に直立セツトした状態で、真空中
および１気圧の窒素ガス雰囲気中のいずれかにお
いて、温度：620℃に５分間保持してろう付けし、
引続いて1ppmのCuイオンを含有する温度：40℃
の水道水中に30日間浸漬の水道水浸漬試験、並び
に30日間のCASS試験をそれぞれ行ない、管材に
おける孔食数および最大孔食深さをそれぞれ測定
した。これらの腐食結果も第２表に示した。第２表に示される結果から、本発明冷延板

【表】

【表】フイン材１〜２４および本発明ブレージングシー
トフイン材１〜２４と組合せた管材には、局部腐
食の発生がほとんど見られないのに対して、比較
冷延板フイン材および比較ブレージングシートフ
イン材と組合せた管材では局部腐食の被害が著し
く大きいものであつた。上述のように、この発明の熱交換器フイン材
は、高温強度、耐垂下性、および犠牲陽極効果を
有するので、熱交換器の製造工程におけるろう付
けに際して変形や“へたり”の発生がなく、良好
なろう付けを確実なものとし、また相手材たる管
材を良く防食して熱交換器の使用寿命の著しい延
命化を可能とするなど工業上有用な特性を有する
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は水道水浸漬試験およびCASS試験に用
いられる試験片の概略斜視図である。１……管材、２……フイン材。

Claims

【特許請求の範囲】１ Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成（以上重量％）を有するAl合金の冷延板で構
成したことを特徴とするすぐれた犠性陽極効果お
よび耐垂下性を有する熱交換器フイン材。２ Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成（以上重量％）を有するAl合金の芯材の片面
または両面に、Al−Si系合金のろう材をクラツ
ドしてなるブレージングシートで構成したことを
特徴とするすぐれた犠牲陽極効果および耐垂下性
を有する熱交換器フイン材。３ Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、さらに、 Mn：0.1〜0.9％、Cr：0.05〜0.3％、のうちの
１種または２種、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成（以上重量％）を有するAl合金の冷延板で構
成したことを特徴とするすぐれた犠牲陽極効果お
よび耐垂下性を有する熱交換器フイン材。４ Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、さらに、 Mn：0.1〜0.9％、Cr：0.05〜0.3％、のうちの
１種または２種、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成（以上重量％）を有するAl合金の芯材の片面
または両面に、Al−らｉ系合金のろう材をクラ
ツドしてなるブレージングシートで構成したこと
を特徴とするすぐれた犠牲陽極効果および耐垂下
性を有する熱交換器フイン材。５ Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、さらに、 Mg：0.1〜0.7％、Cu：0.05〜0.5％、のうちの
１種または２種、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成（以上重量％）を有するAl合金の冷延板で構
成したことを特徴とするすぐれた犠牲陽極効果お
よび耐垂下性を有する熱交換器フイン材。６ Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、さらに、 Mg：0.1〜0.7％、Cu：0.05〜0.5％、のうちの
１種または２種、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成（以上重量％）を有するAl合金の芯材の片面
または両面に、Al−Si系合金のろう材をクラツ
ドしてなるブレージングシートで構成したことを
特徴とするすぐれた犠牲陽極効果および耐垂下性
を有する熱交換器フイン材。７ Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、 Mn：0.1〜0.9％、Cr：0.05〜0.3％、のうちの
１種または２種、を含有し、さらに、 Mg：0.1〜0.7％、Cu：0.05〜0.5％、のうちの
１種または２種、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成（以上重量％）を有するAl合金の冷延板で構
成したことを特徴とするすぐれた犠牲陽極効果お
よび耐垂下性を有する熱交換器フイン材。８ Si：0.1〜0.9％、Zr：0.02〜0.2％、Zn：0.1〜
0.4％未満、を含有し、 Mn：0.1〜0.9％、Cr：0.05〜0.3％、を含有し、さらに、 Mg：0.1〜0.7％、Cu：0.05〜0.5％、のうちの
１種または２種、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成（以上重量％）を有するAl合金の芯材の片面
または両面に、Al−Si系合金のろう材をクラツ
ドしてなるブレージングシートで構成したことを
特徴とするすぐれた犠牲陽極効果および耐垂下性
を有する熱交換器フイン材。