JPH11140572A - 耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents
耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシートInfo
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- JPH11140572A JPH11140572A JP9307397A JP30739797A JPH11140572A JP H11140572 A JPH11140572 A JP H11140572A JP 9307397 A JP9307397 A JP 9307397A JP 30739797 A JP30739797 A JP 30739797A JP H11140572 A JPH11140572 A JP H11140572A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アル
ミニウム合金ブレージングシートを提供する。 【解決手段】 Ｍｎ：０．８〜１．５％、Ｃｕ：０．１
〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以下を含有し、さらに必要
に応じて、Ｚｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５
〜０．２％、Ｍｇ：０．０５〜０．２％、Ｆｅ：０．０
５〜０．５％の内の１種または２種以上を含有し、残り
がＡｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ合金芯材
の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ
合金ろう材をクラッドし、前記芯材の他方の片面に、Ｍ
ｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０〜１０．０％、Ｍ
ｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．１％以下を含有
し、さらに必要に応じてＢｅ：０．０００５〜０．０１
％を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組
成を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなる。
ミニウム合金ブレージングシートを提供する。 【解決手段】 Ｍｎ：０．８〜１．５％、Ｃｕ：０．１
〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以下を含有し、さらに必要
に応じて、Ｚｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５
〜０．２％、Ｍｇ：０．０５〜０．２％、Ｆｅ：０．０
５〜０．５％の内の１種または２種以上を含有し、残り
がＡｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ合金芯材
の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ
合金ろう材をクラッドし、前記芯材の他方の片面に、Ｍ
ｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０〜１０．０％、Ｍ
ｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．１％以下を含有
し、さらに必要に応じてＢｅ：０．０００５〜０．０１
％を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組
成を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱交換器など各
種構造用部材として用いる耐粒界腐食性に優れた高強度
アルミニウム合金ブレージングシート、特に自動車の熱
交換器の製造に用いる高強度アルミニウム合金ブレージ
ングシートに関するものである。
種構造用部材として用いる耐粒界腐食性に優れた高強度
アルミニウム合金ブレージングシート、特に自動車の熱
交換器の製造に用いる高強度アルミニウム合金ブレージ
ングシートに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】近年、ろう付け後強度および高温耐食性
に優れた熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシー
トが開発されている。この熱交換器用アルミニウム合金
ブレージングシートは、図１および図２の断面説明図に
示されるように、芯材４の片面にＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金
ろう材５をクラッドし、もう一方の片面にＡｌ合金犠牲
陽極皮材１がクラッドされた断面構造となっている。そ
して犠牲陽極皮材１の腐食によって芯材４の腐食が抑制
されている。この従来の熱交換器用アルミニウム合金ブ
レージングシートの一例として、重量％で（以下、％は
重量％を示す）、（ｉ）Ｍｎ：０．８〜１．３％、Ｓ
ｉ：０．３〜１．０％、Ｃｕ：０．０５〜０．７％、Ｚ
ｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５〜０．２％を
含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成の
Ａｌ合金、または、（ii）Ｍｎ：０．８〜１．３％、Ｓ
ｉ：０．３〜１．０％、Ｃｕ：０．０５〜０．７％、Ｚ
ｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５〜０．２％、
Ｍｇ：０．０５〜０．３％を含有し、残りがＡｌおよび
不可避不純物からなる組成のＡｌ合金を芯材４とし、こ
の芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材をクラッド
し、もう一方の片面に、（ａ）Ｚｎ：６．５〜１２％、
Ｍｇ：０．５〜３％を含有し、残りがＡｌおよび不可避
不純物からなる組成を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材、
（ｂ）Ｚｎ：６．５〜１２％、Ｍｇ：０．５〜３％を含
有し、さらに、Ｉｎ：０．００５〜０．１％、Ｓｎ：
０．０１〜０．３％のうちの１種または２種を含有し、
残りがＡｌおよび不可避不純物からなるからなる組成を
有するＡｌ合金犠牲陽極皮材、（ｃ）Ｚｎ：６．５〜１
２％、Ｍｇ：０．５〜３％、Ｍｎ：０．０５〜１．５％
を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成
を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材、または、（ｄ）Ｚｎ：
６．５〜１２％、Ｍｇ：０．５〜３％、Ｍｎ：０．０５
〜１．５％を含有し、さらに、Ｉｎ：０．００５〜０．
１％、Ｓｎ：０．０１〜０．３％のうちの１種または２
種を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなるか
らなる組成を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材、をクラッド
してなるものが知られている。そしてこれらＡｌ合金犠
牲陽極皮材に含まれるＳｉ含有量は０．３％以下が好ま
しいとされている（特開平９−８７７８８号公報参
照）。
に優れた熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシー
トが開発されている。この熱交換器用アルミニウム合金
ブレージングシートは、図１および図２の断面説明図に
示されるように、芯材４の片面にＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金
ろう材５をクラッドし、もう一方の片面にＡｌ合金犠牲
陽極皮材１がクラッドされた断面構造となっている。そ
して犠牲陽極皮材１の腐食によって芯材４の腐食が抑制
されている。この従来の熱交換器用アルミニウム合金ブ
レージングシートの一例として、重量％で（以下、％は
重量％を示す）、（ｉ）Ｍｎ：０．８〜１．３％、Ｓ
ｉ：０．３〜１．０％、Ｃｕ：０．０５〜０．７％、Ｚ
ｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５〜０．２％を
含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成の
Ａｌ合金、または、（ii）Ｍｎ：０．８〜１．３％、Ｓ
ｉ：０．３〜１．０％、Ｃｕ：０．０５〜０．７％、Ｚ
ｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５〜０．２％、
Ｍｇ：０．０５〜０．３％を含有し、残りがＡｌおよび
不可避不純物からなる組成のＡｌ合金を芯材４とし、こ
の芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材をクラッド
し、もう一方の片面に、（ａ）Ｚｎ：６．５〜１２％、
Ｍｇ：０．５〜３％を含有し、残りがＡｌおよび不可避
不純物からなる組成を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材、
（ｂ）Ｚｎ：６．５〜１２％、Ｍｇ：０．５〜３％を含
有し、さらに、Ｉｎ：０．００５〜０．１％、Ｓｎ：
０．０１〜０．３％のうちの１種または２種を含有し、
残りがＡｌおよび不可避不純物からなるからなる組成を
有するＡｌ合金犠牲陽極皮材、（ｃ）Ｚｎ：６．５〜１
２％、Ｍｇ：０．５〜３％、Ｍｎ：０．０５〜１．５％
を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成
を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材、または、（ｄ）Ｚｎ：
６．５〜１２％、Ｍｇ：０．５〜３％、Ｍｎ：０．０５
〜１．５％を含有し、さらに、Ｉｎ：０．００５〜０．
１％、Ｓｎ：０．０１〜０．３％のうちの１種または２
種を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなるか
らなる組成を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材、をクラッド
してなるものが知られている。そしてこれらＡｌ合金犠
牲陽極皮材に含まれるＳｉ含有量は０．３％以下が好ま
しいとされている（特開平９−８７７８８号公報参
照）。
【０００３】さらに、Ｍｎ：０．８〜１．３％、Ｓｉ：
０．３〜１．０％、Ｃｕ：０．０５〜０．７％、Ｚｒ：
０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５〜０．２％を含有
し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ
合金を芯材とし、片面にＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材を
クラッドし、もう一方の片面に、Ｍｇ：０．５〜２．５
％、Ｚｎ：１．０〜１０．０％、Ｍｎ：０．０１〜０．
５％、Ｓｉ：０．１％以下を含有し、さらに、Ｂ：０．
０００５〜０．０１％を含有し、残りがＡｌおよび不可
避不純物からなる組成を有するＡｌ合金を犠牲陽極皮材
とした耐食性およびろう付け性に優れた熱交換器用アル
ミニウム合金ブレージングシートも知られている（特開
平８−３０２４３９号公報参照）。
０．３〜１．０％、Ｃｕ：０．０５〜０．７％、Ｚｒ：
０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５〜０．２％を含有
し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ
合金を芯材とし、片面にＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材を
クラッドし、もう一方の片面に、Ｍｇ：０．５〜２．５
％、Ｚｎ：１．０〜１０．０％、Ｍｎ：０．０１〜０．
５％、Ｓｉ：０．１％以下を含有し、さらに、Ｂ：０．
０００５〜０．０１％を含有し、残りがＡｌおよび不可
避不純物からなる組成を有するＡｌ合金を犠牲陽極皮材
とした耐食性およびろう付け性に優れた熱交換器用アル
ミニウム合金ブレージングシートも知られている（特開
平８−３０２４３９号公報参照）。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来の
熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの犠牲
陽極皮材１は、図１に示されるように、粒界に沿って発
生する腐食（以下、粒界腐食という）３が発生しやす
い。犠牲陽極皮材１に粒界腐食が起こると、図１に示さ
れるように、犠牲陽極皮材１の結晶粒２は脱落し、従っ
て、粒界腐食３が起きた犠牲陽極皮材１は犠牲材として
の作用を十分に発揮することなく早く消耗する。さら
に、一般に、熱交換器用アルミニウム合金ブレージング
シートは、犠牲陽極皮材もブレージングシートの強度向
上の一役を担っているが、犠牲陽極皮材１に粒界腐食３
が起きると、犠牲陽極皮材の強度が著しく低下し、従っ
てブレージングシートの強度を著しく低下するようにな
る。
熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの犠牲
陽極皮材１は、図１に示されるように、粒界に沿って発
生する腐食（以下、粒界腐食という）３が発生しやす
い。犠牲陽極皮材１に粒界腐食が起こると、図１に示さ
れるように、犠牲陽極皮材１の結晶粒２は脱落し、従っ
て、粒界腐食３が起きた犠牲陽極皮材１は犠牲材として
の作用を十分に発揮することなく早く消耗する。さら
に、一般に、熱交換器用アルミニウム合金ブレージング
シートは、犠牲陽極皮材もブレージングシートの強度向
上の一役を担っているが、犠牲陽極皮材１に粒界腐食３
が起きると、犠牲陽極皮材の強度が著しく低下し、従っ
てブレージングシートの強度を著しく低下するようにな
る。
【０００５】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、か
かる観点から、犠牲陽極皮材が図１に示される粒界腐食
３を起こすことなく、図２に示されるような犠牲陽極皮
材１の表面から全面に均一に腐食（以下、全面腐食とい
う）６が起きる熱交換器用アルミニウム合金ブレージン
グシートを開発すべく研究を行った結果、（イ）従来の
ブレージングシートの芯材には強度を高めるためにＳｉ
を０．３〜１．０％程度添加しているが、ブレージング
シートの犠牲陽極皮材の粒界腐食は、芯材の成分組成、
特に芯材に含まれるＳｉ含有量が大きく影響を及ぼし、
芯材に含まれるＳｉ含有量は少ないほど犠牲陽極皮材の
粒界腐食は少なくなり、Ｓｉ：０．１％以下（一層好ま
しくは０．０５％以下）に抑制するとすると、このＳｉ
の少ない芯材にクラッドしたブレージングシートの犠牲
陽極皮材に発生する粒界腐食は無視できる程度に極めて
少なくなる、（ロ）犠牲陽極皮材の粒界腐食は、犠牲陽
極皮材の成分組成、特に犠牲陽極皮材に含まれるＳｉ含
有量が少ないほど犠牲陽極皮材の粒界腐食は少なくな
り、Ｓｉ：０．１％以下（一層好ましくは０．０５％以
下）に抑制するとすることが好ましい、という知見を得
たのである。
かる観点から、犠牲陽極皮材が図１に示される粒界腐食
３を起こすことなく、図２に示されるような犠牲陽極皮
材１の表面から全面に均一に腐食（以下、全面腐食とい
う）６が起きる熱交換器用アルミニウム合金ブレージン
グシートを開発すべく研究を行った結果、（イ）従来の
ブレージングシートの芯材には強度を高めるためにＳｉ
を０．３〜１．０％程度添加しているが、ブレージング
シートの犠牲陽極皮材の粒界腐食は、芯材の成分組成、
特に芯材に含まれるＳｉ含有量が大きく影響を及ぼし、
芯材に含まれるＳｉ含有量は少ないほど犠牲陽極皮材の
粒界腐食は少なくなり、Ｓｉ：０．１％以下（一層好ま
しくは０．０５％以下）に抑制するとすると、このＳｉ
の少ない芯材にクラッドしたブレージングシートの犠牲
陽極皮材に発生する粒界腐食は無視できる程度に極めて
少なくなる、（ロ）犠牲陽極皮材の粒界腐食は、犠牲陽
極皮材の成分組成、特に犠牲陽極皮材に含まれるＳｉ含
有量が少ないほど犠牲陽極皮材の粒界腐食は少なくな
り、Ｓｉ：０．１％以下（一層好ましくは０．０５％以
下）に抑制するとすることが好ましい、という知見を得
たのである。
【０００６】この発明は、かかる知見に基づいて成され
たものであって、（１）Ｍｎ：０．８〜１．５％、Ｃ
ｕ：０．１〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以下を含有し、
残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ合金
芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系
Ａｌ合金ろう材をクラッドし、前記芯材の他方の片面
に、Ｍｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０〜１０．０
％、Ｍｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．１％以下を
含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成を
有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐粒界
腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレ
ージングシート、（２）Ｍｎ：０．８〜１．５％、Ｃ
ｕ：０．１〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以下を含有し、
さらにＺｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５〜
０．２％、Ｍｇ：０．０５〜０．２％、Ｆｅ：０．０５
〜０．５％の内の１種または２種以上を含有し、残りが
Ａｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ合金芯材の
片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合
金ろう材をクラッドし、前記芯材の他方の片面に、Ｍ
ｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０〜１０．０％、Ｍ
ｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．１％以下を含有
し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成を有す
るＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴
とする耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニ
ウム合金ブレージングシート。（３）Ｍｎ：０．８〜
１．５％、Ｃｕ：０．１〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以
下を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組
成のＡｌ合金芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−
Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合金ろう材をクラッドし、前記芯材の
他方の片面に、Ｍｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０
〜１０．０％、Ｍｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．
１％以下を含有し、さらに、Ｂｅ：０．０００５〜０．
０１％を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からな
る組成を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてな
る耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム
合金ブレージングシート、（４）Ｍｎ：０．８〜１．５
％、Ｃｕ：０．１〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以下を含
有し、さらに、Ｚｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．
０５〜０．２％、Ｍｇ：０．０５〜０．２％、Ｆｅ：
０．０５〜０．５％の内の１種または２種以上を含有
し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ
合金芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚ
ｎ系Ａｌ合金ろう材をクラッドし、前記芯材の他方の片
面に、Ｍｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０〜１０．
０％、Ｍｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．１％以下
を含有し、さらに、Ｂｅ：０．０００５〜０．０１％を
含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成を
有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐粒界
腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレ
ージングシート、に特徴を有するものである。
たものであって、（１）Ｍｎ：０．８〜１．５％、Ｃ
ｕ：０．１〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以下を含有し、
残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ合金
芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系
Ａｌ合金ろう材をクラッドし、前記芯材の他方の片面
に、Ｍｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０〜１０．０
％、Ｍｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．１％以下を
含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成を
有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐粒界
腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレ
ージングシート、（２）Ｍｎ：０．８〜１．５％、Ｃ
ｕ：０．１〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以下を含有し、
さらにＺｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．０５〜
０．２％、Ｍｇ：０．０５〜０．２％、Ｆｅ：０．０５
〜０．５％の内の１種または２種以上を含有し、残りが
Ａｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ合金芯材の
片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合
金ろう材をクラッドし、前記芯材の他方の片面に、Ｍ
ｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０〜１０．０％、Ｍ
ｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．１％以下を含有
し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成を有す
るＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴
とする耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニ
ウム合金ブレージングシート。（３）Ｍｎ：０．８〜
１．５％、Ｃｕ：０．１〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以
下を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組
成のＡｌ合金芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−
Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合金ろう材をクラッドし、前記芯材の
他方の片面に、Ｍｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０
〜１０．０％、Ｍｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．
１％以下を含有し、さらに、Ｂｅ：０．０００５〜０．
０１％を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からな
る組成を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてな
る耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム
合金ブレージングシート、（４）Ｍｎ：０．８〜１．５
％、Ｃｕ：０．１〜０．６％、Ｓｉ：０．１％以下を含
有し、さらに、Ｚｒ：０．０５〜０．２％、Ｔｉ：０．
０５〜０．２％、Ｍｇ：０．０５〜０．２％、Ｆｅ：
０．０５〜０．５％の内の１種または２種以上を含有
し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成のＡｌ
合金芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚ
ｎ系Ａｌ合金ろう材をクラッドし、前記芯材の他方の片
面に、Ｍｇ：０．５〜２．５％、Ｚｎ：１．０〜１０．
０％、Ｍｎ：０．０１〜０．５％、Ｓｉ：０．１％以下
を含有し、さらに、Ｂｅ：０．０００５〜０．０１％を
含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成を
有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐粒界
腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレ
ージングシート、に特徴を有するものである。
【０００７】この発明の耐粒界腐食性に優れた高強度ア
ルミニウム合金ブレージングシートは熱交換器の構造部
材として用いるのが好ましく、特に自動車の熱交換器を
製造するための高強度アルミニウム合金ブレージングシ
ートとして用いるのが好ましい。次に、この発明の耐粒
界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブ
レージングシートの成分組成を上述のごとく限定した理
由を述べる。
ルミニウム合金ブレージングシートは熱交換器の構造部
材として用いるのが好ましく、特に自動車の熱交換器を
製造するための高強度アルミニウム合金ブレージングシ
ートとして用いるのが好ましい。次に、この発明の耐粒
界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブ
レージングシートの成分組成を上述のごとく限定した理
由を述べる。
【０００８】（Ａ）芯材 Ｍｎ：Ｍｎは金属間化合物として晶出または析出してろ
う付け後の強度を向上させ、芯材に含まれる不純物Ｓｉ
と化合物を形成して犠牲陽極皮材への拡散を抑制し、粒
界腐食を抑える作用を有するが、その含有量が０．８％
未満では所望の効果が得られず、一方、１．５％を越え
て含有すると圧延などの加工性が低下するところから、
芯材に含まれるＭｎ量は０．８〜１．５％に定めた。Ｍ
ｎの含有量の一層好ましい範囲は１〜１．３％である。
う付け後の強度を向上させ、芯材に含まれる不純物Ｓｉ
と化合物を形成して犠牲陽極皮材への拡散を抑制し、粒
界腐食を抑える作用を有するが、その含有量が０．８％
未満では所望の効果が得られず、一方、１．５％を越え
て含有すると圧延などの加工性が低下するところから、
芯材に含まれるＭｎ量は０．８〜１．５％に定めた。Ｍ
ｎの含有量の一層好ましい範囲は１〜１．３％である。
【０００９】Ｓｉ：ブレージングシートの犠牲陽極皮材
の粒界腐食は、ブレージングシートの芯材に含まれるＳ
ｉ含有量が大きく影響を及ぼし、芯材に含まれるＳｉ含
有量は少ないほど好ましいが芯材に含まれるＳｉ含有量
が０．１％を越えて含有すると、犠牲陽極皮材に発生す
る粒界腐食が増加し、犠牲陽極皮材の結晶粒が脱落して
犠牲陽極皮材の寿命が短くなると共に、ブレージングシ
ートの強度が低下するので好ましくない。従って、芯材
に含まれるＳｉ含有量は０．１％以下に定めた。芯材に
含まれるＳｉ含有量の一層好ましい範囲は０．０５％以
下であり、芯材に含まれるＳｉ含有量は０％であること
が最も好ましい。
の粒界腐食は、ブレージングシートの芯材に含まれるＳ
ｉ含有量が大きく影響を及ぼし、芯材に含まれるＳｉ含
有量は少ないほど好ましいが芯材に含まれるＳｉ含有量
が０．１％を越えて含有すると、犠牲陽極皮材に発生す
る粒界腐食が増加し、犠牲陽極皮材の結晶粒が脱落して
犠牲陽極皮材の寿命が短くなると共に、ブレージングシ
ートの強度が低下するので好ましくない。従って、芯材
に含まれるＳｉ含有量は０．１％以下に定めた。芯材に
含まれるＳｉ含有量の一層好ましい範囲は０．０５％以
下であり、芯材に含まれるＳｉ含有量は０％であること
が最も好ましい。
【００１０】Ｃｕ：Ｃｕは固溶してろう付け後の強度を
向上させるとともに、芯材の電位を貴にして犠牲陽極皮
材だけでなくろう材側の耐孔食性も向上させるが、その
含有量が０．１％未満では所望の効果が得られず、一
方、０．６％を越えて含有すると腐食速度が速くなり過
ぎるところから、芯材に含まれるＣｕ量は０．１〜０．
６％に定めた。Ｃｕの含有量の一層好ましい範囲は０．
３〜０．５％である。
向上させるとともに、芯材の電位を貴にして犠牲陽極皮
材だけでなくろう材側の耐孔食性も向上させるが、その
含有量が０．１％未満では所望の効果が得られず、一
方、０．６％を越えて含有すると腐食速度が速くなり過
ぎるところから、芯材に含まれるＣｕ量は０．１〜０．
６％に定めた。Ｃｕの含有量の一層好ましい範囲は０．
３〜０．５％である。
【００１１】Ｚｒ、Ｔｉ、Ｍｇ、Ｆｅ：これら成分は、
いずれも金属間化合物として晶出または析出してろう付
け後の強度を向上させる作用を有するので、必要に応じ
てＺｒ、Ｔｉ、ＭｇおよびＦｅの内の１種または２種以
上を添加するが、Ｚｒ：０．０５％未満、Ｔｉ：０．０
５％未満、Ｍｇ：０．０５％未満、Ｆｅ：０．０５％未
満では所望の効果が得られず、一方、Ｚｒ：０．２％を
越え、Ｔｉ：０．２％を越えて含有すると圧延などの加
工性が低下するので好ましくなく、Ｍｇ：０．２％を越
えて含有するとろう付け性が低下するので好ましくな
く、Ｆｅ：０．５％を越えて含有すると腐食速度が速く
なるので好ましくない。従って、Ｚｒ、Ｔｉ、Ｍｇ、Ｆ
ｅの含有量は、それぞれＺｒ：０．０５〜０．２％、Ｔ
ｉ：０．０５〜０．２％、Ｍｇ：０．０５〜０．２％、
Ｆｅ：０．０５〜０．５％の範囲内に定めた。
いずれも金属間化合物として晶出または析出してろう付
け後の強度を向上させる作用を有するので、必要に応じ
てＺｒ、Ｔｉ、ＭｇおよびＦｅの内の１種または２種以
上を添加するが、Ｚｒ：０．０５％未満、Ｔｉ：０．０
５％未満、Ｍｇ：０．０５％未満、Ｆｅ：０．０５％未
満では所望の効果が得られず、一方、Ｚｒ：０．２％を
越え、Ｔｉ：０．２％を越えて含有すると圧延などの加
工性が低下するので好ましくなく、Ｍｇ：０．２％を越
えて含有するとろう付け性が低下するので好ましくな
く、Ｆｅ：０．５％を越えて含有すると腐食速度が速く
なるので好ましくない。従って、Ｚｒ、Ｔｉ、Ｍｇ、Ｆ
ｅの含有量は、それぞれＺｒ：０．０５〜０．２％、Ｔ
ｉ：０．０５〜０．２％、Ｍｇ：０．０５〜０．２％、
Ｆｅ：０．０５〜０．５％の範囲内に定めた。
【００１２】（Ｂ）犠牲陽極皮材 Ｍｇ：犠牲陽極皮材のＭｇは、犠牲陽極皮材の耐孔食性
を向上させるとともにＺｎとＭｇＺｎ2 化合物を形成し
て強度を向上させる作用であるが、その含有量が０．５
％未満では所望の効果が得られず、一方、２．５％を越
えると加工性が低下するので好ましくない。したがっ
て、犠牲陽極皮材中のＭｇの含有量は０．５〜２．５％
に定めた。Ｍｇの含有量の一層好ましい範囲は１〜１．
７％である。
を向上させるとともにＺｎとＭｇＺｎ2 化合物を形成し
て強度を向上させる作用であるが、その含有量が０．５
％未満では所望の効果が得られず、一方、２．５％を越
えると加工性が低下するので好ましくない。したがっ
て、犠牲陽極皮材中のＭｇの含有量は０．５〜２．５％
に定めた。Ｍｇの含有量の一層好ましい範囲は１〜１．
７％である。
【００１３】Ｚｎ：Ｚｎには、犠牲陽極皮材の電位を卑
にして、犠牲陽極皮材表面から芯材へ防食上有効な電位
分布を形成し、耐孔食性を向上させ、さらに、ＭｇＺｎ
2 を分散析出させて強度を著しく向上させる作用がある
が、その含有量が１．０％未満では所望の効果が得られ
ず、一方、１０．０％を越えて含有すると加工性が低下
し、自己腐食速度が速くなり過ぎるので好ましくない。
したがって、Ｚｎ：１．０〜１０．０％に定めた。Ｚｎ
の含有量の一層好ましい範囲は３〜８％である。
にして、犠牲陽極皮材表面から芯材へ防食上有効な電位
分布を形成し、耐孔食性を向上させ、さらに、ＭｇＺｎ
2 を分散析出させて強度を著しく向上させる作用がある
が、その含有量が１．０％未満では所望の効果が得られ
ず、一方、１０．０％を越えて含有すると加工性が低下
し、自己腐食速度が速くなり過ぎるので好ましくない。
したがって、Ｚｎ：１．０〜１０．０％に定めた。Ｚｎ
の含有量の一層好ましい範囲は３〜８％である。
【００１４】Ｍｎ：Ｍｎは、犠牲陽極皮材および芯材か
ら拡散流入するＳｉとＡｌ−Ｍｎ−Ｓｉ系化合物を形成
して犠牲陽極皮材の粒界腐食を抑制する作用があるが、
その含有量が０．０１％未満では所望の効果が得られ
ず、一方、０．５％を越えて含有すると加工性が低下す
るので好ましくない。したがって、Ｍｎ：０．０１〜
０．５％に定めた。Ｍｎの含有量の一層好ましい範囲は
０．１〜０．３％である。
ら拡散流入するＳｉとＡｌ−Ｍｎ−Ｓｉ系化合物を形成
して犠牲陽極皮材の粒界腐食を抑制する作用があるが、
その含有量が０．０１％未満では所望の効果が得られ
ず、一方、０．５％を越えて含有すると加工性が低下す
るので好ましくない。したがって、Ｍｎ：０．０１〜
０．５％に定めた。Ｍｎの含有量の一層好ましい範囲は
０．１〜０．３％である。
【００１５】Ｓｉ：犠牲陽極皮材中のＳｉ成分は、Ａｌ
−Ｍｎ−Ｓｉ系化合物を形成して犠牲陽極皮材の粒界腐
食を抑制する作用があるが、その含有量が０．１％を越
えて含有すると粒界腐食の発生を抑えることができなく
なるので好ましくない。したがって、Ｓｉの含有量は
０．１％以下に定めた。犠牲陽極皮材に含まれるＳｉ含
有量の一層好ましい範囲は０．０５％以下であり、Ｓｉ
含有量は０％であることが最も好ましい。
−Ｍｎ−Ｓｉ系化合物を形成して犠牲陽極皮材の粒界腐
食を抑制する作用があるが、その含有量が０．１％を越
えて含有すると粒界腐食の発生を抑えることができなく
なるので好ましくない。したがって、Ｓｉの含有量は
０．１％以下に定めた。犠牲陽極皮材に含まれるＳｉ含
有量の一層好ましい範囲は０．０５％以下であり、Ｓｉ
含有量は０％であることが最も好ましい。
【００１６】Ｂｅ：Ｂｅは犠牲陽極皮材の酸化皮膜成長
を抑制して犠牲陽極皮材の作用を一層効果的なものと
し、Ｍｇとフラックスの反応を抑制してろう付け性を向
上させる作用があるので必要に応じて添加するが、その
含有量が０．０００５％未満では所望の効果が得られ
ず、一方、０．０１％を越えて含有しても一層の効果が
得られないところから、Ｂ：０．０００５〜０．０１％
に定めた。
を抑制して犠牲陽極皮材の作用を一層効果的なものと
し、Ｍｇとフラックスの反応を抑制してろう付け性を向
上させる作用があるので必要に応じて添加するが、その
含有量が０．０００５％未満では所望の効果が得られ
ず、一方、０．０１％を越えて含有しても一層の効果が
得られないところから、Ｂ：０．０００５〜０．０１％
に定めた。
【００１７】（Ｃ）ろう材 この発明の熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージ
ングシートで使用するＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材は通
常のＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材またはＡｌ−Ｓｉ−Ｚ
ｎ系Ａｌ合金ろう材であればよく、特に限定されるもの
ではないが、ろう材中に含まれるＳｉはろう材の融点を
下げると共に流動性を付与する成分であり、その含有量
が５％未満では所望の効果が得られず、一方、１５％を
越えて含有するとかえって流動性が低下するので好まし
くない。したがって、Ａｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材また
はＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合金ろう材中のＳｉの含有量
を５〜１５％に定めた。Ａｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材ま
たはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合金ろう材中のＳｉの含有
量の一層好ましい範囲は７〜１１％である。また、この
発明の熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージング
シートで使用するＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系系Ａｌ合金ろう材
中に含まれるＺｎ含有量は０．５〜５％であることが好
ましい。
ングシートで使用するＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材は通
常のＡｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材またはＡｌ−Ｓｉ−Ｚ
ｎ系Ａｌ合金ろう材であればよく、特に限定されるもの
ではないが、ろう材中に含まれるＳｉはろう材の融点を
下げると共に流動性を付与する成分であり、その含有量
が５％未満では所望の効果が得られず、一方、１５％を
越えて含有するとかえって流動性が低下するので好まし
くない。したがって、Ａｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材また
はＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合金ろう材中のＳｉの含有量
を５〜１５％に定めた。Ａｌ−Ｓｉ系Ａｌ合金ろう材ま
たはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合金ろう材中のＳｉの含有
量の一層好ましい範囲は７〜１１％である。また、この
発明の熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージング
シートで使用するＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系系Ａｌ合金ろう材
中に含まれるＺｎ含有量は０．５〜５％であることが好
ましい。
【００１８】
【発明の実施の形態】表１〜表２に示す成分組成のＡｌ
合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このイン
ゴットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、
厚さ：１６０ｍｍの熱延板とし、芯材ａ〜ｖを作製し
た。
合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このイン
ゴットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、
厚さ：１６０ｍｍの熱延板とし、芯材ａ〜ｖを作製し
た。
【００１９】
【表１】
【００２０】
【表２】 （＊印は、この発明の範囲外の値を示す）
【００２１】さらに、表３に示す成分組成のＡｌ合金を
溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴット
を通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ：
２０ｍｍの熱延板とし、犠牲陽極皮材Ａ〜Ｋを作製し
た。
溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴット
を通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ：
２０ｍｍの熱延板とし、犠牲陽極皮材Ａ〜Ｋを作製し
た。
【００２２】さらに、表４に示す成分組成のＡｌ合金を
溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴット
を通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ：
２０ｍｍの熱延板とし、ろう材ア〜エを作製した。
溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴット
を通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ：
２０ｍｍの熱延板とし、ろう材ア〜エを作製した。
【００２３】
【表３】
【００２４】
【表４】
【００２５】表１〜表２に示す成分組成の芯材ａ〜ｖ、
表３に示す成分組成の犠牲陽極皮材Ａ〜Ｋ、および表４
に示す成分組成のろう材イ〜エを表５〜表８に示す組み
合わせで重ね合わせ、熱間圧延によりクラッドし、続い
て適宜中間焼鈍を行いながら冷間圧延を行って板厚：
０．２２ｍｍ、調質Ｈ１４（最終冷間圧延率：３３％）
の本発明熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシート（以下、本発明ブレージングシートという）１
〜２１および従来熱交換器用高強度アルミニウム合金ブ
レージングシート（以下、従来ブレージングシートとい
う）を作製した。
表３に示す成分組成の犠牲陽極皮材Ａ〜Ｋ、および表４
に示す成分組成のろう材イ〜エを表５〜表８に示す組み
合わせで重ね合わせ、熱間圧延によりクラッドし、続い
て適宜中間焼鈍を行いながら冷間圧延を行って板厚：
０．２２ｍｍ、調質Ｈ１４（最終冷間圧延率：３３％）
の本発明熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシート（以下、本発明ブレージングシートという）１
〜２１および従来熱交換器用高強度アルミニウム合金ブ
レージングシート（以下、従来ブレージングシートとい
う）を作製した。
【００２６】これら本発明高強度アルミニウム合金ブレ
ージングシート１〜２１および従来高強度アルミニウム
合金ブレージングシートについて下記の腐食試験および
ろう付け後の引張り試験を行い、耐食性およびろう付け
後強度の評価を行った。
ージングシート１〜２１および従来高強度アルミニウム
合金ブレージングシートについて下記の腐食試験および
ろう付け後の引張り試験を行い、耐食性およびろう付け
後強度の評価を行った。
【００２７】腐食試験 耐粒界腐食性を評価する目的で、ブレージングシートに
ろう付けを施すことを想定して、本発明ブレージングシ
ート１〜１８および従来ブレージングシートの試験片を
高純度窒素雰囲気中で、６００℃に３分間保持の熱処理
を行った後、Ｃｕ2+を１０ｐｐｍ添加した５０℃の水道
水中に３０日間に浸漬し、試験後の最大孔食深さを測定
し、さらに試験後の試験片の断面を金属顕微鏡にて観察
し、腐食形態（全面腐食または粒界腐食）の観察結果を
表５〜表８に示した。
ろう付けを施すことを想定して、本発明ブレージングシ
ート１〜１８および従来ブレージングシートの試験片を
高純度窒素雰囲気中で、６００℃に３分間保持の熱処理
を行った後、Ｃｕ2+を１０ｐｐｍ添加した５０℃の水道
水中に３０日間に浸漬し、試験後の最大孔食深さを測定
し、さらに試験後の試験片の断面を金属顕微鏡にて観察
し、腐食形態（全面腐食または粒界腐食）の観察結果を
表５〜表８に示した。
【００２８】引張り試験 ろう付け後の強度を評価する目的で、ブレージングシー
トにろう付けを施すことを想定して、本発明ブレージン
グシート１〜２１および従来ブレージングシートの試験
片を高純度窒素雰囲気中で、６００℃に３分間保持の熱
処理を行った後、引張り試験を実施し、その結果を表５
および表６に示した。
トにろう付けを施すことを想定して、本発明ブレージン
グシート１〜２１および従来ブレージングシートの試験
片を高純度窒素雰囲気中で、６００℃に３分間保持の熱
処理を行った後、引張り試験を実施し、その結果を表５
および表６に示した。
【００２９】さらに、腐食形態の違いによる強度低下の
差を調べるために、ブレージングシートにろう付けを施
すことを想定して、本発明ブレージングシート１〜２１
および従来ブレージングシートの試験片を高純度窒素雰
囲気中で、６００℃に３分間保持の熱処理を行った後、
Ｃｕ2+を１０ｐｐｍ添加した５０℃の水道水中に５日間
に浸漬の腐食試験を行い、この腐食試験した本発明ブレ
ージングシート１〜２１および従来ブレージングシート
の試験片について引張り試験を行い、その結果を表５〜
表８に示した。
差を調べるために、ブレージングシートにろう付けを施
すことを想定して、本発明ブレージングシート１〜２１
および従来ブレージングシートの試験片を高純度窒素雰
囲気中で、６００℃に３分間保持の熱処理を行った後、
Ｃｕ2+を１０ｐｐｍ添加した５０℃の水道水中に５日間
に浸漬の腐食試験を行い、この腐食試験した本発明ブレ
ージングシート１〜２１および従来ブレージングシート
の試験片について引張り試験を行い、その結果を表５〜
表８に示した。
【００３０】
【表５】
【００３１】
【表６】
【００３２】
【表７】
【００３３】
【表８】
【００３４】
【発明の効果】表１〜表８に示される結果から、本発明
ブレージングシート１〜２１の腐食形態がいずれも全面
腐食であるのに対し従来ブレージングシートは粒界腐食
であり、さらに本発明ブレージングシート１〜２１は従
来ブレージングシートに比べて最大孔食深さが格段に小
さく、腐食試験後の引張強さが格段に大きいところか
ら、本発明ブレージングシート１〜２１は従来ブレージ
ングシートに比べて耐粒界腐食性およびろう付け後の強
度が優れていることが分かる。上述のように、この発明
の熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシー
トは、耐粒界腐食性およびろう付け後強度が共に優れ、
産業の発展に大いに貢献し得るものである。
ブレージングシート１〜２１の腐食形態がいずれも全面
腐食であるのに対し従来ブレージングシートは粒界腐食
であり、さらに本発明ブレージングシート１〜２１は従
来ブレージングシートに比べて最大孔食深さが格段に小
さく、腐食試験後の引張強さが格段に大きいところか
ら、本発明ブレージングシート１〜２１は従来ブレージ
ングシートに比べて耐粒界腐食性およびろう付け後の強
度が優れていることが分かる。上述のように、この発明
の熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシー
トは、耐粒界腐食性およびろう付け後強度が共に優れ、
産業の発展に大いに貢献し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの腐食形態を説明するための断面説明図であ
る。
グシートの腐食形態を説明するための断面説明図であ
る。
【図２】熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの腐食形態を説明するための断面説明図であ
る。
グシートの腐食形態を説明するための断面説明図であ
る。
１ 犠牲陽極皮材 ２ 結晶粒 ３ 粒界腐食 ４ 芯材 ５ ろう材 ６ 全面腐食
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 ＦＩ Ｃ２３Ｆ 13/00 Ｃ２３Ｆ 13/00 Ｅ Ｆ２８Ｆ 19/06 Ｆ２８Ｆ 19/06 Ｂ 21/08 21/08 Ｄ
Claims (3)
- 【請求項１】 重量％で、 Ｍｎ：０．８〜１．５％、 Ｃｕ：０．１〜０．６％、 Ｓｉ：０．１％以下、 を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成
のＡｌ合金芯材の片面にＡｌ−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓ
ｉ−Ｚｎ系Ａｌ合金ろう材をクラッドし、前記芯材の他
方の片面に、重量％で、 Ｍｇ：０．５〜２．５％、 Ｚｎ：１．０〜１０．０％、 Ｍｎ：０．０１〜０．５％、 Ｓｉ：０．１％以下、 を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成
を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなること
を特徴とする耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度ア
ルミニウム合金ブレージングシート。 - 【請求項２】 重量％で、 Ｍｎ：０．８〜１．５％、 Ｃｕ：０．１〜０．６％、 Ｓｉ：０．１％以下、 を含有し、さらに Ｚｒ：０．０５〜０．２％、 Ｔｉ：０．０５〜０．２％、 Ｍｇ：０．０５〜０．２％、 Ｆｅ：０．０５〜０．５％、 の内の１種または２種以上を含有し、残りがＡｌおよび
不可避不純物からなる組成のＡｌ合金芯材の片面にＡｌ
−Ｓｉ系あるいはＡｌ−Ｓｉ−Ｚｎ系Ａｌ合金ろう材を
クラッドし、前記芯材の他方の片面に、重量％で、 Ｍｇ：０．５〜２．５％、 Ｚｎ：１．０〜１０．０％、 Ｍｎ：０．０１〜０．５％、 Ｓｉ：０．１％以下、 を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成
を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材をクラッドしてなること
を特徴とする耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度ア
ルミニウム合金ブレージングシート。 - 【請求項３】 請求項１または２記載のＡｌ合金犠牲陽
極皮材は、重量％で、 Ｍｇ：０．５〜２．５％、 Ｚｎ：１．０〜１０．０％、 Ｍｎ：０．０１〜０．５％、 Ｓｉ：０．１％以下、 を含有し、さらに、 Ｂｅ：０．０００５〜０．０１％、 を含有し、残りがＡｌおよび不可避不純物からなる組成
を有するＡｌ合金犠牲陽極皮材であることを特徴とする
耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合
金ブレージングシート。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9307397A JPH11140572A (ja) | 1997-11-10 | 1997-11-10 | 耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシート |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9307397A JPH11140572A (ja) | 1997-11-10 | 1997-11-10 | 耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシート |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11140572A true JPH11140572A (ja) | 1999-05-25 |
Family
ID=17968567
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9307397A Pending JPH11140572A (ja) | 1997-11-10 | 1997-11-10 | 耐粒界腐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシート |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11140572A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20010045819A (ko) * | 1999-11-08 | 2001-06-05 | 신영주 | 알루미늄 브레이징 시트 |
| WO2006011653A1 (en) * | 2004-07-29 | 2006-02-02 | Showa Denko K.K. | Heat exchange and method of manufacturing the same |
| JP2010163674A (ja) * | 2009-01-19 | 2010-07-29 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート |
| WO2010137649A1 (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-02 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器用アルミニウム合金製ブレージングシートおよび熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け体 |
-
1997
- 1997-11-10 JP JP9307397A patent/JPH11140572A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20010045819A (ko) * | 1999-11-08 | 2001-06-05 | 신영주 | 알루미늄 브레이징 시트 |
| WO2006011653A1 (en) * | 2004-07-29 | 2006-02-02 | Showa Denko K.K. | Heat exchange and method of manufacturing the same |
| US7798205B2 (en) | 2004-07-29 | 2010-09-21 | Showa Denko K. K. | Heat exchanger and method of manufacturing the same |
| JP2010163674A (ja) * | 2009-01-19 | 2010-07-29 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート |
| WO2010137649A1 (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-02 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器用アルミニウム合金製ブレージングシートおよび熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け体 |
| JP2011006784A (ja) * | 2009-05-27 | 2011-01-13 | Kobe Steel Ltd | 熱交換器用アルミニウム合金製ブレージングシートおよび熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け体 |
| US9327365B2 (en) | 2009-05-27 | 2016-05-03 | Kobe Steel, Ltd. | Aluminum alloy brazng sheet for heat exchangers and aluminum alloy brazed article for heat exchangers |
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