JP2005177828A - 強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートの製造方法 - Google Patents

強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートの製造方法を提供する。
【解決手段】Fe:0.3〜2.0%、Mn:0.1〜2.5%を含有し、さらに、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlからなる組成を有するアルミニウム合金芯材の片面に、Zn:0.5〜5.0%、Zr::0.05〜0.3%を含有し、さらにSi:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlからなる組成を有するアルミニウム合金犠牲材を重ね、他方の片面にAl−Si系ろう材を重ねて合せ材を作製し、この合せ材を430〜530℃の温度で均熱処理を行った後、これを熱間圧延し、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5越え〜15%未満の低圧延率で冷間圧延する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、熱交換器のチューブ材、ヘッダータンク材、サイドサポート材などに使用される強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートの製造方法およびこの方法で製造したブレージングシート、並びにこのブレージングシートがろう付けされてなる熱交換器に関するものである。
一般に、熱交換器は、サイドサポートと、ヘッダータンクと、そのヘッダータンクの間に互いに平行に間隔を空けて設けられたアルミニウム合金からなる多数のチューブと、チューブとチューブとの間にろう付けされた波形のフィンとで主に構成されている。前記波形のフィンはフィン材を波形に加工し、この波形に加工されたフィン材をチューブにろう付けすることにより成形される。
前記熱交換器におけるチューブ、ヘッダータンク、サイドサポートなどはブレージングシートにより作製されるが、このブレージングシートの一例として、Al−Mn−Cu系合金からなる芯材の片面または両面に、犠牲陽極効果を有するAl−Mn系合金からなる中間材を被覆し、さらに両面をAl−Siろう材(JIS4343,4045で規定される、例えば、Al−7〜11質量%Si合金)またはAl−Si−Mg系ろう材(JIS4004,4N04、4104で規定される、例えば、Al−9〜13質量%Si−0.2〜2質量%Mg合金)からなるろう材層をクラッドしたブレージングシートが知られている。このブレージングシートは芯材のマトリックスが再結晶組織を有し、犠牲陽極効果を有する中間材のマトリックスが加工組織を有しており、このブレージングシートのろう材層をチューブに接触させて組み立て、これを真空または不活性ガス雰囲気の加熱炉に装入し600℃前後の温度に加熱してろう付けすると、ろう付け中に中間材の加工組織は再結晶組織に変化し、ろう侵食の発生が阻止されるといわれている。(特許文献1参照)。
特開平10−298686号公報
近年、自動車は、快適性や省燃費が強く求められるようになり、熱交換器に対するコンパクト化や高性能化の要求は強まる一方である。また軽量化の観点から、それらの部材には薄肉化が求められ、例えば、チューブ材に対しても従来の板厚0.3〜0.4mm程度から0.2mmへ移行しつつある。このように材料を薄肉化した場合でも、従来の熱交換器の耐久強度と同等レベル以上とするためには、従来材と比較して高い強度が必要になる。
しかし、前記従来のブレージングシートをろう付けして作製した熱交換器におけるチューブ、ヘッダータンク、サイドサポートなどのブレージングシート構造部分は、芯材および中間材が共に再結晶組織を有するので、耐ろう侵食性に優れているものの、強度が十分でなく、ろう付け後であってもさらに一層の強度を有するブレージングシートが求められている。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、さらに一層高強度のブレージングシートを作製し、このブレージングシートをろう付けしてなる熱交換器を得るべく研究を行なった。その結果、質量%で(以下、%は質量%を示す)、Fe:0.3〜2.0%、Mn:0.1〜2.5%を含有し、さらに、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材の片面に、Zn:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.3%を含有し、さらにSi:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金犠牲材を重ね、前記アルミニウム合金芯材のもう一方の片面にAl−Si系ろう材を重ねることにより、Al−Si系ろう材−アルミニウム合金芯材−アルミニウム合金犠牲材の順に重ねた合せ材を作製し、この合せ材を430〜530℃の温度で均熱処理を行った後、これを熱間圧延し、その後少なくとも1回の犠牲焼鈍を行い、最後の犠牲焼鈍から最終板厚までの圧下率を5%超〜15%未満(好ましくは、5越え〜10%)の低圧延率で冷間圧延すると、Al−Si系ろう材層−アルミニウム合金芯材層−アルミニウム合金犠牲材層の順に積層した何れも圧延組織を有する圧延ブレージングシートが形成され、この圧延ブレージングシートで作製した例えばチューブのAl−Si系ろう材層に波形に加工されたフィン材を接触した状態で加熱炉に入れてろう付けすると、Fe:0.3〜2.0%、Mn:0.1〜2.5%を含有し、さらに、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材層の圧延組織は再結晶しやすい特性を有するので、ろう付け中に圧延組織から隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する再結晶組織に変化し、
一方、Zn:0.5〜5.0%、Zr:0.05〜0.3%を含み、さらにSi:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金犠牲材層は再結晶し難い特性を有するのでろう付け中に圧延組織から完全な再結晶組織に至らず、再結晶組織に至る途中の隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する未再結晶組織に変化し、
前記再結晶組織を有するアルミニウム合金芯材層が溶融ろう材の侵食経路が少なくなるためにろう材によるろう侵食を阻止する作用効果を奏し、アルミニウム合金芯材層の再結晶組織化による強度の低下をアルミニウム合金犠牲材層の未再結晶組織化により補強し、したがって強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートからなるチューブを有する熱交換器が得られる、という研究結果が得られたのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)質量%で(以下、%は質量%を示す)、Fe:0.3〜2.0%、Mn:0.1〜2.5%を含有し、さらに、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金芯材の片面に、Zn:0.5〜5.0%、Zr::0.05〜0.3%を含有し、さらにSi:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金犠牲材を重ね、さらに前記アルミニウム合金芯材層のもう一方の片面にAl−Si系ろう材を重ねて合せ材を作製し、この合せ材を430〜530℃の温度で均熱処理を行った後、これを熱間圧延し、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5越え〜15%未満の低圧延率で冷間圧延する強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートの製造方法、
(2)前記(1)記載の製造方法で作製した強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシート、
(3)前記(2)記載のブレージングシートがろう付けされてなる熱交換器であって、前記熱交換器を構成するブレージングシートは、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する再結晶組織からなるアルミニウム合金芯材層と、アルミニウム合金芯材層の片面に形成された隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する未再結晶組織からなるアルミニウム合金犠牲材層と、前記アルミニウム合金芯材層のもう一方の片面に形成されたAl−Si系ろう材層とからなる熱交換器、に特徴を有するものである。
この発明の方法により製造した強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートを用いて作製したチューブにフィンをろう付けしたブレージングシートの組織について図面に基づいて説明する。図1は、この発明の方法で製造した強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートによりチューブを作製し、このチューブにフィンがろう付けされた個所の一部断面説明図である。図1において、1はこの発明の方法で製造したブレージングシートにより作製したチューブ、2はろう付け部分、3はフィンであり、このチューブ1は、ろう材層6−アルミニウム合金芯材層5−アルミニウム合金犠牲材層4の順に積層してクラッドされている。チューブ1のろう材層6をフィン3にろう付けすることによりろう付け部分2が形成され、フィン3がチューブ1に接合している。
この発明の方法で製造したブレージングシートにより作製したろう付け後のチューブ1におけるアルミニウム合金犠牲材層4は、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する未再結晶組織からなっている。このアルミニウム合金犠牲材層4は、圧延組織から十分に再結晶組織変化していない極めて微細な未再結晶組織を有するので、転位の増殖、ピン止め等の影響により材料強度が向上する。しかし、一般に、この未再結晶組織はろう材の侵食に対する抵抗力が小さい。これは、ろう付け時の溶融ろう材によるろう侵食は結晶粒界が溶融ろうの侵食経路となり、粒界が多数存在する(即ち結晶粒が微細な) 未再結晶組織は、ろう付時にろう材の侵食経路が多数存在し、そのためにろう侵食が生じやすくなるためである。したがって、未再結晶組織は再結晶組織に比べて一段と結晶粒が微細なため、ろう付時に著しいろう侵食が生じ、座屈等を引き起こす恐れがある。
ところが、この発明の方法で製造したブレージングシートにより作製したろう付け後のチューブ1におけるアルミニウム合金芯材層5は、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する再結晶組織を有するところから溶融ろう材侵食に対する抵抗力に優れており、前記再結晶組織を有するアルミニウム合金芯材層5がAl−Si系ろう材層6とアルミニウム合金犠牲材層4の間に介在しているために、Al−Si系ろう材層6によりアルミニウム合金犠牲材層4がろう侵食されることは無く、未再結晶組織を有するアルミニウム合金犠牲材層により強度を確保し、再結晶組織を有するアルミニウム合金芯材層により耐ろう侵食性を確保することができるので、強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートからなるチューブが設けられた熱交換器が得られるのである。
なお、図面では、ブレージングシートからなるチューブについて説明したが、ヘッダータンク材、サイドサポート材などに使用しても同様の効果がえられる。
強度が優れかつ耐ろう侵食性に優れたブレージングシートを得ることができ、それによってブレージングシートの厚さを一層薄くすることができ、さらに熱交換器全体の寿命を一層改善することができ、工業上有用な効果をもたらすものである。
次に、この発明の強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートにおけるアルミニウム合金芯材層および犠牲材層の成分組成を前記の如く限定した理由を説明する。
A.アルミニウム合金芯材層の成分組成
Fe:
Feは粗大な金属間化合物を作りやすく、それらの粗大晶出物が再結晶の核となるため、ろう付熱処理時の再結晶を促進させる効果があので添加するが、その添加量が0.3未満では所望の効果が得られず、一方、2.0%を超えて含まれるとアルミニウム合金芯材の自己耐食性が低下するので好ましくない。したがって、Feの含有量を0.3〜2.0%に定めた。Fe含有量の一層好ましい範囲は0.5〜1.5%である。
Mn:
Mnは合金の強度を向上させる効果があるとともに、Fe、Siなどと粗大な金属間化合物を作り易く、それらの粗大晶出物が再結晶の核となる為にろう付熱処理時の再結晶を促進させる作用があるが、その含有量が0.1%未満では所望の効果が得られないので好ましくなく、一方、Mnを2.5%より多く含有させると、鋳造時の晶出物が粗大化し、加工性が低下するために好ましくない。したがって、芯材層に含まれるMnは0.1〜2.5%に定めた。Mn含有量の一層好ましい範囲は1.0〜1.7%である。
Si、Mg、Ni:
これら成分は、いずれもアルミニウム合金芯材層において微細な析出物を形成し、合金の強度を向上させる効果があるが、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%と限定したのは、Si:0.1%未満、Mg:0.1%未満、Ni:0.05%未満では所望の効果が得られないからであり、一方、Siが1.2%を越えて含有すると融点の低下によりろう付時にチューブ材が溶融してしまう可能性があるので好ましくなく、Mgが2.0%を越えて含有すると、ろう材へのMgの拡散の影響が強くなる為に、ろう付け時にろう材表面に塗布されるフラックスと材料中のMgが反応し、ろう付け性が低下して好ましくないからであり、さらにNiが1.2%を越えて含有すると自己耐食性が低下するるので好ましくないためである。芯材層におけるSi含有量の一層好ましい範囲は0.5〜1.0%であり、Mg含有量の一層好ましい範囲は0.10〜0.30%であり、Ni含有量の一層好ましい範囲は0.3〜1.0%である。
B.アルミニウム合金犠牲材層の成分組成
Zn:
Znは合金の電位を卑にして犠牲陽極効果をもたらす効果があるので添加するが、その添加量を0.5〜5.0%に限定したのは、0.5%未満では所望の効果が得られず、一方、5.0%を越えて添加すると犠牲材の腐食速度が著しく増加するために好ましくないからである。Zn含有量の一層好ましい範囲は1.0〜3.0%である。
Zr:
Zrはろう付熱処理時の再結晶を遅延させる効果がある。Zrの添加量を0.05〜0.3%と限定したのは、0.05%未満ではその効果が小さく、0.3%を超えると、鋳造時の晶出物が粗大化し、加工性が低下するためである。Zr含有量の一層好ましい範囲は0.10〜0.15%である。
Si、Mg、Ni:
これら成分は、アルミニウム合金犠牲材層においていずれも微細な析出物を形成し、合金の強度を向上させる効果があが、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%と限定したのは、Si:0.1%未満、Mg:0.1%未満、Ni:0.05%未満では所望の効果が得られないからであり、一方、Siが1.2%を越えて含有すると融点の低下によりろう付時にチューブ材が溶融してしまう可能性があるので好ましくなく、Mgが2.0%を越えて含有すると、ブレージングシートの自己耐食性が低下するので好ましくなく、さらにNiが1.2%を越えて含有すると自己耐食性が低下するので好ましくないためである。犠牲材層におけるSi含有量の一層好ましい範囲は0.5〜1.0%であり、Mg含有量の一層好ましい範囲は0.10〜0.50%であり、Ni含有量の一層好ましい範囲は0.3〜1.0%である。
C.ろう材層の成分組成
ろう材層は通常のアルミニウム合金ろう材、例えば、Al−Siろう材(JIS4343,4045で規定される、例えば、Al−7〜11質量%Si合金)またはAl−Si−Mg系ろう材(JIS4004,4N04、4104で規定される、例えば、Al−9〜13質量%Si−0.2〜2質量%Mg合金)を使用することができ、特に制限されるものではない。
次に、この発明の強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートの製造方法について説明する。
Fe:0.3〜2.0%、Mn:0.1〜2.5%を含有し、さらに、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金芯材層と、Zn:0.5〜5.0%、Zr::0.05〜0.3%を含有し、さらにSi:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金犠牲材板と、Al−Si系ろう材板とを用意し、ろう材板−アルミニウム合金芯材板−アルミニウム合金犠牲材板の順に重ね合わせて合せ材を作製し、この合せ材を430〜530℃の温度で均熱処理を行った後、これを熱間圧延し、その後少なくとも1回の犠牲焼鈍を行い、最後の犠牲焼鈍から最終板厚までの圧下率を5越え〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することによりろう材層−アルミニウム合金芯材層−アルミニウム合金犠牲材層の順にクラッドされた何れの層も圧延組織を有する圧延ブレージングシートが製造される。
このようにして製造した圧延ブレージングシートを例えば波形に成形したフィンと接触するように固定し、ろう付け加熱炉に装入し、通常のろう付加熱処理を行うと、アルミニウム合金芯材層は完全に再結晶化されて耐ろう侵食性を有するようになり、一方、アルミニウム合金犠牲材層は未再結晶組織となって高強度を保持しするようになる。
いずれも縦:20mm、横:52mm、長さ:125mmの寸法を有し、表1〜3に示される化学組成を有するアルミニウム合金芯材層となるアルミニウム合金鋳塊およびアルミニウム合金犠牲材層となるアルミニウム合金鋳塊、並びにSi:7.5質量%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のろう材となるアルミニウム合金鋳塊をそれぞれ片面につき1/4インチずつ面削した後、温度:530℃、4時間保持の条件で均質化処理を行った。
この面削し均質化処理したアルミニウム合金芯材層のアルミニウム合金鋳塊、アルミニウム合金犠牲材層のアルミニウム合金鋳塊およびろう材のアルミニウム合金鋳塊を、温度:480℃、1時間保持の条件で均熱処理した後、ろう材のアルミニウム合金鋳塊−アルミニウム合金芯材層のアルミニウム合金鋳塊−アルミニウム合金犠牲材層のアルミニウム合金鋳塊の順に重ね合わせることにより合せ材を作製し、この合せ材を熱間圧延することによりはり合わせ、厚さ約6mmのクラッド材を作製した。このクラッド材をさらに冷間圧延により、厚さ約1.3mmまで圧延した後、1回目の犠牲焼鈍として、500℃のソルトバス焼鈍を行い、さらに冷間圧延して板厚:0.212〜0.232mmのクラッド圧延材を作製し、得られたクラッド圧延材を2回目の犠牲焼鈍を温度:360℃、3時間保持の条件でバッチ焼鈍し、さらに表1〜3に示される条件の圧下率にて最終圧延することによりクラッド率がろう材層:10%、芯材層:75%、犠牲材層:15%からなる板厚:0.2mmの圧延ブレージングシート材A〜lを作製した。
さらに、前記特許文献1に示されたSi:0.2%、Fe:0.3%、Cu:0.4%、Mn:1.2%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる成分組成を有する芯材層の片面に、Si:0.2%、Fe:0.3%、Mn:1.2%、Mg:0.6%、Zn:2.8%、Zr:0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる成分組成を有する犠牲材層を積層し、芯材層に他方の外側にJIS4104で規定されるろう材層を形成してなるろう材層−芯材層−犠牲層の積層構造を有する圧延ブレージングシート材mを用意した。
実施例1〜18、比較例1〜20および従来例
得られた表1〜3に示される構成の圧延ブレージングシート材A〜mのろう材層と波形に加工したフィンをろう材層がチューブに接するように固定し、窒素雰囲気の加熱炉に装入し、温度:600℃、3分間保持することによりろう付けを行い、圧延ブレージングシートにフィンをろう付けした。圧延ブレージングシートにフィンをろう付けしたブレージングシートについて、アルミニウム合金芯材層およびアルミニウム合金犠牲材層の断面の任意の個所の1.6mm×1.6mmの1視野における結晶粒の方位および粒径をSEM−EBSP(EBSP: Electron Back-Scatter diffraction Pattern)により測定し、その測定結果に基づいて、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する組織を未再結晶組織とし、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する組織を再結晶組織として認定し、その認定結果を実施例1〜18、比較例1〜20および従来例から得られた結果として表4〜6に示した。さらに、下記の試験を行った。
引張試験
フィンをろう付けしたブレージングシートから引張試験片を作製し、この引張試験片を用いて引張試験を行い、その結果を実施例1〜18、比較例1〜20および従来例の結果として表4〜6に示した。
耐ろう侵食試験
ろう材層と接するブレージングシートのアルミニウム合金芯材層の断面を観察することにより、表面からの最大ろう侵食深さを測定し、その結果を実施例1〜18、比較例1〜20および従来例の結果として表4〜6に示すことによりろう付けされたブレージングシートの耐ろう侵食性を評価した。
Figure 2005177828
Figure 2005177828
Figure 2005177828
Figure 2005177828
Figure 2005177828
Figure 2005177828
なお、表2〜3および表5において*印をつけて示した値はこの発明の条件から外れている値であることを示している。
表1〜6に示される結果から、実施例1〜18で得られた測定結果と従来例で得られた測定結果を比較すると、この発明の方法で製造した圧延ブレージングシート材A〜Rは従来法で製造した圧延ブレージングシート材mに比べて、ろう付け後の耐ろう侵食性に関してはほぼ同等に優れているが、ろう付け後のブレージングシートA〜Rの強度についてはブレージングシートmに比べて優れており、したがって、この発明の方法で製造した圧延ブレージングシート材A〜Rをろう付けして得られた本発明熱交換器1〜18は従来熱交換器に比べて強度が優れていることが分かる。しかし、比較例1〜20に見られるように、この発明の条件から外れた方法で製造した圧延ブレージングシート材S〜lをろう付けしてなる比較熱交換器1〜20は、強度および耐ろう侵食性の内の少なくとも1つは劣るので好ましくないことが分かる。
この発明の方法で製造した圧延ブレージングシートからなるチューブにフィンがろう付けされた接合部分近傍のチューブの組織を説明するための一部断面図である。
符号の説明
1 ブレージングシートからなるチューブ
2 ろう付け部分
3 フィン
4 アルミニウム合金犠牲材層
5 アルミニウム合金芯材層
6 ろう材層

Claims (3)

  1. 質量%で(以下、%は質量%を示す)、Fe:0.3〜2.0%、Mn:0.1〜2.5%を含有し、さらに、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金芯材の片面に、Zn:0.5〜5.0%、Zr:0.05〜0.3%を含有し、さらにSi:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%、Ni:0.05〜1.2%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金犠牲材を重ね、さらに前記アルミニウム合金芯材層のもう一方の片面にAl−Si系ろう材を重ねて合せ材を作製し、この合せ材を430〜530℃の温度で均熱処理を行った後、これを熱間圧延し、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5越え〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することを特徴とする強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法で作製したことを特徴とする強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシート。
  3. 請求項2記載のブレージングシートがろう付けされてなる熱交換器であって、前記熱交換器を構成するブレージングシートは、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する再結晶組織からなるアルミニウム合金芯材層と、前記アルミニウム合金芯材層の片面に形成された隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する未再結晶組織からなるアルミニウム合金犠牲材層と、前記アルミニウム合金芯材層のもう一方の片面に形成されたAl−Si系ろう材層とからなることを特徴とする熱交換器。
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