JP2005297016A - ブレージングシートの製造方法およびブレージングシート - Google Patents

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Abstract

【課題】 ろう付けしても高強度を維持することが可能なブレージングシートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 500℃以下の均質化処理がなされた芯材2または均質化処理が実施されない芯材2を用意するとともに、500℃以上の均質化処理がなされた中間材3を用意し、芯材2の一面2aに中間材3とろう材4を重ねるとともに芯材2の他面2bに犠牲材5を重ねてから熱間圧延によりはり合わせ、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することを特徴とするブレージングシートの製造方法を採用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱交換器のチューブ材、ヘッダータンク材、サイドサポート材に使用される強度および耐ろう浸食性に優れた熱交換器用のブレージングシートの製造方法およびこの方法で製造されたブレージングシートに関するものである。
一般に熱交換器は、ヘッダータンクと、そのヘッダータンクの間に互いに平行に間隔を空けて設けられたアルミニウム合金からなる多数のチューブと、サイドサポートなどにより構成されており、さらにチューブとチューブとの間にろう付けされた波形のフィン材とで構成されている。前記波形のフィン材はブレージングシートを波形に加工し、この波形に加工されたブレージングシートをチューブにろう付けすることにより製造される。
前記チューブ、ヘッダータンク、サイドサポートなどはブレージングシートで作製されている。ブレージングシートの一例として、Al-Mn-Cu合金からなる芯材の片面または両面に、犠牲陽極効果を有するAl-Mn合金からなる中間材を被覆し、さらに両面にろう材をクラッドしたものが知られている。ろう材としては、例えばAL-Si系ろう材(JIS4343、JIS4045等で規定される、Al-7〜11質量%Si合金)またはAl-Si-Mg系ろう材(JIS4004、JIS4N04、JIS4104等で規定される、例えば、Al-9〜13質量%Si-0.2〜2質量%Mg合金)が知られている。このブレージングシートは、芯材のマトリックスが再結晶組織を有し、犠牲陽極効果を有する中間材のマトリックスが加工組織を有するとされている(特許文献1参照)。フィンは、ブレージングシートからなるチューブ材のろう材層をフィン材に接触させて組み立て、これを真空または不活性ガス雰囲気の加熱炉に装入し600℃前後の温度に加熱することによりろう付けし、フィンをチューブに接合して熱交換器が作製される。
特開平10−298686号公報
近年、自動車は、快適性や省燃費が強く求められるようになり、熱交換器に対するコンパクト化や高性能化の要求は強まる一方である。また軽量化の観点から、それらの部材には薄肉化が求められ、例えば、チューブ材に用いるブレージングシートは従来の板厚0.3〜0.4mm程度から0.2mm以下へ移行しつつある。このようにブレージングシートを薄肉化した場合でも、従来の熱交換器の耐久強度と同等レベル以上とするためには、従来材と比較して非常に高い強度を有するブレージングシートが必要になる。
しかし、前記従来のアルミニウム合金からなるブレージングシートをチューブ材等に加工してから熱交換器にろう付けにより取り付けると、ろう付けの際の熱処理によってブレージングシート中に再結晶組織が析出して強度が低下するという欠点があった。このため、ろう付けしても高強度を維持することのできるアルミニウム合金からなるブレージングシートの開発が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ろう付けしても高強度を維持することが可能なブレージングシートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
ろう付けしても高強度を維持することのできるアルミニウム合金からなるブレージングシートを開発すべく本発明者等が鋭意研究を行なった結果、下記の事項が判明した。
(i)従来から知られているAl-Mn系アルミニウム合金を芯材とし、その一面にAl-Si合金からなるろう材をはり合わせ、もう他面にAl-Zn合金またはAl-Zn-Mg合金からなる犠牲材をはり合わせたブレージングシートにおいて、前記芯材に対して熱間圧延前に500℃以下の均質化処理を行なってから、あるいは均質化処理を全く行なわないまま、熱間圧延により前記のろう材および犠牲材とはり合わせる。その後、冷間圧延を実施して少なくとも1回以上の中間焼鈍を行ない、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を15%未満の低圧下率で圧延すると圧延組織を有するブレージングシートが得られる。この圧延組織を有するブレージングシートをチューブ等の形状に加工してフィン材等にろう付けすると、ろう付け後のブレージングシートの芯材に未再結晶組織が形成され、ろう付けによるブレージングシートの強度低下が阻止される。
(ii)一方、上記と同様に芯材にろう材と犠牲材をはり合わせてなるブレージングシートにおいて、Al-Mn系アルミニウム合金芯材に対して熱間圧延前に500℃以上の均質化処理を実施した場合、このAl-Mn系合金芯材には再結晶しやすい特性が付与され、ろう付け中に圧延組織から再結晶組織に変化する。このような再結晶組織を有する合金は、結晶粒界の長さが低減し、溶融ろう材の侵食経路が少なくなるために耐ろう侵食性が向上する。
(iii)前記ろう付け後の芯材に未再結晶組織を有するブレージングシートは、ろう付け後の強度に優れるものの、ろう付け時にろう材が芯材の粒界に沿って芯材内部に侵食しやすくなる。そこで、ろう付け後に未再結晶を有するAl-Mn合金を芯材とし、ろう材と芯材の間に前記(ii)の熱間圧延前に500℃以上の均質化処理を実施したAl-Mn系合金を中間材として熱間圧延にてはり合わせる。その後、少なくとも1回以上の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することにより、アルミニウム合金からなるブレージングシートを作製する。さらに、熱交換器に組み付けるべく、このブレージングシートをチューブ等の形状に加工してフィン材等の他の部材とろう付すると、ブレージングシートにおける芯材はろう付け中に圧延組織から再結晶組織に至らず、再結晶組織に至る途中の未再結晶組織に変化し、一方ろう材と芯材の間に設けられた中開材は、ろう付け中に圧延組織から再結晶組織に変化する。このように未再結晶組織を有する芯材とろう材の間に中間材が積層されたブレージングシートが得られ、このブレージングシートは未再結晶組織を有する芯材を有することから強度に優れている。さらに耐ろう侵食性に優れる中間層によりろう材から芯材へのろうの侵食が抑制される。
本発明は上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
本発明のブレージングシートの製造方法は、Al-Mn系合金からなる芯材の一面にAl-Mn合金からなる中間材とAl-Si合金からなるろう材とが順次はり合わされるとともに、前記芯材の他面にAl-Zn合金またはAl-Zn-Mg合金からなる犠牲材がはり合わされてなるブレージングシートの製造方法であり、500℃以下の均質化処理がなされた芯材または均質化処理が実施されない芯材を用意するとともに、500℃以上の均質化処理がなされた中間材を用意し、前記芯材の一面に前記中間材と前記ろう材を重ねるとともに芯材の他面に前記犠牲材を重ねてから熱間圧延によりはり合わせ、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することを特徴とする。
また本発明のブレージングシートの製造方法は、先に記載のブレージングシートの製造方法において、前記芯材が、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.05〜0.3質量%のZrを必ず含み、0.1〜1.2質量%のSiまたは0.05〜0.5質量%のCuのいずれか一方または両方を含み、残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、
前記中間材が、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.3〜2.0質量%のFeを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成されることを特徴とする。
またアルミニウム合金中のZrはろう付け熱処理時の再結晶析出を遅延させる作用があるので、中間材にはZrが極力含まれないことが望ましく、より具体的には前記中間材に不可避不純物として含まれるZrの含有量が0.03質量%未満に規制されることが好ましい。
また本発明のブレージングシートは、先のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
また上記の製造方法により製造されたブレージングシートは、熱交換器のチューブ材、ヘッダータンク、サイドサポート材として好適に用いられる。熱交換器にろう付けされた本発明に係るブレージングシートは、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する未再結晶組織からなるAl-Zn合金またはAl-Zn-Mg合金からなる犠牲材と、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する未再結晶組織からなる芯材と、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する再結晶組織からなる中間材と、Al-Si合金からなるろう材とからなり、犠牲材-芯材-中間材-ろう材からなる順番に積層されてなる。このような構成のブレージングシートは、強度および耐ろう侵食性に優れたものとなる。
以上説明したように、本発明のブレージングシートの製造方法によれば、ろう付け後の強度および耐ろう浸食性に優れたブレージングシートを得ることができる。
また、本発明のブレージングシートは、強度および耐ろう浸食性に優れるので、強度が一層優れかつ耐ろう侵食性に優れた熱交換器を得ることができ、これによってチューブ材、ヘッダータンク、サイドサポート材等の厚さを一層薄くすることができ、さらに熱交換器全体の寿命を一層改善することができ、工業上有用な効果をもたらすものとなる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1には本実施形態のブレージングシートの断面模式図を示す。
図1に示すように本実施形態のブレージングシート1は、Al-Mn系合金からなる芯材2と、この芯材2の一面2aにはり合わされたAl-Mn合金からなる中間材3と、中間材3にはり合わされたAl-Si合金からなるろう材4と、芯材2の他面2bにはり合わされたAl-Zn合金またはAl-Zn-Mg合金からなる犠牲材5とから構成されている。芯材2および犠牲材5は、中間材3、ろう材4等がはり合わされる前に、500℃以下の均質化処理がなされたものか、あるいは均質化処理が全くなされないものである。また中間材3は、芯材2にはり合わされる前に500℃以上の均質化処理がなされたものである。
また本実施形態のブレージングシートは、芯材2と中間材3とろう材4と犠牲材5とが熱間圧延によりはり合わされた後に、少なくとも1回の中間焼鈍がなされ、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延されたものである。
次に、本実施形態のブレージングシート1をフィン材にろう付けした場合の芯材2と中間材3、犠牲材5の結晶組織について説明する。図2は、熱交換器の要部を示す図であって、本発明の製造方法により作製されたブレージングシート1をチューブ材として加工し、これにフィン材をろう付けしたときの一部断面模式図である。図2において、符号1は本発明のブレージングシート(チューブ材)、12はろう付け部分、13はフィン材であり、このブレージングシート1は、犠牲材5-芯材2-中間材3-ろう材4の順に積層されてはり合わされた構成を有し、フィン材13をブレージングシート1のろう材4にろう付けすることによりろう付け部分12が形成され、フィン材13がブレージングシート1に接合されている。
ろう付けされたブレージングシート1においては、ろう付けの際の熱処理によって、芯材2および犠牲材5の組織が圧延組織から未再結晶組織に変化され、中間材4の組織が圧延組織から再結晶組織に変化されている。
最終圧延率を5越え〜15%未満とする本発明の製造方法により作製されたブレージングシート1をろう付けすると、ブレージングシート1を構成する芯材2および犠牲材5は圧延組織から十分に再結晶組織に変化していない未再結晶組織となる。この未再結晶組織は隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する組織からなっている。この未再結晶組織を有する芯材2および犠牲材5は、圧延組織から十分に再結晶組織変化していない極めて微細な組織を有するので、転位の増殖、ピン止め等の影響により材料強度が向上する。
一方で、この芯材2および犠牲材5の未再結晶組織は、ろう材の侵食に対する抵抗力が小さい。この要因は、ろう付け時の溶融ろう材によるろう侵食では結晶粒界がろうの侵食経路となるため、粒界が多数存在する(即ち結晶粒が微細な)未再結晶組織は、ろう付時にろう材の侵食経路が多数存在し、そのためにろう侵食が生じやすくなからである。特に未再結晶組織は再結晶組織に比べて一段と微細なため、ろう付時に著しいろう侵食が生じ、ブレージングシート1が座屈等を引き起こす原因となる。
本発明では、この未再結晶組織を有する芯材2に、再結晶組織を有する中間材3がはり合わされている。この中間材3の再結晶組織は、ろう付けにより隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する再結晶組織である。かかる再結晶組織は結晶粒径20μm以上の大きな再結晶粒径が大半を占めるので結晶粒界が少なく、ろう材に接触していても溶融ろう材侵食に対する抵抗力に優れている。この再結晶組織を有する中間材3が、耐ろう侵食性に劣る芯材2のろう侵食に対するバリア一層として働き、強度および耐ろう侵食性に優れたブレージングシートがろう付けされてなる熱交換器が得られる。更に犠牲材5がはり合わされているので熱交換器の耐食性をより向上させることができる。
次に、本実施形態のブレージングシートを構成する芯材2、中間材3、ろう材4および犠牲材5の組成について説明する。
[芯材の成分組成]
芯材2は、Al-Mn系のアルミニウム合金からなり、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.05〜0.3質量%のZrを必ず含み、0.1〜1.2質量%のSiまたは0.05〜0.5質量%のCuのいずれか一方または両方を含み、残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成されている。
Mn:Mnは芯材の強度を向上させる効果がある。その含有量が0.1質量%未満では所望の効果が得られないので好ましくなく、一方Mnを2.5質量%より多く含有させると、鋳造時の晶出物が粗大化し、加工性が低下するため好ましくない。したがって芯材に含まれるMnの組成比を0.1〜2.5%の範囲に定めた。Mn含有量の一層好ましい範囲は1.0〜1.7%である。
Zr:Zrはろう付熱処理時の再結晶を遅延させる効果があり、本発明の芯材に必要不可欠な元素である。Zrの添加量を0.05〜0.3質量%と限定したのは、0.05質量%未満ではその効果が小さく、0.3質量%を越えると鋳造時の晶出物が粗大化し、加工性が低下するためである。Zr含有量の一層好ましい範囲は0.10〜0.15質量%である。
Si:SiはAl-Mn-Si系の微細な析出物を生じさせて合金の強度を向上させる効果がある。その添加量を0.1〜1.2質量%と限定したのは、下限未満ではその効果が小さく、上限を超えると融点の低下により、ろう付時にブレージングシートが溶融してしまう可能性があるためである。さらに好ましい範囲は0.5〜1.0質量%である。
Cu:Cuは固溶硬化により合金の強度を向上させる効果とともに電位を貴にする効果がある。Cuの添加量を0、05〜0.5質量%以下と限定したのは、下限未満ではその効果が小さく、上限を超えるとブレージングシートの耐食性が低下することや鋳造時に割れ等が生じやすくなるためである。さらに好ましい範囲は0.3〜0.5質量%である。
[中間材の成分祖成]
中間材3は、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.3〜2.0質量%のFeを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成されている。また中間材3に不可避不純物として含まれるZrの含有量が0.03質量%未満に規制されることが好ましい。
Mn:Mnは中間材の強度を向上させるとともに、ろうの侵食を抑制する効果がある。その含有量が0.1質量%未満では所望の効果が得られないので好ましくなく、一方Mnを2.5質量%より多く含有させると、鋳造時の晶出物が粗大化し、加工性が低下するため好ましくない。したがって中間材に含まれるMnは0.1〜2.5質量%に定めた。Mn含有量の一層好ましい範囲は1.0〜1.7質量%である。
Fe:Feは粗大な金属間化合物を作りやすく、それらの粗大晶出物が再結晶の核となるため、ろう付熱処理時の再結晶を促進させる効果がある。その添加量が0.3質量%未満では所望の効果が得られず、一方、2.0質量%を越えて含まれるとブレージングシートの自己耐食性が低下するので好ましくない。したがって、Feの含有量を0.3〜2.0質量%に定めた。Feの含有量の一層好ましい範囲は0.5〜1.5質量%である。
Zr:Zrはろう付熱処理時の再結晶を遅延させる作用があるので、再結晶組織化が必要な中間材には含まれないことが好ましく、不可避不純物をして含まれていても可及的に少ないことが一層好ましい。従ってZrの含有量は0.03質量%未満が好ましく、0.003質量%未満が一層好ましい。
[ろう材の成分組成]
ろう材4は通常のアルミニウム合金ろう材、例えば、Al-Siろう材(JIS4343、JIS4045)で規定される、例えば、Al-7〜11質量%Si合金)またはAl-Si-Mg系ろう材(JIS4004,JIS4N04、JIS4104で規定される、例えば、Al-9〜13質量%Si-0.2〜2質量%Mg合金)を使用することができ、特に制限されるものではない。
[犠牲材の成分組成]
犠牲材5は通常のAl-Zn合金(例えば、Zn:0.8〜1.3質量%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金などのJIS7072で規定されるアルミニウム合金)またはAl-Zn-Mg系合金(例えば、Zn:0.5〜3.0質量%、Mg:0.20〜3.0質量%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金などのJIS7N82で規定される合金)などを使用することができる。
次に、本実施形態のブレージングシートの製造方法について説明する。
まず、上記組成のAl-Mn合金からなる芯材2を用意する。この芯材2については、500℃以下の均質化処理を行なうか、あるいは均質化処理を全く行なわないままとする。
また、上記組成のAl-Zn合金またはAl-Zn-Mg合金からなる犠牲材5を用意する。この犠牲材5についても、500℃以下の均質化処理を行なうか、あるいは均質化処理を全く行なわないままとする。
更に、上記組成のAl-Mn合金からなる中間材3を用意する。この中間材については、あらかじめ500℃以上の均質化処理を行なう。
更に、上記組成のAl-Si合金からなるろう材4を用意する。
次に、犠牲材-芯材-中間材-ろう材の順に重ね合わせて合せ材を作製し、この合せ材を熱間圧延し、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧低率で冷間圧延することにより、犠牲材-芯材-中間材-ろう材の順にはり合わされた何れの層も圧延組織を有するブレージングシート1が製造される。
このようにして製造したブレージングシート1をチューブ、ヘッダータンク、サイドサポートなどに成形し、例えば、フィン材をチューブとチューブの間に設けてろう付け加熱炉に装入し、通常のろう付加熱処理を行うと、ブレージングシート1の犠牲材5および芯材2は完全に再結晶化されずに強度に優れる未再結晶組織となって高強度を保持し、一方、中間材4は完全に再結晶化し、耐ろう侵食性(芯材2へのろう侵食抑制)に優れる特性を有するようになる。
なお、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5越〜15%未満の低圧下率とした理由は、この圧下率が5%以下ではブレージングシートにおける中間材3がろう付により再結晶化せずに未再結晶組織となるため、芯材2のろう侵食防止層としての役割が期待できなくなるため好ましくなく、一方この圧下率が15%以上になると芯材2および犠牲材5のいずれもろう付により再結晶組織となるため、ブレージングシートの強度向上の役割が期待できないので好ましくない理由によるものである。
また、中間材3のクラッド率は特に規定するものではないが、例えば板厚0.2mm以下のような薄肉のブレージングシートでは、中間材のクラッド率が低いと、ろう侵食防止の効果が効きにくくなる可能性があるため、望ましくは中間材のクラッド率を5%以上にすることが好ましく、5〜20%の範囲内にあることが望ましい。
いずれも縦:20mm、横:52mm、長さ:125mmの寸法を有する、表1〜2に示される化学組成の芯材のアルミニウム合金鋳塊および表1〜2に示される化学組成の中間材のアルミニウム合金鋳塊をそれぞれ片面につき1/4インチずつ面削した。次に、芯材に対して430℃、3時間の条件で均質化処理を実施した。ただし、一部の芯材については均質化処理を実施しなかった。また、中間材については、550℃、12時間の均質化処理を実施した。
また、上記寸法と同一の寸法を有する、Zn:2.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成の犠牲材のアルミニウム合金鋳塊およびSi:7.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成のろう材のアルミニウム合金鋳塊をそれぞれ片面につき1/4インチずつ面削した。
次に、犠牲材のアルミニウム合金鋳塊-アルミニウム合金芯材のアルミニウム合金鋳塊-アルミニウム合金中間材のアルミニウム合金鋳塊-ろう材のアルミニウム合金鋳塊の順に重ね合わせて合せ材を作製し、この合せ材を熱間圧延することによりはり合わせ、厚さ約6mmのクラッド材を作製した。このクラッド材をさらに冷間圧延により厚さ約1.3mmまで圧延した後、1回目の中間焼鈍として400℃、3時間のバッチ焼鈍を行い、さらに冷間圧延を行なった後、2回目の中間焼鈍として400℃、3時間のバッチ焼鈍を行い、さらに表1〜2に示される条件の圧下率にて最終圧延することにより板厚:0.2mmの実施例のブレージンブシートA〜Tを作製した。得られたブレージンブシートA〜Tのクラッド率はいずれも、ろう材:10%、中間材:10%、芯材:65%、犠牲材:15%であった。
また、芯材の均質化処理を550℃、12時間の条件で行なったこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のブレージングシートUを作製した。
また、中間材の均質化処理を430℃、3時間の条件で行なったこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のブレージングシートVを作製した。
また芯材のZr含有率を0.03質量%としたこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のブレージングシートWを作製した。
また中間材のZr含有率を0.05質量%としたこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のブレージングシートXを作製した。
また最終圧延時の圧下率を3%としたこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のブレージングシートYを作製した。
また最終圧延時の圧下率を20%としたこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のブレージングシートZを作製した。
得られた表1〜2に示される構成のブレージングシートA〜Zをチューブ材として熱交換器のフィン材にろう付けすることを想定して、ブレージングシートA〜Zをろう付け条件と同じ条件の窒素雰囲気中、温度:600℃、3分間保持する熱処理を施したのち、熱処理後の引張試験片の組織について、芯材および皮材の断面における任意の個所の1.6mm×1.6mmの1視野における結晶粒の方位および粒径をSEM-EBSP(EBSP:Electron Back-Scatter diffraction Pattern)により測定し、その測定結果に基づいて、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する組織を未再結晶組織とし、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する組織を再結晶組織として認定し、その結果を表3〜4に示した。さらに、下記の試験を行った。
引張試験
フィン材をろう付けしたブレージングシートA〜Zから引張試験片を作製し、この引張試験片を用いて引張試験を行い、その結果を表3〜4に示した。
耐ろう侵食試験
ろう付け後のブレージングシートA〜Zのろう材に接する中間材の断面を観察することにより、表面からの最大ろう侵食深さを測定し、その結果を表3〜4に示すことにより、熱交換器にろう付けされているブレージングシートの耐ろう侵食性を評価した。
Figure 2005297016
Figure 2005297016
Figure 2005297016
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表1〜4に示される結果から、実施例のブレージングシートA〜Tは、比較例のブレージングシートU〜Zに比べて、ろう付け後の強度、ろう付け後の耐ろう侵食性のいずれか一方または両方に優れているところから、実施例のブレージングシートA〜Tをろう付けしてなる熱交換器は、比較例のブレージングシートU〜Zをろう付けしてなる熱交換器に比べて強度および耐ろう侵食性の少なくとも一方に優れたブレージングシートが取り付けられていることがわかる。
図1は本実施形態のブレージングシートの断面模式図。 図2は本実施形態のブレージングシートをフィン材にろう付けしたときの要部を示す断面模式図。
符号の説明
1ブレージングシート、2…芯材、2a…一面、2b…他面、3…中間材、4…ろう材、5…犠牲材

Claims (4)

  1. Al-Mn系合金からなる芯材の一面にAl-Mn合金からなる中間材とAl-Si合金からなるろう材とが順次はり合わされるとともに、前記芯材の他面にAl-Zn合金またはAl-Zn-Mg合金からなる犠牲材がはり合わされてなるブレージングシートの製造方法であり、
    500℃以下の均質化処理がなされた芯材または均質化処理が実施されない芯材を用意するとともに、500℃以上の均質化処理がなされた中間材を用意し、前記芯材の一面に前記中間材と前記ろう材を重ねるとともに芯材の他面に前記犠牲材を重ねてから熱間圧延によりはり合わせ、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することを特徴とするブレージングシートの製造方法。
  2. 前記芯材が、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.05〜0.3質量%のZrを必ず含み、0.1〜1.2質量%のSiまたは0.05〜0.5質量%のCuのいずれか一方または両方を含み、残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、
    前記中間材が、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.3〜2.0質量%のFeを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成されることを特徴とする請求項1に記載のブレージンングシートの製造方法。
  3. 前記中間材が、不可避不純物として含まれるZrの含有量を0.03質量%未満に規制された組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項2記載のブレージングシートの製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とするブレージングシート。

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