JP2005298914A - クラッドフィン材の製造方法およびクラッドフィン材 - Google Patents

クラッドフィン材の製造方法およびクラッドフィン材 Download PDF

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祥平 岩尾
Akira Watabe
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Shu Kuroda
周 黒田
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Abstract

【課題】 ろう付けしても高強度を維持することが可能なクラッドフィン材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 Al-Mn系合金からなる芯材2と、芯材2の一面2aおよび他面2bにはり合せたAl-Mn系合金からなる皮材3、3とからなるクラッド材1の製造方法であり、500℃以下の均質化処理がなされた芯材または均質化処理がなされない芯材を用意するとともに、500℃以上の均質化処理がなされた皮材とを用意し、前記芯材の両面に前記皮材を各々重ねて熱間圧延にてはり合わせ、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することを特徴とするクラッドフィン材1を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱交換器のフィン材に使用されるクラッドフィン材の製造方法およびこの方法により製造されるクラッドフィン材に関するものである。
一般に熱交換器は、ヘッダータンクと、そのヘッダータンクの間に互いに平行に間隔を空けて設けられたアルミニウム合金からなる多数のチューブと、チューブとチューブとの間にろう付けされた波形のフィン材とで構成されている。前記波形のフィン材のろう付けは、フラックスろう付け、真空ろう付け、不活性ガス雰囲気ろう付けなどの方法により600℃前後の温度で行われている。
近年、自動車は、快適性や省燃費が強く求められるようになり、熱交換器に対するコンパクト化や高性能化の要求は強まる一方である。また軽量化の観点から、それらの部材には薄肉化が求められ、フィン材に対しても従来の板厚0.08〜0.10mm程度から0.04〜0.06mmへ移行しつつある。
このようにフィン材を薄肉化した場合、熱交換器の耐久性を左右するのはフィン材の強度であり、そのためにフィン材として耐座屈性に優れたAl-Mn系アルミニウム合金が使用されている。しかし、Al-Mn系アルミニウム合金は耐座屈性に優れているものの熱伝導性が比較的劣るという短所がある。
これを改善するために必須成分として0.5〜2.0質量%のMnを含有するAl-Mn系アルミニウム合金を芯材とし、その両面に、0.03〜0.7質量%のFe、0.03〜0.35質量%のZrのうちのいずれか一方または両方を含有する高温強度に優れたアルミニウム合金からなる皮材をクラッドすることにより、耐座屈性および熱伝導性が共に優れるアルミニウム合金からなるクラッドフィン材が提供されている。このクラッドフィン材は、前記芯材の両面に前記皮材をクラッドしてなる合せ材を430〜530℃の温度で均熱処理を行った後、これを熱間圧延し、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚まで15〜60%の圧低率で冷間圧延することにより製造されている(特許文献1参照)。
特開平1-198453号公報
しかし、前記従来のアルミニウム合金からなるクラッドフィン材を、熱交換器にろう付けして取り付けると、ろう付けの際の熱処理によってクラッドフィン材中に再結晶組織が形成されて強度が低下するという欠点があった。このため、ろう付けしても高強度を維持することのできるアルミニウム合金からなるクラッドフィン材の開発が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ろう付けしても高強度を維持することが可能なクラッドフィン材およびその製造方法を提供することを目的とする。
ろう付けしても高強度を維持することのできるアルミニウム合金からなるクラッドフィン材を開発すべく本発明者等が鋭意研究を行なった結果、下記の事項が判明した。
(i)従来から知られているAl-Mn系アルミニウム合金に対して、熱間圧延前に500℃以下の均質化処理を行なってから、あるいは均質化処理を全く行なわないままに少なくとも1回以上の中間焼鈍を行ない、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を15%未満の低圧下率で圧延すると圧延組織を有するアルミニウム合金薄板が得られる。この圧延組織を有するアルミニウム合金薄板を波形に加工してフィン材としてチューブにろう付けすると、ろう付け後のフィン材には未再結晶組織が形成され、ろう付けによる強度の低下が阻止される。
(ii)一方、Al-Mn系アルミニウム合金に対し、熱間圧延前に500℃以上で均質化処理を実施した場合、このアルミニウム合金には再結晶しやすい特性が付与され、ろう付け中に圧延組織から再結晶組織に変化する。このような再結晶組織を有する合金は、結晶粒界の長さが低減し、溶融ろう材の侵食経路が少なくなるために耐ろう侵食性が向上する。
(iii)前記ろう付け後の未再結晶組織を有するAl-Mn系アルミニウム合金薄板は、ろう付け後の強度に優れるものの、ろう付け時にろう材が粒界に沿って薄板の内部に侵食しやすくなる。そこで、前記(i)の熱間圧延前に500℃以下の均質化処理を行なうか若しくは均質化処理を行なわないAl-Mn系合金を芯材とし、その両面に前記(ii)の熱間圧延前に500℃以上の均質化処理を行なったAl-Mn系合金を皮材として熱間圧延によりはり合わせる。その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することによりクラッド材を作製する。さらに、このクラッド材を波形に成形してからクラッドフィン材として熱交換器のチューブにろう付けすると、フィン材における芯材はろう付け中に圧延組織から再結晶組織に至らず、再結晶組織に至る途中の未再結晶組織に変化し、―方皮材はろう付け中に圧延組織から再結晶組織に変化する。このようにして、未再結晶組織を有する芯材の両面に、再結晶組織を有する皮材がはり合わされてなるクラッドフィン材が得られ、このクラッドフィン材は未再結晶組織を有する芯材を有することから強度に優れている。さらに耐ろう侵食性に優れる皮材により芯材へのろうの侵食が抑制される。
本発明は上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
本発明のクラッドフイン材の製造方法は、Al-Mn系合金からなる芯材と、この芯材の両面にはり合せたAl-Mn系合金からなる皮材とからなるクラッド材の製造方法であり、500℃以下の均質化処理がなされた芯材または均質化処理がなされない芯材を用意するとともに、500℃以上の均質化処理がなされた皮材とを用意し、前記芯材の両面に前記皮材を各々重ねて熱間圧延にてはり合わせ、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することを特徴とする。
また本発明のクラッドフイン材の製造方法は、先に記載のクラッドフイン材の製造方法において、前記芯材が、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.05〜0.3質量%のZrを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、前記皮材が、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.3〜2.0質量%のFeを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、かつ前記芯材と前記皮材のいずれか一方または両方に、0.5〜3.0質量%のZn、0.05〜0.3質量%のIn、0.05〜0.3質量%のSnのうちのいずれか1種または2種以上の元素が含まれることを特徴とする。
またアルミニウム合金中のZrはろう付け熱処理時の再結晶析出を遅延させる作用があるので、皮材にはZrが極力含まれないことが望ましく、より具体的には前記皮材に不可避不純物として含まれるZrの含有量が0.03質量%未満に規制されることが好ましい。
また本発明のクラッドフィン材は、先のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
また上記の製造方法により製造されたクラッドフィン材は、熱交換器のフィン材として好適に用いられる。熱交換器にろう付けされた本発明に係るクラッドフィン材は、芯材が隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する未再結晶組織からなり、皮材が隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する再結晶組織からなる。このような構成のクラッドフィン材は、強度および耐ろう侵食性に優れたものとなる。
以上説明したように、本発明のクラッドフィン材の製造方法によれば、ろう付け後の強度および耐ろう浸食性に優れたクラッドフィン材を得ることができる。
また、本発明のクラッドフィン材は、強度および耐ろう浸食性に優れるので、強度が一層優れかつ耐ろう侵食性に優れた熱交換器を得ることができ、これによってクラッドフィン材の厚さを一層薄くすることができ、さらに熱交換器全体の寿命を一層改善することができ、工業上有用な効果をもたらすものとなる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1には本実施形態のクラッドフィン材の断面模式図を示す。
図1に示すように本実施形態のクラッドフィン材1は、Al-Mn系合金からなる芯材2と、この芯材2の一面2aおよび他面2bにはり合わされた皮材3、3とから構成されている。芯材2は、皮材がはり合わされる前に、500℃以下の均質化処理がなされたものか、あるいは均質化処理が全くなされないものである。また皮材3は、芯材2にはり合わされる前に500℃以上の均質化処理がなされたものである。
また本実施形態のクラッドフィン材1は、芯材2と皮材3、3とが熱間圧延によりはり合わされた後に、少なくとも1回の中間焼鈍がなされ、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延されたものである。
次に、本実施形態のクラッドフィン材1をチューブ材にろう付けした場合の芯材2と皮材3、3の結晶組織について説明する。図2は、本発明の製造方法により作製されたクラッドフィン材1を波形に成型してから、熱交換器のチューブにろう付けして波形のクラッドフィン材としたときの一部断面模式図である。図2において、符号11はチューブ、符号12はろう付け部分、符号1はろう付けされたクラッドフィン材である。このようにクラッドフィン材1は、ろう付け部分12によりチューブ11に接合されている。
ろう付けされたクラッドフィン材1においては、ろう付けの際の熱処理によって、芯材2の組織が圧延組織から未再結晶組織に変化され、皮材3、3の組織が圧延組織から再結晶組織に変化されている。
最終圧延率を5越え〜15%未満とする本発明の製造方法により作製されたクラッドフィン材1をろう付けすると、クラッドフィン材1を構成する芯材2は圧延組織から十分に再結晶組織に変化していない未再結晶組織となる。この未再結晶組織は隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する組織からなっている。この未再結晶組織を有する芯材2は、圧延組織から十分に再結晶組織変化していない極めて微細な組織を有するので、転位の増殖、ピン止め等の影響により材料強度が向上する。
一方で、この芯材2の未再結晶組織は、ろう材の侵食に対する抵抗力が小さい。この要因は、ろう付け時の溶融ろう材によるろう侵食では結晶粒界がろうの侵食経路となるため、粒界が多数存在する(即ち結晶粒が微細な)未再結晶組織は、ろう付時にろう材の侵食経路が多数存在し、そのためにろう侵食が生じやすくなからである。特に未再結晶組織は再結晶組織に比べて一段と微細なため、ろう付時に著しいろう侵食が生じ、クラッドフィン材1が座屈等を引き起こす原因となる。
本発明では、この未再結晶組織を有する芯材2に、再結晶組織を有する皮材3、3がはり合わされている。この皮材3、3の再結晶組織は、ろう付けにより隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する再結晶組織である。かかる再結晶組織は結晶粒径20μm以上の大きな再結晶粒径が大半を占めるので結晶粒界が少なく、ろう材に接触していても溶融ろう材侵食に対する抵抗力に優れている。この再結晶組織を有する皮材3、3が、耐ろう侵食性に劣る芯材2のろう侵食に対するバリア一層として働き、強度および耐ろう侵食性に優れたクラッドフィン材がろう付けされてなる熱交換器が得られる。
次に、本実施形態のクラッドフィン材を構成する芯材2および皮材3の組成について説明する。
[芯材の成分組成]
芯材2は、Al-Mn系のアルミニウム合金からなり、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.05〜0.3質量%のZrを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、更に必要に応じて、0.5〜3.0質量%のZn、0.05〜0.3質量%のIn、0.05〜0.3質量%のSnのうちのいずれか1種または2種以上の元素が含有されている。
Mn:Mnは芯材の強度を向上させる効果がある。その含有量が0.1質量%未満では所望の効果が得られないので好ましくなく、一方Mnを2.5質量%より多く含有させると、鋳造時の晶出物が粗大化し、加工性が低下するため好ましくない。したがって芯材に含まれるMnの組成比を0.1〜2.5質量%の範囲に定めた。Mn含有量の一層好ましい範囲は1.0〜1.7質量%である。
Zr:Zrはろう付熱処理時の再結晶を遅延させる効果があり、本発明の芯材に必要不可欠な元素である。Zrの添加量を0.05〜0.3質量%と限定したのは、0.05質量%未満ではその効果が小さく、0.3質量%を越えると鋳造時の晶出物が粗大化し、加工性が低下するためである。Zr含有量の一層好ましい範囲は0.10〜0.15質量%である。
Zn、In、Sn:Zn、In、Snは合金の電位を卑にし、フィン材に犠牲陽極効果をもたらす効果がある。Znの添加量を0.5〜3.0質量%、In、Snの添加量をそれぞれ0.05〜0.3質量%としたのは、下限未満ではその効果が小さく、上限を超えるとフィン材の自己耐食性が低下するためである。Znの含有量の一層好ましい範囲は1.0〜2.0質量%、In、Snの含有量の一層好ましい範囲は0.10〜0.20質量%である。なお、Zn、In、Snは、少なくとも芯材、皮材のいずれか一方に添加されていればよく、芯材、皮材の両方に添加されていてもよい。
[皮材の成分祖成]
皮材3は、Al-Mn系のアルミニウム合金からなり、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.3〜2.0質量%のFeを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、更に必要に応じて、0.5〜3.0質量%のZn、0.05〜0.3質量%のIn、0.05〜0.3質量%のSnのうちのいずれか1種または2種以上の元素が含有されている。また、皮材に不可避不純物として含まれるZrの含有量が0.03質量%未満に規制されることが好ましい。
Mn:Mnは皮材の強度を向上させるとともに、ろうの侵食を抑制する効果がある。その含有量が0.1質量%未満では所望の効果が得られないので好ましくなく、一方Mnを2.5質量%より多く含有させると、鋳造時の晶出物が粗大化し、加工性が低下するため好ましくない。したがって皮材に含まれるMnは0.1〜2.5質量%に定めた。Mn含有量の一層好ましい範囲は1.0〜1.7質量%である。
Fe:Feは粗大な金属間化合物を作りやすく、それらの粗大晶出物が再結晶の核となるため、ろう付熱処理時の再結晶を促進させる効果がある。その添加量が0.3質量%未満では所望の効果が得られず、一方、2.0質量%を越えて含まれるとフィン材の自己耐食性が低下するので好ましくない。したがって、Feの含有量を0.3〜2.0質量%に定めた。Feの含有量の一層好ましい範囲は0.5〜1.5質量%である。
Zr:Zrはろう付熱処理時の再結晶を遅延させる作用があるので、再結晶組織化が必要な皮材には含まれないことが好ましく、不可避不純物をして含まれていても可及的に少ないことが一層好ましい。従ってZrの含有量は0.03質量%未満が好ましく、0.003質量%未満が一層好ましい。
Zn、In、Sn:Zn、In、Snは合金の電位を卑にし、フィン材に犠牲陽極効果をもたらす効果がある。Znの添加量を0.5〜3.0質量%、In、Snの添加量をそれぞれ0.05〜0.3質量%としたのは、下限未満ではその効果が小さく、上限を超えるとフィン材の自己耐食性が低下するためである。Znの含有量の一層好ましい範囲は1.0〜2.0質量%、In、Snの含有量の一層好ましい範囲は0.10〜0.20質量%である。なお、Zn、In、Snは、少なくとも芯材、皮材のいずれか一方に添加されていればよく、芯材、皮材の両方に添加されていてもよい。
次に、本実施形態のクラッドフィン材1の製造方法について説明する。
まず、上記組成のAl-Mn合金からなる芯材2を用意する。この芯材2については、500℃以下の均質化処理を行なうか、あるいは均質化処理を全く行なわないままとする。
また、上記組成のAl-Mn合金からなる皮材3を用意する。この皮材については、あらかじめ500℃以上の均質化処理を行なう。
次に、皮材-芯材-皮材の順に重ね合わせて合せ材を作製し、この合せ材を熱間圧延し、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧低率で冷間圧延することにより、皮材-芯材-皮材の順にはり合わされた何れの層も圧延組織を有するクラッドフィン材1が製造される。
このようにして製造したクラッドフィン材1をフィン材に成形し、例えば、このフィン材をチューブとチューブの間に設けてろう付け加熱炉に装入し、通常のろう付加熱処理を行うと、クラッドフィン材1の芯材2は完全に再結晶化されずに強度に優れる未再結晶組織となって高強度を保持し、一方、皮材3、3は完全に再結晶化し、耐ろう侵食性(芯材2へのろう侵食抑制)に優れる特性を有するようになる。
なお、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5越〜15%未満の低圧下率とした理由は、この圧下率が5%以下ではクラッドフィン材1における皮材3がろう付により再結晶化せずに未再結晶組織となるため、芯材2のろう侵食防止層としての役割が期待できなくなるため好ましくなく、一方この圧下率が15%以上になると芯材2がろう付により再結晶組織となるため、クラッドフィン材1の強度向上の役割が期待できないので好ましくない理由によるものである。
また、皮材3のクラッド率は特に規定するものではないが、例えば板厚0.1mm以下のような薄肉のブレージングシートでは、皮材のクラッド率が低いと、ろう侵食防止の効果が効きにくくなる可能性があるため、望ましくは皮材のクラッド率を5%以上にすることが好ましく、5〜20%の範囲内にあることが望ましい。
いずれも縦:20mm、横:52mm、長さ:125mmの寸法を有する、表1〜2に示される化学組成の芯材のアルミニウム合金鋳塊および表1〜2に示される化学組成の皮材のアルミニウム合金鋳塊をそれぞれ片面につき1/4インチずつ面削した。次に、芯材に対して430℃、3時間の条件で均質化処理を実施した。ただし、一部の芯材については均質化処理を実施しなかった。また、皮材については、550℃、12時間の均質化処理を実施した。
次に、芯材のアルミニウム合金鋳塊の両面に皮材のアルミニウム合金鋳塊を重ね合わせて合せ材を作製し、この合せ材を熱間圧延することによりはり合わせ、厚さ約6mmのクラッド材を作製した。このクラッド材をさらに冷間圧延により厚さ約1.3mmまで圧延した後、1回目の中間焼鈍として400℃、3時間のバッチ焼鈍を行い、さらに冷間圧延を行なった後、2回目の中間焼鈍として400℃、3時間のバッチ焼鈍を行い、さらに表1〜2に示される条件の圧下率にて最終圧延することにより板厚:0.060mmの実施例のクラッドフィン材A〜Tを作製した。得られたクラッドフィン材A〜Tのクラッド率はいずれも皮材が片面各15%(皮材板厚0.009mm)、芯材が70%であった。
また、芯材の均質化処理を550℃、12時間の条件で行なったこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のクラッドフィン材Uを作製した。
また、皮材の均質化処理を430℃、3時間の条件で行なったこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のクラッドフィン材Vを作製した。
また芯材のZr含有率を0.03質量%としたこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のクラッドフィン材Wを作製した。
また皮材のZr含有率を0.05質量%としたこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のクラッドフィン材Xを作製した。
また最終圧延時の圧下率を3%としたこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のクラッドフィン材Yを作製した。
また最終圧延時の圧下率を20%としたこと以外は上記A〜Tと同様にして比較例のクラッドフィン材Zを作製した。
得られた表1〜2に示される構成のクラッドフィン材A〜Zを熱交換器のチューブにろう付けすることを想定して、クラッドフィン材A〜Zをろう付け条件と同じ条件の窒素雰囲気中、温度:600℃、3分間保持する熱処理を施したのち、熱処理後の引張試験片の組織について、芯材および皮材の断面における任意の個所の1.6mm×1.6mmの1視野における結晶粒の方位および粒径をSEM-EBSP(EBSP:Electron Back-Scatter diffraction Pattern)により測定し、その測定結果に基づいて、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°未満でありかつ各々の結晶粒径が20μm未満の結晶粒が50%以上存在する組織を未再結晶組織とし、隣接する結晶粒に関して各々の結晶方位の差が20°以上でありかつ各々の結晶粒径が20μm以上の結晶粒が50%以上存在する組織を再結晶組織として認定し、その結果を表3〜4に示した。さらに、下記の試験を行った。
引張試験
表1〜2に示される構成のクラッドフィン材A〜Zを熱交換器のチューブにろう付けすることを想定して、クラッドフィン材A〜Zをろう付けする条件と同じ条件の窒素雰囲気中、温度:600℃、3分間保持の熱処理を施したのち、熱処理後のクラッドフィン材から引張試験片を作製し、この引張試験片を用いて引張試験を行い、その結果を表3〜4に示した。
耐ろう侵食試験
JIS3003で規定されている成分組成を有するアルミニウム合金板の片面にJIS7072で規定されている成分組成を有するろう材を形成し、他方の面にJIS4343で規定されている成分組成を有する犠牲陽極材を形成した厚さ:0.3mmのブレージングシートを用意し、このブレージングシートのろう材面にコルゲート加工した表1〜2に示されるクラッドフィン材A〜Zを組付け、これにフラックスを塗布したのち窒素雰囲気中、温度:600℃、3分間保持の条件のろう付けを行い、ろう付け部分のクラッドフィン材の断面を観察することにより、表面からの最大ろう侵食深さを測定し、その結果を表3〜4に示すことにより各フィン材の耐ろう侵食性を評価した。
Figure 2005298914
Figure 2005298914
Figure 2005298914
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表1〜4に示される結果から、実施例のクラッドフィン材A〜Tは、比較例のクラッドフィン材U〜Zに比べて、ろう付け後の強度、ろう付け後の耐ろう侵食性のいずれか一方または両方に優れているところから、実施例のクラッドフィン材A〜Tをろう付けしてなる熱交換器は、比較例のクラッドフィン材U〜Zをろう付けしてなる熱交換器に比べて強度および耐ろう侵食性の少なくとも一方に優れたクラッドフィン材が取り付けられていることがわかる。
図1は本実施形態のクラッドフィン材の断面模式図。 図2は本実施形態のクラッドフィン材をチューブ材にろう付けしたときの要部を示す断面模式図。
符号の説明
1…クラッドフィン材、2…芯材、2a…一面、2b…他面、3…皮材

Claims (4)

  1. Al-Mn系合金からなる芯材と、この芯材の両面にはり合せたAl-Mn系合金からなる皮材とからなるクラッド材の製造方法であり、
    500℃以下の均質化処理がなされた芯材または均質化処理がなされない芯材を用意するとともに、500℃以上の均質化処理がなされた皮材とを用意し、前記芯材の両面に前記皮材を各々重ねて熱間圧延にてはり合わせ、その後少なくとも1回の中間焼鈍を行い、最後の中間焼鈍から最終板厚までの圧下率を5超〜15%未満の低圧延率で冷間圧延することを特徴とするクラッドフイン材の製造方法。
  2. 前記芯材が、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.05〜0.3質量%のZrを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、前記皮材が、0.1〜2.5質量%のMnおよび0.3〜2.0質量%のFeを含むとともに残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、かつ前記芯材と前記皮材のいずれか一方または両方に、0.5〜3.0質量%のZn、0.05〜0.3質量%のIn、0.05〜0.3質量%のSnのうちのいずれか1種または2種以上の元素が含まれることを特徴とする請求項1に記載のクラッドフイン材の製造方法。
  3. 前記皮材が、不可避不純物として含まれるZrの含有量を0.03質量%未満に規制された組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項2記載のクラッドフィン材の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とするクラッドフィン材。

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012224923A (ja) * 2011-04-21 2012-11-15 Mitsubishi Alum Co Ltd 熱交換器用プレートフィン材およびその製造方法ならびに該プレートフィン材を用いた熱交換器およびその製造方法

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