JP2000087163A - 耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

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JP2000087163A
JP2000087163A JP10252797A JP25279798A JP2000087163A JP 2000087163 A JP2000087163 A JP 2000087163A JP 10252797 A JP10252797 A JP 10252797A JP 25279798 A JP25279798 A JP 25279798A JP 2000087163 A JP2000087163 A JP 2000087163A
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和幸 坂田
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周 黒田
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正和 江戸
Ken Toma
建 当摩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱交換器用部材として用いる耐食性に優れた
クラッド材を提供する。 【解決手段】 Mn:0.8〜1.8%を含有し、さら
にFe:0.5〜1.5%、Si:0.1〜1.0%、
Cu:0.1〜1.0%の内の1種または2種以上を含
有し、必要に応じてTi:0.05〜0.2%、Zr:
0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:
0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%の内の
1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避
不純物からなる組成の芯材の一方の片面に、Al−Si
系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:
1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05
〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05
〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%の内の1種また
は2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物か
らなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐食性、特にア
ルカリ環境下から酸性環境下に至る広範囲なpH領域で
の耐食性に優れた熱交換器などの構造用部材として用い
るアルミニウム合金クラッド材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車のラジエーターやヒーター
コアのチューブ材としては、Al−Mn系合金からなる
芯材の片面にAl−Si系ろう材をクラッドし、芯材の
他方の片面に、犠牲陽極皮材として芯材よりも卑なアル
ミニウム合金からなるAl−Zn系合金をクラッドした
3層のアルミニウム合金クラッド材が使用されている。
最も一般に使用されている具体的なアルミニウム合金ク
ラッド材は、JIS 3003(重量%で、Mn:1.
0〜1.5%、Fe:0.05〜0.20%、Si:
0.6%以下、Zr:0.7以下%、Zn:0.10以
下%、残部:Alおよび不可避不純物)を芯材とし、そ
の片面にJIS 7072からなるAl−Zn系合金犠
牲陽極皮材をクラッドし、芯材の他方の片面にAl−S
i系ろう材をクラッドしてなるアルミニウム合金クラッ
ド材は知られている。
【0003】前記アルミニウム合金クラッド材のAl−
Si系ろう材は、ろう付け時にチューブ材とフィン材の
接合、およびチューブ材とヘッダープレートとの接合に
用いられ、犠牲陽極皮材は芯材と電気化学的性質の違い
により皮材を主として腐食し、芯材の孔食を抑制する作
用をなすものである。これらアルミニウム合金クラッド
材は、ラジエーターやヒーターコアのチューブ材として
熱交換器に使用した場合、冷媒が弱酸性から中性領域で
は優れた犠牲陽極効果を発揮する。しかし、実際に使用
される冷却水は不凍液と防錆剤からなるLLC(ロング
ライフクーラント)を混入したアルカリ性を示すもので
あり、冷媒がpH9以上のアルカリ性溶液の場合、なお
耐食性が十分でなく、早期に孔食が発生したり防食効果
が十分に発揮されない場合がある。
【0004】これらを改良するために、重量%で(以下
%は重量%を示す)(a)Mn:1.0〜1.5%、F
e:0.7%以下、Si:0.6%以下、Cu:0.0
5〜0.2%、Zn:0.1%以下を含有し、残りがA
lおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる
芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッド
し、該芯材の他方の片面に、Zn:0.1〜1.5%、
Fe:0.7を越え〜1.2%を含有し、残りがAlお
よび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッ
ドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
クラッド材(特開平10−17967号公報参照)、
(b)Mn:0.3〜2.0%およびCu:0.10〜
0.8%の1種または2種を含有し、必要に応じてM
g:0.1〜0.5%、Si:0.1〜1%を含有し、
さらに必要に応じてCr:0.05〜0.3%、Zr:
0.05〜0.3%、Ti:0.05〜0.3%、B:
0.01〜0.1%の内の1種または2種以上を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl
合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材
をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:1.5〜
4.0%、Fe:0.5%を越え3%以下を含有し、必
要に応じてMg:0.1〜2.5%、Sn:0.01〜
0.2%、Ga:0.01〜0.2%の内の1種または
2種以上を含有し、さらにCr:0.05〜0.3%、
Zr:0.05〜0.3%、Ti:0.05〜0.3
%、B:0.01〜0.1、Mn:0.1〜2.0%、
Si:0.1〜1%の内の1種または2種以上を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材(特開平10−72632
号公報参照)、などが提案されている。
【0005】これら耐食性に優れた熱交換器用アルミニ
ウム合金クラッド材は、犠牲陽極皮材に比較的多量のF
eを含有させることにより、犠牲陽極皮材の表面の水酸
化皮膜にFeAl3 などのAl−Fe系金属間化合物を
微細均一に多く分散させ、腐食開始点を多くすることに
より全面腐食の形態を取り、集中腐食により貫通に至る
ような孔食が発生するのを抑止するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、前記従
来のアルミニウム合金クラッド材で作製したラジエータ
ーやヒーターコアのチューブは、弱酸性溶液からアルカ
リ性溶液までの広範囲のpH領域の水溶液に対して優れ
た耐食性が得られるが、その耐食性はいまだ十分でな
く、更なる耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材
が求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、従
来よりも耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材を
得るべく研究を行った結果、(イ)Al−Mn系合金芯
材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、
該芯材の他方の片面に、Zn:1〜10%、Mg:0.
5〜2.0%を含有し、さらにTi:0.05〜0.5
%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5
%、Cr:0.05〜0.5%の内の1種または2種以
上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組
成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなるアルミニウム合金
クラッド材は、弱酸性溶液からpH9以上のアルカリ性
溶液の広範囲のpH領域の水溶液に対する耐食性が従来
よりも一層向上し、熱交換器用構造材として優れたもの
となる、(ロ)前記(イ)に記載の芯材は、Al−Mn
系合金芯材であればいかなるものでも良いが、特に
(i)Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらにSi:
0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種
もしくは2種を含有し、残りがAlおよび不可避不純物
からなる組成のAl合金からなる芯材であることが好ま
しく、(ii)Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらに
Fe:0.5〜1.5%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材である
ことが一層好ましく、(iii)Mn:0.8〜1.8%を
含有し、さらにFe:0.5〜1.5%を含有し、さら
にSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%の
内の1種もしくは2種を含有し、残りがAlおよび不可
避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材であるこ
とがさらに一層好ましく、(iv)前記(i)、(ii)ま
たは(iii)記載のAl合金に、さらに必要に応じてT
i:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、
V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、
Mg:0.01〜0.2%の内の1種もしくは2種以上
を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
のAl合金からなる芯材であってもよい、という知見を
得たのである。
【0008】この発明は、かかる知見に基づいて成され
たものであって、(1)Al−Mn系合金芯材の一方の
片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他
方の片面に、Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0
%、Ti:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlお
よび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッ
ドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
クラッド材、(2)Al−Mn系合金芯材の一方の片面
に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の
片面に、Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、
Zr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび
不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドし
てなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラ
ッド材、(3)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
に、Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、V:
0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(4)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al
−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Cr:
0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(5)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al
−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(6)Al−Mn系合金
芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッド
し、該芯材の他方の片面に、Zn:1〜10%、Mg:
0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、V:
0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(7)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al
−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(8)Al−Mn系合金
芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッド
し、該芯材の他方の片面に、Zn:1〜10%、Mg:
0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%、V:
0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(9)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al
−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:
0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(10)Al−Mn系合金
芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッド
し、該芯材の他方の片面に、Zn:1〜10%、Mg:
0.5〜2.0%、Cr:0.05〜0.5%、V:
0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(11)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al
−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:
0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(12)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al
−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、C
r:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドして
なる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッ
ド材、(13)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、A
l−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
に、Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、T
i:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、C
r:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドして
なる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッ
ド材、(14)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、A
l−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
に、Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Z
r:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、C
r:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドして
なる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッ
ド材、(15)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、A
l−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
に、Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、T
i:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、
V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を
含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の
犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換
器用アルミニウム合金クラッド材、(16)前記Al−M
n系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%を含有し、さ
らにSi:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよ
び不可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(1
5)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(17)前記Al−Mn系
合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらに
Cu:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の
内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミ
ニウム合金クラッド材、(18)前記Al−Mn系合金芯
材は、Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらにSi:
0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%を含有し、
残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前
記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れ
た熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(19)前記
Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、F
e:0.5〜1.5%を含有し、残りがAlおよび不可
避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の内
のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニ
ウム合金クラッド材、(20)前記Al−Mn系合金芯材
は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%
を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%を含有し、残
りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前記
(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた
熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(21)前記A
l−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、F
e:0.5〜1.5%を含有し、さらにCu:0.1〜
1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物から
なる組成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに
記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラ
ッド材、(22)前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:
0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、
さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0
%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組
成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(23)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、
(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)
記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05
〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に
優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(24)
前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、
(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のA
l−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2
%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱
交換器用アルミニウム合金クラッド材、(25)前記Al
−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、
(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn
系合金芯材に、さらにV:0.05〜0.5%を含有す
る組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用ア
ルミニウム合金クラッド材、(26)前記Al−Mn系合
金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(2
0)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材
に、さらにCr:0.05〜0.5%を含有する組成を
有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
ム合金クラッド材、(27)前記Al−Mn系合金芯材
は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、
(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さ
らにMg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する
芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
クラッド材、(28)前記Al−Mn系合金芯材は、前記
(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)また
は(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:
0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%を含有
する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(29)前記Al−Mn系
合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、
(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯
材に、さらにTi:0.05〜0.2%、V:0.05
〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に
優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(30)
前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、
(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のA
l−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2
%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する
芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
クラッド材、(31)前記Al−Mn系合金芯材は、前記
(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)また
は(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:
0.05〜0.2%、Mg:0.01〜0.2%を含有
する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(32)前記Al−Mn系
合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、
(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯
材に、さらにZr:0.05〜0.2%、V:0.05
〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に
優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(33)
前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、
(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のA
l−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2
%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する
芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
クラッド材、(34)前記Al−Mn系合金芯材は、前記
(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)また
は(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:
0.05〜0.2%、Mg:0.01〜0.1%を含有
する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(35)前記Al−Mn系
合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、
(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯
材に、さらにV:0.05〜0.5%、Cr:0.05
〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に
優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(36)
前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、
(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のA
l−Mn系合金芯材に、さらにV:0.05〜0.5
%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する
芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
クラッド材、(37)前記Al−Mn系合金芯材は、前記
(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)また
は(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにCr:
0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有
する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(38)前記Al−Mn系
合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、
(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯
材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.0
5〜0.2%、V:0.05〜0.5%を含有する組成
を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニ
ウム合金クラッド材、(39)前記Al−Mn系合金芯材
は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、
(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さ
らにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.
2%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有す
る芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合
金クラッド材、(40)前記Al−Mn系合金芯材は、前
記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)ま
たは(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにT
i:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、
Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材
である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラ
ッド材、(41)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(1
6)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または
(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:
0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:
0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(42)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、
(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)
記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05
〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Mg:0.01
〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に
優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(43)
前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、
(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のA
l−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2
%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.
2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた
熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(44)前記A
l−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、
(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn
系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%、V:
0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有
する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(45)前記Al−Mn系
合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、
(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯
材に、さらにZr:0.05〜0.2%、V:0.05
〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成
を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニ
ウム合金クラッド材、(46)前記Al−Mn系合金芯材
は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、
(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さ
らにZr:0.05〜0.2%、Cr:0.05〜0.
5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有す
る芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合
金クラッド材、(47)前記Al−Mn系合金芯材は、前
記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)ま
たは(22)(16)、(17)、(18)または(19)記載の
Al−Mn系合金芯材に、さらにV:0.05〜0.5
%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.05〜0.
5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた
熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(48)前記A
l−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、
(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn
系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Z
r:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、C
r:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材で
ある耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッ
ド材、(49)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(1
6)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または
(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:
0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:
0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有
する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(50)前記Al−Mn系
合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、
(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯
材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.0
5〜0.2%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.
01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食
性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(51)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(1
7)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記
載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜
0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜
0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を
有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
ム合金クラッド材、(52)前記Al−Mn系合金芯材
は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、
(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さ
らにZr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5
%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.
2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた
熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(53)前記A
l−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、
(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn
系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Z
r:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、C
r:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を
含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換
器用アルミニウム合金クラッド材、に特徴を有するもの
である。
【0009】まず、この発明の熱交換器用アルミニウム
合金クラッド材の成分組成を上述のごとく限定した理由
を述べる。 (A)犠牲陽極皮材 Zn:Znは、腐食形態を面食にする効果を持ち、犠牲
陽極皮材の電位を卑にして芯材に対する犠牲陽極効果を
向上させ、芯材に孔食が発生するのを防止する作用を有
するが、その含有量が1%未満では酸性溶液中での犠牲
陽極効果が十分に働かないので好ましくなく、一方、1
0%を越えて含有すると自己腐食性が増大すると共に、
圧延加工性が低下するので好ましくない。したがって、
犠牲陽極皮材中のZn含有量は、1〜10%に定めた。
Znの含有量の一層好ましい範囲は4.1〜8%であ
る。
【0010】Mg:犠牲陽極皮材中のMgは、犠牲陽極
皮材の素地に微細な化合物を析出生成させ、表面に析出
生成した化合物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮
膜に欠陥を数多く生成して大きな孔食の発生を抑制する
作用があり、またろう付け加熱時に芯材に拡散すること
により芯材の強度を向上させ、さらに芯材にSiやCu
が含有されている場合、ろう付け加熱により芯材より拡
散移動してきたSiやCuと結合して金属間化合物を形
成して犠牲陽極皮材の強度を向上させ、SiやCuが犠
牲陽極皮材の素地に固溶するのを防止し、犠牲陽極皮材
を電気化学的に卑に保持して十分な犠牲陽極効果を発揮
させる作用があるが、その含有量が0.5%未満では所
望の耐食性が得られないので好ましくなく、一方、2.
0%を越えて含有すると犠牲陽極皮材の耐食性が低下す
ると共に圧延加工性、クラッド性が低下するので好まし
くない。したがって、犠牲陽極皮材に含まれるMg含有
量は、0.5〜2.0%に定めた。Mg含有量の一層好
ましい範囲は0.7〜1.8%である。
【0011】Ti:Tiは、素地中にTiAl3 などの
微細な金属間化合物を形成し、この形成した金属間化合
物の中でも、犠牲陽極皮材の表面に存在する金属間化合
物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜の欠陥を多
くする作用があり、孔食の発生が抑制するが、その含有
量が含有量が0.05%未満では所望の耐食性が得られ
ないので好ましくなく、一方、0.5%を越えて含有す
ると巨大なAl−Ti金属間化合物が形成されることに
よって牲陽極皮材の自己腐食性が増大すると共に圧延加
工性が低下するので好ましくない。したがって、犠牲陽
極皮材に含まれるTi含有量は、0.05〜0.5%に
定めた。Ti含有量の一層好ましい範囲は0.2〜0.
4%である。
【0012】Zr:Zrは、素地中にZrAl3 などの
微細な金属間化合物を形成し、この形成した金属間化合
物の中でも、犠牲陽極皮材の表面に存在する金属間化合
物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜の欠陥を多
くする作用があり、孔食の発生が抑制するが、その含有
量が含有量が0.05%未満では所望の耐食性が得られ
ないので好ましくなく、一方、0.5%を越えて含有す
ると圧延加工性が低下するので好ましくない。したがっ
て、犠牲陽極皮材に含まれるZr含有量は、0.05〜
0.5%に定めた。Zr含有量の一層好ましい範囲は
0.1〜0.4%である。
【0013】V:Vは、素地中にVAl10などの微細な
金属間化合物を形成し、この形成した金属間化合物の中
でも、犠牲陽極皮材の表面に存在する金属間化合物は、
アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜の欠陥を多くする
作用があり、孔食の発生が抑制するが、その含有量が含
有量が0.05%未満では所望の耐食性が得られないの
で好ましくなく、一方、0.5%を越えて含有すると圧
延加工性が低下するので好ましくない。したがって、犠
牲陽極皮材に含まれるV含有量は、0.05〜0.5%
に定めた。V含有量の一層好ましい範囲は0.2〜0.
4%である。
【0014】Cr:Crは、素地中にCrAl8 などの
微細な金属間化合物を形成し、この形成した金属間化合
物の中でも、犠牲陽極皮材の表面に存在する金属間化合
物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜の欠陥を多
くする作用があり、孔食の発生が抑制するが、その含有
量が含有量が0.05%未満では所望の耐食性が得られ
ないので好ましくなく、一方、0.5%を越えて含有す
ると圧延加工性が低下するので好ましくない。したがっ
て、犠牲陽極皮材に含まれるCr含有量は、0.05〜
0.5%に定めた。Cr含有量の一層好ましい範囲は
0.2〜0.5%である。
【0015】(B)芯材 Mn:Mnは、芯材素地中にAl−Mn金属間化合物と
して分散し、強度を向上せしめる成分であるが、その含
有量が0.8%未満では所望の効果が得られず、一方、
1.8%を越えて含有すると粗大な金属間化合物の生成
によって加工性を劣化させるので好ましくない。したが
って、Mnの含有量を0.8〜1.8%に定めた。Mn
の含有量のいっそう好ましい範囲は1.0〜1.5%で
ある。
【0016】Fe:Feは、素地中にAl−Fe金属間
化合物を微細に分散させることにより、アルカリ溶液中
での腐食において、生成する皮膜の欠陥が芯材中に分散
しているAl−Fe金属間化合物によって増加される、
腐食が芯材にまで及んだ場合の耐食性も向上させ、さら
に前記微細なAl−Fe金属間化合物の分散によって芯
材の強度を向上させる作用を有するが、その含有量が
0.5%未満では所望の効果が得られず、一方、1.5
%を越えると芯材の自己腐食性が増大するので好ましく
ない。したがって、Feの含有量は、0.5〜1.5%
に定めた。Feの含有量のいっそう好ましい範囲は0.
7を越え〜1.3%である。
【0017】Si:Siは、Mnと共存させることによ
りAl−Mn−Si金属間化合物となって素地中に分
散、あるいはマトリックスに固溶して芯材の強度を向上
させる作用があるが、その含有量が0.1%未満では所
望の効果が得られず、一方、1.0%を越えて含有する
と芯材の融点を低下させるので好ましくない。したがっ
て、Siの含有量を0.1〜1.0%に定めた。Siの
含有量のいっそう好ましい範囲は0.2〜0.5%であ
る。
【0018】Cu:芯材に含まれるCuは、マトリック
スに固溶して芯材の強度を向上させると共に、芯材の電
気化学的性質を貴にして、犠牲陽極皮材との電位差を大
きくする作用を有するが、その含有量が0.1%未満で
は所望の効果が得られず、一方、1.0%を越えて含有
すると芯材の融点が低下するためろう付け時に材料が溶
融しやすく、さらに酸性溶液中で粒界腐食が起こりやす
くなり、耐食性が低下するので好ましくない。したがっ
て、Cuの含有量を0.1〜1.0%に定めた。Cuの
含有量の一層好ましい範囲は0.3〜0.7%である。
【0019】Ti:Ti成分は、ろう付け後にTiAl
3 などの微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯
材の強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添
加するが、その含有量が0.05%未満では所望の効果
が得られず、一方、0.2%を越えると加工性を阻害す
るので好ましくない。したがって、Tiの含有量は0.
05〜0.2%に定めた。Tiの含有量の一層好ましい
範囲は0.07〜0.15%である。
【0020】Zr:ZrもTiと同様に、ろう付け後に
ZrAl3 などの微細な金属間化合物として素地中に分
散し、芯材の強度を向上させる作用を有するので必要に
応じて添加するが、その含有量が0.05%未満では所
望の効果が得られず、一方、0.2%を越えると加工性
を阻害するので好ましくない。したがって、Zrの含有
量は0.05〜0.2%に定めた。Zrの含有量の一層
好ましい範囲は0.07〜0.18%である。
【0021】V:Vもろう付け後にVAl10などの微細
な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度を向
上させる作用を有するので必要に応じて添加するが、そ
の含有量が0.05%未満では所望の効果が得られず、
一方、0.5%を越えると加工性を阻害するので好まし
くない。したがって、Vの含有量は0.05〜0.5%
に定めた。Vの含有量の一層好ましい範囲は0.07〜
0.35%である。
【0022】Cr:Crは、素地中にCrAl8 などの
微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度
を向上させる作用を有するので必要に応じて添加する
が、その含有量が0.05%未満では所望の効果が得ら
れず、一方、0.5%を越えると加工性を阻害するので
好ましくない。したがって、Crの含有量は0.05〜
0.5%に定めた。Crの含有量の一層好ましい範囲は
0.07〜0.35%である。
【0023】Mg:Mgは、素地中にMgAl8 などの
微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度
を向上させる作用を有するので必要に応じて添加する
が、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得ら
れず、一方、0.2%を越えると耐食性、圧延加工性、
クラッド性を阻害するので好ましくない。したがって、
Mgの含有量は0.01〜0.2%に定めた。
【0024】(C)ろう材 この発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材で使
用するろう材は、通常のAl−Si系ろう材であればよ
く、特に限定されるものではないが、ろう材中に含まれ
るSiは融点を下げると共に流動性を付与する成分であ
り、その含有量が5%未満では所望の効果が得られず、
一方、15%を越えて含有するとかえって流動性が低下
するので好ましくない。したがって、ろう材中のSiの
含有量を3〜15%に定めた。ろう材中のSiの含有量
のいっそう好ましい範囲は5〜12%である。この発明
で使用するAl−Si系ろう材は、必要に応じてZnが
1.0〜5.0%含まれていてるものも含む。
【0025】
【発明の実施の形態】表1〜表7に示す成分組成のAl
合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このイン
ゴットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、
厚さ:150mmの熱延板からなる芯材a〜Zを作製し
た。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】さらに、表8〜10に示す成分組成のAl
合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このイン
ゴットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、
厚さ:30mmの熱延板からなる犠牲陽極皮材ア〜マを
作製した。
【0034】
【表8】
【0035】
【表9】
【0036】
【表10】 (*印は、この発明の条件から外れた値を示す)
【0037】一方、表11に示す成分組成のAl合金を
溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴット
を通常の条件で熱間圧延を行い、厚さ:20mmの熱延
板からなるろう材〜を作製した。
【0038】
【表11】
【0039】これら表1〜表7の芯材a〜Z、表8〜表
10の犠牲陽極皮材ア〜マおよび表11のろう材〜
を表12〜表15に示される組み合わせにしたがって重
ね合わせ、熱間圧延にてクラッドし、引き続いて中間焼
鈍を行ったのち、冷間圧延を行うことによりいずれも板
厚:0.3mm、犠牲陽極皮材およびろう材にクラッド
率がそれぞれ15%および10%で調質H14の本発明
クラッド材1〜64、比較クラッド材1〜7および従来
クラッド材1〜2を作製した。これら本発明クラッド材
1〜64、比較クラッド材1〜7および従来クラッド材
1〜2を用いてそれぞれの試験片を作製し、これら試験
片を600℃に3分間保持した後、冷却速度:100℃
/min.で室温まで冷却するろう付けを想定した熱処
理を行い、その後、下記の条件の腐食試験を行った。
【0040】腐食試験1 Cl- :195ppm,SO4 2-:60ppm,F
3+:30ppm,Cu2+:1ppmを含む水溶液(p
H:3.4)を腐食液として用意し、前記本発明クラッ
ド材1〜64、比較クラッド材1〜7および従来クラッ
ド材1〜2の熱処理した試験片を自動車用熱交換器の冷
却水を想定して、流速:0.7m/sec.で流れてい
る温度:88℃の腐食液の中に8時間浸漬保持した後、
室温の静止腐食液の中に16時間浸漬保持すると云う温
度サイクルを加える操作を90日間行い、90日間経過
後の犠牲陽極皮材層の表面からの最大腐食深さを測定
し、その測定結果を表12〜表15に示した。
【0041】腐食試験2 Cl- :195ppm,SO4 2-:60ppm,F
3+:30ppm,Cu2+:1ppmを含む水溶液をN
aOHでpH11に調整した水溶液を腐食液として用意
し、前記本発明クラッド材1〜64、比較クラッド材1
〜7および従来クラッド材1〜2の熱処理した試験片を
自動車用熱交換器の冷却水を想定して、流速:0.7m
/sec.で流れている温度:88℃の腐食液の中に8
時間浸漬保持した後、室温の静止腐食液の中に16時間
に浸漬保持すると云う温度サイクルを加える操作を90
日間行い、90日間経過後の犠牲陽極皮材層の表面から
の最大腐食深さを測定し、その測定結果を表12〜表1
5に示した。
【0042】
【表12】
【0043】
【表13】
【0044】
【表14】
【0045】
【表15】
【0046】表12〜表15に示される結果から、本発
明クラッド材1〜64は、従来クラッド材1〜2に比べ
て、表面からの最大腐食深さが極めて小さいところか
ら、耐食性に優れていることが分かる。また、構成成分
の内の少なくとも1つの成分含有量がこの発明の範囲か
ら外れている比較クラッド材1〜7は耐食性またはその
他の特性が劣ることも分かる。
【0047】
【発明の効果】上述のように、この発明のクラッド材は
耐食性に優れているため、この発明のクラッド材を用い
て作製した熱交換器は、広範囲のpHの冷却水を使用し
ても貫通することなく長期間使用することができ、産業
上優れた効果をもたらすものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23F 13/00 C23F 13/00 E F28F 19/06 F28F 19/06 A B 21/08 21/08 D (72)発明者 江戸 正和 静岡県裾野市平松85番地 三菱アルミニウ ム株式会社技術開発センター内 (72)発明者 当摩 建 静岡県裾野市平松85番地 三菱アルミニウ ム株式会社技術開発センター内 Fターム(参考) 4F100 AB02A AB09A AB09C AB10A AB10B AB10C AB11A AB11B AB12A AB12C AB13A AB13C AB14A AB17A AB18C AB19A AB19C AB31A AB31B AB31C AB40A AB40C BA03 BA07 BA10B BA10C GB32 GB90 JB02 YY00A YY00C 4K060 AA02 BA13 BA19 BA34 BA43 EA04 EB05 FA10

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
    0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
    不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
    ことを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
    ム合金クラッド材。
  2. 【請求項2】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:
    0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
    不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
    ことを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
    ム合金クラッド材。
  3. 【請求項3】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、V:0.
    05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純
    物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなること
    を特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合
    金クラッド材。
  4. 【請求項4】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Cr:
    0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
    不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
    ことを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
    ム合金クラッド材。
  5. 【請求項5】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
    0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%を含有
    し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
    陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に
    優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  6. 【請求項6】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
    0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有
    し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
    陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に
    優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  7. 【請求項7】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
    0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有
    し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
    陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に
    優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  8. 【請求項8】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:
    0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有
    し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
    陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に
    優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  9. 【請求項9】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、
    Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
    に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:
    0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有
    し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
    陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に
    優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  10. 【請求項10】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面
    に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の
    片面に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Cr:
    0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有
    し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
    陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に
    優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  11. 【請求項11】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面
    に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の
    片面に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
    0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:
    0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
    不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
    ことを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
    ム合金クラッド材。
  12. 【請求項12】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面
    に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の
    片面に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
    0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、C
    r:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不
    可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドして
    なることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミ
    ニウム合金クラッド材。
  13. 【請求項13】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面
    に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の
    片面に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
    0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:
    0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
    不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
    ことを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
    ム合金クラッド材。
  14. 【請求項14】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面
    に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の
    片面に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:
    0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:
    0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避
    不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
    ことを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
    ム合金クラッド材。
  15. 【請求項15】 Al−Mn系合金芯材の一方の片面
    に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の
    片面に、 Zn:1〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:
    0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:
    0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有
    し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
    陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に
    優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  16. 【請求項16】 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:
    0.8〜1.8%、を含有し、さらにSi:0.1〜
    1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種または2
    種を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組
    成を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7、8、9、10、11、12、13、14ま
    たは15記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム
    合金クラッド材。
  17. 【請求項17】 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:
    0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、
    残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12、13、14または15記載
    の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
    材。
  18. 【請求項18】 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:
    0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、
    さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0
    %の内の1種または2種を含有し、残りがAlおよび不
    可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、
    12、13、14または15記載の耐食性に優れた熱交
    換器用アルミニウム合金クラッド材。
  19. 【請求項19】 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:
    0.8〜1.8%、を含有し、さらにSi:0.1〜
    1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種または2
    種を含有し、さらに Ti:0.05〜0.2%、 Zr:0.05〜0.2%、 V:0.05〜0.5%、 Cr:0.05〜0.5%、 Mg:0.01〜0.2% の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび
    不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請
    求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
    1、12、13、14または15記載の耐食性に優れた
    熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  20. 【請求項20】 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:
    0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、
    さらに Ti:0.05〜0.2%、 Zr:0.05〜0.2%、 V:0.05〜0.5%、 Cr:0.05〜0.5%、 Mg:0.01〜0.2% の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび
    不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請
    求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
    1、12、13、14または15記載の耐食性に優れた
    熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  21. 【請求項21】 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:
    0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、
    さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0
    %の内の1種または2種を含有し、さらに Ti:0.05〜0.2%、 Zr:0.05〜0.2%、 V:0.05〜0.5%、 Cr:0.05〜0.5%、 Mg:0.01〜0.2% の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび
    不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請
    求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
    1、12、13、14または15記載の耐食性に優れた
    熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
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