JP4019337B2 - 耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐食性、特にアルカリ環境下から酸性環境下に至る広範囲なpH領域での耐食性に優れた熱交換器などの構造用部材として用いるアルミニウム合金クラッド材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のラジエーターやヒーターコアのチューブ材としては、Al−Mn系合金からなる芯材の片面にAl−Si系ろう材をクラッドし、芯材の他方の片面に、犠牲陽極皮材として芯材よりも卑なアルミニウム合金からなるAl−Zn系合金をクラッドした3層のアルミニウム合金クラッド材が使用されている。最も一般に使用されている具体的なアルミニウム合金クラッド材は、JIS 3003(重量%で、Mn:1.0〜1.5%、Fe:0.05〜0.20%、Si:0.6%以下、Zr:0.7以下%、Zn:0.10以下%、残部:Alおよび不可避不純物)を芯材とし、その片面にJIS 7072からなるAl−Zn系合金犠牲陽極皮材をクラッドし、芯材の他方の片面にAl−Si系ろう材をクラッドしてなるアルミニウム合金クラッド材は知られている。
【0003】
前記アルミニウム合金クラッド材のAl−Si系ろう材は、ろう付け時にチューブ材とフィン材の接合、およびチューブ材とヘッダープレートとの接合に用いられ、犠牲陽極皮材は芯材と電気化学的性質の違いにより皮材を主として腐食し、芯材の孔食を抑制する作用をなすものである。これらアルミニウム合金クラッド材は、ラジエーターやヒーターコアのチューブ材として熱交換器に使用した場合、冷媒が弱酸性から中性領域では優れた犠牲陽極効果を発揮する。しかし、実際に使用される冷却水は不凍液と防錆剤からなるLLC(ロングライフクーラント)を混入したアルカリ性を示すものであり、冷媒がpH9以上のアルカリ性溶液の場合、なお耐食性が十分でなく、早期に孔食が発生したり防食効果が十分に発揮されない場合がある。
【0004】
これらを改良するために、重量%で(以下%は重量%を示す)
(a)Mn:1.0〜1.5%、Fe:0.7%以下、Si:0.6%以下、Cu:0.05〜0.2%、Zn:0.1%以下を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:0.1〜1.5%、Fe:0.7を越え〜1.2%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材(特開平10−17967号公報参照)、
(b)Mn:0.3〜2.0%およびCu:0.10〜0.8%の1種または2種を含有し、必要に応じてMg:0.1〜0.5%、Si:0.1〜1%を含有し、さらに必要に応じてCr:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Ti:0.05〜0.3%、B:0.01〜0.1%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:1.5〜4.0%、Fe:0.5%を越え3%以下を含有し、必要に応じてMg:0.1〜2.5%、Sn:0.01〜0.2%、Ga:0.01〜0.2%の内の1種または2種以上を含有し、さらにCr:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Ti:0.05〜0.3%、B:0.01〜0.1、Mn:0.1〜2.0%、Si:0.1〜1%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材(特開平10−72632号公報参照)、
などが提案されている。
【0005】
これら耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、犠牲陽極皮材に比較的多量のFeを含有させることにより、犠牲陽極皮材の表面の水酸化皮膜にFeAl3 などのAl−Fe系金属間化合物を微細均一に多く分散させ、腐食開始点を多くすることにより全面腐食の形態を取り、集中腐食により貫通に至るような孔食が発生するのを抑止するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、前記従来のアルミニウム合金クラッド材で作製したラジエーターやヒーターコアのチューブは、弱酸性溶液からアルカリ性溶液までの広範囲のpH領域の水溶液に対して優れた耐食性が得られるが、その耐食性はいまだ十分でなく、更なる耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材が求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、従来よりも耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材を得るべく研究を行った結果、
(イ)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%を含有し、さらにTi:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなるアルミニウム合金クラッド材は、弱酸性溶液からpH9以上のアルカリ性溶液の広範囲のpH領域の水溶液に対する耐食性が従来よりも一層向上し、熱交換器用構造材として優れたものとなる、
(ロ)前記(イ)に記載の芯材は、Al−Mn系合金芯材であればいかなるものでも良いが、特に
(i)Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種もしくは2種を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材であることが好ましく、
(ii)Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらにFe:0.5〜1.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材であることが一層好ましく、
(iii)Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらにFe:0.5〜1.5%を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種もしくは2種を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材であることがさらに一層好ましく、
(iv)前記(i)、(ii)または(iii)記載のAl合金に、さらに必要に応じてTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%の内の1種もしくは2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材であってもよい、という知見を得たのである。
【0008】
この発明は、かかる知見に基づいて成されたものであって、
(1)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(2)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(3)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(4)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(5)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(6)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(7)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(8)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(9)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(10)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Cr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(11)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(12)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(13)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(14)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(15)Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(1 6)前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(17)前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらにCu:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(18)前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(19)前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(20)前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(21)前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、さらにCu:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(22)前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有する前記(1)〜(15)の内のいずれかに記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(23)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(24)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(25)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(1 9)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにV:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(26)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにCr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(27)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにMg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(28)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(29)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(30)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(31)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(32)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(33)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(34)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%、Mg:0.01〜0.1%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(35)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにV:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(36)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(2 2)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにV:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(37)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにCr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(38)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(1 7)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(39)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(40)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(41)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(42)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(43)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(44)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(45)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(46)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(47)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)(16)、(17)、(18)または(19)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにV:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(48)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(49)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(50)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(51)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(52)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにZr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(53)前記Al−Mn系合金芯材は、前記(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)または(22)記載のAl−Mn系合金芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mg:0.01〜0.2%を含有する組成を有する芯材である耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
に特徴を有するものである。
【0009】
まず、この発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の成分組成を上述のごとく限定した理由を述べる。
(A)犠牲陽極皮材
Zn:
Znは、腐食形態を面食にする効果を持ち、犠牲陽極皮材の電位を卑にして芯材に対する犠牲陽極効果を向上させ、芯材に孔食が発生するのを防止する作用を有するが、その含有量が5.21%未満では酸性溶液中での犠牲陽極効果が十分に働かないので好ましくなく、一方、10%を越えて含有すると自己腐食性が増大すると共に、圧延加工性が低下するので好ましくない。したがって、犠牲陽極皮材中のZn含有量は、5.21〜10%に定めた。
【0010】
Mg:
犠牲陽極皮材中のMgは、犠牲陽極皮材の素地に微細な化合物を析出生成させ、表面に析出生成した化合物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜に欠陥を数多く生成して大きな孔食の発生を抑制する作用があり、またろう付け加熱時に芯材に拡散することにより芯材の強度を向上させ、さらに芯材にSiやCuが含有されている場合、ろう付け加熱により芯材より拡散移動してきたSiやCuと結合して金属間化合物を形成して犠牲陽極皮材の強度を向上させ、SiやCuが犠牲陽極皮材の素地に固溶するのを防止し、犠牲陽極皮材を電気化学的に卑に保持して十分な犠牲陽極効果を発揮させる作用があるが、その含有量が0.5%未満では所望の耐食性が得られないので好ましくなく、一方、2.0%を越えて含有すると犠牲陽極皮材の耐食性が低下すると共に圧延加工性、クラッド性が低下するので好ましくない。したがって、犠牲陽極皮材に含まれるMg含有量は、0.5〜2.0%に定めた。Mg含有量の一層好ましい範囲は0.7〜1.8%である。
【0011】
Ti:
Tiは、素地中にTiAl3 などの微細な金属間化合物を形成し、この形成した金属間化合物の中でも、犠牲陽極皮材の表面に存在する金属間化合物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜の欠陥を多くする作用があり、孔食の発生が抑制するが、その含有量が含有量が0.05%未満では所望の耐食性が得られないので好ましくなく、一方、0.5%を越えて含有すると巨大なAl−Ti金属間化合物が形成されることによって牲陽極皮材の自己腐食性が増大すると共に圧延加工性が低下するので好ましくない。したがって、犠牲陽極皮材に含まれるTi含有量は、0.05〜0.5%に定めた。Ti含有量の一層好ましい範囲は0.2〜0.4%である。
【0012】
Zr:
Zrは、素地中にZrAl3 などの微細な金属間化合物を形成し、この形成した金属間化合物の中でも、犠牲陽極皮材の表面に存在する金属間化合物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜の欠陥を多くする作用があり、孔食の発生が抑制するが、その含有量が含有量が0.05%未満では所望の耐食性が得られないので好ましくなく、一方、0.5%を越えて含有すると圧延加工性が低下するので好ましくない。したがって、犠牲陽極皮材に含まれるZr含有量は、0.05〜0.5%に定めた。Zr含有量の一層好ましい範囲は0.1〜0.4%である。
【0013】
V:
Vは、素地中にVAl10などの微細な金属間化合物を形成し、この形成した金属間化合物の中でも、犠牲陽極皮材の表面に存在する金属間化合物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜の欠陥を多くする作用があり、孔食の発生が抑制するが、その含有量が含有量が0.05%未満では所望の耐食性が得られないので好ましくなく、一方、0.5%を越えて含有すると圧延加工性が低下するので好ましくない。したがって、犠牲陽極皮材に含まれるV含有量は、0.05〜0.5%に定めた。V含有量の一層好ましい範囲は0.2〜0.4%である。
【0014】
Cr:
Crは、素地中にCrAl8 などの微細な金属間化合物を形成し、この形成した金属間化合物の中でも、犠牲陽極皮材の表面に存在する金属間化合物は、アルカリ溶液中で生成する水酸化皮膜の欠陥を多くする作用があり、孔食の発生が抑制するが、その含有量が含有量が0.05%未満では所望の耐食性が得られないので好ましくなく、一方、0.5%を越えて含有すると圧延加工性が低下するので好ましくない。したがって、犠牲陽極皮材に含まれるCr含有量は、0.05〜0.5%に定めた。Cr含有量の一層好ましい範囲は0.2〜0.5%である。
【0015】
(B)芯材
Mn:
Mnは、芯材素地中にAl−Mn金属間化合物として分散し、強度を向上せしめる成分であるが、その含有量が0.8%未満では所望の効果が得られず、一方、1.8%を越えて含有すると粗大な金属間化合物の生成によって加工性を劣化させるので好ましくない。したがって、Mnの含有量を0.8〜1.8%に定めた。Mnの含有量のいっそう好ましい範囲は1.0〜1.5%である。
【0016】
Fe:
Feは、素地中にAl−Fe金属間化合物を微細に分散させることにより、アルカリ溶液中での腐食において、生成する皮膜の欠陥が芯材中に分散しているAl−Fe金属間化合物によって増加される、腐食が芯材にまで及んだ場合の耐食性も向上させ、さらに前記微細なAl−Fe金属間化合物の分散によって芯材の強度を向上させる作用を有するが、その含有量が0.5%未満では所望の効果が得られず、一方、1.5%を越えると芯材の自己腐食性が増大するので好ましくない。したがって、Feの含有量は、0.5〜1.5%に定めた。Feの含有量のいっそう好ましい範囲は0.7を越え〜1.3%である。
【0017】
Si:
Siは、Mnと共存させることによりAl−Mn−Si金属間化合物となって素地中に分散、あるいはマトリックスに固溶して芯材の強度を向上させる作用があるが、その含有量が0.1%未満では所望の効果が得られず、一方、1.0%を越えて含有すると芯材の融点を低下させるので好ましくない。したがって、Siの含有量を0.1〜1.0%に定めた。Siの含有量のいっそう好ましい範囲は0.2〜0.5%である。
【0018】
Cu:
芯材に含まれるCuは、マトリックスに固溶して芯材の強度を向上させると共に、芯材の電気化学的性質を貴にして、犠牲陽極皮材との電位差を大きくする作用を有するが、その含有量が0.1%未満では所望の効果が得られず、一方、1.0%を越えて含有すると芯材の融点が低下するためろう付け時に材料が溶融しやすく、さらに酸性溶液中で粒界腐食が起こりやすくなり、耐食性が低下するので好ましくない。したがって、Cuの含有量を0.1〜1.0%に定めた。Cuの含有量の一層好ましい範囲は0.3〜0.7%である。
【0019】
Ti:
Ti成分は、ろう付け後にTiAl3 などの微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添加するが、その含有量が0.05%未満では所望の効果が得られず、一方、0.2%を越えると加工性を阻害するので好ましくない。したがって、Tiの含有量は0.05〜0.2%に定めた。Tiの含有量の一層好ましい範囲は0.07〜0.15%である。
【0020】
Zr:
ZrもTiと同様に、ろう付け後にZrAl3 などの微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添加するが、その含有量が0.05%未満では所望の効果が得られず、一方、0.2%を越えると加工性を阻害するので好ましくない。したがって、Zrの含有量は0.05〜0.2%に定めた。Zrの含有量の一層好ましい範囲は0.07〜0.18%である。
【0021】
V:
Vもろう付け後にVAl10などの微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添加するが、その含有量が0.05%未満では所望の効果が得られず、一方、0.5%を越えると加工性を阻害するので好ましくない。したがって、Vの含有量は0.05〜0.5%に定めた。Vの含有量の一層好ましい範囲は0.07〜0.35%である。
【0022】
Cr:
Crは、素地中にCrAl8 などの微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添加するが、その含有量が0.05%未満では所望の効果が得られず、一方、0.5%を越えると加工性を阻害するので好ましくない。したがって、Crの含有量は0.05〜0.5%に定めた。Crの含有量の一層好ましい範囲は0.07〜0.35%である。
【0023】
Mg:
Mgは、素地中にMgAl8 などの微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添加するが、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、一方、0.2%を越えると耐食性、圧延加工性、クラッド性を阻害するので好ましくない。したがって、Mgの含有量は0.01〜0.2%に定めた。
【0024】
(C)ろう材
この発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材で使用するろう材は、通常のAl−Si系ろう材であればよく、特に限定されるものではないが、ろう材中に含まれるSiは融点を下げると共に流動性を付与する成分であり、その含有量が5%未満では所望の効果が得られず、一方、15%を越えて含有するとかえって流動性が低下するので好ましくない。したがって、ろう材中のSiの含有量を3〜15%に定めた。ろう材中のSiの含有量のいっそう好ましい範囲は5〜12%である。この発明で使用するAl−Si系ろう材は、必要に応じてZnが1.0〜5.0%含まれていてるものも含む。
【0025】
【発明の実施の形態】
表1〜表7に示す成分組成のAl合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ:150mmの熱延板からなる芯材a〜Zを作製した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
さらに、表8〜10に示す成分組成のAl合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ:30mmの熱延板からなる犠牲陽極皮材ア〜ヒを作製した。
【0034】
【表8】
【0035】
【表9】
【0036】
【表10】
【0037】
一方、表11に示す成分組成のAl合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴットを通常の条件で熱間圧延を行い、厚さ:20mmの熱延板からなるろう材I〜IIを作製した。
【0038】
【表11】
【0039】
これら表1〜表7の芯材a〜Z、表8〜表10の犠牲陽極皮材ア〜ヒおよび表11のろう材I〜IIを表12〜表15に示される組み合わせにしたがって重ね合わせ、熱間圧延にてクラッドし、引き続いて中間焼鈍を行ったのち、冷間圧延を行うことによりいずれも板厚:0.3mm、犠牲陽極皮材およびろう材にクラッド率がそれぞれ15%および10%で調質H14の本発明クラッド材1〜54、比較クラッド材1〜7および従来クラッド材1〜2を作製した。これら本発明クラッド材1〜54、比較クラッド材1〜7および従来クラッド材1〜2を用いてそれぞれの試験片を作製し、これら試験片を600℃に3分間保持した後、冷却速度:100℃/min.で室温まで冷却するろう付けを想定した熱処理を行い、その後、下記の条件の腐食試験を行った。
【0040】
腐食試験1
Cl- :195ppm,SO4 2-:60ppm,Fe3+:30ppm,Cu2+:1ppmを含む水溶液(pH:3.4)を腐食液として用意し、前記本発明クラッド材1〜54、比較クラッド材1〜7および従来クラッド材1〜2の熱処理した試験片を自動車用熱交換器の冷却水を想定して、流速:0.7m/sec.で流れている温度:88℃の腐食液の中に8時間浸漬保持した後、室温の静止腐食液の中に16時間浸漬保持すると云う温度サイクルを加える操作を90日間行い、90日間経過後の犠牲陽極皮材層の表面からの最大腐食深さを測定し、その測定結果を表12〜表15に示した。
【0041】
腐食試験2
Cl- :195ppm,SO4 2-:60ppm,Fe3+:30ppm,Cu2+:1ppmを含む水溶液をNaOHでpH11に調整した水溶液を腐食液として用意し、前記本発明クラッド材1〜54、比較クラッド材1〜7および従来クラッド材1〜2の熱処理した試験片を自動車用熱交換器の冷却水を想定して、流速:0.7m/sec.で流れている温度:88℃の腐食液の中に8時間浸漬保持した後、室温の静止腐食液の中に16時間に浸漬保持すると云う温度サイクルを加える操作を90日間行い、90日間経過後の犠牲陽極皮材層の表面からの最大腐食深さを測定し、その測定結果を表12〜表15に示した。
【0042】
【表12】
【0043】
【表13】
【0044】
【表14】
【0045】
【表15】
【0046】
表12〜表15に示される結果から、本発明クラッド材1〜54は、従来クラッド材1〜2に比べて、表面からの最大腐食深さが極めて小さいところから、耐食性に優れていることが分かる。また、構成成分の内の少なくとも1つの成分含有量がこの発明の範囲から外れている比較クラッド材1〜7は耐食性またはその他の特性が劣ることも分かる。
【0047】
【発明の効果】
上述のように、この発明のクラッド材は耐食性に優れているため、この発明のクラッド材を用いて作製した熱交換器は、広範囲のpHの冷却水を使用しても貫通することなく長期間使用することができ、産業上優れた効果をもたらすものである。
Claims (21)
- Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Cr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - Al−Mn系合金芯材の一方の片面に、Al−Si系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:5.21〜10%、Mg:0.5〜2.0%、Ti:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、を含有し、さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらに
Ti:0.05〜0.2%、
Zr:0.05〜0.2%、
V:0.05〜0.5%、
Cr:0.05〜0.5%、
Mg:0.01〜0.2%
の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、さらに
Ti:0.05〜0.2%、
Zr:0.05〜0.2%、
V:0.05〜0.5%、
Cr:0.05〜0.5%、
Mg:0.01〜0.2%
の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - 前記Al−Mn系合金芯材は、Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、さらに
Si:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%の内の1種または2種を含有し、さらに
Ti:0.05〜0.2%、
Zr:0.05〜0.2%、
V:0.05〜0.5%、
Cr:0.05〜0.5%、
Mg:0.01〜0.2%
の内の1種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
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JP25279798A JP4019337B2 (ja) | 1998-09-07 | 1998-09-07 | 耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
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