JP3977978B2 - 耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金 - Google Patents

耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ環境から酸性環境にわたる広範囲のpH領域で優れた耐食性が要求される熱交換器の構造部材として用いられるアルミニウム合金に関するものであり、特に、LLC(ロングライフクーラント)を含む水溶液や水道水が冷媒として使用される自動車用のラジエータ、ヒーターコアなどに好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用のラジエータやヒーターコアのチューブ材としては、Al−Mn系からなる芯材の片面にAl−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、芯材の他方の片面に、犠牲陽極皮材としてAl−Zn系合金をクラッドした3層のブレージングシートをろう付または高周波溶接して得られた溶接管が使用されている。最も一般的に用いられている前記クラッド材としては、JIS3003Al合金(質量%でMn:1.0〜1.5%、Cu:0.1〜0.2%、Si:0.6%以下、Fe:0.75%以下、Zn:0.10%以下、残部:Alおよび不可避不純物からなるAl−Mn系合金)を芯材とし、この芯材の片面にJIS7072からなる犠牲陽極皮材を張り合わせ、他方の片面にAl−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材を張り合わせたものが知られている。
【0003】
アルミニウムやアルミニウム合金は強固な自然酸化皮膜で覆われており、特に中性付近の環境では耐食性および熱伝導性に優れていることから、上記のように自動車用の熱交換器の冷媒流通経路材として用いられている。しかし、この酸化皮膜が何らかの原因で局部的に破壊されると、他の部分が強固なため被膜欠陥部に腐食が集中して孔食が発生し、早期に貫通孔が生じるという欠陥がある。この対策としてラジエーターなどの自動車用熱交換器では、上記したように芯材の片面に芯材よりも電気的に卑なアルミニウム合金を犠牲陽極皮材として張り合わせたクラッド材が用いられる。このクラッド材をろう付または高周波溶接して得られるチューブは、内部側に犠牲陽極皮材が位置することにより内部を流れる冷媒に対し高い耐食性を発揮することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、車両の軽量化、コストダウンに合わせて、チューブ材などの自動車熱交換器用材料にも一層の薄肉軽量化およびコストダウンが求められている。
しかし、熱交換器の作製に際し行われるろう付での確実な接合や熱交換器としての十分な耐食性を確保するためには、上記チューブ材において一定量以上の犠牲陽極皮材およびろう材の厚さが必要であり、材料の薄肉化には限界がある。また、クラッド材の製造には非常に高価な圧延設備や優れた製造技術を必要とし、しかも作製までの工程数が多く生産性が悪いため、材料の価格が高く、コストダウンが困難であるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明者たちは、犠牲陽極皮材を使用しないチューブ材の使用について検討したが、犠牲陽極皮材がなくなると従来のように特に酸性環境中での耐食性が非常に問題になると考えられる。実際に前記クラッド材の芯材(JIS3003)は犠牲材がクラッドされていない場合、酸性環境中において非常に短期間で貫通孔が発生することが確認されている。
また、近年、自動車熱交換器の冷媒として水に不凍液と防錆剤からなるLLCを添加した冷却水が使用されているが、このLLCが粗悪品であると冷却水がpH9〜11程度のアルカリ性になることが分かっている。このような環境においても従来材の耐食性は十分でなく、早期に孔食が発生するという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、チューブ材等の熱交換器用の構造部材に使用されるアルミニウム合金であって、弱酸性の水道水、雨水または粗悪なLLCを含むアルカリ性の冷却水、すなわち、弱酸性からアルカリ性に渡る広範囲pH領域の水溶液を冷媒として使用した場合にも、犠牲陽極皮材をクラッドしない単体の状態でも優れた耐食性を発揮することができるアルミニウム合金を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、酸性溶液からアルカリ性溶液に渡る広範囲pH領域の水溶液に対して従来材よりも一層耐食性に優れたアルミニウム合金を得るべく研究を行った。その結果、
(イ)質量%でMn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金は、アルカリ環境中で腐食速度が小さく、耐食性が優れているが、酸性環境中では孔食型の腐食形態で非常に短期間で貫通孔が発生し、耐食性が不十分である。
(ロ)前記(イ)記載の組成を有するAl合金に、Ti:0.05〜0.3%を添加し、さらにZn:0.01〜0.5%を添加したAl合金は、アルカリ環境中での耐食性に優れている上に、酸性環境中でも層状の腐食形態となることにより貫通孔の発生が抑えられ、酸性溶液からアルカリ溶液まで広範囲のpH領域の水溶液に対して非常に優れた耐食性を示す。
(ハ)また、同様に前記(イ)記載の組成を有するAl合金にTi:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.05%を添加し、Sn:0.01〜0.3%、In:0.01〜0.1%のうち1種以上を添加したAl合金も(ロ)の合金と同様の腐食形態となりアルカリ環境および酸性環境の両方において非常に優れた耐食性を示す。
という、上記知見を得て本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金のうち第1の発明は、質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする。
【0009】
第2の発明の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金は、質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%を含有し、さらにSn:0.01〜0.3%、In:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする。
【0010】
第3の発明の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金は、質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.3%を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする。
【0011】
第4の発明の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金は、質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜0.7%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.3%を含有し、さらに、Sn:0.01〜0.3%、In:0.01〜0.1%のうち1種以上を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする。
【0012】
第5の発明の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金は、第1〜第4の発明において、合金組成に、さらにSi:0.4〜1.0%を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする。
【0013】
以下に、本発明合金における各成分の作用およびその含有量の限定理由を説明する。なお、以下における含有量はいずれも質量%で表されている。
Mn:0.1〜1.5%
Mnは金属間化合物として材料中に晶出し、ろう付後の強度を向上させる。さらにチューブの電位を貴にするのでフィンとの電位差が大きくとれ、フィン材による犠牲陽極効果をより有効にして外部耐食性を向上させる。ただし、Mnの含有量が0.1%未満であると、上記作用が十分に得られず、特に強度が不足する。一方、Mn含有量が1.5%を越えると、粗大なAl−Mn系金属間化合物が生成することにより、圧延性を低下させ、さらに圧延時材料表面に剥離が発生する原因となる。これらのためMn含有量を0.1〜1.5%の範囲内に定める。
なお、同様の理由で下限を0.7%、上限を1.2%とするのが望ましい。
【0014】
Cu:0.01〜1.0%
Cuは、マトリックス中に固溶してろう付後の強度を向上させ、また、チューブの電位を貴にするのでフィンとの電位差が大きく取れ、外部耐食性が著しく向上する。さらに、Cuの添加は、材料の強度を向上させる効果がある。ただし、Cuの含有量が0.01%未満であるとこれらの効果がなく、特に強度が不足する。一方、Cu含有量が1.0%を越えると、腐食速度が速くなり、さらに孔食の成長が促進されるため貫通孔が発生しやすくなり耐食性が低下する。このため、Cu含有量を0.01〜1.0%に定める。なお、同様の理由で、下限を0.3%、上限を0.7%とするのが望ましい。
【0015】
Fe:0.3〜1.5%
Feは、Al−Mn−Fe系、あるいはAl−Fe系金属間化合物を生成してろう付後の強度が向上させる。また、Feの含有によってFe系の晶出物が材料中に微細に晶出し、それらが腐食の発生源となって面食の腐食形態となり、特にアルカリ環境中での耐食性を向上させる。ただし、0.3%未満の含有ではこれらの効果が得られず、特にアルカリ耐食性に問題が生じる。一方、1.5%を越えて含有すると、Al−Mn−Fe系の巨大金属間化合物が生成されて鋳造性が低下すると共に、圧廷時に剥離が発生する。このためFe含有量を0.3〜1.5%に定める。なお、同様の理由で下限を0.7%、上限を1.2%とするのが望ましい。
【0016】
Ti:0.05〜0.3%
Tiは、酸性環境中での腐食形態を層状にして耐食性を向上させる。また、ろう付後に微細な金属間化合物として素地中に分散し強度を増加させる。ただし、Ti含有量が0.05%未満であるとこれらの効果が得られず、特に酸性環境における耐食性に問題が生じる。一方、0.3%を越えて含有しても、さらなる効果は期待できないばかりか、巨大金属間化合物の生成を促進して脆性上の問題を招くので、Ti含有量を0.05〜0.3%に定める。なお、同様の理由で、上限を0.3%とするのが望ましい。
【0017】
Zn:0.01〜0.5%
Znは材料中に固溶して腐食形態を面状にし、さらにTi添加による層状腐食の効果をより促進させる働きがあり、酸性環境中での耐食性を顕著に向上させる。この作用を得るためには0.01%以上のZn含有が必要であり、一方、0.5%を越えて含有すると腐食速度が増加して却って耐食性が低下するので、Zn含有量を0.01〜0.5%に定める。なお、同様の理由で下限を0.2%、上限を0.4%に定めるのが望ましい。
【0018】
Sn:0.01〜0.3%
In:0.01〜0.1%
Sn、Inは、ろう付熱処理時に材料表面に濃縮し、電位を卑にするため、腐食を面状腐食形態にするとともに、さらにはTiの層状腐食の効果を促進して、深さ方向への腐食の進行を抑制するので、所望により1種または2種を含有させる。上記作用を十分に得るためには、それぞれ0.01%以上の含有が必要である。一方、Snでは0.3%、Inでは0.1%を越えて含有すると、腐食速度が増加して却って耐食性が低下し、さらにSnでは低融点化合物の生成により圧廷時に材料に割れが発生する。このため、Sn含有量を0.01〜0.3%、In含有量を0.01〜0.1%に定める。
なお、上記と同様の理由で、Snでは下限を0.05%、上限を0.15%とするのが望ましく、Inでは、下限を0.03%、上限を0.07%とするのが望ましい。
【0019】
Zr:0.01〜0.3%
Zrは、酸性環境中で腐食形態を層状にするTiの効果を助けると共に、ろう付後に微細な金属間化合物として素地中に分散して強度を増加させるので所望により含有させる。ただし、Zr含有量が0.01%未満では上記作用を十分に得ることができず、一方、0.3%を越えてもさらなる効果の向上は期待できないので、Zr含有量は0.01〜0.3%の範囲内とする。なお、同様の理由で下限を0.05%、上限を0.1%とするのが望ましい。
【0020】
Si:0.4〜1.0%
Siはろう付後の強度、特に耐力を向上させる効果があるので、所望により積極添加する。この作用を得るには0.4%以上のSi含有が必要であり、一方、1.0%を越えて含有すると材料の融点が低下し、さらに耐食性が悪化することから、Si含有量を0.4〜1.0%に定める。
【0021】
不可避不純物
本発明合金では、上記各成分の残りはAlと不可避不純物からなる。不可避不純物として、特に、Mgはフラックスと反応し、ろう付性を阻害するため、その含有量を極力減少させるのが望ましい。ただし、工業性を考慮して、その上限をMgで0.1%以下とするのが望ましい。また、Siは積極添加しない場合でも不可避不純物として上限0.2%までは材料中に存在する。
【0022】
本発明合金は、単体で酸性およびアルカリ環境下で優れた耐食性を有するため、犠牲陽極皮材をクラッドすることなくチューブ材等の熱交換器用部材を構成することができ、部材の薄肉、軽量化が可能になるとともに、クラッド工程の省略、犠牲陽極皮材の不要によって製造コストや材料コストを非常に低減できるという利点がある。また、本発明合金をクラッド材の芯材として使用する場合には、上記効果は得られないものの、酸性およびアルカリ環境に対し、非常に優れた耐食性を有するクラッド材を提供することが可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のアルミニウム合金は、上記した成分設定に従って、常法により溶製することができ、その溶解、鋳造方法は特に限定されるものではない。
得られた鋳塊は、さらに常法により、熱間圧延や冷間圧延、押出等の工程を経て熱交換器用の素材として提供される。この際に連続鋳造圧延によって熱延材を得ることもできる。なお、各工程または各工程間には適宜の熱処理を施すこともできる。
【0024】
本発明合金は、本来、単体材として使用することを前提としているが、クラッド材の芯材として使用するものを排除するものではない。クラッド材を製造する際には、本発明合金材料にろう材または犠牲陽極皮材が張り合わされる。このクラッドの際の製造方法も特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。
【0025】
本発明のアルミニウム合金は、上記した押出管や板材の造管によって熱交換器用チューブ等に加工され、熱交換器用のその他の部材(ヘッダー、フィン等)に組み付けられる。なお、本発明合金は、従来3層クラッド材を使用していたヘッダープレート材やタンク材などの構造部材としても適用できる。
上記組み付け後には、それぞれを固定して熱交換器を製造するべくろう付を行う。本発明のアルミニウム合金の成分は、ろう付条件に影響を与えるものではなく、ろう付作業も常法により行うことができる。なお、ろう材は、上記アルミニウム合金にクラッドして提供したり、粉末の状態でろう付部に塗布等して供給することができる。ろう材としては、一般に使用されるAl−Si、Al−Si−Znなどのろう材を用いることができ、使用可能なろう材の種別が特別に限られるものでもない。
ろう付後のアルミニウム合金材は、適切な成分調整によって酸性からアルカリ環境下の広範なpH領域で優れた耐食性を発揮し、しかも、チューブ材の薄肉、軽量化ひいては熱交換器の軽量化を可能にするので、得られた熱交換器は、自動車用に好適である。ただし、本発明としては熱交換器の用途が特定用途に限定されるものではなく、その他用途の熱交換器として使用することもできる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
表1に示す成分組成のAl合金を溶解鋳造して圧延用鋳塊を製造し、この鋳塊を通常の条件で均質化処理後、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍を施し、調質H14に従って板厚が0.25mm(250μm)の本発明チューブ材と本発明範囲外組成の比較チューブ材を作製した。
これらチューブ材に対し、窒素ガス雰囲気中で、600℃に3分間保持し、冷却速度100℃/min.で室温まで冷却するろう付相当熱処理を行い、その後、室温にて引張試験を行って引張強度を測定し、さらに下記の条件で腐食試験を行った。
【0027】
(腐食試験1)
各材料の片面をマスキングし、反対側の面について、Cl:170ppm、SO 2−:50ppm、Fe3+:20ppm、Cu2+:1ppmを含むpH3.0の水溶液を接触させ、この水溶液を自動車用熱交換器の冷却水と想定して、80℃にて流速4m/sで8時間循環させた後、室温で16時間保持するという温度サイクルで腐食試験を行った。この試験を28日間行った後、チューブ内部における最大孔食深さを測定した。
(腐食試験2)
各材料の片面をマスキングし、反対側の面について、Cl:170ppm、SO 2−:50ppm、Fe3+:20ppm、Cu2+:1ppmを含みNaOHでpH11に調整した水溶液を接触させ、この水溶液を自動車熱交換器の冷却水と想定して、80℃にて流速4m/sで8時間循環させた後、室温で16時間保持するという温度サイクルで腐食試験を行った。この試験を60日間行った後、チューブ内部における最大孔食深さを測定した。
【0028】
上記引張試験および腐食試験結果は、表2に示した。
表から明らかなように本発明のアルミニウム合金を用いた供試材は、単体材においても酸性及びアルカリの両環境で非常に優れた耐食性を有しており、引張強度も高い数値を示した。一方、成分が本発明材の範囲外の合金を用いた供試材では、酸性およびアルカリのいずれかの環境で耐食性が劣っている。
【0029】
【表1】
Figure 0003977978
【0030】
【表2】
Figure 0003977978
【0031】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の熱交換器用アルミニウム合金によれば、質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%を含有し、所望によりSn:0.01〜0.3%、In:0.01〜0.1%の1種または2種、Zr:0.01〜0.3%、Si:0.4〜1.0%を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなるので、単体材においても酸性からアルカリ性までの広範囲のpH領域において優れた耐食性を発揮し、したがって材料の軽量、薄肉化を可能にし、さらに、材料コストを大幅に低減でき、結果としてラジエータ、ヒータコア、オイルクーラ等の熱交換器のコストダウンや寿命の向上に大いに貢献しうる。また、クラッド材の芯材として使用する場合には、耐食性が非常に優れた材料として熱交換器寿命の向上に寄与する。

Claims (5)

  1. 質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
  2. 質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%を含有し、さらにSn:0.01〜0.3%、In:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
  3. 質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.3%を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
  4. 質量%で、Mn:0.1〜1.5%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.3〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zn:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.3%を含有し、さらに、Sn:0.01〜0.3%、In:0.01〜0.1%のうち1種以上を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の合金組成に、さらにSi:0.4〜1.0%を含有し、残りがAlと不可避不純物とからなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
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