JP2640816B2

JP2640816B2 - ろう付け性と耐食性にすぐれた熱交換器用Ａｌ合金複合フィン材

Info

Publication number: JP2640816B2
Application number: JP62257362A
Authority: JP
Inventors: 建当摩; 憲昭高橋
Original assignee: Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Current assignee: MA Aluminum Corp
Priority date: 1987-10-14
Filing date: 1987-10-14
Publication date: 1997-08-13
Anticipated expiration: 2012-08-13
Also published as: JPH01102297A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この発明は、ろう材が被覆された管材とフラックスを
用いてろう付けされる、すぐれたろう付け性と耐食性お
よび高強度な特性を有する熱交換器用Al合金複合フィン
材に関するものである。

〔従来の技術〕

一般にAl合金は、軽くて熱伝導性にすぐれ、かつ耐食
性にもすぐれていることから、例えば、自動車のラジエ
ータなどの熱交換器として広く用いられている。これら
Al製熱交換器に用いられているフィン材としては、ろう
付け時の高温強度と使用時の室温強度を兼備するものと
して、例えばAl-Mn-Si-Mg合金が知られ、さらに前記特
性に加え、管材に対する犠牲陽極効果を付与するものと
して、例えばAl-Mn-Si-Mg-Zn合金が知られている。

これらAl合金製フィン材は、熱交換器に製造する際、
例えばAl-Mn系合金を芯材とし、この芯材の外面にAl-Si
系合金をろう材としてクラッドしてなる管材と、真空中
または不活性ガス中においてろう付けされる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

前記従来のフィン材において、Mg成分は室温強度を高
める目的で添加されるものであるが、この従来のフィン
材と管材とをフラックスを用いてろう付けする場合に
は、Mgがフラックスと反応してろう付け性を低下させて
しまうという問題点があった。従って、フラックスを用
いるろう付けでは、Mgの添加量は微少にせざるを得ず、
このため必要な強度の増加は望めなかった。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、本発明者等は、Mgを含有する高強度フィン材
であって、かつフラックスを用いてろう付けしても良好
なろう付け性が得られるフィン材を開発すべく研究を行
った結果、芯材が、Mn:0.6〜1.5％、Si:0.7〜1.3％、Mg:0.10〜
1.0％を含有し、さらに必要に応じてZr:0.03〜0.20％お
よびCu:0.05〜0.20％のうちの１種または２種を含有
し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有するAl合
金で構成され、かつ前記芯材の両面にクラッドされた皮材がZn:1.0〜
4.0％、Mn:0.1〜1.5％、Si:0.1〜1.3％を含有し、さら
に必要に応じてZr:0.03〜0.20％を含有し、残りがAlと
不可避不純物からなる組成（以上重量％。以下の％も同
じ）を有するAl合金から構成されたフィン材は、（１）Mgを含有する芯材をMgを含有しない皮材で被覆し
ているため、フラックスを用いたろう付けにおいて、Mg
とフラックスとが反応することがなく、従って良好なろ
う付け性が確保できる。

（２）皮材にZnを含有させたため、皮材が芯材に対して
電気化学的に卑になり、従ってフィン材自体の耐食性が
向上する。

（３）皮材にMn、Siを含有させたため、皮材の強度が向
上し、よってフィン全体の強度が増加する。

（４）ろう付け時の加熱で、皮材のZnを芯材にまで拡散
せしめ、Mg、Znによる強度向上効果を発揮させることが
できる。

という知見を得た。

この発明は上記知見に基づいてなされたもので、以下
に本発明フィン材の成分組成を上記に通りに限定した理
由を説明する。

A.芯材（ａ）MnおよびSi MnおよびSi成分はAl合金中に微細なAl-Mn-Si化合物を
形成し、これが室温強度を向上させるばかりでなく、材
料の再結晶温度を越えて加熱された時に形成される再結
晶粒が非等方的で圧延方向に長く伸びたものとなるた
め、高温時の耐垂下性をも改善する。

Mn:0.6％未満、Si:0.7％未満では上記効果が十分でな
く、一方、Mn:1.5％、Si:1.3％をそれぞれ越えると加工
性が低下するため、その含有量をMn:0.6〜1.5％、Si:0.
7〜1.3％と定めた。

（ｂ）Mg Mg成分は、時効処理により、Al合金中にZnとともに、
MgZn2化合物を析出し、これにより室温強度を向上させ
ることかせできる。

0.10％未満では上記効果が十分でなく、一方、1.0％
を越えて含有されると皮材が存在してもろう材中に多量
のMgが到達し、フラックスと反応してろう付け性が低下
してしまうため、その含有量を0.10〜1.0％と定めた。

（ｃ）ZrおよびCu Zr成分は、Alと微細化合物を形成して高温強度を向上
させ、Cu成分はAl素地に固溶して室温強度を向上させ
る。

Zr:0.03％未満、Cu:0.05％未満では上記効果が十分で
なく、一方、Zr:0.20％を越えて含有されると加工性が
低下し、Cu:0.20％を越えて含有されると皮材への拡散
によりフィン全体の電位を上げ、ろう付けされる管材の
耐食性を低下させるため、その含有量をZr:0.03〜0.20
％、Cu:0.05〜0.20％と定めた。

B.皮材（ａ）Zn Zn成分は、Mgと共存して時効硬化により室温強度を向
上させるとともに、皮材を芯材に比べて電気化学的に卑
とするため、皮材に犠牲陽極効果を付与させフィン芯材
と管材とをよく防食する。

1.0％未満では上記効果が十分でなく、一方、4.0％を
越えて含有されてもさらにすぐれた効果が発揮されない
ため、その含有量を1.0〜4.0％と定めた。

（ｂ）MnおよびSi これらの成分を含有させる理由は芯材の場合と同じで
ある。

その含有量をMn:0.1〜1.5％、Si:0.1〜1.3と定め、こ
れらの下限を芯材の場合より若干低くしたのは、皮材の
強度がさほど必要でないときに、芯材より皮材の電位を
より卑にすることを可能にしたためである。

（ｃ）Zr Zr成分を0.03〜0.20％含有させる理由は芯材の場合と
同じである。

〔実施例〕

つぎに、この発明のAl合金複合フィン材を実施例によ
り具体的に説明する。

実施例通常の溶解鋳造法により、第１表に示される成分組成
をもった本発明芯材用Al合金１〜５、比較芯材用Al合金
６〜７、および本発明皮材用Al合金ａ〜ｂ、比較皮材用
Al合金ｃを溶解し、鋳造して鋳塊とした。なお、これら
の鋳塊は、第１表に記載のない不可避不純物としては、
いずれもFe:0.35％以下、Si:0.25％以下、Cu:0.01％以
下、Mg:0.01％以下、Zn:0.02％以下、Zr:0.01％以下、C
r:0.01％以下を含有するものであった。

ついで上記芯材並びに皮材用Al合金の鋳塊を面削し、
通常の条件で均質化熱処理した後、熱間圧延を施して板
厚:8mmの熱延板とした。さらにこのうち、皮材用Al合金
については冷間圧延を施して板厚:1mmの冷延板とし、引
き続いて上記板厚:8mmの芯材用熱延板の両面に上記皮材
をそれぞれ重ね合わせ、熱間圧延にてクラッドして板
厚:2mmとし、さらにこれを適宜中間焼鈍をはさみながら
冷間圧延することなよって板厚:0.1mmを有する本発明複
合フィン材１〜６、および比較フィン材１〜３を製造
し、第２表に示した。

また、本発明芯材２の鋳塊については、上記と同様の
製造方法により板厚:3mmの熱延板とした後、さらに板
厚:0.1mmの冷延板とすることにより皮材のない比較フィ
ン材４とし、これも第２表に示した。

つぎに、上記本発明複合フィン材１〜６および比較フ
ィン材１〜４について、ろう付け性、耐食性、および機
械的性質について試験を行い、その結果を併せて第２表
に示した。

（１）ろう付け性試験上記の各種フィン材を、それぞれ幅:20mm×長さ:500m
mの寸法に切り出し、これを10mm間隔で波型に曲げ加工
し、これを、芯材がCu:0.16％、Mn:1.05％を含有し、残
りがAlと不可避不純物からなる組成を有するAl合金で構
成され、片面ろう材がSi:9.6％を含有し、残りがAlと不
可避不純物からなる組成を有するAl合金で構成された厚
さ:0.4mm（芯材:0.36mm、ろう材:0.04mm）×幅:20mm×
長さ:50mmの寸法を有するブレージングシートのろう材面上に載置
し、この状態で、760Torrの窒素ガス雰囲気中でＦ化物
系フラックスを用いて、610℃×10分間保持の条件でろ
う付けを行い、このろう付け部のろう付け状態を観察し
評価した。表中、○は良好、×は不良を示す。

（２）耐食性試験前記ろう付け性試験における試片を用い、100時間の
酸性塩水噴霧試験を行い、フィン材の腐食状況を観察し
評価した。表中、○は良好（表面がわずかに腐食）、△
はやや良（腐食はあるが貫通孔はなし）、×は不良（貫
通孔が多数発生）を示す。

（３）機械的性質上記各種のフィン材から、幅:7mm×長さ:15mmの引張
試験片を切り出し、ろう付け温度に相当する610℃で10
分間の熱処理を施した後引張試験を行い、引張強さと0.
2％耐力を測定した。

また、フィン材が、例えばラジエータ用として実用に
供される場合には約80℃の温度に加熱されるため、上記
熱処理後、80℃×200時間経過したものについても同様
に試験を行い測定した。

〔発明の効果〕

第２表に示される結果から、本発明複合フィン材１〜
６は、いずれもろう付け性と耐食性が良好で、かつ機械
的性質がすぐれている。

これに対し、比較フィン材１〜４は、ろう付け性、耐
食性のいずれか、または両方に劣るものである。また、
比較フィン材３および４は、時効硬化による強度の増加
が図れない。

上記のように、この発明のAl合金複合フィン材は、フ
ラックスろう付けによってろう付けされた場合にすぐれ
たろう付け性と耐食性および高強度な特性を有するの
で、熱交換器のフィン材として用いた場合、著しく長期
にわたってすぐれた性能を発揮することができる。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】芯材が、Mn:0.6〜1.5％、Si:0.7〜1.3％、
Mg:0.10〜1.0％を含有し、残りがAlと不可避不純物から
なる組成を有するAl合金で構成され、かつ前記芯材に両
面にクラッドされた皮材が、Zn:1.0〜4.0％、Mn:0.1〜
1.5％、Si:0.1〜1.3％を含有し、残りがAlと不可避不純
物からなる組成（以上重量％）を有するAl合金で構成さ
れたことを特徴とするろう付け性と耐食性にすぐれた熱
交換器用Al合金複合フィン材。
【請求項２】芯材が、Mn:0.6〜1.5％、Si:0.7〜1.3％、
Mg:0.10〜1.0％を含有し、さらに、Zr:0.03〜0.20％お
よびCu:0.05〜0.20％のうちの１種または２種を含有
し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有するAl合
金で構成され、かつ前記芯材の両面にクラッドされた皮
材が、Zn:1.0〜4.0％、Mn:0.1〜1.5％、Si:0.1〜1.3％
を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成（以上
重量％）を有するAl合金で構成されたことを特徴とする
ろう付け性と耐食性にすぐれた熱交換器用Al合金複合フ
ィン材。
【請求項３】芯材が、Mn:0.6〜1.5％、Si:0.7〜1.3％、
Mg:0.10〜1.0％を含有し、残りがAlと不可避不純物から
なる組成を有するAl合金で構成され、かつ前記芯材の両
面にクラッドされた皮材が、Zn:1.0〜4.0％、Mn:0.1〜
1.5％、Si:0.1〜1.3％を含有し、さらにZr:0.03〜0.20
％を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成（以
上重量％）を有するAl合金で構成されたことを特徴とす
るろう付け性と耐食性にすぐれた熱交換器用Al合金複合
フィン材。
【請求項４】芯材が、Mn:0.6〜1.5％、Si:0.7〜1.3％、
Mg:0.10〜1.0％を含有し、さらに、Zr:0.03〜0.20％お
よびCu:0.05〜0.20％のうちの１種または２種を含有
し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有するAl合
金で構成され、かつ前記芯材の両面にクラッドされた皮
材が、Zn:1.0〜4.0％、Mn:0.1〜1.5％、Si:0.1〜1.3％
を含有し、さらにZr:0.03〜0.20％を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成（以上重量％）を有するAl
合金で構成されたことを特徴とするろう付け性と耐食性
にすぐれた熱交換器用Al合金複合フィン材。