JP3324779B2 - 車両のトラクション制御方法 - Google Patents

車両のトラクション制御方法

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JP3324779B2 JP10011692A JP10011692A JP3324779B2 JP 3324779 B2 JP3324779 B2 JP 3324779B2 JP 10011692 A JP10011692 A JP 10011692A JP 10011692 A JP10011692 A JP 10011692A JP 3324779 B2 JP3324779 B2 JP 3324779B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
    • B60T8/17Using electrical or electronic regulation means to control braking
    • B60T8/175Brake regulation specially adapted to prevent excessive wheel spin during vehicle acceleration, e.g. for traction control

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,車体速度に所定のスリ
ップ率を加味して定めた目標車輪速度を駆動輪速度が超
えるか否かを判断条件の少なくとも1つとして駆動輪の
過剰スリップ状態を判断するとともにその判断結果に応
じて駆動輪の制動力を制御する車両のトラクション制御
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,駆動輪に制動力を加えることによ
り駆動輪の過剰スリップ状態を解消するようにしたもの
は,特開平3−109159号公報等により既に知られ
ており,各駆動輪毎に過剰スリップ状態を判断し,その
判断結果に応じて各駆動輪の制動力を個別に制御するよ
うにしている。
【0003】た左,右駆動輪速度の平均値により過剰
スリップ状態を判断し,その判断結果に応じて駆動源
(エンジン)から駆動輪へ付与すべき付与トルクの制御
を行うようにした付与トルク制御と前記各駆動輪毎の
制動力個別制御とを組合せて駆動輪の過剰スリップ状態
を解消するようにした技術(例えば特開昭62−203
863号公報)もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで,たとえば
左,右前輪が駆動輪である車両において,両駆動輪速度
DL,VDRの平均速度VDAが殆ど等しい状態で,図6で
示すように,左駆動輪速度VDLおよび右駆動輪速度VDR
がともに車体速度VR から大きくずれたスリップ傾向に
ある場合と,図7で示すように,一方の駆動輪速度たと
えば右駆動輪速度VDRが車体速度VR から大きくずれた
スリップ傾向にあるのに対し他方の駆動輪速度たとえば
左駆動輪速度VDLが車体速度VR に近接した値であって
スリップ傾向にはない場合とが考えられる。
【0005】して,上記従来のように目標車輪速度V
RBを駆動輪速度VDL,VDRが超えるか否かを判断条件の
少なくとも1つとして駆動輪の過剰スリップ状態を判断
するとともにその判断結果に応じて駆動輪の制動力を個
別に制御するようにしたものでは,平均速度VDA が図6
の場合と図7の場合とで略等しくても,特に図7の場合
にだけ,右駆動輪速度VDRが目標車輪速度VRBを大きく
超えていることに基づいて右駆動輪の制動力増圧しっ
放しとなる。このような制動力の増圧制御は,右駆動輪
のスリップ抑制という観点では適正な制御ではあるが,
その反面,次のような問題がある。即ち,平均速度V DA
から見て両駆動輪への付与トルク(或いは両駆動輪に駆
動トルクを付与している動力源であるエンジンの回転
数)が本来抑制すべき状態にはないにも拘わらず,上記
のような右駆動輪制動力の増圧しっ放しによって,制動
力が付与トルク(エンジン回転数)に対する抑制力とし
て過剰に作用してしまい,これにより,例えば動力源の
出力が比較的低い発進等の運転状態で所謂エンストを引
き起こすことがある。また右駆動輪のスリップが多少過
大となっても,このときに左駆動輪は未だスリップ状態
になくて良好な駆動状態を維持しているため,この左駆
動輪の駆動力を走行用動力として最大限有効に利用する
観点からも,動力源の出力に対する過剰な抑制をするこ
となく右駆動力のスリップ制御を実行することが必要で
ある
【0006】また左,右駆動輪速度の平均値による過剰
スリップ状態の判断結果に応じた駆動輪への付与トルク
制御と各駆動輪毎の制動力個別制御とを組合せたトラク
ション制御では,図6および図7で示すように,制動力
制御の場合の目標車輪速度V RB よりも低く設定した目標
車輪速度VRTを平均駆動輪速度VDAが超えるか否かを判
断条件の少なくとも1つとして駆動輪への付与トルク制
御を行なうようにするのが一般的であり,この場合,上
記図6の状態においては制動力制御と付与トルク制御と
がバランスよく行なわれるのに対し,図7の状態では,
右駆動輪の制動力を増圧することにより平均駆動輪速度
DAが図8で示すように低下してしまうことにより,付
与トルク制御の機会が減少し,極端な場合には制動力制
御のみでトラクション制御を実行し,付与トルク制御を
実行する機会がなくなって制動力制御が過剰となってし
まう。
【0007】本発明は,かかる事情に鑑みてなされたも
のであり,複数の駆動輪のうち少数の駆動輪がスリップ
傾向にあるときに制動力の過剰制御が生じることを防止
するようにした車両のトラクション制御方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,請求項1記載の発明によれば,車体速度に所定のス
リップ率を加味して定めた制動力制御用目標車輪速度を
左,右駆動輪速度が超えるか否かを判断条件の少なくと
も1つとして駆動輪の過剰スリップ状態を判断するとと
もにその判断結果に応じて駆動輪の制動力を制御する車
両のトラクション制御方法において,車体速度よりも大
かつ制動力制御用目標車輪速度よりも小として設定され
る判定値に基づいて,対をなす左右の駆動輪に対し個別
スリップ傾向の大小を判定し,スリップ傾向が大とさ
れた駆動輪が左,右片輪の場合は両輪の場合よりも制動
力制御用目標車輪速度を大きく設定する。
【0009】また請求項2記載の発明によれば,上記請
求項1記載の構成に加えて,対をなす左,右駆動輪の制
動力を個別に制御可能な独立制御モードと,左,右駆動
輪の制動力を一括制御する一括制御モードとを切換可能
とし,左,右駆動輪の速度差の絶対値が所定値を超える
のに応じて独立制御モードを選択する。
【0010】請求項3記載の発明によれば,前記請求項
2記載の構成に加えて,左,右両駆動輪のスリップ傾向
が大であると判定したときの制動力制御用目標車輪速度
から前記判定値を減じた値を,前記所定値よりも大に設
定する。
【0011】請求項4記載の発明によれば,前記請求項
3記載の構成に加えて,前記所定値よりも小さな一定値
を車体速度に加算した値を前記判定値として設定する。
【0012】請求項5記載の発明によれば,車体速度に
所定のスリップ率を加味して定めた制動力制御用目標車
輪速度を左,右駆動輪速度が超えるか否かを判断条件の
少なくとも1つとして駆動輪の過剰スリップ状態を判断
するとともにその判断結果に応じて駆動輪の制動力を制
御する車両のトラクション制御方法において,対をなす
左,右駆動輪の制動力を個別に制御可能な独立制御モー
ドと,その左,右駆動輪の制動力を一括制御する一括制
御モードとを切換可能にすると共に,左駆動輪が接地し
ている左側の路面の摩擦係数と,右駆動輪が接地してい
る右側の路面の摩擦係数とが大きく異なる走行路を走行
中には該独立制御モードを,またその両摩擦係数の差が
小さい走行路を走行中には該一括制御モードをそれぞれ
選択し,独立制御モードでは,車体速度よりも大かつ制
動力制御用目標車輪速度よりも小として設定される判定
値に基づいて,対をなす左右の駆動輪に対し個別にスリ
ップ傾向の大小を判定して,スリップ傾向が大とされた
駆動輪が左,右片輪の場合は両輪の場合よりも制動力制
御用目標車輪速度を大きく設定し,また一括制御モード
では,制動力制御用目標車輪速度を左,右駆動輪速度の
平均値が超えるか否かを前記判断条件の少なくとも1つ
とし,前記判定値および左,右駆動輪速度の平均値の比
較によりスリップ傾向の大小を判定する。
【0013】請求項6記載の発明によれば,車体速度に
所定のスリップ率を加味して定めた出力トルク制御用目
標車輪速度を左,右駆動輪速度の平均値が超えるか否か
を判断条件の少なくとも1つとして駆動輪の過剰スリッ
プ状態を判断するとともにその判断結果に応じて駆動輪
に付与するトルクを制御し,車体速度に前記スリップ率
よりも大きいスリップ率を加味して出力トルク制御用目
標車輪速度よりも大きく定めた制動力制御用目標車輪速
度を駆動輪速度が超えるか否かを判断条件の少なくとも
1つとして駆動輪の過剰スリップ状態を判断するととも
にその判断結果に応じて駆動輪の制動力を制御する車両
のトラクション制御方法において,車体速度よりも大か
つ出力トルク制御用目標車輪速度および制動力制御用目
標車輪速度よりも小として設定される判定値に基づいて
左,右の駆動輪毎にスリップ傾向の大小を判定し,スリ
ップ傾向が大であると判定した駆動輪が左,右いずれか
一方であるときには,出力トルク制御用目標車輪速度お
よび制動力制御用目標車輪速度の差を,左,右両駆動輪
のスリップ傾向が大であると判定したときに比べて大と
する。
【0014】さらに請求項7記載の発明によれば,上記
請求項1,2,3,4,5または6記載の発明の構成に
加えて,駆動輪のスリップ傾向の大小を判定するため
に,第1判定値と,第1判定値よりも小さい第2判定値
とを予め設定しておき,駆動輪速度が第1判定値を超え
てから第2判定値以下となるまでを,駆動輪のスリップ
傾向が大であると判定する。
【0015】
【実施例】以下,図面により本発明の実施例について説
明する。
【0016】図1ないし図3は本発明の第1実施例を示
すものであり,図1は制御ブロック回路図,図2は目標
車輪速度,判定値および車体速度の関係を示すグラフ,
図3は左,右駆動輪の一方のスリップ傾向が大であると
きの特性図である。
【0017】先ず図1において,たとえば左,右前輪が
駆動輪である車両で左前輪および右前輪には左駆動輪用
車輪速度検出器SDLおよび右駆動輪用車輪速度検出器S
DRがそれぞれ付設され,従動輪である左後輪および右後
輪には左従動輪用車輪速度検出器SFLおよび右従動輪用
車輪速度検出器SFRがそれぞれ付設される。
【0018】また左駆動輪および右駆動輪が過剰スリッ
プ状態となることを防止するために,左駆動輪に装着さ
れたブレーキ装置の制動力を制御するための左駆動輪制
動力制御部BCL,右駆動輪に装着されたブレーキ装置の
制動力を制御するための右駆動輪制動力制御部BCR,な
らびに車両搭載エンジンから左,右駆動輪に付与するト
ルクを制御すべくたとえばスロットル開度を制御するた
めのエンジン出力トルク制御部TC が制御手段Cからの
制御信号により制御されるものであり,この制御手段C
は,前記各検出器SDL,SDR,SFL,SFRからの入力信
号に基づいて前記各制御部BCL,BCR,TC に制御信号
を与える。
【0019】制御手段Cは,左駆動輪用車輪速度検出器
DLで検出された左駆動輪速度VDLならびに右駆動輪用
車輪速度検出器SDRで検出された右駆動輪速度VDRをそ
れぞれ微分して左,右駆動輪の加,減速度αL ,αR
得るための微分回路1L ,1R と,左従動輪用車輪速度
検出器SFLで検出された左従動輪速度VFLならびに右従
動輪用車輪速度検出器SFRで検出された右従動輪速度V
FRに基づいて車体速度VR を得るための車体速度演算回
路2と,左,右駆動輪速度VDL,VDRを平均化して駆動
輪平均速度VDAを得るための駆動輪平均速度演算回路3
と,駆動輪のスリップ傾向の大小を判定するための第1
および第2判定値VRS1 ,VRS2 を車体速度VR に基づ
いて得るための判定値算出回路4と,出力トルク制御用
目標車輪速度VRTを車体速度VR に基づいて得るための
出力トルク制御用目標車輪速度算出回路5と,制動力制
御用高目標車輪速度VRBH を車体速度VR に基づいて得
るための制動力制御用高目標車輪速度算出回路6と,制
動力制御用低目標車輪速度VRBL を車体速度VR に基づ
いて得るための制動力制御用低目標車輪速度算出回路7
と,駆動輪平均速度VDAを微分して両駆動輪の平均加,
減速度αA を得るための微分回路8と,左,右駆動輪の
加,減速度αL ,αR および一定の加速度の比較により
左駆動輪および右駆動輪が加速状態にあるか否かを検出
するための比較器9L ,9R と,左,右駆動輪の加,減
速度αL ,αR および一定の減速度の比較により左駆動
輪および右駆動輪が減速状態にあるか否かを検出するた
めの比較器10L ,10R と,左,右駆動輪速度VDL
DRならびに第1および第2判定値VRS1 ,VRS2 の比
較により左,右駆動輪のスリップ傾向の大小を個別に判
定するための比較器11L ,11R と,左,右駆動輪の
うちスリップ傾向が大となっている駆動輪の個数を判断
するために両比較器11L ,11R の出力信号を入力と
するANDゲート12と,両駆動輪の平均加,減速度α
A および一定の加速度の比較により両駆動輪が加速状態
にあるか否かを検出するための比較器13と,両駆動輪
の平均加,減速度αA および一定の減速度の比較により
両駆動輪が減速状態にあるか否かを検出するための比較
器14と,ANDゲート12の出力に応じてスイッチン
グ状態を変化させるスイッチ回路15と,該スイッチ回
路15のスイッチング態様に応じて制動力制御用高目標
車輪速度VRBH および制動力制御用低目標車輪速度V
RBL の一方ならびに左,右駆動輪速度VDL,VDRを比較
するための比較器16L ,16R と,駆動輪平均速度V
DAおよび出力トルク制御用目標車輪速度VRTを比較する
ための比較器17とを備える。
【0020】かかる制御手段Cにおいては,比較器
L ,10L ,16L の出力信号が左駆動輪制動力制御
部BCLに制御信号として与えられ,比較器9R ,1
R ,16Rの出力信号が右駆動輪制動力制御部BCR
制御信号として与えられ,比較器13,14,17の出
力信号がエンジン出力トルク制御部TC に制御信号とし
て与えられる。而して左,右駆動輪制動力制御部BCL
CRでは,駆動輪速度VDL, DRが制動力制御用高目標
車輪速度速度VRBL あるいは制動力制御用低目標車輪速
度VRBH を超える否か,ならびに各駆動輪が加速状態あ
るいは減速状態にあるかに応じて左駆動輪および右駆動
輪の制動力の増圧,保持および減圧を切換制御する。ま
たエンジン出力トルク制御部TC では,駆動輪平均速度
DAが出力トルク制御用目標車輪速度VRTを超えるか否
か,ならびに駆動輪平均速度VDAに基づいて算出した
加,減速度αA に応じてエンジン出力トルクの減少,保
持,増大を切換えるべくスロットル開度を切換制御す
る。
【0021】判定値算出回路4では,車体速度演算回路
2から入力される車体速度VR に所定の速度たとえば3
km/h程度を加算して,図2で示すように第1判定値
RS1 を算出するとともに第1判定値VRS1 よりもわず
かに小さい第2判定値VRS2を算出する。しかも判定値
算出回路4の出力は,比較器11L ,11R に個別に入
力されるものであり,駆動輪速度VDL,VDRの増大時に
は第1判定値VRS1 を,また駆動輪速度VDL,VDRの減
少時には第2判定値VRS2 を比較器11L ,11R にそ
れぞれ入力する。これにより,比較器11L ,11
R は,駆動輪速度VDL,VDRの増大時にはそれらの駆動
輪速度VDL,VDRが第1判定値VRS1 を超えることをも
って駆動輪のスリップ傾向が大であるとしてハイレベル
の信号を出力し,駆動輪速度VDL,VDRの減少時には,
それらの駆動輪速度VDL,VDRが第1判定値VRS1 より
も低い第2判定値VRS2 以下となるまでは駆動輪のスリ
ップ傾向が大であるとしてハイレベルの信号を出力した
ままである。このように判定値にヒステリシスをもたせ
るのは,スリップ傾向の大小判定にあたってチャタリン
グが生じるのを防止するためである。
【0022】制動力制御用高目標車輪速度算出回路6で
は,入力される車体速度VR に所定のスリップ率を加味
することにより,図2で示すように,制動力制御用高目
標車輪速度VRBH を算出する。また制動力制御用低目標
車輪速度算出回路7では,入力される車体速度VR に,
前記スリップ率よりも低いスリップ率を加味することに
より,図2で示すように前記高目標車輪速度VRBH より
も低い制動力制御用低目標車輪速度VRBL を算出する。
さらに出力トルク制御用目標車輪速度算出回路5では,
前記各スリップ率よりもさらに低いスリップ率を,入力
される車体速度VR に加味することにより,前記各目標
車輪速度VRBH ,VRBL よりも低く,かつ第1および第
2判定値VRS1 ,VRS2 よりも高い出力トルク制御用目
標車輪速度VRTを算出する。
【0023】スイッチ回路15は,制動力制御用高目標
車輪速度算出回路6に接続される個別接点15a,なら
びに制動力制御用低目標車輪速度算出回路7に接続され
る個別接点15bと,比較器16L ,16R に接続され
る共通接点15cとの接続態様をANDゲート12の出
力に応じて切換えるものである。すなわちANDゲート
12の出力がローレベルすなわち左,右駆動輪のいずれ
か一方のみでスリップ傾向が大きくなったとして比較器
11L ,11R のいずれか一方のみがハイレベルの信号
を出力している場合,ならびに左,右駆動輪のスリップ
傾向がともに小さいとして比較器11L ,11R がとも
にローレベルの信号を出力しているときに,スイッチ回
路15は,個別接点15aを共通接点15cに導通させ
るスイッチング態様となり,制動力制御用高目標車輪速
度VRBH が比較器16L ,16Rに入力される。またA
NDゲート12の出力がハイレベル,すなわち左,右駆
動輪のスリップ傾向がともに大きいとして比較器1
L ,11R がともにハイレベルの信号を出力している
ときに,スイッチ回路15は,個別接点15bを共通接
点15cに導通させるスイッチング態様となり,制動力
制御用低目標車輪速度VRBL が比較器16L ,16R
入力される。
【0024】次にこの実施例の作用について説明する
と,左,右両駆動輪のスリップ傾向が大であるとAND
ゲート12で判定されたときには,比較器16L ,16
R に制動力制御用低目標車輪速度VRBL がそれぞれ入力
されるものであり,図6を参照して説明した場合と同
様,目標車輪速度としてVRBL が設定され,制動力制御
と付与トルク制御とがバランスよく実行される。
【0025】また左,右駆動輪の一方たとえば右駆動輪
のみが,スリップ傾向が大であるとANDゲート12で
判定されたときには,スイッチ回路15を介して比較器
16L ,16R には制動力制御用高目標車輪速度VRBH
がそれぞれ入力される。このため,図3で示すように,
たとえば右駆動輪速度VDRが比較的高い目標車輪速度V
RBH を超えるか否かが制動力制御の判断条件の少なくと
も1つとなり,図8で示すような駆動輪平均速度VDA
落ち込みを回避しながら右駆動輪の制動力制御を実行す
ることができ,エンジン出力トルク制御の機会が減少す
ることを回避し,制動力制御と駆動輪への付与トルク制
御とをバランスよく実行し,制動力制御が過剰となって
しまうことを防止することができる。
【0026】しかも駆動輪のスリップ傾向の大小判定に
あたって第1および第2判定値VRS1 ,VRS2 を車体速
度VR に近接した値とし,駆動輪速度VDL,VDRが制動
力制御用目標値VRBL ,VRBH を超える前に前もってス
リップ傾向の大小を判定するようにしたので,トラクシ
ョン制御の実行前に確実に目標車輪速度の切換を行なう
ことができる。
【0027】上記実施例では,左,右駆動輪のいずれか
一方のみのスリップ傾向が大であると判定したときに
は,制動力制御用高目標車輪速度VRBH および制動力制
御用低目標車輪速度VRBL のうち大きい方VRBH を選択
するようにしたが,駆動輪の制動力制御と駆動輪への付
与トルク制御とを組合わせてトラクション制御を実行す
る場合には,出力トルク制御用目標車輪速度VRTを小さ
くするようにしてもよく,左,右駆動輪のいずれか一方
のみのスリップ傾向が大であると判定したときには,制
動力制御用高目標車輪速度VRBH および出力トルク制御
用目標車輪速度VRTの差が大きくなるようにすればよ
い。
【0028】本発明の第2実施例として,制動力制御用
目標車輪速度を駆動輪の加,減速度に応じてより細かく
細分して設定したマップを,左,右両駆動輪のスリップ
傾向がともに大であるときと,左,右駆動輪の一方のみ
のスリップ傾向が大であるときとで,図4で示すように
予めそれぞれ設定していてもよい。
【0029】すなわち,図4では,加速度α1 ,α
2 (α1 <α2 ),ならびに減速度−α1 ,−α2 (−
α2 <−α1 )と,目標車輪速度VRB1 ,VRB2 ,V
RB3 (VRB1 <VRB2 <VRB3 )とに応じて,制動圧の
増圧,保持,減少の3つの制御状態がマップとして設定
されており,より精密な制動力制御が可能となる。
【0030】図5は本発明の第3実施例を示すものであ
り,第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付
す。
【0031】制御手段C′は,左,右駆動輪の制動力を
個別に制御可能な独立制御モードと,左,右駆動輪の制
動力を一括制御可能な一括制御モードとを切換可能であ
り,左駆動輪速度VDLおよび右駆動輪速度VDRの差の絶
対値|VDL−VDR|が予め設定した所定値ΔVを超えた
ときには,独立制御モードが選択される。
【0032】この制御手段C′は,図1で示した制御手
段Cの構成に加えて,さらに駆動輪平均速度演算回路3
で得られた駆動輪平均速度VDLならびに左駆動輪速度検
出器SDLで得られた左駆動輪速度VDLのいずれか一方を
選択して微分回路1L ,判定値算出回路4および比較器
16L に入力するためのスイッチ回路18L と,前記駆
動輪平均速度VDLならびに右駆動輪速度検出器SDRで得
られた右駆動輪速度VDRのいずれか一方を選択して微分
回路1R ,判定値算出回路4および比較器16R に入力
するためのスイッチ回路18R と,左駆動輪速度VDL
よび右駆動輪速度VDRの差の絶対値|VDL−VDR|を算
出する速度差絶対値算出回路19と,前記絶対値|VDL
−VDR|を予め定めた所定値ΔVと比較する比較器20
と,比較器20がハイレベルの信号を出力してから所定
時間遅れてハイレベルの信号を出力するオンディレイタ
イマ21と,比較器20およびオンディレイタイマ21
の出力が並列して入力されるANDゲート22と,AN
Dゲート22の出力がローレベルとなってから所定時間
遅れてローレベルの信号を出力するオフディレイタイマ
23と,ANDゲート22およびオフディレイタイマ2
3の出力が並列して入力されるORゲート24とを備え
ものであり,スイッチ回路18L ,18R のスイッチン
グ態様がORゲート24の出力により切換えられる。
【0033】比較器20は,速度差の絶対値|VDL−V
DR|が所定値ΔVを超えたときにハイレベルの信号を出
力するものであり,前記所定値ΔVは,左,右両駆動輪
のスリップ傾向が大であると判定したときの制動力制御
用目標車輪速度,すなわちANDゲート12がハイレベ
ルの信号を出力するのに応じて選択される制動力制御用
低目標車輪速度VRBL から第1および第2判定値
RS1 ,VRS2 のうち大きい方の判定値VRS1 を減じた
値よりも小さく設定される。また判定値算出回路4は,
車体速度VR に一定値たとえば3km/hを加算して第
1判定値VRS1 を得るとともに,たとえば3km/hよ
りもわずかに小さな一定値を車体速度VR に加算して第
2判定値VRS2 を得るものであるが,前記所定値ΔV
は,第1判定値VRS1 を得るために車体速度VR に加算
する前記一定値たとえば3km/hよりも大きく設定さ
れている。
【0034】またORゲート24は,その出力がハイレ
ベルであるときには,左駆動輪速度VDLおよび右駆動輪
速度VDRを選択し,また出力がローレベルであるときに
は平均駆動輪速度VDAを選択するように,両スイッチ回
路18L ,18R のスイッチング態様を切換えるもので
ある。
【0035】さらにオンディレイタイマ21,ANDゲ
ート22,オフディレイタイマ23およびORゲート2
4の組合せにより,比較器20からのハイレベルの信号
出力が所定時間以上持続したときにORゲート24の出
力がハイレべルとなり,比較器20からのローレベルの
信号出力が所定時間以上持続したときにはORゲート2
4の出力がローレベルとなるものであり,このような構
成により,独立制御モードおよび一括制御モードの切換
制御においてハンチングが生じることを防止することが
できる。
【0036】この実施例によると,第1実施例の効果に
加えて,次のような効果を奏することができる。
【0037】すなわち左側駆動輪が接地している路面の
摩擦係数と,右側駆動輪が接地している路面の摩擦係数
とが異なる走行路を走行しているか否かを,左,右駆動
輪速度VDL,VDRの差の絶対値|VDL−VDR|で確実に
判断し,左側および右側で路面摩擦係数が大きく異なる
走行路を走行中には,独立制御モードを選択し,左,右
駆動輪間の差動制限効果を利用して駆動力重視の制御を
実行することができ,また左側および右側での路面摩擦
係数の差が小さい走行路を走行中には,一括制御モード
を選択して運転フィーリングの向上を図ることができ
る。
【0038】また一括制御モードのときには,左,右駆
動輪速度VDL,VDRの平均値すなわち駆動輪平均速度演
算回路3で得られる駆動輪平均速度VDAにより,スリッ
プ傾向の大小を判定するので,悪路走行時に左,右駆動
輪間の差動装置による左,右駆動輪の干渉により左,右
駆動輪速度VDL,VDR間に多少の位相差が生じても,ス
リップ傾向が大である駆動輪の個数に応じた制動力制御
用高目標車輪速度VRBH および制動力制御用低目標車輪
速度VRBL の選択を不必要に行なうことがなく,目標車
輪速度の切換頻度を抑えて制動力制御の円滑化を図るこ
とができる。
【0039】しかも一括制御モードおよび独立制御モー
ドの選択にあたって,左,右駆動輪速度VDL,VDRの差
の絶対値|VDL−VDR|の比較対象である所定値ΔV
を,制動力制御用低目標車輪速度VRBL から第1判定値
RS1 を減じた値よりも小さく設定することにより,雪
路等の両駆動輪の路面摩擦係数にそれ程差がない走行
路を走行時に両駆動輪のスリップ傾向が大きいと判断さ
れた状態で,独立制御モードおよび一括制御モードの切
換制御と,制動力制御用高目標車輪速度VRBH および制
動力制御用低目標車輪速度VRBL の切換制御とが干渉す
ることを回避することができる。すなわち両駆動輪速度
DL,VDRのうち,一方が第1判定値VRS1 をわずかに
超える値であり,且つ他方が制動力制御用低目標車輪速
度V RBL を超える値であることで,両駆動輪速度V DL
DR の平均速度V DA 制動力制御用低目標車輪速度V
RBL をわずかに超える状態にある場合を想定すると,所
定値ΔVが制動力制御用低目標車輪速度VRBL から第1
判定値VRS1 を減じた値よりも大きく設定されていると
きには,一括制御モードが選択されることがあり,その
一括制御モード選択時に前記両駆動輪速度V DL ,V DR
平均速度V DA が制動力制御用低目標車輪速度VRBL を超
えていることにより両駆動輪に制動力が作用して両駆動
輪速度VDL,VDRがともに低下し,前記一方の駆動輪速
度が第1判定値VRS1 よりも低くなると,制動力制御用
高目標車輪速度VRBH が選択されることになる。而して
目標値が高くなることにより,両駆動輪への制動力付与
が停止され,再び両駆動輪速度が増大して制動力制御用
低目標車輪速度VRBL が選択されるようになる。このよ
うにして所定値ΔVが制動力制御用低目標車輪速度V
RBL から第1判定値VRS1 を減じた値よりも大きく設定
されているときには目標車輪速度の頻繁な切換が生じる
ことがあるのに対し,所定値ΔVを,制動力制御用低目
標車輪速度VRBL から第1判定値VRS1 を減じた値より
も小さく設定している場合には,両駆動輪速度VDL,V
DRのうち,一方が第1判定値VRS1 をわずかに超える値
であり,且つ他方が制動力制御用低目標車輪速度V RBL
を超える値であることで,両駆動輪速度V DL ,V DR の平
均速度V DA 制動力制御用低目標車輪速度VRBL をわず
かに超える状態にある場合でも,独立制御モードが選択
されるので,目標車輪速度の頻繁な切換が生じることは
ない。
【0040】さらに,独立制御モードおよび一括制御モ
ードのいずれかを選択するための基準となる所定値ΔV
よりも小さな一定値を車体速度VR に加算した値を判定
値VRS1 として設定するので,制動力制御による抑制力
が過剰となるのが最も顕著である状態,すなわち左,右
駆動輪の接地路面の摩擦係数が大きく異なる状態を判定
し,適切な一括および独立制御の切換が可能となる。す
なわち,一方の駆動輪速度が車体速度VR に近い値にあ
る状態であっても,他方の駆動輪が第1判定値VRS1
りも大きい状態を左,右で摩擦係数が大きく異なる状態
として確実に判断し,一括制御モードおよび独立制御モ
ードを適切に切換えることができる。
【0041】以上の実施例では,左,右駆動輪速度の平
均値による過剰スリップ状態の判断結果に応じた駆動輪
への付与トルク制御と各駆動輪毎の制動力個別制御とを
組合せたトラクション制御について説明したが,本発明
は,各駆動輪に個別に制動力を加えることのみにより駆
動輪の過剰スリップ状態を解消するようにしたものにつ
いても適用可能であり,この場合において,左右駆動輪
のうちの片輪だけスリップ傾向が大であるときに,該片
輪に対する制動力の過剰制御に因りその制動力が付与ト
ルクへの抑制力として過剰に作用することを防止するこ
とができる。
【0042】た左,右前輪だけでなく左,右後輪も駆
動輪である車両についても本発明を適用可能である。
【0043】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば,車体速度に所定のスリップ率を加味して定めた目標
車輪速度を左,右駆動輪速度が超えるか否かを判断条件
の少なくとも1つとして駆動輪の過剰スリップ状態を判
断するとともにその判断結果に応じて駆動輪の制動力を
制御する車両のトラクション制御方法において,車体速
度よりも大かつ制動力制御用目標車輪速度よりも小とし
て設定される判定値に基づいて,対をなす左右の駆動輪
に対し個別にスリップ傾向の大小を判定し,スリップ傾
向が大とされた駆動輪が左,右片輪の場合は両輪の場合
よりも制動力制御用目標車輪速度を大きく設定するの
で,左右駆動輪のうちの片輪だけスリップ傾向が大であ
るときに,該片輪に対する制動力の過剰制御に因りその
制動力が付与トルクへの抑制力として過剰に作用する
とを防止可能となる。
【0044】また請求項2記載の発明によれば,上記請
求項1記載の発明の構成に加えて,対をなす左,右駆動
輪の制動力を個別に制御可能な独立制御モードと,左,
右駆動輪の制動力を一括制御する一括制御モードとを切
換可能とし,左,右駆動輪の速度差の絶対値が所定値を
超えるのに応じて独立制御モードを選択するので,左側
および右側で路面摩擦係数が大きく異なる走行路を走行
中には,独立制御モードを選択して左,右駆動輪間の差
動制限効果を利用して駆動力重視の制御を実行すること
ができ,また左側および右側での路面摩擦係数の差が小
さい走行路を走行中には,一括制御モードを選択して運
転フィーリングの向上を図ることができる。
【0045】請求項3記載の発明によれば,前記請求項
2記載の構成に加えて,左,右両駆動輪のスリップ傾向
が大であると判定したときの制動力制御用目標車輪速度
から前記判定値を減じた値を,前記所定値よりも大に設
定するので,雪路等の両駆動輪の路面摩擦係数にそれ程
差がない走行路を走行時に両駆動輪のスリップ傾向が大
きいと判断された状態で,独立制御モードおよび一括制
御モードの切換制御と,制動力制御用目標車輪速度の切
換制御とが干渉することを回避できる。
【0046】請求項4記載の発明によれば,前記請求項
3記載の構成に加えて,前記所定値よりも小さな一定値
を車体速度に加算した値を前記判定値として設定するの
で,制動力制御による抑制力が過剰となるのが最も顕著
である状態を判定し,適切な一括および独立制御の切換
が可能となる。
【0047】請求項5記載の発明によれば,対をなす
左,右駆動輪の制動力を個別に制御可能な独立制御モー
ドと,その左,右駆動輪の制動力を一括制御する一括制
御モードとを切換可能にし,左駆動輪が接地している左
側の路面の摩擦係数と,右駆動輪が接地している右側の
路面の摩擦係数とが大きく異なる走行路を走行中には該
独立制御モードを選択するので,左,右駆動輪間の差動
制限効果を利用して駆動力重視の制御を実行することが
でき,一方,その左側と右側の路面摩擦係数の差が小さ
い走行路を走行中には該一括制御モードを選択するの
で,運転フィーリングの向上を図ることができる。また
特に上記独立制御モードでは,車体速度よりも大かつ制
動力制御用目標車輪速度よりも小として設定される判定
値に基づいて,対をなす左右の駆動輪に対し個別にスリ
ップ傾向の大小を判定し,スリップ傾向が大とされた駆
動輪が左,右片輪の場合は両輪の場合よりも制動力制御
用目標車輪速度を大きく設定するので,請求項1記載の
発明の効果が得られる。また特に上記一括制御モードで
は,制動力制御用目標車輪速度を左,右駆動輪速度の平
均値が超えるか否かを前記判断条件の少なくとも1つと
し,前記判定値および左,右駆動輪速度の平均値の比較
によりスリップ傾向の大小を判定するので,悪路走行時
に左,右駆動輪間の差動装置による左,右駆動輪の干渉
により左,右駆動輪速度間に多少の位相差が生じても,
制動力制御用目標車輪速度の不必要な切換を行なうこと
がなく,動力制御の円滑化を図ることができる。
【0048】請求項6記載の発明によれば,車体速度に
所定のスリップ率を加味して定めた出力トルク制御用目
標車輪速度を左,右駆動輪速度の平均値が超えるか否か
を判断条件の少なくとも1つとして駆動輪の過剰スリッ
プ状態を判断するとともにその判断結果に応じて駆動輪
に付与するトルクを制御し,車体速度に前記スリップ率
よりも大きいスリップ率を加味して出力トルク制御用目
標車輪速度よりも大きく定めた制動力制御用目標車輪速
度を駆動輪速度が超えるか否かを判断条件の少なくとも
1つとして駆動輪の過剰スリップ状態を判断するととも
にその判断結果に応じて駆動輪の制動力を制御する車両
のトラクション制御方法において,車体速度よりも大か
つ出力トルク制御用目標車輪速度および制動力制御用目
標車輪速度よりも小として設定される判定値に基づいて
左,右の駆動輪毎にスリップ傾向の大小を判定し,スリ
ップ傾向が大であると判定した駆動輪が左,右いずれか
一方であるときには,制動力制御用目標車輪速度および
出力トルク制御用目標車輪速度の差を,左,右両駆動輪
のスリップ傾向が大であると判定したときに比べて大と
するので,左,右駆動輪の一方のみのスリップ傾向が大
であるときに制動力の過剰制御が生じることを防止し
て,制動力制御および駆動輪への付与トルク制御をバラ
ンスよく実行することができる。
【0049】さらに請求項7記載の発明によれば,上記
請求項1,2,3,4,5または6記載の発明の構成に
加えて,駆動輪のスリップ傾向の大小を判定するため
に,第1判定値と,第1判定値よりも小さい第2判定値
とを予め設定しておき,駆動輪速度が第1判定値を超え
てから第2判定値以下となるまでを,駆動輪のスリップ
傾向が大であると判定するので,スリップ傾向の大小を
判定する際にチャタリングが生じることを防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の制御ブロック回路図である。
【図2】目標車輪速度、判定値および車体速度の関係を
示すグラフである。
【図3】左、右駆動輪の一方のスリップ傾向が大である
ときの特性図である。
【図4】第2実施例における目標車輪速度および駆動輪
加、減速度の関係に基づいて設定した制御マップを示す
図である。
【図5】第3実施例の図1に対応する制御ブロック回路
図である。
【図6】左、右駆動輪のスリップ傾向が大であるときの
状態を示す特性図である。
【図7】左、右駆動輪の一方のみのスリップ傾向が大で
あるときの状態を示す特性図である。
【図8】左、右駆動輪の一方のみのスリップ傾向が大で
あるときに生じる問題を説明するための図である。
【符号の説明】
DA 左、右駆動輪速度の平均値 VDL,VDR 駆動輪速度 VR 車体速度 VRBH 制動力制御用高目標車輪速度 VRBL 制動力制御用低目標車輪速度 VRS1 第1判定値 VRS2 第2判定値 VRT 出力トルク制御用目標車輪速度 ΔV 所定値
フロントページの続き (72)発明者 浦井 芳洋 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平3−31052(JP,A) 特開 平3−132461(JP,A) 特開 平1−114524(JP,A) 特開 平3−231058(JP,A) 特開 平3−109159(JP,A) 特開 昭62−203863(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58 B60K 41/20 F02D 29/02 311 F02D 45/00 312

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体速度(VR )に所定のスリップ率を
    加味して定めた制動力制御用目標車輪速度(VRBL ,V
    RBH )を左,右駆動輪速度(VDL,VDR)が超えるか否
    かを判断条件の少なくとも1つとして駆動輪の過剰スリ
    ップ状態を判断するとともにその判断結果に応じて駆動
    輪の制動力を制御する車両のトラクション制御方法にお
    いて, 車体速度(VR )よりも大かつ制動力制御用目標車輪速
    度(VRBL ,VRBH )よりも小として設定される判定値
    (VRS1 ,VRS2 )に基づいて,対をなす左右の駆動輪
    に対し個別にスリップ傾向の大小を判定し,スリップ傾
    向が大とされた駆動輪が左,右片輪の場合は両輪の場合
    よりも制動力制御用目標車輪速度を大きく設定すること
    を特徴とする, 車両のトラクション制御方法。
  2. 【請求項2】 対をなす左,右駆動輪の制動力を個別に
    制御可能な独立制御モードと,左,右駆動輪の制動力を
    一括制御する一括制御モードとを切換可能とし,左,右
    駆動輪の速度差の絶対値が所定値(ΔV)を超えるのに
    応じて独立制御モードを選択することを特徴とする, 請
    求項1記載の車両のトラクション制御方法。
  3. 【請求項3】 左,右両駆動輪のスリップ傾向が大であ
    ると判定したときの制動力制御用目標車輪速度
    (VRBL )から前記判定値(VRS1 )を減じた値を,前
    記所定値(ΔV)よりも大に設定することを特徴とす
    る, 請求項2記載の車両のトラクション制御方法。
  4. 【請求項4】 前記所定値(ΔV)よりも小さな一定値
    を車体速度(VR )に加算した値を前記判定値
    (VRS1 )として設定することを特徴とする, 請求項3
    記載の車両のトラクション制御方法。
  5. 【請求項5】 車体速度(VR )に所定のスリップ率を
    加味して定めた制動力制御用目標車輪速度(VRBL ,V
    RBH )を左,右駆動輪速度(VDL,VDR)が超えるか否
    かを判断条件の少なくとも1つとして駆動輪の過剰スリ
    ップ状態を判断するとともにその判断結果に応じて駆動
    輪の制動力を制御する車両のトラクション制御方法にお
    いて,対をなす 左,右駆動輪の制動力を個別に制御可能な独立
    制御モードと,その左,右駆動輪の制動力を一括制御す
    る一括制御モードとを切換可能にすると共に,左駆動輪
    が接地している左側の路面の摩擦係数と,右駆動輪が接
    地している右側の路面の摩擦係数とが大きく異なる走行
    路を走行中には該独立制御モードを,またその両摩擦係
    数の差が小さい走行路を走行中には該一括制御モードを
    それぞれ選択し, 独立制御モードでは,車体速度(VR )よりも大かつ制
    動力制御用目標車輪速度(VRBL ,VRBH )よりも小と
    して設定される判定値(VRS1 ,VRS2 )に基づいて,
    対をなす左右の駆動輪に対し個別にスリップ傾向の大小
    を判定して,スリップ傾向が大とされた駆動輪が左,右
    片輪の場合は両輪の場合よりも制動力制御用目標車輪速
    度を大きく設定し, また一括制御モードでは,制動力制御用目標車輪速度
    (VRBL ,VRBH )を左,右駆動輪速度の平均値
    (VDA)が超えるか否かを前記判断条件の少なくとも1
    つとし,前記判定値(VRS1 ,VRS2 )および左,右駆
    動輪速度の平均値(VDA)の比較によりスリップ傾向の
    大小を判定することを特徴とする, 車両のトラクション
    制御方法。
  6. 【請求項6】 車体速度(VR )に所定のスリップ率を
    加味して定めた出力トルク制御用目標車輪速度(VRT
    を左,右駆動輪速度(VDL,VDR)の平均値(VDA)が
    超えるか否かを判断条件の少なくとも1つとして駆動輪
    の過剰スリップ状態を判断するとともにその判断結果に
    応じて駆動輪に付与するトルクを制御し,車体速度(V
    R )に前記スリップ率よりも大きいスリップ率を加味し
    て出力トルク制御用目標車輪速度(VRT)よりも大きく
    定めた制動力制御用目標車輪速度(VRBL ,VRBH )を
    駆動輪速度(VDL,VDR)が超えるか否かを判断条件の
    少なくとも1つとして駆動輪の過剰スリップ状態を判断
    するとともにその判断結果に応じて駆動輪の制動力を制
    御する車両のトラクション制御方法において, 車体速度(VR )よりも大かつ出力トルク制御用目標車
    輪速度(VRT)および制動力制御用目標車輪速度(V
    RBL ,VRBH )よりも小として設定される判定値(V
    RS1 ,VRS2 )に基づいて左,右の駆動輪毎にスリップ
    傾向の大小を判定し,スリップ傾向が大であると判定し
    た駆動輪が左,右いずれか一方であるときには,制動力
    制御用目標車輪速度(VRBH )および出力トルク制御用
    目標車輪速度(VRT)の差を,左,右両駆動輪のスリッ
    プ傾向が大であると判定したときに比べて大とすること
    を特徴とする, 車両のトラクション制御方法。
  7. 【請求項7】 駆動輪のスリップ傾向の大小を判定する
    ために,第1判定値(VRS1 )と,第1判定値
    (VRS1 )よりも小さい第2判定値(VRS2 )とを予め
    設定しておき,駆動輪速度(VDL,VDR)が第1判定値
    (VRS1 )を超えてから小さい第2判定値(VRS2 )以
    下となるまでを,駆動輪のスリップ傾向が大であると判
    定することを特徴とする, 請求項1,2,3,4,5ま
    たは6記載の車両のトラクション制御方法。
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