JP3240063B2 - ブタ肺疫アクチノバチルス菌のサブユニットワクチン - Google Patents

ブタ肺疫アクチノバチルス菌のサブユニットワクチン

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JP3240063B2
JP3240063B2 JP18061791A JP18061791A JP3240063B2 JP 3240063 B2 JP3240063 B2 JP 3240063B2 JP 18061791 A JP18061791 A JP 18061791A JP 18061791 A JP18061791 A JP 18061791A JP 3240063 B2 JP3240063 B2 JP 3240063B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、ブタ肺疫アクチノバチルス菌
(Actinobacillus pleuropne
umoniae)(App)の感染防御用ワクチン組成
物、及び、かかるワクチンの投与によるブタの保護方法
に係る。
【0002】ブタの主な呼吸器疾患であるブタ肺疫は世
界的にまん延し、過急性疾患動物の死亡、急性疾患動物
の治療、及び、慢性疾患動物の出荷の遅れ、などの理由
から深刻な経済的損失を与えている。この疾患の病因と
してActinobacillus pleuropn
eumoniae(A.pleuropneumoni
ae)が同定された。主として、動物間の直接接触によ
って伝染し、感染すると過急性から慢性までの様々な臨
床状態を生じる。疾患は主として気道感染であり、高
熱、重い呼吸困難、せき、食欲不振などの臨床症状を示
す。発病は急激で、罹病率及び致死率も高い。病理的に
注目されるのは、肺の病巣の成長及び分布である。
【0003】ブタのこのようなA.pleuropne
umoniae感染をワクチン接種プログラムによって
抑制することは勿論試みられてきた。
【0004】例えば、不活化A.pleuropneu
moniae菌であるバクテリンがブタのワクチン接種
のために使用されたが、このワクチンには副作用が強い
という欠点がある。更に、バクテリンは、A.pleu
ropneumoniaeの1つの血清型にのみ特異的
な(リポ)多糖に対する抗体を主として誘発するので、
A.pleuropneumoniaeのその他の血清
型の感染を防御できない。また、A.pleuropn
eumoniaeのバクテリンは、フィールド感染に対
する防御効果がよくない。
【0005】防御抗体としてA.pleuropneu
moniaeの莢膜抽出物も報告されている。しかしな
がら、かかる抽出物によってブタ及びマウスを免疫感作
した場合、部分免疫しか得られなかった。更に、莢膜を
ベースとするワクチンは、同種防御(homologo
us protection)しか誘発しない、即ち、
A.pleuropneumoniaeの特定血清型に
由来の莢膜ワクチンを接種されたブタは、A.pleu
ropneumoniaeの異なる血清型の攻撃を防御
できない。
【0006】A.pleuropneumoniaeの
弱毒生ワクチンも多くの欠点を示す。例えば、弱毒が十
分でない病原体が動物に接種される危険があり、また、
弱毒菌が病原性状態に復帰し接種動物を発病させる可能
性及び病原体を他の動物に伝染させる可能性がある。
【0007】従って、血清型に依存せず、ブタに強力な
防御免疫応答を誘発する安全なA.pleuropne
umoniaeワクチンが長年要望されている。
【0008】本発明の目的は、本質的にA.pleur
opneumoniae細胞非含有で、A.pleur
opneumoniaeに由来の2種以上の異なるサブ
ユニット成分の組み合わせから実質的に構成され、ブタ
に高度なA.pleuropneumoniae感染防
御を誘発し、更に血清型非依存性のブタ肺疫用サブユニ
ットワクチンを提供することである。
【0009】本発明は、SDS−PAGEで測定して約
42kDの主要抗原性タンパク質成分を有するA.pl
europneumoniaeの外層膜タンパク質調製
物と、 1.SDS−PAGEで約105kDのA.pleur
opneumoniaeの溶血素(Hly)と 2.SDS−PAGEで約120kDのA.pleur
opneumoniaeのマクロファージ毒素(Ma
t)とから成るグループから選択された少なくとも1つ
の毒素とから得られることを特徴とする本質的にA.p
leuropneumoniae細胞非含有のA.pl
europneumoniaeワクチンを提供する。
【0010】本発明によれば、A.pleuropne
umoniaeの溶血素及び/またはマクロファージ毒
素を、SDS−PAGEで測定して約42kDの主要抗
原性タンパク質成分を有するA.pleuropneu
moniaeの外層膜タンパク質調製物(以後42kD
OMP調製物と呼ぶ)と組み合わせることによって、
ブタのA.pleuropneumoniae感染予防
ワクチンとして使用でき、従来のワクチンにない顕著な
防御特性を示すことが知見された。
【0011】溶血素がブタにある程度の防御を誘発する
ことは公知である。しかしながら、溶血素及び/または
マクロファージ毒素と42kD OMP調製物との双方
を含むワクチンは、A.pleuropneumoni
aeのビルレント菌の攻撃に対して完全な異種防御を誘
発する(実施例3及び5)。HlyまたはMat成分と
42kD OMPとの組み合わせは、ワクチンの防御特
性を予想外に強化した。
【0012】溶血素(Hly)の特徴は、 −A.pleuropneumoniae細胞培養上清
から単離可能なカルシウム誘導性タンパク質である、 −SDS−PAGE(本文中に概説)で測定して分子量
105±5kDを有する、 −溶血素を単離した血清型に依存し、 −熱に感受性、及び、 −プロテイナーゼK処理に感受性の赤血球に対する溶血
活性を有する、ことである。
【0013】溶血素の溶血活性は実施例2.1に概説し
た試験によって確認できる。
【0014】溶血素の溶血活性は不安定であり、分子量
105kDのタンパク質の減少に加えて貯蔵中に消失す
るが、免疫性は失活しない。
【0015】従って、溶血活性を喪失した前記溶血素ま
たは免疫性を維持している溶血素の抗原性フラグメント
を、本発明のワクチンに組込むことができる。
【0016】血清型1〜12のうちで、1、5a、5
b、9、10及び11型が産生する溶血素だけが溶血活
性を有する(実施例2.1)。その他の血清型は、溶血
性を有する105kDタンパク質溶血素に血清学的に近
縁の非溶血性の等価の105kDタンパク質を産生する
(実施例2.3)。本文中ではこの免疫学的等価物また
はそのフラグメントも溶血素と呼ぶ。
【0017】更に、A.pleuropneumoni
aeの1つの溶血性血清型に由来の溶血素に対して誘発
された抗血清は、別の溶血性A.pleuropneu
moniae血清型に由来の溶血素の溶血活性を交差中
和することが判明した(実施例2.3)。
【0018】異なる血清型に由来の溶血素間の上記のご
とき密接な免疫学的関係から、42kD OMP調製物
に加えて、入手可能な任意の溶血性A.pleurop
neumoniae血清型または菌株に由来の溶血素を
含有するA.pleuropneumoniae感染防
御ワクチンを調製できると予想される。
【0019】本発明のワクチンに組込まれるべき溶血素
は、溶血素の発現を促進する条件下にA.pleuro
pneumoniae細胞を培養し、細胞から上清を分
離することによって容易に得られる。溶血素を更に、限
外濾過及び硫酸アンモニウム沈殿させ、次いで分子ふる
いクロマトグラフィーを行なうことによって精製し得
る。
【0020】精製処理中に、実施例2.1に概説した試
験に従い、溶血性菌株から得られた溶血素に富む分画
を、赤血球に対する溶血活性によってモニターし得る。
【0021】本発明のワクチンに組込まれるべき一連の
溶血素に属する溶血素は、以下に概説する手順によって
血清型1のA.pleuropneumoniae細胞
から単離され得る。
【0022】a.0.01%のNAD、1%のIsov
italeX及び25mMのCaclを補充したCo
lumbiaブイヨン中で前記細菌を6時間培養し、 b.得られた培養物の無細胞上清をカットオフ分子量3
00,000Dのフィルターで濃縮し、 c.硫酸アンモニウムを55%飽和まで添加して濃縮上
清から沈殿させ、次いで沈殿物を16,000×gで1
0分間遠心し、 d.10mMのTris−HClバッファに再溶解した
沈殿物をSephacryl S−200カラムで分離
し、 e.最初の溶出ピークを収集する。
【0023】この単離手順は、別のA.pleurop
neumoniae血清型に由来の溶血素を得るために
も使用できる(血清型1の溶血素の精製及び部分キャラ
クタリゼーションは、Frey,J.& Nicole
t, J., FEMS Microbiol.Let
ters(1988),55, 41〜46にも記載さ
れている)。
【0024】マクロファージ毒素(Mat)の特徴は、 −A.pleuropneumoniae細胞培養上清
から得られるタンパク質である、 −SDS−PAGE(本文中に概説)で測定して分子量
120±10kDを有する、 −N末端アミノ酸配列がSer(?)−Thr−Ile
−Thr−Leu−Metである、 −熱に感受性、及び、プロテイナーゼK処理に感受性の
ブタ肺胞マクロファージに対して細胞障害性であること
である。
【0025】Matの細胞障害性活性は実施例4.1に
概説した試験によって確認できる。
【0026】Matの細胞障害性は不安定であり、分子
量120kDのタンパク質の減少に加えて貯蔵中に消失
するが、この性質はMatの免疫特性に必須ではない。
【0027】従って、マクロファージ細胞障害性を喪失
した前記タンパク質または免疫特性をまだ維持している
そのフラグメントも本発明のワクチンに組込まれ得る。
【0028】血清型1〜12のA.pleuropne
umoniaeのうちで血清型2、3、4、6及び8の
基準株がMatを産生した。更に、特定血清型の細胞に
由来のMatに対して誘発された抗体がMat調製物の
マクロファージ細胞障害性活性を中和することが証明さ
れた(実施例4)。
【0029】異なる血清型に由来のMat間の密接な免
疫学的関係から判断して、本発明のワクチンは、入手可
能な任意のA.pleuropneumoniae血清
型またはMat産生菌株から調製され得ると予想され
る。
【0030】本発明のワクチンに組込まれ得るMat
は、Matの発現を促進する条件下にA.pleuro
pneumoniae細胞を培養し、細胞から上清を分
離することによって容易に得られる。限外濾過、クロマ
トグラフィー及び限外濾過による濃縮段階によってMa
tを更に精製し得る。
【0031】精製処理中に実施例4.1に概説した試験
に従って、Matに富む分画のマクロファージ細胞障害
性活性をモニターし得る。
【0032】本発明のワクチンに組込まれ得る一連のマ
クロファージ細胞毒素のキャラクタライゼーション及び
産生を以下の手順で行なう a.A.pleuropneumoniae菌の血清型
2の細胞を0.01%のNADを補充したColumb
iaブイヨン中で37℃で約6時間培養する、 b.カットオフ分子量300,000Dのフィルターを
用いた限外濾過によって培養上清を濃縮する、 c.濃縮物をCL4Bカラムで溶出させる、 d.最初の溶出ピークを収集する、 e.0.45μmの酢酸セルロースフィルターで毒素を
ろ過する。
【0033】同じまたは異なる血清型の別の菌株からM
atを得るためにもこの単離手順を使用できる。
【0034】本発明のワクチンの無毒素成分は、SDS
−PAGE(本文中に概説)で測定して42±5kDの
タンパク質またはその抗原性フラグメントを主要抗原性
タンパク質として含むA.pleuropneumon
iae細胞の外層膜タンパク質調製物(42kD OM
P調製物)であり、42kD OMPは、 −熱変性可能、及び、 −プロテイナーゼK処理に感受性である。
【0035】血清型1細胞に由来の42kD OMP調
製物に対して誘発された抗血清は、A.pleurop
neumoniaeの血清型1〜12に由来の細胞溶解
物と強力に交差反応する。この抗血清は主としてウェス
ターン法で42kD OMPを認識する抗体を含むの
で、42kD OMPが精製OMP調製物中の主要抗原
性タンパク質であると結論できる(実施例1.2)。こ
のことから、溶血素及び/またはMatに加えて、入手
可能なA.pleuropneumoniaeの任意の
血清型に由来の42kD OMP調製物を含有するA.
pleuropneumoniae感染防御ワクチンを
調製し得ると予想される。
【0036】この42kD OMP調製物を得るために
は、42kD OMPの発現を促進する条件下にA.p
leuropneumoniae菌を培養し、音波処
理、磨砕またはフレンチプレスによってA.pleur
opneumoniae細胞を破壊した後で、細胞膜分
画を沈降させ、得られた分画を、密度勾配沈降させるか
またはTriton X−100もしくはサルコシルの
ごとき界面活性剤により内膜を分画可溶化し、次いで、
遠心によって内膜及び外層膜に精製し、所望の場合に
は、更に42kD OMPに富むOMP調製物を調製す
る。
【0037】本発明のワクチンに組込まれ得る42kD
のタンパク質に富む外層膜タンパク質調製物に属する調
製物の1つは、血清型1のA.pleuropneum
oniae細胞から以下の手順で単離され得る。
【0038】a.0.01%のNADを補充したブレイ
ンハートインフュージョンブロス中で細菌を一夜培養す
る、 b.遠心によって細菌細胞を収集し、10mMのHEP
ESバッファに再懸濁させる、 c.超音波処理によって細菌細胞を破壊する、 d.遠心によって大きい細胞破片を除去し、100,0
00×gで1時間遠心することによって上清から膜フラ
グメントを完全に回収し、HEPESバッファに再懸濁
させる、 e.N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム(サルコシ
ル)を最終濃度1%(w/v)まで添加して1時間攪拌
する、 f.100,000×gで1時間遠心して外層膜タンパ
ク質を回収し、HOに再懸濁させる。
【0039】入手可能なすべてのA.pleuropn
eumoniae血清型に由来の42kD OMP調製
物を得るために上記単離手順を使用し得る。
【0040】所望の場合、当業界に公知の方法によって
42kD OMPを均質になるまで精製できる。例え
ば、1種以上の界面活性剤で抽出して前記42kDOM
P調製物から42 kD OMPを可溶化し、次いで、
42kD OMPの感染防御特性を損なわない条件下に
イオン交換体または分子ふるいクロマトグラフィーで更
に精製する。
【0041】本発明のワクチンに組込み可能な溶血素、
Mat及び42kD OMPは、化学的合成、A.pl
europneumoniae細胞培養物の精製、また
は、組換えDNA技術によって得ることができる。
【0042】組換えDNA技術を用いる場合、上記タン
パク質またはそのフラグメントをコードする核酸配列
を、例えば該配列を含む個別クローンのゲノムA.pl
europneumoniae DNAバンクのスクリ
ーニングによって同定する。スクリーニングには、溶血
素、Matまたは42kD OMPに対して誘発された
ポリクローナルまたはモノクローナル抗体との特異的反
応を利用する。核酸配列を種々の発現用DNA配列に結
合して所謂組換え核酸分子を形成し、この分子を用いて
適当な宿主を形質転換する。かかるハイブリッドDNA
分子は、例えばプラスミドに由来してもよく、またはウ
イルス中に存在する核酸配列に由来してもよい。宿主細
胞は細菌のごとき原核生物起原でもよくまたは哺乳類細
胞のごとき真核生物起原でもよい。形質転換された宿主
細胞を使用して溶血素または42kD OMPを産生さ
せ、次いで、このタンパク質を単離し、本発明のワクチ
ンに組込むことが可能である。
【0043】別の実施態様によれば、溶血素及び/また
はMatをコードする遺伝子を含む非病原性微生物、例
えばウイルスまたは細菌と、同じまたは異なる微生物に
クローニングされた42kD OMPとを含むベクター
生ワクチンを調製し得る。
【0044】本発明のワクチンは、いずれもA.ple
uropneumoniaeに由来の溶血素及び/また
はMat成分と42kD OMP調製物成分とから得ら
れる。ワクチンは夫々の成分または免疫特性をまだ維持
している該成分の抗原性フラグメントを含んでもよく、
上記のごとき組換えDNAワクチンの形態であってもよ
い。
【0045】(1つまたは複数の)エピトープを含む本
発明のワクチンのタンパク質成分の免疫化学的に活性の
適当なポリペプチドフラグメントは、特許出願WO86
/06487、Geysen, H.M.他(Pro
c.Natl.Acad.Sci. 81, 3998
〜4002,1984)、Geysen, H.M.他
(J.Immunol.Meth.102,259〜2
74, 1987)に記載された方法で検出され得る。
これは、所謂ペプスキャン(pepscan)法に基づ
いており、考察中の完全ポリペプチドの部分配列に対応
した部分的にオーバーラップする一連のポリペプチドを
合成し抗体との反応性を試験する方法である。
【0046】更に、上記アミノ酸配列を有するポリペプ
チドのいくつかの領域は、理論的考察及び既知のエピト
ープとの構造的一致に基づいてエピトープであると同定
され得る。これらの領域は、Hopp & Woods
(Proc.Natl.Acad.Sci.,78
3824〜3828,1981)による親水性基準と、
Chou & Fasman(Advances in
Enzymology 47, 45〜148, 1
987)の二次構造アスペクトに基づいて決定される。
【0047】必要な場合にもT細胞エピトープも、Be
rzofskyの両親媒性基準(Science 23
,1059〜62,1987)を理論的根拠として同
様に得られる。免疫原性を強化するために小フラグメン
トは担体分子に結合されるのが好ましい。このための適
当な担体は、高分子、例えば天然高分子(カサガイ(k
ey hole limpet)のヘモシアニン、アル
ブミン、毒素のごときタンパク質)、ポリアミノ酸(ポ
リリジン、ポリアラニン)のような合成高分子、または
サポニンのごとき両親媒性化合物のミセルである。また
はこれらのフラグメントがその重合体、好ましくは直鎖
状重合体として提供されてもよい。
【0048】特に、溶血素成分は、血清型1、5a、5
b、9、10または11のA.pleuropneum
oniae菌株に由来する。
【0049】本発明のワクチン中のMat成分は、好ま
しくは血清型2、3、4、6または8のA.pleur
opneumoniae細胞に由来する。
【0050】本発明の最も好ましいワクチンは、A.p
leuropneumoniaeの42kD OMP調
製物、溶血素及びMatに由来の三価(trivale
nt)ワクチンである。
【0051】42kD OMPが血清型1の細胞に由来
し、溶血素が血清型5bの細胞に由来し、Matが血清
型2の細胞に由来するとき三価ワクチンによって極めて
有利な結果が得られる。
【0052】本発明のワクチンは従来の活性免疫感作ス
キームで投与され得る。治療的に有効な免疫原性量を投
与用量に合うように1回投与または反復投与する。ワク
チンを例えば、皮内、皮下、筋肉内、静脈内または鼻孔
内投与し得る。
【0053】前記成分の基準用量は、ブタ一頭あたり約
1μg〜約1mgの範囲である。好ましくはブタ一頭あ
たり約25μg〜200μgの範囲である。
【0054】本発明のワクチンは、溶血素及び/または
Mat成分と42kD OMP調製物成分とを免疫活性
組成物として混合することによって調製され得る。
【0055】筋肉内注射のごとき非経口投与の場合に
は、例えば免疫活性及び/または保存寿命を改良するた
めに、前記成分を医薬として許容される適当な担体、例
えば、任意に別の成分を添加した水性媒体または含水懸
濁液と混合する。これらの別の成分として、塩、pHバ
ッファ、安定剤、乳化剤、免疫応答を増強するアジュバ
ント(例えばビタミンEの水中油型エマルジョン、油中
水型エマルジョン、アルミニウム化合物、ムラミルジペ
プチド、サポニン、ポリアニオン、両親媒性化合物また
はブロック(コ)ポリマー)及び保存剤がある。
【0056】また、ワクチンを別の疾患の免疫感作成分
と組み合わせて多価ワクチンを製造してもよく、または
その他の医薬、例えば抗生物質と組み合わせてもよい。
例えば1種以上のブタ病原体、例えば、偽狂犬病ウイル
ス、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、ブタパーボウイルス、
ブタインフルエンザウイルス、肺炎マイコプラズマ(M
ycoplasma hyopneumoniae)、
大腸菌、ブタ丹毒菌、気管支敗血症菌(Bordete
lla bronchiseptica)及びパスツレ
ラ・マルトサイダ(Pasteurella mult
ocida)などの抗原性物質を更に含む多価ワクチン
を調製し得る。
【0057】実施例1 1.42kDに富む外層膜タンパク質(OMP)調製物
の精製及びキャラクタリゼーション方法 OMPの精製は、本質的にBarenkamp他(J.
Infect.Dis.143, 668〜676;1
981)に記載の方法で行なった。
【0058】App血清型1基準株を、0.01%のN
ADを補充したブレインハートインフュージョンブロス
で一夜培養し、遠心によって細菌を収集し、10mMの
Hepesバッファ(pH7.4)に再懸濁させた。細
菌細胞を氷水で冷却しながら、Branson Son
ifier(B−12型)で、大部分の細菌が破壊され
OD660が少なくとも90%減少するまで超音波処理
した。5,000×gで20分間遠心し次いで10,0
00×gで10分間遠心することによって大きい細胞破
片を除去した。100,000×gで1時間超遠心して
上清から膜を収集し、Hepesバッファに再懸濁させ
た。大きい不溶物を、遠心(11,000×gで20分
間)及び5μmフィルター濾過によって除去した。濾液
にN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム(サルコシ
ル)を最終濃度1%(w/v)まで添加した。1時間攪
拌後に、サルコシル不溶のOMPを1時間100,00
0×gでペレット化し、HOに再懸濁させ、0.45
μmフィルターで濾過した。
【0059】精製したOMP調製物をLaemmliの
方法(Nature 227, 680〜684;19
70)によるSDS−PAGEで流した。
【0060】BSAを標準として用い修正Folin−
Ciocalteuアッセイ(J.Biol. Che
m. 73, 627;1927)によってタンパク質
含量を測定し、グルコースを標準として用いDuboi
s他(Anal.Chem.28, 350〜356;
1956)のフェノール硫酸アッセイによって炭水化物
含量を測定した。
【0061】ゲルに加える前に、サンプルバッファ中の
サンプルを種々の温度(30℃〜100℃)で10分間
処理することによってSDS−PAGEにおけるOMP
の熱変性度を試験した。
【0062】プロテイナーゼK処理に対するOMPの感
受性は以下の手順で試験した。5mMのEDTAと0.
5%のSDSとを補充した100μg/mlのプロテイ
ナーゼK(Boehringer)を含有する10mM
のTris−HClバッファ(pH7.5)中に約0.
05mg/mlのタンパク質を含むようにサンプルを調
整した。穏やかに攪拌しながら37℃で3時間インキュ
ベートした後で、4℃で一夜保存し、プロテイナーゼK
処理サンプル及び偽処理サンプルをSDS−PAGEで
流した。ゲルをCBBまたは銀で染色するか(Wray
他,Anal. Biochem. 118, 197
〜203;1981)、または回復期ブタ血清を用いて
ウェスターン法で処理した(Anal.Bioche
m.120, 46〜51;1982)。使用したブタ
抗血清はすべて、App血清型2または9のフィールド
感染で生き残ったブタまたはApp血清型1、2、5a
または9の実験的抗原投与で生き残ったブタから採取し
た回復期血清であった。
【0063】結果 精製OMP調製物のタンパク質−炭水化物比は1:0.
8であった。精製OMP調製物はCBB染色したSDS
−PAGE中で主要タンパク質として42kDのダブル
バンドを生じ、これは全細菌溶解物及び未精製の全膜調
製物に比較して明らかに濃度増加を示した。図1は、S
himadzu Data Recorder(DR−
2)に接続したShimadzu Dual−Wave
length TLC Scanner(CS−93
0)で行なった精製OMP調製物のゲルスキャンの一例
を示す。42kDタンパク質の純度はタンパク質ベース
で約60%であった。
【0064】SDS−PAGEの前に精製OMPを種々
の温度で前処理すると、70℃以上で前処理したときは
42kDが主要バンドであることが判明した。60℃よ
り低温で前処理すると42kDのバンドが完全に消滅
し、約200kDの別の主要バンドが出現した。この2
00kDのバンドは70℃以上の前処理では存在しなか
った。42kD OMPが熱変性タンパク質であるとい
う結論が得られた。
【0065】精製OMPをSDS−PAGEの前にプロ
テイナーゼKで前処理し、次いでCBBでゲルを染色す
ると、プロテイナーゼK処理後にバンドが全く残存しな
いこと、主要42kDバンドも残存しないこと、しかし
ながら偽処理ではゲルのタンパク質パターンが全く変化
しないことが判明した。ゲルを銀染色すると、プロテイ
ナーゼK処理後には極めて低い分子量のバンド(12〜
20kD)だけが残存したが、偽処理サンプルは主要4
2kDバンドを含む正常バンドパターンを有することが
判明した。ゲルを回復期ブタ血清を用いてウェスターン
法で処理すると、プロテイナーゼK処理後にはいかなる
バンドも発生しないが、偽処理後には正常パターンが発
生することが判明した(図2)。回復期ブタ血清は、銀
染色ゲルで出現したプロテイナーゼK耐性低分子量バン
ドに対する抗体を明らかに含んでいなかった。42kD
OMPはプロテイナーゼKによるタンパク質分解作用
に感受性であるという結論が得られた。
【0066】2.精製42kD OMPの抗原性試験方法 前記のごとく精製した20μgの精製42kD OMP
の油中水型エマルジョンの皮下注射によってモルモット
にワクチン接種した。ワクチン接種の4週間後に、血清
を採取し、細菌溶解物に対してウェスターン法で試験し
た。
【0067】(細菌溶解物は、血清型1〜10のApp
基準株から以下の手順で調製した。細菌を菌株毎に3つ
の15cm大のチョコレート寒天プレートから採取し、
0.3%のホルマリンを含む約10mlのPBS(0.
04M, pH7.2)に懸濁させた。Branson
Sonifier B−12でOD660が約90%
減少するまで細菌を超音波処理によって溶菌した。細菌
及び大きい細胞破片を遠心して沈め、溶菌物を0.45
μmのフィルターで濾過した。溶菌物をタンパク質濃度
1mg/mlに調整した)。
【0068】結果 図3に示すように、ワクチン接種に対する応答は主とし
て42kD(ダブル)バンドに対して生じた。ワクチン
App血清型1の基準株から精製した42kD OM
Pから調製したが、抗体は、血清型1〜10のApp
準株の溶菌物中の同様の42kD(ダブル)バンドを認
識した。従って、42kD OMPは試験したすべての
App血清型に存在する共通の交差反応性抗原であると
の結論が得られた。
【0069】実施例2 1.App菌株の溶血活性方法 本質的にFrey & Nicolet(Infec.
Immun.56,2570〜2575;1988)に
記載の手順で菌株の溶血活性を試験した。1%のIso
VitaleX(商標)(BBL)、0.01%のβ−
NAD(Sigma)及び25mMのCaCl(Me
rck)を補充したColumbiaブイヨン(Dif
co)中で細菌を37℃で対数増殖期の後半期(mid
−end)まで4〜6時間増殖させた。細菌細胞を1
2,000×gで10分間遠心して沈め、上清をTri
s緩衝生理食塩水(TBS;0.85%のNaCl中に
10mMのTris−HCl,pH7.5)中で系列希
釈した。等容のTBS中の2%ウマ赤血球懸濁液を上清
希釈物に添加した。混合物を攪拌しながら37℃で2時
間インキュベートし、次いで4℃での静止インキュベー
ションを一夜行なって赤血球を沈降させた。得られた上
清の吸光度を540nm(A540)で測定した。各ア
ッセイで、1部の蒸留水と1部の2%ウマ赤血球とから
成る100%対照を少なくとも4つ試験した。
【0070】陰性対照は、1部のTBSと1部の2%赤
血球とから構成した。溶血活性は、100%対照の平均
に対して25%の溶血を与える培養上清の希釈度として
示した。非希釈サンプルが100%対照の平均に対して
25%以上の溶血を示したときサンプルが陽性であると
判定する。陰性対照は、A540が0.100以下であ
るように、赤血球懸濁液に対する品質対照として使用し
た。
【0071】結果 表1はApp基準株の結果を示す。方法の項で記載した
アッセイを使用すると、App血清型1、5a、5b、
9、10及び11は溶血性であることが観察されたが、
その他の血清型は陰性であった。Appのフィールド単
離物の試験でもほぼ同じ血清型が溶血性であった。
【0072】 2.溶血素の精製及びキャラクタリゼーション方法 溶血素を精製するために、App血清型1または血清型
5b基準株を、1%のIsoVitaleX(商標)、
0.01%のNAD及び25mMのCaClを補充し
たColumbiaブイヨン中で37℃で約6時間増殖
させた。その後の段階はすべて4℃で行なった。遠心
(16,000×gで30分間)及び酢酸セルロース膜
フィルターを用いた0.45μm濾過によって細菌を除
去した。無細胞上清を、PTMKフィルター(分子量カ
ットオフ300,000;ポリスルホン)を備えたMi
nitan(商標)システム(Millipore)を
使用した:限外濾過によって濃縮した。溶血素を55%
飽和硫酸アンモニウムで一夜沈殿させ、16,000×
gで10分間遠心し、10mMのTris−HClバッ
ファpH7.5に再溶解させた。最後に、溶血素をSe
phacryl S−200またはCL4Bカラム(P
harmacia)で10mMのTris−HClバッ
ファ(pH7.5)を溶出バッファとして溶出させた。
最初の溶出ピークが溶血素を含有していた。
【0073】精製した溶血素調製物をLaemmliの
方法(Nature 227, 680〜684;19
70)によるSDS−PAGEで流した。
【0074】培養上清の硫酸アンモニウム沈殿によって
すべての血清型から粗溶血素調製物を調製した。特に注
釈がなければ全部の調製物を−70℃で保存した。
【0075】培養上清を60℃で10分間加熱し次いで
溶血活性を(前記のごとく)試験して熱感受性を試験し
た。プロテイナーゼK処理に対する感受性は、0.02
mg/mlのプロテイナーゼK(Boehringe
r;T.album由来)と共に培養上清を37℃で1
0分間インキュベートし次いで溶血活性を試験すること
によって測定した。
【0076】トリプシンに対する感受性は、0.02m
g/mlのトリプシン(Sigma)の存在下で培養上
清を37℃で10分間インキュベートし、次いで0.0
3mg/mlのトリプシンインヒビター(Sigma)
を添加して37℃で更に10分間インキュベートするこ
とによって試験した。0.6mg/mlを含有する精製
溶血素を0.1mg/mlのプロテイナーゼKと共に3
7℃で3時間インキュベートし、次いでSDS−PAG
Eで処理した。調製物を種々の温度で種々の期間保存し
次いでSDS−PAGE分析を行なうことによって精製
溶血素の安定性を測定した。
【0077】結果 方法の項で記載の手順で血清型1及び血清型5bの基準
株から精製された2種類の溶血素は、CBB染色後にS
DS−PAGEで105kDのバンドを生じた。精製血
清型5bの溶血素のゲルスキャンを図4に示す。SDS
−PAGEでの見掛け分子量は約105kDであった
が、天然型(native)溶血素は分子量カットオフ
300,000kDのフィルターによる濾過中にも保持
されていた。更に、ゲル濾過で得られた溶出プロフィル
によれば、天然型溶血素またはその集塊は少なくとも分
子量10×10Dを有するという結論が得られた(図
5)。Sephacryl S−1000(Pharm
acia)カラムを用いマーカータンパク質としてウシ
のチログロブリン(分子量約669kD;Sigma)
を使用すると、ボイドボリューム(void volu
me)の直後に溶血素が溶出し、チログロブリンは保持
されていた。
【0078】精製溶血素調製物のタンパク質−炭水化物
比は約10:1であった。
【0079】表1に示す基準株の培養上清からの粗溶血
素調製物はすべて、SDS−PAGEにおいて同様の1
05kDのバンドを示した。記載のアッセイで試験した
溶血活性のない基準株も同様に、すべてが溶血性菌株と
同様の105kDバンドを示した。
【0080】細菌の培養後2〜3日以内に精製を行なう
限りは精製溶血素が溶血活性を維持していた。溶血素を
−70℃で保存したときは溶血活性は安定であったが、
4℃以上の温度で保存した場合には溶血活性が数日で消
滅した。
【0081】また、精製溶血素を4℃以上の温度で保存
したときにSDS−PAGEにおいても105kDのタ
ンパク質は安定でなかった。溶血素を4℃、室温または
37℃で7日間保存したとき、タンパク質バンドの見掛
け分子量は逐次減少し、37℃で保存後には約65kD
になった。一例として図6は、−20℃及び37℃で保
存された精製溶血素のゲルスキャンを示す。
【0082】溶血性血清型(表1参照)に属する菌株の
培養上清中の溶血活性は、60℃で10分間加熱すると
完全に消滅した。培養上清中の溶血活性はまた、プロテ
イナーゼKまたはトリプシン処理にも感受性であった。
培養物に0.5%のホルマリンを添加し室温または37
℃で一夜インキュベートしても溶血活性が消失した。
【0083】3.精製溶血素の抗原性試験及び抗血清の
交差反応方法 App血清型1、2、5aまたは9に実験感染させ生き
残ったがApp感染の典型的な肺病巣がかなり発達した
ブタから回復期ブタ血清を採取した。
【0084】前述のごとく血清型1または血清型5bの
基準株から精製した精製溶血素を6週間の間隔をあけて
2回筋肉内注射してウサギに超免疫血清を誘発した。1
00μgの精製した血清型1の溶血素をフロインド完全
及びフロインド不完全アジュバントに夫々いれ、2回投
与してウサギを免疫感作した。25μgの精製した血清
型5bの溶血素をtocol誘導体エマルジョンに入
れ、2回投与してウサギを免疫感作した。
【0085】また、ウサギで、種々の温度、即ち−70
℃、4℃及び室温で長期間保存したApp血清型5bか
ら得られた精製溶血素に対する超免疫血清を誘発した。
油中水型エマルジョンの形態で25μgの溶血素を6週
間の間隔をあけてウサギに2回筋肉内投与した。種々の
温度に維持した調製物の熟成期間は、プライミング注射
では75日間であり、ブースター注射では118日間で
あった。プレ免疫血清による血清学的試験(Elis
a、ウェスターン法)によれば、全部の動物がSPF品
質であるかまたは少なくともApp非感染であった。ブ
ースター注射の2週間後に抗血清を収集した。
【0086】モノクローナル抗体(MAb)を産生する
ハイブリドーマ系を標準法によって調製した。Balb
/cマウスをApp血清型1からの精製溶血素で免疫感
作し、脾臓細胞をAg8ミエローマ細胞と融合させ、陽
性ハイブリドーマ細胞を限界希釈によってクローニング
した。ハイブリドーマ培養上清またはマウス腹水からM
Abを採取した。
【0087】精製した血清型1及び血清型5bの溶血素
をコーティング抗原として使用し、標準法でElisa
(Enzyme−linked immunosorb
ent assay)を実施した。系列希釈の前に抗血
清を予め1:100に希釈した。1:100希釈のプレ
免疫血清からバックグラウンド吸収値を算出した。バッ
クグラウンド吸収値の1.15倍以上の吸収値を与える
最大血清希釈度をElisa力価と定義した。
【0088】粗溶血素調製物及び精製溶血素調製物を前
述のごときウェスターン法で処理した。
【0089】抗血清による溶血活性の中和を以下のごと
く試験した。培養上清を前述のごとく調製した。抗血清
を1:25に予備希釈し、TBS中で系列希釈した。希
釈した抗血清に等容の未希釈培養上清を添加し、次いで
37℃で30分間インキュベートした。これらの混合物
の溶血活性を前述のごとく試験した。中和力価は、2倍
希釈した培養上清に対して50%の溶血性を与える血清
希釈度であると定義した。プレ免疫血清を各アッセイで
陰性対照として用いた。
【0090】結果 表2に示すように、App血清型1、5aまたは9に感
染させた後に生き残った回復期ブタ血清は、血清型1及
び5bから精製された溶血素に対してElisa中で高
い抗体価を有し、App血清型1、5b及び9の培養上
清の溶血活性を中和した。血清型2の回復期ブタ血清だ
けがElisaで血清型1及び5bに対して中程度の抗
体価を有していたが、溶血活性の中和は検出できなかっ
た。
【0091】App血清型1及び5bに由来の精製溶血
素に対して誘発された超免疫ウサギ抗血清は、血清型1
及び5bの溶血素に対してElisaで高い抗体価を示
し、双方の抗血清が血清型1、5b及び9の溶血素の中
和を示した。
【0092】App血清型1の溶血素に対して調製され
た異なる4つのMAbは、血清型1及び5bの溶血素の
双方に対してElisaで高い抗体価を示したが、溶血
活性の中和は全く観察されなかった。試験した全部のA
pp血清型1の抗血清(回復期ブタ血清、超免疫ウサギ
血清及びMAb)は、ウェスターン法で、精製血清型1
及び5bの溶血素中の105kDのバンド及び全部のA
pp血清型(1〜12)の粗溶血素調製物中の105k
Dのバンドと反応した。例えば図7は、粗溶血素調製物
及び精製App血清型5b溶血素とMAbの1つとのウ
ェスターンブロットを示す。
【0093】(1)105kDの不安定溶血素は、能動
感染においても抗原性であり、精製溶血素で免疫感作し
た後にも抗原性である、(2)抗溶血素抗体は、記載の
アッセイで試験したときに溶血活性を示さない菌株を含
むすべてのApp血清型(1〜12)によって産生され
た同様の105kD抗原と交差反応する、(3)誘発さ
れた抗体は、溶血性血清型に由来の105kD抗原によ
って誘発されたものである限りは、種々の血清型の溶血
活性の交差中和を示す、という結論が得られた。MAb
が溶血活性に関与しないエピトープを認識することは明
らかである。
【0094】前述のごとく、4℃以上の温度で精製溶血
素を保存すると、SDS−PAGEでの見掛け分子量が
105kDから65kDまで逐次減少した。表2に示す
ように105kDの溶血素に対して誘発された抗血清
は、ウェスターン法では、見掛け分子量の減少した(デ
ータ示さず)熟成溶血素調製物と反応した。ウサギの免
疫感作後の熟成調製物の抗原性を表3に示す。SDS−
PAGEでの見掛け分子量が減少した熟成溶血素は、A
pp血清型1及び5bのもとの105kD溶血素と反応
性の抗体を産生するという結論が得られた。抗体価があ
る程度減少することは観察されたが、65kDの熟成溶
血素調製物で免疫感作すると極めて高い抗体価をもつ抗
血清が産生した。これらの抗血清はまた、溶血活性の中
和を示した。
【0095】
【0096】
【0097】実施例3 ブタのワクチン接種によるApp攻撃に対する防御方法 DeVilbiss 65超音波ネブライザー(DeV
ilbiss Co.,Pennsylvania,
U.S.A.)でエアゾールを噴霧することによってブ
タをAppで攻撃した。このネブライザーの使用は、A
ppの病原論の研究及びより詳細にはワクチンの評価の
ために、Sebunya他(Can.J. Comp.
Med. 47, 48〜53;1983)によって
推奨されている。
【0098】血清型1及び5aのApp基準株で攻撃し
た(表1)。0.01%のNADを補充したブレインハ
ートインフュージョンブロスまたは1%のIsoVit
aleX(商標)及び0.01%のNADを補充したC
o1umbiaブイヨン中で細菌を約6時間増殖させ、
遠心によって収集し、生理食塩水に所望濃度まで再懸濁
させた。チョコレート寒天プレートで生菌数をカウント
した。
【0099】マイナス圧力下で動物を攻撃し、SPF条
件下に空調室に収容した。
【0100】攻撃のために、約50mlの細菌懸濁液を
15分間噴霧した。抗原投与室の外部にネブライザーを
置き、そのエアゾール室を床上約1.50mの多孔管に
壁を介して接続した。1つの実験では、ワクチン接種し
た全部の動物及び対照動物を同じ抗原投与室で一緒に攻
撃した。攻撃後に動物を2週間観察した。攻撃の2週間
後にブタの死亡数及び生存数を検査し、病巣を死後観察
した。Appに罹患した典型的な肺病巣、出血性壊死線
維素性胸膜肺炎を肺の患部の%に基づいて0〜4の段階
で評価した。:0=病巣無し;1=患部<25%;2=
25%<患部<50%;3=50%<患部<75%;4
=患部>75%。
【0101】種々の産地のブタを実験に用い、種々の齢
(age)に種々のワクチンを種々の抗原量でワクチン
接種し、血清型1及び5aのApp菌で攻撃した。どの
ワクチンも各2mlの薬用量を頸部から筋肉内投与し
た。1回目のワクチン接種と2回目のワクチン接種との
間を6週間あけ、2回目のワクチン接種の2週間後にブ
タを攻撃した。ワクチン中の抗原量は精製調製物の総タ
ンパク質含量に基づいて計算した。
【0102】抗原は実施例1.1に記載のごとく精製さ
れた42kDの外層膜タンパク質(OMP)調製物、実
施例2.2に記載のごとく精製された溶血素(Hl
y)、または、種々の血清型の不活化App菌を含有す
る2つの市販ワクチンであった。これらのバクテリンを
製造業者の指示通りに投与した。各実験の詳細は結果の
項で説明する。
【0103】結果 実験1(表4)から、2つの市販バクテリンは、攻撃菌
株(App)と同じ血清型の不活化細菌を含有していた
が、攻撃に対する防御を誘発しなかったと結論できる。
【0104】実験2(表5)では、いずれもApp血清
型1から精製した溶血素と42kDOMP調製物との組
み合わせワクチンでブタをワクチン接種すると、致死率
及びApp肺病巣に双方に関してApp 5aの攻撃に
対するほとんど完全な防御が観察されることが判明し
た。この場合の肺病巣の平均スコア0.3は、解剖所見
で1頭のブタに小さいApp肺結節が観察されただけで
あることを意味する。
【0105】実験3(表6)では、極めて若いブタに、
App血清型5bから精製された溶血素と血清型1から
精製された42kD OMP調製物との組み合わせワク
チンを種々の用量で接種し、次いでApp血清型1で攻
撃した。対照動物に比較して、種々の抗原量でワクチン
接種したすべてのブタは、App感染による死亡率に関
してもApp肺病巣に関しても完全に防御した。
【0106】実験4(表7)は、ブタの産地及び状態が
違う以外は実験3と極めて類似している。実験3ではワ
クチン抗原に対する母系抗体をもたないSPFブタを使
用したが、実験4ではワクチン成分に対して高い抗体価
をもつ母親から生まれたブタを使用した。5週齢でワク
チン接種する時点で、ブタは、双方のワクチン成分、即
ち溶血素及び42kD OMPに対して1:100〜
1:1,000のElisa抗体価を有していた。母系
抗体をもつブタを用いたこの実験でも、溶血素と42k
D OMP調製物との組み合わせワクチンの接種は、A
pp血清型1による攻撃を防御した。
【0107】これらのワクチン接種実験から、溶血素と
42kD OMP調製物との組み合わせでブタにワクチ
ン接種すると、App攻撃の完全な防御を誘発するとい
う結論が得られた。防御は、同種App血清型(攻撃用
App血清型と同じ血清型から精製された抗原)だけで
なく異種App血清型(攻撃用App血清型とは異なる
App血清型から精製された抗原)に対しても有効であ
った。
【0108】表4.ワクチン接種実験No.1 (a) ワクチン(b) 攻撃菌株(c) 死亡率 平均肺病巣(d)抗原(血清型) 抗原量(μg) (血清型) (死亡数/総数) Delsuvac HP バクテリン App1 1/3 2.0 Pleurovac バクテリン App1 2/3 3.3 対照 − App1 1/4 2.3 a)SPFブタ;12週齢で最初のワクチン接種;グル
ープあたり3または4頭 b)App血清型1、2、3、6、8及び9の細菌を含
有するDelsuvacHP(Mycofarm, T
he Netherlands)。App血清型1、
2、3、4、6及び8の細菌を含むPleurovac
(BloxhamVeterinary Produc
ts Ltd., Ireland)。 c)攻撃用懸濁液中の生菌数:1×10/ml d)肺の患部%に基いて0〜4の段階で評価したApp
肺病巣の程度:0=病巣無し;1=1〜25%、2=2
6〜50%、3=51〜75%、4=>75%。表5.ワクチン接種実験No.2 (a) ワクチン(b) 攻撃菌株(c) 死亡率 平均肺病巣(d)抗原(血清型) 抗原量(μg) (血清型) (死亡数/総数) Hly(1)/OMP(1) 50/200 App5a 0/3 0.3 対照 − App5a 3/3 4.0 a)市販のApp非感染ブタ;8週齢で最初のワクチン
接種;グループ当たり3頭 b)ワクチン処方:油中水型エマルジョン c)攻撃用懸濁液中の生菌数:6×106/ml d)表4の説明参照。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】実施例4 1.App菌株の細胞障害活性方法 細胞障害性試験のために、App培養上清をブタ肺胞マ
クロファージと共にインキュベートした。0.01Mの
EDTAと20mMのHepes, pH7.4とを補
充したHankの平衡塩溶液(Flow)でブタの肺を
洗って肺胞マクロファージを単離した。EDTAを含ま
ない同じ溶液で細胞を3回洗浄し、最後に遠心した後
に、細胞を10%のウシ胎児血清(Gibco)を補充
したRPMI1640培地(Flow)に懸濁させ、最
終濃度2×10/mlに調整した。円形ガラスカバー
スリップ(直径12mm;Tamson)を付けた組織
培養プレート(24ウェル;Costar)の各ウェル
に最終細胞懸濁液を0.5ml/ウェルで接種し、5%
CO雰囲気中で37℃で2時間マクロファージを付着
させた。引き続いて、プレートを無血清RPMI164
0培地で3回洗浄した。0.01%のβ−NAD(Si
gma)を補充したColumbiaブイヨン(Dif
co)中で、対数増殖期の後半期まで37℃で4〜6時
間細菌を増殖させた。遠心によって細菌を除去し、マク
ロファージを付着させた組織培養プレートのウェルに上
清を0.5ml/ウェルで添加した。37℃で2時間イ
ンキュベーション後に、マクロファージが付着したカバ
ースリップをRPMI1640で3回洗浄し、上下を反
転させ、0.05%のTrypan Blue(Mer
ck)を含む20μlのPBSを滴下したガラススライ
ドに密着させた。トリパンブルーを吸収して青色に染色
された死細胞のパーセンテージを位相差顕微鏡で観察し
た。陰性対照はColumbiaブイヨンでインキュベ
ートされたマクロファージから構成した。
【0114】結果 表8に示すように、全部のApp基準株が肺胞マクロフ
ァージに対して細胞障害性であり、これは細菌によって
分泌された活性である。陰性対照はマクロファージに対
して10%以下の細胞障害性を示した。
【0115】溶血性菌株の細胞障害性は、実施例2に記
載の溶血素に起因すると考えることができるが、非溶血
性菌株は別の毒性分子を産生しているのであろう。溶血
活性と対照的に、補充CaClを存在させずに細菌を
増殖させるときにもマクロファージ毒性が発現した。
【0116】
【0117】2.Appマクロファージ毒素(Mat)
の精製及びキャラクタリゼーション方法 マクロファージ毒性活性のApp血清型2を精製するた
めに、実施例2の非溶血性菌株を、0.01%のNAD
を補充したColumbiaブイヨン中で37℃で約6
時間増殖させた。遠心によって細菌を除去し、分子量カ
ットオフ300,000のフィルターで限外濾過して培
養上清を濃縮し、濃縮物を、Sepharose CL
4Bカラムで溶出させる段階を含む実施例2.2の溶血
素精製とほぼ同じ手順で更に精製した。最初に溶出した
ピークは毒性活性を含んでいた。活性または抗原を損失
させずに0.45μmの酢酸セルロースフィルター(S
artorius)で毒素を濾過することが可能であっ
た。
【0118】培養上清の硫酸アンモニウム沈殿によって
全部の血清型から粗Mat調製物を調製した。特に注釈
がなければ全部の調製物を−70℃または−20℃で保
存した。
【0119】Matの熱感受性、プロテイナーゼK感受
性及び安定性を実施例2.2の溶血素試験と同様に試験
した。Laemmliの方法でSDS−PAGEを行な
った。
【0120】上記のごとく調製したMat調製物を電気
泳動及びelectoblottingで処理して得ら
れたサンプルのN−末端アミノ酸を分析した。
【0121】簡単に説明すると、Laemmli系(N
ature 227, 前出)に使用されたランニング
ゲルバッファによってPAGEゲルを調製した。電気泳
動後のタンパク質を、10mMのCAPS,pH9〜1
1/10%メタノールを転移バッファとして使用しPV
DF(Immobilon−P(登録商標)、Wate
r/Millipore)にブロットした。
【0122】ブロットに由来のタンパク質を、PTH−
アミノ酸の逐次遊離を同定するHPLC(Model
120A、Applied Biosystems)に
オンライン接続された全自動シークエネータ(パルス−
液体、Model477A、Applied Bios
ystems)を用いたエドマン分解によって配列解析
した。
【0123】結果 上記手順で血清型2基準株から精製されたマクロファー
ジ毒素(Mat)は、2〜3日以内に4℃で精製する限
り毒性活性を示した。血清型2基準株は実施例2に記載
のごとく不活性溶血素を産生するので、120kDのバ
ンドはMatを示すと考えられる。
【0124】粗Mat調製物の評価によれば、血清型
2、3、4、6及び8の上清はSDS−PAGEにおい
て同様の120kDのバンドを示した。血清型10の培
養上清は、120kDよりもやや高い場所にバンドを示
した(表8)。いくつかの血清型2及び5のフィールド
単離物においても同様の120kDのバンドが観察され
た。
【0125】Mat調製物を60℃以上の温度で15分
間処理するかまたはプロテイナーゼKによって処理した
後にマクロファージ毒性は完全に消滅していた。SDS
−PAGE中の120kDのタンパク質は−20℃での
保存に安定であるが、4℃で3箇月保存後にはSDS−
PAGEの120kDバンドが分解していた。
【0126】MatのN末端アミノ酸配列解析によっ
て、以下のアミノ酸配列:Ser(?)−Thr−Il
e−Thr−Leu−Metが判明した。(?)は推定
アミノ酸を示す。
【0127】3.マクロファージ毒素(Mat)の抗原
性及び抗血清の交差反応方法 実施例2.3に記載のごとき回復期ブタ血清を使用し
た。モノクローナル抗体(MAb)を産生するハイブリ
ドーマ細胞系を標準法で調製した。Elisaにおいて
App血清型2に由来の精製Matとの反応性を示すが
血清型1または5bの精製App溶血素との反応性を示
さないMAb産生ハイブリドーマをスクリーニングによ
って選択した。
【0128】前述のごときウェスターン法を実施した。
MAt活性の中和を試験するために、等容のApp培養
上清を抗血清希釈物に添加し、次いで37℃で30分間
インキュベートした後に、実施例4.1に記載のごとく
毒性試験を行なった。
【0129】結果 App血清型2に感染して生き残ったブタの回復期血清
はウェスターン法でMat調製物の120kDのバンド
を認識したが、App血清型1、5a及び9に感染した
ブタの血清は認識しなかった。回復期App血清型2血
清はMat活性も中和した。
【0130】MAb Int 33−8はMat活性を
中和し、ウェスターン法で血清型2、3、4、6及び8
の粗Mat調製物の120kDのバンドと交差反応した
が、その他の(基準)血清型の粗Mat調製物とは交差
反応しなかった(図8)。
【0131】血清型2のフィールド単離物及びいくつか
の血清型5のフィールド単離物の粗Mat調製物も12
0kDバンドと反応することが観察された。 MAb
Int 33−4はウェスターン法で、血清型2の調製
物の120kDバンドとだけ反応しその他の血清型に由
来の調製物とは反応しなかった。
【0132】前述のごとく、精製Matを4℃で3箇月
保存すると、CBB染色SDS−PAGEで120kD
バンドの分解が観察された。しかしながら、かかる熟成
調製物はウェスターン法で約70〜80kDにMAb
Int 33−8と反応性のバンドを示した。
【0133】実施例5 三価ワクチンのワクチン接種によるApp攻撃に対する
ブタの防御方法 実施例3に記載の攻撃手順を用いた。1つの実験では
(no.8)、10の生菌を含む1mlの6時間培養
物をブタに鼻孔内投与して攻撃を行なった。使用した攻
撃菌株は、App血清型1基準株または血清型2もしく
は9のAppフィールド単離物であった。
【0134】実施例3に記載の手順でワクチン接種し
た。ワクチンに含ませる抗原量は、精製調製物の総タン
パク質含量に基づいて計算した。抗原は実施例1.1に
記載のごとく精製した42kDの外層膜タンパク質(O
MP)、実施例2.2に記載のごとく精製した105k
Dの溶血素(Hly)及び実施例4.2に記載のごとく
精製した120kDのマクロファージ毒素(Mat)で
あった。
【0135】各実験の詳細は結果の項で説明する。
【0136】結果 実験5(表9)では、実施例3でも使用した105kD
溶血素と42kD OMPとを含む二価ワクチンによる
App血清型2の攻撃に対する防御を試験した。この表
に示すように、ワクチンは病変に対してある程度の防御
を誘発したが、血清型2の攻撃を完全には防御しなかっ
た。従って、App血清型2に対する完全な防御を得る
ためには、ワクチンが追加成分、例えば実施例4に記載
のごとき120kDマクロファージ毒素を含んでいなけ
ればならないと結論できる。
【0137】実験6(表10)において、血清型2から
精製された120kDマクロファージ毒素(Mat)と
血清型1から精製された42kD OMPとを含むワク
チン、または血清型2から精製された120kD Ma
tと、血清型1から精製された42kD OMPと血清
型5bから精製された105kD溶血素(Hly)とを
含むワクチンをブタに接種した。120kDのMatと
42kDのOMPとを含有する二価ワクチンは、App
血清型1で攻撃後の病変を防御しなかった。ワクチンが
App血清型1の感染防御のために105kDの溶血素
を含む必要があること、及び、攻撃に使用されたApp
血清型1菌株が120kDのMatを発現しなかったこ
とは実施例3から判明していたので、この防御の欠如は
予想されていた。
【0138】意外にも血清型5b細胞から精製された1
05kDのHlyを二価ワクチンに添加すると、App
血清型1の攻撃に対する十分な防御が誘発された。
【0139】実験7(表11)では、実験6と同じ二価
及び三価のワクチンによるApp血清型2の攻撃に対す
る防御を試験した。表に示すように、双方のワクチンは
死亡率及び肺病変に関してはApp血清型2の攻撃に対
して十分な防御を示した。従って、二価の105kD
Hly/42kD OMPワクチンに120kD Ma
tを添加すると、ワクチンがApp血清型2も防御し得
ることが判明する。
【0140】実験8(表12)では、120kD Ma
t、42kD OMP及び105kD Hlyを含む実
験7で使用したものと同じ三価ワクチンがApp血清型
9の菌株による完全異種攻撃に対してもブタを防御する
ことが判明した。
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【図面の簡単な説明】
【図1】42kDに富むOMP調製物を流したSDS/
PAGEゲルのスキャン。
【図2】プロテイナーゼK処理したOMP調製物と回復
期ブタ血清とのウェスターンブロットである。レーン1
及び4:粗OMP;レーン2,3,5及び6:精製OM
P;レーン1〜3:偽処理;レーン4〜6:プロテイナ
ーゼK処理。
【図3】細菌溶解物とワクチン接種後血清とのウェスタ
ーンブロット。
【図4】精製溶血素(B)及びマーカータンパク質を夫
々流したSDS−PAGEゲルのスキャン。
【図5】Sephacryl S−1000カラムを用
いた溶血素の溶出プロフィル。
【図6】マーカータンパク質(A)及び−20℃または
37℃で保存した精製溶血素(B)のゲルスキャン。
【図7】粗溶血素調製物及び精製App血清型5b溶血
素(*)とApp血清型1溶血素に対して感作されたモ
ノクローナル抗体とのウェスターンブロット。
【図8】粗Mat調製物とApp血清型2のMatに対
して感作されたモノクローナル抗体とのウェスターンブ
ロット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 欧州特許出願公開354628(EP,A 1) Infection and Imm unity,(1990),Vol.58,N o.2,p.358−365 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 39/02 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SDS−PAGEで測定して42±5
    Dの主要抗原性タンパク質成分を有するブタ肺疫アクチ
    ノバチルス菌(Actinobacillus ple
    uropneumoniae)の外層膜タンパク質調製
    物と、 1.SDS−PAGEで105±5kDのA.pleu
    ropneumoniaeの溶血素と、 2.SDS−PAGEで120±10kDのA.ple
    uropneumoniaeのマクロファージ毒素とか
    ら成るグループから選択された少なくとも1種の毒素と
    から得られることを特徴とする本質的にA.pleur
    opneumoniae細胞非含有のブタ肺疫アクチノ
    バチルス菌の感染防御用ワクチン組成物。
  2. 【請求項2】 ワクチンが外層膜タンパク質調製物、溶
    血素及びマクロファージ毒素から得られることを特徴と
    する請求項1に記載のワクチン。
  3. 【請求項3】 ワクチンが血清型1、5a、5b、9、
    10または11の細胞の溶血素から得られることを特徴
    とする請求項1または2に記載のワクチン。
  4. 【請求項4】 ワクチンが血清型2、3、4、6または
    8の細胞のマクロファージ毒素から得られることを特徴
    とする請求項1から3のいずれか一項に記載のワクチ
    ン。
  5. 【請求項5】 ワクチンが血清型1の細胞の外層膜タン
    パク質調製物、血清型5bの細胞の溶血素及び血清型2
    の細胞のマクロファージ毒素から得られることを特徴と
    する請求項2に記載のワクチン。
  6. 【請求項6】 更に、その他のブタ病原体の抗原性物質
    を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項
    に記載のワクチン。
  7. 【請求項7】 ブタ病原体が偽狂犬病ウイルスまたはブ
    タインフルエンザウイルスであることを特徴とする請求
    項6に記載のワクチン。
  8. 【請求項8】 ワクチンがアジュバントを含むことを特
    徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のワクチ
    ン。
  9. 【請求項9】 SDS−PAGEで測定して42±5
    Dの主要抗原性タンパク質成分を有するA.pleur
    opneumoniaeの外層膜タンパク質調製物と、 1.SDS−PAGEで105±5kDのA.pleu
    ropneumoniaeの溶血素と、 2.SDS−PAGEで120±10kDのA.ple
    uropneumoniaeのマクロファージ毒素とか
    ら成るグループから選択された少なくとも1種の毒素と
    に由来するA.pleuropneumoniaeの抗
    原性物質を混合して免疫活性を有する組成物を得ること
    を特徴とする本質的にA.pleuropneumon
    iae細胞非含有のブタ肺疫アクチノバチルス菌の感染
    防御用ワクチン組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から8のいずれかに記載のワ
    クチンを動物に投与することを特徴とするブタ肺疫アク
    チノバチルス菌感染に対するブタの防御方法。
JP18061791A 1990-04-20 1991-04-19 ブタ肺疫アクチノバチルス菌のサブユニットワクチン Expired - Lifetime JP3240063B2 (ja)

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