JPH0645554B2 - クレブシェラ莢膜多糖類ワクチンおよびその製法 - Google Patents

クレブシェラ莢膜多糖類ワクチンおよびその製法

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JPH0645554B2
JPH0645554B2 JP8986586A JP8986586A JPH0645554B2 JP H0645554 B2 JPH0645554 B2 JP H0645554B2 JP 8986586 A JP8986586 A JP 8986586A JP 8986586 A JP8986586 A JP 8986586A JP H0645554 B2 JPH0645554 B2 JP H0645554B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は無毒性の血清型特異的多糖調製物から成る多価
免疫製剤に関する。より詳細には、本発明はクレブシエ
ラ種(Klebsiella species)の細菌(以後クレブシエラ
と称す)に由来する精製された莢膜多糖(CPS)を水酸
化ナトリウム(NaOH)のような脱アシル化剤で処理して、
非発熱性の免疫原性CPS製剤を製造することに関す
る。さらに本発明は、免疫原性クレブシエラ種CPSを
使用してクレブシエラ感染症を防御することに関する。
この種の抗原から調製されたワクチンは、クレブシエラ
感染症にかかる恐れのある個体を能動免疫するために使
用される。
従来の技術 グラム陰性好気性菌(例えばクレブシエラ)による感染
頻度は、広範囲抗生物質の普及に伴つてここ30年の間
に劇的に増加した。これらの感染症のうち肺炎または菌
血症として分類されるものは最も高い致死率を有し、そ
れは平均で約25%であり、10%〜50%の範囲に及
ぶ。マツクゴーアン(McGowan,J.E.),バーネス(Barn
es,M.W.),フインランド(Finland,M.)の“ボストン市
立病院における菌血症:12の選ばれた年(1935〜
1972)の発生および死亡率、特に院内感染の場合に
関して“J.Infect.Dis.132:316〜335,197
5;ブリアン(Bryan,C.S.),レイノルド(Reynolds,K.
L.),ブレンナー(Brenner,E.R.)の“非大学病院にお
けるグラム陰性菌血症の1186例の分析:抗菌治療の結
果”Rev.Infect.Dis.5:629〜638,1983;グ
レイビル(Graybill,J.R.),マーシヤル(Marshall,L.
W.),カラチエ(Charache,P),ワレス(Wallace,C.
K.),メルビン(Melvin,V.B.)の“院内感染肺炎:継
続的主要問題”Am.Rev.Resp.Dis.108:1130〜1
140,1973;およびクロス(Cross,A.),アレン
(Allen,J.R.),バーク(Burke,J.),デューセル(Du
cel,G.),ハリス(Harris,A.),ジヨン(John,J.),
ジヨンソン(Johnson,D.),ルー(Lew,M.),マクミラ
ン(MacMillan,B.),メアーズ(Meers,P.),スカロバ
(Skalova,R.),ウエンゼル(Wenzel,R.),テニー(T
enney,J.)の“緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)によ
る院内感染症:最近の傾向について“Rev.Infect.Die.5
(別冊):S837〜S845,1983に記載される
ように、クレブシエラはこのような生命を脅かす感染症
の第一原因であり、下位呼吸気管からたびたび単離され
るグラム陰性菌であり、そして菌血症の最も一般的な第
二原因になつている。今のところ、クレブシエラ感染症
を防ぐための効果的な免疫学的方法は存在しない。
数多くの細菌種、とりわけクレブシエラは細菌細胞を粘
液様の層中に包み込む明確な莢膜を保有している。この
莢膜は高分子量重合体を形成する多糖の繰返し単位から
構成される。この種の莢膜多糖(CPS)はそれらのそれ
ぞれの細菌細胞に対してK抗原(または莢膜抗原)特異
性を賦与する。
リオツト(Riottot,M.M.),フオーニアー(Fournier,
J.M.),ピロー(Pillot,J.)の“肺炎桿菌(Klebsiell
a pneumoniae)リボソーム製剤によりマウスに与えられ
た防御の莢膜血清型特異性”Infect.Immun.24:47
6〜482,1979;リオツト,フオーニアー,ジュ
ーイン(Jouin,H.)の“肺炎桿菌リボソーム製剤の免疫
防御活性における莢膜多糖の影響に関する直接的証明”
Infect.Immun.31:71〜77,1981;およびクーパー(Coo
per,J.),McA.,ローレイ(Rawley,D.)の“肺炎桿菌
に対する耐性および2つの細菌抗原の重要性”Austral.
J.Expt.Biol.Med.Sci.60:629〜641,1982な
どに記載される研究は、動物実験において実験用リボソ
ームワクチンおよび実験用死滅全細胞ワクチンがクレブ
シエラ感染に対してある程度の防御を与えうることを示
した。防御は血清型特異的抗CPS免疫応答の誘発と関
連があることが見出された。しかしながら、マウスにC
PSをワクチン接種することにより防御的免疫応答を引
き出す従来の試みは今まで不成功におわり、この失敗は
フオーニアー(J.M.Fournier),ジヨリベ-レノー(C.J
olivet-Reynaud),リオツト(M.M.Riottot)およびジ
ユーイン(H.Jouin)のInfect.Immun.32:420〜42
6,1981に示されるように、マウスにおけるCPS
の弱い免疫原性が原因であつた。
今や、免疫原性CPS製剤は莢膜生産をうながすように
調整された培地で培養したクレブシエラの培養上清から
得られることが発見された。これらのCPS抗原はその
後高度に精製され、この高度精製産物は動物において免
疫原性を有し且つ非発熱性であることがわかつた。例え
ば、クリズ(Cryz,S.J.,Jr.),フューアー(Frer,
E.),ジヤーマニー(Germanier,R.)の“クレブシエラ
莢膜多糖の精製およびワクチン能力”Infect.Immun.5
0:225〜280,1985;およびクリズ,フューアー,ジヤ
ーマニーの“ヒトにおける肺炎桿菌K1莢膜多糖ワクチ
ンの免疫原性および安全性”ザ・ジヤーナル・オブ・イ
ンフエクシヤス・デイズイーズ(The Journal of Infec
tious Diseases),151巻,4号,1985年4月を参照され
たい。さらに、クリズ,フューアー,ジヤーマニーの
“相同莢膜多糖で免疫化することによる肺炎桿菌KP1
−0による実験上の致命的火傷敗血症の予防”J.Infec
t.Dis.150:817〜822,1984およびクリズ,フューア
ー,ジヤーマニーの“抗莢膜多糖の受動転移(passive
transfer)による致命的な肺炎桿菌火傷敗血症に対する
防御”Infect.Immun.45:139〜142,1984に示され
るように、抗−血清型特異的CPSは実験上の致命的ク
レブシエラ感染症を予防するのにきわめて有効であるこ
とが見出された。
発明の目的 1つの実施態様において、本発明は、比較的精製された
莢膜多糖をクレブシエラ菌から誘導し;その莢膜多糖を
脱アシル化剤で処理し;そして非発熱性の免疫原性クレ
ブシエラワクチンを回収する;諸工程から成るクレブシ
エラワクチンの製法を提供する。
他の実施態様において、本発明は、少なくとも2つの異
なる血清型のクレブシエラ菌から莢膜多糖を誘導し;そ
の莢膜多糖を脱アシル化剤で処理し;各血清型の非発熱
性、免疫原性莢膜多糖を回収し;そしてこれらの莢膜多
糖の各々の少なくとも一部を組み合わせて多価免疫原性
ワクチンを製造する;諸工程から成る多価クレブシエラ
ワクチンの製造を提供する。
さらに他の態様において、本発明は莢膜多糖誘導体を含
有する免疫原性クレブシエラワクチンを提供する。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも2つの
異なる血清型のクレブシエラ菌から誘導される莢膜多糖
の混合物を含有する多価免疫原性クレブシエラワクチン
を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、比較的精製された
莢膜多糖をクレブシエラ菌から誘導し;その莢膜多糖を
脱アシル化剤で処理し;そして非発熱性の免疫原性ワク
チンを回収することにより製造された免疫原性クレブシ
エラワクチンを提供する。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも2つの
異なる血清型のクレブシエラ菌から莢膜多糖を誘導し;
その莢膜多糖を脱アシル化剤で処理し;各血清型の非発
熱性、免疫原性莢膜多糖を回収し;そしてこれらの莢膜
多糖の各々の少なくとも一部を組み合わせることにより
製造された多価免疫原性ワクチンを提供する。
発明の構成 本発明は、精製されたクレブシエラ血清型特異的莢膜多
糖から成る免疫製剤に関する。この新規免疫剤はクレブ
シエラヒト血液単離物の莢膜血清型に由来する莢膜多糖
(CPS)の適当な血清型を、NaOHのような脱アシル化剤
と組み合わせることにより調製される。これらの多価ワ
クチンは非経口、経口または鼻咽頭経路で投与する場
合、クレブシエラ感染に対する能動免疫に有用である。
また、これらのワクチンはCPSに対する血清抗体レベ
ルを増すために非経口的に投与される。
安全でしかも免疫原性のある多価クレブシエラ血清型特
異的莢膜多糖ワクチンは、精製されたクレブシエラ莢膜
多糖を希水酸化ナトリウムのような脱アシル化剤で処理
する新規方法によつて製造された。莢膜多糖は既知莢膜
血清型のクレブシエラ菌株を莢膜生産を促進するように
調製された培地上で培養することにより得られる。この
莢膜多糖は界面活性剤を用いる共沈、エタノール沈澱、
有機溶媒による抽出、および超遠心分離により精製され
る。その後、精製された莢膜多糖を希水酸化ナトリウム
中で処理して、同時精製された毒性のリポ多糖を無毒化
する。得られた莢膜多糖は1×10ダルトンに等しい
かまたはそれより大きい分子量を有し、対応する天然の
莢膜多糖に関して免疫学的に反応性であり、マウスおよ
びモルモツトに対して無毒性であり、しかも5μg/kg
(体重)に等しいかまたはそれより多い用量でウサギに
対して比較的非発熱性(例えば体温上昇0.3℃以下)
である。
本発明の多価クレブシエラ莢膜多糖ワクチンはヒトに対
して安全であり且つ免疫原性を有する。このワクチンは
実験上の致命的クレブシエラ感染症を防御するオプソニ
ン抗体の産生を誘発する。
先に述べたように、従来の研究は実験用リボソームワク
チンおよび実験用死滅全細胞ワクチンが動物実験におい
てクレブシエラ感染を防御しうることを示し、また防御
は血清型特異的抗CPS免疫応答の誘発と関連すること
がわかつた。しかしながら、精製CPSをワクチン接種
することによりマウスの防御的免疫応答を誘発する従来
の試みは、少なくとも若干の例において成功しなかつ
た。
先に示したクリズたちの文献に記載されるように、CP
SはクレブシエラKP1−0(血清型1)培養物の上清か
ら単離され、精製された。CPSはセタバロン(Cetava
lon)のような界面活性剤の添加により細胞不含の培養
上清から共沈させた。この沈澱物を1MCaClに溶解し
てCPSを界面活性剤から分離し、次にエタノールを8
0%(容量/容量)まで添加することによりCPSを溶
液から採取した。その後、CPSを蒸留水に溶解し、等
容量のクロロホルム/ブタノール(5:1)で十分に抽
出した。水相を集め、蒸留水に対して透析して微量の有
機溶媒を除き、その後100,000xgで16時間遠心分離し
て存在するリポ多糖(LPS)の大部分を除いた。CPS含
有上清を集め、エタノールを80%(容量/容量)まで
加えてCPSを沈澱させた。CPSを蒸留水に溶解して
凍結乾燥した。このようにして調製されたCPSは主に
炭水化物から構成され、ゲル過クロマトグラフイーで
測定して1×10以上の分子量を有していた。精製C
PSによるウサギの免疫化に応答して誘発された抗血清
は、致命的な肺炎桿菌KP1−0敗血症からマウスを防御
することが見出された。同様に、精製KP1−0CPSで
能動免疫されたマウスは致命的な肺炎桿菌KP1−0敗血
症から防御された。
肺炎桿菌KP1−0 CPSは皮下経路でヒトに投与した
場合、特異的免疫応答を誘発することが見出された。し
かしながら、免疫化はCPSを汚染する低レベルのLP
Sのために痛み、腫れおよび紅斑により特徴づけられる
局部反応を高比率で保有していた。本発明によれば、凍
結乾燥CPSを0.1MNaOH−95%(容量/容量)エ
タノール溶液中で処理して脱アシル化することにより、
汚染性LPSが無毒化される。この方法はウサギへの静
脈内投与により測定した場合にCPSの発熱性を著しく
減じる。さらに、この種のNaOH処理CPSは注射の際の
局部反応の発生率を非常に低下させると共に、ヒトに対
して同様に免疫原性を有することが見出された。CPS
による免疫化に応答して誘発されたヒト免疫グロブリン
G(IgG)は、マウスに受動転移した場合に、致命的肺炎
桿菌感染症に対して高度の防御を与えることがわかつ
た。水酸化カリウム、水酸化リチウムおよび水酸化アン
モニウムのようなその他の脱アシル化剤も勿論本発明に
おいて使用するのに適している。
本発明のこれらの特徴ならびにその他の特徴は、本発明
の好適な実施態様の次の詳細な説明を添付の表と照合し
て読む場合に、十分に明らかになるであろう。
以下の実施例において、莢膜多糖は次のクレブシエラ菌
株から単離して精製した。
肺炎桿菌(K. pneumoniae)5055:莢膜血清型2; K.オゼネ(K. ozaenae)C5046:莢膜血清型3; 肺炎桿菌919:莢膜血清型10; 肺炎桿菌1702-49:莢膜血清型21; 肺炎桿菌7824:莢膜血清型30;および 肺炎桿菌3985-51:莢膜血清型55 上記の菌株はデンマーク国コペンハーゲン,スタテンス
血清研究所(Statens Seruminstitut)のオースコフ
(I.Orskov)によりスイスセーラムエンドワクチンイン
ステイテユート(Swiss Serum and Vaccine Institut
e)に供給され、これらは莢膜血清型標準菌株である。
全ての菌株はアンプル中で凍結乾燥されて貯蔵されてお
り、スタテンス血清研究所、ロンドンのパブリツク・ヘ
ルス・ラボラトリー・サービスからいつでも容易に入手
し得る。
実施例 CPSを精製するためのクレブシエラ培養物の調製は次
のようにして開始した。凍結乾燥した培養物を含むアン
プルを開き、再調製し、そして寒天平板上に接種した。
この平板は37℃で18〜24時間増殖させた。次に、
白金耳一杯の培養物を使つて、125mlフラスコ中のHY
EM培地〔2%(重量/容量)ハイケース−SF(Hycase
-SF;米国テネスー州メンフイス,フムコ・シエフイ
ールド),0.3%(重量/容量)酵母エキス(米国ミ
シガン州デトロイト,ジフコ・ラボラトリーズ)〕30
mlおよび2%(重量/容量)マルトース(10%無菌原
液として添加)に接種した。この培養物は37℃、10
0RPM で8時間増殖させた。この培養物1mlを使つて、
2のバツフル付三角フラスコ中のHYEM培地500mlに
接種した。これらの培養物(合計で4の培地に対して
フラスコ8個)は37℃で振とう(100RPM)しながら1
6時間増殖させた。培養の終りに各フラスコの衛生物純
度をグラム染色によつて確かめた。本発明においては、
必ずしも同じ結果であるとは限らないが、所望によりク
レブシエラのその他の増殖条件およびCPSの精製条件
を使用し得ると理解すべきである。
細菌細胞はソーバル(Sorval)RC-2B遠心分離機を使つ
て、無菌のプラスチツク製遠心ボトル中8000xg、
30分の遠心分離を2回行うことにより除去した。続い
て、上清は0.80μmおよび0.45μmミリポアフ
イルター(米国マサチユーセツツ州ベツドフオード,ミ
リポア・コーポレーシヨン)を通して過した。
その後の作業は全て加圧滅菌したガラス器具またはプラ
スチツク器具を用いて行なつた。細胞不含の培養上清に
10%(重量/容量)原液としてのセタバロン(Cetava
lon:臭化N−セチル−N,N,N−トリメチル−アン
モニウム;E.メルク&カンパニー)を最終濃度が0.
5%(重量/容量)になるまで添加した。この混合物を
室温で30分撹拌し、沈澱物を形成させた。生じたCP
S含有沈澱物を5000xgで30分遠心分離すること
により集めた。上清を捨て、沈澱物は1MCaCl約10
0ml中に再懸濁した。沈澱物が溶解するまでこの混合物
を室温で撹拌した。工業銘柄のエタノールを最終濃度が
80%(容量/容量)になるまで添加してCPSを沈澱
させた。この沈澱物を5000xgで30分遠心分輪す
ることにより集め、そして蒸留水約100mlに溶解し
た。この溶液は等容量のクロロホルム/ブタノール
(5:1)で界面相に肉眼視できる白色沈澱物が存在しな
くなるまで抽出した。一般に3〜5回の抽出が必要だつ
た。それぞれの抽出の後に、この物質を1000xgで
15分遠心分離して界面相の鮮明さを高めた。界面相の
物質と有機相を捨てた。CPS含有水相は4℃において蒸
留水少なくとも2×50容量に対して透析した。その後透
析された物質を100,000xgで18時間遠心分離し(ベ
ツクマンL2−65B型,超遠心分離機)、リポ多糖
(LPS)を沈澱させた。上清を回収し、最終濃度が8
0%(容量/容量)になるまでエタノールを加えること
によりCPSを沈澱させた。
沈澱したCPSを5000xgで30分遠心分離するこ
とにより集め、滅菌蒸留水100〜150mlに溶解し
た。このCPS溶液(15〜20mlを既知重量の滅菌が
ラスフラスコ(全容積50ml)に分配し、キヤツプをか
ぶせ、−70℃で最低4〜5時間凍結して乾燥させた。
凍結乾燥後フラスコの重量を再びはかり、初めの重量を
差し引いてフラスコ中の物質の量を求めた。この物質
(4℃で貯蔵)には内容物、ロツト番号、量(CPSの重
量)および生産日付に関するラベルを付けた。
CPS調製物中に存在する微量のLPSの無毒化は次の
ように脱アシル化することにより達成した。各血清型の
凍結乾燥CPS(表1に示した6種類の菌株の各々から
精製したもの)17.5mgを滅菌三角フラスコ中の0.
1MNaOH−95%エタノール溶液20mlに加えた。フラ
スコを回転振とう機上に置いて37℃、75RPMで3
0分振とうした。この液体をパスツールピペツトで取り
出し、この容器に無菌のリン酸緩衝塩水(pH7.4)2
0mlを加えた。この溶液は無菌の1%CH3COOHを滴下す
ることによりpH7に下げた。CPSは4℃で一晩溶解
させた。これらのCPS溶液(1.2mg/ml)を無菌の
混合容器中で等割合で組み合わせた。その後、この溶液
は無菌条件下に0.45μmフイルター(米国ニユーヨ
ーク州ロチエスター,ナルゲ・カンパニー)を通過させ
た。この無菌溶液1mlを無菌的に3mlバイアル中に入
れ、キヤツプをかぶせ、−70℃で無菌条件下に凍結乾
燥した。バイアルは真空下で密封した。各バイアル(最
終製品と呼ぶ)は表1に示した6種類の血清型のCPS
をそれぞれ50μgずつ含み、合計で300μg含み、
これを1ヒト用量(one human dose)と呼んだ。CPS
物質をNaOHで処理する時間は、必ずしも等しい結果であ
るとは限らないが、15分〜60分の範囲で変化しうる
と理解すべきである。
表1は6種類のそれぞれとクレブシエラ莢膜多糖の化学
組成、および本発明の1つの態様においてこれらの多糖
から製造された6価ワクチンを示す。
原料CPSおよび最終製品の分析は以下に記載する通りで
あつた。
タンパク質:タンパク質は標準品としてウシ血清アルブ
ミン(米国ミズリー州セントルイス,シグマ・ケミカル
・カンパニー)を使つて、ローリー(Lowry,O.H.),ロ
ーゼンブロー(Rosenbr-ough,N.J.),フアール(Farr,
A.L.)およびランドール(Randall,R.J.)の“フオリン
フエノール試薬によるタンパク質の測定”J.Biol.Chem.
193:265〜275(1951)に記載の方法により測定した。
核酸:核酸含有量は1cmのキユベツト中260mmにおい
て1mg/mlCPS-蒸留水溶液の吸光度を測定することに
より定量した、換算率は次の通りである:1光学密度単
位が核酸50μg/mlに相等する。
炭水化物:炭水化物の総含有量は標準品としてテキスト
ランT−500(スウエーデン国ウプサラ,フアーマシ
ア・フアイン・ケミカルズ)を使つてフエノール/硫酸
法により測定した。
残留水分:残留水分は26−321a型水分アナライザ
ー(米国カリフオルニア州モンロビア,デユポン・イン
スツルメント)を使つて測定した。
分子量決定:各CPSの分子量はセフアロースCL−4
B(スウエーデン国ウプサラ,フアーマシア・フアイン
・ケミカルズ)でのクロマトグラフイーにより測定し
た。94cm×1.5cmカラムはブルーデキストラ200
0(Blue Dextra 2000;スウエーデン国ウプサラ,フア
ーマシア・フアイン・ケミカルズ)を使つてボイド容積
(Void volume)を測定し、またC14−酢酸を使つて総
カラム容積を測定した。CPSの5mg試料を2mlのリン
酸緩衝塩水(PBS)、pH7.4に加えた。このカラム
をPBSで溶離し、フエノール/硫酸法を使つて各分画
(2.5ml)の炭水化物含有量について分析した。ワク
チンの分配定数(Kd)はワング(Wong,K.H),バーレ
ラ(Barrera,O.),サツトン(Sutton,A.),メイ(Ma
y,J.),ホツチスタイン(Hochstein,D.H.),ロビンス
(Robins,J.B.,パークマン(Parkman,P.D.),セリグ
マン(Seligmann,E.B.)の“髄膜炎菌ワクチン,グルー
プAおよびグループC多糖類の標準化および調節”J.Bi
ol.Standardization5;197〜215,1977に記
載されるごとく計算した。
KDO:LPSの一成分である2−ケト−3−デオキシ
オクトネート(KDO)はオスボーン(Osborn,M.J.)の
“グラム陰性細胞壁Iに関する研究,ネズミチフス菌
(Salmonella typhimurium)のリポ多糖における2−ケ
ト−3−デオキシオクトネートの役割についての証明”
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 50:499〜506,196
3に記載されるようにして定量した。
6種類の血清型のCPSの化学組成は表1に示す。CP
S調製物は主に炭水化物から成り、微量のタンパク質、
核酸およびLPSが存在していた。
各CPS調製物はそれぞれ希NaOHで処理した。NaOH処理
の前後に、CPS調製物は分子量およびウサギに静脈内
投与した際の発熱性について分析した。表2を参照され
たい。CPSの免疫原性はそれらの比較的大きな分子量
と関係があり、またヒトに非経口投与した際のCPSの
安全性はワングたちの上記文献に記載されるようにウサ
ギにおける発熱性と逆の関係にあることが知られてい
る。従つて、理想的なCPS調製物は高分子量を有し、
しかも非発熱性であるだろう。全ての天然クレブシエラ
CPSは高分子量を有し(セフアロースCL−4B上に
てKdが0.1に等しいかまたはそれより小さい)、大
部分と炭水化物はKd=0.5に達する前に溶出され
た。NaOH処理はこれらの特性に対してほとんど影響を及
ぼさなかつた。天然CPSはウサギに対して0.1μg/
kg(またはそれ以下)〜1.0μg/kgの最小発熱用量
(MPD)を有していた(表2参照)。NaOH処理後に、M
PDはいくつかの血清型において50μg/kg以上に増加
し、試験した全ての血清型において発熱性は最低で20
倍減少した。それ故、クレブシエラCPSのNaOHによる
処理は非発熱性の高分子量抗原分画をもたらす。
表2は上記の莢膜多糖を水酸化ナトリウムで処理するこ
とによる分子量および発熱性に対する影響を示すもので
ある。
次に、6価クレブシエラCPSワクチンを処方した。こ
のワクチンは表1に示した6種類のクレブシエラ菌株に
由来するNaOH処理CPSを50μgずつ含んでいた(1ヒ
ト用量は抗原の合計量300μgに等しい)。このワク
チンの特性は次の通りである: 1) ワクインは動物に対して無毒性であつた。腹腔内経
路で1ヒト用量のワクチンを投与されたマウスまたはモ
ルモツトには死亡が全く観察されなかつた。さらに、ワ
クチン投与後に正常の体重増加曲線を示した。
2) ワクチンはウサギに対して非発熱性であつた。ワク
チン50μg/kg(ウサギの体重)の投与は+0.3℃以
下の発熱応答を誘発した。
3) ワクチンは高分子量であつた。セフアロースCL−
4Bカラムでクロマトグラフ処理を行なつたときワクチ
ンのKdは0であり(カラムのボイド容積に等しい)、
99%以上の物質が0.5以下のKdで溶出された。
4) ワクチンは主に炭水化物(72.8%,乾燥重量)
から成り、微量のタンパク質(1.64%)、核酸
(0.94%)およびKDOを含んでいた。残留水の含
有量は9.3%であつた。
5) ワクチンは無菌の凍結乾燥白色粉末として得られ
た。
6価クロブシエラCPSワクチンのヒトにおける安全性
および免疫原性: ボランテイアは年令が22才から62才までの健康な男
性および女性であつた。使用直前にワクチンを滅菌蒸留
水で調製した。このワクチン(0.5ml)を三角筋領域
に皮下投与した。ワクチン投与後5日間、ボランテイア
は発熱、局所の痛み、腫れ、紅斑、硬結、頭痛および倦
怠感を含めてワクチン接種に対する諸反応を記録した。
静脈血の試料をワクチン接種時およびワクチン接種後1
4日目と28日目に各自から採取した。血清を集めて−
20℃で保存した。
約35%(22人のうち8人)の人が24時間続く軽い
痛みを感じたと報告した。3人のボランテイアは倦怠感
と軽い頭痛によつて特徴づけられる全身反応を示した。
全ての症状は発生後24〜48時間以内に自然に消え失
せ、いかなる場合にもワクチンの正規の活性を制限しな
かつた。
酵素−結合免疫吸着検定法(ELISA)により測定した6
種類のワクチン成分のそれぞれに対する免疫グロブリン
G(IgG)応答を表3に示す。ワクチン接種者の82%
(K3)〜95%(K2)が4倍またはそれ以上のIgG 力価
の増加を応答して、このワクチンがヒトにおいて高度の
免疫原性を有することが判明した。ワクチン投与後のIg
G 力価の平均増加は5倍(K21)ないし18.6倍(K
2)の範囲であつた。
表3はヒトボランテイアにワクチンを非経口投与した後
の抗−莢膜多糖免疫グロブリンG抗体の応答を示す。
6価クレブシエラCPSワクチンによつて誘発された免
疫応答の防御能力を確かめるために、次の実験を行なつ
た。免疫後にK2CPSに対して4倍またはそれ以上の
力価増加を示した10人のボランテイアの血清からIgG
を単離した。また、免疫前にもこれらのボランテイアか
らIgG を採取した。マウス(20gの雌,NMRI株)には
それぞれ尾の静脈から塩水0.3ml中のIgG 2.3mgを
投与した。約24時間後にマウスをやけどさせ、前記の
ような種々の毒性クレブシエラ血清型2菌株を用いて対
抗(challenge)させた。結果を表4に示す。ELISA検定
法で測定して検出できない量(力価2より小)の特異的
抗K2莢膜抗体を有していた免疫前IgG は、致命的な敗
血症の予防に効果がなかつた(死亡率60〜100
%)。高度に有意な防御(p<0.05ないしp<0.01)
は、高レベル(力価=256)の抗K2CPS抗体を有
していた免疫IgG によつて5種類のクレブシエラK2対
抗菌株全部に対して得られた。これらの結果は、クレブ
シエラCPSの投与により誘発されたヒトのIgG 抗体応
答がクレブシエラ感染に対して高度に有意な防御を与え
うるを示している。さらに、防御応答は菌株特異性では
なく、すなわち抗莢膜血清型2抗体は5種類全部の莢膜
血清型2−保有対抗菌株からの防御をもたらした。
表4は致命的なクレブシエラ感染症に対する誘発された
抗莢膜多糖IgG 抗体応答の防御能力を示すものである。
表3および表4のデータを要約すると、6価ワクチンへ
処方されたNaOH処理クレブシエラCPSはヒトボランテイ
アに対して安全であり且つ免疫原性を有することが判明
した。80%以上のワクチン接種者が個々のワクチン成
分に対して有意な(4倍またはそれ以上の増加)IgG 抗
体応答を示した。上記ワクチンでの免疫化によつて誘発
されたヒトIgG 抗体をマウスに受動転移すると、その抗
体は致命的なクレブシエラ感染に対して高度に有意な防
御を与えることができた。対照的に、免疫前に同じボラ
ンテイアから調製したIgG は致命的なクレブシエラ感染
に対して何らの防御も与えなかつた。
6価クレブシエラワクチンを使用するヒト超免疫抗クレ
ブシエラグロブリンの調製: 上記の6価クレブシエラCPSワクチンを用いてボラン
テイアを免疫化した。約6週間後、免疫後に6種類全部
のワクチン成分に対して4倍またはそれ以上のIgG ELIS
A力価の増加を示した13人から静脈血(1人あたり平
均して240ml)を採取した。静脈内使用のためのガンマ
グロブリン(IVIG)はエタノール分画化、イオン交換ク
ロマトグラフイー、限外過および透析により粗採取血
清から調製した。タンパク質含有量を50mg/ml に調節
し、この調製物を安定剤溶液中で凍結乾燥した。この凍
結乾燥調製物をクレブシエラ免疫IVIGと呼ぶ。IVIG調製
物であるグロブマン(Globuman;スイス国ベルン,スイ
ス血清ワクチン研究所)は、出発粗製ヒト血漿プールが
6価クレブシエラCPSワクチンで免疫化されていない
ヒト供与者から得られた(すなわち正常のヒト血清であ
る)ことを除いて、同じ方法で調製された。
クレブシエラ免疫IVIGは実質的にグロブマンよりも高い
IgG ELISA力価(16倍ないし128倍)を有してい
た。表5を参照されたい。さらに、クレブシエラ免疫IV
IGのみが、インビトロ系で試験した場合に、オプソニン
形成を促進でき且つその後6種類の血清型の試験菌株
(ワクチン中にこれらの菌株の莢膜抗原が含まれる)の
全てを殺滅し得ることがわかつた。表6を参照された
い。この種の“オプソニン”IgG 抗体の誘発は免疫IVIG
の防御能力にとつてきわめて重要である。なぜなら、病
気の状態でのクレブシエラの排除が抗体に依存する食作
用およい殺滅によると考えられるからである。
表5は正常ヒト血清から得られた調製物と比較した場合
の、6価ワクチンで免疫化した供与者の血清から得られ
た免疫静脈内ガンマグロブリンの抗莢膜IgG 抗体の力価
を示す。
表6はクレブシエラ試験菌株の食作用および殺滅を促す
上記の免疫ガンマグロブリンの能力を示す。
致命的なクレブシエラ火傷敗血症を予防するグロブマン
およびクレブシエラ免疫IVIGの能力について測定した。
マウス(18〜20gの雌,NMRI株)はそれぞれ段階的
用量のIVIG調製物(5mg/kg〜500mg/kg)または5
00mg/kgのヒトアルブミン(アルブマン;スイス国ベ
ルン,スイス血清ワクチン研究所)を0.2mlの容量で
静脈内投与された。約24時間後マウスをやけどさせ、
60個の肺炎桿菌莢膜型2細菌を感染させた。その結果
を表7に示す。対照としてヒトアルブミンを投与された
マウス群の死亡率は87%であつた。K2抗原(クレブ
シエラ対抗菌株によつて発現される)に対して32のIg
G ELISA力価を有するグロブマンは、試験した最高用量
(500mg/kg)においてのみ有意な防御(P0.01)を
示した。対照的に、クレブシエラ免疫IVIGは5mg/kg程
度の低用量(グロブマンの1/100の用量)で良好な防御
を与えた。
表7は致命的なグレブシエラ感染症に対する免疫ガンマ
グロブリンと正常ガンマグロブリン(グロブマン)との
防御能力(重量基準による)の比較を示す。
表5〜7からのデータを要約すると、6価クレブシエラ
CPSワクチンで免疫されたボランテイアの採取血清か
ら調製したIVIG(クレブシエラ免疫IVIG)は、正常ヒト
の採取血清から調製したIVIGと比較した場合、6種類の
ワクチン成分に対して実質的により高いIgG 力価を有す
る。クレブシエラ免疫IVIGのみが6種類全部のクレブシ
エラ試験菌株の食作用およびその後の殺滅を促進した。
クレブシエラ免疫IVIGの防御能力は、同一方法で正常ヒ
ト血清から得たIVIGと比較して100倍以上(重量基
準)であつた。
次に、24種類のクレブシエラ血清型から成る多価ワク
チンを調製した。ヨーロッパおよび北アメリカの13の
臨床センターから集めた全部で703のクレブシエラ血
液単離物の莢膜血清型について研究した。
莢膜血清型の研究はパルフレイマン(Palfre-yman,J.
M.)の“カウンター免疫電気泳動によるクレブシエラ血
清型の分類”,ジヤーナル・オブ・ハイジーン(Journa
l of Hygiene),81巻2号,219〜225頁,19
78年10月に記載のごとく行なつた。全出現頻度を表
8に示す。これらの血清型から、クレブシエラ血清型を
含む特に有効な多価ワクチンを以下のようにして調製し
た。ある種の血清型のクレブシエラ莢膜多糖によるワク
チン接種は、他のある種の血清型に対する抗体の産生を
も促進するということが認められた。こうして、例えば
血清型2のCPSワクチンの投与は血清型2,69およ
び1に対する抗体の産生を促進し;血清型21のCPS
ワクチンの投与は血清型21および11に対する抗体の
産生を促進し;血清型3のCPSワクチンの投与は血清
型3および68に対する抗体の産生を促進し;血清型1
0のCPSワクチンの投与は血清型10および7に対す
る抗体の産生を促進し;そして血清型64のCPSワク
チンの投与は血清型64および14に対する抗体の産生
を促進する。ある種の血清型のこの交叉反応性は必ずし
も相互補足的であるとは限らない。例えば、血清型35
のCPSのワクチンの投与は血清型35および33に対
する抗体の産生を促進するが、その促進の程度は血清型
33のCPSワクチンの投与が血清型33および35に
対する抗体の産生を促進する程度よりも一層大きいもの
である。
さらに、表8に示すように、血清型1および39は絶対
的意味での相対頻度で現われるが、これらの血清型は今
までのところ特定の地域に特有のものであつて、一般用
途のワクチンにはあまり適していない。しかしながら、
これらの血清型を含むワクチンは、これらの血清型が出
現する特定の地域において有益に利用されるであろう。
また、クレブシエラ血清型27はある程度の頻度で現わ
れるが、この血清型のCPSの混入はクレブシエラ血清
型27の出現と強直性脊椎炎との間に起こりうむ関連性
ゆえに全ての場合に適しているとは限らない。
有効な多価クレブシエラワクチンを開発する際に、十分
変化にとんだ血清型のCPSを混入して適度の防御を賦
与することが重要である。しかしながら、血清型の数を
正当化し得る数に制限することも大切である。これに関
して、表8に示したあらゆる血清型のCPSを単一のワ
クチン内に混入することは望ましくないかも知れない。
全ての血清型を含むワクチンは、効果がなく且つ若干の
医師にとつて倫理的でない上に、多くの場合にワクチン
接種者の不快感を強め、抗原の過負荷をもたらし、そし
てより少数の異なる血清型を含むワクチンから誘発され
るはずの免疫応答を抑制する恐れがある。
本発明によれば、種々の血清型の組合せを含む多数のワ
クチンが可能であるが、好適な多価ワクチンはクレブシ
エラ血清型2,3,5,9,10,15,16,17,18,21,
22,25,28,30,35,43,52,53,55,60,61,62,63
および64を含むもの;クレブシエラ血清型2,3,5,
9,10,15,16,17,18,21,22,25,28,30,35,3
9,43,52,53,55,60,61,62,63および64を含むも
の;およびクレブシエラ血清型2,3,5,9,10,1
5,16,17,18,21,22,25,27,28,30,35,43,5
2,53,55,60,61,62,63および64を含むものであ
る。
次の実施例では、6価ワクチンに関して先に述べたよう
にNaOH処理莢膜多糖の血清型を組み合わせて、次の24
種類の血清型:2,3,5,9,10,15,16,17,18,
21,22,25,27,30,35,43,52,53,55,60,61,6
2,63および64のCPS誘導体を含むワクチンを調製し
た。このワクチンは凍結乾燥した。1ヒト用量は各抗原
を50μgずつ、合計で1200μg含んでいた。5人
の健康な成人ボランテイアはそれぞれ0.5ml中のワク
チン1用量を皮下投与された。1人のボランテイアは注
射部位に痛みを感じ、この痛みは免疫の4時間後に始ま
つて約24時間持続した。ワクチン注射後28日目に静
脈血を採取し、この血清はCPSワクチン成分に対する
IgG 力価についてELISAにより分析した。その結果を表
9に示す。
要約すると、ワクチン中に含まれる24種類の血清型と
クレブシエラCPSの全ては、ヒトに非経口投与した際
に、特異的IgG 抗体応答を誘発することが出来た。
本発明の好適な実施態様についてここに説明したが、当
業者なら種々の変更ならびに修飾(特に、混入される莢
膜多糖の血清型の数に関するようなワクチン処方の変
更)が本発明の範囲から逸脱することなくなし得ること
は明らかだろう。

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脱アシル化剤による処理によって少なくと
    も2つの異なる血清型のクレブシエラ細菌から精製され
    た、莢膜多糖類の混合物からなる多価免疫原性クレブシ
    エラワクチン。
  2. 【請求項2】莢膜多糖類が、1−5%ハイケース−S
    F、0.1−1%酵母エキスおよび1−10%マルトー
    スからなる培地中で培養されたクレブシエラの培養上清
    物から精製される、請求項1記載の多価免疫原性クレブ
    シエラワクチン。
  3. 【請求項3】莢膜多糖類の平均分子量が1×106ダル
    トンである、請求項1記載の多価免疫原性クレブシエラ
    ワクチン。
  4. 【請求項4】血清型2,3,5,9,10,15,16,17,
    18,21,22,25,28,30,35,43,52,53,55,60,6
    1,62,63および64のクレブシエラ細菌から精製され
    た、請求項1記載の多価免疫原性クレブシエラワクチ
    ン。
  5. 【請求項5】血清型2,3,5,9,10,15,16,17,
    18,21,22,25,28,30,35,39,43,52,53,55,6
    0,61,62,63および64のクレブシエラ細菌から精製さ
    れた、請求項1記載の多価免疫原性クレブシエラワクチ
    ン。
  6. 【請求項6】血清型2,3,5,9,10,15,16,17,
    18,21,22,25,27,30,35,43,52,53,55,60,6
    1,62,63および64のクレブシエラ細菌から精製され
    た、請求項1記載の多価免疫原性クレブシエラワクチ
    ン。
  7. 【請求項7】クレブシエラ細菌から少なくとも2つの異
    なる血清型の本質的に純粋な莢膜多糖類混合物を得て; 上記莢膜多糖類を脱アシル化剤で処理し; 該莢膜多糖類を回収し;そして 上記莢膜多糖類の少なくとも一部を組み合わせて非発熱
    性の免疫原性ワクチンを調製する;工程からなる多価ク
    レブシエラワクチンの製法。
  8. 【請求項8】脱アシル化剤が水酸化カリウムからなる請
    求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】脱アシル化剤が水酸化カリウム、水酸化リ
    チウムまたは水酸化アンモニウムからなる群から選択さ
    れる請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】莢膜多糖類がハイケース−SF、酵母エ
    キスおよびマルトースからなる培地中で培養されるクレ
    ブシエラの培養上清物から精製される請求項7記載の方
    法。
  11. 【請求項11】莢膜多糖類が血清型2,3,10,21,30
    および55のクレブシエラ細菌から精製される請求項7記
    載の方法。
  12. 【請求項12】莢膜多糖類が血清型2および21のクレブ
    シエラ細菌から精製される請求項7記載の方法。
  13. 【請求項13】莢膜多糖類が血清型2,21および55のク
    レブシエラ細菌から精製される請求項7記載の方法。
  14. 【請求項14】莢膜多糖類が血清型2,21,53および55
    のクレブシエラ細菌から精製される請求項7記載の方
    法。
  15. 【請求項15】莢膜多糖類が血清型2,21,25,53,55
    および68のクレブシエラ細菌から精製される請求項7記
    載の方法。
  16. 【請求項16】莢膜多糖類が血清型2,21,22,25,5
    3,55および68のクレブシエラ細菌から精製される請求
    項7記載の方法。
  17. 【請求項17】莢膜多糖類が血清型2,3,10,16,2
    1,22,25,43,53,55,61,64および68のクレブシエ
    ラ細菌から精製される請求項7記載の方法。
  18. 【請求項18】莢膜多糖類が血清型2,3,10,16,1
    7,21,22,25,33,43,53,55,61,62,64および68
    のクレブシエラ細菌から精製される請求項7記載の方
    法。
  19. 【請求項19】莢膜多糖類が血清型2,3,7,9,1
    0,16,17,21,22,25,33,43,53,55,61,62,64
    および68のクレブシエラ細菌から精製される請求項7記
    載の方法。
  20. 【請求項20】莢膜多糖類が血清型2,3,7,9,1
    0,16,17,18,21,22,25,28,30,33,43,53,5
    5,61,62,64および68のクレブシエラ細菌から精製さ
    れる請求項7記載の方法。
  21. 【請求項21】莢膜多糖類が血清型1,2,3,7,
    9,10,16,17,18,21,22,25,28,30,33,39,4
    3,53,55,61,62,64および68のクレブシエラ細菌か
    ら精製される請求項7記載の方法。
  22. 【請求項22】莢膜多糖類が血清型1,2,3,7,
    9,10,16,17,18,21,22,25,27,28,30,33,3
    9,43,52,53,55,60,61,62,63,64および68のク
    レブシエラ細菌から精製される請求項7記載の方法。
  23. 【請求項23】莢膜多糖類が血清型1,2,3,7,
    9,10,15,16,17,18,21,22,25,27,28,30,3
    3,39,43,52,53,55,60,61,62,63,64および68
    のクレブシエラ細菌から精製される請求項7記載の方
    法。
  24. 【請求項24】莢膜多糖類が血清型2,3,5,9,1
    0,15,16,17,18,21,22,25,28,30,35,43,5
    2,53,55,60,61,62,63および64のクレブシエラ細
    菌から精製される請求項7記載の方法。
  25. 【請求項25】莢膜多糖類が血清型2,3,5,9,1
    0,15,16,17,18,21,22,25,28,30,35,39,4
    3,52,53,55,60,61,62,63および64のクレブシエ
    ラ細菌から精製される請求項7記載の方法。
  26. 【請求項26】莢膜多糖類が血清型2,3,5,9,1
    0,15,16,17,18,21,22,25,27,28,30,35,3
    9,43,52,53,55,60,61,62,63および64のクレブ
    シエラ細菌から精製される請求項7記載の方法。
  27. 【請求項27】ワクチンがさらに血清型27の莢膜多糖類
    を含む請求項24記載の方法。
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