JPH06316533A - クレブシェラ莢膜多糖ワクチン - Google Patents

クレブシェラ莢膜多糖ワクチン

Info

Publication number
JPH06316533A
JPH06316533A JP5300093A JP30009393A JPH06316533A JP H06316533 A JPH06316533 A JP H06316533A JP 5300093 A JP5300093 A JP 5300093A JP 30009393 A JP30009393 A JP 30009393A JP H06316533 A JPH06316533 A JP H06316533A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
klebsiella
cps
vaccine
capsular polysaccharide
immunogenic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5300093A
Other languages
English (en)
Inventor
J Kreis Stanley
スタンレイ・ジェイ・クライズ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cilag GmbH International
Original Assignee
Schweiz Serum und Impfinstitut Bern
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Schweiz Serum und Impfinstitut Bern filed Critical Schweiz Serum und Impfinstitut Bern
Priority to JP5300093A priority Critical patent/JPH06316533A/ja
Publication of JPH06316533A publication Critical patent/JPH06316533A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、クレブシェラ種の細菌から精製さ
れた無毒性の免疫製剤およびその製法に関する。 【構成】 クレブシェラ細菌から本質的に純粋な莢膜多
糖類混合物を得て;上記莢膜多糖類を脱アシル化剤で処
理し;そして該莢膜多糖類からなる非発熱性の免疫原性
ワクチンを回収する;工程からなるクレブシェラワクチ
ンの製法および該方法により製造された製剤を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無毒性の血清型特異的多
糖調製物から成る多価免疫製剤に関する。より詳細に
は、本発明はクレブシェラ種(Klebsiella
species)の細菌(以後クレブシェラと称す)に
由来する精製された莢膜多糖(CPS)を水酸化ナトリ
ウム(NaOH)のような脱アシル化剤で処理して、非
発熱性の免疫原性CPS製剤を製造することに関する。
さらに本発明は、免疫原性クレブシェラ種CPSを使用
してクレブシェラ感染症を防御することに関する。この
種の抗原から調製されたワクチンは、クレブシェラ感染
症にかかる恐れのある個体を能動免疫するために使用さ
れる。
【0002】
【従来の技術】グラム陰性好気性菌(例えばクレブシェ
ラ)による感染頻度は、広範囲抗生物質の普及に伴って
ここ30年の間に劇的に増加した。これらの感染症のう
ち肺炎または菌血症として分類されるものは最も高い致
死率を有し、それは平均で約25%であり、10%〜5
0%の範囲に及ぶ。マックゴーアン(McGowan,
J.E.),バーネス(Barnes,M.W.),フ
ィンランド(Finland,M.)の“ボストン市立
病院における菌血症:12の選ばれた年(1935〜1
972)の発生および死亡率、特に院内感染の場合に関
して”J.Infect.Dis.132:316〜3
35,1975;ブリアン(Bryan,C.S.),
レイノルド(Reynolds,K.L.),ブレンナ
ー(Brenner,E.R.)の“非大学病院におけ
るグラム陰性菌血症の1186例の分析:抗菌治療の結
果”Rev.Infect.Dis.5:629〜63
8,1983;グレイビル(Graybill,J.
R.),マーシャル(Marshall,L.W.),
カラチェ(Charache,P),ワレス(Wall
ace,C.K.),メルビン(Melvin,V.
B.)の“院内感染肺炎:継続的主要問題”Am.Re
v.Resp.Dis.108:1130〜1140,
1973;およびクロス(Cross,A.),アレン
(Allen,J.R.),バーク(Burke,
J.),デューセル(Ducel,G.),ハリス(H
arris,A.),ジョン(John,J.),ジョ
ンソン(Johnson,D.),ルー(Lew,
M.),マクミラン(MacMillan,B.),メ
アーズ(Meers,P.),スカロバ(Skalov
a,R.),ウエンゼル(Wenzel,R.),テニ
ー(Tenney,J.)の“緑膿菌(Pseudom
onas aeruginosa)による院内感染症:
最近の傾向について“Rev.Infect.Dis.
5(別冊):S837〜S845,1983に記載され
るように、クレブシェラはこのような生命を脅かす感染
症の第一原因であり、下位呼吸気管からたびたび単離さ
れるグラム陰性菌であり、そして菌血症の最も一般的な
第二原因になっている。今のところ、クレブシェラ感染
症を防ぐための効果的な免疫学的方法は存在しない。
【0003】数多くの細菌種、とりわけクレブシェラは
細菌細胞を粘液様の層中に包み込む明確な莢膜を保有し
ている。この莢膜は高分子量重合体を形成する多糖の繰
返し単位から構成される。この種の莢膜多糖(CPS)
はそれらのそれぞれの細菌細胞に対してK抗原(または
莢膜抗原)特異性を賦与する。
【0004】リオット(Riottot,M.M.),
フォーニアー(Fournier,J.M.),ピロー
(Pillot,J.)の“肺炎桿菌(Klebsie
lla pneumoniae)リボソーム製剤により
マウスに与えられた防御の莢膜血清型特異性”Infe
ct.Immun.24:476〜482,1979;
リオット,フォーニアー,ジューイン(Jouin,
H.)の“肺炎桿菌リボソーム製剤の免疫防御活性にお
ける莢膜多糖の影響に関する直接的証明”Infec
t.Immun.31:71〜77,1981;および
クーパー(Cooper,J.),McA.,ローレイ
(Rawley,D.)の“肺炎桿菌に対する耐性およ
び2つの細菌抗原の重要性”Austral.J.Ex
pt.Biol.Med.Sci.60:629〜64
1,1982などに記載される研究は、動物実験におい
て実験用リボソームワクチンおよび実験用死滅全細胞ワ
クチンがクレブシェラ感染に対してある程度の防御を与
えうることを示した。防御は血清型特異的抗CPS免疫
応答の誘発と関連があることが見出された。しかしなが
ら、マウスにCPSをワクチン接種することにより防御
的免疫応答を引き出す従来の試みは今まで不成功におわ
り、この失敗はフォーニアー(J.M.Fournie
r),ジョリベーレノー(C.Jolivet−Rey
naud),リオット(M.M.Riottot)およ
びジューイン(H.Jouin)のInfect.Im
mun.32:420〜426,1981に示されるよ
うに、マウスにおけるCPSの弱い免疫原性が原因であ
った。
【0005】今や、免疫原性CPS製剤は莢膜生産をう
ながすように調整された培地で培養したクレブシェラの
培養上清から得られることが発見された。これらのCP
S抗原はその後高度に精製され、この高度精製産物は動
物において免疫原性を有し且つ非発熱性であることがわ
かった。例えば、クリズ(Cryz,S.J.,J
r.),フューアー(Furer,E.),ジャーマニ
ー(Germanier,R.)の“クレブシェラ莢膜
多糖の精製およびワクチン能力”Infect.Imm
un.50:225〜280,1985;およびクリ
ズ,フューアー,ジャーマニーの“ヒトにおける肺炎桿
菌K1莢膜多糖ワクチンの免疫原性および安全性”ザ・
ジャーナル・オブ・インフェクシャス・ディズィーズ
(The Journal of Infectiou
s Diseases),151巻,4号,1985年
4月を参照されたい。さらに、クリズ,フューアー,ジ
ャーマニーの“相同莢膜多糖で免疫化することによる肺
炎桿菌KP1−0による実験上の致命的火傷敗血症の予
防”J.Infect.Dis.150:817〜82
2,1984およびクリズ,フューアー,ジャーマニー
の”抗莢膜多糖の受動転移(passive tran
sfer)による致命的な肺炎桿菌火傷敗血症に対する
防御”Infect.Immun.45:139〜14
2,1984に示されるように、抗−血清型特異的CP
Sは実験上の致命的クレブシェラ感染症を予防するのに
きわめて有効であることが見出された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】1つの実施態様におい
て、本発明は、比較的精製された莢膜多糖をクレブシェ
ラ菌から誘導し;その莢膜多糖を脱アシル化剤で処理
し;そして非発熱性の免疫原性クレブシェラワクチンを
回収する;諸工程から成るクレブシェラワクチンの製法
を提供する。
【0007】他の実施態様において、本発明は、少なく
とも2つの異なる血清型のクレブシェラ菌から莢膜多糖
を誘導し;その莢膜多糖を脱アシル化剤で処理し;各血
清型の非発熱性、免疫原性莢膜多糖を回収し;そしてこ
れらの莢膜多糖の各々の少なくとも一部を組み合わせて
多糖免疫原性ワクチンを製造する;諸工程から成る多価
クレブシェラワクチンの製造を提供する。
【0008】さらに他の態様において、本発明は莢膜多
糖誘導体を含有する免疫原性クレブシェラワクチンを提
供する。
【0009】さらに別の態様において、本発明は、少な
くとも2つの異なる血清型のクレブシェラ菌から誘導さ
れる莢膜多糖の混合物を含有する多価免疫原性クレブシ
ェラワクチンを提供する。
【0010】さらに別の態様において、本発明は、比較
的精製された莢膜多糖をクレブシェラ菌から誘導し;そ
の莢膜多糖を脱アシル化剤で処理し;そして非発熱性の
免疫原性ワクチンを回収することにより製造された免疫
原性クレブシェラワクチンを提供する。
【0011】さらに別の態様において、本発明は、少な
くとも2つの異なる血清型のクレブシェラ菌から莢膜多
糖を誘導し;その莢膜多糖を脱アシル化剤で処理し;各
血清型の非発熱性、免疫原性莢膜多糖を回収し;そして
これらの莢膜多糖の各々の少なくとも一部を組み合わせ
ることにより製造された多価免疫原性ワクチンを提供す
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、精製されたク
レブシェラ血清型特異的莢膜多糖から成る免疫製剤に関
する。この新規免疫剤はクレブシェラヒト血液単離物の
莢膜血清型に由来する莢膜多糖(CPS)の適当な血清
型を、NaOHのような脱アシル化剤と組み合わせるこ
とにより調製される。これらの多価ワクチンは非経口、
経口または鼻咽頭経路で投与する場合、クレブシェラ感
染に対する能動免疫に有用である。また、これらのワク
チンはCPSに対する血清抗体レベルを増すために非経
口的に投与される。
【0013】安全でしかも免疫原性のある多価クレブシ
ェラ血清型特異的莢膜多糖ワクチンは、精製されたクレ
ブシェラ莢膜多糖を希水酸化ナトリウムのような脱アシ
ル化剤で処理する新規方法によって製造された。莢膜多
糖は既知莢膜血清型のクレブシェラ菌株を莢膜生産を促
進するように調整された培地上で培養することにより得
られる。この莢膜多糖は界面活性剤を用いる共沈、エタ
ノール沈澱、有機溶媒による抽出、および超遠心分離に
より精製される。その後、精製された莢膜多糖を希水酸
化ナトリウム中で処理して、同時精製された毒性のリポ
多糖を無毒化する。得られた莢膜多糖は1×106 ダル
トンに等しいかまたはそれより大きい分子量を有し、対
応する天然の莢膜多糖に関して免疫学的に反応性であ
り、マウスおよびモルモットに対して無毒性であり、し
かも5μg/kg(体重)に等しいかまたはそれより多
い用量でウサギに対して比較的非発熱性(例えば体温上
昇0.3℃以下)である。
【0014】本発明の多価クレブシェラ莢膜多糖ワクチ
ンはヒトに対して安全であり且つ免疫原性を有する。こ
のワクチンは実験上の致命的クレブシェラ感染症を防御
するオプソニン抗体の産生を誘発する。
【0015】先に述べたように、従来の研究は実験用リ
ボソームワクチンおよび実験用死滅全細胞ワクチンが動
物実験においてクレブシェラ感染を防御しうることを示
し、また防御は血清型特異的抗CPS免疫応答の誘発と
関連することがわかった。しかしながら、精製CPSを
ワクチン接種することによりマウスの防御的免疫応答を
誘発する従来の試みは、少なくとも若干の例において成
功しなかった。
【0016】先に示したクリズたちの文献に記載される
ように、CPSはクレブシェラKP1−0 (血清型1)
培養物の上清から単離され、精製された。CPSはセタ
バロン(Cetavalon)のような界面活性剤の添
加により細胞不含の培養上清から共沈させた。この沈澱
物を1M CaCl2 に溶解してCPSを界面活性剤か
ら分離し、次にエタノールを80%(容量/容量)まで
添加することによりCPSを溶液から採取した。その
後、CPSを蒸留水に溶解し、等容量のクロロホルム/
ブタノール(5:1)で十分に抽出した。水相を集め、
蒸留水に対して透析して微量の有機溶媒を除き、その後
100,000×gで16時間遠心分離して存在するリ
ポ多糖(LPS)の大部分を除いた。CPS含有上清を
集め、エタノールを80%(容量/容量)まで加えてC
PSを沈澱させた。CPSを蒸留水に溶解して凍結乾燥
した。このようにして調製されたCPSは主に炭水化物
から構成され、ゲル濾過クロマトグラフィーで測定して
1×106 以上の分子量を有していた。精製CPSによ
るウサギの免疫化に応答して誘発された抗血清は、致命
的な肺炎桿菌KP1−0敗血症からマウスを防御するこ
とが見出された。同様に、精製KP1−0 CPSで能
動免疫されたマウスは致命的な肺炎桿菌KP1−0敗血
症から防御された。
【0017】肺炎桿菌KP1−0 CPSは皮下経路で
ヒトに投与した場合、特異的免疫応答を誘発することが
見出された。しかしながら、免疫化はCPSを汚染する
低レベルのLPSのために痛み、腫れおよび紅斑により
特徴づけられる局部反応を高比率で保有していた。本発
明によれば、凍結乾燥CPSを0.1M NaOH−9
5%(容量/容量)エタノール溶液中で処理して脱アシ
ル化することにより、汚染性LPSが無毒化される。こ
の方法はウサギへの静脈内投与により測定した場合にC
PSの発熱性を著しく減じる。さらに、この種のNaO
H処理CPSは注射の際の局部反応の発生率を非常に低
下させると共に、ヒトに対して同様に免疫原性を有する
ことが見出された。CPSによる免疫化に応答して誘発
されたヒト免疫グロブリンG(IgG)は、マウスに受
動転移した場合に、致命的肺炎桿菌感染症に対して高度
の防御を与えることがわかった。水酸化カリウム、水酸
化リチウムおよび水酸化アンモニウムのようなその他の
脱アシル化剤も勿論本発明において使用するのに適して
いる。
【0018】本発明のこれらの特徴ならびにその他の特
徴は、本発明の好適な実施態様の次の詳細な説明を添付
の表と照合して読む場合に、十分に明らかになるであろ
う。
【0019】以下の実施例において、莢膜多糖は次のク
レブシェラ菌株から単離して精製した。
【0020】肺炎桿菌(K.pneumoniae)5
055:莢膜血清型2; K.オゼネ(K.ozaenae)C5046:莢膜血
清型3; 肺炎桿菌919:莢膜血清型10; 肺炎桿菌1702−49:莢膜血清型21; 肺炎桿菌7824:莢膜血清型30;および 肺炎桿菌3985−51:莢膜血清型55 上記の菌株はデンマーク国コペンハーゲン,スタテンス
血清研究所(Statens Seruminstit
ut)のオースコフ(I.Orskov)によりスイス
セーラムエンドワクチンインスティチュート(Swis
s Serumand Vaccine Instit
ute)に供給され、これらは莢膜血清型標準菌株であ
る。全ての菌株はアンプル中で凍結乾燥されて貯蔵され
ており、スタテンス血清研究所、ロンドンのパブリック
・ヘルス・ラボラトリー・サービスからいつでも容易に
入手し得る。
【0021】
【実施例】CPSを精製するためのクレブシェラ培養物
の調製は次のようにして開始した。凍結乾燥した培養物
を含むアンプルを開き、再調製し、そして寒天平板上に
接種した。この平板は37℃で18〜24時間増殖させ
た。次に、白金耳一杯の培養物を使って、125mlフ
ラスコ中のHYEM培地〔2%(重量/容量)ハイケー
ス−SF(Hycase−SF;米国テネシー州メンフ
ィス,フムコ・シェフィールド),0.3%(重量/容
量)酵母エキス(米国ミシガン州デトロイト,ジフコ・
ラボラトリーズ)〕30mlおよび2%(重量/容量)
マルトース(10%無菌原液として添加)に接種した。
この培養物は37℃、100RPMで8時間増殖させ
た。この培養物1mlを使って、2リットルのバッフル
付三角フラスコ中のHYEM培地500mlに接種し
た。これらの培養物(合計で4リットルの培地に対して
フラスコ8個)は37℃で振とう(100RPM)しな
がら16時間増殖させた。培養の終りに各フラスコの微
生物純度をグラム染色によって確かめた。本発明におい
ては、必ずしも同じ結果であるとは限らないが、所望に
よりクレブシェラのその他の増殖条件およびCPSの精
製条件を使用し得ると理解すべきである。
【0022】細菌細胞はソーバル(Sorval)RC
−2B遠心分離機を使って、無菌のプラスチック製遠心
ボトル中8000×g、30分の遠心分離を2回行うこ
とにより除去した。続いて、上清は0.80μmおよび
0.45μmミリポアフィルター(米国マサチューセッ
ツ州ベッドフォード,ミリポア・コーポレーション)を
通して濾過した。
【0023】その後の作業は全て加圧滅菌したガラス器
具またはプラスチック器具を用いて行なった。細胞不含
の培養上清に10%(重量/容量)原液としてのセタバ
ロン(Cetavalon:臭化N−セチル−N,N,
N−トリメチル−アンモニウム;E.メルク&カンパニ
ー)を最終濃度が0.5%(重量/容量)になるまで添
加した。この混合物を室温で30分攪拌し、沈澱物を形
成させた。生じたCPS含有沈澱物を5000×gで3
0分遠心分離することにより集めた。上清を捨て、沈澱
物は1M CaCl2 約100ml中に再懸濁した。沈
澱物が溶解するまでこの混合物を室温で攪拌した。工業
銘柄のエタノールを最終濃度が80%(容量/容量)に
なるまで添加してCPSを沈澱させた。この沈澱物を5
000×gで30分遠心分離することにより集め、そし
て蒸留水約100mlに溶解した。この溶液は等容量の
クロロホルム/ブタノール(5:1)で界面相に肉眼視
できる白色沈澱物が存在しなくなるまで抽出した。一般
に3〜5回の抽出が必要だった。それぞれの抽出の後
に、この物質を1000×gで15分遠心分離して界面
相の鮮明さを高めた。界面相の物質と有機相を捨てた。
CPS含有水相は4℃において蒸留水少なくとも2×5
0容量に対して透析した。その後透析された物質を10
0,000×gで18時間遠心分離し(ベックマンL2
−65B型,超遠心分離機)、リポ多糖(LPS)を沈
澱させた。上清を回収し、最終濃度が80%(容量/容
量)になるまでエタノールを加えることによりCPSを
沈澱させた。
【0024】沈澱したCPSを5000×gで30分遠
心分離することにより集め、滅菌蒸留水100〜150
mlに溶解した。このCPS溶液(15〜20ml)を
既知重量の滅菌ガラスフラスコ(全容積50ml)に分
配し、キャップをかぶせ、−70℃で最低4〜5時間凍
結して乾燥させた。凍結乾燥後フラスコの重量を再びは
かり、初めの重量を差し引いてフラスコ中の物質の量を
求めた。この物質(4℃で貯蔵)には内容物、ロット番
号、量(CPSの重量)および生産日付に関するラベル
を付けた。
【0025】CPSの調製物中に存在する微量のLPS
の無毒化は次のように脱アシル化することにより達成し
た。各血清型の凍結乾燥CPS(表1に示した6種類の
菌株の各々から精製したもの)17.5mgを滅菌三角
フラスコ中の0.1M NaOH−95%エタノール溶
液20mlに加えた。フラスコを回転振とう機上に置い
て37℃、75RPMで30分振とうした。この液体を
パスツールピペットで取り出し、この容器に無菌のリン
酸緩衝塩水(pH7.4)20mlを加えた。この溶液
は無菌の1%CH3 COOHを滴下することによりpH
7に下げた。CPSは4℃で一晩溶解させた。これらの
CPS溶液(1.2mg/ml)を無菌の混合容器中で
等割合で組み合わせた。その後、この溶液は無菌条件下
に0.45μmフィルター(米国ニューヨーク州ロチェ
スター,ナルゲ・カンパニー)を通過させた。この無菌
溶液1mlを無菌的に3mlバイアル中に入れ、キャッ
プをかぶせ、−70℃で無菌条件下に凍結乾燥した。バ
イアルは真空下で密封した。各バイアル(最終製品と呼
ぶ)は表1に示した6種類の血清型のCPSをそれぞれ
50μgずつ含み、合計で300μg含み、これを1ヒ
ト用量(one human dose)と呼んだ。C
PS物質をNaOHで処理する時間は、必ずしも等しい
結果であるとは限らないが、15分〜60分の範囲で変
化しうると理解すべきである。
【0026】表1は6種類のそれぞれのクレブシェラ莢
膜多糖の化学組成、および本発明の1つの態様において
これらの多糖から製造された6価ワクチンを示す。
【0027】
【表1】 原料CPSおよび最終製品の分析は以下に記載する通り
であった。
【0028】タンパク質:タンパク質は標準品としてウ
シ血清アルブミン(米国ミズリー州セントルイス,シグ
マ・ケミカル・カンパニー)を使って、ローリー(Lo
wry,O.H.),ローゼンブロー(Rosenbr
ough,N.J.),ファール(Farr,A.
L.)およびランドール(Randall,R.J.)
の“フォリンフェノール試薬によるタンパク質の測定”
J.Biol.Chem.193:265〜275(1
951)に記載の方法により測定した。
【0029】核酸:核酸含有量は1cmのキュベット中
260mmにおいて1mg/mlCPS−蒸留水溶液の
吸光度を測定することにより定量した。換算率は次の通
りである:1光学密度単位が核酸50μg/mlに相等
する。
【0030】炭水化物:炭水化物の総含有量は標準品と
してデキストランT−500(スウェーデン国ウプサ
ラ,ファーマシア・ファイン・ケミカルズ)を使ってフ
ェノール/硫酸法により測定した。
【0031】残留水分:残留水分は26−321a型水
分アナライザー(米国カリフォルニア州モンロビア,デ
ュポン・インスツルメント)を使って測定した。
【0032】分子量決定:各CPSの分子量はセファロ
ースCL−4B(スウェーデン国ウプサラ,ファーマシ
ア・ファイン・ケミカルズ)でのクロマトグラフィーに
より測定した。94cm×1.5cmカラムはブルーデ
キストラ2000(BlueDextra 2000;
スウェーデン国ウプサラ,ファーマシア・ファイン・ケ
ミカルズ)を使ってボイド容積(Void volum
e)を測定し、またC14−酢酸を使って総カラム容積を
測定した。CPSの5mg試料を2mlのリン酸緩衝塩
水(PBS)、pH7.4に加えた。このカラムをPB
Sで溶離し、フェノール/硫酸法を使って各分画(2.
5ml)の炭水化物含有量について分析した。ワクチン
の分配定数(Kd)はワング(Wong,K.H),バ
ーレラ(Barrera,O.),サットン(Sutt
on,A.),メイ(May,J.),ホッチスタイン
(Hochstein,D.H.),ロビンス(Rob
bins,J.B.),パークマン(Parkman,
P.D.),セリグマン(Seligmann,E.
B.)の“髄膜炎菌ワクチン,グループAおよびグルー
プC多糖類の標準化および調節”J.Biol.Sta
ndardization 5;197〜215,19
77 に記載されるごとく計算した。
【0033】KDO:LPSの一成分である2−ケト−
3−デオキシオクトネート(KDO)はオスボーン(O
sborn,M.J.)の“グラム陰性細胞壁Iに関す
る研究,ネズミチフス菌(Salmonella ty
phimurium)のリポ多糖における2−ケト−3
−デオキシオクトネートの役割についての証明”Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 50:49
9〜506,1963に記載されるようにして定量し
た。
【0034】6種類の血清型のCPSの化学組成は表1
に示す。CPS調製物は主に炭水化物から成り、微量の
タンパク質、核酸およびLPSが存在していた。
【0035】各CPS調製物はそれぞれ希NaOHで処
理した。NaOH処理の前後に、CPS調製物は分子量
およびウサギに静脈内投与した際の発熱性について分析
した。表2を参照されたい。CPSの免疫原性はそれら
の比較的大きな分子量と関係があり、またヒトに非経口
投与した際のCPSの安全性はワングたちの上記文献に
記載されるようにウサギにおける発熱性と逆の関係にあ
ることが知られている。従って、理想的なCPS調製物
は高分子量を有し、しかも非発熱性であるだろう。全て
の天然クレブシェラCPSは高分子量を有し(セファロ
ースCL−4B上にてKdが0.1に等しいかまたはそ
れより小さい)、大部分の炭水化物はKd=0.5に達
する前に溶出された。NaOH処理はこれらの特性に対
してほとんど影響を及ぼさなかった。天然CPSはウサ
ギに対して0.1μg/kg(またはそれ以下)〜1.
0μg/kgの最小発熱用量(MPD)を有していた
(表2参照)。NaOH処理後に、MPDはいくつかの
血清型において50μg/kg以上に増加し、試験した
全ての血清型において発熱性は最低で20倍減少した。
それ故、クレブシェラCPSのNaOHによる処理は非
発熱性の高分子量抗原分画をもたらす。
【0036】表2は上記の莢膜多糖を水酸化ナトリウム
で処理することによる分子量および発熱性に対する影響
を示すものである。
【0037】
【表2】 次に、6価クレブシェラCPSワクチンを処方した。こ
のワクチンは表1に示した6種類のクレブシェラ菌株に
由来するNaOH処理CPSを50μgずつ含んでいた
(1ヒト用量は抗原の合計量300μgに等しい)。こ
のワクチンの特性は次の通りである: 1)ワクチンは動物に対して無毒性であった。腹腔内経
路で1ヒト用量のワクチンを投与されたマウスまたはモ
ルモットには死亡が全く観察されなかった。さらに、ワ
クチン投与後に正常の体重増加曲線を示した。
【0038】2)ワクチンはウサギに対して非発熱性で
あった。ワクチン50μg/kg(ウサギの体重)の投
与は+0.3℃以下の発熱応答を誘発した。
【0039】3)ワクチンは高分子量であった。セファ
ロースCL−4Bカラムでクロマトグラフ処理を行なっ
たときワクチンのKdは0であり(カラムのボイド容積
に等しい)、99%以上の物質が0.5以下のKdで溶
出された。
【0040】4)ワクチンは主に炭水化物(72.8
%、乾燥重量)から成り、微量のタンパク質(1.64
%)、核酸(0.94%)およびKDOを含んでいた。
残留水の含有量は9.3%であった。
【0041】5)ワクチンは無菌の凍結乾燥白色粉末と
して得られた。
【0042】6価クレブシェラCPSワクチンのヒトに
おける安全性および免疫原性:ボランティアは年令が2
2才から62才までの健康な男性および女性であった。
使用直前にワクチンを滅菌蒸留水で調製した。このワク
チン(0.5ml)を三角筋領域に皮下投与した。ワク
チン投与後5日間、ボランティアは発熱、局所の痛み、
腫れ、紅斑、硬結、頭痛および倦怠感を含めてワクチン
接種に対する諸反応を記録した。静脈血の試料をワクチ
ン接種時およびワクチン接種後14日目と28日目に各
自から採取した。血清を集めて−20℃で保存した。
【0043】約35%(22人のうち8人)の人が24
時間続く軽い痛みを感じたと報告した。3人のボランテ
ィアは倦怠感と軽い頭痛によって特徴づけられる全身反
応を示した。全ての症状は発生後24〜48時間以内に
自然に消え失せ、いかなる場合にもワクチンの正規の活
性を制限しなかった。
【0044】酵素−結合免疫吸着検定法(ELISA)
により測定した6種類のワクチン成分のそれぞれに対す
る免疫グロブリンG(IgG)応答を表3に示す。ワク
チン接種者の82%(K3)〜95%(K2)が4倍ま
たはそれ以上のIgG力価の増加を応答して、このワク
チンがヒトにおいて高度の免疫原性を有することが判明
した。ワクチン投与後のIgG力価の平均増加は5倍
(K21)ないし18.6倍(K2)の範囲であった。
【0045】表3はヒトボランティアにワクチンを非経
口投与した後の抗−莢膜多糖免疫グロブリンG抗体の応
答を示す。
【0046】
【表3】 6価クレブシェラCPSワクチンによって誘発された免
疫応答の防御能力を確かめるために、次の実験を行なっ
た。免疫後にK2CPSに対して4倍またはそれ以上の
力価増加を示した10人のボランティアの血清からIg
Gを単離した。また、免疫前にもこれらのボランティア
からIgGを採取した。マウス(20gの雌,NMRI
株)にはそれぞれ尾の静脈から塩水0.3ml中のIg
G2.3mgを投与した。約24時間後にマウスをやけ
どさせ、前記のような種々の毒性クレブシェラ血清型2
菌株を用いて対抗(challenge)させた。結果
を表4に示す。ELISA検定法で測定して検出できな
い量(力価2より小)の特異的抗K2莢膜抗体を有して
いた免疫前IgGは、致命的な敗血症の予防に効果がな
かった(死亡率60〜100%)。高度に有意な防御
(p<0.05ないしp<0.01)は、高レベル(力
価=256)の抗K2CPS抗体を有していた免疫Ig
Gによって5種類のクレブシェラK2対抗菌株全部に対
して得られた。これらの結果は、クレブシェラCPSの
投与により誘発されたヒトのIgG抗体応答がクレブシ
ェラ感染に対して高度に有意な防御を与えうることを示
している。さらに、防御応答は菌株特異性ではなく、す
なわち抗莢膜血清型2抗体は5種類全部の莢膜血清型2
−保有対抗菌株からの防御をもたらした。
【0047】表4は致命的なクレブシェラ感染症に対す
る誘発された抗莢膜多糖IgG抗体応答の防御能力を示
すものである。
【0048】
【表4】 表3および表4のデータを要約すると、6価ワクチンへ
処方されたNaOH処理クレブシェラCPSはヒトボラ
ンティアに対して安全であり且つ免疫原性を有すること
が判明した。80%以上のワクチン接種者が個々のワク
チン成分に対して有意な(4倍またはそれ以上の増加)
IgG抗体応答を示した。上記ワクチンでの免疫化によ
って誘発されたヒトIgG抗体をマウスに受動転移する
と、その抗体は致命的なクレブシェラ感染に対して高度
に有意な防御を与えることができた。対照的に、免疫前
に同じボランティアから調製したIgGは致命的なクレ
ブシェラ感染に対して何らの防御も与えなかった。
【0049】6価クレブシェラワクチンを使用するヒト
超免疫抗クレブシェラグロブリンの調製:上記の6価ク
レブシェラCPSワクチンを用いてボランティアを免疫
化した。約6週間後、免疫後に6種類全部のワクチン成
分に対して4倍またはそれ以上のIgG ELISA力
価の増加を示した13人から静脈血(1人あたり平均し
て240ml)を採取した。静脈内使用のためのガンマ
グロブリン(IVIG)はエタノール分画化、イオン交
換クロマトグラフィー、限外濾過および透析により粗採
取血清から調製した。タンパク質含有量を50mg/m
lに調節し、この調製物を安定剤溶液中で凍結乾燥し
た。この凍結乾燥調製物をクレブシェラ免疫IVIGと
呼ぶ。IVIG調製物であるグロブマン(Globum
an;スイス国ベルン,スイス血清ワクチン研究所)
は、出発粗製ヒト血漿プールが6価クレブシェラCPS
ワクチンで免疫化されていないヒト供与者から得られた
(すなわち正常のヒト血清である)ことを除いて、同じ
方法で調製された。
【0050】クレブシェラ免疫IVIGは実質的にグロ
ブマンよりも高いIgG ELISA力価(16倍ない
し128倍)を有していた。表5を参照されたい。さら
に、クレブシェラ免疫IVIGのみが、インビトロ系で
試験した場合に、オプソニン形成を促進でき且つその後
6種類の血清型の試験菌株(ワクチン中にこれらの菌株
の莢膜抗原が含まれる)の全てを殺滅し得ることがわか
った。表6を参照されたい。この種の“オプソニン”I
gG抗体の誘発は免疫IVIGの防御能力にとってきわ
めて重要である。なぜなら、病気の状態でのクレブシェ
ラの排除が抗体に依存する食作用および殺滅によると考
えられるからである。
【0051】表5は正常ヒト血清から得られた調製物と
比較した場合の、6価ワクチンで免疫化した供与者の血
清から得られた免疫静脈内ガンマグロブリンの抗莢膜I
gG抗体の力価を示す。
【0052】
【表5】 表6はクレブシェラ試験菌株の食作用および殺滅を促す
上記の免疫ガンマグロブリンの能力を示す。
【0053】
【表6】 致命的なクレブシェラ火傷敗血症を予防するグロブマン
およびクレブシェラ免疫IVIGの能力について測定し
た。マウス(18〜20gの雌,NMRI株)はそれぞ
れ段階的用量のIVIG調製物(5mg/kg〜500
mg/kg)または500mg/kgのヒトアルブミン
(アルブマン;スイス国ベルン,スイス血清ワクチン研
究所)を0.2mlの容量で静脈内投与された。約24
時間後マウスをやけどさせ、60個の肺炎桿菌莢膜型2
細菌を感染させた。その結果を表7に示す。対照として
ヒトアルブミンを投与されたマウス群の死亡率は87%
であった。K2抗原(クレブシェラ対抗菌株によって発
現される)に対して32のIgG ELISA力価を有
するグロブマンは、試験した最高用量(500mg/k
g)においてのみ有意な防御(P0.01)を示し
た。対照的に、クレブシェラ免疫IVIGは5mg/k
g程度の低用量(グロブマンの1/100の用量)で良
好な防御を与えた。
【0054】表7は致命的なクレブシェラ感染症に対す
る免疫ガンマグロブリンと正常ガンマグロブリン(グロ
ブマン)との防御能力(重量基準による)の比較を示
す。
【0055】
【表7】 表5〜7からのデータを要約すると、6価クレブシェラ
CPSワクチンで免疫されたボランティアの採取血清か
ら調製したIVIG(クレブシェラ免疫IVIG)は、
正常ヒトの採取血清から調製したIVIGと比較した場
合、6種類のワクチン成分に対して実質的により高いI
gG力価を有する。クレブシェラ免疫IVIGのみが6
種類全部のクレブシェラ試験菌株の食作用およびその後
の殺滅を促進した。クレブシェラ免疫IVIGの防御能
力は、同一方法で正常ヒト血清から得たIVIGと比較
して100倍以上(重量基準)であった。
【0056】次に、24種類のクレブシェラ血清型から
成る多価ワクチンを調製した。ヨーロッパおよび北アメ
リカの13の臨床センターから集めた全部で703のク
レブシェラ血液単離物の莢膜血清型について研究した。
【0057】莢膜血清型の研究はパルフレイマン(Pa
lfreyman,J.M.)の“カウンター免疫電気
泳動によるクレブシェラ血清型の分類”,ジャーナル・
オブ・ハイジーン(Journal of Hygie
ne),81巻2号,219〜225頁,1978年1
0月に記載のごとく行なった。全出現頻度を表8に示
す。これらの血清型から、クレブシェラ血清型を含む特
に有効な多価ワクチンを以下のようにして調製した。あ
る種の血清型のクレブシェラ莢膜多糖によるワクチン接
種は、他のある種の血清型に対する抗体の産生をも促進
するということが認められた。こうして、例えば血清型
2のCPSワクチンの投与は血清型2,69および1に
対する抗体の産生を促進し;血清型21のCPSワクチ
ンの投与は血清型21および11に対する抗体の産生を
促進し;血清型3のCPSワクチンの投与は血清型3お
よび68に対する抗体の産生を促進し;血清型10のC
PSワクチンの投与は血清型10および7に対する抗体
の産生を促進し;そして血清型64のCPSワクチンの
投与は血清型64および14に対する抗体の産生を促進
する。ある種の血清型のこの交叉反応性は必ずしも相互
補足的であるとは限らない。例えば、血清型35のCP
Sワクチンの投与は血清型35および33に対する抗体
の産生を促進するが、その促進の程度は血清型33のC
PSワクチンの投与が血清型33および35に対する抗
体の産生を促進する程度よりも一層大きいものである。
【0058】さらに、表8に示すように、血清型1およ
び39は絶対的意味での相対頻度で現われるが、これら
の血清型は今までのところ特定の地域に特有のものであ
って、一般用途のワクチンにはあまり適していない。し
かしながら、これらの血清型を含むワクチンは、これら
の血清型が出現する特定の地域において有益に利用され
るであろう。また、クレブシェラ血清型27はある程度
の頻度で現われるが、この血清型のCPSの混入はクレ
ブシェラ血清型27の出現と強直性脊椎炎との間に起こ
りうる関連性ゆえに全ての場合に適しているとは限らな
い。
【0059】有効な多価クレブシェラワクチンを開発す
る際に、十分変化にとんだ血清型のCPSを混入して適
度の防御を賦与することが重要である。しかしながら、
血清型の数を正当化し得る数に制限することも大切であ
る。これに関して、表8に示したあらゆる血清型のCP
Sを単一のワクチン内に混入することは望ましくないか
も知れない。全ての血清型を含むワクチンは、効果がな
く且つ若干の医師にとって倫理的でない上に、多くの場
合にワクチン接種者の不快感を強め、抗原の過負荷をも
たらし、そしてより少数の異なる血清型を含むワクチン
から誘発されるはずの免疫応答を抑制する恐れがある。
【0060】本発明によれば、種々の血清型の組合せを
含む多数のワクチンが可能であるが、好適な多価ワクチ
ンはクレブシェラ血清型2,3,5,9,10,15,
16,17,18,21,22,25,28,30,3
5,43,52,53,55,60,61,62,63
および64を含むもの;クレブシェラ血清型2,3,
5,9,10,15,16,17,18,21,22,
25,28,30,35,39,43,52,53,5
5,60,61,62,63および64を含むもの;お
よびクレブシェラ血清型2,3,5,9,10,15,
16,17,18,21,22,25,27,28,3
0,35,43,52,53,55,60,61,6
2,63および64を含むものである。
【0061】
【表8】 次の実施例では、6価ワクチンに関して先に述べたよう
にNaOH処理莢膜多糖の血清型を組み合わせて、次の
24種類の血清型:2,3,5,9,10,15,1
6,17,18,21,22,25,27,30,3
5,43,52,53,55,60,61,62,63
および64のCPS誘導体を含むワクチンを調製した。
このワクチンは凍結乾燥した。1ヒト用量は各抗原を5
0μgずつ、合計で1200μg含んでいた。5人の健
康な成人ボランティアはそれぞれ0.5ml中のワクチ
ン1用量を皮下投与された。1人のボランティアは注射
部位に痛みを感じ、この痛みは免疫の4時間後に始まっ
て約24時間持続した。ワクチン注射後28日目に静脈
血を採取し、この血清はCPSワクチン成分に対するI
gG力価についてELISAにより分析した。その結果
を表9に示す。
【0062】
【表9】 要約すると、ワクチン中に含まれる24種類の血清型の
クレブシェラCPSの全ては、ヒトに非経口投与した際
に、特異的IgG抗体応答を誘発することが出来た。
【0063】本発明の好適な実施態様についてここに説
明したが、当業者なら種々の変更ならびに修飾(特に、
混入される莢膜多糖の血清型の数に関するようなワクチ
ン処方の変更)が本発明の範囲から逸脱することなくな
し得ることは明らかだろう。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱アシル化剤による処理によって混入し
    ているリポ多糖類を無毒性にした、本質的に純粋な莢膜
    多糖類からなる免疫原性クレブシェラワクチン。
  2. 【請求項2】 莢膜多糖類が、1−5%ハイケース−S
    F、0.1−1%酵母エキスおよび1−10%マルトー
    スからなる培地中で培養されたクレブシェラの培養上清
    物から精製される、請求項1記載の本質的に純粋な莢膜
    多糖類からなる免疫原性クレブシェラワクチン。
  3. 【請求項3】 莢膜多糖類の平均分子量が1×106
    ルトンである、請求項1記載の本質的に純粋な莢膜多糖
    類からなる免疫原性クレブシェラワクチン。
  4. 【請求項4】 クレブシェラ細菌から本質的に純粋な莢
    膜多糖類混合物を得て;上記莢膜多糖類を脱アシル化剤
    で処理し;そして該莢膜多糖類からなる非発熱性の免疫
    原性ワクチンを回収する;工程からなるクレブシェラワ
    クチンの製法。
  5. 【請求項5】 上記脱アシル化剤が水酸化カリウムから
    なる請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 上記脱アシル化剤が水酸化カリウム、水
    酸化リチウムまたは水酸化アンモニウムからなる群から
    選択される請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 莢膜多糖類がハイケース−SF、酵母エ
    キスおよびマルトースからなる培地中で培養されるクレ
    ブシェラの培養上清物から精製される請求項4記載の方
    法。
JP5300093A 1993-11-30 1993-11-30 クレブシェラ莢膜多糖ワクチン Pending JPH06316533A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5300093A JPH06316533A (ja) 1993-11-30 1993-11-30 クレブシェラ莢膜多糖ワクチン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5300093A JPH06316533A (ja) 1993-11-30 1993-11-30 クレブシェラ莢膜多糖ワクチン

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8986586A Division JPH0645554B2 (ja) 1986-03-27 1986-04-18 クレブシェラ莢膜多糖類ワクチンおよびその製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06316533A true JPH06316533A (ja) 1994-11-15

Family

ID=17880632

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5300093A Pending JPH06316533A (ja) 1993-11-30 1993-11-30 クレブシェラ莢膜多糖ワクチン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06316533A (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62249933A (ja) * 1986-03-27 1987-10-30 スイス・シラム・アンド・ヴァクシン・インスティテュート・バーン クレブシェラ莢膜多糖類ワクチンおよびその製法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62249933A (ja) * 1986-03-27 1987-10-30 スイス・シラム・アンド・ヴァクシン・インスティテュート・バーン クレブシェラ莢膜多糖類ワクチンおよびその製法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0088303B1 (fr) Procédé de préparation de complexes polysaccharide-protéine de capsules bactériennes, produits obtenus et compositions immunogènes les contenant
Frasch et al. Protection against group B meningococcal disease. III. Immunogenicity of serotype 2 vaccines and specificity of protection in a guinea pig model.
EP0118831B1 (en) Vaccines for gram-negative bacteria and method for the preparation thereof
EP3056212B1 (en) Non-lipidated variants of neisseria meningitidis orf2086 antigens
US4220717A (en) Isolation and purification of polyribosyl ribitol phosphate from Haemophilus influenzae type b.
JP2763960B2 (ja) 大腸菌 o−多糖−タンパク質結合ワクチン
US4755381A (en) Klebsiella capsular polysaccharide vaccine
Cryz Jr et al. Safety and immunogenicity of Klebsiella pneumoniae K1 capsular polysaccharide vaccine in humans
Cryz Jr et al. Safety and immunogenicity of a polyvalentKlebsiella capsular polysaccharide vaccine in humans
US4203971A (en) Neisseria gonorrhoeae vaccine
EP0008969A2 (en) Vaccine and method of making
EP0041897A2 (en) Polysaccharide antigen from streptococcus and vaccines
JPH11511735A (ja) 非細胞性(Acellular)百日咳ワクチン及びその調製方法
JP5490341B2 (ja) Staphylococcus感染のための多糖ワクチン
JP3169608B2 (ja) ヒトにおいてエンテロトキシン産生大腸菌により起こる腸感染症/下痢に対して接種するためのホルマリン殺菌したコロニー形成因子抗原(cfa)−発現性大腸菌の調製および使用
US4239749A (en) Neisseria gonorrhoeae vaccine
NZ223841A (en) Iron-restriction proteins from pasteurella, vaccines and antibodies
Hatano et al. Immunogenic and antigenic properties of a heptavalent high-molecular-weight O-polysaccharide vaccine derived from Pseudomonas aeruginosa
PT90310B (pt) Processo para a obtencao de preparacoes de adenilato-ciclase
JPH10508303A (ja) Moraxellaの主要外層膜蛋白CD
IE60324B1 (en) Vaccine against e. coli septicaemia in poultry
HELTING et al. SEROTYPE DETERMINANT PROTEIN OF NEISSERIA MENINGITIDIS: Large Scale Preparation by Direct Detergent Treatment of the Bacterial Cells
EP0238739B1 (en) Klebsiella capsular polysaccharide vaccine
JPH06316533A (ja) クレブシェラ莢膜多糖ワクチン
US11045536B2 (en) Vaccine

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees