JP3232380B2 - 自動二輪車用ダイカスト製ホイール - Google Patents

自動二輪車用ダイカスト製ホイール

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JP3232380B2 JP35498392A JP35498392A JP3232380B2 JP 3232380 B2 JP3232380 B2 JP 3232380B2 JP 35498392 A JP35498392 A JP 35498392A JP 35498392 A JP35498392 A JP 35498392A JP 3232380 B2 JP3232380 B2 JP 3232380B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動二輪車用ダイカス
ト製ホイールに関し、特にリム部におけるタイヤが嵌合
する部分の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動二輪車のホイールとしては、
アルミニウム合金によって一体成形されたダイカスト製
ホイールがある。この種のダイカスト製ホイールは、車
軸が貫通するハブ部と、タイヤが装着されるリム部と、
ハブ部とリム部とを連結するスポーク部とが一体に形成
されていた。なお、リム部はホイールの軸方向両側にタ
イヤ嵌合部が形成されていた。
【0003】また、従来の自動二輪車では、後輪を例え
ばリヤアームによって片持ち支持する構造のものがあ
り、この種の自動二輪車に前記ダイカスト製ホイールを
採用するに当たっては、ハブ部をタイヤ中心に対してリ
ヤアームとは車幅方向反対側に偏在させることがあっ
た。このようにするのは、ハブ部とリヤアームとの間に
ブレーキ装置や駆動用チェーンスプロケット等を配置す
るスペースを確保するためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上述したよ
うにハブ部をタイヤ中心に対して車幅方向一側に偏在さ
せると、ホイールの剛性が低くなってしまうという問題
があった。これは、タイヤに路面から衝撃が加わったと
きにリム部におけるハブ部と同側のタイヤ嵌合部に応力
が集中し易くなるためである。
【0005】すなわち、路面からタイヤに衝撃荷重が加
えられたときにスポーク部が弾性変形し、スポーク部の
リム側端部がタイヤ中心線に対してハブ部とは反対側へ
向かうように瞬間的に撓むからであった。このようにス
ポーク部が撓むときにはリム部も同方向に移動しようと
するが、タイヤは路面に接していて位置ずれし難い関係
から、移動方向とは反対側に位置する(ハブ部と同側に
位置する)タイヤ嵌合部にタイヤからの反力が集中して
しまう。
【0006】本発明はこのような問題点を解消するため
になされたもので、剛性の高い自動二輪車用ダイカスト
製ホイールを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る自動二輪車
用ダイカスト製ホイールは、有底円筒状のハブ部をタイ
ヤ中心より車幅方向一側へ偏在させ、このハブ部にスポ
ーク部を介してリム部を連結した自動二輪車用ダイカス
ト製ホイールであって、前記ハブ部の底部は、前記車幅
方向一側のホイール端部に位置付けられるとともに、車
軸が貫通する軸心部から径方向の外側へ延在されて外周
部に接続され、前記スポーク部は、前記車幅方向の一側
方に向けて頂部が突出する横断面へ字状に形成され、前
記ハブ部の外周部から前記リム部の内周部におけるタイ
ヤ中心となる部位に向けて湾曲して延びるとともにホイ
ール正面視においてハブ部を中心とする渦巻状に形成さ
れ、前記リム部は、前記車幅方向の一側に位置するタイ
ヤ嵌合部が他側のタイヤ嵌合部より肉厚が厚くなるよう
に形成されているものである。
【0008】
【作用】本発明によれば、スポーク部は、三次元空間中
の曲線に沿うように形成され、ハブ部とリム部との間で
直線状に延びるように形成する場合に較べて全長が長く
なるから、衝撃荷重が加えられたときに弾性変形して貯
える弾性エネルギーが大きくなる。この結果、衝撃荷重
が加えられたときにリム部に生じる応力をスポーク部が
弾性変形することによって低減することができる。ま
た、タイヤに衝撃荷重が加えられたときにハブ部が偏在
する方のタイヤ嵌合部に生じる応力は、この肉厚が厚く
形成されたタイヤ嵌合部で分散され易くなる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図4に
よって詳細に説明する。図1は本発明に係る自動二輪車
用ダイカスト製ホイールの右側面図、図2は同じく左側
面図、図3は図1におけるIII−III線断面図、図4は要
部を拡大して示す断面図である。
【0010】これらの図において、1は本発明に係る自
動二輪車用ダイカスト製ホイールで、このホイール1
は、例えばスクータの後輪用として使用されるものであ
る。このホイール1はアルミニウム合金を原材料として
ダイカストによって一体に形成され、不図示の車軸が貫
通するハブ部2と、このハブ部2から径方向外側に延び
るスポーク部3と、このスポーク部3を介してハブ部2
に連結されたリム部4とから構成されている。
【0011】前記ハブ部2は、軸心部に鉄製の車軸嵌入
部材5がインサートされて略有底円筒状に形成され、ド
ラムブレーキ用ハウジングを構成している。このハブ部
2は、図3中に一点鎖線Aで示すタイヤ中心より車幅方
向の一側(図3においては右側)へ偏在している。この
ハブ部2の底部2aは、図3に示すように、前記車幅方
向一側のホイール端部に位置付けられるとともに、車軸
が貫通する軸心部2bから径方向の外側へ延在されて円
筒状の外周部2cに接続されている。そして、この略有
底円筒状を呈するハブ部2の内周部には、不図示のドラ
ムブレーキのブレーキライニングが摺接する鉄製のイン
ナー6がインサートされている。なお、このハブ部2
は、図3において右側から車軸が車軸嵌入部材5の軸穴
5aに嵌入され、ハブ部2より左側に位置するスクータ
用伝動装置7に連結される。また、前記車軸は、スクー
タ用伝動装置7に回転自在に支持され、不図示の伝動機
構を介してエンジンのクランク軸に連結される。すなわ
ち、このホイール1はスクータ用伝動装置7に片持ち支
持されることになる。
【0012】前記スポーク部3は、ハブ部2の外周部か
ら径方向外側へ向けて延在される部分の断面形状、すな
わち横断面形状が略へ字状に形成されている。このへ字
状の頂部となる部分を図1ないし図3において符号3a
で示す。すなわち、スポーク部3は、ハブ部2が偏在す
る車幅方向の一側方に向けて頂部3aが突出するように
形成されている。また、このスポーク部2は、タイヤ中
心Aより一側に偏在するハブ部2からリム部4のタイヤ
中心Aとなる部位へ向けて湾曲して延びるとともに、図
1および図2に示すように、前記頂部3aおよびその両
側の部分がホイール正面視でハブ部2を中心とした渦巻
状となるように形成されている。この構造を採ることに
より、スポーク部3は、三次元空間中の曲線に沿うよう
に形成される。
【0013】前記リム部4は図3に示すように略円筒状
に形成され、軸方向両端部(図3において左右方向両端
部)を径方向外側へ突出させてタイヤ嵌合部4a,4b
が設けられている。図3においてこのタイヤ嵌合部4
a,4bに接する符号8で示すものはタイヤである。両
タイヤ嵌合部4a,4bのうち図3および図4において
左側(タイヤ中心Aに対してボス部2の偏在側とは反対
側)に位置するタイヤ嵌合部4aは、リム部4の基本肉
厚tと同等の肉厚をもって形成されている。
【0014】これに対して、図3および図4において右
側(タイヤ中心Aに対してボス部2の偏在側と同側)に
位置するタイヤ嵌合部4bは、その肉厚t1 、特に、タ
イヤ嵌合部4b基端部の肉厚t2 を前記基本肉厚tより
厚くして形成されている。このようにするために、図4
中に符号Hで示すタイヤ嵌合部4bの径方向寸法と、符
号Dで示す車幅方向寸法を、反対側のタイヤ嵌合部4a
での径方向寸法h,車幅方向寸法dよりそれぞれ大きく
設定している。言い換えれば、前記寸法D,Hを寸法
d,hより大きくすることによって、肉厚t1やt2を基
本肉厚tより厚くしている。
【0015】このように構成されたホイール1では、タ
イヤ8が路面上の突起を乗り越えたりして路面から図3
中に矢印B方向に衝撃荷重が加えられると、スポーク部
3が二点鎖線矢印Cで示すように瞬間的に撓み、ハブ部
2と同側に位置するタイヤ嵌合部4bがタイヤ8から矢
印Dで示すスラスト方向の反力を受けるようになる。ス
ポーク部3は、三次元空間中の曲線に沿うように形成さ
れており、ハブ部2とリム部4との間で直線状に延びる
ように形成する場合に較べて全長が長くなるから、衝撃
荷重が加えられたときに弾性変形して貯える弾性エネル
ギーが大きくなる。この結果、ホイール1に衝撃荷重が
加えられてスポーク部3が弾性変形することによって、
リム部4に生じる応力を低減することができる。
【0016】また、前記タイヤ嵌合部4bに加えられる
前記スラスト方向の反力は、タイヤ嵌合部4bの肉厚が
比較的厚く形成されている関係から分散され易く、一箇
所に集中するようなことはない。したがって、上述した
ようにリム部4に生じる応力が低減されることと、リム
部4における車幅方向の一側のタイヤ嵌合部を相対的に
肉厚が厚くなるように形成したことによって前記応力が
分散されることとが相俟って、リム部4のタイヤ嵌合部
4bが破損されるのを防ぐことができる。さらに、この
ホイール1は、スポーク部3を車幅方向の一側方に向け
て頂部3aが突出する横断面へ字状に形成しているか
ら、ホイール1を鋳造する金型におけるスポーク部3を
成形するキャビティに大きな抜き勾配を形成することが
でき、鋳造が容易になる。
【0017】なお、本実施例ではスクータの後輪に用い
るホイールについて説明したが、本発明はこのような限
定にとらわれることなく、前輪にも適用することがで
き、スクータ以外の自動二輪車のホイールにも適用する
ことができる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る自動二
輪車用ダイカスト製ホイールは、有底円筒状のハブ部を
タイヤ中心より車幅方向一側へ偏在させ、このハブ部に
スポーク部を介してリム部を連結した自動二輪車用ダイ
カスト製ホイールであって、前記ハブ部の底部は、前記
車幅方向一側のホイール端部に位置付けられるととも
に、車軸が貫通する軸心部から径方向の外側へ延在され
て外周部に接続され、前記スポーク部は、前記車幅方向
の一側方に向けて頂部が突出する横断面へ字状に形成さ
れ、前記ハブ部の外周部から前記リム部の内周部におけ
るタイヤ中心となる部位に向けて湾曲して延びるととも
にホイール正面視においてハブ部を中心とする渦巻状に
形成され、前記リム部は、前記車幅方向の一側に位置す
るタイヤ嵌合部が他側のタイヤ嵌合部より肉厚が厚くな
るように形成されているため、スポーク部が弾性変形す
ることによってリム部に生じる応力が低減されるととも
に、この応力は、肉厚が厚いリム部のタイヤ嵌合部で分
散される。
【0019】したがって、衝撃荷重に対するリム部の剛
性を高めることができるから、リム部のタイヤ嵌合部が
破損されることがなく、強固なダイカスト製ホイールを
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車用ダイカスト製ホイー
ルの右側面図である。
【図2】本発明に係る自動二輪車用ダイカスト製ホイー
ルの左側面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】要部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 ホイール 2 ハブ部 3 スポーク部 4 リム部 4a タイヤ嵌合部 4b タイヤ嵌合部 8 タイヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−29301(JP,A) 特開 昭61−247501(JP,A) 実開 昭62−78501(JP,U) 実開 昭55−176801(JP,U) 実開 昭62−12501(JP,U) 実開 平2−43701(JP,U) 実開 平3−96201(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60B 1/00 B60B 21/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底円筒状のハブ部をタイヤ中心より車
    幅方向一側へ偏在させ、このハブ部にスポーク部を介し
    てリム部を連結した自動二輪車用ダイカスト製ホイール
    であって、前記ハブ部の底部は、前記車幅方向一側のホ
    イール端部に位置付けられるとともに、車軸が貫通する
    軸心部から径方向の外側へ延在されて外周部に接続さ
    れ、前記スポーク部は、前記車幅方向の一側方に向けて
    頂部が突出する横断面へ字状に形成され、前記ハブ部の
    外周部から前記リム部の内周部におけるタイヤ中心とな
    る部位に向けて湾曲して延びるとともにホイール正面視
    においてハブ部を中心とする渦巻状に形成され、前記リ
    ム部は、前記車幅方向の一側に位置するタイヤ嵌合部が
    他側のタイヤ嵌合部より肉厚が厚くなるように形成され
    ていることを特徴とする自動二輪車用ダイカスト製ホイ
    ール。
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