JP3221564B2 - クロム酸化物含有物質の処理方法 - Google Patents
クロム酸化物含有物質の処理方法Info
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- JP3221564B2 JP3221564B2 JP26562397A JP26562397A JP3221564B2 JP 3221564 B2 JP3221564 B2 JP 3221564B2 JP 26562397 A JP26562397 A JP 26562397A JP 26562397 A JP26562397 A JP 26562397A JP 3221564 B2 JP3221564 B2 JP 3221564B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス精錬の
際に発生するステンレス鋼スラグ、重クロム酸ナトリウ
ムなどのクロム化合物の製造の際に発生するクロム鉱
滓、廃棄物溶融スラグなどクロム酸化物含有物質中のCr
6+の還元処理方法に関するものである。
際に発生するステンレス鋼スラグ、重クロム酸ナトリウ
ムなどのクロム化合物の製造の際に発生するクロム鉱
滓、廃棄物溶融スラグなどクロム酸化物含有物質中のCr
6+の還元処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス精錬の際に発生するステンレ
ス鋼スラグ、および重クロム酸ナトリウムなどのクロム
化合物の製造の際に発生するクロム鉱滓は、数%のクロ
ム酸化物を含有し、操業条件によっては、過酸化クロ
ム、すなわちCr6+が溶出する場合がある。
ス鋼スラグ、および重クロム酸ナトリウムなどのクロム
化合物の製造の際に発生するクロム鉱滓は、数%のクロ
ム酸化物を含有し、操業条件によっては、過酸化クロ
ム、すなわちCr6+が溶出する場合がある。
【0003】このため、ステンレス鋼スラグ、クロム鉱
滓などを路盤材、仮設材、土木埋立材などとして使用す
る場合、スラグからCr6+が溶出しないことが絶対条件で
ある。また、近年、ゴミ焼却灰、汚泥などを溶融処理す
ることによりスラグ化し、生成したスラグを路盤材、タ
イルなどとして有効利用することが検討されているが、
ゴミ焼却灰、汚泥などの種類によっては、生成したスラ
グからCr6+が溶出する場合があり、有効利用を困難にし
ている。
滓などを路盤材、仮設材、土木埋立材などとして使用す
る場合、スラグからCr6+が溶出しないことが絶対条件で
ある。また、近年、ゴミ焼却灰、汚泥などを溶融処理す
ることによりスラグ化し、生成したスラグを路盤材、タ
イルなどとして有効利用することが検討されているが、
ゴミ焼却灰、汚泥などの種類によっては、生成したスラ
グからCr6+が溶出する場合があり、有効利用を困難にし
ている。
【0004】ステンレス鋼スラグからのCr6+の溶出防止
方法として、特開平6-171993号公報において、アルミ灰
およびマグネシア系産業廃棄物を受滓鍋に敷き詰めてお
き、溶融状態にあるスラグを受滓鍋に排滓する方法が提
案されている。しかし、上記ステンレス鋼スラグからの
Cr6+の溶出防止方法は、上記添加剤を精錬炉外で添加し
ているため、撹拌することができず、混合が不十分とな
り、完全にCr6+の溶出を防止することができない場合が
ある。
方法として、特開平6-171993号公報において、アルミ灰
およびマグネシア系産業廃棄物を受滓鍋に敷き詰めてお
き、溶融状態にあるスラグを受滓鍋に排滓する方法が提
案されている。しかし、上記ステンレス鋼スラグからの
Cr6+の溶出防止方法は、上記添加剤を精錬炉外で添加し
ているため、撹拌することができず、混合が不十分とな
り、完全にCr6+の溶出を防止することができない場合が
ある。
【0005】上記方法において、混合を十分に行うため
に、精錬炉内で添加すれば、添加物が溶鋼を汚染する問
題が生じる。一方、重クロム酸ナトリウムなどのクロム
化合物の製造の際に発生するクロム鉱滓からのCr6+の溶
出防止方法として、一般に、スラグを還元焙焼して、Cr
6+をCr3+に還元して無害化している。
に、精錬炉内で添加すれば、添加物が溶鋼を汚染する問
題が生じる。一方、重クロム酸ナトリウムなどのクロム
化合物の製造の際に発生するクロム鉱滓からのCr6+の溶
出防止方法として、一般に、スラグを還元焙焼して、Cr
6+をCr3+に還元して無害化している。
【0006】しかし、上記クロム化合物の製造の際に発
生するクロム鉱滓からのCr6+の溶出防止方法および汚泥
の焼却処理による安定化方法は、熱処理法のため多量の
エネルギーを要し、経済的に極めて高価な処理方法であ
る。本発明者らは、前記した従来技術の問題点を解決す
るために鋭意検討した結果、ステンレス鋼スラグ、クロ
ム鉱滓などからのCr6+の溶出防止方法として、これらの
スラグに高炉徐冷スラグ冷却水を散水する方法、高炉徐
冷スラグ冷却水に浸漬する方法、高炉徐冷スラグと混合
し水蒸気を吹き込む方法を提案し、クロム酸化物含有物
質からのCr6+の溶出を完全に防止することを可能とした
(特願平9−75588号)。
生するクロム鉱滓からのCr6+の溶出防止方法および汚泥
の焼却処理による安定化方法は、熱処理法のため多量の
エネルギーを要し、経済的に極めて高価な処理方法であ
る。本発明者らは、前記した従来技術の問題点を解決す
るために鋭意検討した結果、ステンレス鋼スラグ、クロ
ム鉱滓などからのCr6+の溶出防止方法として、これらの
スラグに高炉徐冷スラグ冷却水を散水する方法、高炉徐
冷スラグ冷却水に浸漬する方法、高炉徐冷スラグと混合
し水蒸気を吹き込む方法を提案し、クロム酸化物含有物
質からのCr6+の溶出を完全に防止することを可能とした
(特願平9−75588号)。
【0007】一方、上記した高炉徐冷スラグ冷却水を散
水する方法および高炉徐冷スラグ冷却水に浸漬する方法
の場合、環境庁告示46号法による溶出試験において10mg
/l以上のCr6+が溶出するスラグまたは気孔率が低いスラ
グの場合、完全に安定化するためには長時間の処理が必
要であった。また、高炉徐冷スラグと混合し水蒸気を吹
き込む方法の場合、上記したスラグの場合でも短時間で
安定化することが可能であるが、高炉徐冷スラグを添加
する必要があることから、体積が増加するという問題が
あり、改善すべき余地があった。
水する方法および高炉徐冷スラグ冷却水に浸漬する方法
の場合、環境庁告示46号法による溶出試験において10mg
/l以上のCr6+が溶出するスラグまたは気孔率が低いスラ
グの場合、完全に安定化するためには長時間の処理が必
要であった。また、高炉徐冷スラグと混合し水蒸気を吹
き込む方法の場合、上記したスラグの場合でも短時間で
安定化することが可能であるが、高炉徐冷スラグを添加
する必要があることから、体積が増加するという問題が
あり、改善すべき余地があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、ステンレス鋼スラグ、クロム
鉱滓、廃棄物溶融スラグなどクロム酸化物含有物質を、
短時間かつ被処理材の体積を増加することなく、工業的
に簡易で経済性に優れた方法で処理し、これらクロム酸
化物含有物質からのCr6+の溶出を完全に防止することが
可能なクロム酸化物含有物質の処理方法を提供すること
を課題とする。
来技術の問題点を解決し、ステンレス鋼スラグ、クロム
鉱滓、廃棄物溶融スラグなどクロム酸化物含有物質を、
短時間かつ被処理材の体積を増加することなく、工業的
に簡易で経済性に優れた方法で処理し、これらクロム酸
化物含有物質からのCr6+の溶出を完全に防止することが
可能なクロム酸化物含有物質の処理方法を提供すること
を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
従来技術の問題点について種々検討、実験を行った結
果、スラグに水蒸気を吹き込むことによって、予めスラ
グ中のCr6+を還元しやすい形態にした後、未エージング
高炉徐冷スラグ溶出水により還元処理することによっ
て、スラグを、短時間かつ工業的に簡易で経済性に優れ
た方法で安定化し、Cr6+の溶出を完全に防止することが
可能であることを新規に見出し、本発明に到った。
従来技術の問題点について種々検討、実験を行った結
果、スラグに水蒸気を吹き込むことによって、予めスラ
グ中のCr6+を還元しやすい形態にした後、未エージング
高炉徐冷スラグ溶出水により還元処理することによっ
て、スラグを、短時間かつ工業的に簡易で経済性に優れ
た方法で安定化し、Cr6+の溶出を完全に防止することが
可能であることを新規に見出し、本発明に到った。
【0010】すなわち、第1の発明は、クロム酸化物含
有物質に水蒸気を吹き込んだ後、得られたクロム酸化物
含有物質に、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉ス
ラグ溶出水を散水することを特徴とするクロム酸化物含
有物質の処理方法である。また、第2の発明は、クロム
酸化物含有物質に水蒸気を吹き込んだ後、得られたクロ
ム酸化物含有物質を、高炉スラグの散水冷却時に発生す
る高炉スラグ溶出水中に浸漬することを特徴とするクロ
ム酸化物含有物質の処理方法である。
有物質に水蒸気を吹き込んだ後、得られたクロム酸化物
含有物質に、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉ス
ラグ溶出水を散水することを特徴とするクロム酸化物含
有物質の処理方法である。また、第2の発明は、クロム
酸化物含有物質に水蒸気を吹き込んだ後、得られたクロ
ム酸化物含有物質を、高炉スラグの散水冷却時に発生す
る高炉スラグ溶出水中に浸漬することを特徴とするクロ
ム酸化物含有物質の処理方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者らは、環境庁告示46号法による溶出試験
におけるCr6+の溶出量が10mg/l以上のスラグまたは気孔
率が低いスラグを、短時間かつ被処理材の体積を増加す
ることなく、工業的に簡易で経済性に優れた方法で処理
し、これらのスラグからのCr6+の溶出を完全に防止する
ことが可能なクロム酸化物含有物質の処理方法につい
て、鋭意検討、実験を重ねた。
する。本発明者らは、環境庁告示46号法による溶出試験
におけるCr6+の溶出量が10mg/l以上のスラグまたは気孔
率が低いスラグを、短時間かつ被処理材の体積を増加す
ることなく、工業的に簡易で経済性に優れた方法で処理
し、これらのスラグからのCr6+の溶出を完全に防止する
ことが可能なクロム酸化物含有物質の処理方法につい
て、鋭意検討、実験を重ねた。
【0012】その結果、スラグに高温度の水蒸気を吹き
込むことにより、Cr6+が溶出しやすい形態にした後、得
られたスラグに高炉徐冷スラグ溶出水を散水するか、ま
たは、得られたスラグを高炉徐冷スラグ溶出水中に浸漬
することにより、短時間かつ体積を増やすことなく、経
済性に優れた方法でCr6+を還元し、完全に安定化できる
ことを見い出した。
込むことにより、Cr6+が溶出しやすい形態にした後、得
られたスラグに高炉徐冷スラグ溶出水を散水するか、ま
たは、得られたスラグを高炉徐冷スラグ溶出水中に浸漬
することにより、短時間かつ体積を増やすことなく、経
済性に優れた方法でCr6+を還元し、完全に安定化できる
ことを見い出した。
【0013】すなわち、本発明によれば、(1) 過酸化ク
ロムを含むスラグに水蒸気を吹き込んだ後、未エージン
グ高炉徐冷スラグ溶出水を散水するか、もしくは、(2)
過酸化クロムを含むスラグに水蒸気を吹き込んだ後、未
エージング高炉徐冷スラグ溶出水中に浸漬することによ
って、短時間かつ体積の増加を伴わずに、経済性に優れ
た方法でスラグ中のCr6+を還元処理することが可能とな
った。
ロムを含むスラグに水蒸気を吹き込んだ後、未エージン
グ高炉徐冷スラグ溶出水を散水するか、もしくは、(2)
過酸化クロムを含むスラグに水蒸気を吹き込んだ後、未
エージング高炉徐冷スラグ溶出水中に浸漬することによ
って、短時間かつ体積の増加を伴わずに、経済性に優れ
た方法でスラグ中のCr6+を還元処理することが可能とな
った。
【0014】図1に、ステンレス鋼スラグに対する水蒸
気吹き込み時間とスラグからのCr6+溶出量との関係を示
す。図1は、Cr6+が溶出するステンレス鋼スラグに100
℃の水蒸気を所定時間吹き込んだ後、環境庁告示46号法
による溶出試験を行い、Cr6+溶出量と水蒸気吹き込み時
間との関係をプロットしたものである。
気吹き込み時間とスラグからのCr6+溶出量との関係を示
す。図1は、Cr6+が溶出するステンレス鋼スラグに100
℃の水蒸気を所定時間吹き込んだ後、環境庁告示46号法
による溶出試験を行い、Cr6+溶出量と水蒸気吹き込み時
間との関係をプロットしたものである。
【0015】なお、本試験におけるスラグの粒度は26.5
〜13.2mmで、溶出試験を行う際の粒度も26.5〜13.2mmで
あり、破砕は行っていない。図1に示すように、Cr6+溶
出量は、100 ℃の水蒸気を吹き込む前よりも、100℃の
水蒸気を24時間吹き込んだ後の方が多い。本試験結果
は、水蒸気にはクロムを酸化する作用がないことから、
100 ℃の水蒸気を吹き込むことにより、Cr6+が溶出しや
すい、すなわち還元しやすい形態になることを示竣して
いる。
〜13.2mmで、溶出試験を行う際の粒度も26.5〜13.2mmで
あり、破砕は行っていない。図1に示すように、Cr6+溶
出量は、100 ℃の水蒸気を吹き込む前よりも、100℃の
水蒸気を24時間吹き込んだ後の方が多い。本試験結果
は、水蒸気にはクロムを酸化する作用がないことから、
100 ℃の水蒸気を吹き込むことにより、Cr6+が溶出しや
すい、すなわち還元しやすい形態になることを示竣して
いる。
【0016】これは、水蒸気による毛細管現象により、
スラグ内部のCr6+がスラグの表面層に移動・濃縮するた
めと考えられる。100 ℃の水蒸気を24時間よりも長時間
吹き込むとCr6+溶出量は低くなるが、これは溶出しやす
い形態になったCr6+が、水蒸気を吹き込むことにより発
生したドレンに溶解し、除去されているためである。
スラグ内部のCr6+がスラグの表面層に移動・濃縮するた
めと考えられる。100 ℃の水蒸気を24時間よりも長時間
吹き込むとCr6+溶出量は低くなるが、これは溶出しやす
い形態になったCr6+が、水蒸気を吹き込むことにより発
生したドレンに溶解し、除去されているためである。
【0017】したがって、極めて長時間水蒸気を吹き込
めば、Cr6+を完全に除去することができるが、現実的な
方法ではない。そこで、本発明者らは、上記した新たな
知見に基づき、水蒸気を吹き込むことにより、スラグ中
のCr6+を溶出しやすい形態にした後、還元剤、すなわち
未エージング高炉徐冷スラグ溶出水を用いて還元処理す
る処理方法を見い出した。
めば、Cr6+を完全に除去することができるが、現実的な
方法ではない。そこで、本発明者らは、上記した新たな
知見に基づき、水蒸気を吹き込むことにより、スラグ中
のCr6+を溶出しやすい形態にした後、還元剤、すなわち
未エージング高炉徐冷スラグ溶出水を用いて還元処理す
る処理方法を見い出した。
【0018】なお、本発明において用いる水蒸気は高温
度の水蒸気であることが好ましいが、その温度は特に限
定されるものではない。これは、大気中で水蒸気を吹き
込む場合、水蒸気の温度は通常100 ℃であるが、密閉容
器中に高圧力の水蒸気を吹き込む場合、内部が高圧とな
ることから、水の沸点が100 ℃よりも高くなり、水蒸気
の温度も圧力に応じて高くなるためである。
度の水蒸気であることが好ましいが、その温度は特に限
定されるものではない。これは、大気中で水蒸気を吹き
込む場合、水蒸気の温度は通常100 ℃であるが、密閉容
器中に高圧力の水蒸気を吹き込む場合、内部が高圧とな
ることから、水の沸点が100 ℃よりも高くなり、水蒸気
の温度も圧力に応じて高くなるためである。
【0019】なお、本発明における水蒸気を吹き込む方
法としては、水蒸気を単独で吹き込む方法に限定され
ず、空気、N2などの他のガスを含有する水蒸気を吹き込
んでもよい。また、水蒸気を吹き込む時間についても特
に限定はされない。これは、対象とするスラグの粒度、
気孔率などによって、Cr6+が溶出しやすい形態となる時
間が異なるためである。
法としては、水蒸気を単独で吹き込む方法に限定され
ず、空気、N2などの他のガスを含有する水蒸気を吹き込
んでもよい。また、水蒸気を吹き込む時間についても特
に限定はされない。これは、対象とするスラグの粒度、
気孔率などによって、Cr6+が溶出しやすい形態となる時
間が異なるためである。
【0020】本発明における高炉スラグは、JIS A 5015
付属書1の呈色判定試験方法において呈色がある未エー
ジング高炉徐冷スラグであることが好ましく、高炉スラ
グ溶出水としては、概ね、自然エージング3ヶ月未満の
未エージング高炉徐冷スラグに水を散水して生じた溶出
水を用いることが好ましい。例えば、高温状態の高炉ス
ラグに水を散水して生じた溶出水が適する。
付属書1の呈色判定試験方法において呈色がある未エー
ジング高炉徐冷スラグであることが好ましく、高炉スラ
グ溶出水としては、概ね、自然エージング3ヶ月未満の
未エージング高炉徐冷スラグに水を散水して生じた溶出
水を用いることが好ましい。例えば、高温状態の高炉ス
ラグに水を散水して生じた溶出水が適する。
【0021】未エージング高炉徐冷スラグ溶出水によっ
てCr6+をCr3+に還元する機構は、未エージング高炉徐冷
スラグ溶出水中の還元性の硫黄(S2- ,S0, S203 2- )が
酸化することによるものである。また、本発明において
は、未エージング高炉徐冷スラグ溶出水とCr6+を還元す
る作用のある他の還元剤を併用してもよい。
てCr6+をCr3+に還元する機構は、未エージング高炉徐冷
スラグ溶出水中の還元性の硫黄(S2- ,S0, S203 2- )が
酸化することによるものである。また、本発明において
は、未エージング高炉徐冷スラグ溶出水とCr6+を還元す
る作用のある他の還元剤を併用してもよい。
【0022】すなわち、例えば、硫酸第一鉄を未エージ
ング高炉徐冷スラグ溶出水中に溶解して使用してもよ
い。スラグに対する未エージング高炉徐冷スラグ溶出水
の散水量、浸漬時の浸漬時間、スラグと浸漬液の量比
は、特に限定しない。これは、対象とするスラグの粒
度、気孔率、Cr6+含有量により上記に係わる好適条件が
異なるためである。
ング高炉徐冷スラグ溶出水中に溶解して使用してもよ
い。スラグに対する未エージング高炉徐冷スラグ溶出水
の散水量、浸漬時の浸漬時間、スラグと浸漬液の量比
は、特に限定しない。これは、対象とするスラグの粒
度、気孔率、Cr6+含有量により上記に係わる好適条件が
異なるためである。
【0023】本発明は、高濃度、おおよそ10mg/l以上の
Cr6+が溶出するスラグに適用すると特に効果的である
が、もちろん低濃度のCr6+が溶出するスラグに適用して
も効果的である。なお、本発明をCr6+を含むステンレス
鋼スラグ、クロム鉱滓、産業廃棄物、廃棄物溶融スラグ
などのスラグだけでなく、Cr6+を生成し得る可能性のあ
る他の物質に適用することにより、Cr6+の生成を防止す
ることが可能である。
Cr6+が溶出するスラグに適用すると特に効果的である
が、もちろん低濃度のCr6+が溶出するスラグに適用して
も効果的である。なお、本発明をCr6+を含むステンレス
鋼スラグ、クロム鉱滓、産業廃棄物、廃棄物溶融スラグ
などのスラグだけでなく、Cr6+を生成し得る可能性のあ
る他の物質に適用することにより、Cr6+の生成を防止す
ることが可能である。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。Cr6+を含有するクロム酸化物含有物質、すなわち
還元処理対象材として、ステンレス鋼スラグ、重クロム
酸ナトリウム製造の際に発生したクロム鉱滓、下水汚泥
溶融スラグを用いた。
する。Cr6+を含有するクロム酸化物含有物質、すなわち
還元処理対象材として、ステンレス鋼スラグ、重クロム
酸ナトリウム製造の際に発生したクロム鉱滓、下水汚泥
溶融スラグを用いた。
【0025】なお、ステンレス鋼スラグのサンプルとし
ては、Cr6+が溶出するスラグが生成する操業条件下で製
造したサンプルを用いた。表1に、本実施例の実験に供
したステンレス鋼スラグ、クロム鉱滓、下水汚泥溶融ス
ラグの化学組成、気孔率、Cr6+溶出量を示す。Cr6+の溶
出量は、ステンレス鋼スラグが10.5mg/l、クロム鉱滓が
25.3mg/l、下水汚泥溶融スラグ−A(気孔率:8%)が
0.8mg/l 、下水汚泥溶融スラグ−B(気孔率:2%)が
0.27mg/lである。
ては、Cr6+が溶出するスラグが生成する操業条件下で製
造したサンプルを用いた。表1に、本実施例の実験に供
したステンレス鋼スラグ、クロム鉱滓、下水汚泥溶融ス
ラグの化学組成、気孔率、Cr6+溶出量を示す。Cr6+の溶
出量は、ステンレス鋼スラグが10.5mg/l、クロム鉱滓が
25.3mg/l、下水汚泥溶融スラグ−A(気孔率:8%)が
0.8mg/l 、下水汚泥溶融スラグ−B(気孔率:2%)が
0.27mg/lである。
【0026】これらの還元処理対象スラグを、表2に示
す条件下で処理し、処理後のスラグのCr6+の溶出量を測
定した。得られた結果を表2に併せて示す。なお、スラ
グの処理量は100t/バッチであり、未エージング高炉徐
冷スラグ溶出水としては、高温状態の高炉スラグに水を
散水して生じた溶出水(TotalS濃度:0.50wt%)を用い
た。
す条件下で処理し、処理後のスラグのCr6+の溶出量を測
定した。得られた結果を表2に併せて示す。なお、スラ
グの処理量は100t/バッチであり、未エージング高炉徐
冷スラグ溶出水としては、高温状態の高炉スラグに水を
散水して生じた溶出水(TotalS濃度:0.50wt%)を用い
た。
【0027】また、水蒸気の吹き込み温度は100 ℃で、
スラグの底部から吹き込んだ。比較例1に示すように、
Cr6+溶出量が10.5mg/lのステンレス鋼スラグに未エージ
ング高炉徐冷スラグ溶出水を散水してもCr6+の溶出量
は、環境基準値である0.05mg/l以下にはならない。ま
た、比較例2〜5に示すように、ステンレス鋼スラグ、
クロム鉱滓、下水汚泥溶融スラグを未エージング高炉徐
冷スラグ溶出水中に7日間浸漬してもCr6+の溶出量は0.
05mg/l以下にはならない。
スラグの底部から吹き込んだ。比較例1に示すように、
Cr6+溶出量が10.5mg/lのステンレス鋼スラグに未エージ
ング高炉徐冷スラグ溶出水を散水してもCr6+の溶出量
は、環境基準値である0.05mg/l以下にはならない。ま
た、比較例2〜5に示すように、ステンレス鋼スラグ、
クロム鉱滓、下水汚泥溶融スラグを未エージング高炉徐
冷スラグ溶出水中に7日間浸漬してもCr6+の溶出量は0.
05mg/l以下にはならない。
【0028】一方、実施例1〜9に示すように、還元処
理対象スラグに水蒸気を吹き込んだ後、得られたスラグ
に未エージング高炉徐冷スラグ溶出水を散水するか、ま
たは、得られたスラグを未エージング高炉徐冷スラグ溶
出水中に浸漬することにより、Cr6+の溶出量を環境基準
値である0.05mg/l以下にすることができる。なお、実施
例1〜9のステンレス鋼スラグ、クロム鉱滓、下水汚泥
溶融スラグは、還元処理後、大気中に1年間放置しても
Cr6+の溶出は認められなかった。
理対象スラグに水蒸気を吹き込んだ後、得られたスラグ
に未エージング高炉徐冷スラグ溶出水を散水するか、ま
たは、得られたスラグを未エージング高炉徐冷スラグ溶
出水中に浸漬することにより、Cr6+の溶出量を環境基準
値である0.05mg/l以下にすることができる。なお、実施
例1〜9のステンレス鋼スラグ、クロム鉱滓、下水汚泥
溶融スラグは、還元処理後、大気中に1年間放置しても
Cr6+の溶出は認められなかった。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ステンレス鋼スラグ、
クロム鉱滓、廃棄物溶融スラグなどクロム酸化物含有物
質を、短時間かつ被処理材の体積を増加することなく、
工業的に簡易で経済性に優れた方法で処理し、これらの
クロム酸化物含有物質からのCr 6+の溶出を完全に防止す
ることが可能となり、路盤材、仮設材、土木埋立材など
への再利用を容易に行うことが可能となった。
クロム鉱滓、廃棄物溶融スラグなどクロム酸化物含有物
質を、短時間かつ被処理材の体積を増加することなく、
工業的に簡易で経済性に優れた方法で処理し、これらの
クロム酸化物含有物質からのCr 6+の溶出を完全に防止す
ることが可能となり、路盤材、仮設材、土木埋立材など
への再利用を容易に行うことが可能となった。
【図1】ステンレス鋼スラグに対する水蒸気吹き込み時
間とスラグからのCr6+溶出量との関係を示すグラフであ
る。
間とスラグからのCr6+溶出量との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 康夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究所内 (72)発明者 櫻谷 敏和 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川崎製鉄株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 5/00 B09B 3/00 C02F 11/00 C04B 5/06
Claims (2)
- 【請求項1】 クロム酸化物含有物質に水蒸気を吹き込
んだ後、得られたクロム酸化物含有物質に、高炉スラグ
の散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水を散水するこ
とを特徴とするクロム酸化物含有物質の処理方法。 - 【請求項2】 クロム酸化物含有物質に水蒸気を吹き込
んだ後、得られたクロム酸化物含有物質を、高炉スラグ
の散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水中に浸漬する
ことを特徴とするクロム酸化物含有物質の処理方法。
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