JP6686982B2 - クロム酸化物含有物質の還元処理方法および土木工事用材料の製造方法 - Google Patents

クロム酸化物含有物質の還元処理方法および土木工事用材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、クロム酸化物含有物質の還元処理方法および土木工事用材料の製造方法に関する。
ステンレス鋼スラグ、クロム鉱滓などのスラグは、数%のクロム酸化物を含有し、操業条件によっては、その一部はCr6+にまで酸化し、Cr6+が溶出する場合がある。
ステンレス鋼スラグ、クロム鉱滓などのスラグを、路盤材、仮設道路材、埋立て材などの土木工事用材料として使用する場合、スラグからCr6+が溶出しないことが絶対条件である。
また、近年、ゴミ焼却灰、下水汚泥などを溶融処理することによってスラグ化し、生成したスラグを路盤材などとして有効利用することが検討されている。しかし、ゴミ焼却灰、下水汚泥などの種類によっては、生成したスラグからCr6+が溶出する場合がある。この場合、ゴミ焼却灰、下水汚泥などの有効利用が困難になる。
さらに、建設廃材として発生するコンクリート破砕物からもCr6+が溶出することがある。
そこで、従来、これらのクロム酸化数含有物質からCr6+が溶出することを防止するため、クロム酸化数含有物質に対して還元処理を施す技術が開発されている。
例えば、特許文献1の[請求項6]には、「クロム酸化物含有物質を、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水に浸漬することを特徴とするクロム酸化物含有物質の処理方法」が開示されている。
特開平10−324547号公報
しかし、本発明者が検討した結果、特許文献1に記載された処理方法では、還元処理後のクロム酸化物含有物質のCr6+溶出量を十分に低減できない場合があった。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、Cr6+溶出量をより低減できるクロム酸化物含有物質の還元処理方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、還元処理が施されたクロム酸化物含有物質を用いた土木工事用材料の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]を提供する。
[1]クロム酸化物含有物質を準備し、上記クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下とし、吸水率に対する含水率を90%以下とした上記クロム酸化物含有物質と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を硫黄分の合計量で0.5g/L以上含有する水溶液とを接触させる、クロム酸化物含有物質の還元処理方法。
[2]吸水率に対する含水率を90%以下とした上記クロム酸化物含有物質を上記水溶液に浸漬する、または、吸水率に対する含水率を90%以下とした上記クロム酸化物含有物質に上記水溶液を散水することにより、上記接触を行なう、上記[1]に記載のクロム酸化物含有物質の還元処理方法。
[3]上記水溶液が、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水である、上記[1]または[2]に記載のクロム酸化物含有物質の還元処理方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の還元処理方法により還元処理が施されたクロム酸化物含有物質と、硫黄含有スラグとを混合することにより、土木工事用材料を得る、土木工事用材料の製造方法。
[5]クロム酸化物含有物質を準備し、上記クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下とし、上記クロム酸化物含有物質と、硫黄含有スラグとを混合することにより、土木工事用材料を得て、上記土木工事用材料と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を硫黄分の合計量で0.5g/L以上含有する水溶液とを接触させる、土木工事用材料の製造方法。
[6]上記クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下にする前または後に、上記混合を行なう、上記[5]に記載の土木工事用材料の製造方法。
[7]上記土木工事用材料を上記水溶液に浸漬する、または、上記土木工事用材料に上記水溶液を散水することにより、上記接触を行なう、上記[5]または[6]に記載の土木工事用材料の製造方法。
[8]上記水溶液が、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水である、上記[5]〜[7]のいずれかに記載の土木工事用材料の製造方法。
[9]上記土木工事用材料における上記硫黄含有スラグの含有量が、上記クロム酸化物含有物質100質量部に対して、5質量部以上である、上記[4]〜[8]のいずれかに記載の土木工事用材料の製造方法。
[10]上記土木工事用材料が、路盤材、仮設道路材、埋立て材および地盤改良材からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[4]〜[9]のいずれかに記載の土木工事用材料の製造方法。
本発明によれば、Cr6+溶出量をより低減できるクロム酸化物含有物質の還元処理方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、還元処理が施されたクロム酸化物含有物質を用いた土木工事用材料の製造方法を提供することもできる。
クロム酸化物含有物質の含水率とCr6+溶出量との関係を示すグラフである。
[本発明者による知見]
本発明者の検討によれば、クロム酸化物含有物質を、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物(以下、単に「+5価以下の硫黄の化合物」ともいう)を含有する水溶液を用いて還元処理する際に、クロム酸化物含有物質(とりわけ、クロム酸化物含有物質の開気孔や表面)に存在する水が還元処理効果に大きな影響を及ぼすことが分かった。
図1は、クロム酸化物含有物質の含水率とCr6+溶出量との関係を示すグラフである。より詳細には、本発明者は、含水率を変えたクロム酸化物含有物質を、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を硫黄分の合計量で12.0g/L含有する水溶液に7日間浸漬し、次いで、野外に30日間静置し、その後、環境庁告示第46号によるCr6+の溶出試験を行なった。図1は、その結果を示すグラフである。本試験に供したクロム酸化物含有物質の吸水率は、7.0質量%である。吸水率の求め方は後述する。
図1のグラフから、クロム酸化物含有物質の含水率を6.3質量%以下とすることにより、Cr6+溶出量が定量下限値未満となることが分かる。すなわち、吸水率に対する含水率を90%以下にすればよい。吸水率に対する含水率の求め方は後述する。
クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率が90%以下である場合に、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液を用いて還元しやすい理由は、Cr6+の生成メカニズムおよび還元メカニズムの双方が関係している。
Cr6+の生成は、ステンレス鋼スラグ、クロム鉱滓などの高温で溶融状態のクロム酸化物含有物質が、冷却時に固化し、空気中の酸素と反応することにより生成する。すなわち、Cr6+はクロム酸化物含有物質の表面や開気孔内に存在することとなる。Cr6+は水が存在すると徐々に溶解する。
一方、Cr6+の還元は、+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液が還元剤として作用する。
本発明者は、クロム酸化物含有物質中のCr6+の物質移動を調べた。その結果、クロム酸化物含有物質を静置した状態では、Cr6+は、固体(クロム酸化物含有物質)の極近傍の水にしか溶解していないことが分かった。したがって、クロム酸化物含有物質の含水率が高い場合、水中のCr6+の濃度は、固体表面から距離が離れるほど低くなる。
このため、クロム酸化物含有物質を+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液に浸漬したり、その水溶液をクロム酸化物含有物質に散水したりしても、+5価以下の硫黄の化合物は、Cr6+を含む固体近傍の水と接触しにくい場合があることが分かった。
たとえ接触できたとしても、+5価以下の硫黄の化合物は、すべてのCr6+を還元する前に消費されてしまい、固体近傍の+5価以下の硫黄の化合物の濃度が低くなり、Cr6+が残存する場合があった。
これらは、具体的には、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率が90%超である場合である(図1のグラフを参照)。このような場合には、Cr6+が完全に還元されずに残存することがある。
これに対して、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率が90%以下である場合は、+5価以下の硫黄の化合物が十分に拡散し、Cr6+の溶出量を0.01mg/L未満にできる。
[クロム酸化物含有物質の還元処理方法]
本発明のクロム酸化物含有物質の還元処理方法(以下、「本発明の還元処理方法」ともいう)は、クロム酸化物含有物質を準備し、上記クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下とし、上記吸水率に対する含水率を90%以下とした上記クロム酸化物含有物質と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を硫黄分の合計量で0.5g/L以上含有する水溶液とを接触させる、クロム酸化物含有物質の還元処理方法である。
本発明の還元処理方法により、クロム酸化物含有物質に還元処理が施される。
以下、本発明の還元処理方法について、より詳細に説明する。
<クロム酸化物含有物質>
まず、還元処理を施すクロム酸化物含有物質を準備する。
クロム酸化物含有物質としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼精錬の際に発生するステンレス鋼スラグ;重クロム酸ナトリウムなどのクロム化合物の製造の際に発生するクロム鉱滓;産業廃棄物などの廃棄物を溶融処理することによりスラグ化した廃棄物溶融スラグ;ゴミ焼却灰を溶融処理することによりスラグ化したゴミ焼却灰溶融スラグ;下水汚泥などの汚泥を溶融処理することによりスラグ化した下水汚泥溶融スラグなどの汚泥溶融スラグ;建設廃材として発生するコンクリート破砕物;等が挙げられる。
<吸水率>
クロム酸化物含有物質の吸水率は、次の方法により求める。
まず、試料(クロム酸化物含有物質)を5mmの篩で篩分ける。その後、篩下の−5mmの試料については、JIS A 1109「細骨材の密度及び吸水率試験方法」により吸水率を測定する。篩上の+5mmの試料については、JIS A 1110「粗骨材の密度及び吸水率試験方法」により吸水率を測定する。得られた測定値から、+5mmと−5mmとの比率をもとに、試料の吸水率を求める。
<吸水率に対する含水率>
上述したように、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下にする。+5価以下の硫黄の化合物がより拡散しやすくなるという理由から、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率は、80%以下が好ましい。下限は特に限定されないが、浸漬または散水の前にCr6+を溶出しやすいという理由から、20%以上が好ましい。
クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を変化させる際には、クロム酸化物含有物質に水を含ませてもよい。この水としては、特に限定されず、例えば、工業用水、井戸水、雨水などを使用できる。
なお、準備したクロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率が、すでに所望の値(例えば0%)である場合には、更に水を含ませたりしなくてもよい。この場合、準備したクロム酸化物含有物質をそのまま使用できる。
ここで、吸水率に対する含水率の定義を説明する。
クロム酸化物含有物質の吸水率が仮に10質量%である場合、絶乾状態で1000gのクロム酸化物含有物質を表面乾燥飽水状態にすると1100gとなる。すなわち、100gの水が含まれる。本発明において、例えば、吸水率に対する含水率が50%の状態とは、50gの水が含まれる状態を表す。式で示すと次のようになる。
吸水率に対する含水率[%]=(クロム酸化物含有物質の含水率[質量%]/クロム酸化物含有物質の吸水率[質量%])×100
<酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液>
酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液において、+5価以下の硫黄の化合物の含有量は、硫黄分の合計量で、0.5g/L以上である。上記含有量が、0.5g/L未満である場合、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率が90%以下であっても、Cr6+の溶出量を十分に低減し得ない。
上記含有量は、その上限は特に限定されないが、例えば、100.0g/L以下が好ましい。
酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を硫黄分の合計量で0.5g/L以上含有する水溶液(以下、単に「酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液」ともいう)としては、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水が好ましい。高炉スラグ溶出水は、+5価以下の硫黄の化合物として水に溶けやすいS 2−を多く含むため効果的である。
<接触(浸漬または散水)>
吸水率に対する含水率を90%以下としたクロム酸化物含有物質と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液とを接触させる。
接触方法としては、例えば、吸水率に対する含水率を90%以下としたクロム酸化物含有物質をこの水溶液に浸漬する方法(浸漬方法)と、吸水率に対する含水率を90%以下としたクロム酸化物含有物質にこの水溶液を散水する方法(散水方法)とが好適に挙げられる。
なかでも、散水方法よりも浸漬方法の方が、Cr6+と+5価以下の硫黄の化合物とがより接触しやすいという理由から、好ましい。
浸漬方法の場合、吸水率に対する含水率を90%以下としたクロム酸化物含有物質と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液との比率(質量比)は、特に限定されない。吸水率に対する含水率を90%以下としたクロム酸化物含有物質が、この水溶液に完全に浸漬されればよい。
一方、散水方法の場合、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液は、少なすぎるとクロム酸化物含有物質に行き渡らない場合があり、多すぎると流れ出てしまい効率が悪い場合がある。このため、吸水率に対する含水率を90%以下としたクロム酸化物含有物質と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液との比率(質量比)は、10:1〜10:3が好ましい。
散水回数は特に限定されない。1回目の散水から数日が経過した後に再び散水してもよい。
[土木工事用材料の製造方法]
本発明の土木工事用材料の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)の第一態様は、上述した本発明の還元処理方法により還元処理が施されたクロム酸化物含有物質と、硫黄含有スラグと混合することにより、土木工事用材料を得る、土木工事用材料の製造方法である。
本発明の製造方法の第二態様は、クロム酸化物含有物質を準備し、上記クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下とし、上記クロム酸化物含有物質と、硫黄含有スラグとを混合することにより、土木工事用材料を得て、上記土木工事用材料と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を硫黄分の合計量で0.5g/L以上含有する水溶液とを接触させる、土木工事用材料の製造方法である。
本発明の製造方法の第二態様においては、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下にする前または後に、クロム酸化物含有物質と硫黄含有スラグとの混合を行なうことができる。
すなわち、吸水率に対する含水率を90%以下にする前のクロム酸化物含有物質と硫黄含有スラグとを混合することにより土木工事用材料を得て、得られた土木工事用材料中のクロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下にしてもよいし、または、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を90%以下にした後に、吸水率に対する含水率を90%以下にしたクロム酸化物含有物質と硫黄含有スラグとを混合して、土木工事用材料を得てもよい。
いずれの場合も、その後、得られた土木工事用材料について、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液との接触を行なう。
なお、本発明の製造方法の第二態様における各構成は、硫黄含有スラグとの混合に関する事項を除き、上述した本発明の還元処理方法における各構成と同様である。
例えば、土木工事用材料と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液とを接触させる方法としては、本発明の還元処理方法と同様に、土木工事用材料をこの水溶液に浸漬する方法(浸漬方法)または土木工事用材料にこの水溶液を散水する方法(散水方法)が好適に挙げられる。
また、例えば、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液としては、本発明の還元処理方法と同様に、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水が好ましい。
硫黄含有スラグの混合は、第一態様のように浸漬または散水の後であってもよいし、第二態様のように浸漬または散水の前であってもよい。
もっとも、浸漬の場合、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液の温度が50℃以上であるときは、硫黄含有スラグの混合は浸漬の後が好ましい。これは、水温が高いと硫黄含有スラグ中の硫黄成分が水に溶解しやすくなり、浸漬後にその効力が低下する場合があるからである。
本発明の製造方法(第一態様および第二態様を含む)により製造された土木工事用材料は、特に限定されず、例えば、路盤材、仮設道路材、埋立て材および地盤改良材からなる群から選ばれる少なくとも1種などが挙げられる。
本発明の製造方法により製造された土木工事用材料においては、Cr6+の溶出をより防止できる。その理由としては、硫黄含有スラグ中に存在する硫黄成分が水中に溶出して、Cr6+をより還元するためと考えられる。
<硫黄含有スラグ>
硫黄含有スラグとしては、例えば、高炉徐冷スラグおよび脱硫スラグからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。高炉徐冷スラグや脱硫スラグなどの硫黄含有スラグ中のS、S2−、S 2−が水に徐々に溶解し、これらがSO 2−まで酸化する際にCr6+を還元する。
一方、大気中の酸素と素早く反応する硫酸鉄などは、Cr6+の還元能力の持続性がないため、硫黄含有スラグとして好ましくない場合がある。
硫黄有スラグの硫黄含有量は、+5価以下の硫黄の合計量が0.1質量%以上であることが好ましい。
本発明の製造方法により製造された土木工事用材料において、硫黄含有スラグの含有量は、クロム酸化物含有物質100質量部に対して、5質量部以上が好ましい。これにより、クロム酸化物含有物質からのCr6+の溶出をより防止できる。
上記含有量は、その上限は特に限定されないが、例えば、50質量部以下である。もっとも、土木工事用材料として特性が向上するような場合には50質量部を超えて配合しても何ら問題ない。
「クロム酸化物含有物質」および「硫黄含有スラグ」の質量比は、絶乾状態での質量比である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<実施例1〜10および比較例1〜7>
各実施例および比較例に用いたクロム酸化物含有物質(ステンレス鋼スラグAおよびB、ならびに、コンクリート破砕物)の吸水率、環境庁告示第46号法によるCr6+溶出量、および、JIS K 0058−1によるCr6+溶出量を、下記表1に示す。吸水率は上述した方法により求めた。クロム酸化物含有物質の骨材最大寸法は40mmであった。ステンレス鋼スラグAおよびBは、精錬の途中の還元処理工程中に抜き取ったサンプルであり、抜き取りのタイミングが両者で異なる。
上記表1のクロム酸化物含有物質を用いて、下記表2に示す条件で還元処理を施した。
例えば、実施例1では、まず、吸水率が7.0質量%であるステンレス鋼スラグAの含水率を1.0質量%とした。こうして、ステンレス鋼スラグAの吸水率に対する含水率を14%とした。次いで、吸水率に対する含水率を14%としたステンレス鋼スラグAを、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液(+5価以下の硫黄の化合物を含有量:硫黄分の合計量で、12.0g/L)に7日間浸漬した。
例えば、実施例3では、まず、吸水率が7.0質量%であるステンレス鋼スラグAの含水率を4.0質量%とした。こうして、ステンレス鋼スラグAの吸水率に対する含水率を57%とした。次いで、吸水率に対する含水率を57%としたステンレス鋼スラグAを、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液(+5価以下の硫黄の化合物を含有量:硫黄分の合計量で、12.0g/L)に3日間浸漬した。
例えば、実施例5では、まず、吸水率が7.0質量%であるステンレス鋼スラグAの含水率を1.0質量%とした。こうして、ステンレス鋼スラグAの吸水率に対する含水率を14%とした。次いで、吸水率に対する含水率を14%としたステンレス鋼スラグAに、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液(+5価以下の硫黄の化合物を含有量:硫黄分の合計量で、12.0g/L)を散水した。
その他の実施例および比較例についても、同様にして還元処理を施した。
クロム酸化物含有物質の含水率を下記表2に示す値にした際に水を用いた場合、この水としては、工業用水を用いた(以下、同様)。
酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液としては、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水を用いた(以下、同様)。
浸漬の場合、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液の質量は、処理対象物(例えば、実施例1では、吸水率に対する含水率を14%としたステンレス鋼スラグA)と同質量とした。
散水の場合、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を含有する水溶液の質量は、処理対象物(例えば、実施例5では、吸水率に対する含水率を14%としたステンレス鋼スラグA)の0.2倍の質量とした。
これらは、後述する実施例11〜19においても同様である。
浸漬または散水後、クロム酸化物含有物質を30日間野外に放置し、その後、環境庁告示第46号法およびJIS K 0058−1によるCr6+溶出量を測定した。結果を下記表2に併せて示す。
上記表2に示すように、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率が90%以下であり、かつ、+5価以下の硫黄の化合物の含有量が0.5g/L以上である実施例1〜10は、30日間野外に静置後のCr6+溶出量は、いずれも、定量下限値である0.01mg/L未満であった。
これに対して、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率が90%超である比較例1〜5、および、+5価以下の硫黄の化合物の含有量が0.5g/L未満である比較例6〜7は、30日間野外に静置後のCr6+溶出量が0.01mg/L以上であり、クロム酸化物含有物質の還元が不十分であった。
<実施例11〜19>
上記表1のクロム酸化物含有物質(約10トン)を用いて、下記表3に示す条件で、還元処理を施しつつ、土木工事用材料を製造した。すなわち、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を下記表3に示す値とし、浸漬または散水をした後、硫黄含有スラグを混合した。または、クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を下記表3に示す値とし、硫黄含有スラグを混合した後、浸漬または散水をした。
還元処理は、実施例1〜10および比較例1〜7と同様にして行なった。硫黄含有スラグとして、3か月間大気エージング後の高炉徐冷スラグまたは脱硫スラグを用いた。
下記表3において、硫黄含有スラグの含有量(単位:質量%)は、クロム酸化物含有物質に対する量であり、例えば「10質量%」は、クロム酸化物含有物質100質量部に対して10質量部を意味する。
製造した土木工事用材料を野外に山積した。約1年後、山積した土木工事用材料の100箇所からサンプルを採取し、環境庁告示第46号法によるCr6+溶出量を測定し、Cr6+溶出量が定量下限値である0.01mg/L以上となった比率を求めた。結果を下記表3に併せて示す。
上記表3に示すように、硫黄含有スラグを混合し、かつ、その量が5質量部以上である実施例11〜16は、1年後のCr6+溶出量が0.01mg/L以上となった比率が0%であった。
したがって、実施例11〜16は、硫黄含有スラグを混合しなかった実施例17〜18、および、混合したがその量が5質量部未満であった実施例19よりも、Cr6+溶出を低減する効果がより優れていた。

Claims (10)

  1. クロム酸化物含有物質を準備し、
    前記クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を20%以上90%以下とし、
    吸水率に対する含水率を20%以上90%以下とした前記クロム酸化物含有物質と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を硫黄分の合計量で0.5g/L以上含有する水溶液とを接触させる、クロム酸化物含有物質の還元処理方法。
  2. 吸水率に対する含水率を20%以上90%以下とした前記クロム酸化物含有物質を前記水溶液に浸漬する、または、吸水率に対する含水率を20%以上90%以下とした前記クロム酸化物含有物質に前記水溶液を散水することにより、前記接触を行なう、請求項1に記載のクロム酸化物含有物質の還元処理方法。
  3. 前記水溶液が、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水である、請求項1または2に記載のクロム酸化物含有物質の還元処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の還元処理方法により還元処理が施されたクロム酸化物含有物質と、硫黄含有スラグとを混合することにより、土木工事用材料を得る、土木工事用材料の製造方法。
  5. クロム酸化物含有物質を準備し、
    前記クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を20%以上90%以下とし、
    前記クロム酸化物含有物質と、硫黄含有スラグとを混合することにより、土木工事用材料を得て、
    前記土木工事用材料と、酸化数が+5価以下の硫黄の化合物を硫黄分の合計量で0.5g/L以上含有する水溶液とを接触させる、土木工事用材料の製造方法。
  6. 前記クロム酸化物含有物質の吸水率に対する含水率を20%以上90%以下にする前または後に、前記混合を行なう、請求項5に記載の土木工事用材料の製造方法。
  7. 前記土木工事用材料を前記水溶液に浸漬する、または、前記土木工事用材料に前記水溶液を散水することにより、前記接触を行なう、請求項5または6に記載の土木工事用材料の製造方法。
  8. 前記水溶液が、高炉スラグの散水冷却時に発生する高炉スラグ溶出水である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の土木工事用材料の製造方法。
  9. 前記土木工事用材料における前記硫黄含有スラグの含有量が、前記クロム酸化物含有物質100質量部に対して、5質量部以上である、請求項4〜8のいずれか1項に記載の土木工事用材料の製造方法。
  10. 前記土木工事用材料が、路盤材、仮設道路材、埋立て材および地盤改良材からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4〜9のいずれか1項に記載の土木工事用材料の製造方法。
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