JP4725302B2 - 溶出成分含有物質の処理方法ならびに安定化資材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶出成分含有物質から当該溶出成分の溶出を抑制する処理方法、ならびにこのような溶出成分の溶出が抑制され、土木建築用に好適な安定化資材およびその製造方法に関する。
工業の発展にともなって各種産業において生成される各種産業副産物も年々増加しているが、近時、地球環境保全の見地から、このような産業副産物を利材化することが試みられている。例えば、火力発電所において発生する石炭灰や、都市ゴミ溶融スラグ、焼却灰溶融スラグ等の無機物質は、路盤材や地盤材等の土木建築用資材として再利用することが検討されている。
しかし、このような土木建築用資材は、風雨に曝される環境下で使用されるため、水分によってその中に含まれている特定の化学成分が溶出する可能性がある。このように水分に溶出する可能性のある化学成分が周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があるものである場合には、このような化学成分の溶出を防止する何らかの対策が必要である。
このような周辺環境への影響が懸念される化学成分としては、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、ヒ素(As)等の重金属類を代表的なものとして挙げることができる。
これらの中で、Crは、メッキ工場排水や皮なめし工場の排水中に高濃度に含まれている他、生コンクリート工場、コンクリート二次製品工場、ダムやトンネル工事現場等、セメントを使用する現場から出る排水中にもある程度含有することがある。また、工場跡地等に高濃度に含まれている事例もあり、そこから地下水に浸入することもある。このため、Crは各種産業副産物に含まれる可能性のある最も代表的な化学成分として認識されており、土木建築用資材等からの6価Crの溶出を防止する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、ステンレス鋼精錬スラグ等のクロム含有物質を路盤材等の土木建築用資材として使用する場合に、その上に硫黄含有スラグとして高炉スラグを載せ散水することにより、高炉スラグ溶出水中の還元性の硫黄(S2−、S、S 2−)によって、クロム酸化合物含有物質中の6価クロムを還元し、安定化させることで、その溶出を防止する方法が提案されている。
一方、近時、上記のような重金属類ばかりでなく、フッ素(F)等の重金属類以外の化学成分も環境へ悪影響を与える化学成分として規制されるようになっており、特許文献2および3には、フッ素を含む製鋼スラグからフッ素の溶出を抑制して安定化させるのに有効な製鋼スラグの安定化処理技術が提案されている。この技術は、製鋼スラグ中のFをアルミナれんが屑やアルミ灰などを配合することによりCaO−Al−F系水和物として固定するものである。
ところで、近年、地球環境や生活環境の保護への要求が益々高まっており、環境を汚染する可能性のある化学成分の排出規制が一層厳しくなりつつある。例えば、環境基本法では、人の健康保護および生活環境保全の見地から、水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康に関する項目として、クロム(Cr)0.05mg/L未満の他、鉛(Pb)が0.01mg/L未満、フッ素(F)が0.8mg/L未満、セレン(Se)が−0.01mg/L未満等と、極めて厳しい基準が設けられている。したがって、土木建築用資材等にもこれらの基準を満たすものが要求されている。
しかしながら、上記特許文献1は、Crの溶出のみを防止するものであって、Pb、F、Se等の他の化学成分の溶出を防止するものではなく、上記特許文献2、3についてもFの溶出のみを防止するものであって、SeやPb等の他の化学成分を除去することはできない。特にSeについては、最近になって規制されるようになった化学成分であり、有効な除去対策が未だ提案されていないのが実状である。
特開平11−104699号公報 特開2000−247694号公報 特開2005−132721号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、産業副産物を資材として用いる場合に使用環境下で溶出する可能性のある化学成分として、鉛(Pb)、フッ素(F)、セレン(Se)等の溶出を問題のない低いレベルに抑制することができる溶出成分含有物質の処理方法、ならびにそのような物質の溶出が問題のないレベルに安定化された安定化資材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、Pb,F,Se等の溶出成分を含有する溶出成分含有物質に対し、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質を所定量配合し、Ca、AlおよびSを含む水和物、好ましくは、エトリンガイトおよび/またはクゼライトを形成すれば、上記溶出成分がその水和物に固定され溶出しなくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、所定の溶出成分を含有する溶出成分含有物質に対し、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンを溶出する処理物質を、前記溶出成分含有物質100質量部に対して1〜100質量部の割合で配合しpHを10以上とし、Ca、AlおよびSを含む水和物を形成して前記所定の溶出成分を前記水和物に固定させ、前記処理物質が、高炉徐冷スラグおよび製鋼スラグを含み、かつ前記水和物は、エトリンガイトおよび/またはクゼライトであることを特徴とする溶出成分含有物質の処理方法を提供する。
本発明は、また、上記処理方法により、前記所定の溶出成分が前記水和物に固定され安定化されている安定化資材を製造することを特徴とする安定化資材の製造方法を提供する。
本発明は、さらに、所定の溶出成分を含有する溶出成分含有物質に対し、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンを溶出する処理物質を、前記溶出成分含有物質100質量部に対して1〜100質量部の割合で配合しpHを10以上としてなり、Ca、AlおよびSを含む水和物が形成され、前記所定の溶出成分が前記水和物に固定され安定化されており、前記処理物質が、高炉徐冷スラグおよび製鋼スラグを含み、かつ前記水和物は、エトリンガイトおよび/またはクゼライトであることを特徴とする安定化資材を提供する。
本発明において、前記所定の溶出成分は、Pb、F、Se、Cd、As、B、およびCr(6価)を典型例として挙げることができる。また、前記溶出成分含有物質としては、石炭灰が例示される。さらに、前記処理物質としては、水酸化カルシウム、鉄鋼スラグ、普通ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、廃コンクリート、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミナ含有レンガ、アルミ灰、アルミナ含有廃棄物および硫黄化合物が例示される。
本発明によれば、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質を溶出成分含有物質に配合し、その際に形成されるCa、AlおよびSを含む水和物、好ましくはエトリンガイトおよび/またはクゼライトに溶出成分を固定するので、Pb、F、Se等の溶出を環境に影響のないレベルまで抑制することができる。このため、このように処理して製造された安定化資材を、例えば路盤材や土壌改良材のような土木建築用資材等として安全に有効利用することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明では、所定の溶出成分を含有する溶出成分含有物質に対し、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質を、前記溶出成分含有物質100質量部に対して1〜100質量部の割合で配合する。これにより、Ca、AlおよびSを含む水和物を形成して溶出成分含有物質に含まれる所定の溶出成分を前記水和物に固定させる。
本発明において、所定の溶出成分とは、水分の存在下で溶出する可能性があり、かつ環境に悪影響を及ぼすおそれがある化学成分であり、本発明では、典型的にPb、F、Se、Cd、As、BおよびCr(6価)を挙げることができる。また、本発明において所定の溶出成分を含有する溶出成分含有物質は、このような溶出成分を含んでいる物質であれば特に限定されるものではないが、火力発電所などで副産物として発生する石炭灰や各種スラグ等を典型例として挙げることができる。中でも、石炭灰を好適例として挙げることができる。
石炭灰とは、石炭火力発電所において石炭を燃やすことにより発生するものであり、例えばボイラの底部から回収されるクリンカアッシュや、電気集塵機などから回収される微粉末(フライアッシュ)などである。
また、各種スラグとしては、都市ゴミ溶融スラグ、焼却灰溶融スラグに代表される一般廃棄物溶融スラグ等が典型例として例示されるがこれに限るものではない。これらのうち、一般廃棄物溶融スラグとは、都市ゴミや焼却灰等の廃棄物を燃焼熱や電気から得られた熱エネルギー等により超高温(1200℃以上)下で加熱、燃焼させ、無機物を溶融した後に冷却したガラス質固化物のことである。
上記溶出成分含有物質に対して、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質を配合する。このときの処理物質の配合量は、溶出成分含有物質100質量部に対して1〜100質量部である。処理物質が1質量部未満であると、前記水和物が十分形成されず、溶出成分含有物質に含まれる所定の溶出成分の溶出を十分に抑制することができず、100質量部を超えると溶出成分を固定する効果が飽和するからである。
上記水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質としては、鉄鋼スラグ、水酸化カルシウム、普通ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、廃コンクリート、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミナ含有レンガ、アルミ灰、アルミナ含有廃棄物および硫黄化合物等を挙げることができる。
これらの中で、水酸化カルシウム、鉄鋼スラグ、普通ポルトランドセメント、アルミナセメントおよび廃コンクリートは、水の存在下でCaイオンを溶出する物質として機能することができる。水の存在下でCaイオンを溶出する物質としては、これら以外に、Ca脱硫剤、Ca脱硫剤と混合した石炭灰を用いることもできる。
また、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、上記鉄鋼スラグ、上記アルミナセメント、アルミナ含有レンガ、アルミ灰、アルミナ含有廃棄物は、水の存在下でAlイオンを溶出する物質として機能することができる。
さらに、上記硫酸アルミニウム、石膏、硫黄化合物、上記鉄鋼スラグは、水の存在下でS含有イオンを溶出する物質として機能することができる。
上記物質の中で、鉄鋼スラグは、水の存在下で、Caイオン、AlイオンおよびS含有イオンのいずれをも溶出させることが可能である。鉄鋼スラグとしては、転炉スラグ、二次精錬スラグ、脱りんスラグ、脱硫スラグ、電気炉酸化スラグ、および電気炉還元スラグを挙げることができる。二次精錬スラグとは、転炉等から出鋼した溶鋼に脱硫、脱りん、脱ガス等の処理をしたときに生成するスラグの総称である。また、電気炉酸化スラグとは、電気炉にて溶鋼中に酸素を吹き込んで不要な成分を酸化する酸化精錬時に生成するスラグである。さらに、電気炉還元スラグとは、電気炉にて還元状態で脱硫する時生成するスラグである。
また、普通ポルトランドセメントは、最も一般的に生産されている代表的なセメントであり、その主な構成化合物は、珪酸三カルシウム(3CaO・SiO)、珪酸二カルシウム(2CaO・SiO)、アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al)、および鉄アルミン酸四カルシウム(4CaO・Al・Fe)などである。
アルミナセメントは、土木建築に使われる上記普通ポルトランドセメントとは化学成分が大きく異なり、その組成は、アルミナ(Al)量が多く、CaO量が少ないことが特徴である。
なお、上で例示した水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質のうち、鉄鋼スラグ、アルミナ含有レンガ、アルミナ含有廃棄物および廃コンクリート以外のものの場合には、その配合量は、前記溶出成分含有物質100質量部に対して1〜60質量部程度とすることが好ましい。鉄鋼スラグ、アルミナ含有レンガ、アルミナ含有廃棄物および廃コンクリート以外の物質は微粉状のものがほとんどであるため、60質量部を超えると、全体の粒度分布として微粒部が多くなりすぎ、土木建築用資材として好ましくない。下限の1質量部については、これ未満であると、上述したようにイオンの溶出量が少なく、安定した溶出抑制効果を発揮することができない。より好ましくは1〜20質量部であり、さらに好ましくは4〜16質量部である。
水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質としては、平均粒径が40mm程度以下のものを用いることが好ましい。これは、平均粒径が40mmを超えると、Caイオン等が土木建築用資材の外部に存在する水に円滑に溶出しにくくなるからである。
本発明においては、上記溶出成分含有物質に上記処理物質を配合することにより、Ca、AlおよびSを含む水和物、好ましくはエトリンガイトおよび/またはクゼライトを形成して前記所定の溶出成分を前記水和物に固定させ、環境に悪影響を及ぼす化学成分の溶出を抑制する。
以下、この点について詳細に説明する。
本発明は、前記溶出成分含有物質に水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質を配合することにより、Ca、AlおよびSを含む水和物、好ましくはエトリンガイトおよび/またはクゼライトが形成され、溶出成分含有物質中に含まれるPb、F、Se等の微量の溶出成分がこのCa−Al−S系水和物に吸着固定され、これら成分が封じ込められて溶出が十分抑制された安定化資材を得るという技術を提供するものである。
すなわち、本発明者らの研究では、上記Pb、F、Se等の溶出成分を含有する溶出成分含有物質に対し、水分の存在下でCaイオン、Alイオン、およびS含有イオンの少なくとも一種を溶出する上記処理物質を配合した場合、水の存在下において、Ca、AlおよびSを含む非晶質の水和物や、エトリンガイト(CaAl(SO(OH)12・26HO)および/またはクゼライト(CaAl(SO)(OH)12・6HO)が生成されることが見出された。そして、この際に、溶出成分含有物質中に含まれるPb、F、Se、Cd、As、B、Cr(6価)等の溶出成分が共沈現象により上記水和物に固定される。共沈現象とは、溶解度積から考えて析出しないはずのものが別の沈殿の生成にともなわれて沈殿物中に混入してくる現象であり、ここでは、単独では析出しないPb、F、Se等の溶出成分が、前記水和物の析出にともなわれて析出するのである。一般的には吸着が主体であるが、固溶体を形成する場合もある。例えば、前記水和物のSの位置にSeが固溶し、共沈現象により溶出成分であるSeが吸着固定される。特に、SeはSの同族元素であり、それらのイオン半径も同程度であることから、前記水和物のSの位置に容易に固溶して取り込まれるため、極めて安定的に固定され、非常に溶出し難い状態となる。また、Pb、F、Cd、As、B、Cr(6価)に関しては、前記水和物の表面に吸着された状態で固定され、やはり、極めて溶出し難い状態が実現される。
このように、本発明では、Pb、F、Se等の微量の化学成分が溶出する可能性のある物質に、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質を所定量配合して処理することにより、前記水和物を形成してPb、F、Se、Cd、As、B、Cr(6価)等の溶出する可能性のある溶出成分を前記水和物に固定させるので、これら溶出成分の溶出を確実に防止ないし抑制して、これらの成分が基準値以下である安定化資材を製造することができる。
ところで、生成する水和物は、溶出成分含有物質と処理物質とを配合する際のpHにより異なる。
pHが4未満では、Ca、Al、Sを含む水和物は形成されない。したがって、溶出成分の抑制効果を有しないので、pHは4以上とすることが好ましい。pHが4以上9未満では、非晶質のCa、AlおよびSを含む水和物が形成され、これは溶出成分の溶出抑制効果を有する。また、pHが9以上になると、エトリンガイトおよび/またはクゼライトが多く形成され、これらは極めて高い溶出抑制効果を有する。したがって、pHを9以上とすることが好ましく、より好ましくはpHを10以上とする。
なお、本発明において、前記溶出成分含有物質中にもCa、AlまたはS含有部をもともと含有している場合には、これに配合する前記処理物質は、Ca、Al、Sの全てを含んでいる必要はなく、Ca、Al、Sのうち前記水和物を形成するために不足する成分のみを含むものであってもよい。例えば、溶出成分含有物質がAlを一定量溶出できるスラグなどの場合、前記水和物を形成するために不足する成分はCa、Sのみであるから、この場合、例えば石膏(CaSO・2HO)を前記処理物質として配合すればよい。このため、本発明では、溶出成分含有物質に配合して安定化資材を形成するための処理物質を「水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質」としたのである。
本発明において、前記溶出成分含有物質に前記処理物質を配合して安定化資材を製造するに当たっては、これらを重機または混合機によって混合するか、または、溶出成分含有物質が破砕して使用するものである場合には、破砕プラントにおいて前記処理物質を添加するか、破砕プラントに挿入する前に前記処理物質を配合する。
このように、本発明ではPb、F、Se、Cd、As、BおよびCr(6価)等の溶出して悪影響を及ぼすおそれがある成分を基準値以下にした安定化資材を製造することができる。したがって、本発明の安定化資材は、路盤材や地盤改良材等の土木建築用資材として好適である。なお、路盤材とは、路床の上に設けられた路盤からの荷重を分散させ路床に伝える役割を持つ部分に使用される材料をいい、地盤改良材とは、軟弱地盤の改良のために使用される材料をいう。
以下、本発明の実施例について比較例と比較しつつ説明する。
ここでは、溶出成分含有物質として石炭灰を用い、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンの少なくとも1種を溶出する処理物質として種々のものを用い、これらを混合機を使用して混合することにより、複数種の安定化資材を製造した。そして、このようにして製造された安定化資材について、特にSeに着目した溶出試験と、X線回折を行った。X線回折では、製造した安定化資材のうち粒径が全て2mm以下のものについて測定した。また、X線回折で非晶質と解析された形成物は、その組成を湿式分析した。さらに、後述する平均粒径は、ふるい上分布曲線を作成し、その50%に対応する粒径とした。なお、Seの環境基準値は0.01mg/Lである。
(試験No.1)
まず、石炭灰について、Caイオン等を溶出する処理物質を全く添加せずに製造した資材(比較例1)について前記溶出試験を行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、Seの溶出量は0.050mg/Lとなり、上記環境基準値よりも高いものとなった。また、製造した資材のX線回折の結果、エトリンガイトおよびクゼライトは同定されなかった。
(試験No.2〜8)
次に、Caイオン、Alイオン、S含有イオンを溶出する処理物質として、これらイオンの溶出量がそれぞれ表2に示すような値となる水酸化カルシウム、硫酸アルミニウム、高炉徐冷スラグ、製鋼スラグ、石膏を、表1に示す割合で添加して製造した資材について前記溶出試験を行った。その結果を表1に示す。なお、これらの物質は粒径が全て2mm以下で、平均粒径が0.015mmのものを用いた。表1から明らかなように、本発明の適合例である試験No.2〜8の実施例1〜7の場合、Seの溶出量は0.002〜0.008mg/Lと、いずれも環境基準の0.01mg/Lよりも低い値であった。また、これら資材のX線回折の結果、エトリンガイトおよび/またはクゼライトならびにCa、AlおよびSを含む非晶質の水和物が同定された。
Figure 0004725302
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以上の結果から、本発明により、Seの溶出を極めて効果的に防止ないし抑制することができることが確認された。また、同様に、Pb、F、Cd、As、B、Cr(6価)の溶出についても効果的に抑制ないし防止可能なことが確認されている。
本発明は、石炭灰のような溶出成分含有物質にCaイオン、Alイオン、S含有イオンを溶出する処理物質を配合することにより、Pb、F、Cd、As、B、Cr(6価)およびSe等の溶出成分の溶出を極めて効果的に防止ないし抑制し、これらを基準値以下にした安定化資材を得るものであり、このような安定化資材は、土木用・地盤改良用資材、路盤材、アスファルトのような道路用資材、セメント用資材、コンクリート用資材等の土木建築用資材として利用することができ、さらには肥料用資材として利用することができ、その工業的価値は極めて高い。

Claims (7)

  1. 所定の溶出成分を含有する溶出成分含有物質に対し、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンを溶出する処理物質を、前記溶出成分含有物質100質量部に対して1〜100質量部の割合で配合しpHを10以上とし、Ca、AlおよびSを含む水和物を形成して前記所定の溶出成分を前記水和物に固定させ、前記処理物質が、高炉徐冷スラグおよび製鋼スラグを含み、かつ前記水和物は、エトリンガイトおよび/またはクゼライトであることを特徴とする溶出成分含有物質の処理方法。
  2. 前記所定の溶出成分は、Pb、F、Se、Cd、As、BおよびCr(6価)から選択される1種以上であることを特徴とする請求項に記載の溶出成分含有物質の処理方法。
  3. 前記溶出成分含有物質は、石炭灰であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶出成分含有物質の処理方法。
  4. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の溶出成分含有物質の処理方法により、前記所定の溶出成分が前記水和物に固定され安定化されている安定化資材を製造することを特徴とする安定化資材の製造方法。
  5. 所定の溶出成分を含有する溶出成分含有物質に対し、水の存在下でCaイオン、AlイオンおよびS含有イオンを溶出する処理物質を、前記溶出成分含有物質100質量部に対して1〜100質量部の割合で配合しpHを10以上としてなり、Ca、AlおよびSを含む水和物が形成され、前記所定の溶出成分が前記水和物に固定され安定化されており、前記処理物質が、高炉徐冷スラグおよび製鋼スラグを含み、かつ前記水和物は、エトリンガイトおよび/またはクゼライトであることを特徴とする安定化資材。
  6. 前記所定の溶出成分は、Pb、F、Se、Cd、As、BおよびCr(6価)から選択される1種以上であることを特徴とする請求項に記載の安定化資材。
  7. 前記溶出成分含有物質は、石炭灰であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の安定化資材。
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