JP2004008854A - 汚染土壌中の重金属などの不溶化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重金属などで汚染された土壌にセメント等のCa/Mg系塩基性物質を添加混合した後、鉄及び/又はアルミニウムの硫酸塩を添加混合して重金属などを不溶化する。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属などで汚染された土壌中の重金属などを不溶化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、重金属などで汚染された土壌の処理方法としては、「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針および運用基準」(平成11年1月)に
▲1▼ 土壌にセメント等の固化剤を混合して固型化する方法
▲2▼ 土壌に薬剤を混合して化学的に不溶化する方法
などがある。上記固型化方法では、汚染物質は物理化学的に土壌中に固定される。また、化学的不溶化方法では、例えば、カドミウム化合物が硫化ナトリウムとの反応で硫化カドミウムとして不溶化し、シアン化合物は硫酸第一鉄との反応で難溶性塩を生成し、砒酸化合物は、硫酸第二鉄との反応で砒酸鉄を生成して不溶化する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
汚染土壌にセメント等を添加混合して固化させた場合、鉛(Pb)等の両性イオンが溶出し、重金属などを確実に不溶化することができない場合がある。
【0004】
また、化学的に不溶化する方法においても、重金属などを確実に固定することは困難であり、例えば、硫化物として不溶化する方法において、処理後、土壌が酸化雰囲気になると重金属などが溶出するおそれがある。
【0005】
即ち、重金属などの不溶化のためには、汚染土壌を適正なpHに調整する必要があるが、従来法においては、この適正pH及びその調整方法について検討されておらず、このために重金属などの溶出の問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点を解決し、重金属などで汚染された土壌中の重金属などを効果的に不溶化してその溶出を確実に防止する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の汚染土壌中の重金属などの不溶化方法は、該汚染土壌にカルシウム系及び/又はマグネシウム系の塩基性物質(以下「Ca/Mg系塩基性物質」と称す場合がある。)を添加混合する第一工程と、該第一工程の後、該土壌に酸性化合物を添加混合する第二工程とを有することを特徴とする。
【0008】
汚染土壌にCa/Mg系塩基性物質を添加混合することにより、土壌中の重金属などは、添加されたCa/Mg系塩基性物質の種類に応じて、水酸化物、その他の形態として不溶化される。
【0009】
しかし、Ca/Mg系塩基性物質の添加により土壌のpHが上昇することにより、Pb等の両性化合物が溶出してくる。
【0010】
本発明では、Ca/Mg系塩基性物質を添加混合した後に酸性化合物を添加することにより、重金属などの不溶化に好適なpHに調整して重金属などを確実に不溶化する。例えば、汚染土壌にCa/Mg系塩基性物質としてセメントを添加混合し、次いで、鉄及び/又はアルミニウムの硫酸塩、塩酸塩といった酸性塩等の酸性化合物を添加混合することにより所定のpHに調整し、鉄及び/又はアルミニウム水酸化物との共沈、あるいは不溶性化合物の形成によって重金属などを不溶化する。
【0011】
本発明において、Ca/Mg系塩基性物質と酸性化合物の添加順序は非常に重要であり、汚染土壌にCa/Mg系塩基性物質を添加混合した後に酸性化合物を添加混合する必要がある。この理由について、Pb汚染土壌をCa/Mg系塩基性物質としてセメントを添加混合し、酸性化合物として硫酸第二鉄を添加混合する場合を例示して説明する。
【0012】
Pb汚染土壌に、必要により水分を添加した後、セメント粉末を添加混合すると、土壌中の酸性物質はセメントから生成する消石灰、アルカリ性塩である炭酸カルシウムにより中和されるために、セメントが混合された後の土壌のpHは、一般に10以上になる。このようにpHアルカリ性となるのは、添加したセメントのアルカリ性物質が土壌中の酸性物質よりも多いためである。この場合、Pb化合物は両性化合物であるために、pH11以上のアルカリ性になると溶出してくる。元の土壌のpHが例えば7.0であった場合、セメントを添加してpH12.0にしたとすると、Pbの溶出量はセメントを添加することによって大幅に増加する。
【0013】
しかし、この後、酸性塩である例えば硫酸第二鉄を添加してPbの不溶化に適正なpH7.0〜11.5、好ましくは8.5〜10.5に調整すると、硫酸第二鉄は、セメント混合土壌中の消石灰、炭酸カルシウム及びケイ酸塩(主にCa塩)などのアルカリ性物質と反応して、水酸化第二鉄の沈殿を形成し、これが重金属の水酸化物などと共沈してPbを不溶化することができる。
【0014】
この時、土壌中には弱アルカリ性物質(即ち、弱酸と強アルカリ(Ca)との塩)であるケイ酸塩や炭酸塩が存在するために、酸性塩(強酸と弱アルカリ(Fe)との塩)である硫酸第二鉄を添加しても、土壌のpHは急激に低下することなく、徐々に低下する。つまり、pH緩衝性があるために、硫酸第二鉄の添加率の多少があったとしても、安定して目的とするpH7.0〜11.5に調整することが可能となる。
【0015】
土壌にセメントや硫酸第二鉄などの薬剤を添加混合して、系全体を均一にすることは、実際上非常に困難なことであり、部分的にみれば、セメントや硫酸第二鉄の添加率の多少が生じる。従って、土壌に薬剤を添加して処理する場合、添加率を厳密に制御することが要求される方法は実用上好ましくないが、本発明の方法であれば、上記のpH緩衝性により、セメントや硫酸第二鉄の添加率の多少や不均一混合があったとしても、目的とするpH範囲内に容易に調整することが可能である。
【0016】
これに対して、セメントと硫酸第二鉄の添加順序を逆にして、汚染土壌に最初に硫酸第二鉄を添加すると、土壌中のアルカリ性物質は、硫酸第二鉄により中和されて土壌は酸性になる。この酸性の程度は、硫酸第二鉄の添加率の多少にもよるが、一般にpH4以下、場合によってはpH3以下となる。また、土壌そのものに含まれる弱酸性基も硫酸第二鉄(強酸と弱アルカリとの塩)で中和されてH型になる。炭酸塩が含まれている場合には、炭酸塩が炭酸ガスとなって揮散する。
【0017】
その後セメントを添加すると、H型となった土壌中の弱酸はセメント中のアルカリ性物質によって中和されるが、pH7.0〜11.5に調整するべくセメントを添加すると、主にセメントから生成する消石灰のためにpHは12以上となってしまい、所定のpHに調整することは極めて困難となる。
【0018】
このように、セメントと硫酸第二鉄との添加順序を逆にすると、pH緩衝性が小さいために、pH調整が困難となる。
【0019】
本発明の方法によれば、Ca/Mg系塩基性物質と酸性化合物との併用で、処理土壌のpHを安定させることができ、このため、処理後の土壌が酸性地下水、又はアルカリ性地下水に曝された場合であっても、一旦不溶化した重金属などを溶出させることなく、安定して不溶化効果を持続させることができる。
【0020】
本発明において、酸性化合物とは、弱アルカリ性化合物(鉄、アルミニウム等)と強酸の塩のように、水に溶解したときに水溶液が酸性を示すようなものであり、硫酸塩、塩酸塩といった酸性塩が好ましい。特に硫酸塩、例えば鉄及び/又はアルミニウムの硫酸塩が好ましい。即ち、硫酸塩は、セメント中のカルシウムと反応して不溶性の硫酸カルシウムを生成するために、土壌の固化に有効である。また、酸性化合物の添加による土壌からの溶出物質(塩)の増加が少ない点においても硫酸塩は好適である。
【0021】
また、本発明において、Ca/Mg系塩基性物質としては、カルシウム及び/又はマグネシウムの炭酸塩、酸化物及び水酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種、より具体的には、セメント、消石灰、生石灰、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。このうち、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムといった炭酸塩は、弱アルカリ性物質(弱酸と強アルカリとの塩)であり、セメントと同様なpH緩衝性を示し、好適である。
【0022】
本発明においては、汚染土壌中の重金属などの種類によっては、土壌にCa/Mg系塩基性物質を添加混合する第一工程の前からその後酸性化合物を添加混合する第二工程の後までの間に、土壌に還元剤を添加混合する。即ち、例えば六価クロム(Cr(VI))やSeは、塩基性物質及び酸性化合物のみでは不溶化させることができない。従って、例えば、Cr(VI)は還元剤によりCr(III)に還元した後水酸化クロム(Cr(OH)3)として不溶化する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の汚染土壌中の重金属などの不溶化方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明において不溶化処理する汚染土壌中の重金属などとしては、カドミウム、鉛、全シアン、砒素、六価クロム、総水銀、セレン、ホウ素、フッ素、銅、亜鉛等が挙げられる。
【0025】
本発明では、このような重金属などで汚染された土壌に、まず、Ca/Mg系塩基性物質を添加混合する。このCa/Mg系塩基性物質としては、カルシウム及び/又はマグネシウムの炭酸塩、酸化物及び水酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種、具体的には、セメント、消石灰、生石灰、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。なお、セメントとしては、普通、早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメント、及び、フライアッシュ、高炉セメント等の混合セメントを使用することができる。
【0026】
このようなCa/Mg系塩基性物質の添加率は、用いるCa/Mg系塩基性物質の種類、土壌の汚染状況(土壌中の重金属などの種類、含有量)や土質等によっても異なるが、一般に、乾燥土壌重量に対して0.5〜20重量%程度とすることが好ましい。この添加率が0.5重量%未満では十分な不溶化効果を得ることができず、20重量%を超えて添加すると、薬剤使用量が増え、不経済である。
【0027】
汚染土壌にCa/Mg系塩基性物質を添加混合する方法としては特に制限はないが、汚染土壌を掘削した後、タンクなどに投入し、Ca/Mg系塩基性物質の粉末又はスラリーを添加混合する。この場合、必要に応じて水分を添加しても良い。また、汚染土壌を掘削することなく、現場にて汚染土壌を混合しながらCa/Mg系塩基性物質の粉末又はスラリーを添加混合しても良い。
【0028】
このようにして汚染土壌にCa/Mg系塩基性物質を添加混合した後は、好ましくは0.5〜24時間程度常温で放置して養生した後、酸性化合物を添加混合する。
【0029】
この酸性化合物としては、鉄(III)、鉄(II)、アルミニウムの硫酸塩、塩酸塩等といった酸性塩を用いることができ、特に好ましくは硫酸塩である。これらの酸性化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。これらの酸性化合物は通常水溶液として土壌に添加混合するが、粉末のまま添加することも可能である。
【0030】
この酸性化合物の添加率は、用いる酸性化合物の種類、Ca/Mg系塩基性物質の添加率、土壌の汚染状況や土質等によっても異なるが、一般に、乾燥土壌重量に対して0.5〜20重量%程度とすることが好ましい。この添加率が0.5重量%未満であっても20重量%を超えても重金属などの不溶化に好適なpHに調整することが困難となる。
【0031】
前述の如く、本発明は、汚染土壌にCa/Mg系塩基性物質を添加混合した後酸性化合物を添加混合することにより、土壌中の重金属などの不溶化に好適なpHに調整するものであり、このような添加順序でCa/Mg系塩基性物質と酸性化合物とを添加することにより得られるpH緩衝作用で薬剤の厳密な添加量制御や高度な均一混合作業を必要とすることなく、容易に不溶化処理を行うことができる。
【0032】
なお、前述の如く、汚染土壌中にCr(VI)やSeが含まれている場合、Ca/Mg系塩基性物質及び酸性化合物に加えて更に還元剤を添加する必要がある。この場合、還元剤としては鉄粉、鉄(II)塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩等を用いることができ、これらに限定されるものではない。この還元剤の添加時期には特に制限はなく、Ca/Mg系塩基性物質の添加前、Ca/Mg系塩基性物質の添加後酸性化合物の添加前、酸性化合物の添加後、或いはCa/Mg系塩基性物質又は酸性化合物の添加と同時のいずれであっても良い。還元剤の添加量は土壌中の被還元物質を還元できる程度の量であれば良い。なお、酸性化合物として硫酸第一鉄を用いた場合には、還元剤としての作用も得ることができる。
【0033】
本発明において、汚染土壌中に全シアン(CN)が含まれている場合、CNはフリーシアンイオン又はキレートとして存在するため、不溶化に際しては、鉄(II)イオン及び/又は鉄(III)イオンを添加し、不溶性錯塩を生成させて不溶化する。また、汚染土壌中に砒素が含まれている場合、亜砒酸の形態で存在すると不溶化が十分でないので、酸化剤を添加して砒酸にした後、砒酸鉄(III)として不溶化する。この場合の酸化剤としては、次亜塩素酸塩、過酸化水素水、過硫酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩等が使用できる。
【0034】
本発明においては、汚染土壌にCa/Mg系塩基性物質を添加混合した後酸性化合物を添加混合することにより、汚染土壌中の重金属などの種類に応じて、当該重金属などの不溶化に好適な範囲にpH調整する。この不溶化に好適な調整pH値は、重金属などの種類によって異なり、例えば次の通りである。
【0035】
【表1】
【0036】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0037】
実施例1〜6
Pb汚染土壌(含水率15重量%)58.8gに、脱イオン水141mLを添加混合した後、ポルトランドセメントを乾燥土壌重量に対して4.0重量%添加混合した。これを6時間放置した後、各々硫酸第二鉄を乾燥土壌重量に対して表2に示す量添加混合し、更に1時間放置した後、懸濁液のpHを測定した。また、この懸濁液を0.45μmの濾紙で濾過した液について、Pb及びその化合物の溶出濃度を、JIS K0102により測定した。
【0038】
上記測定結果を表2に示した。
【0039】
比較例1
実施例1において、ポルトランドセメント及び硫酸第二鉄の添加及び放置を行わなかったこと以外は、同様にして処理を行い、同様にpHとPb濃度を測定し、結果を表2に示した。
【0040】
比較例2〜6
実施例1において、硫酸第二鉄の添加及び放置を行わず、ポルトランドセメントの添加量を表2に示す量としたこと以外は同様にして処理を行い、同様にpHとPb濃度を測定し、結果を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
表2より、セメントを添加混合するとpHが上昇し、Pbの溶出量が増加するが、適正量の硫酸第二鉄を添加すると、Pbは定量下限値未満となり不溶化されていることが分かる。この時、Pbの不溶化に好適なpH7.0〜11.5に調整するには、硫酸第二鉄の添加率はおおよそ3〜8重量%(対乾燥土壌)であり、この程度の添加率範囲であれば、実際の不溶化処理を容易に行える。
【0043】
比較例7〜10
実施例1において、ポルトランドセメントの添加及び放置を行わず、硫酸第二鉄の添加量を表3に示す量としたこと以外は同様にして処理を行い、同様にpHとPb濃度を測定し、結果を表3に示した。
【0044】
なお、表3には比較のため比較例1の結果も併記した。
【0045】
比較例11〜15
実施例1で処理したものと同様のPb汚染土壌(含水率15重量%)58.8gに、脱イオン水141mLを添加混合した後、硫酸第二鉄を乾燥土壌重量に対して5重量%添加混合した。これを1時間放置した後、各々ポルトランドセメントを表3に示す量添加混合し、更に6時間放置し、その後実施例1と同様にしてpHとPb濃度の測定を行い、結果を表3に示した。
【0046】
【表3】
【0047】
表3より明らかなように、硫酸第二鉄を添加するとpHが低下しPbの溶出量が増加する。この後に、セメントを添加するとPbの溶出量は減少し、好適なpH7.0〜11.5の範囲内にするとPb濃度は定量下限値未満となるが、このpHに調整するにはポルトランドセメントの添加率は約4重量%(3.5〜4.5重量%)に維持されなければならず、このような狭い範囲に土壌全体の添加率を調整することは実際の処理においては極めて困難である。
【0048】
実施例7〜12
As,Pb汚染土壌(含水率13重量%)57.5gに、脱イオン水143mLを添加混合した後、ポルトランドセメントを乾燥土壌重量に対して6.0重量%添加混合した。これを6時間放置した後、各々硫酸第二鉄を乾燥土壌重量に対して表4に示す量添加混合し、更に1時間放置した後、懸濁液のpHを測定した。また、この懸濁液を0.45μmの濾紙で濾過した液について、As,Pb及び各化合物の溶出濃度を、JIS K0102により測定した。
【0049】
上記測定結果を表4に示した。
【0050】
比較例16
実施例7において、ポルトランドセメント及び硫酸第二鉄の添加及び放置を行わなかったこと以外は、同様にして処理を行い、同様にpHとAs,Pb濃度を測定し、結果を表4に示した。
【0051】
比較例17〜21
実施例7において、硫酸第二鉄の添加及び放置を行わずポルトランドセメントの添加量を表4に示す量としたこと以外は同様にして処理を行い、同様にpHとAs,Pb濃度を測定し、結果を表4に示した。
【0052】
【表4】
【0053】
表4より、As,Pb汚染土壌についても、Pb汚染土壌と同様に、セメントを添加混合するとpHが上昇し、As,Pbの溶出量が増加するが、適正量の硫酸第二鉄を添加すると、As,Pbは定量下限値未満となり不溶化されていることが分かる。この時、As,Pbの不溶化に好適なpH7.0〜10.5に調整するには、硫酸第二鉄の添加率はおおよそ5〜8重量%(対乾燥土壌)であり、この程度の添加率範囲であれば、実際の不溶化処理が可能である。
【0054】
比較例22〜25
実施例7において、ポルトランドセメントの添加及び放置を行わず、硫酸第二鉄の添加量を表5に示す量としたこと以外は同様にして処理を行い、同様にpHとAs,Pb濃度を測定し、結果を表5に示した。
【0055】
なお、表5には比較のため比較例16の結果も併記した。
【0056】
比較例26〜30
実施例7で処理したものと同様のAs,Pb汚染土壌(含水率13重量%)57.5gに、脱イオン水143mLを添加混合した後、硫酸第二鉄を乾燥土壌重量に対して5.0重量%添加混合した。これを1時間放置した後、各々ポルトランドセメントを乾燥土壌重量に対して表5に示す量添加混合し、更に6時間放置し、その後実施例7と同様にしてpHとAs,Pb濃度の測定を行い、結果を表5に示した。
【0057】
【表5】
【0058】
表5より明らかなように、硫酸第二鉄を添加するとpHが低下し、Asはいったん溶出量が減少し、pH3.0まで低下すると増加する。一方、PbはpHが低下すると溶出量が増加する。次いで、セメントを添加してAsとPbを不溶化するに好適なpH7.0〜11.0にするとAsとPb濃度は定量下限値未満となるが、このpHに調整するにはポルトランドセメントの添加率は約5重量%(4.5〜5.5重量%)に維持されなければならず、このような狭い範囲に土壌全体の添加率を調整することは実際の処理においては極めて困難である。
【0059】
実施例13〜19
実施例1において、Ca/Mg系塩基性物質及び酸性化合物として表6に示すものを表6に示す添加量で用いたこと以外は同様にしてPb汚染土壌の処理を行い、同様にpHとPb濃度を測定し、結果を表6に示した。
【0060】
【表6】
【0061】
なお、実施例13〜19において、酸性化合物の添加量を2.0〜8.0重量%の範囲で変えた場合にも、pHを7.0〜11.5の範囲に調整することができ、Pbの溶出を防止すること(Pb濃度0.005mg/L未満)ができることが確認された。
【0062】
比較例31
Cr(VI)汚染土壌(含水率15重量%)58.5gに、脱イオン水141mLを添加混合した後、ポルトランドセメントを乾燥土壌重量に対して3.0重量%添加混合した。これを3時間放置した後、各々硫酸第二鉄を乾燥土壌重量に対して2.5重量%添加混合し、更に1時間放置した後、懸濁液のpHを測定した。また、この懸濁液を0.45μmの濾紙で濾過した液について、Cr及びその化合物の溶出濃度を、JIS K0102により測定した。Cr(VI)は2.2mg/Lであった。
【0063】
上記測定結果を表7に示した。
【0064】
実施例20〜24
比較例1において表7に示す工程において、還元剤として硫酸第一鉄を乾燥土壌重量に対して1.0重量%土壌に添加混合、1時間放置したこと以外は同様に行って、同様にpHとCr濃度を測定し、結果を表7に示した。
【0065】
【表7】
【0066】
表7より、還元剤を併用することにより、Cr(VI)を効果的に不溶化することができることがわかる。
【0067】
なお、実施例20〜24において、硫酸第二鉄の添加率を0.2〜5.0重量%の範囲で変えた場合にも、pHを7.0〜11.5の範囲に調整することができ、Crの溶出を防止することができることが確認された。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の汚染土壌中の重金属などの不溶化方法によれば、汚染土壌中の重金属などの不溶化に適正なpHに、容易にかつ安定して調整することが可能となり、土壌中の重金属などを効果的に不溶化してその溶出を確実に防止することができる。
Claims (6)
- 重金属などで汚染された土壌中の重金属などを不溶化する方法において、
該汚染土壌にカルシウム系及び/又はマグネシウム系の塩基性物質を添加混合する第一工程と、
該第一工程の後、該土壌に酸性化合物を添加混合する第二工程と
を有することを特徴とする汚染土壌中の重金属などの不溶化方法。 - 請求項1において、該酸性化合物が鉄及び/又はアルミニウムの硫酸塩又は塩酸塩からなる酸性塩であることを特徴とする汚染土壌中の重金属などの不溶化方法。
- 請求項1又は2において、該塩基性物質がカルシウム及び/又はマグネシウムの炭酸塩、酸化物及び水酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする汚染土壌中の重金属などの不溶化方法。
- 請求項3において、該塩基性物質が、セメント、消石灰、生石灰、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする汚染土壌中の重金属などの不溶化方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該第一工程により土壌のpHが10以上になった後、該第二工程を行うことを特徴とする汚染土壌中の重金属などの不溶化方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記第一工程の前から第二工程の後までの間に、該土壌に還元剤を添加混合する工程を有することを特徴とする汚染土壌中の重金属などの不溶化方法。
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