JP2003175370A - 重金属等含有灰の処理方法 - Google Patents
重金属等含有灰の処理方法Info
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- JP2003175370A JP2003175370A JP2001377963A JP2001377963A JP2003175370A JP 2003175370 A JP2003175370 A JP 2003175370A JP 2001377963 A JP2001377963 A JP 2001377963A JP 2001377963 A JP2001377963 A JP 2001377963A JP 2003175370 A JP2003175370 A JP 2003175370A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 下水汚泥焼却灰の中のヒ素・セレンといった
重金属等の不溶化を、簡易に効率よく、しかも低コスト
で行えるようにする。 【解決手段】 少なくともヒ素、セレンの何れかを含む
焼却灰に鉄化合物、望ましくは硫酸第一鉄の溶液を添加
して混練した後、所定期間放置し、あるいは放置後の焼
却灰を加熱処理し、あるいは放置後もしくは加熱後の焼
却灰にアルカリ土類金属化合物を添加するものである。
重金属等の不溶化を、簡易に効率よく、しかも低コスト
で行えるようにする。 【解決手段】 少なくともヒ素、セレンの何れかを含む
焼却灰に鉄化合物、望ましくは硫酸第一鉄の溶液を添加
して混練した後、所定期間放置し、あるいは放置後の焼
却灰を加熱処理し、あるいは放置後もしくは加熱後の焼
却灰にアルカリ土類金属化合物を添加するものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は重金属等含有灰の処
理方法に関し、特に下水汚泥焼却灰からの重金属等(環
境庁告示第46号、土壌の汚染に係る環境基準の別表に
記載する各項目の物質)の溶出を防止する技術に係るも
のである。
理方法に関し、特に下水汚泥焼却灰からの重金属等(環
境庁告示第46号、土壌の汚染に係る環境基準の別表に
記載する各項目の物質)の溶出を防止する技術に係るも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、生活排水や工場排水等の下水を処
理することにより生成された下水汚泥は焼却処理してお
り、その焼却残渣である下水汚泥焼却灰中にはヒ素、セ
レンといった重金属等の有害物質が含まれている。この
ため、下水汚泥焼却灰を建設資材として利用する場合に
は、焼成(レンガ・タイル化)や溶融(スラグ化)とい
った高度な二次処理を下水汚泥焼却灰に施してそれらの
生成物を利用しており、下水汚泥焼却灰中の有害物質の
揮発(分離)及び下水汚泥焼却灰のガラス化(固化)の
作用で有害物質の溶出を防止している。この建設資材と
しての適否を判断する溶出試験の基準としては、「土壌
の汚染に係る環境基準について(環境庁告示第46
号)」が適用されることが多い。
理することにより生成された下水汚泥は焼却処理してお
り、その焼却残渣である下水汚泥焼却灰中にはヒ素、セ
レンといった重金属等の有害物質が含まれている。この
ため、下水汚泥焼却灰を建設資材として利用する場合に
は、焼成(レンガ・タイル化)や溶融(スラグ化)とい
った高度な二次処理を下水汚泥焼却灰に施してそれらの
生成物を利用しており、下水汚泥焼却灰中の有害物質の
揮発(分離)及び下水汚泥焼却灰のガラス化(固化)の
作用で有害物質の溶出を防止している。この建設資材と
しての適否を判断する溶出試験の基準としては、「土壌
の汚染に係る環境基準について(環境庁告示第46
号)」が適用されることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した焼成
処理や溶融処理では燃料コストが高いのが難点である。
また、有害物質の中で特に注目されているヒ素、セレン
については、アルカリ土類金属との塩がアルカリ性側で
溶解度が低くなるという特性を利用し、焼却灰に消石灰
等を添加して溶出値を抑制する方法も検討されている。
この方法は現在行われている溶出試験(環境庁告示第4
6号)での溶出基準を満足するが、将来導入が予想され
る酸性条件または酸性溶液からの溶出試験(CO2飽和
法等)においては、その基準値を満足できないことが考
えられる。
処理や溶融処理では燃料コストが高いのが難点である。
また、有害物質の中で特に注目されているヒ素、セレン
については、アルカリ土類金属との塩がアルカリ性側で
溶解度が低くなるという特性を利用し、焼却灰に消石灰
等を添加して溶出値を抑制する方法も検討されている。
この方法は現在行われている溶出試験(環境庁告示第4
6号)での溶出基準を満足するが、将来導入が予想され
る酸性条件または酸性溶液からの溶出試験(CO2飽和
法等)においては、その基準値を満足できないことが考
えられる。
【0004】本発明は上記した課題を解決するものであ
り、簡易に能率よく安いコストで不溶化処理を行い、中
性及び酸性条件下において溶出基準値をクリアできる重
金属等含有灰の処理方法を提供することにある。
り、簡易に能率よく安いコストで不溶化処理を行い、中
性及び酸性条件下において溶出基準値をクリアできる重
金属等含有灰の処理方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明者らは検討を重ねた結果、上記した構成
のように、焼却灰に鉄化合物(2価鉄化合物、3価鉄化
合物)の溶液を添加して混練した後に所定期間放置する
こと、もしくは添加、混練、放置して加熱処理すること
により、焼却灰に含有されるヒ素・セレンといった重金
属等を不溶化できることを見出したものであり、鉄化合
物として硫酸第一鉄の有効性が高いことの知見を得た。
ために、本発明者らは検討を重ねた結果、上記した構成
のように、焼却灰に鉄化合物(2価鉄化合物、3価鉄化
合物)の溶液を添加して混練した後に所定期間放置する
こと、もしくは添加、混練、放置して加熱処理すること
により、焼却灰に含有されるヒ素・セレンといった重金
属等を不溶化できることを見出したものであり、鉄化合
物として硫酸第一鉄の有効性が高いことの知見を得た。
【0006】しかし、硫酸第一鉄の溶液を添加して混練
した後所定期間放置する方法、あるいは硫酸第一鉄の溶
液を添加して混練した後所定期間放置し、その後加熱処
理する方法では、中性から酸性領域ではヒ素・セレンと
いった重金属等を不溶化できるが、アルカリ性領域では
ヒ素・セレンの溶出が起こる場合がある。この場合、硫
酸第一鉄の溶液を添加して混練した後所定期間放置した
もの、あるいは硫酸第一鉄の溶液を添加して混練した後
所定期間放置し、その後加熱処理したものに、アルカリ
土類金属化合物を添加することにより、酸性からアルカ
リ性の幅広いpH領域においてヒ素・セレンを不溶化で
きることを見出した。
した後所定期間放置する方法、あるいは硫酸第一鉄の溶
液を添加して混練した後所定期間放置し、その後加熱処
理する方法では、中性から酸性領域ではヒ素・セレンと
いった重金属等を不溶化できるが、アルカリ性領域では
ヒ素・セレンの溶出が起こる場合がある。この場合、硫
酸第一鉄の溶液を添加して混練した後所定期間放置した
もの、あるいは硫酸第一鉄の溶液を添加して混練した後
所定期間放置し、その後加熱処理したものに、アルカリ
土類金属化合物を添加することにより、酸性からアルカ
リ性の幅広いpH領域においてヒ素・セレンを不溶化で
きることを見出した。
【0007】
【本発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
いて説明する。本発明で処理される焼却灰は、少なくと
もヒ素、セレンの何れかの重金属等を含有する灰であれ
ば特に限定されるものではないが、本実施の形態では下
水汚泥焼却灰を処理対象灰として説明する。
いて説明する。本発明で処理される焼却灰は、少なくと
もヒ素、セレンの何れかの重金属等を含有する灰であれ
ば特に限定されるものではないが、本実施の形態では下
水汚泥焼却灰を処理対象灰として説明する。
【0008】また、本発明においては焼却灰に添加する
薬品は鉄化合物(2価鉄化合物、3価鉄化合物)である
が、本実施の形態では焼却灰に添加する鉄化合物として
硫酸第一鉄を使用する。
薬品は鉄化合物(2価鉄化合物、3価鉄化合物)である
が、本実施の形態では焼却灰に添加する鉄化合物として
硫酸第一鉄を使用する。
【0009】硫酸第一鉄は硫酸第二鉄や塩化第一鉄のよ
うな鉄塩試薬より安価で、塩化第二鉄のような強い腐食
性がなく取り扱いが容易である。また、硫酸第一鉄は水
に対する溶解度が高いので、この溶液は焼却灰と均一な
混合が可能となる。硫酸第一鉄は焼却灰中に均一に混合
させるために溶液の状態で添加するが、溶液は焼却灰の
全量に対して30重量%程度に添加することが望まし
い。この溶液の添加割合が少ないと焼却灰と硫酸第一鉄
との混練状態が不十分となり、ヒ素やセレンを十分に不
溶化できなくなることがある。また、溶液の添加割合が
多すぎると添加後の焼却灰が液状となり、その後の取り
扱いが困難になったり、加熱・乾燥処理にコストがかか
ることになる。
うな鉄塩試薬より安価で、塩化第二鉄のような強い腐食
性がなく取り扱いが容易である。また、硫酸第一鉄は水
に対する溶解度が高いので、この溶液は焼却灰と均一な
混合が可能となる。硫酸第一鉄は焼却灰中に均一に混合
させるために溶液の状態で添加するが、溶液は焼却灰の
全量に対して30重量%程度に添加することが望まし
い。この溶液の添加割合が少ないと焼却灰と硫酸第一鉄
との混練状態が不十分となり、ヒ素やセレンを十分に不
溶化できなくなることがある。また、溶液の添加割合が
多すぎると添加後の焼却灰が液状となり、その後の取り
扱いが困難になったり、加熱・乾燥処理にコストがかか
ることになる。
【0010】本実施の形態では、少なくともヒ素、セレ
ンの何れかの重金属等を含有する下水汚泥焼却灰に、硫
酸第一鉄の溶液を添加して混練した後所定期間放置する
か、あるいは放置した後加熱処理する。硫酸第一鉄の添
加割合は無水物試薬として焼却灰に対し0.5重量%以
上が効果的であり、より効果の高い範囲は硫酸第一鉄の
添加割合が無水物試薬として1.4〜2.9重量%の範
囲が好ましい。
ンの何れかの重金属等を含有する下水汚泥焼却灰に、硫
酸第一鉄の溶液を添加して混練した後所定期間放置する
か、あるいは放置した後加熱処理する。硫酸第一鉄の添
加割合は無水物試薬として焼却灰に対し0.5重量%以
上が効果的であり、より効果の高い範囲は硫酸第一鉄の
添加割合が無水物試薬として1.4〜2.9重量%の範
囲が好ましい。
【0011】硫酸第一鉄溶液は酸性試薬であるために、
焼却灰を硫酸第一鉄溶液と混練することにより溶出試験
時のpHが酸性となる。溶出試験時pHが2を下回ると
ヒ素等の溶出が起こりやすくなるので、pHが2以上に
なるように硫酸第一鉄の添加量またはpHを調整する必
要がある。また、混練にあたっては、あらかじめ焼却灰
を加湿することができる。混練方式については特に限定
するものではなく、この技術分野で用いられている混練
方式が採用できる。
焼却灰を硫酸第一鉄溶液と混練することにより溶出試験
時のpHが酸性となる。溶出試験時pHが2を下回ると
ヒ素等の溶出が起こりやすくなるので、pHが2以上に
なるように硫酸第一鉄の添加量またはpHを調整する必
要がある。また、混練にあたっては、あらかじめ焼却灰
を加湿することができる。混練方式については特に限定
するものではなく、この技術分野で用いられている混練
方式が採用できる。
【0012】硫酸第一鉄を添加した後の放置期間は1日
以上とするのが効果的であるが、より効果の高い範囲は
7日以上が好ましい。放置処理により、硫酸第一鉄溶液
により供給された鉄は空気中の酸素と反応して2価鉄か
ら3価鉄に酸化され、硫酸第一鉄は3価の水酸化物塩と
なる。3価の鉄の水酸化物は陰イオン吸着能を有するた
め、ヒ素・セレンのオキソ酸であるヒ酸イオン、亜ヒ酸
イオン、セレン酸イオン、亜セレン酸イオン等のイオン
を吸着する。
以上とするのが効果的であるが、より効果の高い範囲は
7日以上が好ましい。放置処理により、硫酸第一鉄溶液
により供給された鉄は空気中の酸素と反応して2価鉄か
ら3価鉄に酸化され、硫酸第一鉄は3価の水酸化物塩と
なる。3価の鉄の水酸化物は陰イオン吸着能を有するた
め、ヒ素・セレンのオキソ酸であるヒ酸イオン、亜ヒ酸
イオン、セレン酸イオン、亜セレン酸イオン等のイオン
を吸着する。
【0013】以上のように、放置により鉄の酸化とヒ素
・セレンの吸着反応が連続して起こり、結果的にヒ素・
セレンが不溶化されることになる。また、放置処理は硫
酸第一鉄溶液との混練により酸性となった焼却灰を中和
する方向に作用し、溶出試験時pHを中性に近づけ、結
果的に酸性領域で溶出しやすくなるカドミウム等の重金
属類の溶出を抑えることになる。
・セレンの吸着反応が連続して起こり、結果的にヒ素・
セレンが不溶化されることになる。また、放置処理は硫
酸第一鉄溶液との混練により酸性となった焼却灰を中和
する方向に作用し、溶出試験時pHを中性に近づけ、結
果的に酸性領域で溶出しやすくなるカドミウム等の重金
属類の溶出を抑えることになる。
【0014】硫酸第一鉄の溶液を添加混練して放置した
後加熱処理する場合には、加熱温度は50〜450℃の
範囲とするのが効果的であるが、より効果の高い範囲は
150〜450℃が好ましい。加熱処理を組み合わせな
い硫酸第一鉄の溶液を添加混練した後放置する処理方法
では、焼却灰によってはヒ素・セレンの溶出を完全に抑
えることができない場合があるので、硫酸第一鉄の溶液
を添加混練して放置した後加熱する処理方法により、ヒ
素・セレンをより安定的に不溶化できる。
後加熱処理する場合には、加熱温度は50〜450℃の
範囲とするのが効果的であるが、より効果の高い範囲は
150〜450℃が好ましい。加熱処理を組み合わせな
い硫酸第一鉄の溶液を添加混練した後放置する処理方法
では、焼却灰によってはヒ素・セレンの溶出を完全に抑
えることができない場合があるので、硫酸第一鉄の溶液
を添加混練して放置した後加熱する処理方法により、ヒ
素・セレンをより安定的に不溶化できる。
【0015】しかし、硫酸第一鉄の溶液を添加混練した
後放置処理する方法、あるいは硫酸第一鉄の溶液を添加
混練して放置した後加熱処理する方法では、中性から酸
性領域ではヒ素・セレンといった重金属等を不溶化でき
るが、アルカリ性領域ではヒ素・セレンの溶出が起こる
場合がある。
後放置処理する方法、あるいは硫酸第一鉄の溶液を添加
混練して放置した後加熱処理する方法では、中性から酸
性領域ではヒ素・セレンといった重金属等を不溶化でき
るが、アルカリ性領域ではヒ素・セレンの溶出が起こる
場合がある。
【0016】この場合、硫酸第一鉄の溶液を添加混練し
た後放置処理したもの、あるいは硫酸第一鉄の溶液を添
加混練して放置した後加熱処理したものに、アルカリ土
類金属化合物を添加する。アルカリ土類金属化合物とし
ては消石灰、生石灰、炭酸カルシウム、水酸化マグネシ
ウム、酸化マグネシウムなどが使用できるが、価格や取
り扱い性を考慮すると消石灰が好ましい。例えば消石灰
を添加した場合は、アルカリ領域でヒ酸イオン、亜ヒ酸
イオン、セレン酸イオン、亜セレン酸イオンと難溶性の
カルシウム塩を形成し、ヒ素・セレンの溶出を抑制す
る。この結果、酸性〜アルカリ性の幅広いpH領域におい
てヒ素・セレンを不溶化できる。
た後放置処理したもの、あるいは硫酸第一鉄の溶液を添
加混練して放置した後加熱処理したものに、アルカリ土
類金属化合物を添加する。アルカリ土類金属化合物とし
ては消石灰、生石灰、炭酸カルシウム、水酸化マグネシ
ウム、酸化マグネシウムなどが使用できるが、価格や取
り扱い性を考慮すると消石灰が好ましい。例えば消石灰
を添加した場合は、アルカリ領域でヒ酸イオン、亜ヒ酸
イオン、セレン酸イオン、亜セレン酸イオンと難溶性の
カルシウム塩を形成し、ヒ素・セレンの溶出を抑制す
る。この結果、酸性〜アルカリ性の幅広いpH領域におい
てヒ素・セレンを不溶化できる。
【0017】以下に、実験例を挙げて本発明をさらに詳
細に説明するが、本発明はこれらの実験例になんら限定
されるものではない。 実験例1 異なる処理場から発生した2種類の下水汚泥焼却灰(高
分子系流動焼却灰)を用いて、硫酸第一鉄の添加率、放
置期間、加熱温度を様々に変えて、硫酸第一鉄溶液添加
+放置処理、及び硫酸第一鉄添加+放置+加熱処理の効
果を調べた。なお、比較として硫酸第一鉄添加処理、及
び硫酸第一鉄添加+加熱処理の検討結果も併せて示す。
細に説明するが、本発明はこれらの実験例になんら限定
されるものではない。 実験例1 異なる処理場から発生した2種類の下水汚泥焼却灰(高
分子系流動焼却灰)を用いて、硫酸第一鉄の添加率、放
置期間、加熱温度を様々に変えて、硫酸第一鉄溶液添加
+放置処理、及び硫酸第一鉄添加+放置+加熱処理の効
果を調べた。なお、比較として硫酸第一鉄添加処理、及
び硫酸第一鉄添加+加熱処理の検討結果も併せて示す。
【0018】実験条件と結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
硫酸第一鉄添加+放置処理では、焼却灰に硫酸第一鉄を
無水物として2.8重量%添加した後、7日放置処理し
た。硫酸第一鉄添加+放置+加熱処理では、焼却灰に硫
酸第一鉄を無水物として2.8重量%添加して7日放置
した後、200℃または400℃で加熱処理した。ま
た、硫酸第一鉄を無水物として2.8重量%添加する処
理、または硫酸第一鉄を無水物として2.8重量%添加
した後200℃または400℃で加熱処理する方法を比
較対象とした。
無水物として2.8重量%添加した後、7日放置処理し
た。硫酸第一鉄添加+放置+加熱処理では、焼却灰に硫
酸第一鉄を無水物として2.8重量%添加して7日放置
した後、200℃または400℃で加熱処理した。ま
た、硫酸第一鉄を無水物として2.8重量%添加する処
理、または硫酸第一鉄を無水物として2.8重量%添加
した後200℃または400℃で加熱処理する方法を比
較対象とした。
【0020】硫酸第一鉄添加処理、または硫酸第一鉄添
加+加熱処理では、ヒ素は溶出量を0.01 mg/L
未満にできていたが、セレン及びカドミウムでは一部が
0.01mg/Lを越える溶出が見られた。しかし、硫
酸第一鉄添加+放置処理により、A焼却灰ではヒ素・セ
レン・カドミウムのいずれも土壌環境基準である0.0
1mg/L以下の溶出に抑えることができた。さらに硫
酸第一鉄添加+放置+加熱処理をすることで、A焼却灰
とB焼却灰のいずれもヒ素・セレン・カドミウムの溶出
を全て0.01mg/L未満に抑えることができた。
加+加熱処理では、ヒ素は溶出量を0.01 mg/L
未満にできていたが、セレン及びカドミウムでは一部が
0.01mg/Lを越える溶出が見られた。しかし、硫
酸第一鉄添加+放置処理により、A焼却灰ではヒ素・セ
レン・カドミウムのいずれも土壌環境基準である0.0
1mg/L以下の溶出に抑えることができた。さらに硫
酸第一鉄添加+放置+加熱処理をすることで、A焼却灰
とB焼却灰のいずれもヒ素・セレン・カドミウムの溶出
を全て0.01mg/L未満に抑えることができた。
【0021】実験例2
実験例1では環境庁告示第46号の溶出試験方法(中性
溶液からの溶出)により試験を行い、硫酸第一鉄添加+
放置処理及び硫酸第一鉄添加+放置+加熱処理によるヒ
素・セレン・カドミウムの不溶化効果を確認した。ここ
では将来導入が予想されるCO2飽和法及びCO2連続法
(酸性溶液からの溶出)により溶出試験を行い、その処
理の効果を検討した。
溶液からの溶出)により試験を行い、硫酸第一鉄添加+
放置処理及び硫酸第一鉄添加+放置+加熱処理によるヒ
素・セレン・カドミウムの不溶化効果を確認した。ここ
では将来導入が予想されるCO2飽和法及びCO2連続法
(酸性溶液からの溶出)により溶出試験を行い、その処
理の効果を検討した。
【0022】実験条件と結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
焼却灰に硫酸第一鉄を無水物として2.8重量%添加
し、7日放置後、400℃で加熱処理をした。溶出試験
はCO2飽和法及びCO2連続法により行った。環境庁告
示第46号法を比較対象とした。
し、7日放置後、400℃で加熱処理をした。溶出試験
はCO2飽和法及びCO2連続法により行った。環境庁告
示第46号法を比較対象とした。
【0024】ヒ素・セレン・カドミウムは硫酸第一鉄添
加+放置+加熱処理により、CO2飽和法及びCO2連続
法でも、0.01mg/L以下の溶出量となった。 実験例3 硫酸第一鉄添加+放置+加熱処理について、後工程にア
ルカリ土類金属化合物として消石灰を添加した場合のヒ
素・セレン・カドミウム溶出抑制効果について調べた。
加+放置+加熱処理により、CO2飽和法及びCO2連続
法でも、0.01mg/L以下の溶出量となった。 実験例3 硫酸第一鉄添加+放置+加熱処理について、後工程にア
ルカリ土類金属化合物として消石灰を添加した場合のヒ
素・セレン・カドミウム溶出抑制効果について調べた。
【0025】実験条件と結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
焼却灰に硫酸第一鉄を無水物として2.8重量%添加、
7日間放置し、400℃で加熱処理をした後、消石灰を
焼却灰に対し0.3重量%または1.0重量%または
3.0重量%添加した。
7日間放置し、400℃で加熱処理をした後、消石灰を
焼却灰に対し0.3重量%または1.0重量%または
3.0重量%添加した。
【0027】消石灰の添加により焼却灰はアルカリ性を
示したが、ヒ素・セレンがカルシウム塩として不溶化す
るため、ヒ素・セレン・カドミウムはアルカリ性領域で
も0.01mg/L未満の溶出量となった。
示したが、ヒ素・セレンがカルシウム塩として不溶化す
るため、ヒ素・セレン・カドミウムはアルカリ性領域で
も0.01mg/L未満の溶出量となった。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明方法によれば、焼却
灰の処理において、灰中のヒ素・セレンといった重金属
等を容易に効率よく不溶化でき、環境庁告示第46号法
(中性溶液からの溶出)でもCO2飽和法及びCO2連続
法(酸性溶液からの溶出)でも、土壌の汚染に係る環境
基準値を満足できる。
灰の処理において、灰中のヒ素・セレンといった重金属
等を容易に効率よく不溶化でき、環境庁告示第46号法
(中性溶液からの溶出)でもCO2飽和法及びCO2連続
法(酸性溶液からの溶出)でも、土壌の汚染に係る環境
基準値を満足できる。
【0029】したがって、処理灰を製品化する場合にお
いては、無害な原料として、処理灰をそのまま広く利用
できる。また、地下水に直接触れても溶出がなく安全で
あることから、直接土壌に触れる用途(土木資材)にも
利用でき、仮に酸性雨が降った場合でも安全性に問題は
ない。
いては、無害な原料として、処理灰をそのまま広く利用
できる。また、地下水に直接触れても溶出がなく安全で
あることから、直接土壌に触れる用途(土木資材)にも
利用でき、仮に酸性雨が降った場合でも安全性に問題は
ない。
【0030】そして、設備費、ランニングコストが安価
であり、また加熱処理を組み合わせる場合は既設焼却施
設の余熱空気(約600℃)の一部等を利用して実施で
きるので、経済性に優れている。
であり、また加熱処理を組み合わせる場合は既設焼却施
設の余熱空気(約600℃)の一部等を利用して実施で
きるので、経済性に優れている。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 上野 孝司
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 東京
都下水道局内
(72)発明者 小出 典宏
大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
株式会社クボタ内
(72)発明者 林 雅樹
東京都中央区日本橋室町3丁目1番3号
株式会社クボタ東京本社内
Fターム(参考) 4D004 AA36 AB03 AC04 CA15 CA22
CA34 CC11 DA03 DA06 DA10
DA20
Claims (7)
- 【請求項1】 少なくともヒ素、セレンの何れかを含む
焼却灰に鉄化合物の溶液を添加して混練した後、所定期
間放置することを特徴とする重金属等含有灰の処理方
法。 - 【請求項2】 少なくともヒ素、セレンの何れかを含む
焼却灰に鉄化合物の溶液を添加して混練した後、所定期
間放置し、この放置後の焼却灰にアルカリ土類金属化合
物を添加することを特徴とする重金属等含有灰の処理方
法。 - 【請求項3】 少なくともヒ素、セレンの何れかを含む
焼却灰に鉄化合物の溶液を添加して混練して後、所定期
間放置し、その後加熱処理し、この加熱処理した焼却灰
にアルカリ土類金属化合物を添加することを特徴とする
重金属等含有灰の処理方法。 - 【請求項4】 鉄化合物が硫酸第一鉄であることを特徴
とする請求項1から3の何れか1項に記載の重金属等含
有灰の処理方法。 - 【請求項5】 硫酸第一鉄の添加量が無水物試薬として
の添加割合で焼却灰の0.5重量%以上であることを特
徴とする請求項4に記載の重金属等含有灰の処理方法。 - 【請求項6】 放置の期間を1日以上とすることを特徴
とする請求項1〜5の何れか1項に記載の重金属等含有
灰の処理方法。 - 【請求項7】 加熱処理の温度を50〜450℃とする
ことを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の重
金属等含有灰の処理方法。
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JP2001377963A JP2003175370A (ja) | 2001-12-12 | 2001-12-12 | 重金属等含有灰の処理方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020138131A (ja) * | 2019-02-28 | 2020-09-03 | 太平洋セメント株式会社 | 固化不溶化方法 |
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2001
- 2001-12-12 JP JP2001377963A patent/JP2003175370A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020138131A (ja) * | 2019-02-28 | 2020-09-03 | 太平洋セメント株式会社 | 固化不溶化方法 |
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JP2021053534A (ja) * | 2019-09-27 | 2021-04-08 | 太平洋セメント株式会社 | 廃棄物の不溶化処理方法 |
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