JP2004025115A - 有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質による無害化処理を施した結果、その固体が水と接触してアルカリ性を発現しても、重金属の溶出を防ぐことができる有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法を提供する。
【解決手段】有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合することを特徴とする有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法。
【選択図】 なし
【解決手段】有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合することを特徴とする有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質による無害化処理を施した固体から、重金属などの溶出を防ぐことができる有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリクロロエチレン、テトラブロモビスフェノールA、PCB類、ダイオキシン類、臭素化ダイオキシン類などの有機ハロゲン化物による環境汚染が、大きい社会問題になっている。廃棄物の焼却によって発生する飛灰には、ダイオキシン類が含まれている。そのために、廃棄物焼却工場の周辺土壌は、煙突から排出される排ガスに含まれる飛灰の降下により汚染されている場合がある。また、電気設備の製造工場や使用工場などでは、漏洩などによって、かつては安定な絶縁油として利用されたPCB類で汚染されている場合がある。
PCB類やダイオキシン類などの芳香族ハロゲン化物には、強い毒性を有する化合物が多く、さまざまな方法による無害化処理が行われている。有機ハロゲン化物の無害化処理のひとつの方法として、各種薬剤の添加混合による脱塩素化処理がある。例えば、特開2000−70401号公報には、有機ハロゲン化合物の非加熱による脱ハロゲン化処理を効率よく行う方法として、有機ハロゲン化合物を含有する物質を酸化カルシウム又は水酸化カルシウムを含有する物質と混合し、常温でメカノケミカル処理したのち、水洗ろ過する方法が提案されている。特表2001−517641号公報には、ハロ有機物質の還元的脱ハロゲン化方法として、元素状アルカリ金属、アルカリ土類金属などと水素源を添加し、機械的に活性化された磨砕に供する方法が提案されている。PCB国際セミナー(1996年)では、ダイオキシン汚染土壌に炭酸水素ナトリウムを加え、反応器に供給して、350〜400℃に加熱するダイオキシン類の脱塩素無害化方法が提案されている。特開2000−218253号公報には、安価かつ簡易にダイオキシン類を分解処理し、処理後の土壌や飛灰を有効に活用することができる処理剤として、表面をオイルコーティングされた酸化カルシウム及び炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムを含有する処理剤が提案されている。特開2001−112883号公報には、ハロゲン化有機化合物含有物質をアミノ酸、ポリアミンなどで処理してハロゲン化有機化合物を分解するにあたり、被処理物の団粒化ないし固着を防止し得る方法として、アミノ酸、ポリアミンなどを添加混合したのち、吸水性物質を添加し、次いで加熱する方法が提案されている。これらの無害化処理を施すと、処理土壌はアルカリ性を示すようになる。
ダイオキシン類を含む飛灰などの固体には、鉛をはじめとする有害な重金属が含まれている場合が多い。また、土壌においても、有機ハロゲン化物の単独汚染だけでなく、有害な重金属によって同時汚染されている場合も少なくない。有害な重金属のうち、鉛はpH12以上のアルカリ性水溶液に溶ける性質を有している。鉛の溶出に関する埋め立て判定基準は0.3mg/L以下、土壌環境基準は0.01mg/L以下と極めて低濃度に設定されている。有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加して脱塩素化処理したとき、処理された固体が水と接触してアルカリ性を発現すると、有機ハロゲン化物の無害化処理前には問題とならなかった鉛などの有害な重金属などの溶出が促進され、環境基準を超える場合がある。
有害な重金属などの溶出が環境基準を超えると、処理土壌をその場に埋め戻すことが不可能となり、汚染現場から搬出して管理型処分場又は遮断型処分場で処分しなければならない。有害な重金属などの溶出によって埋め戻しができなくなった場合、処分費用が新たに発生し、大きな経済的負担を招く。管理型処分場は、全国的に残余容量が不足しており、特に土壌汚染箇所が多い都会では処分場の残余容量は2〜3年分と見込まれており、ダイオキシン処理土壌を搬入することは、我が国の廃棄物処理システムに大きな影響を与えるおそれがある。
このために、有機ハロゲン化物で汚染された固体をアルカリ性物質を添加混合することによって脱ハロゲン化した固体が、水と接触してアルカリ性を発現しても、重金属などの溶出を防止することができる無害化処理方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質による無害化処理を施した結果、その固体が水と接触してアルカリ性を発現しても、重金属の溶出を防ぐことができる有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合することにより、重金属を不溶化してその溶出を防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合することを特徴とする有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法、
(2)有機ハロゲン化物が、芳香族ハロゲン化物である第1項記載有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法、
(3)有機ハロゲン化物で汚染された固体が、土壌、焼却灰、焼却飛灰、湖沼底質又は河川底質である第1項記載の有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法、及び
(4)鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加する前又は後に、セメント、生石灰又は消石灰を添加する第1項記載の有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法においては、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合する。
有機ハロゲン化物で汚染された土壌、焼却灰、焼却飛灰、湖沼底質、河川底質などの固体に、アルカリ性物質を添加し、加熱処理又は非加熱処理することにより、有機ハロゲン化物の脱ハロゲン反応が起こり、有害な有機ハロゲン化物が無害化される。有機ハロゲン化物で汚染された固体に添加するアルカリ性物質としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの無機系薬剤や、アミン、ポリアミン、アミノ酸などの有機系薬剤を挙げることができる。加熱処理方法としては、例えば、間接加熱方式や高温ガスと接触させる直接加熱方式などを挙げることができる。非加熱処理としては、例えば、均一混合、粉砕などを挙げることができる。このような無害化処理は、特に毒性の強いペンタクロロフェノール、ヘキサクロロベンゼン、テトラブロモビスフェノールA、DDT、PCB類、ダイオキシン類、臭素化ダイオキシン類などの芳香族ハロゲン化物に適用されている。
【0006】
このような無害化処理を有機ハロゲン化物で汚染された固体に施すと、有機ハロゲン化物に脱ハロゲン化反応が起こり、有害な有機ハロゲン化物が無害化される。しかし、有機ハロゲン化物で汚染された固体にこのような処理を施すと、処理前には溶出することがなかった重金属などが溶出するようになる場合がある。溶出する重金属などとしては、例えば、鉛、カドミウム、亜鉛、三価クロム、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアンなどがある。鉛、カドミウム、亜鉛、三価クロムなどは、両性金属であり、弱アルカリ性域では陽イオン又は水酸化物として存在するが、強アルカリ性域では陰イオンとして溶出する。水銀は、アルカリ性域において、陽イオン又は水酸化物として存在し、一般に溶出しにくいと考えられているが、土壌に含まれる腐植質と複合体を形成し、この複合体がアルカリ性域で溶出する場合がある。砒素、セレン、六価クロムなどは、アルカリ性域において陰イオンとして存在し、また、一部は鉄イオンなどとの複合体として存在しているが、強アルカリ性域ではより多く溶出する場合がある。シアンは、アルカリ性域において、陰イオン又は鉄イオンなどとの複合体として存在し、強アルカリ性域ではより多く溶出する場合がある。
【0007】
本発明方法においては、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した固体に、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合する。使用する鉄(III)塩としては、例えば、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)などを挙げることができる。鉄(II)塩としては、例えば、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)などを挙げることができる。アルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウムなどを挙げることができる。マグネシウム塩としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、タングステン酸マグネシウム、塩化マグネシウムカリウム、硫酸マグネシウム二カリウム、リン酸二水素マグネシウムなどを挙げることができる。これらの塩は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0008】
有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した固体に鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合すると、無害化処理を施した固体のpHが低下するために、有害な重金属などは水酸化物となり、鉄(III)、鉄(II)、アルミニウム又はマグネシウムの水酸化物とともに共沈し、溶出しなくなる。また、腐植質と複合体を形成していた重金属なども、鉄(III)、鉄(II)、アルミニウム又はマグネシウムの水酸化物とともに共沈する。なお、六価クロムは、鉄(II)塩を添加し、三価クロムに還元したのちに、水酸化物の沈殿として処理することが好ましい。還元剤として、鉄(II)塩以外に、亜硫酸塩、硫化物などを用いることができる。重金属などが、鉛、カドミウム、亜鉛、三価クロム、水銀などの場合は、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合した後のpHが7〜12であることが好ましく、重金属などが、砒素、セレン、シアンなどの場合は、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合した後のpHが6〜11であることが好ましい。
【0009】
本発明方法において、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩の添加量に特に制限はないが、無害化処理を施した固体の乾燥重量100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。これらの塩の添加量が該固体の乾燥重量100重量部に対して0.1重量部未満であると、重金属などの不溶化処理が不完全となって、重金属などが溶出するおそれがある。これらの塩の添加量は、該固体の乾燥重量100重量部に対して15重量部以下で十分な効果が得られ、通常は該固体の乾燥重量100重量部に対して15重量部を超える塩を添加する必要はない。
本発明方法において、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩の添加方法に特に制限はなく、例えば、水溶液として添加することができ、あるいは、処理対象が水分を多く含んでいる場合、固体のままで添加することもできる。本発明方法において、無害化処理を施した固体に鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合する方法に特に制限はなく、該固体の量、状態などに応じて適宜選択することができる。例えば、該固体が少量の場合は、ミキサーなどを用いて混合することができ、該固体が工場跡地の土壌である場合は、油圧ショベル、バックフォー、スタビライザー、スケルトンなどを用いて混合することができる。
【0010】
本発明方法においては、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した固体に、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合する前又は後に、必要に応じて、セメント、生石灰又は消石灰を添加することができる。使用するセメントに特に制限はなく、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどを挙げることができる。セメントには、必要に応じてポゾランなどの混和材を添加することができる。セメント、生石灰又は消石灰を添加することにより、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩が添加混合された固体のpHを好ましい範囲に調整することができ、また、固体が土壌である場合は、処理した土壌の強度を高めることができる。
本発明方法においては、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩に加えて、リン酸系化合物、珪酸系化合物、トリアジン系化合物などを併用することができる。
本発明方法によれば、ダイオキシン類の脱塩素無害化処理土壌からの有害な重金属などの溶出を防止することができ、処理土壌を管理型処分場に埋め立て処分することなく、汚染サイトに埋め戻すことが可能となる。これにより、経済的にダイオキシン汚染土壌を処理することが可能となる。また、埋め戻しが可能となることにより、残余容量が逼迫している最終処分場の延命化に寄与することができる。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
ダイオキシン類濃度8,000pg−TEQ/gのダイオキシン汚染土壌50gに、還元剤として金属マグネシウムのグラニュール5.0g、水素供与体としてモノエタノールアミン5.0gを添加し、遊星回転ポットミルを用いて、室温で3時間粉砕して無害化処理を行った。処理後の土壌のダイオキシン類濃度は、80pg−TEQ/gであった。この無害化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。pH12.2、鉛及びその化合物1.1mg/L、砒素及びその化合物0.62mg/L、カドミウム及びその化合物0.84mg/L、水銀及びその化合物0.05mg/L、シアン化合物0.2mg/Lであった。
溶出試験の分析値と土壌環境基準の値を、第1表に示す。重金属などの溶出量は、環境基準値を大幅に上回っている。
【0012】
【表1】
【0013】
上記のダイオキシン汚染土壌の無害化処理を10回繰り返して、無害化処理土壌500gを調製した。
この無害化処理乾燥土壌100gに、対乾燥土壌1.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液20gを添加し、室温で30分間撹拌混合して、重金属の不溶化処理を行った。得られた重金属不溶化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。pH10.4、鉛及びその化合物0.005mg/L以下、砒素及びその化合物0.007mg/L、カドミウム及びその化合物0.001mg/L以下、水銀及びその化合物0.0005mg/L以下であり、シアン化合物は検出されなかった。
対乾燥土壌1.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液20gの代わりに、対乾燥土壌2.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液20g、対乾燥土壌3.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液20g又は対乾燥土壌2.5重量%のポルトランドセメントと対乾燥土壌3.0重量%の硫酸鉄(III)を含有する水懸濁液20gを用いて、同様にして重金属の不溶化処理を行い、得られた重金属不溶化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。
結果を、第2表に示す。重金属などの溶出量は、すべて環境基準を満たしている。
【0014】
【表2】
【0015】
実施例2
ダイオキシン類濃度10,000pg−TEQ/gのダイオキシン汚染土壌50gを磁製ルツボに採り、リジン2.0gを添加して混合し、次に生石灰10gを添加して混合した。この磁製ルツボを、350℃の電気炉に入れて60分間加熱し無害化処理を行った。処理後の土壌のダイオキシン類濃度は、10pg−TEQ/gであった。この無害化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。pH12.9、六価クロム化合物0.78mg/L、全クロム2.4mg/L、鉛及びその化合物0.054mg/Lであった。
溶出試験の分析値と土壌環境基準の値を、第3表に示す。重金属の溶出量は、環境基準値を大幅に上回っている。
【0016】
【表3】
【0017】
上記のダイオキシン汚染土壌の無害化処理を8回繰り返して、無害化処理土壌400gを調製した。
この無害化処理土壌100gに、対乾燥土壌0.5重量%の硫酸鉄(II)と対乾燥土壌3.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液25gを添加し、室温で20分間撹拌混合して、重金属の不溶化処理を行った。得られた重金属不溶化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。pH10.2、六価クロム化合物0.04mg/L以下、全クロム0.2mg/L以下、鉛及びその化合物0.005mg/L以下であった。
対乾燥土壌0.5重量%の硫酸鉄(II)と対乾燥土壌3.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液25gの代わりに、対乾燥土壌0.5重量%の硫酸鉄(II)と対乾燥土壌5.5重量%の硫酸アルミニウムを含む水溶液25g又は対乾燥土壌0.5重量%の硫酸鉄(II)と対乾燥土壌4.5重量%の硫酸マグネシウムを含む水溶液25gを用いて、同様にして重金属の不溶化処理を行い、得られた重金属不溶化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。
結果を、第4表に示す。重金属の溶出量は、すべて環境基準を満たしている。
【0018】
【表4】
【0019】
【発明の効果】
本発明方法によれば、ダイオキシン類の脱塩素無害化処理土壌からの有害な重金属などの溶出を防止することができ、処理土壌を管理型処分場に埋め立て処分することなく、汚染サイトに埋め戻すことが可能となる。これにより、経済的にダイオキシン汚染土壌を処理することが可能となる。また、埋め戻しが可能となることにより、残余容量が逼迫している最終処分場の延命化に寄与することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質による無害化処理を施した固体から、重金属などの溶出を防ぐことができる有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリクロロエチレン、テトラブロモビスフェノールA、PCB類、ダイオキシン類、臭素化ダイオキシン類などの有機ハロゲン化物による環境汚染が、大きい社会問題になっている。廃棄物の焼却によって発生する飛灰には、ダイオキシン類が含まれている。そのために、廃棄物焼却工場の周辺土壌は、煙突から排出される排ガスに含まれる飛灰の降下により汚染されている場合がある。また、電気設備の製造工場や使用工場などでは、漏洩などによって、かつては安定な絶縁油として利用されたPCB類で汚染されている場合がある。
PCB類やダイオキシン類などの芳香族ハロゲン化物には、強い毒性を有する化合物が多く、さまざまな方法による無害化処理が行われている。有機ハロゲン化物の無害化処理のひとつの方法として、各種薬剤の添加混合による脱塩素化処理がある。例えば、特開2000−70401号公報には、有機ハロゲン化合物の非加熱による脱ハロゲン化処理を効率よく行う方法として、有機ハロゲン化合物を含有する物質を酸化カルシウム又は水酸化カルシウムを含有する物質と混合し、常温でメカノケミカル処理したのち、水洗ろ過する方法が提案されている。特表2001−517641号公報には、ハロ有機物質の還元的脱ハロゲン化方法として、元素状アルカリ金属、アルカリ土類金属などと水素源を添加し、機械的に活性化された磨砕に供する方法が提案されている。PCB国際セミナー(1996年)では、ダイオキシン汚染土壌に炭酸水素ナトリウムを加え、反応器に供給して、350〜400℃に加熱するダイオキシン類の脱塩素無害化方法が提案されている。特開2000−218253号公報には、安価かつ簡易にダイオキシン類を分解処理し、処理後の土壌や飛灰を有効に活用することができる処理剤として、表面をオイルコーティングされた酸化カルシウム及び炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムを含有する処理剤が提案されている。特開2001−112883号公報には、ハロゲン化有機化合物含有物質をアミノ酸、ポリアミンなどで処理してハロゲン化有機化合物を分解するにあたり、被処理物の団粒化ないし固着を防止し得る方法として、アミノ酸、ポリアミンなどを添加混合したのち、吸水性物質を添加し、次いで加熱する方法が提案されている。これらの無害化処理を施すと、処理土壌はアルカリ性を示すようになる。
ダイオキシン類を含む飛灰などの固体には、鉛をはじめとする有害な重金属が含まれている場合が多い。また、土壌においても、有機ハロゲン化物の単独汚染だけでなく、有害な重金属によって同時汚染されている場合も少なくない。有害な重金属のうち、鉛はpH12以上のアルカリ性水溶液に溶ける性質を有している。鉛の溶出に関する埋め立て判定基準は0.3mg/L以下、土壌環境基準は0.01mg/L以下と極めて低濃度に設定されている。有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加して脱塩素化処理したとき、処理された固体が水と接触してアルカリ性を発現すると、有機ハロゲン化物の無害化処理前には問題とならなかった鉛などの有害な重金属などの溶出が促進され、環境基準を超える場合がある。
有害な重金属などの溶出が環境基準を超えると、処理土壌をその場に埋め戻すことが不可能となり、汚染現場から搬出して管理型処分場又は遮断型処分場で処分しなければならない。有害な重金属などの溶出によって埋め戻しができなくなった場合、処分費用が新たに発生し、大きな経済的負担を招く。管理型処分場は、全国的に残余容量が不足しており、特に土壌汚染箇所が多い都会では処分場の残余容量は2〜3年分と見込まれており、ダイオキシン処理土壌を搬入することは、我が国の廃棄物処理システムに大きな影響を与えるおそれがある。
このために、有機ハロゲン化物で汚染された固体をアルカリ性物質を添加混合することによって脱ハロゲン化した固体が、水と接触してアルカリ性を発現しても、重金属などの溶出を防止することができる無害化処理方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質による無害化処理を施した結果、その固体が水と接触してアルカリ性を発現しても、重金属の溶出を防ぐことができる有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合することにより、重金属を不溶化してその溶出を防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合することを特徴とする有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法、
(2)有機ハロゲン化物が、芳香族ハロゲン化物である第1項記載有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法、
(3)有機ハロゲン化物で汚染された固体が、土壌、焼却灰、焼却飛灰、湖沼底質又は河川底質である第1項記載の有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法、及び
(4)鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加する前又は後に、セメント、生石灰又は消石灰を添加する第1項記載の有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法においては、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合する。
有機ハロゲン化物で汚染された土壌、焼却灰、焼却飛灰、湖沼底質、河川底質などの固体に、アルカリ性物質を添加し、加熱処理又は非加熱処理することにより、有機ハロゲン化物の脱ハロゲン反応が起こり、有害な有機ハロゲン化物が無害化される。有機ハロゲン化物で汚染された固体に添加するアルカリ性物質としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの無機系薬剤や、アミン、ポリアミン、アミノ酸などの有機系薬剤を挙げることができる。加熱処理方法としては、例えば、間接加熱方式や高温ガスと接触させる直接加熱方式などを挙げることができる。非加熱処理としては、例えば、均一混合、粉砕などを挙げることができる。このような無害化処理は、特に毒性の強いペンタクロロフェノール、ヘキサクロロベンゼン、テトラブロモビスフェノールA、DDT、PCB類、ダイオキシン類、臭素化ダイオキシン類などの芳香族ハロゲン化物に適用されている。
【0006】
このような無害化処理を有機ハロゲン化物で汚染された固体に施すと、有機ハロゲン化物に脱ハロゲン化反応が起こり、有害な有機ハロゲン化物が無害化される。しかし、有機ハロゲン化物で汚染された固体にこのような処理を施すと、処理前には溶出することがなかった重金属などが溶出するようになる場合がある。溶出する重金属などとしては、例えば、鉛、カドミウム、亜鉛、三価クロム、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアンなどがある。鉛、カドミウム、亜鉛、三価クロムなどは、両性金属であり、弱アルカリ性域では陽イオン又は水酸化物として存在するが、強アルカリ性域では陰イオンとして溶出する。水銀は、アルカリ性域において、陽イオン又は水酸化物として存在し、一般に溶出しにくいと考えられているが、土壌に含まれる腐植質と複合体を形成し、この複合体がアルカリ性域で溶出する場合がある。砒素、セレン、六価クロムなどは、アルカリ性域において陰イオンとして存在し、また、一部は鉄イオンなどとの複合体として存在しているが、強アルカリ性域ではより多く溶出する場合がある。シアンは、アルカリ性域において、陰イオン又は鉄イオンなどとの複合体として存在し、強アルカリ性域ではより多く溶出する場合がある。
【0007】
本発明方法においては、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した固体に、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合する。使用する鉄(III)塩としては、例えば、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)などを挙げることができる。鉄(II)塩としては、例えば、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)などを挙げることができる。アルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウムなどを挙げることができる。マグネシウム塩としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、タングステン酸マグネシウム、塩化マグネシウムカリウム、硫酸マグネシウム二カリウム、リン酸二水素マグネシウムなどを挙げることができる。これらの塩は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0008】
有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した固体に鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合すると、無害化処理を施した固体のpHが低下するために、有害な重金属などは水酸化物となり、鉄(III)、鉄(II)、アルミニウム又はマグネシウムの水酸化物とともに共沈し、溶出しなくなる。また、腐植質と複合体を形成していた重金属なども、鉄(III)、鉄(II)、アルミニウム又はマグネシウムの水酸化物とともに共沈する。なお、六価クロムは、鉄(II)塩を添加し、三価クロムに還元したのちに、水酸化物の沈殿として処理することが好ましい。還元剤として、鉄(II)塩以外に、亜硫酸塩、硫化物などを用いることができる。重金属などが、鉛、カドミウム、亜鉛、三価クロム、水銀などの場合は、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合した後のpHが7〜12であることが好ましく、重金属などが、砒素、セレン、シアンなどの場合は、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合した後のpHが6〜11であることが好ましい。
【0009】
本発明方法において、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩の添加量に特に制限はないが、無害化処理を施した固体の乾燥重量100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。これらの塩の添加量が該固体の乾燥重量100重量部に対して0.1重量部未満であると、重金属などの不溶化処理が不完全となって、重金属などが溶出するおそれがある。これらの塩の添加量は、該固体の乾燥重量100重量部に対して15重量部以下で十分な効果が得られ、通常は該固体の乾燥重量100重量部に対して15重量部を超える塩を添加する必要はない。
本発明方法において、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩の添加方法に特に制限はなく、例えば、水溶液として添加することができ、あるいは、処理対象が水分を多く含んでいる場合、固体のままで添加することもできる。本発明方法において、無害化処理を施した固体に鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合する方法に特に制限はなく、該固体の量、状態などに応じて適宜選択することができる。例えば、該固体が少量の場合は、ミキサーなどを用いて混合することができ、該固体が工場跡地の土壌である場合は、油圧ショベル、バックフォー、スタビライザー、スケルトンなどを用いて混合することができる。
【0010】
本発明方法においては、有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した固体に、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合する前又は後に、必要に応じて、セメント、生石灰又は消石灰を添加することができる。使用するセメントに特に制限はなく、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどを挙げることができる。セメントには、必要に応じてポゾランなどの混和材を添加することができる。セメント、生石灰又は消石灰を添加することにより、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩が添加混合された固体のpHを好ましい範囲に調整することができ、また、固体が土壌である場合は、処理した土壌の強度を高めることができる。
本発明方法においては、鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩に加えて、リン酸系化合物、珪酸系化合物、トリアジン系化合物などを併用することができる。
本発明方法によれば、ダイオキシン類の脱塩素無害化処理土壌からの有害な重金属などの溶出を防止することができ、処理土壌を管理型処分場に埋め立て処分することなく、汚染サイトに埋め戻すことが可能となる。これにより、経済的にダイオキシン汚染土壌を処理することが可能となる。また、埋め戻しが可能となることにより、残余容量が逼迫している最終処分場の延命化に寄与することができる。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
ダイオキシン類濃度8,000pg−TEQ/gのダイオキシン汚染土壌50gに、還元剤として金属マグネシウムのグラニュール5.0g、水素供与体としてモノエタノールアミン5.0gを添加し、遊星回転ポットミルを用いて、室温で3時間粉砕して無害化処理を行った。処理後の土壌のダイオキシン類濃度は、80pg−TEQ/gであった。この無害化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。pH12.2、鉛及びその化合物1.1mg/L、砒素及びその化合物0.62mg/L、カドミウム及びその化合物0.84mg/L、水銀及びその化合物0.05mg/L、シアン化合物0.2mg/Lであった。
溶出試験の分析値と土壌環境基準の値を、第1表に示す。重金属などの溶出量は、環境基準値を大幅に上回っている。
【0012】
【表1】
【0013】
上記のダイオキシン汚染土壌の無害化処理を10回繰り返して、無害化処理土壌500gを調製した。
この無害化処理乾燥土壌100gに、対乾燥土壌1.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液20gを添加し、室温で30分間撹拌混合して、重金属の不溶化処理を行った。得られた重金属不溶化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。pH10.4、鉛及びその化合物0.005mg/L以下、砒素及びその化合物0.007mg/L、カドミウム及びその化合物0.001mg/L以下、水銀及びその化合物0.0005mg/L以下であり、シアン化合物は検出されなかった。
対乾燥土壌1.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液20gの代わりに、対乾燥土壌2.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液20g、対乾燥土壌3.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液20g又は対乾燥土壌2.5重量%のポルトランドセメントと対乾燥土壌3.0重量%の硫酸鉄(III)を含有する水懸濁液20gを用いて、同様にして重金属の不溶化処理を行い、得られた重金属不溶化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。
結果を、第2表に示す。重金属などの溶出量は、すべて環境基準を満たしている。
【0014】
【表2】
【0015】
実施例2
ダイオキシン類濃度10,000pg−TEQ/gのダイオキシン汚染土壌50gを磁製ルツボに採り、リジン2.0gを添加して混合し、次に生石灰10gを添加して混合した。この磁製ルツボを、350℃の電気炉に入れて60分間加熱し無害化処理を行った。処理後の土壌のダイオキシン類濃度は、10pg−TEQ/gであった。この無害化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。pH12.9、六価クロム化合物0.78mg/L、全クロム2.4mg/L、鉛及びその化合物0.054mg/Lであった。
溶出試験の分析値と土壌環境基準の値を、第3表に示す。重金属の溶出量は、環境基準値を大幅に上回っている。
【0016】
【表3】
【0017】
上記のダイオキシン汚染土壌の無害化処理を8回繰り返して、無害化処理土壌400gを調製した。
この無害化処理土壌100gに、対乾燥土壌0.5重量%の硫酸鉄(II)と対乾燥土壌3.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液25gを添加し、室温で20分間撹拌混合して、重金属の不溶化処理を行った。得られた重金属不溶化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。pH10.2、六価クロム化合物0.04mg/L以下、全クロム0.2mg/L以下、鉛及びその化合物0.005mg/L以下であった。
対乾燥土壌0.5重量%の硫酸鉄(II)と対乾燥土壌3.5重量%の硫酸鉄(III)を含む水溶液25gの代わりに、対乾燥土壌0.5重量%の硫酸鉄(II)と対乾燥土壌5.5重量%の硫酸アルミニウムを含む水溶液25g又は対乾燥土壌0.5重量%の硫酸鉄(II)と対乾燥土壌4.5重量%の硫酸マグネシウムを含む水溶液25gを用いて、同様にして重金属の不溶化処理を行い、得られた重金属不溶化処理土壌について、環境庁告示第46号に定める溶出試験を行った。
結果を、第4表に示す。重金属の溶出量は、すべて環境基準を満たしている。
【0018】
【表4】
【0019】
【発明の効果】
本発明方法によれば、ダイオキシン類の脱塩素無害化処理土壌からの有害な重金属などの溶出を防止することができ、処理土壌を管理型処分場に埋め立て処分することなく、汚染サイトに埋め戻すことが可能となる。これにより、経済的にダイオキシン汚染土壌を処理することが可能となる。また、埋め戻しが可能となることにより、残余容量が逼迫している最終処分場の延命化に寄与することができる。
Claims (4)
- 有機ハロゲン化物で汚染された固体にアルカリ性物質を添加混合して無害化処理を施した後、さらに鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加混合することを特徴とする有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法。
- 有機ハロゲン化物が、芳香族ハロゲン化物である請求項1記載有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法。
- 有機ハロゲン化物で汚染された固体が、土壌、焼却灰、焼却飛灰、湖沼底質又は河川底質である請求項1記載の有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法。
- 鉄(III)塩、鉄(II)塩、アルミニウム塩又はマグネシウム塩を添加する前又は後に、セメント、生石灰又は消石灰を添加する請求項1記載の有機ハロゲン化物汚染処理物の重金属不溶化処理方法。
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