JP5841502B2 - 製鋼スラグ水和処理物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製鋼スラグ水和処理物およびその製造方法に関するものであり、製鉄所で多量に生成する製鋼スラグを用い、長期間経過した後も膨張が十分に抑制されると共に、フッ素および六価クロムの溶出を低減することのできる製鋼スラグ水和処理物、およびこうした製鋼スラグ水和処理物を製造するための有用な方法に関するものである。
製鉄所において、製鉄プロセスで副産物として発生する予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ、鋳造スラグ等の製鋼スラグは大量に排出されることから、その有効利用が要望されている。これらの有効利用として、埋め立て用資材、道路用資材(路盤材を含む)、セメント用資材としての活用が知られている。
しかしながら、製鋼スラグには、フッ素や六価クロム等の有害物質が含まれており、これらの物質は人体に悪影響を及ぼすことが知られている。こうしたことから、製鋼スラグを上記各種用途で有効利用する際には、製鋼スラグから有害物質が溶出しないような安定化処理をしておく必要がある。
このような安定化処理方法としては、例えば特許文献1には、カルシウムシリケートを含む粉末および硫酸根を含む粉末の混合物をフッ素固定材として用い、フッ素を含む産業廃棄物(例えば、製鋼スラグ)の安定化処理を行うことが提案されている。また、この技術では、その適正な配合量として、フッ素を含む製鋼スラグ100質量部に対して、カルシウムシリケートを含む粉末を20〜80質量部添加すると共に、硫酸根を含む粉末を10〜80質量部添加することが開示されている。
この技術で安定化処理を行った製鋼スラグは、有害物質を溶出に関しては、効果的に抑制されたものとなる。しかしながら、製鋼スラグの膨張を抑制するという点では十分と言えるものではなかった。
製鋼スラグは、未滓化の酸化カルシウム(f−CaO)や未滓化の酸化マグネシウム(f−MgO)等を含有しており、これらが水分と反応すると、それぞれ水酸化カルシウム[Ca(OH)]や水酸化マグネシウム[Mg(OH)]を生成して体積が増大するといった膨潤現象が生じる。よって製鋼スラグを、例えば路盤材として用いると、上記膨潤現象により亀裂や地盤隆起等が経時的に生じるといった問題がある。
この様な使用中の膨潤現象を抑えるべく、予め、製鋼スラグ中の上記f−CaO等をCa(OH)等へ水和処理すること(エージング処理)が行われている。
上記水和処理は、屋外暴露により自然に行うと長期間を要することから、より短期間で人工的に行う方法が従来から検討されている。その方法の一つとして、例えば圧力容器(オートクレーブ)を利用した加圧蒸気エージング処理がある。この方法では、スラグを表面湿潤状態または乾燥状態で圧力容器に装入し、圧力容器を密閉した後に、該容器内に加圧蒸気を供給して、エージングを促進させる。
この様な方法を用いた技術として、例えば特許文献2が挙げられる。この特許文献2には、転炉、電気炉等により排出される未滓化石灰(フリーライム)を含有する製鋼スラグを、道路用の路盤材として適用可能な製品にエージングするため、水蒸気を利用して短時間で人工的に膨張させることが示されている。詳細には、粒径25mm以下のものが80%以上となるように破砕した常温の製鋼スラグを、圧力容器に装入し、圧力容器を密閉して該容器内に加圧水蒸気を供給し、同時に、圧力容器およびスラグを加圧することによって凝縮した熱水を圧力容器内から排出し、これを継続することによって圧力容器を昇温・昇圧して、容器内を2〜10kg/cm2−Gの飽和水蒸気雰囲気に1〜5時間保持することが示されている。尚、この処理方法では、f−CaOの水和反応に必要な水分は蒸気(気体)の状態で供給されている。
特許第4661732号公報 特許第2667800号公報
上記のようなエージング処理(水和処理)は、長期間経過後の膨張がより抑えられた製鋼スラグ水和組成物を得る上で有効である。また、こうしたエージング処理(水和処理)は、有害物質の安定化(不溶出化)に関しても有効なものと言える。しかしながら、成分系によっては、有害物質の安定化(不溶出化)を向上させるための成分添加が、エージング処理(水和処理)後の膨張の抑制については、却って低下させるという事態を招くことがあることが判明した。
こうした観点からして、上記の特許文献1のような技術では、有害物質の溶出を抑制するという点については、有効であるといえるものの、製鋼スラグ水和処理物の膨張を抑制するという点では十分と言えるものではなかった。
本発明は、このような事情に着目してなされたものであって、その目的は、フッ素や六価クロム等の有害物質の溶出を十分に抑制できると共に、水和処理後に長期間経過した後も膨張が十分に抑えられた製鋼スラグ水和処理物、およびこのような製鋼スラグ水和処理物を製造するための有用な方法を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明方法は、製鋼スラグから製鋼スラグ水和処理物を製造するための方法であって、フッ素および六価クロムを含む製鋼スラグに、高炉水砕スラグ微粉末と石膏を添加混合して混合物とすると共に、前記石膏の添加量を製鋼スラグ100質量部に対して0.4〜1.0質量部とし、且つ前記混合物を100℃以上の水に接触させてエージング処理するところに特徴を有する。
上記方法によって得られた製鋼スラグ水和処理物では、フッ素や六価クロム等の有害物質の溶出を十分に抑制できると共に、水和処理後に長期間経過した後も膨張が十分に抑えられたものとなる。
本発明に係る製鋼スラグ水和処理物は、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験での溶出量が、フッ素濃度0.8mg/L以下であると共に、六価クロム濃度0.05mg/L以下であり、且つJIS A 5015で規定する水浸膨張試験での体積膨張率が1%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、フッ素および六価クロムを含む製鋼スラグを用い、エージング処理して製鋼スラグ水和処理物を製造するに際して、高炉水砕スラグ微粉末と石膏を添加混合して混合物とすると共に、石膏の添加量を製鋼スラグに対して厳密に規定することによって、フッ素や六価クロム等の有害物質の溶出を十分に抑制できると共に、水和処理後に長期間経過した後も膨張が十分に抑えられた製鋼スラグ水和処理物が実現できる。この様な製鋼スラグ水和処理物は、埋め立て用資材やセメント用資材のみならず、膨張に関して規定の厳しい路盤材にも十分適用できるものである。
製鋼スラグへの石膏添加量と製鋼スラグ水和処理物の理論膨張率との関係を示すグラフである。
製鋼スラグを路盤材として使用するためには、JIS A 5015で規定する水浸膨張試験での膨張率(体積膨張率)を、10日間で0.6%以下、長期膨張試験による最終到達膨張率を1%以下とする必要がある。また、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験での溶出量が、フッ素濃度0.8mg/L以下であると共に、六価クロム濃度0.05mg/L以下である必要がある。本発明者らは、こうした両特性を兼備する製鋼スラグ水和処理物を実現すべく、様々な角度から検討した。
製鋼スラグ中の有害物質の安定化処理方法としては、上記特許文献1に示されるように、カルシウムシリケートを含む粉末および硫酸根を含む粉末の混合物をフッ素固定材として用いることが提案されている。この技術では、フッ素を含む製鋼スラグに対して、カルシウムシリケートを含む粉末と硫酸根を含む粉末を添加することによって、エトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]、モノサルファイト[3CaO・Al23・CaSO4・yH2O(y=12または14)]、Ca5[(Si、S)O43(OH、F)、Ca10(SiO43(SO43(OH、F)等の化合物を生成させることによって、製鋼スラグに含まれるフッ素を固定化するものである。
しかしながら、上記化合物の生成(特にエトリンガイトの生成)は、体積膨張を伴うものであり、安定化処理後のスラグにエトリンガイトの生成に必要な硫酸根が未反応のまま残留した場合、最終的に製鋼スラグ水和処理物の膨張が大きくなることに繋がるものである。上記化合物の生成のために添加する硫酸根は、製鋼スラグ水和処理物の膨張を抑制するという観点からすれば、好ましいものではない。即ち、エトリンガイト生成に必要な硫酸根の残留により、水和処理後に膨張が十分に抑えられないという事態が生じる。
本発明者らは、こうした着想に基づいて、更に検討した結果、製鋼スラグから製鋼スラグ水和処理物を製造するに際し、フッ素および六価クロムを含む製鋼スラグに、高炉水砕スラグ微粉末と石膏を添加混合して混合物とすると共に、石膏の添加量を製鋼スラグ100質量部に対して0.4〜1.0質量部に制御すれば、フッ素や六価クロム等の有害物質の溶出を十分に抑制できると共に、水和処理後に長期間経過した後も膨張が十分に抑えられた製鋼スラグ水和処理物が実現できることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明の製鋼スラグ水和処理物を製造する方法について、各要件(原料、処理条件)について説明する。
[製鋼スラグ]
本発明では、製鉄所で発生する予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ、鋳造スラグ等の製鋼スラグを原料に用いることを前提とする。また、こうした製鋼スラグは、フッ素や六価クロム等の有害物質を含むものである。
製鋼スラグの形態については粉末状や塊状のものが使用でき、その大きさ(粒径)は特に限定されないが、最大で40mm程度のもの(目開きが40mmであるふるいを通過したもの:「粒径」の基準については以下同じ)を使用することができる。
[高炉水砕スラグ微粉末]
この高炉水砕スラグ微粉末は、基本的にフッ素や六価クロム等の有害物質を含ないものである。フッ素や六価クロム等の有害物質の固定化には、高炉水砕スラグ微粉末と石膏の混合物を製鋼スラグに対して適切な割合で混合すること重要となる(後述する)。尚、高炉水砕スラグ微粉末は、粒径が5〜500μm程度のものが使用できるが、その配合量はその用途に応じて、製鋼スラグ100質量部に対する割合で10〜30質量部程度となる。
[石膏]
石膏(CaSO4またはCaSO4・2H2O)は、石膏中のSが製鋼スラグ中の成分や高炉水砕スラグ微粉末中の成分と結合してエトリンガイト等の化合物を生成し、有害元素(フッ素および六価クロム)の固定化に作用する。石膏の添加量は多すぎると、水和処理においても未反応のままとして残るSが存在し、体積膨張の原因となる可能性がある。また石膏の添加量が少なすぎると、エトリンガイト生成量が少なく、有害元素の固定化が不十分となる。こうした観点から、石膏の添加量(CaSO4に換算した値)は製鋼スラグ100質量部に対して0.4〜1.0質量部とする必要がある。好ましくは0.5質量部以上、0.8質量部以下である。
上記石膏の添加量につき、本発明者らが実験によって確認したところによれば、基本的には石膏の添加量を製鋼スラグ100質量部に対して0.8質量部としたときに、有害成分の溶出量を基準値以下とすることができた。石膏の添加量の上限については、石膏が未反応のまま残ったと仮定して、石膏の残存量と製鋼スラグの理論膨張率の関係から(後記実施例4参照)、1.0質量部以下である考えられる。仮に石膏がすべて未反応で残存した場合であっても、添加量を1.0質量部以下とすれば理論膨張率は1%以下に留まることになる。
本発明では、原料として、高炉水砕スラグ微粉末と石膏を製鋼スラグに対して添加混合した混合物を用いるものであるが、このとき用いる添加材は高炉水砕スラグ微粉末と石膏を混合したものであればよい。
本発明では、製鋼スラグに対して高炉水砕スラグ微粉末と石膏を混合添加した混合物を、100℃以上の水に接触させてエージング処理する。このエージング処理では、常圧蒸気や加圧蒸気を用いてエージング処理すれば良い。このときの水の温度(処理温度)は、少なくとも100℃以上となる。この温度はより高温であることが好ましく、こうした観点から120℃以上であることが好ましく、より好ましくは150℃以上である。尚、加圧蒸気を用いてエージング処理する場合の圧力は、上記好ましい温度範囲と、飽和蒸気と圧力の関係から、好ましくは0.19atm以上、より好ましくは0.47atm以上である。
上記処理温度での保持時間(処理時間)は、水和処理後の体積膨張を長期間経過した後でも1%以下に抑えるという観点からして、少なくとも10時間以上(より好ましくは15時間以上)とするのが好ましい。この処理時間があまり長くなると、水和処理に長時間を要することになるので、48時間程度以下(より好ましくは40時間以下)とすることが好ましい。
上記のようなエージング処理を行う前に、処理容器(例えば、オートクレーブ)内を真空引きすることも有効である。こうした真空引きにより製鋼スラグの細孔内のガスが抜けて水に置換されることで、製鋼スラグと水の接触面積が増大し、水和反応量が増大して水和反応がさらに促進されことになる。
尚、原料混合物を得るための混合方法は、特に限定されず、均一な混合が得られる公知の方法を採用すればよい。例えばミキサー、ニーダー、単軸の混合機、二軸の混合機などを用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
製鋼スラグからのフッ素(F)および六価クロム(Cr6+)の溶出抑制に対する各種添加材の効果を確認するために、1kg/バッチの小規模試験を行った。使用した製鋼スラグは2種類(電気炉スラグ1、2)で、いずれの製鋼スラグについても、粒径:2mm以下(「0−2mm」と表示)のものを使用した。
添加材は、製鋼スラグに水を加えながら添加し、製鋼スラグ全体に添加材が付着するようによく混合した。加圧蒸気エージング処理は、昇温昇圧前にオートクレーブ内を真空引きしてから行い、処理温度・圧力は180℃・10atmとした。処理時間は24時間とした。処理後の製鋼スラグは、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行い、F溶出量およびCr6+溶出量を測定した。その結果を、添加材の種類、添加量(製鋼スラグ100質量部に対する割合)、エージング条件(温度、時間)と共に、下記表1、2に示す。
Figure 0005841502
Figure 0005841502
これらの結果から、次のように考察できる。使用した2種類の製鋼スラグの未処理材では、F溶出量およびCr6+溶出量が異なるが、いずれの製鋼スラグにおいても、添加材を加えずに加圧蒸気エージング処理するだけでFの溶出量が低減する。またいずれの製鋼スラグにおいても、高炉水砕スラグ微粉末+石膏を添加することにより、処理後のF溶出量が検出限界未満となっており(表中「0」と表示)、F溶出抑制効果が認められる。
Cr6+については、電気炉スラグ2の未処理の段階で、溶出量が検出限界未満であり、加圧蒸気エージング処理することにより、Cr6+溶出量が増大する条件も見られる。いずれのスラグでも、高炉水砕スラグ微粉末+石膏を添加することにより、加圧蒸気エージング処理後のCr6+溶出量が検出限界未満であり、Cr6+溶出抑制効果が認められる。
[実施例2]
製鋼スラグの粒径を30mm以下(「0−30mm」と表示)、処理量を30kg/バッチとした以外は、実施例1と同様にして、電気炉スラグからのフッ素(F)および六価クロム(Cr6+)の溶出抑制に対する各種添加材の効果を確認する実験を行った。
その結果を、添加材の種類、添加量(製鋼スラグ100質量部に対する割合)、エージング条件(温度、時間)と共に、下記表3に示す。
Figure 0005841502
F溶出量については、高炉水砕スラグ微粉末+石膏を添加することにより、加圧蒸気エージング処理後は未処理材の溶出量0.5mg/L(前記表2)よりも低い値となっている。Cr6+溶出量については、未処理材でも溶出量が検出限界未満である。
2種類の製鋼スラグを用いた1kg/バッチ試験(実施例1)、30kg/バッチ試験の全ての試験において、高炉水砕スラグ微粉末+石膏を添加することにより、F溶出量およびCr6+溶出量を抑制することができた。高炉水砕スラグ微粉末+石膏は、FおよびCr6+の溶出抑制に有効であることが分かる。
[実施例3]
電気炉スラグ2に、高炉水砕スラグ微粉末19.24質量部、石膏0.76質量部(いずれも電気炉スラグ100質量部に対する割合)を添加して加圧蒸気エージング処理した製鋼スラグ水和処理物、および未処理スラグ(添加材を添加せず、且つエージング処理もしていないもの)の膨張率の経時変化を調査した。このときスラグ粒径は10mm以下、加圧蒸気エージング処理時間は36時間とした。エージング条件は、180℃、10atmである。
未処理スラグおよび高炉水砕スラグ微粉末+石膏を添加して加圧蒸気エージング処理した製鋼スラグ水和処理物の試験日数12日後の膨張率を下記表4に示す。尚、膨張率は、試験開始2日目以降から1日ごとに測定したものである。
Figure 0005841502
この結果から明らかなように、高炉水砕スラグ微粉末+石膏を添加することにより、製鋼スラグの膨張抑制に悪影響を及ぼすことはないと言える。これまでの膨張抑制および溶出抑制に関する検討の結果から、製鋼スラグ100質量部に対し高炉水砕スラグ微粉末+石膏を20質量部程度まで添加して加圧蒸気エージング処理することにより、膨張および溶出のいずれも抑制することができる。こうして得られた製鋼スラグ水和処理物は、路盤材素材として有効に用いることができる。
以上の添加材添加+加圧蒸気エージング処理による、製鋼スラグからのFおよびCr6+の溶出抑制の検討結果から、高炉水砕スラグ微粉末+石膏を20質量部添加し、加圧蒸気エージング処理を24時間程度以上行うことによって、FおよびCr6+の溶出および膨張を安定して抑制することができることが明らかになった。
高炉水砕スラグ微粉末+石膏の添加量が多いほど溶出抑制効果は高いと考えられる。しかしながら、膨張抑制の観点からは、高炉水砕スラグ微粉末+石膏の添加量は少ないほど良いと考えられる。これは、(高炉水砕スラグ微粉末+石膏)混合物中の石膏が、未反応のまま残存した場合に、製鋼スラグの成分と反応しエトリンガイトを生成し体積膨張するためである。
[実施例4]
製鋼スラグに添加する石膏量と、理論膨張率(体積膨張率)の関係について調査した。この理論膨張率は、石膏(CaSO4)の分子量、エトリンガイトの分子量、製鋼スラグおよび石膏の嵩密度(製鋼スラグおよび石膏の嵩密度を2.6g/cm3、CaSO4の嵩密度を2.96g/cm3とした)、等のデータに基づき、石膏がエトリンガイトに変化した際に体積が2倍に膨張するものとして計算したものである。その結果を、下記表5に示す。また、この結果に基づき、CaSO4添加量(製鋼スラグ100質量部に対する割合)と理論膨張率との関係を図1に示す。
Figure 0005841502
製鋼スラグへの石膏添加量が増えるほど、理論膨張率は高くなることが分かる。仮に添加した石膏がすべて未反応のまま残存したとしても、理論膨張率が1%未満となるようにするためには、石膏の添加量を1.0質量部程度までとすることが、膨張抑制の観点からは好ましいと考えられる。

Claims (1)

  1. 製鋼スラグから製鋼スラグ水和処理物を製造するための方法であって、
    フッ素および六価クロムを含む製鋼スラグに、高炉水砕スラグ微粉末と石膏を添加混合して混合物とすると共に、前記石膏の添加量を製鋼スラグ100質量部に対して0.4〜1.0質量部とし、
    且つ前記混合物を100℃以上の水に接触させてエージング処理することを特徴とする製鋼スラグ水和処理物の製造方法。
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