JP6333101B2 - 高炉セメントコンクリート用のコンクリート結合材 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉セメントコンクリート用のコンクリート結合材に関するものである。
コンクリート硬化体は建築物や土木構造物等の社会資本を造る基幹の構造体である。近年、温暖化防止等の環境対策として、これらのコンクリート硬化体に由来するCOの発生量を抑制することが強く求められている。
コンクリート硬化体に由来するCOの発生量を抑制するために、コンクリート結合材を構成するセメント材料として、従来、広く用いられてきたポルトランドセメントに代えて、鉄鋼産業の副産物である高炉スラグを適量ポルトランドセメントと混合した結合材を用いることにより、CO発生量を大幅に抑制することができることが知られている(特許文献1参照)。
高炉スラグを用いたコンクリート(以下、「高炉セメントコンクリート」と言う)は、上記の通り、環境負荷低減に大きく寄与することから、RC造建築構造物への適用が期待されている。しかしながら、高炉セメントコンクリートは、コンクリート結合材を構成するセメント材料として普通ポルトランドセメントを用いたコンクリート(以下、「普通コンクリート」と言う)に比べて、中性化抵抗性や収縮ひび割れ抵抗性が劣るとされており、長期にわたり湿潤環境下となる地下躯体等への適用にほぼ限定されているというのが現状であった。
このような環境配慮型のコンクリートである高炉セメントコンクリートを上部躯体に適用するためには、収縮ひび割れ抵抗性の向上が重要となるが、最近の知見では、高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れ抵抗性は、普通コンクリートに比べ、特に高温時に低下する傾向が指摘されている。その大きな要因の一つとして、高炉セメントコンクリートは高温時に自己収縮ひずみが大きくなること等が挙げられており、高炉セメントコンクリートは普通コンクリート比べて、ゲル水の生成量が多い、即ち、水和に必要な水分が多いことも指摘されている。これらを勘案すると、水和に多くの水分を消費するため、コンクリート内部が乾燥状態となり自己収縮ひずみが増大し、その結果、収縮ひび割れ抵抗性が低下していることが推察される。一方で、高炉セメントコンクリートは硬化初期の養生の影響を鋭敏に受けることが一般的に知られており、近年得られた上記の知見とも合致する。
これらの課題を解決するため、高炉セメントコンクリートを対象として、硬化初期に積極的な水分供給を施す養生方法が開示されている(特許文献2参照)。しかし、壁や柱部材等の鉛直部材では硬化初期の湿潤養生を行うことは難しくこのような手段の適用はほぼ非現実的と言える。
尚、高炉セメントコンクリートの物性を改良して、高炉セメントコンクリートの強度や耐久性を向上させることを企図する試みとして、石膏と炭酸カルシウムとを添加した高炉セメントコンクリート用のセメント組成物(特許文献3参照)や、又、そのような組成からなるセメント組成物において、更に、炭酸カルシウムと石膏との配合比を、炭酸カルシウムの配合比の方が相対的に大きくなるようにした高炉セメントコンクリート用のセメント組成物(特許文献4参照)等も開示されている。
特開2013−203635号公報 特開2013−034945号公報 特開平5−116996号公報 国際公開第2007/046297号
特許文献3及び4に記載のセメント組成物からなる高炉セメントコンクリートは、耐硫酸塩性の向上や蒸気養生を前提としたコンクリートの高強度化を目的としているものであり、収縮ひび割れ抵抗性の向上には何ら着目されていないものである。高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れ抵抗性を向上させる手段については、上記の知見による改良では不十分であり、更に、収縮ひび割れ抵抗性に優れた高炉セメントコンクリートの開発が望まれていた。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、普通コンクリートと同等又はそれ以上の優れた収縮ひび割れ抵抗性を有する高炉セメントコンクリートを提供することにある。
本発明者らは、高炉セメントコンクリートの硬化反応の進行中における石膏の作用に着目することによって新たな知見を得た。そして、この知見に基づき、コンクリート結合材中の炭酸カルシウムと石膏との配合比を、独自の特定範囲に最適化することにより、高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れ抵抗性を著しく向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 高炉セメントコンクリート用のコンクリート結合材であって、ポルトランドセメントと、高炉スラグと、炭酸カルシウムと、石膏と、を含有し、前記高炉スラグの含有量が、5質量%を超えて70質量%以下であり、前記炭酸カルシウムの含有量が、2質量%以上11質量%以下であり、前記石膏の無水物換算での含有量が、5質量%以上10質量%以下であって、且つ、前記炭酸カルシウムの含有量の0.9倍以上であるコンクリート結合材。
(1)の発明によれば、高炉セメントコンクリート用のコンクリート結合材における添加材の配合比、具体的には、炭酸カルシウムと石膏との配合比を、本願独自の特定範囲に最適化した。これによれば、CO発生量を大幅に抑制可能な環境配慮型のコンクリートでありながら、CO発生量の多い普通コンクリートと同等又はそれ以上の優れた収縮ひび割れ抵抗性を有する高炉セメントコンクリートを得ることができる。
(2) 前記石膏の無水物換算での含有量が、前記炭酸カルシウムの含有量の1.0倍以上である(1)に記載のコンクリート結合材。
(2)の発明によれば、(1)の発明の実施時における収縮ひび割れ抵抗性向上の効果発現の安定性を更に高めることができる。
(3) 前記石膏の無水物換算での含有量が、前記炭酸カルシウムの含有量の1.6倍以上である(1)に記載のコンクリート結合材。
(3)の発明によれば、(1)の発明の実施時における収縮ひび割れ抵抗性向上の効果をより顕著なものとし、且つ、その効果発現の安定性を更に高めることができる。
(4) 前記高炉スラグの含有量が、5質量%を超えて30質量%以下であって、前記炭酸カルシウムの含有量が、2質量%以上8質量%以下である(1)から(3)のいずれかに記載のコンクリート結合材。
(4)の発明によれば、従来、高炉セメントコンクリートのメリットを十分に引き出すことが難しく、一般にはほとんど使用されていなかった高炉セメントA種相当のコンクリートにおいて、(1)から(3)の発明の効果を十分に発現させて、環境配慮性能に優れた高炉セメントコンクリートを得ることができる。
(5) 前記高炉スラグの含有量が、30質量%を超えて60質量%以下であって、前記炭酸カルシウムの含有量が、4質量%以上11質量%以下である(1)から(3)のいずれかに記載のコンクリート結合材。
(5)の発明によれば、従来、高炉セメントコンクリート用として、一般的に用いられてきた高炉セメントB種相当のコンクリートにおいて、(1)から(3)の発明の効果を十分に発現させて、環境配慮性能に優れた高炉セメントコンクリートを得ることができる。
(6) (1)から(5)のいずれかに記載のコンクリート結合材と、骨材と、水と、を含有してなる高炉セメントコンクリート用のセメント組成物。
(6)の発明によれば、CO発生量を大幅に抑制可能な環境配慮型のコンクリートでありながら、CO発生量の多い普通コンクリートと同等又はそれ以上の優れた収縮ひび割れ抵抗性を有する高炉セメントコンクリートを得ることができる。
(7) (6)に記載のセメント組成物を硬化させて得ることができる高炉セメントコンクリート硬化体。
(7)の発明によれば、従来、環境配慮型の高炉セメントコンクリートとしては望ましいものでありながら、その硬化体としての物性や養生条件の制約により、適用範囲に制限のあった高炉セメントコンクリートを、より広い範囲の建造物に適用することができる。
(8) 建築物の鉛直方向に沿って配置される建材であって、(7)に記載の高炉セメントコンクリート硬化体によって形成されていることを特徴とするコンクリート建材。
(8)の発明によれば、特に湿潤養生を必須とする施工条件からの解放により、壁や柱部材等の鉛直部材にも、環境配慮型の高炉セメントコンクリートを広く用いることができる。
(9) 鉛直方向に沿って配置される建材として(8)に記載のコンクリート建材を用いることを特徴とする建築物の製造方法。
(9)の発明によれば、環境配慮の観点において、従来よりも優れた建築物の製造に寄与することができる。
本発明によれば、普通セメントコンクリートに比べて収縮ひび割れ抵抗性の劣る高炉セメントコンクリートを対象に、普通コンクリートと同等以上の優れた収縮ひび割れ抵抗性を有する高炉セメントコンクリートを提供することができる。
収縮ひび割れ抵抗性の試験装置の説明に供する図面である。
以下、本発明の高炉セメントコンクリート用のコンクリート結合材、それを用いた高炉セメントコンクリート用のセメント組成物、及び同セメント組成物を硬化させて得ることができる高炉セメントコンクリート硬化体の各実施形態について説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<高炉セメントコンクリート用のコンクリート結合材>
本発明の高炉セメントコンクリート用のコンクリート結合材(以下単に「結合材」とも言う)は、ポルトランドセメントの一部を高炉スラグで代替し、更に、添加材として、炭酸カルシウムと石膏とを、それぞれ、所定の比率で含有してなるものである。ここで、「コンクリート結合材」とは、「日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解説JASS5,2009.2」に記載のある通り、セメント、及びセメントと高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム等の水硬性無機質粉末の混合物の総称で、骨材を結合し、コンクリートの強度発現に寄与する粉状の物質のことを言う。
本発明の結合材は、ポルトランドセメント、高炉スラグ、及び少なくとも炭酸カルシウムと石膏とを含むその他の添加剤とからなる。一般に高炉セメントは、JIS規定により、結合材中の高炉スラグの含有量に応じて、A種(5%を超え30%以下)、B種(30%を超え60%以下)及びC種(60%を超え70%以下)の3種に分類されているが、本発明の結合材には、上記A種〜C種相当のいずれにも用いることができる。つまり、結合材中の高炉スラグの含有量は、5%を超えて70%以下の範囲であればよい。又、本発明の結合材は、添加剤として、石膏と炭酸カルシウムとを必須の成分とするが、これらののうち、特に石膏の含有量について、併用する炭酸カルシウムとの含有量比を、特定の範囲に最適化したものであることを特徴とする。
[添加剤]
(石膏)
結合材に含有される石膏は、例えば、二水石膏、半水石膏、無水石膏等が挙げられ、これらが単独で含有されていてもよく、或いは、上記のうちの2種以上の混合物が含有されていてもよい。結合材中におけるこれらの石膏の含有量は、無水物換算で、5質量%以上10質量%以下、好ましくは6質量%以上9質量%以下である。
(炭酸カルシウム)
結合材に含有される炭酸カルシウムとしては、例えば、工業用炭酸カルシウム粉末、石灰石粉末等を使用することができるが、石灰石粉末を使用するのが安価であり好ましい。石灰石粉末は、天然原料である石灰石を粉砕して製造されるものである。又、その他の炭酸カルシウムとして、炭酸カルシウムを主成分とする貝殻、サンゴ等の粉砕物又はその加工物を使用することもできる。結合材中におけるこれらの炭酸カルシウムの含有量は、2質量%以上11質量%以下、好ましくは3質量%以上7質量%以下である。
特に、尚、結合材中の高炉スラグの含有量が、特に、5質量%を超えて30質量%以下である場合、即ち、実質的に上記の一般的基準における高炉セメントA種相当の使用が選択される場合には、結合材中の炭酸カルシウムの含有量は、2質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
特に、結合材中の高炉スラグの含有量が、特に、30質量%を超えて60質量%以下である場合、即ち、実質的に上記の一般的基準における高炉セメントB種相当の使用が選択される場合には、炭酸カルシウムの含有量は、4質量%以上11質量%以下であることが好ましい。
(添加剤組成)
上記の石膏と炭酸カルシウムとの結合材中における含有量比については、石膏の含有量が炭酸カルシウムの含有量の0.9倍以上であり、好ましくは1.0倍以上、より好ましくは1.6倍以上である。例えば、上記の通り、実質的に高炉セメントB種相当の使用が選択される場合、その高炉スラグの含有量に応じて炭酸カルシウムの含有量を4質量%以上に調整した場合には、それに応じて石膏の含有量についても、3.6質量%(炭酸カルシウムの0.9倍)以上とする。このように炭酸カルシウムに対する石膏の相対的な含有量が上記の比率の範囲となるように適宜調整することによって、本発明の結合材の組成を最適化することができる。そして、このような組成の結合材を用いたセメント組成物からなる高炉セメントコンクリート硬化体は、普通コンクリートと同等若しくはそれ以上の収縮ひび割れ抵抗性を有するものとなる。
尚、産業副産物(産業廃棄物)である下記の高炉スラグ粉末中のAlの含有量は多様である。そのため、Alの含有量が多い高炉スラグ粉末を高炉セメントの原料として使用する場合には、炭酸カルシウム及び石膏の配合比を増加する等、適宜配合量を微調整することがより好ましい。
(高炉スラグ)
結合材の原料である高炉スラグとしては、粉末状の高炉スラグ粉末を好ましく用いることができる。この高炉スラグ粉末は、高炉で銑鉄を製造する際に副生する高炉スラグを溶融状態で水冷・破砕して得られる水砕スラグを粉末状にしたものを使用することができる。JIS A 6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」で規定される高炉スラグ微粉末4000が好ましい。
高炉セメントは、上記の通り、JIS規定により、結合材中の高炉スラグ微粉末の含有量に応じて、A種、B種、及びC種の3種に分類されている。しかしながら、現実に使用されている高炉セメントコンクリートは、そのほとんどが、高炉スラグ微粉末の含有量が40〜45%である高炉セメントB種相当のコンクリートのみである。A種相当のコンクリートは、高炉セメント独自の優位性が十分に発現し難く、又、C種相当のコンクリートは、セメントの硬化が遅くなる等、生産性における問題が普及を妨げている。これに対して、本発明の結合材における高炉スラグの含有量は、上記のA種からC種相当までの含有量比範囲に対応する5質量%を超えて70質量%以下の範囲であればよい。つまり、本発明の結合材は、上記の高炉セメントB種相当のコンクリートの原料としての使用はもちろんのこと、従来実施的にほとんど使用が見送られていた高炉セメントA種相当やC種相当のコンクリートにおいても、その効果を発揮しうるものである。
(ポルトランドセメント)
高炉スラグとともに用いるポルトランドセメントは、特に限定なく従来公知のものを用いることができる。具体的には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを適宜用いることができる。
<高炉セメントコンクリート用のセメント組成物>
本発明の高炉セメントコンクリート用のセメント組成物(以下、単に「セメント組成物」とも言う)は、本発明の結合材と、水、細骨材、粗骨材及び混和剤から構成されたものである。本発明のセメント組成物は、本発明の結合材を含む各材料をミキサーに投入して混練することにより得ることができる。
本発明のセメント組成物中の結合材の配合量(セメント内割)は、90質量%以下であることが好ましく、特に5〜70質量%であることが好ましい。セメント組成物におけるセメント添加材の配合量が90質量%を超えると、得られるセメント質硬化体の強度発現性や耐久性が低下するおそれがある。このように、本発明のセメント添加材及び当該セメント添加材を含むセメント組成物によれば、産業廃棄物を大量に使用することが可能である。
本発明のセメント組成物の水結合材比について説明する。本発明のセメント組成物は、結合材に対する水の割合、即ち、水結合材比を15〜60%、好ましくは30〜55%としたもので、これにより、初期強度や長期強度とともに耐乾燥収縮、凍結融解抵抗性及び耐火性の優れたセメント組成物を調整することができ、同時に高炉スラグ微粉末の含有量の多い結合材を用いたときの中性化の問題を解決したセメント組成物を調製することができる。
本発明のセメント組成物の調整方法は特に限定されず、公知の方法で調整することができる。本発明のセメント組成物の調整に際しては、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、分離防止剤、凝結促進剤、防錆剤、防水剤、防腐剤等の添加剤を併用することができる。
<高炉セメントコンクリート硬化体>
本発明の高炉セメントコンクリート硬化体は、本発明の高炉セメントコンクリート用のセメント組成物を硬化させて得ることができるコンクリート硬化体である。
上記の通り、従来、高炉セメントコンクリート硬化体は、CO発生の削減に寄与可能な環境配慮型のコンクリートとして広範な普及が望まれている。それにもかかわらず、普通コンクリートと比較して収縮ひび割れ抵抗性が劣ることが要因となって広範な普及が妨げられていた。
しかしながら、セメント組成物の結合材として、本発明のコンクリート結合材を用いることによって、上記のような環境配慮型のコンクリートでありながら、従来の普通コンクリートと概ね同等か若しくはそれ以上の優れた収縮ひび割れ抵抗性を有する優れた高炉セメントコンクリート硬化体を得ることができる。
本発明のセメント組成物から高炉セメントコンクリート硬化体への硬化の方法は特に限定されず、従来方法を適宜採用することができる。この高炉セメントコンクリート硬化体は、従来の普通コンクリート硬化体と同様、鋼管コンクリート部材やコンクリート杭等、各種建造物等のコンクリート構造体を構成するコンクリート硬化体として使用することができる。
又、本発明のセメント組成物から高炉セメントコンクリート硬化体は、その硬化のプロセスにおいて、従来の高炉セメントコンクリートにおいては必須の処理とされていた湿潤養生の処理が必ずしも必須ではないことを特徴とする。これは、従来の高炉セメントコンクリートが、硬化時に普通コンクリートよりも大量の水和水を必要とするために、湿潤養生等の仕上げ処理が必須であったことと大きく異なる。本発明の高炉セメントコンクリート硬化体は、硬化時における湿潤養生を必須とする施工条件からの解放によって、壁や柱部材等、施工時に鉛直方向に沿って配置される鉛直部材にも広く用いることができるものとなった。
<収縮ひび割れ抑制のメカニズム>
上記のように、CO発生の削減にも寄与可能な本発明の高炉セメントコンクリート硬化体が、従来の高炉セメントコンクリート硬化体と異なり、上述の優れた収縮ひび割れ抵抗性を有するのは以下の理由によるものと考えられる。
高炉セメントを含むセメント組成物の水和反応においては、Alとエトリンガイトとが反応してモノサルフェートが生成する。従来の高炉セメントコンクリート用のセメント組成物においては、硬化の過程におけるコンクリート硬化体中のモノサルフェートの生成を抑制し、得られるコンクリート硬化体の硫酸塩膨張を防止して耐久性(耐硫酸塩性)を良好なものとするため、コンクリート結合材への添加材の配合比については、炭酸カルシウムの含有量が石膏の含有量よりも多くすることが、好ましいものとされていた。
しかし、本発明の発明者らは、高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れを抑制するためには、炭酸カルシウムよりも、むしろ、石膏の含有量を所定範囲以上の含有量比とすることが有効であることを見出し、コンクリート結合材における石膏の炭酸カルシウムに対する含有量比を少なくとも0.9以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.6以上とした。
高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れの抑制にそのような相対的に多量の石膏の添加が有効であるのは以下の理由によるものと考えられる。一の理由として、結合材における石膏の含有量が相対的に大きくなっていることにより、材齢初期にエトリンガイトの生成量を増加させて結晶成長圧により自己膨張させることができ、これにより、高温時の自己収縮を抑制することができることによるものであることが挙げられる。そして他の理由として、高炉スラグの溶解の速さが高炉スラグの反応を支配するので、高炉スラグから溶解したAlと反応させるために溶解の遅い不溶性の無水石こうが適切であるという理由が挙げられる。無水石こうにより高温での高炉スラグの水和反応が抑制されることは、すでに確認されている。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。尚、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例>
結合材に添加する炭酸カルシウム及び石膏の添加量と、コンクリート硬化体の収縮ひび割れ抵抗性との相関を検証するため、以下の試験を行った。下記表1の通りの調合のコンクリートからなる試験体につき、下記の圧縮強度試験と自由ひずみ試験を行った。試験体を形成するコンクリートの結合材の材料として、セメント材料については、表1に記載の高炉スラグ微粉末(表1に高炉スラグと記載)の他に普通ポルトランドセメントを用いた。結合材中の普通ポルトランドセメントの添加量については、普通ポルトランドセメントの添加量を調整することによって、結合材中の高炉スラグ微粉末(ブレーン4230cm/g;製品名「セラメント」(株)デイ・シイ製)、石膏(無水石膏)、及び炭酸カルシウムの含有量比が、それぞれ表1に記載の比率(質量%)となるように適宜普通ポルトランドセメントの添加量を調整した。結合材中の高炉スラグ微粉末の添加量は、高炉セメントA種相当及びB種相当を想定して、それぞれ20%及び42%とした。石膏の含有量については、無水物換算での含有量とし、又、石膏と炭酸カルシウムの含有量比を、表1中において、〈S〉/〈CA〉として示した。
又、セメント組成物に配合する骨材については、細骨材(1)(山砂)、細骨材(2)(硬質砂岩砕砂)、粗骨材(硬質砂岩砕石)を用い、細骨材(1)と細骨材(2)は質量比8:2の割合とした。細骨材は全骨材中に46体積%の比率で配合し、セメント組成物における水と結合材比は、いずれも50%、単位水量175kg/mとした。
又、硬化初期に湿潤養生を行わないことを想定し、養生条件はいずれも材齢7日まで封かん養生、材齢7日以降はRH60%の気乾養生とした。
又、比較基準とするために普通コンクリートについても適宜同様の実験を行い参考例とした。
(圧縮強度試験)
圧縮強度試験に用いる試験体の形状はφ100×200mmとしJIS A 1132「コンクリート強度試験用供試験体の作り方」に従い、試験体を作製した。試験体作製直後から封かん養生、材齢7日以降はRH60%の気乾養生とし、材齢28日の時点でJIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に従い、圧縮強度試験を行った。結果を表1に示す。尚、評価基準は以下の通りとした。
A:46.1N/mm以上(参考例の103%以上)
B:44.7N/mm以上46.1N/mm未満
C:44.7N/mm未満
(自由ひずみ試験)
自由ひずみ試験に用いる試験体の形状はφ100×200mmとし、試験体中心部に設置した埋め込みひずみ計により、コンクリート打設直後から継続的にコンクリートの自由ひずみの測定を行った。試験体作製直後から封かん養生、材齢7日以降はRH60%の気乾養生とした。JIS A 1147「コンクリートの凝結時間試験方法」の始発を原点とし、材齢20週の時点における自由ひずみの値で評価した。
結果を表1に示す。尚、評価基準は以下の通りとした。
A:598μ以下(参考例の97%未満)
B:598μより大きく616μ以下
C:616μより大きい
表1の結果から、本発明のコンクリート結合材を用いた高炉セメントコンクリート用のセメント組成物からなる高炉セメントコンクリート硬化体は、湿潤養生を行わずとも、普通コンクリートよりも収縮量が小さく高い強度が得られることが分る。
Figure 0006333101
(収縮ひび割れ抵抗性の確認)
更に、本発明の高炉セメントコンクリート硬化体の収縮ひび割れ抵抗性を確認することを目的に、表2の実施例、比較例、参考例の試験体を対象に、図1に示す拘束ひび割れ試験装置100を用いて、試験を実施した。試験は、社団法人日本コンクリート工学協会「混和材料から見た収縮ひび割れ低減と耐久性改善研究委員会報告書(2010.9)」で提案されている「コンクリートの収縮ひび割れ評価試験方法」に準拠して行った。この試験は、乾燥に伴うコンクリートの収縮を拘束することにより生じるコンクリートの収縮ひび割れ発生材齢を評価するための試験であり、収縮ひび割れ抵抗性が低いほど早期にひび割れが生じる。本試験により得られたひび割れ材齢により、収縮ひび割れ抵抗性を評価した。合否評価は同養生条件下の普通コンクリート(参考例)に対し同等以上をA、同等未満をCと評価した。
尚、養生条件は、以下の通りとした。
条件1:試験体作製直後から10℃封かん養生、材齢7日以降は10℃、RH60%の気乾養生
条件2:試験体作製直後から20℃封かん養生、材齢7日以降は20℃、RH60%の気乾養生
条件3:試験体作製直後から30℃封かん養生、材齢7日以降は30℃、RH60%の気乾養生
Figure 0006333101
表2の結果から、本発明の高炉セメントコンクリート硬化体のひび割れ材齢は、いずれも同養生条件下の普通コンクリートより大きく、本技術の高い収縮ひび割れ抵抗性が確認された。
1 試験区間(付着除去)
2A、2B 定着区間(ネジ切り)
3 ひずみゲージ
10 拘束ひび割れ試験体
100 拘束ひび割れ試験装置

Claims (7)

  1. コンクリート結合材と、細骨材と、粗骨材と、水と、を含有してなる高炉セメントコンクリート用のセメント組成物であって、
    前記コンクリート結合材は、ポルトランドセメントと、高炉スラグと、炭酸カルシウムと、石膏と、を含有し、
    前記高炉スラグの含有量が、5質量%を超えて30質量%以下であり、
    前記炭酸カルシウムの含有量が、2質量%以上8質量%以下であり、
    前記石膏の無水物換算での含有量が、5質量%以上10質量%以下であって、且つ、前記炭酸カルシウムの含有量の0.9倍以上であり、
    水結合材比が30%以上60%以下である、セメント組成物。
  2. 前記石膏の無水物換算での含有量が、前記炭酸カルシウムの含有量の1.0倍以上である請求項1に記載のセメント組成物
  3. 前記石膏の無水物換算での含有量が、前記炭酸カルシウムの含有量の1.6倍以上である請求項1に記載のセメント組成物
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のセメント組成物を硬化させて得ることができる高炉セメントコンクリート硬化体。
  5. 建築物の鉛直方向に沿って配置される建材であって、
    請求項に記載の高炉セメントコンクリート硬化体によって形成されていることを特徴とするコンクリート建材。
  6. 鉛直方向に沿って配置される建材として請求項5に記載のコンクリート建材を用いることを特徴とする建築物の製造方法。
  7. 湿潤養生を行わないことを特徴とする請求項6に記載の建築物の製造方法。
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