JP2017031037A - 水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも初期強度の発現性が良好であり、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さく、かつ、ワーカビリティーに優れる水中不分離性コンクリート組成物を提供する。
【解決手段】セメントと、膨張材と、促進剤と、増粘剤とを含む水中不分離性コンクリート組成物であって、膨張材のブレーン比表面積が4,000cm/g〜7,000cm/gであり、膨張材の配合量が、単位量で10〜30kg/mであり、かつ促進剤の配合量が、単位量で10〜40kg/mであることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体に関する。
通常、海岸、海洋、港湾または河川に橋(橋脚)や防波堤等を建設する場合、土木建築工事において水中に直接コンクリートを打設することとなる。しかし、その際にセメント成分が水により洗い流されることでコンクリート構造体の強度低下を招くことがある。そのため施工には、メチルセルロース系、アクリル系およびガム系などの増粘剤をコンクリートに混和した、水中不分離性コンクリート組成物が用いられる。
そのような水中不分離性コンクリート組成物として、特許文献1にはセルロースエーテル、デュータンガム、ポリアクリルアミドおよびベントナイトを含有する増粘剤を含有する水中不分離性コンクリート組成物が提案されている。また、特許文献2には、水中で使用することを目的とした、膨張材、増粘剤および減水剤を含む水中グラウト用セメント組成物が提案されている。
特開2014−37329号公報 特開平07−138055号公報
水中不分離性コンクリート組成物はこれまで当業界で広く用いられてきているが、従来の一般的な水中不分離性コンクリート組成物の配合では、凝結時間が遅いために初期強度が発現性が悪い場合が多く、次工程へ移行するための準備作業や、次の打設自体が遅れる場合がある。具体的には、従来の水中不分離性コンクリート組成物では打設後、型枠の脱型までに24時間以上の養生を必要とすることが多く、コンクリート組成物を打設した日の翌日までに十分な強度が得られず、型枠を外すことができないために工事の工程が遅れ、工期が長期化してしまうという問題がある。
また、水中不分離性コンクリートを、海岸、海洋、港湾または河川に橋(橋脚)や防波堤等を建設する際に好適に使用するためには、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さいことが必要とされている。さらに、そのような水中不分離性コンクリートには、材料の打ち込みのし易さ(ワーカビリティー)も同時に求められている。
これらの課題に対して、本発明者らは、今般、セメントと、粒度の細かい(すなわち、ブレーン比表面積が大きい)膨張材と、促進剤と、増粘剤とを含む水中不分離性コンクリート組成物を用いることによって、コンクリートを打設した日の翌日には型枠の脱型ができ、工期の短縮が可能となるとの予想外の知見を得た。さらに、このような組成の水中不分離性コンクリート組成物であれば、ワーカビリティーにも優れ、かつ、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さいとの予想外の知見を得た。本発明は、係る知見に基づいてなされたものである。
従って、本発明は、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも初期強度の発現性が良好であり、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さく、かつ、ワーカビリティーに優れる水中不分離性コンクリート組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、水中不分離性コンクリート硬化体を提供するものである。
本発明の一態様によれば、セメントと、膨張材と、促進剤と、増粘剤とを含む水中不分離性コンクリート組成物であって、
前記膨張材のブレーン比表面積が4,000cm/g〜7,000cm/gであり、
前記膨張材の配合量が、単位量で10〜30kg/mであり、かつ
前記促進剤の配合量が、単位量で10〜40kg/m
であることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物が提供される。
本発明の他の態様によれば、水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、水中不分離性コンクリート硬化体が提供される。
本発明によれば、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも初期強度発現性が良好であり、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さく、かつ、ワーカビリティーに優れる、水中不分離性コンクリート組成物を得ることが可能となる。本発明による水中不分離性コンクリート組成物であれば、18時間の養生で十分な強度が得られるため、コンクリート組成物を午後に打設した場合であっても、翌日の午前中には型枠の脱型が可能となり、工期を短縮することが可能となる。また、本発明による水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる水中不分離性コンクリート硬化体は、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さいため、海岸、海洋、港湾または河川に橋(橋脚)や防波堤等を建設する際に好適に使用することができる。
本明細書において「水中不分離性コンクリート」とは、増粘剤等を混和することにより、水中での材料分離抵抗を高めた水中コンクリートをいう。なお、本明細書において「水中不分離性コンクリート組成物」とは、硬化前の水中不分離性コンクリートの組成物を意味し、一方、「水中不分離性コンクリート硬化体」とは、水中不分離性コンクリート組成物を硬化させたものを意味する。
本発明の内容について、以下に詳細に説明する。
<水中不分離性コンクリート組成物>
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、一定以上の比表面積(ブレーン値)の膨張材、および促進剤を含むことで、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも良好な初期強度発現性を示す。具体的には、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、材齢18時間で水中および気中のいずれにおいても10N/mm以上の圧縮強度を示す。このため、本発明による水中不分離性コンクリート組成物を型枠に流し込んだ場合、その翌日には型枠を脱型することができるため、工期を低減することができ、費用や労力を大幅に削減することができる。また、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さいため、海岸、海洋、港湾または河川への橋(橋脚)や防波堤等の建設に適している。具体的には、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して評価した際に、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、80%以上の水中気中強度比を示す。
さらに、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、ワーカビリティーにも優れる。本明細書において、「ワーカビリティー」はスランプフロー比によって評価する。ここで、スランプフロー比とは、混練直後の水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローに対する、混練後60分間静置した水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローの比率を百分率(%)換算で表したものである。なお水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローは、JIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」に準拠して測定することができる。スランプフロー比が高い方が、60分経過後のコンクリート組成物の流動性の変化量が小さく、よりワーカビリティーが優れている。本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、60分後のスランプフロー比が80%以上である。
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、セメントと、膨張材と、促進剤と、増粘剤を含む。各構成要素について、以下にそれぞれ説明する。なお、本明細書において、「単位量(kg/m)」とは、1mのコンクリートを作製するときに用いる各原料の使用量を意味する。
[セメント]
本発明に用いるセメントとしては、種々のものを使用することができ、例えば、ポルトランドセメントや混合セメントなどを使用することができる。そのようなポルトランドセメントとしては、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。混合セメントとしては、例えば、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム又は石灰石微粉末等が混合された各種の混合セメントが挙げられる。また、上記以外のセメントとしては、速硬性を有しない普通セメントタイプのエコセメントなどが挙げられる。これらのセメントは、いずれか1種を選択して使用することもできるが、2種以上のセメントを組み合わせて使用してもよい。
これらのセメントの中では、膨張材、促進剤との組合せによって、優れた初期強度の発現性を示す観点から、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
本発明による水中不分離性コンクリート組成物中のセメントの配合量は、使用するセメントの種類および単位水量によって適宜設定することができるが、単位量で300〜550kg/mであることが好ましい。
[膨張材]
本発明に用いる膨張材は、粒度がブレーン比表面積で4,000cm/g〜7,000cm/gの膨張材である。一方、従来使用されている膨張材は、その粒度が2,500〜3,500cm/g程度である。粒度が高すぎると膨張性が得られにくくなる傾向があるため、これまでブレーン比表面積で4,000cm/g以上の膨張材は一般的にほとんど用いられていなかった。しかしながら、本発明者らは、セメントと、促進剤と、増粘剤と共に、ブレーン比表面積4,000cm/g〜7,000cm/gの膨張材を適当な量配合することによって、早期に強度発現性が得られ、かつ、経時変化が良好な水中不分離性コンクリートが得られることを見出した。本発明に用いる膨張材は、好ましくは、粒度がブレーン比表面積で4,500〜6,000cm/gである。なお、ブレーン比表面積は、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に規定するブレーン空気透過装置を用いて、セメントを詰めたセルの中を通過する空気の早さを溶液ヘッドの変化時間で求め、標準試料と比較計算することで算出される。
膨張材の配合量は、単位量で10〜30kg/mであり、好ましくは15〜25kg/mである。配合量を10kg/m以上とすることで、早期の強度発現性が良好になり、配合量を30kg/m以下とすることで、良好なワーカビリティーを維持することができる。
本発明に用いる膨張材の種類としては、粒度が上記範囲内であれば種々の膨張材を使用することができ、具体的には石灰系膨張材およびカルシウムサルフォアルミネート系膨張材等を使用することができる。その中でも、反応速度の観点から特に好ましいのは、石灰系膨張材である。
石灰系膨張材は、遊離生石灰(CaO)を含有する膨張性焼成物と石膏から構成される。遊離生石灰を含有する膨張性焼成物は、炭酸カルシウム、消石灰、生石灰等のカルシウム質原料、シリカ質原料、アルミナ質原料、酸化鉄原料および石膏原料等の焼成原料を電気炉やロータリーキルン等で焼成することによって得られる。得られた膨張性焼成物はボールミル等で粉砕・分級され粒度が調整される。石膏は、粉末にしたものを膨張性焼成物の粉砕物とミキサ等で混合してもよいし、石膏と膨張焼成物を混合粉砕してもよい。石膏は種々のものを用いることができるが、無水石膏が好ましく、II型無水石膏がより好ましい。
[促進剤]
本発明における促進剤としては、初期強度の発現を早めることに寄与するものであれば種々の促進剤を使用することができる。具体的には、一般的にセメント、コンクリートに使用される促進剤の成分を含むことができ、例えば、亜硝酸カルシウム、亜硝酸リチウム等の亜硝酸塩、硫酸アルミニウム、アルカリ金属の硫酸塩及び硝酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩、硝酸塩及びアルミン酸塩などが挙げられる。その中でも亜硝酸塩が好ましく、特に亜硝酸カルシウムが好ましい。亜硝酸塩は、セメント及び膨張材との組合せにおいて、流動性を損なうことなく、初期強度の発現を速めることに寄与すると考えられる。
促進剤の配合量は、好ましくは単位量で、10〜40kg/mである。10kg/m以上とすることでコンクリートの凝結時間を十分に早めることができ、40kg/m以下とすることで、ワーカビリティーの低下を防ぐことができる。促進剤のより好ましい配合量は、15〜35kg/mである。
亜硝酸塩を含む促進剤は、通常、水溶液の形で添加されることが好ましい。また、水溶液の濃度としては20〜50% が好ましい。
[増粘剤]
本発明に用いる増粘剤としては、通常コンクリートに使用されているものであれば特に制限されるものではないが、コンクリートに増粘性を付与し、水中に投入された場合における材料の分離抵抗性に優れたものが望まれる。そのような増粘剤として、例えば、セルロース系増粘剤、ガム系増粘剤およびアクリル系増粘剤等が挙げられる。セルロース系増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルアルキルセルロース等が挙げられる。アクリル系増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。ガム系増粘剤としては、ローカストビーンガム、キサンタンガムおよびジェランガム等が挙げられる。これらの中では、特にセルロース系増粘剤が好ましい。
増粘剤の配合量は、好ましくは単位量で、0.8〜3.8kg/mである。増粘剤の配合量を、0.8kg/m以上とすることで、コンクリートに水中不分離性を十分に付与することができ、3.8kg/m以下とすることで、凝結が大幅に遅延することを防止することができる。増粘剤のより好ましい配合量は、1.6〜3.0kg/mである。
[その他の構成要素]
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、必要に応じて以下の構成要素を含有することができる。
(分散剤)
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、さらに分散剤が添加されていることが好ましい。本発明で用いる分散剤は、一般的にモルタルやコンクリートの製造に使用されるセメント用の分散剤である。そのような分散剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤および流動化剤等が挙げられる。具体的には、メラミンスルホン酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤およびナフタレンスルホン酸系分散剤等の分散剤が挙げられる。これらの中では、特にポリカルボン酸系の分散剤が好ましい。
分散剤の添加量は、セメントおよび膨張材等の粉体の合計重量に対して、1.0〜3.5質量%が好ましく、所要の流動性および初期強度の確保の観点から、1.5〜3.0質量%がより好ましい。
分散剤の添加方法としては、例えば、コンクリートプラントにおいて他の配合材料と併せて添加して混練する方法、あるいはコンクリート施工現場において最後に添加し混練する方法があるが、特にこれらに制限されるものではない。
(骨材)
本発明に用いられる骨材は、特に制限されるものではなく、通常のコンクリートの製造に使用される細骨材および粗骨材を何れも使用することができる。そのような細骨材および粗骨材として、例えば川砂、海砂、山砂、砕砂、人工細骨材、スラグ細骨材、再生細骨材、珪砂、川砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材、スラグ粗骨材および再生粗骨材等が挙げられる。
骨材の配合量は、単位量で1,300〜2,000kg/mであり、さらに1,500〜1,800kg/mとするのが、発熱および乾燥収縮の抑制ならびにワーカビリティー確保のバランスの点で好ましい。
また、全骨材の容積に対する細骨材の容積の占める割合(s/a)は、通常35〜50%であり、40〜45%であることがワーカビリティー確保の観点から好ましい。
(水)
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、水を用いて混練する。水の配合量(単位水量)は、150〜250kg/mとすることが、材料分離抵抗性を高めることから好ましい。混練には、コンクリートミキサを用いることが好ましい。
水(W)とセメント+膨張材(P)との重量比(W/P)は、通常40〜65%であり、45〜60%であることが、水和発熱低減および圧縮強度の確保の観点から好ましい。
(任意の混和剤)
さらに、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、本発明の効果を実質的に失わない範囲で、例えばモルタルやコンクリートに使用できる他の成分(混和剤(材))を含有するものであっても良い。このような成分として、具体的には、収縮低減剤、保水剤、防錆剤、空気連行剤、消泡剤、起泡剤、防水材、撥水剤、白華防止剤、凝結調整剤、顔料、繊維、シリカフューム、スラグおよびフライアッシュ等が例示される。
<水中不分離性コンクリート硬化体>
本発明による水中不分離性コンクリート硬化体は、上記水中不分離性コンクリート組成物を硬化させることによって得ることができる。硬化は任意の方法によって行うことができるが、例えば、上記水中不分離性コンクリート組成物を混練し、その混練物を型枠等に流し込んだ後に養生することで硬化させてもよい。本発明による水中分離性コンクリート硬化体は、水中と気中のいずれでも硬化させることができ、その水中気中強度比は、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して測定した場合、18時間養生で80%以上の高い値を示す。このことから、本願発明による水中不分離性コンクリート硬化体は、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さく、海岸、海洋、港湾または河川に橋(橋脚)や防波堤等を建設する際に好適に使用することができる。さらに、従来の水中不分離性コンクリート硬化体よりも初期強度の発現性が著しく優れているので、コンクリート組成物を打設した日の翌日には脱型が可能となり、工期短縮が実現できるという利点がある。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。
<膨張材の調製>
珪石、バン土頁岩、酸化鉄、無水石膏および工業用生石灰の混合物を1400℃で、電気炉を用いて焼成し、これを粉砕し、遊離生石灰を50質量%含有する膨張性焼成物を作製した。この膨張性焼成物に含まれる遊離生石灰以外の主な鉱物は、珪酸三石灰(3CaO・SiO)および無水石膏(CaSO)である。作製した膨張性焼成物をボールミルで粉砕し、ブレーン比表面積の異なる3種類の粉砕した膨張性焼成物を得た。これらの膨張性焼成物80質量部とII型無水石膏(ブレーン比表面積 7,000cm/g)20質量部を、混合することにより石灰系膨張材(No.1〜3)を作製した。作製された各膨張材のブレーン比表面積は下記のとおりである。
・膨張材1(EX1): 5,210cm/g
・膨張材2(EX2): 4,050cm/g
・膨張材3(EX3): 3,570cm/g
<水中不分離性コンクリート組成物の調製>
次いで、本発明による水中不分離性コンクリート組成物の製造方法について説明する。まず、製造に用いた材料を表1にまとめる。
Figure 2017031037
上記の材料を用い、環境温度20℃にて、コンクリートミキサを用いて練り混ぜて水中不分離性コンクリート組成物を製造した。表2に製造したそれぞれの水中不分離性コンクリート組成物の配合を示す。なお、分散剤の配合量は、粉体量(P:セメント+膨張材)の重量に対する%表示とした。すなわち、分散剤の配合量(%)は以下の式で求めた値である。
分散剤の配合量(%)={分散剤(g)/[セメント(g)+膨張材(g)]}×100
Figure 2017031037
上記表に記載の水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体について、各種特性を評価した。詳細を以下に説明する。
<水中気中強度比の測定>
水中不分離性コンクリート組成物の硬化体の水中気中強度比は、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して測定した。その際、気中での供試体の作製はJIS A 1132「8.コンクリート強度試験用供試体の作り方」に準拠して行い、水中での供試体の作製はJSCE−F 504「水中不分離性コンクリートの圧縮強度試験用円柱供試体の作り方」に準拠して行った。得られた各供試体の圧縮強度は、JIS A 1108「3.コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して測定した。これらの手順の概要を以下に示す。
(気中での供試体の作製)
表2に記載の配合比の原料を混合してミキサを用いて練り混ぜた試料を、型枠(内径100mm、高さ200mm)の充填部内に流し込んだ。20℃恒温室内で18時間養生し、その後型枠を外してコンクリート供試体を得た。その後、圧縮強度試験に用いた。
(水中での供試体の作製)
水槽いっぱいに水道水を入れ、その水槽の中に型枠の開口部が上を向くように、型枠を置いた。型枠は、気中での供試体の作製に用いたものと同じものを用いた。表に記載の配合比の原料を混合してミキサを用いて練り混ぜた試料を、約10回に分けてその型枠の中に静かに投入した。試料を充填した型枠を水中から静かに取り出し、そのまま大気中に15分間静置した後、20℃恒温室に移して18時間養生した。その後、供試体を型枠から取り外し、圧縮強度試験に用いた。
(圧縮強度試験)
気中および水中で得られたそれぞれの供試体について、以下のように圧縮強度試験を行った。まず、測定に用いる供試体の直径および高さを正確に測定した。その後、供試体の表面を清掃し、加圧盤の中心に置き、供試体に衝撃を与えないように一様な速度で荷重を加えた。荷重を加える速度は、圧縮応力度の増加が毎秒0.6±0.4N/mmとなるように調整した。供試体が急激な変形を始めた後は荷重速度の調整を止め、供試体が破壊するまで荷重を加え続け、供試体が破壊されるまでに示された最大荷重を記録した。試験によって得られたデータを基に、供試体の圧縮強度を以下の式を用いて算出した。
Figure 2017031037
式中、fcは圧縮強度(N/mm)を示し、Pは試験で得られた最大荷重(N)を示し、dは測定した供試体の直径(mm)を示す。
上記手順に従って気中および水中で得られたそれぞれの供試体の圧縮強度を算出し、水中気中強度比を求めた。水中気中強度比は、水中で得られた供試体の圧縮強度を気中で得られた供試体の圧縮強度で除し、百分率で表わしたものである。
<スランプフローの測定>
水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローは、JIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」に準拠して測定した。測定に際して、スランプコーンとしてはJIS A 1101に規定される金属製のものを用い、平板としては鋼製のものを用いた。
スランプフロー比は、混練直後の水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローに対する、混練後60分間静置した水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローの比率を百分率(%)換算で表したものである。具体的には、以下の式を用いてスランプフロー比を算出することができる。
スランプフロー比(%)={60分後のスランプフロー(mm)/混練直後のスランプフロー(mm)}×100
上記の試験で得られた結果を表3に示す。
Figure 2017031037
<膨張材の種類による比較>
実施例1および6ならびに比較例5についての上記結果を基に、膨張材のブレーン比表面積の違いによる各種特性への影響を評価した(表4)。
Figure 2017031037
ブレーン比表面積が小さい膨張材(膨張材3)を用いた比較例5では、18時間材齢強度が小さく、また水中気中強度比も小さいことが分かった。一方、ブレーン比表面積が4,000cm/g以上の膨張材(膨張材1および2)を用いた実施例1および6では、18時間材齢強度が25N/mm以上と大きく、水中気中強度比の値も大きい、良好な水中不分離性コンクリートが得られることが分かった。
<膨張材の単位量の違いによる比較>
実施例2および3、ならびに比較例1および2についての上記結果を基に、膨張材の単位量の違いによる各種特性への影響を評価した(表5)。
Figure 2017031037
膨張材の単位量が8kg/mと少ない比較例1では、水中気中強度比が低い事が分かった。また、膨張材の単位量を35kg/mに増加させた比較例2では、60分後のスランプフローの低下が大きく、好ましくない。一方、実施例2および3では、全ての特性において良好な結果が得られた。
<促進剤の単位量の違いによる比較>
実施例2および3、ならびに比較例3および4についての上記結果を基に、促進剤の単位量の違いによる各種特性への影響を評価した(表6)。
Figure 2017031037
上記表から分かるように、促進剤の単位量を10〜40kg/mとすることで、18時間材齢強度が大きく、かつ60分後のスランプフローの低下が小さく、初期強度発現性とワーカビリティーに関しバランスの良い水中不分離性コンクリート組成物が得られることが分かった。

Claims (5)

  1. セメントと、膨張材と、促進剤と、増粘剤とを含む水中不分離性コンクリート組成物であって、
    前記膨張材のブレーン比表面積が4,000cm/g〜7,000cm/gであり、
    前記膨張材の配合量が、単位量で10〜30kg/mであり、かつ
    前記促進剤の配合量が、単位量で10〜40kg/m
    であることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物。
  2. 前記促進剤が少なくとも亜硝酸塩を含むことを特徴とする、請求項1に記載の水中不分離性コンクリート組成物。
  3. 前記セメントが早強ポルトランドセメントであることを特徴とする、請求項1または2に記載の水中不分離性コンクリート組成物。
  4. 硬化後の材齢18時間における水中気中強度比が80%以上であり、かつ、
    混練直後の水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローに対する、混練後60分間静置した水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローの比率であるスランプフロー比が、80%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中不分離性コンクリート組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、水中不分離性コンクリート硬化体。
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