JP6456693B2 - 水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体、ならびに水中不分離性コンクリート組成物の製造方法 - Google Patents

水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体、ならびに水中不分離性コンクリート組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体、ならびに水中不分離性コンクリート組成物の製造方法に関する。
通常、海岸、海洋、港湾または河川に橋(橋脚)や防波堤等を建設する場合、土木建築工事において水中に直接コンクリートを打設することとなる。しかし、その際にセメント成分が水により洗い流されることで河川等の水質汚濁や、コンクリート構造体の強度低下を招くことがある。そのため施工には、メチルセルロース系、アクリル系およびガム系などの増粘剤をコンクリートに混和した、水中不分離性コンクリート組成物が用いられる。
そのような水中不分離性コンクリート組成物として、特許文献1には水中不分離性増粘剤組成物を含む高流動の水中不分離性コンクリート組成物が提案されている。
特開2013−14479号公報
水中不分離性コンクリート組成物はこれまで当業界で広く用いられてきているが、一般的な水中不分離性コンクリート組成物は単位水量が多いため(220kg/m程度)、増粘剤をセルロース系で2.4〜2.6kg/m、またはアクリル系で3.3〜3.5kg/m程度混和して使用するのが一般的となっている。実際、上記特許文献1に記載の水中不分離性コンクリート組成物においても、懸濁物質量が50mg/L以下のものでは増粘剤の使用量が3.0kg/m以上である。しかし、増粘剤は高価であり、増粘剤の使用量が多い現行の水中不分離性コンクリート組成物は、一般のレディーミクストコンクリート(生コン)と比較すると、3〜4倍程度単価が高くなるという問題点がある。そのため、経済的で実用性の高い水中不分離性コンクリート組成物が求められている。
また、従来の一般的な水中不分離性コンクリート組成物の配合では、凝結時間が遅いために初期強度が低い場合が多く、次工程へ移行するための準備作業や、次の打設自体が遅れる場合がある。特に冬期の施工においては低温環境下になるため、この課題が顕著になる。その結果、工期が遅れることにより余分なコストの増加が生じ、不経済となることが問題となる。
このような課題に対して、本発明者らは、今般、セメントと、水と、増粘剤と、少なくとも亜硝酸カルシウムを含む促進剤と、分散剤とを所定の範囲内で含むコンクリートにおいて、少ない増粘剤量で高い水中不分離性が発揮され、かつ、凝結時間が短縮されるとの予想外の知見を得た。本発明は、係る知見に基づいてなされたものである。
したがって、本発明は、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも少ない増粘剤量で高い水中不分離性を示し、かつ、凝結時間が短縮された水中不分離性コンクリート組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、水中不分離性コンクリート硬化体を提供するものである。
さらに本発明は、上記水中不分離性コンクリート組成物の製造方法を提供するものである。
本発明の一態様によれば、
セメントと、水と、増粘剤と、少なくとも亜硝酸カルシウムを含む促進剤と、分散剤とを含む水中不分離性コンクリート組成物であって、
前記セメントの単位セメント量が300〜500kg/mであり、
前記水の単位水量が170〜200kg/mであり、
前記増粘剤の配合量が、前記単位水量に対して0.7〜1.2質量%であり、
前記促進剤の配合量が、前記単位セメント量に対して0.5〜3.0質量%であり、かつ
前記分散剤の配合量が、前記単位セメント量に対して4.0質量%以下
であることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上記水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、水中不分離性コンクリート硬化体が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、水中不分離性コンクリート組成物を製造する方法が提供される。
本発明によれば、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも少ない増粘剤量で高い水中不分離性を示し、かつ、凝結時間が短縮された水中不分離性コンクリート組成物を得ることが可能となる。
本明細書において「水中不分離性コンクリート」とは、増粘剤等を混和することにより、水中での材料分離抵抗を高めた水中コンクリートをいう。また、本明細書において「水中不分離性が高い」とは、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して評価した際に、懸濁物質量が50mg/L以下であり、かつ、硬化後の材齢28日における水中気中強度比が80%以上であることをいう。懸濁物質量が50mg/L以下であれば水中でのコンクリートの分離を効果的に抑えることができ、水中気中強度比が80%以上であれば水中での強度発現性を維持することができる。なお、本明細書において「水中不分離性コンクリート組成物」とは、硬化前の水中不分離性コンクリートの組成物を意味し、一方、「水中不分離性コンクリート硬化体」とは、水中不分離性コンクリート組成物を硬化させたものを意味する。
本発明の内容について、以下に詳細に説明する。
<水中不分離性コンクリート組成物>
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、セメントと、水と、増粘剤と、少なくとも亜硝酸カルシウムを含む促進剤と、分散剤とが所定量含まれていることで、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも少ない増粘剤量で高い水中不分離性を示す。そのため、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりもコストを抑えることができる。さらに、該組成物は凝結時間が短縮されているため、初期強度が高く、次工程へ移行するための準備作業や、次の打設作業を円滑に行うことができる。従って、コンクリート組成物の硬化を待つことによる工期の遅れなどを防止することができる。
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、セメントと、水と、増粘剤と、少なくとも亜硝酸カルシウムを含む促進剤と、分散剤とを含む。各構成要素について、以下にそれぞれ説明する。なお、本明細書において、「単位量(kg/m)」とは、1mのコンクリートを作製するときに用いる各原料の使用量を意味する。また「単位セメント量」および「単位水量」は、1mのコンクリートを作製するときに用いるセメントと水の使用量をそれぞれ意味する。
[セメント]
本発明に用いるセメントとしては、種々のものを使用することができ、例えば、ポルトランドセメントや混合セメントなどを使用することができる。そのようなポルトランドセメントとしては、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。混合セメントとしては、例えば、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム又は石灰石微粉末等が混合された各種の混合セメントが挙げられる。この中でも、高炉スラグが混合された高炉セメントが、海洋環境下での耐久性に優れるため好ましい。また、上記以外のセメントとしては、速硬性を有しない普通セメントタイプのエコセメントなどが挙げられる。これらのセメントは、いずれか1種を選択して使用することもできるが、2種以上のセメントを組み合わせて使用してもよい。
本発明による水中不分離性コンクリート組成物中に、セメントは300〜500kg/mの単位セメント量で含まれる。単位セメント量は、水和発熱の観点から300〜450kg/mであることが好ましく、300〜400kg/mであることがより好ましい。
[水]
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、水を用いて混練する。水の配合量(単位水量)は、170〜200kg/mである。単位水量は、材料分離抵抗性を高め、かつ、乾燥収縮を抑制する観点から、180〜195kg/mが好ましい。混練には、コンクリートミキサを用いることが好ましい。
水とセメントとの重量比(W/C)は、通常40〜65%であり、45〜60%であることが、水和発熱低減および圧縮強度の確保の観点から好ましい。
[増粘剤]
本発明に用いる増粘剤としては、通常コンクリートに使用されているものであれば特に制限されるものではないが、コンクリートに増粘性を付与し、水中に投入された場合における材料の分離抵抗性に優れたものが望まれる。そのような増粘剤として、例えば、セルロース系増粘剤、ガム系増粘剤およびアクリル系増粘剤等が挙げられる。セルロース系増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルアルキルセルロース等が挙げられる。アクリル系増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。ガム系増粘剤としては、ローカストビーンガム、キサンタンガムおよびジェランガム等が挙げられる。これらの中では、特にセルロース系増粘剤が好ましい。
増粘剤の配合量は、単位水量に対して0.7〜1.2質量%である。増粘剤の配合量を、0.7質量%以上とすることで、コンクリートに水中不分離性を十分に付与することができ、1.2質量%以下とすることで、凝結が大幅に遅延することを防止できる。増粘剤のより好ましい配合量は、0.8〜1.1質量%である。また、1mのコンクリートを作製するときに用いる増粘剤の使用量としては、1.2〜2.4kgが好ましい。
[促進剤]
本発明における促進剤は、少なくとも亜硝酸カルシウムを含む。亜硝酸カルシウムは、増粘剤及び分散剤との組合せにおいて、所定の流動性を保持しながら、凝結を速めることに寄与すると考えられる。促進剤における亜硝酸カルシウム以外の成分としては、一般的にセメント、コンクリートに使用される促進剤の成分を含むことができる。そのような成分としては、例えば硫酸アルミニウム、アルカリ金属の硫酸塩及び硝酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩、硝酸塩及びアルミン酸塩などが挙げられる。
促進剤の配合量は、単位セメント量に対して、0.5〜3.0質量%である。0.5質量%以上とすることでコンクリートの凝結時間を十分に早めることができ、3.0質量%以下とすることで、流動性の低下を防ぐことができる。促進剤のより好ましい配合量は、単位セメント量に対して1.0〜2.5質量%である。
亜硝酸カルシウムを含む促進剤は、通常、水溶液の形で添加されることが好ましい。また、水溶液の濃度としては20〜50質量%が好ましい。
[分散剤]
本発明で用いる分散剤は、一般的にモルタルやコンクリートの製造に使用されるセメント用の分散剤である。そのような分散剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤および流動化剤等が挙げられる。具体的には、メラミンスルホン酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤およびナフタレンスルホン酸系分散剤等の分散剤が挙げられる。これらの中では、特にポリカルボン酸系の分散剤が好ましい。
分散剤の配合量は、単位セメント量に対して、4.0重量%以下である。配合量を4.0質量%以下とすることで、所要の流動性および初期強度が得られる。分散剤の配合量は、3.5質量%以下であることがより好ましい。
分散剤の配合方法としては、例えば、コンクリートプラントにおいて他の配合材料と併せて配合して混練する方法、あるいはコンクリート施工現場において最後に添加し混練する方法があるが、特にこれらに制限されるものではない。
[その他の構成要素]
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、以下の構成要素を含有することができる。
(骨材)
本発明に用いられる骨材は、特に制限されるものではなく、通常のコンクリートの製造に使用される細骨材および粗骨材を何れも使用することができる。そのような細骨材および粗骨材として、例えば川砂、海砂、山砂、砕砂、人工細骨材、スラグ細骨材、再生細骨材、珪砂、川砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材、スラグ粗骨材および再生粗骨材等が挙げられる。
骨材の配合量は、単位量で1500〜2000kg/mであり、さらに1600〜1800kg/mとするのが、発熱および乾燥収縮の抑制ならびにワーカビリティー確保のバランスの点で好ましい。
また、全骨材の容積に対する細骨材の容積の占める割合(s/a)は、通常35〜50%であり、40〜45%であることがワーカビリティー確保の観点から好ましい。
(任意の混和剤)
さらに、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、本発明の効果を実質失わない範囲で、例えばモルタルやコンクリートに使用できる他の成分(混和剤(材))を含有するものであっても良い。このような成分として、具体的には、収縮低減剤、膨張材、保水剤、防錆剤、空気連行剤、消泡剤、起泡剤、防水材、撥水剤、白華防止剤、顔料、繊維、シリカフューム、スラグおよびフライアッシュ等が例示される。
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、セメントと、水と、増粘剤と、少なくとも亜硝酸カルシウムを含む促進剤と、分散剤とを含み、セメントが300〜500kg/mの単位セメント量で含まれ、水が170〜200kg/mの単位水量で含まれ、増粘剤の配合量が単位水量に対して0.7〜1.2質量%であり、促進剤の配合量が単位セメント量に対して0.5〜3.0質量%であり、かつ、分散剤の配合量が単位セメント量に対して4.0質量%以下であるため、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して評価した際に、懸濁物質量を50mg/L以下とし、かつ、硬化後の材齢28日における水中気中強度比を80%以上とすることができる。
また、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、凝結時間が短縮されているため20℃養生における凝結時間を24時間以内に設定することができる。さらに、低温においても凝結時間が大幅に低下しないため、10℃養生における凝結時間も48時間以内に設定することができる。これによって、冬場であっても早期施工が可能になるという利点がある。
<水中不分離性コンクリート硬化体>
本発明による水中不分離性コンクリート硬化体は、上記水中不分離性コンクリート組成物を硬化させることによって得ることができる。硬化は任意の方法によって行うことができるが、例えば、上記水中不分離性コンクリート組成物を混練し、その混練物を型枠等に流し込んだ後に養生することで硬化させてもよい。本発明による水中分離性コンクリート硬化体は、水中と気中のいずれでも硬化させることができ、その水中気中強度比は、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して測定した場合、80%以上の高い値を示す。このことから、本願発明による水中不分離性コンクリート硬化体は、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さく、海岸、海洋、港湾または河川に橋(橋脚)や防波堤等を建設する際に好適に使用することができる。さらに、従来の水中不分離性コンクリート硬化体よりもコストが低減されているという利点がある。
<水中不分離性コンクリート組成物の製造方法>
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、300〜500kg/mの単位セメント量のセメントと、170〜200kg/mの単位水量の水と、単位水量に対して0.7〜1.2質量%の増粘剤と、単位セメント量に対して0.5〜3.0質量%の少なくとも亜硝酸カルシウムを含む促進剤と、単位セメント量に対して4.0質量%以下の分散剤とを含む配合物を形成し、この配合物を練り混ぜることで製造することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。
≪試験A≫
<水中不分離性コンクリート組成物の製造>
本発明による水中不分離性コンクリート組成物の製造方法について説明する。まず、製造に用いた材料を下表にまとめる。
Figure 0006456693
上記の材料を配合し、雰囲気温度20℃にて、コンクリートミキサを用いて練り混ぜて水中不分離性コンクリート組成物を製造した。表2に製造したそれぞれの水中不分離性コンクリート組成物の配合を示す。なお、増粘剤は水(W)の単位量に対する%表示とし、分散剤および促進剤の配合量は、セメント(C)の単位量に対する%表示とした。すなわち、これらの配合量(%)は以下の式で求めた値である。
増粘剤の配合量(%)={増粘剤(kg/m)/水(kg/m)}×100
分散剤の配合量(%)={分散剤(kg/m)/セメント(kg/m)}×100
促進剤の配合量(%)={促進剤(kg/m)/セメント(kg/m)}×100
Figure 0006456693
表中、「W/C」は水とセメントとの重量比を示し、「s/a」は全骨材の容積に対する細骨材の容積の占める割合を示す。以下の表でも同様である。
上記表2に記載の水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体について、各種特性を評価した。詳細を以下に説明する。なお、以下の評価は特に明記しない限りそれぞれ雰囲気温度20℃にて実施した。
<スランプフローの測定>
水中不分離性コンクリート組成物のスランプフローは、JIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」に準拠して測定した。測定に際して、スランプコーンとしてはJIS A 1101に規定される金属製のものを用い、平板としては鋼製のものを用いた。
<凝結試験>
水中不分離性コンクリート組成物の凝結時間を、JIS A 1147「コンクリートの凝結時間試験方法」に準拠して測定した。具体的には、まず水中不分離性コンクリート組成物の試料を、所定の形状の容器に入れて上面が平滑となるようにならす。その後、容器を20℃の雰囲気下で静置し、試料に貫入針を貫入した。貫入抵抗値が3.5N/mmを超えた時点を始発時間とし、28.0N/mmを超えた時点を終結時間とした。
<24時間強度>
上記凝結試験が24時間以内で終了した試料については、気中で圧縮強度を測定した。圧縮強度の測定は、JIS A 1108「3.コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して測定した。
<懸濁物質量の測定>
水中不分離性コンクリート組成物を水中に投入した際の懸濁物質の量は、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して測定した。具体的には、まず、水中不分離性コンクリート組成物の試料を、所定の形状の投入容器に500g計り取り、800mLの蒸留水中に10回に分けて投入した。全ての試料を水中に投入した後、3分間静置し、静かに上澄み液を約600mL分取した。分取した水を均一に混合し、その一部を正確に計り取って被検水とした。この被検水を濾過し、残渣(ろ物とも言う)を乾燥させて重量を測定した。懸濁物質量(mg/L)は、残渣の重量(mg)を被検水の量(L)で除して算出した。
<水中気中強度比の測定>
水中不分離性コンクリート組成物の硬化体の水中気中強度比は、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して測定した。その際、気中での供試体の作製はJIS A 1132「8.コンクリート強度試験用供試体の作り方」に準拠して行い、水中での供試体の作製はJSCE−F 504「水中不分離性コンクリートの圧縮強度試験用円柱供試体の作り方」に準拠して行った。得られた各供試体の圧縮強度は、JIS A 1108「3.コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して測定した。これらの手順の概要を以下に示す。
(気中での供試体の作製)
表2に記載の配合比の原料を混合してミキサを用いて練り混ぜた試料を、型枠(内径100mm、高さ200mm)の充填部内に流し込んだ。コンクリートが十分に硬化するまで、24時間放置し、その後型枠を外してコンクリート供試体を得た。その後、供試体を20℃水中養生し、材齢28日まで養生してから圧縮強度試験に用いた。
(水中での供試体の作製)
水槽いっぱいに水道水を入れ、その水槽の中に型枠の開口部が上を向くように、型枠を置いた。型枠は、気中での供試体の作製に用いたものと同じものを用いた。表2に記載の配合比の原料を混合してミキサを用いて練り混ぜた試料を、約10回に分けてその型枠の中に静かに投入した。試料を充填した型枠を水中から静かに取り出し、そのまま大気中に15分間静置した後、養生場所に移して2日間養生した。その後、供試体を型枠から取り外し、直ちに20℃水中養生を開始し、材齢28日まで養生してから圧縮強度試験に用いた。
(圧縮強度試験)
気中および水中で得られたそれぞれの供試体について、以下のように圧縮強度試験を行った。まず、測定に用いる供試体の直径および高さを正確に測定した。その後、供試体の表面を清掃し、加圧盤の中心に置き、供試体に衝撃を与えないように一様な速度で荷重を加えた。荷重を加える速度は、圧縮応力度の増加が毎秒0.6±0.4N/mmとなるように調整した。供試体が急激な変形を始めた後は荷重速度の調整を止め、供試体が破壊するまで荷重を加え続け、供試体が破壊されるまでに示された最大荷重を記録した。試験によって得られたデータを基に、供試体の圧縮強度を以下の式を用いて算出した。
Figure 0006456693
式中、fは圧縮強度(N/mm)を示し、Pは試験で得られた最大荷重(N)を示し、dは測定した供試体の直径(mm)を示す。
上記手順に従って気中および水中で得られたそれぞれの供試体の圧縮強度を算出し、水中気中強度比を求めた。水中気中強度比は、水中で得られた供試体の圧縮強度を気中で得られた供試体の圧縮強度で除し、百分率で表わしたものである。
上記の試験で得られた結果を表3に示す。表中、凝結試験の「始発時間」は、注水してから貫入抵抗値が3.5N/mmを超えるまでの経過時間を示し、「12−50」と記載されている場合、注水してから「12時間50分」経過したことを意味する。同様に、「終結時間」は、注水してから貫入抵抗値が28.0N/mmを超えるまでの経過時間を示す。
Figure 0006456693
≪試験B≫
10℃の恒温室の中で実施した以外は試験Aと同様に、水中不分離性コンクリート組成物を製造した。また、製造したそれぞれの水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体について、各種特性を評価した。凝結試験における雰囲気温度および材齢28日までの養生における雰囲気温度を10℃とし、強度測定のタイミングを24時間後から48時間後に変更した以外は試験Aと同様に試験を行った。表4に製造したそれぞれの水中不分離性コンクリート組成物の配合を示し、表5に試験結果を示す。硬化時の雰囲気温度が10℃の場合においても、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は良好な水中不分離性を示し、かつ、凝結時間が大幅に低下しないことが分かった。
Figure 0006456693
Figure 0006456693
≪試験C≫
セメントを高炉セメントB種(太平洋セメント株式会社製)(密度:3.04g/cm3)に変更した以外は、試験Aと同様に水中不分離性コンクリート組成物を製造した。また、製造したそれぞれの水中不分離性コンクリート組成物についても、試験Aと同様に試験を行った。表6に製造したそれぞれの水中不分離性コンクリート組成物の配合を示し、表7に試験結果を示す。セメントとして高炉セメントを使用した場合でも、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は良好な水中不分離性を示し、かつ、凝結時間も短縮されていることが分かった。
Figure 0006456693
Figure 0006456693
<増粘剤の配合量の違いによる比較>
実施例A1〜A4ならびに比較例A4およびA5についての上記結果を基に、増粘剤の配合量の違いによる各種特性への影響を評価し、下記表8に示した。増粘剤の配合量を単位水量に対して0.7〜1.2質量%とすることで、凝結時間が速く、良好な水中不分離性コンクリート組成物が得られることが分かった。
Figure 0006456693
<促進剤の配合量の違いによる比較>
実施例A2、A5およびA6ならびに比較例A1、A6およびA7についての上記結果を基に、促進剤の配合量の違いによる各種特性への影響を評価し、下記表9に示した。促進剤の配合量を単位セメント量に対して0.5〜3.0質量%とすることで、凝結時間が速く、良好な水中不分離性コンクリート組成物が得られることが分かった。
Figure 0006456693

Claims (5)

  1. セメントと、水と、セルロース系増粘剤と、亜硝酸カルシウムを含む促進剤と、分散剤とを含む水中不分離性コンクリート組成物であって、
    前記セメントの単位セメント量が300〜500kg/mであり、
    前記水の単位水量が170〜200kg/mであり、
    前記セルロース系増粘剤の配合量が、前記単位水量に対して0.7〜1.2質量%であり、
    前記促進剤の配合量が、前記単位セメント量に対して0.5〜3.0質量%であり、かつ
    前記促進剤は、亜硝酸カルシウムの濃度が20〜50質量%である水溶液であり、
    前記分散剤の配合量が、前記単位セメント量に対して4.0質量%以下
    であることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物(但し、この水中不分離性コンクリート組成物は、スターチエーテル増粘剤およびデュータンガム増粘剤を含まない)。
  2. 前記セメントが高炉セメントであることを特徴とする、請求項1に記載の水中不分離性コンクリート組成物。
  3. 懸濁物質量が50mg/l以下であり、20℃養生における凝結時間が24時間以内であり、かつ硬化後の水中気中強度比が80%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水中不分離性コンクリート組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、水中不分離性コンクリート硬化体。
  5. 水中不分離性コンクリート組成物の製造方法であって、
    300〜500kg/mの単位セメント量のセメントと、
    170〜200kg/mの単位水量の水と、
    前記単位水量に対して0.7〜1.2質量%のセルロース系増粘剤と、
    前記単位セメント量に対して0.5〜3.0質量%の亜硝酸カルシウムを含む促進剤と、
    前記単位セメント量に対して4.0質量%以下の分散剤とを含む配合物を形成し、
    かつ前記促進剤は、亜硝酸カルシウムの濃度が20〜50質量%である水溶液の形で添加されてなる、
    前記配合物を練り混ぜることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物の製造方法(但し、この水中不分離性コンクリート組成物は、スターチエーテル増粘剤およびデュータンガム増粘剤を含まない)。
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