以下、本考案のレジスト層の薄膜化処理装置について詳細に説明する。
本考案のレジスト層の薄膜化処理装置を用いて行われるレジストパターンの形成方法について、図1〜4を用いて説明する。
図1を用いて、サブトラクティブ法で導電パターンを形成する場合におけるレジストパターンの形成方法(1)について説明する。
[図1a]絶縁層1上に金属層7が設けられた積層基板を準備する。
[図1b]積層基板上にアルカリ現像型のレジスト層3を形成する。
[図1c]レジスト層3に気泡が付着するのを抑制しながら、アルカリ水溶液によってレジスト層3を薄膜化する(薄膜化工程)。
[図1d]薄膜化されたレジスト層3に活性光線5によってパターン露光する(露光工程)。
[図1e]現像によって未露光部のレジスト層3を除去する(現像工程)。
これによって、図1eに示すような、気泡による薄膜化の処理ムラの無いレジストパターンを形成できる。図1eの後に、エッチング工程において、レジストパターンで覆われていない金属層7をエッチングすることにより、導電パターンが得られる。
図2を用いて、ソルダーレジストを用いたレジストパターンの形成方法(2)について説明する。
[図2a]絶縁層1上に導体配線2及び接続パッド6が形成された回路基板を準備する。[図2b]回路基板上にアルカリ現像型のレジスト層3を形成する。
[図2c]薄膜化される領域以外の部分のレジスト層3を活性光線5によって露光する(露光工程)。
[図2d]レジスト層3に気泡が付着するのを抑制しながら、レジスト層3の厚みが接続パッド6の厚みよりも薄くなるまで、アルカリ水溶液によって未露光部のレジスト層3を薄膜化する(薄膜化工程)。
これによって、図2dに示すような、気泡による薄膜化の処理ムラの無い、導体配線2はレジスト層3で被覆しつつ、接続パッド6はレジスト層3から露出した多段構造のレジストパターンを形成することができる。
図3を用いて、サブトラクティブ法で導電パターン形成を形成する場合におけるレジストパターンの形成方法(3)について説明する。
[図3a]絶縁層1上に金属層7が設けられた積層基板を準備する。
[図3b]積層基板上にアルカリ現像型のレジスト層3を形成する。
[図3c]薄膜化される領域以外の部分のレジスト層3を活性光線5によって露光する(一回目の露光工程)。
[図3d]レジスト層3に気泡が付着するのを抑制しながら、アルカリ水溶液によって未露光部のレジスト層3を薄膜化する(薄膜化工程)。
[図3e]現像される領域以外の部分のレジスト層3を活性光線5によって露光する(二回目の露光工程)。
[図3f]現像によって未露光部のレジスト層3を除去する(現像工程)。
これによって、図3fに示すような、気泡による薄膜化の処理ムラの無い、部分的に薄膜化されたレジスト層3を有する多段構造のレジストパターンを形成できる。次に、エッチング工程において、レジストパターンで覆われていない金属層7をエッチングすることにより、導電パターンが得られる。
図4を用いて、ソルダーレジストを用いたレジストパターンの形成方法(4)について説明する。
[図4a]絶縁層1上に導体配線2及び接続パッド6が形成された回路基板を準備する。
[図4b]回路基板上にアルカリ現像型のレジスト層3を形成する。
[図4c]一回目に薄膜化される領域以外の部分のレジスト層3を活性光線5によって露光する(一回目の露光工程)。
[図4d]レジスト層3に気泡が付着するのを抑制しながら、レジスト層3の厚みが接続パッド6の厚み以上になるまでアルカリ水溶液によって未露光部のレジスト層3を薄膜化する(一回目の薄膜化工程)。
[図4e]二回目に薄膜化される領域以外の部分のレジスト層3を活性光線5によって露光する(二回目の露光工程)。
[図4f]レジスト層3に気泡が付着するのを抑制しながら、レジスト層3の厚みが接続パッド6の厚みよりも薄くなるまでアルカリ水溶液によって未露光部のレジスト層3を薄膜化する(二回目の薄膜化工程)。
これによって、図4fに示すような、気泡による薄膜化の処理ムラの無い、導体配線2はレジスト層3で被覆しつつ、接続パッド6はレジスト層3から露出した多段構造のレジストパターンを形成できる。
基板としては、プリント配線板用基板、リードフレーム用基板;プリント配線板用基板やリードフレーム用基板を加工して得られる回路基板が挙げられる。
プリント配線板用基板としては、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板が挙げられる。フレキシブル基板の絶縁層の厚さは5〜125μmで、その両面もしくは片面に1〜35μmの金属層が設けられて積層基板となっており、可撓性が大きい。絶縁層の材料には、通常、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー等が用いられる。絶縁層上に金属層を有する材料は、接着剤で貼り合わせる接着法、金属箔上に樹脂液を塗布するキャスト法、スパッタリングや蒸着法で樹脂フィルム上に形成した厚さ数nmの薄い導電層(シード層)の上に電解メッキで金属層を形成するスパッタ/メッキ法、熱プレスで貼り付けるラミネート法等のいかなる方法で製造したものを用いてもよい。金属層の金属としては、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、あるいはそれらの合金等のいかなる金属を用いることができるが、銅が一般的である。
リジッド基板は、紙基材又はガラス基材にエポキシ樹脂又はフェノール樹脂等を浸漬させた絶縁性基板を重ねて絶縁層とし、その片面もしくは両面に金属箔を載置し、加熱及び加圧により積層し、金属層が設けられた積層基板が挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、貫通孔や非貫通孔を有する多層板も挙げられる。厚みは60μm〜3.2mmであり、プリント配線板としての最終使用形態により、その材質と厚みが選定される。金属層の材料としては、銅、アルミニウム、銀、金等が挙げられるが、銅が最も一般的である。これらプリント配線板用基板の例は、「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学会編、1987年刊、日刊工業新聞社発刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット編、1992年刊、(株)近代化学社発刊)に記載されている。
リードフレーム用基板としては、鉄ニッケル合金、銅系合金等の基板が挙げられる。
回路基板とは、絶縁性基板上に銅等の金属からなる半導体チップ等の電子部品を接続するための接続パッドが形成された基板である。導体配線が形成されていてもよい。回路基板を作製する方法は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法が挙げられる。サブトラクティブ法では、例えば、上記のプリント配線板用基板にエッチングレジストパターンを形成し、露光工程、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程を実施して回路基板が作製される。
レジストとしては、アルカリ現像型のレジストが使用できる。また、液状レジストであってもよく、ドライフィルムレジストであってもよく、アルカリ水溶液(薄膜化処理液)によって薄膜化でき、かつ、薄膜化処理液よりも低濃度のアルカリ水溶液である現像液によって現像できるレジストであればいかなるものでも使用できる。アルカリ現像型のレジストは光架橋性樹脂成分を含む。光架橋性樹脂成分は、例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤等を含有してなる。また、エポキシ樹脂、熱硬化剤、無機フィラー等を含有させてもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂の有機高分子が挙げられる。このうち、エチレン性不飽和二重結合を有した単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)して得られたものであることが好ましい。これらのアルカリ水溶液に可溶な重合体は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いても良い。このようなエチレン性不飽和二重結合を有した単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等のスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸モノエステル;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体;フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。
光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO、PO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EO及びPOは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有するものであり、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。これらの光重合性化合物は単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
エポキシ樹脂は、硬化剤として用いられる場合がある。アルカリ可溶性樹脂のカルボン酸と反応させることで架橋させ、耐熱性や耐薬品性の特性の向上を図っているが、カルボン酸とエポキシは常温でも反応が進むために、保存安定性が悪く、アルカリ現像型のソルダーレジストは一般的に使用前に混合する2液性の形態をとっている場合が多い。無機フィラーを使用する場合もあり、例えば、タルク、硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。
基板の表面にレジスト層を形成する方法は、いかなる方法でもよいが、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法、スプレー法、ディップ法、カーテンコート法、バーコート法、エアナイフ法、ホットメルト法、グラビアコート法、刷毛塗り法、オフセット印刷法が挙げられる。ドライフィルムレジストの場合は、ラミネート法が好適に用いられる。
露光工程では、レジスト層に対して活性光線を照射する。キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、UV蛍光灯を光源とした反射画像露光、フォトマスクを用いた片面、両面密着露光や、プロキシミティ方式、プロジェクション方式やレーザ走査露光等を使用することができる。走査露光を行う場合には、UVレーザ、He−Neレーザ、He−Cdレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンイオンレーザ、ルビーレーザ、YAGレーザ、窒素レーザ、色素レーザ、エキシマレーザ等のレーザ光源を発光波長に応じてSHG波長変換した走査露光、あるいは、液晶シャッター、マイクロミラーアレイシャッターを利用した走査露光によって露光することができる。
現像工程では、未露光部のレジスト層を現像液で現像する。薄膜化工程と異なり、未露光部のレジスト層を完全に除去する。現像方法としては、使用するレジスト層に見合った現像液を用い、基板表面に向かってスプレーを噴射する方法が一般的である。現像液としては、薄膜化処理に使用される薄膜化処理液(アルカリ水溶液)よりも低濃度のアルカリ水溶液が使用される。現像液(低濃度アルカリ水溶液)としては、0.3〜3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が一般的である。
エッチング工程では、「プリント回路技術便覧」((社)日本プリント回路工業会編、1987年刊行、(株)日刊工業新聞社刊)記載の方法等を使用することができる。エッチング液は金属層を溶解除去できるもので、また、少なくともレジスト層が耐性を有しているものであればよい。一般に金属層に銅を使用する場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液等を使用することができる。
レジスト層の薄膜化工程とは、アルカリ水溶液によってレジスト層中の光架橋性樹脂成分をミセル化させるミセル化処理(薄膜化処理)、次にpH5〜9のアルカリ水溶液によってミセルを除去するミセル除去処理を含む工程である。さらに、除去しきれなかったレジスト層表面や残存付着したアルカリ水溶液を水洗によって洗い流す水洗処理、水洗水を除去する乾燥処理も含むこともできる。
薄膜化処理液として使用されるアルカリ水溶液とは、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アンモニウムリン酸塩、アンモニウム炭酸塩等の無機アルカリ性化合物の水溶液やモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド(コリン)等の有機アルカリ性化合物の水溶液が挙げられる。上記無機アルカリ性化合物及び有機アルカリ性化合物は、混合物としても使用できる。
アルカリ性化合物の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下で使用できる。また、レジスト層表面をより均一に薄膜化するために、アルカリ水溶液に、硫酸塩、亜硫酸塩を添加することもできる。硫酸塩又は亜硫酸塩としては、リチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属硫酸塩又は亜硫酸塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩又は亜硫酸塩が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、これらの中でも特に、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物、及び、TMAH、コリンから選ばれる有機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物及び有機アルカリ性化合物の含有量が5〜25質量%であるアルカリ水溶液が、表面をより均一に薄膜化できるため、好適に使用できる。5質量%未満では、薄膜化する処理でムラが発生しやすくなる場合がある。また、25質量%を超えると、無機アルカリ性化合物の析出が起こりやすく、液の経時安定性、作業性に劣る場合がある。アルカリ性化合物の含有量は7〜17質量%がより好ましく、8〜13質量%がさらに好ましい。アルカリ水溶液のpHは10以上とすることが好ましい。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜添加することもできる。
アルカリ水溶液による薄膜化処理は、ディップ槽中のアルカリ水溶液にレジスト層が形成された基板を浸漬(ディップ、dip)することによって行われる。ディップ処理以外の処理方法は、アルカリ水溶液中に気泡が発生しやすく、その発生した気泡が薄膜化処理中にレジスト層表面に付着して、膜厚が不均一となる場合がある。
本考案のレジスト槽の薄膜化処理装置を用いたレジストパターンの形成方法では、レジスト層形成後の厚みとアルカリ水溶液処理によってレジスト層が薄膜化された量で、レジスト層の厚みが決定される。また、0.01〜500μmの範囲で薄膜化量を自由に調整することができる。
本考案のレジスト層の薄膜化処理装置は、アルカリ水溶液によってレジスト層を薄膜化処理するためのディップ槽と、レジスト層が形成された基板をアルカリ水溶液中に浸漬されたままの状態で搬送する搬送ロール対とを備えてなる。そして、基板のレジスト層に気泡が付着することを抑制するために、気泡抑制装置を備えていることを特徴としている。図7〜17を用いて、本考案のレジスト層の薄膜化処理装置を説明する。
気泡抑制装置の一例として気泡誘導板が挙げられる。気泡誘導板とは、アルカリ水溶液中で発生した気泡が、薄膜化処理の際にレジスト層に付着するのを直接的あるいは間接的に抑制するためのものである。例えば、アルカリ水溶液によるレジスト層の薄膜化処理において、ディップ槽内に設置し、発生した気泡がレジスト層に付着するのを直接的に抑制する。また、ディップ槽との間でアルカリ水溶液を循環させるためのアルカリ水溶液貯蔵タンク内に気泡誘導板を設置し、ディップ槽からオーバーフローしたアルカリ水溶液がアルカリ水溶液貯蔵タンクに回収される際に発生する気泡を誘導しつつ、レジスト層に気泡が付着するのを間接的に抑制する。
図7〜9は、本考案の薄膜化処理装置の一例を示す概略断面図である。図7及び8はCD方向から見た概略断面図であり、図9はMD方向から見た概略断面図である。これらの薄膜化処理装置は、レジスト層が形成された基板8を搬送ロール対12によって、ディップ槽10中のアルカリ水溶液9に浸漬した状態で搬送し、レジスト層の薄膜化処理を行う薄膜化処理装置である。アルカリ水溶液9は、装置下部のアルカリ水溶液貯蔵タンク13からアルカリ水溶液供給ポンプ14にてアルカリ水溶液供給口11を介してディップ槽10に供給され、オーバーフローさせる。オーバーフローしたアルカリ水溶液9は、アルカリ水溶液回収槽30に回収され、回収管21を通って回収管排出口22よりアルカリ水溶液貯蔵タンク13に貯蔵されることで、ディップ槽10とアルカリ水溶液貯蔵タンク13との間を循環する。
図7〜9に示す薄膜化処理装置には、アルカリ水溶液供給口11と搬送ロール対12との間に気泡誘導板(1)16が設置されている。気泡誘導板(1)16により、薄膜化処理装置内のアルカリ水溶液循環過程で発生した気泡15が薄膜化処理中のレジスト層が形成された基板8よりも薄膜化処理装置幅方向の外側の領域に誘導され、搬送中のレジスト層が形成された基板8に付着することを防ぐことができる。
ディップ槽10内に設置される気泡誘導板(1)16の設置位置は、ディップ槽10を上から見た際に、アルカリ水溶液供給口11が気泡誘導板(1)16の領域に隠れて見えなくなる位置関係であればよい。また、気泡誘導板(1)16の設置高さは、ディップ槽10内のアルカリ水溶液供給口11と搬送ロール対12の間の高さであれば、いずれの高さであってもよい。
気泡誘導板(1)16の大きさについて、薄膜化処理装置の搬送方向に対し、長さ方向は、アルカリ水溶液供給口11の直径以上、ディップ槽10の長さ以下の範囲であればよい。薄膜化処理装置の搬送方向に対し、長さ方向がアルカリ水溶液供給口11の直径未満であると、気泡を誘導する能力が不足してしまう場合がある。薄膜化処理装置の搬送方向に対し、幅方向は、レジスト層が形成された基板8の幅以上、ディップ槽10の幅未満であればよい。薄膜化処理装置の搬送方向に対し、幅方向が、レジスト層が形成された基板8の幅未満であると、気泡を誘導する能力が不足してしまう場合がある。
図10〜12は、本考案の薄膜化処理装置の一例を示す概略断面図であり、MD方向から見た概略断面図である。図10〜12に示す薄膜化処理装置には、アルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に気泡誘導板(2)18又は気泡誘導板(3)19が設置されている。アルカリ水溶液9が回収管21を通って回収管排出口22よりアルカリ水溶液貯蔵タンク13に排出される際に発生した気泡15は、気泡誘導板(2)18又は気泡誘導板(3)19により遮蔽され、液中を浮上する方向に誘導される。これによって、供給ポンプ吸込口17から気泡15が吸い込まれるのを抑制でき、搬送中のレジスト層が形成された基板8に付着することを防ぐことができる。
アルカリ水溶液貯蔵タンク13内に設置される気泡誘導板の設置位置は、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9が接触する点と供給ポンプ吸込口17との間の位置である。また、アルカリ水溶液貯蔵タンク13内に設置する気泡誘導板は、その設置方法によって、気泡誘導板(2)18と気泡誘導板(3)19の二種類に分類することができる。図10に示すように、気泡誘導板(2)18は、その上端がアルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23の高さより低く、下端をアルカリ水溶液貯蔵タンク13の底面に固定して設置されている。また、図11に示すように、気泡誘導板(3)19は、その上端がアルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23の高さより高く、下端がアルカリ水溶液貯蔵タンク13の底面に完全に接触していない形で、又は、一部接触していない形で、固定して設置されている。気泡誘導板(2)18と気泡誘導板(3)19は、各々単体で使用した場合であっても気泡誘導効果が得られるが、例えば、図12に示すように、組み合わせて利用することによって、気泡誘導効果が向上する。さらに、気泡誘導板(2)18と気泡誘導板(3)19を複数枚組み合わせて使用することもでき、これによりさらに大きな気泡誘導効果が得られる。
気泡誘導板の材料にはアルカリ水溶液に対して耐性のある各種材料を用いることができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン樹脂等の合成樹脂、ガラス繊維強化ポリプロピレン、ガラス繊維強化エポキシ樹脂等の繊維強化プラスチック、チタン、ハステロイ(登録商標)等の耐食性金属材料等の材料を用いることができる。これらのうち、加工が容易であることから、硬質ポリ塩化ビニルが好適に用いられる。
気泡誘導板の形状は、円形、楕円形、正方形や長方形等の四辺形、五角形、六角形等の多角形、直線と弧からなるような任意の形状等にすることができるが、加工と設置のしやすさから正方形か長方形であることが好ましい。さらに、気泡誘導板(1)16における薄膜化装置搬送方向の始点と終点の端部下向きに、かえし26を設置することも可能である。かえし26を設置した薄膜化処理装置を側面(CD方向)から見た時の概略断面図を図8に示す。気泡誘導板(1)16にかえし26を設置することで、薄膜化処理装置搬送方向に対し、幅方向への気泡誘導効果が向上する。また、気泡誘導板(1)16を薄膜化処理装置搬送方向に対し、幅方向にV字型に傾斜させることで、幅方向にさらに優先的に気泡を誘導することができる。気泡誘導板(1)16を薄膜化処理装置搬送方向に対し、幅方向にV字型に傾斜させた場合の薄膜化処理装置を正面(MD方向)から見た時の概略断面図を図9に示す。さらに、図8と図9に示した構造を組み合わせた気泡誘導板(1)(すなわち、かえし設置とV字型加工)では、気泡誘導効果がさらに向上するため好ましい。
気泡抑制装置の別の一例として、アルカリ水溶液貯蔵タンクに貯蔵されているアルカリ水溶液の液面よりも下に設置された回収管排出口が挙げられる。すなわち、アルカリ水溶液の送液に使用される回収管における回収管排出口の高さを、送液先のアルカリ水溶液貯蔵タンクにおけるアルカリ水溶液の液面位置よりも低くする方法が挙げられる。上方から下方へアルカリ水溶液を送る際、回収管排出口が下方におけるアルカリ水溶液の液面よりも下にあれば、回収管排出口と下方のアルカリ水溶液の液面との間で、アルカリ水溶液が空気と接触し難くなるので、気泡の発生を抑制することができる。
図13及び14に示す薄膜化処理装置は、本考案の薄膜化処理装置の一例を示す概略断面図であり、MD方向から見た概略断面図である。図13及び14に示す薄膜化処理装置では、回収管21の回収管排出口22がアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液の液面23よりも下になるように設置されている。アルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23に到達した瞬間のアルカリ水溶液9は空気と接触していないため、アルカリ水溶液9中に空気をかみ込んで発泡することが抑制される。これによって、搬送中のレジスト層が形成された基板8に気泡15が付着することを防ぐことができる。
回収管排出口22は、回収管21の端部であり、アルカリ水溶液貯蔵タンク13への注ぎ口である。回収管排出口22は、アルカリ水溶液貯蔵タンク13内部のアルカリ水溶液の液面23よりも低くなるように設置する。ここで、アルカリ水溶液供給ポンプ14を始動して、アルカリ水溶液9を循環する以前の回収管21は空気で満たされているため、循環開始直後のアルカリ水溶液9が回収管排出口22からアルカリ水溶液貯蔵タンク13に到達した瞬間は気泡15が発生する。その後、循環を続ければ気泡15は発生しなくなるため、アルカリ水溶液供給ポンプ14始動から一定の時間後に薄膜化処理を開始することで、搬送中のレジスト層が形成された基板8に気泡15が付着することを防ぐことができる。
また、アルカリ水溶液供給ポンプ14の始動直後から回収管21内部をアルカリ水溶液9で完全に満たす方法もある。例えば、図14に示すように、アルカリ水溶液貯蔵タンク13内において、アルカリ水溶液の液面23と回収管排出口22の間の位置に、バルブ24を設置する。薄膜化処理装置のアルカリ水溶液9の循環を開始する前にバルブ24を閉じておき、バルブ24より上部の回収管21がアルカリ水溶液9で満たされた後にバルブ24を開けることで、循環開始直後から循環中の回収管21内部をアルカリ水溶液9で満たすことができる。この方法により、本考案の薄膜化処理装置では、アルカリ水溶液9が回収管21の回収管排出口22からアルカリ水溶液貯蔵タンク13へと注ぎ込まれる際に気泡15が発生することを抑制することが可能となり、搬送中のレジスト層が形成された基板8に気泡15が付着することを防ぐことができる。
気泡抑制装置の別の一例として、超音波発生装置(sonicator、ultrasonic generator)が挙げられる。アルカリ水溶液中で超音波発生装置を用いて超音波を使用することにより、アルカリ水溶液を振動・対流させ、液中に浮遊する気泡及びレジスト層に付着した気泡を空気中に浮上させ、脱泡することができる。超音波発生装置は、ディップ槽内、アルカリ水溶液貯蔵タンク内に設置することができる。
図15に示す薄膜化処理装置は、本考案の薄膜化処理装置の一例を示す概略断面図であり、MD方向から見た概略断面図である。図15に示す薄膜化処理装置には、ディップ槽10内に超音波発生装置(1)20が設置されている。ディップ槽10に超音波発生装置(1)20を設置することにより、アルカリ水溶液供給口11からディップ槽10に供給されるアルカリ水溶液9に混入した気泡を空気中に浮上させることができるだけでなく、混入した気泡がレジスト層に付着してしまった場合でも、超音波による振動により除去し、レジスト層が形成された基板8に気泡が付着することを防ぐことができる。特に、露光工程とアルカリ水溶液による薄膜化処理を含む薄膜化工程を繰り返すことで段階的に未露光部のレジスト層を薄膜化する場合、レジスト層の露光部と未露光部の境界にできた段差内部に気泡が残りやすくなるが、超音波によって段差内部の気泡も即座に空気中に浮上させることができる。
図16に示す薄膜化処理装置は、本考案の薄膜化処理装置の一例を示す概略断面図であり、MD方向から見た概略断面図である。また、図16に示す薄膜化処理装置には、アルカリ水溶液貯蔵タンク13内に超音波発生装置(2)25が設置されている。超音波発生装置(2)25により、アルカリ水溶液9が回収管排出口22からアルカリ水溶液貯蔵タンク13に貯蔵される際に発生する気泡を供給ポンプ吸込口17に到達しないうちに空気中に浮上させ、搬送中のレジスト層が形成された基板8に付着することを防ぐことができる。
超音波発生装置について説明する。超音波によって液中の気泡を除去する方法は、真空減圧方式、遠心分離方式、サイクロン方式などに比べ、液体の温度変化が小さく、また超音波を照射した直後から効果があり、簡便かつ即効性の点で優れている。超音波発生装置は、超音波振動の発振周波数は一定のものでも、ある周波数変化のサイクルで周波数を変化させながら発振できるものでもよい。例えば、アルカリ処理液が循環し、液流れがある場合には、振動を均一に与えることが重要になるため、周波数を変化させながら発振する方が好ましい。また、発振出力も変化させながら発振できるものが好ましい。
超音波発生装置(1)20の設置位置は、ディップ槽10内のアルカリ水溶液9中で、アルカリ水溶液供給口11付近のディップ槽10底部にあることが好ましい。また、超音波発生装置(2)25は、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9が接触する点と供給ポンプ吸込口17との間の位置であることが好ましい。
超音波発生装置の設置数は、薄膜化処理するレジスト層が形成された基板の寸法とディップ槽又はアルカリ水溶液貯蔵タンクの容量に合わせて適宜選択することができる。レジスト層が形成された基板に均一に超音波が照射されるように、また、振動子から発振された超音波の分布が重ならないように設置することが好ましい。
気泡抑制装置の別の一例として、アルカリ水溶液噴出口が挙げられる。ディップ槽において、アルカリ水溶液の液面よりも低い位置からアルカリ水溶液をレジスト層表面に噴出させることにより、レジスト層表面にアルカリ水溶液の液流れを発生させ、これによって、レジスト層に気泡が付着することを抑制することができる。
図17に示す薄膜化処理装置は、本考案の薄膜化処理装置の一例を示す概略断面図であり、CD方向から見た概略断面図である。図17に示す薄膜化処理装置では、噴出口用供給ポンプ28から供給管29を通じて供給されるアルカリ水溶液9をレジスト層が形成された基板8に向けて噴出するアルカリ水溶液噴出口27がディップ槽10内に設置されている。アルカリ水溶液噴出口27から噴出されるアルカリ水溶液9の水圧によって、レジスト層が形成された基板8に接触しているアルカリ水溶液9に絶えず液流れが発生するため、薄膜化処理装置内のアルカリ水溶液循環過程で発生した気泡15が、搬送中にレジスト層が形成された基板8に付着することを防ぐことができる。
アルカリ水溶液噴出口について説明する。アルカリ水溶液噴出口27は、ディップ槽10のアルカリ水溶液9の液面よりも低い位置にあり、薄膜化処理中のレジスト層が形成された基板8の上下面に対してアルカリ水溶液9を噴出できる位置に設置される。図17においては、アルカリ水溶液供給ポンプ14と噴出口用供給ポンプ28を別々に二つ設置しているが、一つのポンプによってアルカリ水溶液供給口11とアルカリ水溶液噴出口27の両方にアルカリ水溶液9を供給することも可能である。
アルカリ水溶液噴出口から噴出される圧力、流量について説明する。噴出されるアルカリ水溶液の圧力は、0.01〜0.5MPaが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3MPa、さらに好ましくは0.1〜0.3MPaである。アルカリ水溶液の供給流量は、レジスト層1cm2当たり0.03〜1.0L/minが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0L/min、さらに好ましくは0.1〜1.0L/minである。噴出されるアルカリ水溶液の圧力やレジスト層1cm2当たりのアルカリ水溶液の供給流量が不足すると、薄膜化処理装置内のアルカリ水溶液循環過程で発生した気泡が、薄膜化処理中のレジスト層が形成された基板に付着してしまう場合がある。一方、圧力や供給流量が過剰になると、ディップ槽内のアルカリ水溶液の液流れが激しくなり新たな気泡が発生する可能性が高くなる。また、供給に必要なポンプ等の部品が大きくなり、大掛かりな装置が必要になる。さらに、圧力や供給流量が必要以上に過剰になっても、薄膜化処理中のレジスト層が形成された基板に対する気泡付着防止に与える影響が変わらなくなることがある。
アルカリ水溶液噴出口の形状は、上記圧力、流量を満足できるものであれば特に制限は無く、各種形状のシャワーノズル、配管やチューブをカットした断面やそれらに開けた穴等からアルカリ水溶液を噴出させて使用することができる。アルカリ水溶液噴出口の方向は、薄膜化処理中のレジスト層表面に効率よく液流れを作るために、レジスト層表面に垂直な方向に対して、傾いた方向から噴出するのがよい。
供給管29とは、噴出口用供給ポンプ28によって吸い込まれたアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液噴出口27に導く管のことである。噴出口用供給ポンプ28からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液噴出口27に導くことができれば、供給管29の形状や太さや長さは自由に決めることができる。また、供給管29の本数は一本でも良いし、複数本であってもよい。
本考案に係わる気泡抑制装置は、単独で使用してもよいし、種々組み合わせて使用してもよい。例えば、ディップ槽内とアルカリ水溶液貯蔵タンク内の両方で気泡の発生を抑制する場合、ディップ槽内及びアルカリ水溶液貯蔵タンク内に気泡誘導板を設置し、さらに、アルカリ水溶液貯蔵タンク内の適切な位置に回収管排出口を設置することが好ましい。ディップ槽内における気泡誘導板の設置は、例えアルカリ水溶液貯蔵タンク内で発生した気泡がアルカリ水溶液供給口からディップ槽に持ち込まれたとしても、気泡がレジスト層表面に付着するのを間際で防止することができるため、特に有効である。ディップ槽における超音波発生装置やアルカリ水溶液噴出口の設置は、パターンの露光工程後、未露光部を薄膜化工程で薄膜化し、再度パターンの露光工程を行い、次に再び薄膜化工程で薄膜化して、レジスト層の段差構造を形成する場合に特に効果がある。
図18に示す薄膜化処理装置は、本考案の薄膜化処理装置の一例を示す概略断面図であり、MD方向から見た概略断面図である。図18に示す薄膜化処理装置では、気泡抑制装置として、気泡誘導板(1)16及び気泡誘導板(2)18並びに気泡誘導板(3)19とアルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23よりも下に設置された回収管排出口22とを併用している。
レジスト層の薄膜化処理装置におけるディップ槽10及びアルカリ水溶液回収槽30について説明する。アルカリ水溶液9の循環について、アルカリ水溶液供給口11からディップ槽10内にアルカリ水溶液9が供給され、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9がアルカリ水溶液回収槽30に回収される。アルカリ水溶液回収槽30に回収されたアルカリ水溶液9は、回収管21を通じてアルカリ水溶液貯蔵タンク13に導かれ、供給ポンプ吸込口17からアルカリ水溶液供給ポンプ14を通じて再びアルカリ水溶液供給口11よりディップ槽10内に送られ、循環される。
アルカリ水溶液9の温度は、アルカリ水溶液貯蔵タンク13内に設置された加温用ヒーター、冷却水を循環させた冷却管等によって制御することができる。温度制御用の温度計は、アルカリ水溶液貯蔵タンク13内だけでなくディップ槽10にも設置することが好ましく、これによって循環経路内のアルカリ水溶液9の温度はより一定に保たれる。ディップ槽10の大きさは、搬送ロール対12によってレジスト層が形成された基板8が搬送されて薄膜化処理される際、レジスト層にアルカリ水溶液が接触する大きさであれば特に制限は無く、自由に決めることができる。また、アルカリ水溶液回収槽30の形状や大きさは、ディップ槽10からアルカリ水溶液9のオーバーフローを回収できるようになっていればよく、自由に決めることができる。
搬送ロール対12の形状及び材質は、レジスト層が形成された基板を搬送することができるものであれば特に制限は無く、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂(テフロン(登録商標)等)等が利用できる。また、搬送ロール対12の設置位置及び本数は、レジスト層が形成された基板8を搬送することができれば、図示された設置位置及び本数に限定されるものではない。
回収管21とは、ディップ槽10からオーバーフローしてアルカリ水溶液回収槽30に回収されたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13に導く管のことである。ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13に導くことができれば、回収管21の形状や太さや長さは自由に決めることができる。また、回収管21の本数は一本でも良いし、複数本であってもよい。
アルカリ水溶液供給口11の好ましい直径は、ディップ槽10の容量によって変化するが、通常10〜40mmである。また、アルカリ水溶液供給口11の位置は、ディップ槽10の底部であればどこでも可能である。アルカリ水溶液供給口11が一つの場合はディップ槽10内のアルカリ水溶液9の循環効率から、ディップ槽10底部の中央付近であることが好ましい。また、アルカリ水溶液供給口11をディップ槽10側面に設置すると、アルカリ水溶液9内の気泡15の動きが複雑になるため、気泡抑制装置によって気泡を抑制することが困難になる場合がある。また、アルカリ水溶液供給口11をディップ槽10上部に設置すると、アルカリ水溶液9の供給の際に新たな気泡15を発生させる可能性が高くなる場合がある。
レジスト層の薄膜化処理装置に使用される材料は、特に限定されない。アルカリ水溶液に接する部品においては、アルカリ水溶液に対して耐性のある各種材料を用いることができる。
レジスト層の薄膜化工程のミセル化処理(薄膜化処理)において、アルカリ水溶液によってレジスト層中の光架橋性樹脂成分がミセル化された後、ミセル除去処理において、該アルカリ水溶液よりも希薄なアルカリ性化合物を含有するpH5〜9の水溶液によってミセルが除去され、レジスト層の薄膜化が進行する。水溶液のpHが5未満では、水溶液中に溶け込んだレジスト層成分が凝集し、不溶性のスラッジとなって薄膜化後のレジスト層表面に付着する恐れがある。一方、水溶液のpHが9を超えると、レジスト層の溶解拡散が促進され、面内で処理ムラが発生しやすくなることがあるため好ましくない。また、水溶液のpHは、硫酸、リン酸、塩酸等を用いて調整することができる。また、pH5〜9の水溶液の供給方法としては、レジスト層の溶解拡散速度と液供給の均一性の点からスプレー方式が最も好ましい。スプレー圧は、0.01〜0.5MPaとするのが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.3MPaである。さらに、スプレーの方法は、レジスト層表面に効率よく液流れを作るために、レジスト層表面に垂直な方向に対して傾いた方向から噴射するのがよい。
pH5〜9の水溶液によってミセルを除去した後、さらに、除去しきれなかったレジスト層表面や残存付着したアルカリ水溶液を水洗処理によって洗い流す。水洗処理の方法としては、拡散速度と液供給の均一性の点からスプレー方式が好ましい。
乾燥処理では、熱風乾燥、室温送風乾燥のいずれも用いることができるが、エアブロワを用いて大量の空気を送気し、エアスリットノズルから高圧の空気をレジスト層表面に吹き付けて、表面上の水を除去する方法が好ましい。
以下、実施例によって本考案をさらに詳しく説明するが、本考案はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有し、アルカリ水溶液供給口11の直上に搬送方向の長さ500mm、幅400mmの気泡誘導板(1)16が設置された薄膜化処理装置(図7)にて、アルカリ水溶液供給口11からアルカリ水溶液9を供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例2)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有し、アルカリ水溶液供給口11の直上に搬送方向の長さ250mm、幅400mmの気泡誘導板(1)16が設置され、気泡誘導板の搬送方向の始点と終点の端部には高さ10mmのかえし26が取り付けてある薄膜化処理装置(図8)にて、アルカリ水溶液供給口11からアルカリ水溶液9を供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層の薄膜化処理を行った。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例3)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有し、アルカリ水溶液供給口11の直上に搬送方向の長さ250mm、幅400mmであり、幅方向の中央部と端部の高低差が30mmのV字型形状の気泡誘導板(1)16が設置された薄膜化処理装置(図9)にて、アルカリ水溶液供給口11からアルカリ水溶液9を供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。レジスト層3を基板の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例4)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有し、アルカリ水溶液供給口11の直上に搬送方向の長さ20mm、幅340mmであり、幅方向の中央部と端部の高低差が60mmのV字型形状の気泡誘導板(1)16が設置され、気泡誘導板の搬送方向の始点と終点の端部には高さ60mmのかえし26が取り付けてある薄膜化処理装置にて、アルカリ水溶液供給口11からアルカリ水溶液9を供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(比較例1)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有した薄膜化処理装置(図5〜6)にて、アルカリ水溶液供給口11からアルカリ水溶液9を供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、気泡の付着が原因とみられる無数の処理ムラが発生していた。
(実施例5)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液回収槽30からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に導く回収管21、搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から350mmの高さ位置に設置された回収管排出口22、アルカリ水溶液貯蔵タンク13側面でアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さ位置に設置された供給ポンプ吸込口17、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9とが接触する点から200mmの位置(供給ポンプ吸込口17から500mmの位置)にアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部に固定された高さ200mm、幅700mm、厚み10mmの気泡誘導板(2)18が設置された薄膜化処理装置(図10)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23の高さは、アルカリ水溶液貯蔵タンク13の底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例6)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液回収槽30からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に導く回収管21、搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から350mmの高さ位置に設置された回収管排出口22、アルカリ水溶液貯蔵タンク13側面でアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さ位置に設置された供給ポンプ吸込口17、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9とが接触する点から200mmの位置(供給ポンプ吸込口17から500mmの位置)にアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さの位置に固定された高さ200mm、幅700mm、厚み10mmの気泡誘導板(3)19が設置された薄膜化処理装置(図11)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13の底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例7)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液回収槽30からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に導く回収管21、搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から350mmの高さ位置に設置された回収管排出口22、アルカリ水溶液貯蔵タンク13側面でアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さ位置に設置された供給ポンプ吸込口17、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9とが接触する点から200mmの位置(供給ポンプ吸込口17から500mmの位置)にアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部に固定された高さ200mm、幅700mm、厚み10mmの気泡誘導板(2)18、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9とが接触する点から350mmの位置(供給ポンプ吸込口17から350mmの位置)にアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さの位置に固定された高さ200mm、幅700mm、厚み10mmの気泡誘導板(3)19が備えられた薄膜化処理装置(図12)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13の底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(比較例2)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液回収槽30からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に導く回収管21、搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から350mmの高さ位置に設置された回収管排出口22、アルカリ水溶液貯蔵タンク13側面でアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さ位置に供給ポンプ吸込口17が設置された薄膜化処理装置(図5〜6)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13の底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、気泡の付着が原因とみられる無数の処理ムラが発生していた。
(実施例8)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液回収槽30からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に導く回収管21、搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から150mmの高さ位置に設置された回収管排出口22、アルカリ水溶液貯蔵タンク13側面でアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さ位置に供給ポンプ吸込口17が設置された薄膜化処理装置(図13)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13におけるアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。なお、レジスト層3の薄膜化処理は、アルカリ水溶液供給ポンプ14を始動させてから1時間経過後に行った。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例9)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液回収槽30からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に導く回収管21、搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から150mmの高さ位置に設置された回収管排出口22、回収管排出口22から50mmの高さ位置に設置されたバルブ24、アルカリ水溶液貯蔵タンク13側面でアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さ位置に供給ポンプ吸込口17が設置された薄膜化処理装置(図14)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13におけるアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。なお、レジスト層3の薄膜化処理は、アルカリ水溶液供給ポンプ14を始動させてから1時間経過後に行った。なお、レジスト層3の薄膜化処理開始に際して、回収管21に取り付けたバルブ24を閉じてからアルカリ水溶液供給ポンプ14を始動させ、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9によって回収管21内部が完全に満たされた後に、バルブ24を開放する操作を行った。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例10)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有し、アルカリ水溶液供給口11から搬送方向前側に150mm、幅方向右側に150mm、離れた位置に超音波発生装置(1)20が1台と搬送方向後側に150mm、幅方向左側に150mm、離れた位置に超音波発生装置(1)20が1台設置された薄膜化処理装置(図15)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13におけるアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例11)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液回収槽30からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に導く回収管21、搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から350mmの高さ位置に設置された回収管排出口22、アルカリ水溶液貯蔵タンク13側面でアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さ位置に設置された供給ポンプ吸込口17、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9が接触する点から200mmの位置(供給ポンプ吸込口17から500mmの位置)に超音波発生装置(2)25が設置された薄膜化処理装置(図16)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。供給ポンプを運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13におけるアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例12)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、長さ10mm、線幅100μmの線が100μm間隔で21本並んだ露光原稿用フォトマスク4を用いて一回目の密着露光(露光量80mJ/cm2)を行った。
露光後、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離し、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有し、アルカリ水溶液供給口11から搬送方向前側に150mm、幅方向右側に150mm、離れた位置に超音波発生装置(1)20が1台と搬送方向後側に150mm、幅方向左側に150mm、離れた位置に超音波発生装置(1)20が1台設置された薄膜化処理装置を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、一回目の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13におけるアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に15秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ16μmであった。
次に、長さ10mm、線幅100μmの線が100μm間隔で21本並んだ露光原稿用フォトマスク4を用いて二回目の密着露光を行った。この際、一回目の密着露光の向きからフォトマスクを90°回転させた状態で密着露光(露光量80mJ/cm2)を行った。
露光後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、一回目と同様に超音波照射しながら二回目の薄膜化処理を行った。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9にレジスト層3を15秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ、8μmであった。
100μm四方の四角形のレジスト層3の薄膜化部が400箇所形成されていることが確認でき、いずれの薄膜化部においても、気泡による薄膜化の処理ムラは発生していなかった。
(比較例3)
二回目の薄膜化処理において超音波照射を行わないこと以外は、実施例12と同様の方法でレジスト層3を薄膜化した。100μm四方の四角形のレジスト層3における薄膜化部が400箇所形成されている箇所を確認できたが、気泡による薄膜化の処理ムラが発生し、厚膜になっている箇所が150点発生していた。
(比較例4)
一回目、二回目ともに薄膜化処理において超音波照射を行わないこと以外は、実施例12と同様の方法でレジスト層3を薄膜化した。100μm四方の四角形のレジスト層3の薄膜化部が400箇所形成されている箇所を確認できたが、気泡による薄膜化の処理ムラが発生し、厚膜になっている箇所が159点発生していた。
(実施例13)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積50mm×50mm、銅箔厚み18μm、基材厚み0.4mm)にサブトラクティブ法にて、導体配線2の長さ20mm、導体配線2の幅100μm、導体配線2間の距離100μmの回路基板を作製した。次に、ソルダーレジスト(タムラ製作所社(TAMURA CORPORATION)製、商品名:DSR−330S32−21)の主剤と硬化剤を混合した後、上記回路基板上の全面にアプリケーターを用いて塗工し、70℃、30分間の乾燥を行った。これにより、絶縁層1表面からレジスト層3表面までの膜厚が50μmのレジスト層3を形成した。
次に、導体配線2の始点と終点にあたる部分を接続パッド6とみなし、始点と終点にあたる部分の端から200μm以外の領域に活性光線5が照射されるようなパターンを有する露光原稿用フォトマスク4を用いて、一回目の密着露光(露光量300mJ/cm2)を行った。
露光後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%のメタケイ酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有し、アルカリ水溶液供給口11から搬送方向前側に150mm、幅方向右側に150mm、離れた位置に超音波発生装置(1)20が1台と搬送方向後側に150mm、幅方向左側に150mm、離れた位置に超音波発生装置(1)20が1台設置された薄膜化処理装置を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、一回目の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13におけるアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13底面から250mmであった。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に40秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ29μmであった。
次に、導体配線2の始点と終点にあたる部分を接続パッド6とみなし、始点と終点にあたる部分の端から100μm以外の領域に活性光線5が照射されるようなパターンを有する露光原稿用フォトマスク4を用いて、二回目の密着露光(露光量300mJ/cm2)を行った。
露光後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%のメタケイ酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、一回目と同様に超音波照射しながら二回目の薄膜化処理を行った。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9にレジスト層3を40秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ、8μmであった。この時、二回目の薄膜化後のレジスト層3表面は、導体配線2よりも下にあり、導体配線2が露出されていることが確認できた。
レジスト層3が薄膜化されたことによって露出した導体配線2が200箇所確認でき、いずれの薄膜化部においても、気泡による薄膜化の処理ムラは発生していなかった。
(比較例5)
二回目の薄膜化処理において超音波照射を行わないこと以外は、実施例13と同様の方法でレジスト層3を薄膜化した。
レジスト層3が薄膜化されたことによって露出した導体配線2を確認することができたが、気泡による薄膜化の処理ムラが発生し、導体配線2が完全に露出していない箇所が70点発生していた。
(比較例6)
一回目、二回目ともに薄膜化処理において超音波照射を行わないこと以外は、実施例13と同様の方法でレジスト層3を薄膜化した。
レジスト層3が薄膜化されたことによって露出した導体配線2を確認することができたが、気泡による薄膜化の処理ムラが発生し、導体配線2が完全に露出していない箇所が78点発生していた。
(実施例14)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11、ディップ槽10からオーバーフローし、アルカリ水溶液回収槽30に回収されたアルカリ水溶液9を貯蔵する搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9を噴出口用供給ポンプ28から供給管29を通じてレジスト層3が形成された基板8に向けて噴出するアルカリ水溶液噴出口27をディップ槽10内に備えた薄膜化処理装置(図17)にて、アルカリ水溶液供給口11とアルカリ水溶液噴出口27からアルカリ水溶液9を供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。アルカリ水溶液噴出口27からのアルカリ水溶液の供給は、圧力が0.2MPa、レジスト層3の1cm2当たりの供給流量0.2L/minとなるよう調整し、レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。
(実施例15)
プリント配線板用基板(絶縁層1:ガラス基材エポキシ樹脂、金属層7:銅箔、面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.2mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層3を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、薄膜化処理液(アルカリ水溶液9)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、搬送方向の長さが500mm、幅750mm、深さ200mmのディップ槽10、ディップ槽10底面の中央部に直径20mmのアルカリ水溶液供給口11を有し、アルカリ水溶液供給口11の直上に搬送方向の長さ20mm、幅340mmであり、幅方向の中央部と端部の高低差が60mmのV字型形状の気泡誘導板(1)16が設置され、気泡誘導板の搬送方向の始点と終点の端部に高さ60mmのかえし26(図示せず)が取り付けてあり、ディップ槽10からオーバーフローしたアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液回収槽30からアルカリ水溶液貯蔵タンク13内部に導く回収管21、搬送方向の長さが700mm、幅950mm、深さ600mmのアルカリ水溶液貯蔵タンク13、アルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から150mmの高さ位置に設置された回収管排出口22、アルカリ水溶液貯蔵タンク13側面でアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さ位置に設置された供給ポンプ吸込口17、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9とが接触する点から200mmの位置(供給ポンプ吸込口17から500mmの位置)にアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部に固定された高さ200mm、幅700mm、厚み10mmの気泡誘導板(2)18、回収管排出口22から排出されるアルカリ水溶液9とアルカリ水溶液貯蔵タンク13内のアルカリ水溶液9とが接触する点から350mmの位置(供給ポンプ吸込口17から350mmの位置)にアルカリ水溶液貯蔵タンク13底部から50mmの高さの位置に固定された高さ200mm、幅700mm、厚み10mmの気泡誘導板(3)19が備えられた薄膜化処理装置(図18)を使用し、アルカリ水溶液供給ポンプ14によってアルカリ水溶液9をアルカリ水溶液貯蔵タンク13からディップ槽10へと供給し、オーバーフローさせることでアルカリ水溶液9を循環させながら、レジスト層3の薄膜化処理を行った。レジスト層3を基板8の下面にして、アルカリ水溶液9に30秒間浸漬したままの状態で搬送ロール対12によって搬送し、ミセル除去処理、水洗処理、乾燥処理後にレジスト層3の薄膜化部の厚みを測定したところ12μmであった。アルカリ水溶液供給ポンプ14を運転している時のアルカリ水溶液貯蔵タンク13のアルカリ水溶液の液面23の高さはアルカリ水溶液貯蔵タンク13の底面から250mmであった。なお、レジスト層3の薄膜化処理は、アルカリ水溶液供給ポンプ14を始動させてから1時間経過後に行った。
薄膜化されたレジスト層3の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラの無い平滑な表面であることを確認することができた。