JP3201110U - レジスト層の薄膜化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ディップ槽中の薄膜化処理液によってレジスト層中の成分をミセル化させる薄膜化処理ユニットを備えてなるレジスト層の薄膜化装置において、基板上面のレジスト層表面の薄膜化処理液の被覆量分布を最小限に抑えることにより、レジスト層の薄膜化処理量が不均一になる問題を解決することができるレジスト層の薄膜化装置を提供する。【解決手段】薄膜化処理ユニット11が、基板3下面のレジスト層に薄膜化処理液を付与するためのディップ槽2を有し、基板3上面のレジスト層に薄膜化処理液をロール塗工で付与するための塗工ロール8が設置されている。【選択図】図2

Description

本考案は、レジスト層の薄膜化装置に関する。
電気及び電子部品の小型化、軽量化、多機能化に伴い、回路形成用のドライフィルムレジスト(dry film resist)、ソルダーレジスト(solder resist)をはじめとする感光性樹脂(感光性材料)には、プリント配線板(printed wiring board、PWB)の高密度化に対応するために、高解像度が要求されている。これらの感光性樹脂による画像形成は、感光性樹脂を露光後、現像することによって行われる。
プリント配線板の小型化、高機能化に対応するため、感光性樹脂が薄膜化される傾向がある。感光性樹脂には、液を塗布して使用するタイプのもの(液状レジスト、liquid resist)とドライフィルムタイプのもの(ドライフィルムレジスト)がある。最近では15μm以下の厚みのドライフィルムレジストが開発され、製品化も進んでいる。しかし、このような薄いドライフィルムレジストでは、従来の厚さのレジストに比べて、密着性及び凹凸への追従性が不十分となり、剥がれやボイド(void)などが発生する問題があった。
また、ドライフィルムにて高解像度化を達成する方法としては、露光前に、感光性樹脂に備えられた支持フィルムを剥離し、支持フィルムを介さずに露光する方法がある。この場合、感光性樹脂にフォトツール(photo tool、フォトマスク(photo mask))を直接密着させる場合もある。しかしながら、感光性樹脂は、通常ある程度の粘着性を有しているため、フォトツールを感光性樹脂に直接密着させて露光を行う場合、密着させたフォトツールの除去が困難となる。また、感光性樹脂によりフォトツールが汚染されたり、支持フィルムを剥離することにより感光性樹脂が大気中の酸素に曝されたりして、光感度が低下しやすくなる。
上述の点を改善するために、厚い感光性樹脂を使用しながら、高解像度が達成できる種々の手段が提案されている。例えば、サブトラクティブ(subtractive)法によって導電パターンを作製する方法において、絶縁層の片面又は両面に金属層が設けられてなる積層基板上にドライフィルムレジストを貼り付けてレジスト層を形成した後、レジスト層の薄膜化工程を行い、次に、回路パターンの露光工程、現像工程、エッチング工程を行うことを特徴とする導電パターンの形成方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、ソルダーレジストパターンを形成する方法において、導電性パターンを有する回路基板上にソルダーレジストからなるレジスト層を形成した後、レジスト層の薄膜化工程を行い、次にパターン露光工程を行い、再度レジスト層の薄膜化工程を行うことを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
また、特許文献4には、レジスト層が形成された基板を高濃度のアルカリ水溶液(薄膜化処理液)に浸漬(ディップ、dip)してレジスト層の成分のミセル(micelle)を一旦不溶化し、処理液中に溶解拡散しにくくする薄膜化処理ユニット、ミセル除去液スプレーによって一挙にミセルを溶解除去するミセル除去処理ユニット、表面を水で洗浄する水洗処理ユニット、水洗水を除去する乾燥処理ユニットの四つの処理ユニットを少なくとも含むレジスト層の薄膜化装置が開示されている。
特許文献4で開示されている薄膜化装置の一部について、図4に示した概略断面図を用いて説明する。薄膜化処理ユニット11では、投入口7からレジスト層が形成された基板3が投入される。基板3は、ディップ槽の入口ロール対(「入口ロール対」と略記する場合がある)4からディップ槽2中へと搬送され、薄膜化処理液1に浸漬した状態でディップ槽2内を搬送され、レジスト層の薄膜化処理が行われる。その後に、基板3は、ミセル除去処理ユニット12に搬送される。ミセル除去処理ユニット12では、ミセル除去処理ユニットの搬送ロール29によって搬送されてきた基板3に対し、ミセル除去液供給管20を通じてミセル除去液用ノズル21からミセル除去液スプレー22が供給される。基板3のレジスト層は、薄膜化処理ユニット11内部のディップ槽2において、高濃度のアルカリ水溶液である薄膜化処理液1によって、レジスト層成分のミセルが薄膜化処理液1に対して一旦不溶化されている。その後、ミセル除去液スプレー22によってミセルが除去されることで、レジスト層が薄膜化される。
図4に示したレジスト層の薄膜化装置では、基板3がディップ槽2中の薄膜化処理液1に浸漬した状態で搬送される。図5は、レジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽の入口ロール対4又はディップ層の出口ロール対(「出口ロール対」と略記する場合がある)5の拡大概略断面図である。入口ロール対4又は出口ロール対5を基板3が通過する際、基板3の厚み分だけ、入口ロール対4又は出口ロール対5の上側ロールが持ち上げられて、上側ロールと下側ロールとの間に隙間24ができる。そして、この隙間24を通じて、薄膜化処理液1がディップ槽2外へ流出し、ディップ槽2内の薄膜化処理液面が低下する場合がある。基板3の厚みが大きい場合には、隙間24も大きくなるため、流出する薄膜化処理液1の量が増える傾向があり、薄膜化処理液面もより低下する傾向にある。
この薄膜化処理液面の低下による問題点について、詳細に説明する。基板3が投入されていない状態では、ディップ槽の入口ロール対4とディップ槽の出口ロール対5からオーバーフロー(overflow)する薄膜化処理液1の量は少なく、ディップ槽2内の薄膜化処理液面を高い位置で維持することが可能である(図6)。ディップ槽2内の薄膜化処理液面の位置は、入口ロール対4、出口ロール対5及びディップ槽内の搬送ロール対28における上側のロールが濡れる程度であればよく、高くても低くても構わないが、基板3がディップ槽2中に搬送されている間、この位置は変わらず維持されることが好ましい。
レジスト層が形成された基板3が、入口ロール対4を通って、薄膜化処理液1が入ったディップ槽2中に搬送されると、入口ロール対4の上側ロールが持ち上げられて、上側ロールと下側ロールとの間にできた隙間24から薄膜化処理液1がディップ槽2外へ流出し、薄膜化処理液面が低下する(図7)。ディップ槽2内の薄膜化処理液面の低下は、ディップ槽2外への流出量とディップ槽2への循環供給量によって決まり、前者の方が多い場合は、薄膜化処理液面が基板3の搬送とともに徐々に低下する(図8)。図7及び図8における薄膜化処理液面は、図6における薄膜化処理液面よりも低いが、基板3上面のレジスト層表面よりも上にあるため、基板3は薄膜化処理液1によって完全に浸漬された状態である。しかし、基板3上面のレジスト層表面にある薄膜化処理液1の液膜は徐々に薄くなる。レジスト層表面が疎水性である場合、該液膜とレジスト層表面との親和性が低くなって、レジスト層表面で薄膜化処理液1が流動し、薄膜化処理液1の被覆量が不均一になる場合がある。薄膜化処理液1の被覆量が多いと、レジスト層の成分のミセル化速度は速くなり、反対に、薄膜化処理液1の被覆量が少ないと、ミセル化速度は遅くなる。そのため、薄膜化処理液1の被覆量が不均一であると、薄膜化されるレジスト層の厚みが不均一になる場合があった。
さらに、搬送方向に対して、入口ロール対4から出口ロール対5までの長さが、基板3の寸法よりも短い場合、入口ロール対4と出口ロール対5の両方において、上側ロールが持ち上げられ、上側ロールと下側ロールとの間にできた隙間24から同時に薄膜化処理液1が流出し、ディップ槽2内の薄膜化処理液面が更に低下する(図9)。図9では、基板3上面のレジスト層表面において、薄膜化処理液1が搬送の途中でなくなる。つまり、基板3の搬送方向に対し、後端に近づくほど、基板3上面のレジスト層表面における薄膜化処理液1の被覆量が少なくなり、薄膜化されるレジスト層の厚みが少なくなる場合があった。
このように、薄膜化されるレジスト層の厚みが不均一になって、薄膜化後のレジスト層に厚みの薄い部分があると、サブトラクティブ法における導電パターン形成では回路の断線の原因となり、ソルダーレジストのパターン形成では耐候性低下の原因となり、どちらも生産における歩留まりの低下につながるという問題があった。
国際公開第2009/096438号パンフレット 特開2011−192692号公報 国際公開第2012/043201号パンフレット 特開2012−27299号公報
本考案の課題は、解像性と追従性の問題を解決することができるレジストパターン形成用のレジスト層の薄膜化装置において、基板上面のレジスト層表面の薄膜化処理液の被覆量が不均一になる問題を最小限に抑えることにより、薄膜化されるレジスト層の厚みを均一にすることができるレジスト層の薄膜化装置を提供することである。
本考案者らは、下記考案によって、これらの課題を解決できることを見出した。
(1)薄膜化処理液によってレジスト層中の成分をミセル化させる薄膜化処理ユニットを備えてなるレジスト層の薄膜化装置において、
該薄膜化処理ユニットが、基板下面のレジスト層に薄膜化処理液を付与するためのディップ槽を有し、
基板上面のレジスト層に薄膜化処理液をロール塗工(roll coating)で付与するための塗工ロール(coating roll)が設置されていることを特徴とするレジスト層の薄膜化装置。
(2)複数の塗工ロールが設置されていて、該塗工ロール同士の間隔Wが、塗工ロールの半径rに対して、2r<W≦2πrである(1)記載のレジスト層の薄膜化装置。
本考案によれば、解像性と追従性の問題を解決することができるレジストパターン形成用のレジスト層の薄膜化装置において、基板上面のレジスト層表面の薄膜化処理液の被覆量が不均一になる問題を最小限に抑えることにより、薄膜化されるレジスト層の厚みを均一にすることができるレジスト層の薄膜化装置を提供することができる。
本考案のレジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽のロール配置を示す拡大概略断面図である。 本考案のレジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽のロール配置を示す拡大概略断面図である。 本考案のレジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽のロール配置を示す拡大概略断面図である。 従来技術によるレジスト層の薄膜化装置の一部を示す概略断面図である。 レジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽の入口ロール対又は出口ロール対の拡大概略断面図である。 従来技術のレジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽内の薄膜化処理液面変化を示す概略断面図である。 従来技術のレジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽内の薄膜化処理液面変化を示す概略断面図である。 従来技術のレジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽内の薄膜化処理液面変化を示す概略断面図である。 従来技術のレジスト層の薄膜化装置において、ディップ槽内の薄膜化処理液面変化を示す概略断面図である。
<薄膜化工程>
本考案に係わる薄膜化処理液によるレジスト層の薄膜化工程とは、薄膜化処理液によってレジスト層成分のミセルを一旦不溶化し、処理液中に溶解拡散しにくくする薄膜化処理、ミセル除去液スプレーによって一挙にミセルを溶解除去するミセル除去処理を含む工程である。さらに、ミセル除去処理で除去しきれなかったレジスト層表面のミセルや残存している薄膜化処理液及びミセル除去液を水洗によって洗い流す水洗処理、水洗水を除去する乾燥処理を含むこともできる。
<薄膜化処理>
レジスト層の薄膜化処理は、レジスト層を薄膜化処理液に浸漬(ディップ、dip)させることによって行われる。基板両面のレジスト層が浸漬されることが好ましいが、基板の搬送途中で薄膜化処理液面が低下すると、基板上面のレジスト層まで浸漬されなくなる場合がある。よって、基板上面のレジスト層の薄膜化処理は、薄膜化処理液に浸漬させる以外に薄膜化処理液をロール塗工することによっても行われる。浸漬処理は、薄膜化処理液中に気泡が発生しにくく、ロール塗工はレジスト層表面の薄膜化処理液の被覆量を均一に保つことができる。
本考案において、基板に形成されたレジスト層の厚みとレジスト層が薄膜化される量で、薄膜化された後のレジスト層の厚みが決定される。また、本考案では、0.01〜500μmの範囲でレジスト層の薄膜化量を自由に調整することができる。
<レジスト>
レジストとしては、アルカリ現像型レジストが使用できる。また、液状レジストであってもよく、ドライフィルムレジストであってもよく、高濃度のアルカリ水溶液(薄膜化処理液)によって薄膜化でき、かつ、薄膜化処理液よりも低濃度のアルカリ水溶液である現像液によって現像できるレジストであればいかなるものでも使用できる。アルカリ現像型レジストは光架橋性樹脂成分を含む。光架橋性樹脂成分は、例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤等を含有してなる。また、エポキシ樹脂、熱硬化剤、無機フィラー等を含有させてもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル(acrylic)系樹脂、メタクリル(methacrylic)系樹脂、スチレン(styrene)系樹脂、エポキシ(epoxy)系樹脂、ポリアミド(polyamide)系樹脂、ポリアミドエポキシ(polyamide epoxy)系樹脂、アルキド(alkyd)系樹脂、フェノール(phenol)系樹脂の有機高分子が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有した単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)して得られたものであることが好ましい。これらのアルカリ水溶液に可溶な重合体は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和二重結合を有した単量体としては、例えば、スチレン誘導体、アクリルアミド(acrylamide)、アクリロニトリル(acrylonitrile)、ビニルアルコール(vinyl alcohol)のエステル類、(メタ)アクリル酸((meth)acrylic acid)、(メタ)アクリル酸エステル((meth)acrylic ester、(meth)acrylate)等の(メタ)アクリル酸系単量体、マレイン酸(maleic acid)系単量体、フマル酸(fumaric acid)、ケイ皮酸(cinnamic acid)、α−シアノケイ皮酸(α−cyanocinnamic acid)、イタコン酸(itaconic acid)、クロトン酸(crotonic acid)、プロピオール酸(propiolic acid)等が挙げられる。
光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA(bisphenol A)系(メタ)アクリレート((meth)acrylate)化合物;グリシジル(Glycidyl)基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン(urethane)結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート(γ−chloro−β−hydroxypropyl−β′−(meth)acryloyloxyethyl−o−phthalate)、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート(β−hydroxyalkyl−β′−(meth)acryloyloxyalkyl−o−phthalate)等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル(alkyl (meth)acrylate);ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート(nonylphenoxy polyethyleneoxy (meth)acrylate)等のEO、PO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EO及びPOは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有するものであり、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。これらの光重合性化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン(benzoin)化合物、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体(2,4,5−triaryl imidazole dimer)、アクリジン(acridine)誘導体、N−フェニルグリシン(N−phenylglycine)誘導体、クマリン(coumarin)系化合物等が挙げられる。上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントン(diethylthioxantone)とジメチルアミノ安息香酸(dimethylaminobenzoic acid)の組み合わせのように、チオキサントン(thioxantone)系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、硬化剤として用いられる場合がある。アルカリ可溶性樹脂のカルボン酸とエポキシを反応させることで架橋させ、耐熱性や耐薬品性の特性の向上を図っているが、カルボン酸とエポキシは常温でも反応が進むために、保存安定性が悪く、アルカリ現像型ソルダーレジストは一般的に使用前に混合する2液性の形態をとっている場合が多い。また、無機フィラーを使用する場合もあり、例えば、タルク、硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。
基板の表面にレジスト層を形成する方法は、いかなる方法でもよいが、例えば、スクリーン印刷(screen printing)法、ロールコート(roll coating)法、スプレー(spray coating)法、浸漬(dip)法、カーテンコート(curtain coating)法、バーコート(bar coating)法、エアナイフ(air knife coating)法、ホットメルト(hot−melt coating)法、グラビアコート(gravure coating)法、刷毛塗り(brush coating)法、オフセット印刷(offset printing)法が挙げられる。ドライフィルムレジストの場合は、ラミネート(laminating)法が好適に用いられる。
<基板>
基板としては、プリント配線板用基板、リードフレーム(lead frame)用基板;プリント配線板用基板やリードフレーム用基板を加工して得られる回路基板が挙げられる。
プリント配線板用基板としては、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板が挙げられる。
フレキシブル基板の絶縁層の厚さは5〜125μmで、その両面もしくは片面に1〜35μmの金属層が設けられて積層基板となっており、可撓性が大きい。絶縁層の材料には、通常、ポリイミド、ポリアミド(polyamide)、ポリフェニレンサルファイド(polyphenylene sulfide)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、液晶ポリマー等が用いられる。絶縁層上に金属層を有する材料は、接着剤で貼り合わせる接着法、金属箔上に樹脂液を塗布するキャスト(casting)法、スパッタリング(sputtering)や蒸着(deposition)法で樹脂フィルム上に形成した厚さ数nmの薄い導電層(シード層)の上に電解メッキで金属層を形成するスパッタリング/メッキ(plating)法、熱プレス(hot pressing)で貼り付けるラミネート法等のいかなる方法で製造したものを用いてもよい。金属層の金属としては、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、あるいはそれらの合金等のいかなる金属を用いることができるが、銅が一般的である。
リジッド基板としては、紙基材又はガラス基材にエポキシ樹脂又はフェノール樹脂等を浸漬させた絶縁性基板を重ねて絶縁層とし、その片面もしくは両面に金属箔を載置し、加熱及び加圧により積層し、金属層が設けられた積層基板が挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、貫通孔や非貫通孔を有する多層板も挙げられる。厚みは60μm〜3.2mmであり、プリント配線板としての最終使用形態により、その材質と厚みが選定される。金属層の材料としては、銅、アルミニウム、銀、金等が挙げられるが、銅が最も一般的である。これらプリント配線板用基板の例は、「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学会編、1987年刊、日刊工業新聞社発刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット(Scarlett)編、1992年刊、(株)近代化学社発刊)に記載されている。
リードフレーム用基板としては、鉄ニッケル合金、銅系合金等の基板が挙げられる。
回路基板とは、絶縁性基板上に半導体チップ等の電子部品を接続するための接続パッドが形成された基板である。接続パッドは銅等の金属からなる。また、回路基板には、導体配線が形成されていてもよい。回路基板を作製する方法は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ(semi−additive)法、アディティブ(additive)法が挙げられる。サブトラクティブ法では、例えば、上記のプリント配線板用基板にエッチングレジストパターンを形成し、露光工程、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程を実施して回路基板が作製される。
<薄膜化装置>
本考案の薄膜化装置は、薄膜化処理液1によってレジスト層成分をミセル化させる薄膜化処理ユニット11を備えてなるレジスト層の薄膜化装置である。図1〜3は、薄膜化処理ユニット内のディップ槽2のロール配置を示す拡大概略断面図である。薄膜化処理ユニット11は、基板3下面のレジスト層に薄膜化処理液1を付与するためのディップ槽2を有し、基板3上面のレジスト層に薄膜化処理液1又は27をロール塗工で付与するための塗工ロール8が設置されている。
薄膜化処理ユニット11では、投入口7から投入されたレジスト層が形成された基板3が、ディップ槽の入口ロール対4によって、薄膜化処理液1が入ったディップ槽2中に搬送され、ディップ槽2の出口ロール対5を通過する。この間に、基板3上のレジスト層成分は薄膜化処理液1によってミセル化され、このミセルが薄膜化処理液1に対して不溶化される。
図1のように、基板3が投入されていない状態では、ディップ槽2の入口ロール対4と出口ロール対5からオーバーフローする薄膜化処理液1の量は少なく、ディップ槽2内の薄膜化処理液面を高い位置で維持することが可能である。ディップ槽2内の薄膜化処理液面は、ディップ槽2の塗工ロール8が濡れる程度であればよく、基板3がディップ槽2中に搬送されている間、薄膜化処理液面は変わらず維持されることが好ましい。なお、入口ロール対4及び出口ロール対5の上側ロールは、塗工ロール8として機能する。
図2では、レジスト層が形成された基板3がディップ槽の入口ロール対4によって、薄膜化処理液1が入ったディップ槽2中に搬送され、入口ロール対4の上側ロールが持ち上げられてできた隙間24から薄膜化処理液1がディップ槽2外へ流出している。基板3の厚みが大きいほど、ディップ槽2外への薄膜化処理液1の流出量は多くなり、その流出量がディップ槽2への循環供給量を上回ると、薄膜化処理液面は徐々に低下する。薄膜化処理液面が基板3の搬送ラインよりも上であれば、塗工ロール8は薄膜化処理液1で濡れた状態となり、基板3上面のレジスト層に薄膜化処理液1を転写塗工させながら付与することができる。
図3では、ディップ槽の塗工ロール8に、薄膜化処理液供給管25から薄膜化処理液用ノズル26を通じて薄膜化処理液27を直接供給する。ディップ槽2の薄膜化処理液面が徐々に低下し、薄膜化処理液面が基板3の搬送ラインより下になった場合でも、直接供給された薄膜化処理液27によって塗工ロール8は濡れた状態にあるため、基板3上面のレジスト層に薄膜化処理液27を転写塗工させながら付与することができる。
ディップ槽の塗工ロール8について説明する。基板3がディップ槽2中に搬送されている間、レジスト層表面は薄膜化処理液の液膜によって被覆されていることが好ましい。
ディップ槽内に溜まった薄膜化処理液1又は薄膜化処理液用ノズル26から直接供給された薄膜化処理液27で濡れた塗工ロール8が基板3上面のレジスト層表面と接触することで、薄膜化処理液の液膜を形成し、該液膜の厚みを均一に揃えることができる。特に、レジスト層表面が疎水性になっている場合、該液膜とレジスト層表面との親和性が低くなって、レジスト層表面で薄膜化処理液が流動し、薄膜化処理液の被覆量が不均一になる場合があるが、塗工ロール8との接触によって薄膜化処理液の流動が抑えられ、レジスト層表面の被覆量を均一に保つことができる。
ここで、薄膜化処理液1及び27によるレジスト層成分のミセル化速度について説明する。基板3がディップ槽2中に搬送されている間、薄膜化処理液1に浸漬された状態の基板下面のレジスト層と、薄膜化処理液の液膜で被覆された状態の基板上面のレジスト層とを比較すると、後者の方がミセル化速度は遅くなる。さらに、薄膜化処理液の液膜の厚みによってミセル化速度は異なり、液膜がより薄い方がミセル化速度は遅くなる。つまり、塗工ロール8により、薄膜化処理液の液膜の厚みを均一に揃えることによって、基板3の面内におけるレジスト層成分のミセル化速度の速度差が最小限になり、薄膜化処理量が均一になる。
塗工ロール8は、レジスト層表面に密着することが重要である。そのため、塗工ロール8としては、表面に凹凸のないストレートタイプのものが好適に用いられる。塗工ロール8の種類としては、ゴムロール、スポンジロール、金属ロール、樹脂ロール等が挙げられる。その中でも、優れたゴム弾性(シール性、回復性)を有し、比重が小さく、軽量であり、低硬度から中硬度であり、レジスト層への接触による衝撃が少なく、高濃度のアルカリ水溶液である薄膜化処理液への耐薬品性にも優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーのロールが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、サーモラン(THERMORUN、登録商標)が挙げられる。
塗工ロール8は、1本でもその効果はあるが、複数のロールで連続的に塗工することで更に大きな効果が得られる。具体的には、塗工ロール8による塗工の回数が多くなるほど、レジスト層上の薄膜化処理液の液膜の厚みの均一性が高くなる。また、レジスト層表面が疎水性になって薄膜化処理液が流動しやすい場合でも、塗工ロール8による塗工の回数を多くすることで流動が起こる時間を短縮し、薄膜化処理液の被覆量が不均一になる問題を最小限にすることができる。さらに、基板3の厚みが大きく、ディップ槽2中の薄膜化処理液面が基板3の搬送ラインよりも下になった場合でも、薄膜化処理液で濡れた状態の塗工ロール8が連続的に配置されていれば、基板3上面のレジスト層表面に薄膜化処理液を常に供給することができる。塗工ロール8の数は、薄膜化処理量に応じて適宜調整されるものであり、図1〜3に示される本数に限定されるものではない。
搬送ロール9(ディップ槽の入口ロール対4の下側ロール、ディップ槽の出口ロール対5の下側ロールを含む)、薄膜化処理ユニット11とミセル除去処理ユニット12との間の境界部の搬送ロール対6における搬送ロールは、基板3を搬送することができることに加え、レジスト層表面に密着することが好ましい。搬送ロール9及び搬送ロール対6には、塗工ロール8と同じ種類、機能、物性のものが好適に用いられる。特に、ディップ槽の出口ロール対5は、ディップ槽2における薄膜化処理液の液面維持及びレジスト層表面に被覆された薄膜化処理液の液膜を掻き落とす液切りのために用いられる。また、境界部の搬送ロール対6は、ミセル除去処理ユニット12への薄膜化処理液の持ち込みと薄膜化処理ユニット11へのミセル除去液10の逆流を抑制するために用いられる。搬送ロールの設置位置及び本数は、基板3を搬送することができれば、特に図1〜3に示される設置位置及び本数に限定されるものではない。
図1〜3のレジスト層の薄膜化装置のように、ディップ槽の塗工ロール8同士の間隔Wが塗工ロールの半径rに対して、2r<W≦2πrであることが好ましい。間隔Wが半径rの2倍以下(W≦2r)の場合、ストレートタイプの液切りロール対同士が接触して、ロールの材質によっては、ロールの摩耗が著しく発生する場合がある。一方、間隔Wがロールの円周2πrより大きい(2πr<W)場合、レジスト層の表層において、薄膜化処理液の液膜の流動が起こりやすくなり、被覆量を均一とすることが困難になる場合がある。また、ディップ槽の薄膜化処理液面が低下して、塗工ロール8に供給される薄膜化処理液量が少なくなると、基板3上面のレジスト層に対し薄膜化処理液の転写不良が起こる場合がある。なお、ディップ槽の塗工ロール8の半径rは、好ましくは、全て同じ値である。
薄膜化処理液1は、薄膜化処理液貯蔵タンク13中の薄膜化処理液吸込口14から薄膜化処理液供給用ポンプ(図示せず)によって吸い込まれ、薄膜化処理液供給管15を経てディップ槽2に供給される。ディップ槽2に供給された薄膜化処理液1は、オーバーフロー又は流出し、薄膜化処理液回収管16を通って薄膜化処理液貯蔵タンク13に回収される。このようにして、薄膜化処理液1は、ディップ槽2と薄膜化処理液貯蔵タンク13との間を循環する。薄膜化処理液ドレン管17からは、余剰分の薄膜化処理液1が排出される。
薄膜化処理液として使用されるアルカリ水溶液に用いられるアルカリ性化合物としては、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)又はカリウム(K)等のアルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アンモニウムリン酸塩、アンモニウム炭酸塩等の無機アルカリ性化合物;モノエタノールアミン(monoethanolamin)、ジエタノールアミン(diethanolamin)、トリエタノールアミン(triethanolamin)、メチルアミン(methylamine)、ジメチルアミン(dimethylamine)、エチルアミン(ethylamine)、ジエチルアミン(diethylamine)、トリエチルアミン(triethylamine)、シクロヘキシルアミン(cyclohexylamine)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(tetraethylammonium hydroxide)、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド(2−hydroxyethyltrimethylammonium hydroxide、コリン、Choline)等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、単独で用いてもよいし、混合物としても使用できる。薄膜化処理液の媒体である水には、水道水、工業用水、純水等を用いることができるが、特に純水を使用することが好ましい。
薄膜化処理液におけるアルカリ性化合物の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下で使用できる。また、レジスト層表面をより均一に薄膜化するために、薄膜化処理液に、硫酸塩、亜硫酸塩を添加することもできる。硫酸塩又は亜硫酸塩としては、リチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属硫酸塩又は亜硫酸塩、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属硫酸塩又は亜硫酸塩が挙げられる。
薄膜化処理液のアルカリ性化合物としては、これらの中でも特に、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物;TMAH、コリンから選ばれる有機アルカリ性化合物を好ましく使用することができる。これらのアルカリ性化合物は、単独で用いてもよいし、混合物としても使用できる。また、アルカリ性化合物の含有量が5〜25質量%であるアルカリ水溶液が、表面をより均一に薄膜化できるため、好適に使用できる。アルカリ性化合物の含有量が5質量%未満では、薄膜化する処理でムラが発生しやすくなる場合がある。また、25質量%を超えると、アルカリ性化合物の析出が起こりやすくなる場合があり、液の経時安定性、作業性に劣る場合がある。アルカリ性化合物の含有量は7〜17質量%がより好ましく、8〜13質量%が更に好ましい。薄膜化処理液として使用されるアルカリ水溶液のpHは10以上とすることが好ましい。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜添加することもできる。
薄膜化処理液として使用されるアルカリ水溶液の温度は、15〜35℃が好ましく、更に好ましくは20〜30℃である。温度が低すぎると、レジスト層へのアルカリ性化合物の浸透速度が遅くなる場合があり、所望の厚みを薄膜化するのに長時間を要する。一方、温度が高すぎると、レジスト層へのアルカリ性化合物の浸透と同時に溶解拡散が進行することにより、面内で膜厚ムラが発生しやすくなる場合がある。
ミセル除去処理ユニット12では、薄膜化処理ユニット11においてレジスト層が薄膜化処理液に対して不溶化された基板3が、搬送ロール29によって搬送される。搬送されている基板3に対して、ミセル除去液スプレー22によってミセル除去液10が供給され、光架橋性樹脂成分のミセルが一挙に溶解除去される。
ミセル除去液10は、ミセル除去液貯蔵タンク18中のミセル除去液吸込口19からミセル除去液10をミセル除去液供給用ポンプ(図示せず)で吸い込み、ミセル除去液供給管20を経てミセル除去液用ノズル21からミセル除去液スプレー22として噴射される。ミセル除去液スプレー22は、基板3から流下した後、ミセル除去液貯蔵タンク18に回収される。このようにして、ミセル除去液10はミセル除去処理ユニット12内を循環する。ミセル除去液ドレン管23からは、余剰分のミセル除去液10が排出される。
ミセル除去液10としては、水を用いることもできるが、薄膜化処理液よりも希薄なアルカリ性化合物を含有するpH5〜10の水溶液を用いることが好ましい。ミセル除去液10によって、薄膜化処理液で不溶化されたレジスト層の成分のミセルが再分散されて除去される。ミセル除去液10に使用される水としては、水道水、工業用水、純水等を用いることができるが、特に純水を使用することが好ましい。ミセル除去液10のpHが5未満の場合、レジスト層の成分が凝集し、不溶性のスラッジとなって、薄膜化後のレジスト層表面に付着する場合がある。一方、ミセル除去液10のpHが10を超えた場合、レジスト層が過度に溶解拡散し、薄膜化されるレジスト層の厚みが不均一になり、処理ムラができる場合がある。また、ミセル除去液10は、硫酸、リン酸、塩酸などを用いて、pHを調整することができる。
ミセル除去処理におけるミセル除去液スプレー22の条件(温度、スプレー圧、供給流量)は、薄膜化処理されるレジスト層の溶解速度に合わせて適宜調整される。具体的には、処理温度は10〜50℃が好ましく、より好ましくは15〜35℃である。また、スプレー圧は0.01〜0.5MPaとするのが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3MPaである。ミセル除去液10の供給流量は、レジスト層1cm当たり0.030〜1.0L/minが好ましく、0.050〜1.0L/minがより好ましく、0.10〜1.0L/minが更に好ましい。供給流量がこの範囲であると、薄膜化後のレジスト層表面にミセル成分を残すことなく、略均一にミセルを溶解除去しやすい。レジスト層1cm当たりの供給流量が0.030L/min未満では、ミセルの溶解不良が起こる場合がある。一方、供給流量が1.0L/minを超えると、供給のために必要なポンプ等の部品が巨大になり、大掛かりな装置が必要となる場合がある。さらに、1.0L/minを超えた供給量では、ミセルの溶解除去に与える効果が変わらなくなることがある。スプレーの噴射方向は、レジスト層表面に効率よく液流れを作るために、レジスト層表面に垂直な方向に対して、傾いた方向とするのがよい。
以下実施例によって本考案を更に詳しく説明するが、本考案はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ガラス基材エポキシ樹脂基板(面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み2.0mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、ディップ槽2を備えた薄膜化処理ユニット11とミセル除去液10によってミセルを除去するミセル除去処理ユニット12があるレジスト層の薄膜化装置により、レジスト層を薄膜化した。
薄膜化処理ユニットのディップ槽には入口ロール対4(半径r:20mm)と出口ロール対5(半径r:20mm)の間に7本の塗工ロール8(半径r:20mm)が設置されており、各ロール同士の間隔Wがすべて45mmであるレジスト層の薄膜化装置によって、レジスト層を薄膜化した(ディップ槽全長360mm)。また、ディップ槽の搬送ロール9(半径r:20mm)は、塗工ロール8と対になるように対向して設置されている。薄膜化処理液1(アルカリ水溶液)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、ディップ槽2における接液処理時間が20秒となるように薄膜化処理を行った。その後、ディップ槽の出口ロール対5から境界部の搬送ロール対6を通過し、ミセル除去処理ユニット12において、不溶化したミセルを除去し、レジスト層を薄膜化した。
水洗処理及び乾燥処理の後に、薄膜化されたレジスト層の厚みを10点測定したところ、最大値11.0μm、最小値9.0μm、平均厚み10.0μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラはなく、平滑な面であることが確認された。
(実施例2)
ディップ槽の塗工ロール8(半径r:20mm)が5本で、各ロール同士の間隔Wがすべて60mmであること以外は、実施例1と同じ方法で、レジスト層を薄膜化した。
水洗処理及び乾燥処理の後に、薄膜化されたレジスト層の厚みを10点測定したところ、最大値11.0μm、最小値8.5μm、平均厚み9.5μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラはなく、平滑な面であることが確認された。
(実施例3)
ディップ槽の塗工ロール8(半径r:20mm)が4本で、各ロール同士の間隔Wがすべて72mmであること以外は、実施例1と同じ方法で、レジスト層を薄膜化した。
水洗処理及び乾燥処理の後に、薄膜化されたレジスト層の厚みを10点測定したところ、最大値は11.5μm、最小値は8.0μm、平均厚み9.5μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラはなく、平滑な面であることが確認された。
(実施例4)
ディップ槽の塗工ロール8(半径r:20mm)が3本で、各ロール同士の間隔Wがすべて90mmであること以外は、実施例1と同じ方法で、レジスト層を薄膜化した。
水洗処理及び乾燥処理の後に、薄膜化されたレジスト層の厚みを10点測定したところ、最大値は11.5μm、最小値は7.5μm、平均厚み9.0μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラはなく、平滑な面であることが確認された。
(実施例5)
ディップ槽の塗工ロール8(半径r:20mm)が2本で、各ロール同士の間隔Wがすべて120mmであること以外は、実施例1と同じ方法で、レジスト層を薄膜化した。
水洗処理及び乾燥処理の後に、薄膜化されたレジスト層の厚みを10点測定したところ、最大値は11.5μm、最小値は7.0μm、平均厚み9.0μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラはなく、平滑な面であることが確認された。
(実施例6)
ディップ槽の塗工ロール8(半径r:20mm)が1本で、各ロール同士の間隔Wがすべて180mmであること以外は、実施例1と同じ方法で、レジスト層を薄膜化した。
水洗処理及び乾燥処理の後に、薄膜化されたレジスト層の厚みを10点測定したところ、最大値は12.0μm、最小値は6.5μm、平均厚み8.5μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラはなく、平滑な面であることが確認された。
実施例1〜6を比較すると、ディップ槽の塗工ロール8同士の間隔Wが、塗工ロールの半径rに対して、2r<W≦2πrである実施例1〜5では、レジスト層の薄膜化処理量がより均一であることがわかる。
(比較例1)
ガラス基材エポキシ樹脂基板(面積510mm×340mm、銅箔厚み12μm、基材厚み2.0mm、三菱ガス化学社(MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.)製、商品名:CCL−E170)にドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、商品名:RY3625、厚み25μm)を熱圧着し、レジスト層を形成した。
次に、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離した後、ディップ槽2を備えた薄膜化処理ユニット11とミセル除去液10によってミセルを除去するミセル除去処理ユニット12があるレジスト層の薄膜化装置により、レジスト層を薄膜化した。
薄膜化処理ユニットのディップ槽には入口ロール対4(半径r:20mm)と出口ロール対5(半径r:20mm)の間に塗工ロール8が1本もないレジスト層の薄膜化装置によって、レジスト層を薄膜化した(ディップ槽全長360mm)。ここで、ディップ槽の搬送ロール9(半径r:20mm)は、ロール同士の間隔45mmで設置されている。薄膜化処理液1(アルカリ水溶液)として10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃)を用いて、ディップ槽2における接液処理時間が20秒となるように薄膜化処理を行った。その後、ディップ槽の出口ロール対5から境界部の搬送ロール対6を通過し、ミセル除去処理ユニット12において、不溶化したミセルを除去し、レジスト層を薄膜化した。
水洗処理及び乾燥処理の後に、薄膜化されたレジスト層の厚みを10点測定したところ、最大値は13.0μm、最小値は5.5μm、平均厚み8.0μmだった。また、薄膜化されたレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、レジスト層表面の薄膜化処理液の被覆量が不均一になったことが原因と思われる処理ムラが発生していた。
本考案のレジスト層の薄膜化装置は、プリント配線板やリードフレームにおける回路基板の作製、フリップチップ接続用の接続パッドを備えたパッケージ基板の作製において、レジストパターンを形成させる用途に適用できる。
1 薄膜化処理液(ディップ槽)
2 ディップ槽
3 基板
4 ディップ槽の入口ロール対
5 ディップ槽の出口ロール対
6 境界部の搬送ロール対
7 投入口
8 ディップ槽の塗工ロール
9 ディップ槽の搬送ロール
10 ミセル除去液
11 薄膜化処理ユニット
12 ミセル除去処理ユニット
13 薄膜化処理液貯蔵タンク
14 薄膜化処理液吸込口
15 薄膜化処理液供給管(ディップ槽)
16 薄膜化処理液回収管
17 薄膜化処理液ドレン管
18 ミセル除去液貯蔵タンク
19 ミセル除去液吸込口
20 ミセル除去液供給管
21 ミセル除去液用ノズル
22 ミセル除去液スプレー
23 ミセル除去液ドレン管
24 隙間
25 薄膜化処理液供給管(塗工ロール供給用)
26 薄膜化処理液用ノズル(塗工ロール供給用)
27 薄膜化処理液(塗工ロール供給用)
28 ディップ槽内の搬送ロール対
29 ミセル除去ユニット内の搬送ロール
r ディップ槽の塗工ロールの半径
W ディップ槽の塗工ロール同士の間隔

Claims (2)

  1. 薄膜化処理液によってレジスト層中の成分をミセル化させる薄膜化処理ユニットを備えてなるレジスト層の薄膜化装置において、
    該薄膜化処理ユニットが、基板下面のレジスト層に薄膜化処理液を付与するためのディップ槽を有し、
    基板上面のレジスト層に薄膜化処理液をロール塗工で付与するための塗工ロールが設置されていることを特徴とするレジスト層の薄膜化装置。
  2. 複数の塗工ロールが設置されていて、該塗工ロール同士の間隔Wが、塗工ロールの半径rに対して、2r<W≦2πrである請求項1記載のレジスト層の薄膜化装置。
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