JP3239541U - ソルダーレジスト層の薄膜化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本考案の課題は、ソルダーレジスト層の薄膜化装置において、ミセルの溶解除去速度が極端に遅いソルダーレジスト層を薄膜化する場合にも、ミセル除去液によって除去しきれないソルダーレジスト層が残らず、薄膜化面が平滑になる、ソルダーレジスト層の薄膜化装置を提供することである。【解決手段】薄膜化処理液によって硬化していないソルダーレジスト層の成分をミセル化させる薄膜化処理ユニットと、ミセル除去液によってミセルを除去するミセル除去処理ユニットとを備えてなるソルダーレジスト層の薄膜化装置において、ミセル除去処理ユニットが、ミセル除去液供給用スプレーノズルを有し、ミセル除去液供給用スプレーノズルは、固定式であり、また、噴射方向が同一方向になるように配置され、ミセル除去液供給用スプレーノズルのスプレーパターンが扇形である。【選択図】図9

Description

本考案は、ソルダーレジスト層の薄膜化装置に関する。
各種電気機器内部の配線基板には、回路基板の半田付け不要な導体配線に半田が付着しないようにするために、この半田付け不要な部分がソルダーレジスト層で被覆されるようにソルダーレジストパターンが形成される。また、ソルダーレジストパターンは、導体配線の酸化防止、電気絶縁及び外部環境からの保護という役割を果たしている。
回路基板上に半導体チップ等の電子部品を搭載した半導体パッケージにおいて、フリップチップ接続による電子部品の搭載は、高速化、高密度化を実現する上で有効な手段である。フリップチップ接続では、導体配線の一部がフリップチップ接続用の接続パッドとなし、例えば、この接続パッド上に配設した半田バンプと半導体チップの電極端子とを接合する。
回路基板へのソルダーレジストパターンの形成方法としては、フォトリソグラフィー方式が一般に知られている。フォトリソグラフィー方式では、絶縁層51上に接続パッド54と導体配線52を有する回路基板上にソルダーレジスト層53を形成した後、露光、現像して、接続パッド54周辺のソルダーレジスト層53を除去し、開口部を設けることによって、図1に示すSolder Mask Defined(SMD)構造や図2に示すNon Solder Mask Defined(NSMD)構造を形成する。
SMD構造において、接続パッド54はその周辺近傍がソルダーレジスト層53に被覆されているため、電子部品の電極端子と接続パッド54とを電気的に確実に接続するために、接続パッド54の露出面に形成する接合部に必要な半田量を確保する必要があり、接続パッド54が大型化してしまうという問題があった。さらに、接続パッド54の周辺近傍をソルダーレジスト層53によって確実に被覆されるようにするために、加工精度を考慮して、接続パッド54のソルダーレジスト層53によって被覆する部分の幅を広く確保しておく必要があり、接続パッド54がさらに大型化するという問題があった。一方、NSMD構造の接続パッド54では、接続パッド54全体がソルダーレジスト層53から露出するために、半田との接続面積が大きく、SMD構造の場合と比較して、接続パッド54を小型化することができる。しかし、NSMD構造では、接続パッド54がソルダーレジスト層53から完全に露出しているため、互いに隣接する接続パッド54間において、半田による電気的な短絡が生じる場合があった。
このような問題を解決するために、接続パッド54を有する回路基板上にソルダーレジスト層53が形成される工程、ソルダーレジスト層53の厚みが接続パッド54の厚み以下になるまで、硬化していないソルダーレジスト層53が薄膜化される工程をこの順に少なくとも含むソルダーレジストパターンの形成方法が開示されている(例えば、特許文献1~4参照)。この形成方法では、図3に示したように、接続パッド54表面はソルダーレジスト層53から露出しているが、接続パッド54側面の一部はソルダーレジスト層53によって被覆されている構造が得られる。図3に示す構造では、互いに隣接する接続パッド54間の半田による電気的な短絡が生じ難く、電子部品の電極端子と接続パッド54とを電気的に確実に接続するために必要な半田量を確保でき、接続パッド54を小型化することが可能で、電気的接続信頼性に優れる高密度配線の配線基板を作製することができる。
また、特許文献5には、レジスト層が形成された基板を高濃度のアルカリ水溶液(薄膜化処理液)に浸漬(ディップ、dip)してレジスト層の成分のミセルを一旦不溶化し、処理液中に溶解拡散しにくくする薄膜化処理ユニット、ミセル除去液スプレーによって一挙にミセルを溶解除去するミセル除去処理ユニット、表面を水洗処理液で洗浄する水洗処理ユニット、水洗処理液を除去する乾燥処理ユニットの四つの処理ユニットを少なくとも含むレジスト層の薄膜化装置が開示されている。
レジスト層の薄膜化装置の一部について、図4に示した概略断面図を用いて説明する。薄膜化処理ユニット11では、投入口7からレジスト層が形成された基板3が投入される。基板3は、搬送ロール4対によって、ディップ槽2中の薄膜化処理液1に浸漬した状態で搬送され、レジスト層の薄膜化処理が行われる。その後に、基板3は、ミセル除去処理ユニット12に搬送される。ミセル除去処理ユニット12では、搬送ロール4対によって搬送されてきた基板3に対し、ミセル除去液供給管20を通じてミセル除去液供給用スプレーノズル21からミセル除去液スプレー22が供給される。基板3上のレジスト層は、薄膜化処理ユニット11内部のディップ槽2において、高濃度のアルカリ水溶液である薄膜化処理液1によって、レジスト層の成分のミセルが薄膜化処理液1に対して一旦不溶化されている。その後、ミセル除去液スプレー22によってミセルが除去されることで、レジスト層が薄膜化される。特許文献5には、「ミセル除去は、ミセル除去液スプレー22によって一挙に行うことが重要であり、一定以上の水圧と流量の条件で速やかに行うことが好ましい」との記述がある。
従来の各種の液処理装置において、スプレーを使用した液供給方法としては、固定式又は揺動式のスプレーノズルから基板表面に対して垂直に液を噴射する方法、首振り式のスプレーノズルによって基板表面に液の到達角度を絶えず変化させながら、液を噴射する方法等が一般的である。これら従来の液供給方法では、基板上の液流が緩慢で不均一になりやすい。そのため、これらの液供給方法によってミセル除去処理を行った場合には、ミセル除去が不均一となり、レジスト層の薄膜化処理量が不均一になる場合があった。
また、特許文献6には、スプレーノズルを基板搬送方向に対して直角の幅方向に傾斜させ、その傾斜角度が30~70度の範囲であることで、基板上のミセル除去液の液流を改善した薄膜化方法が開示されている。しかしながら、特許文献6には、スプレーノズルの傾斜角度は記載されているものの、スプレーノズルの向きに関する記載はない。そのため、角度を調整しただけでは、基板搬送方向に対して直交する右向きと左向きのミセル除去液の流れが発生する場合があり、依然として基板上のミセル除去液の液流が緩慢で不均一であり、レジスト層の薄膜化量が不均一になる場合があった。
このような問題を解決するために、特許文献7には、スプレーノズルの向きを単一方向にのみ傾けることで、基板面内において、レジスト層の薄膜化量が不均一になる問題を解決できるレジスト層の薄膜化装置が開示されている。特許文献7では、単一方向の液流を作るため、固定式のスプレーノズルを傾斜させて噴射することが提案されているが、スプレーを万遍なく均一に噴射するために、広範囲に噴射できる均等分布の充円錐タイプのノズルの使用が好ましいとの記載がある。しかしながら、ミセルの溶解除去速度が極端に遅いソルダーレジスト層を薄膜化する場合、ミセル除去液によって除去しきれなかったソルダーレジスト層が残り、薄膜化後のソルダーレジスト層に厚みが違う部分ができ、薄膜化面が平滑にならない場合があった。
このように、除去しきれなかったソルダーレジスト層が残って、薄膜化後のソルダーレジスト層に厚みの違う部分ができ、薄膜化面が平滑にならない場合、耐候性低下の原因となり、生産における歩留まりの低下につながるという問題があった。
特開2011-192692号公報 国際公開第2012/043201号パンフレット 特開2017-107144号公報 特開2017-103444号公報 特開2012-27299号公報 特開2012-59755号公報 実用新案登録第3207408号公報
本考案の課題は、ソルダーレジスト層の薄膜化装置において、ミセルの溶解除去速度が極端に遅いソルダーレジスト層を薄膜化する場合にも、ミセル除去液によって除去しきれないソルダーレジスト層が残らず、薄膜化面が平滑になる、ソルダーレジスト層の薄膜化装置を提供することである。
本考案者らは、下記によって、これらの課題を解決できることを見出した。
(1)薄膜化処理液によって硬化していないソルダーレジスト層の成分をミセル化させる薄膜化処理ユニットと、ミセル除去液によってミセルを除去するミセル除去処理ユニットとを備えてなるソルダーレジスト層の薄膜化装置において、
ミセル除去処理ユニットが、ミセル除去液供給用スプレーノズルを有し、
ミセル除去液供給用スプレーノズルは、固定式であり、また、噴射方向が同一方向になるように配置され、
ミセル除去液供給用スプレーノズルのスプレーパターンが扇形であることを特徴とするソルダーレジスト層の薄膜化装置。
(2)搬送方向に対して垂直方向に、スプレーパターンが一直線上に並ぶように、ミセル除去液供給用スプレーノズルが配置されている上記(1)記載のソルダーレジスト層の薄膜化装置。
本考案によれば、ソルダーレジスト層の薄膜化装置において、ミセルの溶解除去速度が極端に遅いソルダーレジスト層を薄膜化する場合にも、ミセル除去液によって除去しきれないソルダーレジスト層が残らず、薄膜化面が平滑になる、ソルダーレジスト層の薄膜化装置を提供することができる。
ソルダーレジストパターンの断面構造(SMD構造)を示す説明図である。 ソルダーレジストパターンの断面構造(NSMD構造)を示す説明図である。 本考案のソルダーレジスト層の薄膜化装置を用いて形成されるソルダーレジストパターンの断面構造の一例を示す説明図である。 ソルダーレジスト層の薄膜化装置の一部を示す概略断面図である。 本考案のソルダーレジスト層の薄膜化装置の一例を示す概略図である。 本考案のソルダーレジスト層の薄膜化装置の一例を示す概略図である。 本考案のソルダーレジスト層の薄膜化装置の一例を示す概略図である。 本考案のソルダーレジスト層の薄膜化装置の一例を示す概略図である。 本考案のソルダーレジスト層の薄膜化装置において、ミセル除去液供給用スプレーノズルの配置例を示す概略図である。 本考案外のソルダーレジスト層の薄膜化装置の一例を示す概略図である。 ソルダーレジスト層の薄膜化装置におけるミセル除去液のスプレーパターンを示す概略図である。
<薄膜化工程>
本考案に係わる薄膜化処理液によるソルダーレジスト層の薄膜化工程とは、薄膜化処理液によってソルダーレジスト層の成分をミセル化して一旦不溶化し、処理液中に溶解拡散しにくくする薄膜化処理、ミセル除去液スプレーによって一挙にミセルを溶解除去するミセル除去処理を含む工程である。さらに、除去しきれなかったソルダーレジスト層表面や残存付着した薄膜化処理液及びミセル除去液を水洗処理液によって洗い流す水洗処理、水洗処理液を除去する乾燥処理を含むこともできる。
<薄膜化処理>
薄膜化処理液による薄膜化処理は、パドル処理、スプレー処理、ブラッシング、スクレーピング等の方法を用いることもできるが、浸漬処理によって行われることが好ましい。浸漬処理では、ソルダーレジスト層が形成された基板を薄膜化処理液に浸漬(ディップ、dip)する。浸漬処理以外の処理方法は、アルカリ水溶液中に気泡が発生しやすく、その発生した気泡が薄膜化処理中にソルダーレジスト層表面に付着して、膜厚が不均一となる場合がある。スプレー処理を使用する場合には、気泡が発生しないように、スプレー圧をできるだけ小さくしなければならない。
本考案において、ソルダーレジスト層形成後の厚みとソルダーレジスト層が薄膜化された量で、薄膜化された後のソルダーレジスト層の厚みが決定される。また、本考案では、0.01~500μmの範囲でソルダーレジスト層の薄膜化量を自由に調整することができる。
<ソルダーレジスト>
ソルダーレジストとしては、アルカリ現像型のソルダーレジストが使用できる。また、液状レジストであってもよく、ドライフィルム状レジストであってもよい。液状レジストの場合、1液性であってもよく、2液性であってもよい。高濃度のアルカリ水溶液(薄膜化処理液)によって薄膜化でき、かつ、薄膜化処理液よりも低濃度のアルカリ水溶液である現像液によって現像できるソルダーレジストであればいかなるものでも使用できる。アルカリ現像型のソルダーレジストは光架橋性樹脂成分を含む。光架橋性樹脂成分は、例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物から選ばれる少なくとも1種を含有し、さらに、光重合開始剤を含有し、また、熱硬化剤、フィラー等を含有してもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂の有機高分子が挙げられ、エチレン性不飽和二重結合を有した単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)して得られたものであることが好ましい。これらのアルカリ可溶性樹脂は、分子中にカルボキシル基を含有する重合体や分子中にさらにエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基を含有する重合体から成り、主鎖の側鎖に、多数の遊離カルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。また、光重合性化合物と架橋し、硬化後のソルダーレジスト層はアルカリ水溶液への耐性を有する。これらのカルボキシル基を含有する重合体は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和二重結合を有した単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-エトキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン等のスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル-n-ブチルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、α-クロル(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系単量体;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体;フマル酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。
光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β′-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシアルキル-β′-(メタ)アクリロイルオキシアルキル-o-フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレングリコール、プロピレングリコール変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、エチレングリコール及びプロピレングリコールは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを示し、エチレングリコール変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有するものであり、プロピレングリコール変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。これらの光重合性化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N,N′,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン、Michler ketone)、N,N,N′,N′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン等の芳香族ケトン;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル;オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等のオキシフェニル酢酸エステル;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等のチタノセン化合物;N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、等が挙げられる。上記2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ソルダーレジスト層の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、硬化剤として熱硬化性成分を含有することができる。このような熱硬化性成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂等が使用でき、アルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基と反応(架橋)し、耐熱性や耐薬品性の特性が向上する。
フィラーとしては、無機又は有機フィラーが使用できる。特に、硫酸バリウム、球状シリカ及びタルクが好ましく用いられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。フィラーの平均粒子径は、0.1~20μmの範囲内であることが好ましい。上記平均粒子径は、より好ましくは0.2μm以上、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。
基板の表面にソルダーレジスト層を形成する方法は、いかなる方法でもよい。例えば、液状レジストの場合、スクリーン印刷法、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、カーテンコート法、バーコート法、エアナイフ法、ホットメルト法、グラビアコート法、刷毛塗り法、オフセット印刷法等が挙げられる。ドライフィルム状レジストの場合、ラミネート法、真空ラミネート法等が挙げられる。
基板としては、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板が挙げられる。フレキシブル基板は、絶縁層にポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー等が用いられ、絶縁層の片面もしくは両面に金属層が設けられた積層基板になっており、可撓性が大きい。リジッド基板は、絶縁層にガラスクロスにビスマレイミドトリアジン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁性基板を重ねて絶縁層とし、その片面もしくは両面に金属層が設けられた積層基板が挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグと呼ばれるビルドアップ用の絶縁材料を積層して作製する多層板も挙げられる。金属層の材料としては、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、金、あるいはそれらの合金等のいかなる金属も用いることができるが、銅が一般的である。
本考案において、回路基板は、絶縁層51と、絶縁層51の表面に形成された接続パッド54とを有する。絶縁層51の表面には、導体配線52が形成されていて、接続パッド54は導体配線52の一部である。本考案において、配線基板は、回路基板の表面にソルダーレジスト層53からなるソルダーレジストパターンを有し、ソルダーレジスト層53から接続パッド54の一部が露出している。電子部品を搭載する配線基板の場合、片表面の接続パッド54は電子部品接続用であり、別の表面の接続パッド54は外部接続用である。電子部品接続用の接続パッド54は電子部品と接合され、外部接続用の接続パッド54は外部電気基板の導体配線と接合される。
導体配線52と接続パッド54は、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法等によって形成される。サブトラクティブ法では、例えば、絶縁層51上に設けられた銅層上にエッチングレジストパターンを形成し、露光、現像、エッチング、レジスト剥離を実施して、導体配線52と接続パッド54を形成する。セミアディティブ法では、絶縁層51の表面に無電解銅めっきにより電解銅めっき用の下地金属層を設ける。次に、下地金属層上にめっきレジストパターンを形成し、露出した下地金属層の表面に電解銅めっき層を形成する。その後、レジスト剥離、下地金属層のフラッシュエッチングを実施して、導体配線52と接続パッド54が形成される。
<薄膜化装置>
図5~7は、本考案のソルダーレジスト層の薄膜化装置の一例を示す概略図である。本明細書では、「ソルダーレジスト層の薄膜化装置」を「薄膜化装置」と略記する場合がある。図5~7は、薄膜化装置を上方向から見た概略図である。図5~7の薄膜化装置は、薄膜化処理液1によってソルダーレジスト層中の成分をミセル化させる薄膜化処理ユニット11と、ミセル除去液10によってミセルを除去するミセル除去処理ユニット12と水洗処理液32によってソルダーレジスト層表面を洗浄する水洗処理ユニット31とを備えている。
まず、図4を用いて、従来技術における薄膜化装置と本考案の薄膜化装置において、共通する構造部分を説明する。薄膜化処理ユニット11では、投入口7から投入されたソルダーレジスト層が形成された基板3が、搬送ロール4対によって、ディップ槽2中の薄膜化処理液1に浸漬された状態で搬送される。これらの処理によって、基板3上のソルダーレジスト層中の成分は薄膜化処理液1によってミセル化され、このミセルが薄膜化処理液1に対して不溶化される。
薄膜化処理液1は、薄膜化処理液貯蔵タンク13中の薄膜化処理液吸込口14から薄膜化処理液供給用ポンプ(図示せず)によって吸い込まれ、薄膜化処理液供給管15を経てディップ槽2に供給される。ディップ槽2に供給された薄膜化処理液1は、オーバーフローし、薄膜化処理液回収管16を通って薄膜化処理液貯蔵タンク13に回収される。このようにして、薄膜化処理液1は、ディップ槽2と薄膜化処理貯蔵タンク13との間を循環する。薄膜化処理液ドレン管17からは、余剰分の薄膜化処理液1が排出される。
本考案では、薄膜化処理液がアルカリ性化合物を含む水溶液であることが好ましい。アルカリ性化合物の含有率は、好ましくは5~25質量%であり、より好ましくは5~20質量%であり、さらに好ましくは6~17質量%である。アルカリ性化合物の含有率が5質量%未満である場合、薄膜化量が不均一になる場合がある。また、該含有率が25質量%を超えた場合、アルカリ性化合物の析出が起こりやすくなることから、薄膜化処理液の経時安定性が問題となる場合がある。薄膜化処理液のpHは10以上であることが好ましい。また、薄膜化処理液には、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜添加することもできる。
アルカリ性化合物としては、無機アルカリ性化合物が挙げられる。無機アルカリ性化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩等が挙げられる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。また、上記無機アルカリ性化合物以外に、アンモニウムリン酸塩、アンモニウム炭酸塩等の無機アルカリ性化合物が挙げられる。有機アルカリ性化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド(コリン)等の有機アルカリ性化合物を含むこともできる。
アルカリ性化合物は単独で用いてもよいし、又は2種以上を併用してもよい。また、無機アルカリ性化合物と有機アルカリ性化合物を併用することもできる。
また、薄膜化処理液に、硫酸塩、亜硫酸塩を添加することもできる。硫酸塩又は亜硫酸塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の硫酸塩又は亜硫酸塩、マグネシウム、カルシウム等の第2族元素の硫酸塩又は亜硫酸塩が挙げられる。
薄膜化処理液の温度は、10~50℃であることが好ましく、15~35℃であることがより好ましい。温度が低すぎると、ソルダーレジスト層へのアルカリ性化合物の浸透速度が遅くなる場合があり、所望の厚みを薄膜化するのに長時間を要する。一方、温度が高すぎると、ソルダーレジスト層へのアルカリ性化合物の浸透と同時に溶解拡散が進行することにより、面内で膜厚ムラが発生しやすくなる場合がある。
薄膜化処理ユニット11から排出された基板3は、ミセル除去処理ユニット12へ投入される。ミセル除去処理ユニット12では、薄膜化処理ユニット11においてソルダーレジスト層の成分が薄膜化処理液1に対して不溶化された基板3が搬送ロール6対によって搬送される。搬送されている基板3に対して、ミセル除去液供給用スプレーノズル21からミセル除去液10が供給され、ソルダーレジスト層の成分のミセルが一挙に溶解除去される。
ミセル除去液10は、ミセル除去液貯蔵タンク18中のミセル除去液吸込口19からミセル除去液10をミセル除去液供給用ポンプ(図示せず)で吸い込み、ミセル除去液供給管20を経てミセル除去液供給用スプレーノズル21からミセル除去液スプレー22として噴射される。基板3から流下したミセル除去液10は、ミセル除去液貯蔵タンク18に回収される。このようにして、ミセル除去液10はミセル除去処理ユニット12内を循環する。ミセル除去液ドレン管23からは、余剰分のミセル除去液10が排出される。
ミセル除去液としては、水道水、工業用水、純水等を用いることができる。また、少なくとも1種のアルカリ性化合物を含むpH5~10の水溶液をミセル除去液として用いることが好ましく、薄膜化処理液で不溶化されたソルダーレジスト層の成分が再分散しやすくなる。アルカリ性化合物としては、上述の薄膜化処理液で例示したアルカリ性化合物が挙げられる。ミセル除去液のpHが5未満の場合、ソルダーレジスト層成分が凝集し、不溶性のスラッジとなって、薄膜化したソルダーレジスト層表面に付着する場合がある。一方、ミセル除去液のpHが10を超えた場合、ソルダーレジスト層が過度に溶解拡散し、面内で薄膜化量にムラが発生しやすくなる場合がある。また、ミセル除去液は、硫酸、リン酸、塩酸等を用いて、pHを調整することができる。
ミセル除去液スプレー22の条件(温度、時間、スプレー圧、供給流量)は、ソルダーレジスト層の成分の溶解速度に合わせて適宜調整される。具体的には、ミセル除去液貯蔵タンク18内におけるミセル除去液10の温度は10~50℃が好ましく、より好ましくは15~35℃である。また、スプレー圧は0.01~0.5MPaとするのが好ましく、より好ましくは0.1~0.3MPaである。ミセル除去液10の供給流量は、ソルダーレジスト層1cmあたり0.030~1.0L/minが好ましく、0.050~1.0L/minがより好ましく、0.10~1.0L/minがさらに好ましい。供給流量がこの範囲であると、薄膜化後のソルダーレジスト層表面に不溶解成分を残すことなく、ソルダーレジスト層の成分のミセルを除去しやすい。ソルダーレジスト層1cmあたりの供給流量が0.030L/min未満では、不溶化したソルダーレジスト層の成分の溶解不良が起こる場合がある。一方、供給流量が1.0L/minを超えると、供給のために必要なポンプ等の部品が巨大になり、大掛かりな装置が必要となる場合がある。さらに、1.0L/minを超えた供給量では、ソルダーレジスト層の成分の溶解拡散に与える効果が変わらなくなることがある。
ミセル除去処理ユニット12から排出された基板3は、水洗処理ユニット31へ投入される。水洗処理ユニット31では、ミセル除去処理ユニット12において、ソルダーレジスト層の成分のミセルが溶解除去された基板3が搬送ロール33対によって搬送される。搬送されている基板3に対して、水洗処理液スプレー37によって水洗処理液32が供給され、基板3が水洗処理される。
水洗処理ユニット31では、ミセル除去処理後、さらに、ソルダーレジスト層の表面に残存付着した薄膜化処理液及びミセル除去液を水洗処理によって洗い流す。水洗処理の方法としては、拡散速度と液供給の均一性の点からスプレー方式が好ましい。水洗処理液としては、水道水、工業用水、純水等を用いることができる。このうち純水を使用することが好ましい。純水は、一般的に工業用に用いられるものを使用することができる。
乾燥処理では、熱風乾燥、室温送風乾燥のいずれも用いることができるが、好ましくは高圧空気をエアガンからあるいはブロアから大量の空気を送気してエアナイフでソルダーレジスト層表面に残存している水を吹き飛ばす乾燥方法がよい。
本考案の薄膜化装置の特徴について、図面を用いて詳細に説明する。図5のソルダーレジスト層の薄膜化装置では、表面にソルダーレジスト層が形成された基板3を搬送する搬送ロール6対を有し、ミセル除去処理ユニット12において、ミセル除去液供給用スプレーノズル21は、固定式であり、また、噴射方向が同一方向になるように配置されている。図中の矢印40は、ミセル除去液10の流れ方向を示している。ミセル除去液10のスプレーパターン25を分かりやすくするために、本来設置されているべき、上側のミセル除去液供給管20及びミセル除去液供給用スプレーノズル21は図示していない。
図9は、本考案の薄膜化装置において、ミセル除去液供給用スプレーノズル21の配置例を示した概略図である。図9-1は、ミセル除去処理ユニット12内部のミセル除去液供給用スプレーノズル21とミセル除去液スプレー22の流れを薄膜化装置の上方向から見たときの状態図である。図9-2は、薄膜化装置の基板搬送方向の排出側から見たときのミセル除去液供給用スプレーノズル21の配置状態とミセル除去液スプレー22の状態を図示したものである。図9-1中の矢印44は、基板の搬送方向を示し、矢印43はミセル除去液供給用スプレーノズルの噴射方向を示している。基板3上を流れるミセル除去液がすべて同一方向に流れている状態を実現するためには、すべてのミセル除去液供給用スプレーノズル21を同じ向きに傾ければよい。この状態では、搬送中の基板3を上方向から見た際に、すべてのミセル除去液供給用スプレーノズルの噴射方向43が同一方向を向くことになる(図9-1)。このように、すべてのミセル除去液供給用スプレーノズルの噴射方向43が同一方向になるように、ミセル除去液供給用スプレーノズル21を同一方向に傾けた状態でミセル除去処理を行うことによって、同一方向のミセル除去液の液流を基板3のソルダーレジスト層表面にスプレーすることができる(図9-2)。また、ミセル除去液供給用スプレーノズルの噴射方向43は、ミセル除去処理を行うミセル除去処理ユニット12の上流の設備(薄膜化処理ユニット11)や下流の設備(水洗処理ユニット31)にミセル除去液が流れ込むことを防ぐために、基板の搬送方向44に直交する右向き又は左向きに統一して傾けるのが好ましい。これによって、ミセル除去液は、ミセル除去液供給用スプレーノズルの噴射方向43の上流側から下流側(ミセル除去液の流れ方向40)へと、同一方向に流れるため、緩慢で不均一な液流が原因で発生する基板3面内でソルダーレジスト層の薄膜化量が不均一になる問題を解決することができる。
ここで、ミセル除去処理ユニット12において、より効率的に、ミセル除去液供給用スプレーノズルの噴射方向43の上流側から下流側への同一方向の液流を作るためには、基板3を搬送する搬送ロール6としてストレートタイプのロールを使用する。ストレートタイプのロールは、表面に凹凸がなく、ソルダーレジスト層表面に密着することができる。ソルダーレジスト層表面とストレートタイプのロールが密着している場合、ミセル除去液スプレー22は、前後列の搬送ロール6対間において、無秩序に乱流となることなく、搬送ロール6に沿いながら、下流側まで多流量の直線的な液流を作ることができる。ストレートタイプのロールの種類としては、ゴムロール、スポンジロール、金属ロール、樹脂ロール等が挙げられる。その中でも、優れたゴム弾性(シール性、回復性)を有し、比重が小さく、軽量であり、低硬度から中硬度であり、ソルダーレジスト層への接触による衝撃が少なく、高濃度のアルカリ水溶液である薄膜化処理液への耐薬品性にも優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーのロールが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、サーモラン(THERMORUN、登録商標)が挙げられる。
スプレーノズルのスプレーパターンには、充円錐、扇形、直線状、層状等がある。本考案では、同一方向の液流となることが重要であるため、ミセル除去液供給用スプレーノズル21は、揺動式や首振り式ではなく、固定式である。そして、この固定式のスプレーノズルを同一方向に傾斜させて噴射させる。固定式のスプレーノズルを用いる場合、スプレーパターンが常に均等になるように、スプレーノズルの傾斜角度は固定されていることが好ましい。ミセル除去液供給用スプレーノズル21を所望の傾斜角度でミセル除去液供給管20に直接取り付けて固定する方法では、ミセル除去液供給用スプレーノズル21交換時に傾斜角度を調整する必要がなくなり、好ましい。その他、ミセル除去液供給管20に傾斜角度の調整が可能なアダプター(例えば、いけうち社製、商品名:UTボールジョイント)を取り付けて、ミセル除去液供給用スプレーノズル21の傾斜角度を調整した後、固定する方法でもよい。
ミセルの溶解除去速度が極端に遅いソルダーレジスト層の薄膜化において、スプレーパターンが充円錐である場合、ミセルが除去しきれずに残ってしまう。これは、不溶化されたミセルの溶解除去に必要なアルカリ性化合物が溶出してしまい、不溶化されたミセルが元のソルダーレジスト層の成分の状態に戻ることによる。本考案において、ミセル除去液供給用スプレーノズル21のスプレーパターンが扇形である場合、スプレーパターンが充円錐である場合に比べてスプレーパターン(噴射範囲)の面積が狭いため、単位面積あたりの供給流量を多くすることができ、また、単位面積あたりのスプレー圧を高くすることができる。つまり、短時間で強いインパクトを与えることができるため、不溶化されたソルダーレジスト層からのアルカリ性化合物の溶出を抑制すると同時に、不溶化されたミセルを一挙に溶解除去することが可能となる。扇形のスプレーパターンは、幅方向全域にわたり均等な分布になるもの、山形で中央部が強く、端部にかけて弱まる分布になるものがあり、どちらも使用できる。
充円錐と扇形のスプレーパターンの面積の違いについて説明する。図11は、ミセル除去液のスプレーパターンを示す概略図であり、薄膜化装置の基板搬送方向の排出側から見たときのミセル除去液供給用スプレーノズル21の配置状態とミセル除去液の噴射状態及びミセルの噴射範囲(スプレーパターン)を薄膜化装置の上方向から見たときの状態図である。スプレーパターン(充円錐)24に対して、スプレーパターン(扇形)25は、面積が狭い。この面積は、供給流量やスプレー圧、ソルダーレジスト層表面からの距離、ミセル除去液供給用スプレーノズル21の傾斜角度47によって変わるが、充円錐に対する扇形の面積比率(扇形/充円錐)は、およそ15~20%である。
ミセルの溶解除去速度が極端に遅いソルダーレジストとは、例えば、遊離カルボキシル基が少ないアルカリ可溶性樹脂を含むソルダーレジスト、質量平均分子量が大きいアルカリ可溶性樹脂を含むソルダーレジスト、アルカリ可溶性樹脂が少なく、光重合性化合物が多いソルダーレジスト等が挙げられる。
図6のソルダーレジスト層の薄膜化装置では、ミセル除去処理ユニット12において、基板3の搬送方向に対して、ミセル除去液供給管20のミセル除去液供給用スプレーノズル21の配置が、ミセル除去液供給管20の前後列で千鳥位置になっている。これによって、基板3の搬送方向の垂直方向におけるスプレーパターン25の噴射位置を均等化することができる。また、水洗処理ユニット31においても、同様に、基板3の搬送方向に対して、水洗処理液供給管35の水洗処理液供給用スプレーノズル36の配置が、水洗処理液供給管35の前後列で千鳥位置になっており、基板3の搬送方向の垂直方向におけるスプレーパターン38の噴射位置を均等化することができる。
図7のソルダーレジスト層の薄膜化装置では、ミセル除去処理ユニット12において、リングタイプの搬送ロール41対が設置されている。リングタイプの搬送ロール41対を使用した場合、ミセル除去液10のスプレーパターン25が、前後列の搬送ロール41対間において、基板3の搬送方向にも多く拡散するようになる。そのため、図5及び図6に示したストレートタイプの搬送ロール4対に比べて、多流量の直線的な液流が作りにくくなる。この欠点は、リングタイプの搬送ロール41として、リングローラーの強度や耐久性を損なわない範囲で、ローラー断面がスポーク(spoke)やメッシュ(mesh)になっているもの、あるいは、貫通穴が開いているものを使用することによって、噴射方向43の上流側から下流側への液流を一定量通過させることで解消することができる。そして、リングタイプの搬送ロール41を使用した場合、基板3の搬送方向の垂直方向にリングローラーを一定の間隔で配置し、前後列の搬送ロール41で、リングローラーの配置を千鳥位置にすれば、基板3の搬送方向に対して搬送ロール41の間隔をリングローラーの直径以下にすることが可能となる。これによって、搬送中に基板3が落下するのを防止し、より板厚の薄い基板3の搬送が可能となるという利点がある。リングタイプのロールの種類としては、ゴムロール、スポンジロール、金属ロール、樹脂ロール等が挙げられる。その中でも、比重が小さく、軽量であり、レジスト層への接触による衝撃が少なく、高濃度のアルカリ水溶液である薄膜化処理液への耐薬品性にも優れたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、硬質ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、フッ素樹脂(例えば、テフロン(TEFLON、登録商標))等の他、オレフィン系熱可塑性エラストマーのロールを用いることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、サーモラン(THERMORUN、登録商標)が挙げられる。
図8のソルダーレジスト層の薄膜化装置では、ミセル除去処理ユニット12において、ミセル除去液供給管20のミセル除去液供給用スプレーノズル21から噴射されるミセル除去液のスプレーパターン25が、扇形であり、さらに、スプレーパターン25が、基板3の搬送方向に対して垂直方向に一直線上に並んでいる。扇形のスプレーパターン25は、ミセル除去液供給用スプレーノズル21の取り付け角を回転させることによって、噴射方向を調整することができる。これによって、高圧力のスプレーをより効果的に基板3上のソルダーレジスト層に噴射することができ、薄膜化量が多くなった場合でも、不溶化されたソルダーレジスト層を残さず除去することができる。
以下、実施例によって本考案をさらに詳しく説明するが、本考案はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
銅張積層板(面積170mm×200mm、銅箔厚み18μm、基材厚み0.4mm)にドライフィルム状のソルダーレジスト(太陽インキ製造株式会社製、商品名:PFR-800 AUS SR1)を上記回路基板上に真空熱圧着し(ラミネート温度75℃、吸引時間30秒、加圧時間10秒)、膜厚が30μmのソルダーレジスト層を形成した。
次に、キャリアフィルムを剥離した後、ディップ槽2を備えた薄膜化処理ユニット11とミセル除去液10によってミセルを除去するミセル除去処理ユニット12とを備えてなるソルダーレジスト層の薄膜化装置(図7)を用いて、ソルダーレジスト層を薄膜化した。
使用したミセル除去液供給用スプレーノズル21は固定式で、そのスプレーパターン25は扇形である。また、図9-1(ミセル除去処理ユニット12内部のミセル除去液供給用スプレーノズル21とミセル除去液スプレー22を薄膜化装置の上方向から見たときの状態図)において、ミセル除去液供給用スプレーノズルの噴射方向43はすべて同一方向を向いていて、図9-2(薄膜化装置の基板搬送方向の排出側から見たときのミセル除去液供給用スプレーノズル21の配置状態とミセル除去液スプレー22の状態)において、基板に対する垂線45とスプレーノズルの中心線46によって形成される傾斜角度47は25度であった。すなわち、ミセル除去処理ユニット12において、すべてのミセル除去液供給用スプレーノズル21が、基板の搬送方向44に対して左側に25度傾けて設置されていた。
薄膜化処理液1として10質量%のメタケイ酸ナトリウム(温度25℃)を用いて、薄膜化処理ユニット11のディップ槽2における浸漬処理時間が30秒になるように薄膜化処理を行い、ソルダーレジスト層の成分をミセル化した。その後、ミセル除去処理ユニット12で、ミセル除去液10として、メタケイ酸ナトリウムを含んだpH=8の水溶液(温度25℃)を用いて、ミセル除去液供給用スプレーノズル21から供給流量1.2L/minで基板3に供給し、不溶化したミセルを除去し、ソルダーレジスト層を薄膜化した。ソルダーレジスト層1cmあたりのミセル除去液の供給流量は0.10L/minであり、スプレー圧は0.2MPaであった。その後、水洗処理及び乾燥処理を行った。
水洗処理及び乾燥処理の後に、ソルダーレジスト層の薄膜化部の厚みを10点測定したところ、最大値は16.0μmであり、最小値は14.0μmであり、平均厚みは15.0μmだった。また、薄膜化されたソルダーレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラのない平滑な薄膜化面であることが確認された。
(実施例2)
図8のソルダーレジスト層の薄膜化装置を用いた以外は、実施例1と同じ方法でソルダーレジスト層を薄膜化した。実施例1では、スプレーパターン25が、基板3の搬送方向に対して垂直方向に一直線上に並んでいないのに対し(図7)、実施例2では、スプレーパターン25が、基板3の搬送方向に対して垂直方向に一直線上に並んでいる(図8)。また、基板に対する垂線45とスプレーノズルの中心線46によって形成される傾斜角度47は25度であった。
水洗処理及び乾燥処理の後に、ソルダーレジスト層の薄膜化部の厚みを10点測定したところ、最大値は15.5μmであり、最小値は14.5μmであり、平均厚みは15.0μmだった。また、薄膜化されたソルダーレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラのない平滑な薄膜化面であることが確認された。
(実施例3)
薄膜化処理ユニット11のディップ槽2における浸漬処理時間が60秒である以外は、実施例1と同じ方法でソルダーレジスト層を薄膜化した。
水洗処理及び乾燥処理の後に、ソルダーレジスト層の薄膜化部の厚みを10点測定したところ、最大値は9.0μmであり、最小値は7.0μmであり、平均厚みは8.0μmだった。また、薄膜化されたソルダーレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、処理ムラのない平滑な薄膜化面であることが確認された。
(比較例1)
図10のソルダーレジスト層の薄膜化装置を用いた以外は、実施例1と同じ方法でソルダーレジスト層を薄膜化した。すなわち、使用したミセル除去液供給用スプレーノズル21は固定式で、そのスプレーパターン24は充円錐である。
水洗処理及び乾燥処理の後に、ソルダーレジスト層の薄膜化部の厚みを10点測定したところ、最大値は16.0μmであり、最小値は10.0μmであり、平均厚みは13.0μmだった。また、薄膜化されたソルダーレジスト層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、ミセル除去液スプレー22によって除去しきれなかったソルダーレジスト層が残っていた。
本考案のソルダーレジストパターンの形成方法は、例えば、配線の一部にフリップチップ接続用の接続パッドを備えた回路基板のソルダーレジストパターンの形成を行う用途に適用できる。
1 薄膜化処理液
2 ディップ槽
3 基板
4 搬送ロール(ストレートタイプ)
6 搬送ロール(ストレートタイプ)
7 投入口
10 ミセル除去液
11 薄膜化処理ユニット
12 ミセル除去処理ユニット
13 薄膜化処理液貯蔵タンク
14 薄膜化処理液吸込口
15 薄膜化処理液供給管
16 薄膜化処理液回収管
17 薄膜化処理液ドレン管
18 ミセル除去液貯蔵タンク
19 ミセル除去液吸込口
20 ミセル除去液供給管
21 ミセル除去液供給用スプレーノズル
22 ミセル除去液スプレー
23 ミセル除去液ドレン管
24 スプレーパターン(ミセル除去液、充円錐)
25 スプレーパターン(ミセル除去液、扇形)
31 水洗処理ユニット
32 水洗処理液
33 搬送ロール(リングタイプ)
34 水洗処理液吸込口
35 水洗処理液供給管
36 水洗処理液供給用スプレーノズル
37 水洗処理液スプレー
38 スプレーパターン(水洗処理液、扇形)
40 ミセル除去液の流れ方向
41 搬送ロール(リングタイプ)
43 ミセル除去液供給用スプレーノズルの噴射方向
44 基板の搬送方向
45 基板に対する垂線
46 スプレーノズルの中心線
47 傾斜角度
51 絶縁層
52 導体配線
53 ソルダーレジスト層
54 接続パッド

Claims (2)

  1. 薄膜化処理液によって硬化していないソルダーレジスト層の成分をミセル化させる薄膜化処理ユニットと、ミセル除去液によってミセルを除去するミセル除去処理ユニットとを備えてなるソルダーレジスト層の薄膜化装置において、
    ミセル除去処理ユニットが、ミセル除去液供給用スプレーノズルを有し、
    ミセル除去液供給用スプレーノズルは、固定式であり、また、噴射方向が同一方向になるように配置され、
    ミセル除去液供給用スプレーノズルのスプレーパターンが扇形であることを特徴とするソルダーレジスト層の薄膜化装置。
  2. 搬送方向に対して垂直方向に、スプレーパターンが一直線上に並ぶように、ミセル除去液供給用スプレーノズルが配置されている請求項1記載のソルダーレジスト層の薄膜化装置。
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