JP6076291B2 - 樹脂層薄膜化処理液の管理方法 - Google Patents

樹脂層薄膜化処理液の管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂層薄膜化処理液の管理方法に関する。
電気及び電子部品の小型化、軽量化、多機能化に伴い、回路形成用のドライフィルムレジスト、ソルダーレジストをはじめとする感光性樹脂(感光性材料)には、プリント配線板の高密度化に対応するために、高解像度が要求されている。これらの感光性樹脂による画像形成は、感光性樹脂を露光後、現像することによって行われる。
プリント配線板の小型化、高機能化に対応するため、感光性樹脂が薄膜化される傾向がある。感光性樹脂には、液を塗布して使用するタイプのもの(液状レジスト)とドライフィルムタイプのもの(ドライフィルムレジスト)がある。最近では15μm以下の厚みのドライフィルムレジストが開発され、製品化も進んでいる。しかし、このような薄いドライフィルムレジストでは、従来の厚さのレジストに比べて、密着性及び凹凸への追従性が不十分となり、剥がれやボイドなどが発生する問題があった。
また、ドライフィルムレジストにおいて高解像度化を達成する方法としては、露光前に、感光性樹脂に備えられた支持フィルムを剥離し、支持フィルムを介さずに露光する方法がある。この場合、感光性樹脂にフォトツール(フォトマスク)を直接密着させる場合もある。しかしながら、感光性樹脂は、通常、ある程度の粘着性を有しているため、フォトツールを感光性樹脂に直接密着させて露光を行う場合、密着させたフォトツールの除去が困難となる。また、感光性樹脂によりフォトツールが汚染されたり、支持フィルムを剥離することにより感光性樹脂が大気中の酸素に曝されたりして、光感度が低下しやすくなる。
上述の点を改善するために、厚い感光性樹脂を使用しながら、高解像度が達成できる種々の手段が提案されている。例えば、サブトラクティブ法によって導電パターンを作製する方法において、絶縁層の片面又は両面に金属層が設けられてなる積層基板上にドライフィルムレジストを貼り付けて感光性樹脂層を形成した後、感光性樹脂層の薄膜化工程を行い、次に、回路パターンの露光工程、現像工程、エッチング工程を行うことを特徴とする導電パターンの形成方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ソルダーレジストパターンを形成する方法において、導電性パターンを有する回路基板上にソルダーレジストからなる感光性樹脂層を形成した後、感光性樹脂層の薄膜化工程を行い、次にパターン露光工程を行い、再度感光性樹脂層の薄膜化工程を行うことを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
しかしながら、特許文献1〜3の方法では、感光性樹脂層を薄膜化するための樹脂層薄膜化処理液として高濃度のアルカリ性水溶液を使用するため、次のような問題があった。まず、樹脂層薄膜化処理液が空気と接触すると、炭酸塩を生じることにより劣化する。また、水分蒸発による濃縮も薄膜化能力を不安定化させる要因である。さらに、薄膜化処理により、基板が処理液を持ち出すことによる処理液の減少も無視できない(例えば、特許文献4参照)。
よって、樹脂層薄膜化処理液の能力を一定に保つために、薄膜化能力を反映する何らかの指標をもとに、樹脂層薄膜化処理液の管理を行うことが必要不可欠である。
感光性有機樹脂の現像に用いられるアルカリ系現像液の管理方法として、pHを用いる場合がある。しかし、前述のような空気酸化や濃縮によるpHの変化量は小さく、濃度を精密に求めることができない。樹脂層薄膜化処理液の場合、僅かな濃度変化でも処理量や均一性に影響が現れるため、処理液のアルカリ濃度をpHで管理することはできない。
中和滴定によるアルカリ系現像液の管理方法も提案されているが、この管理方法をそのまま適用すると、種々の問題点が生じる場合がある(例えば、特許文献5参照)。
すなわち、特許文献5における現像液の管理方法の場合、現像液を自動的にサンプリングした液のアルカリ濃度が目標より高い場合には水を補充し、低い場合には現像液よりも高濃度の補充液を目標濃度からのずれに応じて追加補充する。特許文献1〜3における樹脂層薄膜化処理液は、液晶基板製造工程やプリント配線板工程などに用いられる一般的なアルカリ系現像液よりも濃度変化が処理に及ぼす影響が大きいため、より厳密な管理が必要であり、高濃度の補充液を追加補充すると、薄膜化処理が不安定になる。
より詳しく説明すると、アルカリ系現像液による感光性樹脂層の現像工程の場合、光架橋していない感光性樹脂層を全て現像できるように、アルカリ系現像液の濃度が変化することを見越して、感光性樹脂層全てが溶出される時間(ブレイクポイント)よりも1.5倍〜2.0倍程度の時間の処理が施されている。光架橋している部分は、この時間であれば、剥離しない。これに対して、特許文献1〜3では、全く光架橋していない感光性樹脂層を均一に薄膜化しなければならず、高濃度の補充液を追加補充することで生じる僅かの濃度のずれが薄膜化量に大きく影響してしまう。高濃度の補充液を追加補充する際に、槽内を一気に撹拌することで、瞬間的に目標濃度になるように機械的な操作を施すことも考えられるが、この撹拌によって、樹脂層薄膜化処理液が発泡し、この泡によって、薄膜化処理が不均一になる場合があるため、これも適用不可能である。
高濃度の補充液を追加補充する際の課題を解決する方法として、中和滴定法による濃度測定と、処理液と同濃度の補充液を組み合わせた樹脂層薄膜化処理液の管理方法も提案されている(例えば、特許文献6参照)。この方法では、樹脂層薄膜化処理液のアルカリ濃度がアルカリ領域の中和点でのみ測定されるため、正しく測定されない場合があることが見出された。すなわち、例えば酸化劣化と濃縮という2種類の濃度変化は各々別個に生じうるが、酸化劣化している場合の滴定量は減少し、一方、濃縮が生じている場合の滴定量は増加する。よって、これら2つの逆方向の影響を受け、正しいアルカリ濃度を得ることができない場合がある。
また、処理枚数や処理面積によって定量補充をする管理方法(「カウンターフロー法」ともいう)は、安定に動作している間は有効であると考えられるが、実際のアルカリ濃度を測定していないため、万が一想定から逸脱した場合に検知できないなど、この方法のみで処理液の濃度を管理することはできない。
国際公開第2009/096438号パンフレット 特開2011−192692号公報 国際公開第2012/043201号パンフレット 特開2006−133560号公報 特開平9−236931号公報 特許第5444063号公報
本発明の課題は、感光性樹脂層を樹脂層薄膜化処理液によって薄膜化する方法における樹脂層薄膜化処理液の管理方法において、高濃度のアルカリ性水溶液である樹脂層薄膜化処理液の薄膜化能力をより一定に保つことを可能にするための管理方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
(1)基板の表面に感光性樹脂層を形成する工程、樹脂層薄膜化処理液によって感光性樹脂層を薄膜化する工程をこの順に含む感光性樹脂層を薄膜化する方法における樹脂層薄膜化処理液の管理方法において、基板処理量に応じて第一補充液を定量補充する方法と、中和滴定法によって樹脂層薄膜化処理液の疲労度を求め、樹脂層薄膜化処理液の能力を所定の範囲内に保持するように第二補充液を補充する方法とを併用することを特徴とする樹脂層薄膜化処理液の管理方法、
(2)中和滴定法において、2つ以上の中和点から樹脂層薄膜化処理液の疲労度を求める上記(1)記載の樹脂層薄膜化処理液の管理方法。
(3)第一補充液が、未使用の樹脂層薄膜化処理液と同じ疲労度の処理液であり、第二補充液が未使用の樹脂層薄膜化処理液と同じ疲労度の処理液、水及び未使用の樹脂層薄膜化処理液を水で希釈した処理液からなる群から少なくとも一つ選ばれた補充液である上記(1)又は(2)記載の樹脂層薄膜化処理液の管理方法、
によって、上記課題を解決できることを見出した。
本発明によれば、処理面積に応じて第一補充液を定量補充する方法と、中和滴定法によって樹脂層薄膜化処理液の疲労度を求め、樹脂層薄膜化処理液の能力を所定の範囲内に保持するように第二補充液を補充する方法とを併用して樹脂層薄膜化処理液の薄膜化能力を管理することにより、中和滴定のみによる管理方法と比較して厳密な管理ができるため、樹脂層薄膜化処理液の薄膜化能力をより一定に保つことができる。また、中和滴定法においても、2つ以上の中和点から樹脂層薄膜化処理液の疲労度を求めることによって、樹脂層薄膜化処理液の疲労度をより厳密に管理することができる。さらに、処理面積に応じて定量補充される第一補充液が未使用の樹脂層薄膜化処理液と同じ疲労度の処理液であり、中和滴定法による濃度測定の結果に応じて補充される第二補充液が未使用の樹脂層薄膜化処理液と同じ疲労度の処理液、水、未使用の樹脂層薄膜化処理液を水で希釈した処理液からなる群から少なくとも一つ選ばれた補充液であることによって、処理槽内の処理液量も適切に管理できるため、薄膜化能力をより厳密に管理することができる。
樹脂層薄膜化処理液によって感光性樹脂層を薄膜化する工程とは、樹脂層薄膜化処理液によって感光性樹脂層中の成分のミセルを一旦不溶化し、樹脂層薄膜化処理液中に溶解拡散しにくくする薄膜化処理、ミセル除去液スプレーによって一挙にミセルを溶解除去するミセル除去処理を含む工程である。さらに、除去しきれなかった感光性樹脂層表面や残存付着した樹脂層薄膜化処理液及びミセル除去液を水洗によって洗い流す水洗処理、水洗水を除去する乾燥処理を含むこともできる。
樹脂層薄膜化処理液による薄膜化処理は、パドル処理、スプレー処理、ブラッシング、スクレーピング等の方法を用いることもできるが、浸漬処理によって行われることが好ましい。浸漬処理では、感光性樹脂層が形成された基板を樹脂層薄膜化処理液に浸漬(ディップ、dip)する。浸漬処理以外の処理方法は、樹脂層薄膜化処理液中に気泡が発生しやすく、その発生した気泡が薄膜化処理中に感光性樹脂層表面に付着して、膜厚が不均一となる場合がある。スプレー処理等を使用する場合には、気泡が発生しないように、スプレー圧をできるだけ小さくしなければならない。
感光性樹脂層形成後の厚みと感光性樹脂層が薄膜化された量で、薄膜化された後の感光性樹脂層の厚みが決定される。また、0.01〜500μmの範囲で感光性樹脂層の薄膜化量を自由に調整することができる。
感光性樹脂としては、アルカリ現像型の感光性樹脂が使用できる。また、液状であってもよく、ドライフィルム状であってもよく、高濃度のアルカリ水溶液(樹脂層薄膜化処理液)によって薄膜化でき、かつ、樹脂層薄膜化処理液よりも低濃度のアルカリ水溶液である現像液によって現像できる感光性樹脂であればいかなるものでも使用できる。アルカリ現像型感光性樹脂は光架橋性樹脂成分を含む。光架橋性樹脂成分は、例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物から選ばれる少なくとも1種を含有し、さらに、光重合開始剤等を含有してなる。また、エポキシ化合物、エポキシ樹脂、熱硬化剤、無機フィラー等を含有させてもよい。市販のエッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジスト等を使用することもできる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂の有機高分子が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有した単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)して得られたものであることが好ましい。これらのアルカリ水溶液に可溶な重合体は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和二重結合を有した単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等のスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸モノエステル;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体;フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。
光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO、PO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EO及びPOは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有するものであり、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。これらの光重合性化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン、Michler ketone)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル;オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等のオキシフェニル酢酸エステル;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン化合物;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、等が挙げられる。上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物やエポキシ樹脂は、硬化剤として用いられる場合がある。アルカリ可溶性樹脂のカルボン酸と反応させることで架橋させ、耐熱性や耐薬品性の特性の向上を図っているが、カルボン酸とエポキシは常温でも反応が進むために、保存安定性が悪く、アルカリ現像型ソルダーレジストは一般的に使用前に混合する2液性の形態をとっている場合が多い。無機フィラーを使用する場合もあり、例えば、タルク、硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。
基板の表面に感光性樹脂層を形成する方法は、いかなる方法でもよいが、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、カーテンコート法、バーコート法、エアナイフ法、ホットメルト法、グラビアコート法、刷毛塗り法、オフセット印刷法が挙げられる。ドライフィルムレジストの場合は、ラミネート法が好適に用いられる。
基板としては、プリント配線板、リードフレーム用基板;プリント配線板やリードフレーム用基板を加工して得られる回路基板が挙げられる。
プリント配線板用基板としては、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板が挙げられる。
フレキシブル基板の絶縁層の厚さは5〜125μmで、その両面もしくは片面に1〜35μmの金属層が設けられて積層基板となっており、可撓性が大きい。絶縁層の材料には、通常、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー等が用いられる。絶縁層上に金属層を有する材料は、接着剤で貼り合わせる接着法、金属箔上に樹脂液を塗布するキャスト法、スパッタリングや蒸着法で樹脂フィルム上に形成した厚さ数nmの薄い導電層(シード層)の上に電解メッキで金属層を形成するスパッタ/メッキ法、熱プレスで貼り付けるラミネート法等のいかなる方法で製造したものを用いてもよい。金属層の金属としては、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、あるいはそれらの合金等のいかなる金属を用いることができるが、銅が一般的である。
リジッド基板は、紙基材又はガラス基材にエポキシ樹脂又はフェノール樹脂等を浸漬させた絶縁性基板を重ねて絶縁層とし、その片面もしくは両面に金属箔を載置し、加熱及び加圧により積層し、金属層が設けられた積層基板が挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、貫通孔や非貫通孔を有する多層板も挙げられる。厚みは60μm〜3.2mmであり、プリント配線板としての最終使用形態により、その材質と厚みが選定される。金属層の材料としては、銅、アルミニウム、銀、金等が挙げられるが、銅が最も一般的である。これらプリント配線板用基板の例は、「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学会編、1987年刊、日刊工業新聞社発刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット(Scarlett)編、1992年刊、(株)近代化学社発刊)に記載されている。
リードフレーム用基板としては、鉄ニッケル合金、銅系合金等の基板が挙げられる。
回路基板とは、絶縁性基板上に半導体チップ等の電子部品を接続するための接続パッドが形成された基板である。接続パッドは銅等の金属からなる。また、回路基板には、導体配線が形成されていてもよい。回路基板を作製する方法は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法が挙げられる。サブトラクティブ法では、例えば、上記のプリント配線板用基板にエッチングレジストパターンを形成し、露光工程、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程を実施して回路基板が作製される。
樹脂層薄膜化処理液としてはアルカリ水溶液が使用される。樹脂層薄膜化処理液に使用されるアルカリ性化合物としては、例えばリチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩(Alkali Metal Silicate)、アルカリ金属水酸化物(Alkali Metal Hydroxide)、アルカリ金属リン酸塩(Alkali Metal Phosphate)、アルカリ金属炭酸塩(Alkali Metal Carbonate)、アンモニウムリン酸塩、アンモニウム炭酸塩等の無機アルカリ性化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Tetramethylammonium Hydroxide、TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド(コリン、Choline)等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、単独で用いてもよいし、混合物としても使用できる。樹脂層薄膜化処理液の媒体である水には、水道水、工業用水、純水等を用いることができるが、特に純水を使用することが好ましい。
アルカリ性化合物の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下で使用できる。また、感光性樹脂層表面をより均一に薄膜化するために、樹脂層薄膜化処理液に、硫酸塩、亜硫酸塩を添加することもできる。硫酸塩又は亜硫酸塩としては、リチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属硫酸塩又は亜硫酸塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩又は亜硫酸塩が挙げられる。
樹脂層薄膜化処理液のアルカリ性化合物としては、これらの中でも特に、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物;TMAH、コリンから選ばれる有機アルカリ性化合物を好ましく使用することができる。これらのアルカリ性化合物は、単独で用いてもよいし、混合物としても使用できる。また、未使用の樹脂層薄膜化処理液におけるアルカリ性化合物の含有量が5〜25質量%であるアルカリ水溶液が、表面をより均一に薄膜化できるため、好適に使用できる。アルカリ性化合物の含有量が5質量%未満では、薄膜化する処理でムラが発生しやすくなる場合がある。また、25質量%を超えると、アルカリ性化合物の析出が起こりやすくなる場合があり、液の経時安定性、作業性に劣る場合がある。未使用の樹脂層薄膜化処理液におけるアルカリ性化合物の含有量は7〜17質量%がより好ましく、8〜13質量%がさらに好ましい。未使用の樹脂層薄膜化処理液のpHは9以上とすることが好ましく、10以上とすることがより好ましい。未使用の樹脂層薄膜化処理液のpHは14以下であることが好ましく、13以下であることがより好ましい。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜添加することもできる。
樹脂層薄膜化処理液の温度は、15〜35℃が好ましく、さらに好ましくは20〜30℃である。温度が低すぎると、感光性樹脂層へのアルカリ性化合物の浸透速度が遅くなる場合があり、所望の厚みを薄膜化するのに長時間を要する。一方、温度が高すぎると、感光性樹脂層へのアルカリ性化合物の浸透と同時に溶解拡散が進行することにより、面内で膜厚ムラが発生しやすくなる場合がある。
樹脂層薄膜化処理液は繰り返し使用されるが、水分蒸発による濃縮、基板移載時の処理液持ち出し、空気中の二酸化炭素と反応することによる炭酸塩の形成等による劣化が起こり、樹脂層薄膜化処理液の薄膜化能力を一定に保持することは難しい。しかし、薄膜化能力が不安定であると、薄膜化された感光性樹脂層の膜厚に差が生じ、安定生産性の低下、歩留りの低下につながる。
そこで、本発明では、基板の表面に感光性樹脂層を形成する工程、樹脂層薄膜化処理液によって感光性樹脂層を薄膜化する工程をこの順に含む感光性樹脂層を薄膜化する方法における樹脂層薄膜化処理液の管理方法において、基板処理量に応じて第一補充液を定量補充する方法(カウンターフロー法)と、中和滴定法によって樹脂層薄膜化処理液の疲労度を求め、樹脂層薄膜化処理液の能力を所定の範囲内に保持するように第二補充液を補充する方法とを併用することで、樹脂層薄膜化処理液の薄膜化能力を一定にしようとするものである。
処理面積に応じて第一補充液を定量補充する方法(カウンターフロー法)について説明する。この方法では、基板1枚当たりの持ち出される樹脂層薄膜化処理液量を経験的に求め、処理液補充システムに組み込む。補充量は、基板の面積、厚さ、搬送速度等を考慮して適宜調整する。装置の投入口などに基板を検知するセンサーを設置し、投入した基板の面積を算出する方法がよく用いられる。中和滴定による濃度測定は、条件にもよるが、十数分かかる。連続処理する基板枚数が多い場合、中和滴定の測定結果を待っていては、樹脂層薄膜化処理液の薄膜化能力を一定に保つため管理作業が追いつかない場合がある。このカウンターフロー法を併用して、第一補充液を定量補充することの効果は非常に高い。
中和滴定法によって樹脂層薄膜化処理液の疲労度を求め、樹脂層薄膜化処理液の能力を所定の範囲内に保持するように第二補充液を補充する方法について説明する。具体的には、連続稼働している薄膜化装置の樹脂層薄膜化処理液が入っている処理槽から所定量の樹脂層薄膜化処理液を採取し、pHを測定しながら、これに塩酸又は硫酸を滴下し、中和点に達するまでに添加した酸の滴定量から疲労度を求める。以下、処理槽から採取した樹脂層薄膜化処理液を「処理槽内処理液」と記す場合がある。
本発明では、複数ある中和点のうち適切な2つ以上の中和点を設定することが好ましく、それぞれについて滴定量を測定する。以下、複数ある中和点のうち設定された中和点を、第一中和点、第二中和点、第三中和点のように、「第N中和点(Nは正の整数)」と呼び、その中和点に達するのに要した滴定量をそれぞれ第一滴定量、第二滴定量、第三滴定量のように、「第N滴定量(Nは正の整数)」と呼ぶ。なお、Nが大きい方が中和点におけるpHが小さいものとする。
続いて、未使用の樹脂層薄膜化処理液(以下、「標準処理液」と記載する場合がある)を採取し、上記と同様の中和滴定を行って、標準処理液の第N滴定量(以下、「標準第N滴定量」と記載する場合がある)を測定する。
そして、下記の計算式に従って計算することで、処理槽内処理液の疲労度が算出される。第N中和点における疲労度を第N疲労度(Nは正の整数)と呼ぶ。
第N疲労度(%)=処理槽内処理液の第N滴定量/標準第N滴定量×100
第N疲労度から、樹脂層薄膜化処理液の能力が所定の範囲外にずれていた場合、本発明では、第二補充液を補充する。「所定の範囲」とは、標準処理液の疲労度に対して、−20%〜+20%の範囲を言い、以下、「目標疲労度」とも言う。別の言い方をすると、標準処理液の疲労度は100%であり、目標疲労度は80〜120%である。このような中和滴定を用いた第N疲労度の算出及び第二補充液の補充という操作を所定時間又は所定基板枚数毎に行うことで、樹脂層薄膜化処理液の薄膜化能力を一定範囲内に保持することが可能になる。
第N疲労度の目標疲労度(以下、「目標第N疲労度」と記す場合がある)は、各々において、同じであっても良いし、異なっていても良い。例えば、第一中和点と第二中和点の2つの中和点を設定した場合、目標第一疲労度と目標第二疲労度は同じであっても良いし、異なっていても良い。目標第N疲労度は、好ましくは85〜115%であり、より好ましくは90〜110%である。
第一補充液及び第二補充液としては、下記補充液A〜Cを挙げることができる。補充液に使用されるアルカリ性化合物及び水としては、樹脂層薄膜化処理液で例示したアルカリ性化合物及び水を使用することができる。
補充液A:未使用の樹脂層薄膜化処理液と同じ疲労度の処理液
補充液B:水
補充液C:未使用の樹脂層薄膜化処理液を水で希釈した処理液
カウンターフロー法では、主に基板により持ち出される樹脂層薄膜化処理液を補充することが必要であるため、第一補充液としては、補充液Aを使用することが好ましい。補充液Aを使用することによって、処理槽中の樹脂層薄膜化処理液の疲労度を未使用の樹脂層薄膜化処理液の疲労度に近づけることができる。
中和滴定法における第二補充液は、例えば、第一中和点と第二中和点の2つの中和点を設定した場合、次の選択基準によって選択される。
<補充液の選択基準>
基準I:目標第一疲労度<第一疲労度、目標第二疲労度<第二疲労度→補充液A、B又はC
基準II:第一疲労度<目標第一疲労度、目標第二疲労度<第二疲労度→補充液A
基準III:第一疲労度<目標第一疲労度、第二疲労度<目標第二疲労度→補充液A
第一中和点と第二中和点という2つの中和点を設定した場合において、両方の中和点における疲労度が目標疲労度から外れていた場合、まず、第二疲労度が目標第二疲労度の範囲に達するまでに必要な補充量(以下、「第二補充量」と記す場合がある)を下記の計算式から求める。
なお、計算式で用いる標準処理液及び補充液の疲労度を以下に示す。
標準処理液、補充液A=100%
補充液B=0%
補充液C=希釈倍率に準じた値を用いる。例えば、希釈倍率が2倍の補充液では、疲労度50%とする。
第二補充量=(処理槽内処理液の第二疲労度−目標第二疲労度)×処理槽内処理液の質量/(目標第二疲労度−第二補充液の疲労度)
続いて、下記の計算式を用いて、上記で求められた第二補充量で第二補充液を補充したと仮定した場合の第一疲労度を算出する。以下、この算出値を「補充後の第一疲労度計算値」と記載する場合がある。
補充後の第一疲労度計算値=(処理槽内処理液の第一疲労度×処理槽内処理液の質量+第二補充液の疲労度×第二補充量)/(処理槽内処理液の質量+第二補充量)
算出の結果、補充後の第一疲労度計算値が目標第一疲労度の範囲に達していなかった場合は、第一疲労度が目標第一疲労度の範囲に達するまでに必要な補充量(以下、「第一補充量」と記す場合がある)を下記の計算式から求める。そして、上記第二補充量と下記第一補充量を合わせた量で、第二補充液を補充する。補充後の第一疲労度計算値が目標第一疲労度の範囲に入っていた場合は、第二補充量のみで第二補充液を補充する。
第一補充量=(補充後の第一疲労度計算値−目標第一疲労度)×処理槽内処理液の質量/(目標第一疲労度−第二補充液の疲労度)
なお、一方の疲労度のみが目標疲労度から外れていた場合、第二補充液の選択は前記基準に準じて選択する。そして、その補充量はその外れていた疲労度から算出される補充量を用いればよい。すなわち、第一疲労度のみが目標第一疲労度から外れていた場合には第一補充量を用い、第二疲労度のみが目標第二疲労度か外れていた場合には第二補充量を用いる。
中和滴定から第二補充液の添加までを自動で行うこともできる。自動システムとしては、例えば、少なくとも自動的に所定時間又は所定基板枚数毎に樹脂層薄膜化処理液を計量しながらサンプリングする機能(定量ポンプ、計量管等)、pHメータ、液を撹拌する機能(マグネチックスターラー等)、滴定液(酸)を滴下する機能(パルスモータ駆動のポンプ等)、推定中和点pHを設定し、該pHになったら滴定液の滴下を停止する機能、滴定液の滴下量を算出する機能、該滴下量から第N疲労度を算出する機能、所定の範囲(目標疲労度)を設定する機能、前記計算式で計算される補充量で補充液を供給する機能(定量ポンプ等)、一連の滴定測定完了後、滴定容器等を洗浄する機能を含むシステムが挙げられる。第二補充液を補充する場合の計算式は上記を基本とするが、実際のプロセスを見ながら種々の補正をすることが好ましい。
中和点は、推定中和点pHを設定し、そのpHになるまでに滴下した酸の量から第N疲労度を算出してもよいが、測定精度を高めるためには、滴定終了pHとして、中和点pHを過ぎたpH(中和点がpH8ならば、7〜6程度)に設定し、酸滴下開始から滴下終了までの間でpH変化率が最も大きくなる酸滴下量を求め、その点をもって中和点とし、それまでに滴下した酸の量から第N疲労度を算出することも好ましい。
樹脂層薄膜化処理液による薄膜化処理の後には、樹脂層薄膜化処理液に対して不溶化された感光性樹脂層成分のミセルを除去するミセル除去処理において、ミセル除去液をスプレーすることによって、一挙にミセルを溶解除去する。
ミセル除去液としては、水道水、工業用水、純水等を用いることができる。また、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含むpH5〜10の水溶液をミセル除去液として用いることによって、樹脂層薄膜化処理液で不溶化された感光性樹脂層成分が再分散しやすくなる。ミセル除去液のpHが5未満の場合、感光性樹脂層成分が凝集し、不溶性のスラッジとなって、薄膜化した感光性樹脂層表面に付着するおそれがある。一方、ミセル除去液のpHが10を超えた場合、感光性樹脂層成分のミセル化とミセル除去過程が同時に促進され、面内で膜厚ムラが発生しやすくなることがある。また、ミセル除去液は、硫酸、リン酸、塩酸などを用いて、pHを調整することができる。
ミセル除去処理におけるスプレーの条件について説明する。スプレーの条件(温度、時間、スプレー圧)は、薄膜化処理される感光性樹脂層の溶解速度に合わせて適宜調整される。具体的には、処理温度は10〜50℃が好ましく、より好ましくは22〜50℃である。水溶液の温度が10℃未満では感光性樹脂層成分の溶解不良が起こり、感光性樹脂層の残渣が残りやすい場合がある。一方、50℃を超えると、ミセル除去液の蒸発や連続運転での温度管理の問題、装置設計上の制約が発生する場合があり好ましくない。また、スプレー圧は0.01〜0.5MPaとするのが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3MPaがより好ましい。ミセル除去液の供給流量は、感光性樹脂層1cm当たり0.030〜1.0L/minが好ましく、0.050〜1.0L/minがより好ましく、0.10〜1.0L/minがさらに好ましい。供給流量がこの範囲であると、薄膜化後の感光性樹脂層表面に不溶解成分を残すことなく、面内略均一にミセルを除去することができる。感光性樹脂層1cm当たりの供給流量が0.030L/min未満では、感光性樹脂層の不溶解成分が残る場合がある。一方、供給流量が1.0L/minを超えると、供給のために必要なポンプなどの部品が巨大になり、大掛かりな装置が必要となる場合がある。さらに、1.0L/minを超えた供給量では、感光性樹脂層成分の溶解除去に与える効果が変わらなくなることがある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
銅張積層板(面積170mm×200mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.4mm)にエッチングレジストを使用したサブトラクティブ法にて、導体配線幅80μm、導体配線間距離80μmを有する回路基板を作製した。次に、ドライフィルム状ソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製、商品名:PFR−800 AUS410)を上記回路基板表面に真空熱圧着させ(ラミネート温度75℃、吸引時間30秒、加圧時間10秒)、感光性樹脂層を形成した。回路基板表面における絶縁性基板表面から感光性樹脂層表面までの乾燥膜厚が35μmの感光性樹脂層を形成した。
感光性樹脂層上の支持層フィルムを剥離した後、樹脂層薄膜化処理液(液温25℃、100kg)に回路基板を50秒間浸漬させてミセル化処理(薄膜化処理)を行った。その後、ミセル除去液(液温25℃)のスプレーによるミセル除去処理、水洗処理(液温25℃)及び乾燥処理を行い、感光性樹脂層の厚みが平均12μmになるまで薄膜化した。未使用の樹脂層薄膜化処理液(標準処理液)は、10.0質量%のメタケイ酸ナトリウム水溶液である。
樹脂層薄膜化処理液の管理は下記のように行った。
第一補充液:基板処理を1枚行う毎に、15gの補充液A(標準処理液と同じ疲労度の処理液)を定量補充した。
第二補充液:自動液管理システムを用い、標準処理液及び10枚処理毎に定量ポンプと計量管を用いて採取した処理槽内処理液に中和滴定を行い、第一及び第二滴定量をそれぞれ測定した。第一滴定量はpH11付近における第一中和点で測定し、第二滴定量はpH8付近における第二中和点で測定した。その後、標準処理液と処理槽内処理液の第一及び第二滴定量から、第一及び第二疲労度を算出した。第一及び第二疲労度における所定の範囲(目標疲労度)は、どちらも90〜110%とし、算出された第一及び第二疲労度が所定の範囲を超えた場合、所定の範囲内に収まるまで、第二補充液を補充した。
管理例1
第一疲労度が115%、第二疲労度が125%であった場合、第二補充液として補充液B(水)を選択した。第二補充量は14kgであった。補充後の第一疲労度計算値は101%であり、所定の範囲内であったため、14kgの補充液Bを補充した。補充後の処理槽内処理液に対して、中和滴定を行い、第一及び第二疲労度を算出したところ、第一疲労度が101%、第二疲労度が110%であり、両方の疲労度が所定の範囲内に戻った。
管理例2
第一疲労度が75%、第二疲労度が115%であった場合、第二補充液として補充液Aを選択した。第二補充量は50kgであった。補充後の第一疲労度計算値は83%であり、所定の範囲を外れていたため、第一補充量を求めたところ、67kgであった。第一補充量と第二補充量とを合わせた量(50+67kg)の補充液Aを補充した後、中和滴定を行い、第一及び第二疲労度を算出したところ、第一疲労度が90%、第二疲労度が107%であり、両方の疲労度が所定の範囲内に戻った。
薄膜化処理後、感光性樹脂層の膜厚を10点で測定した。カウンターフロー法と中和滴定で2つ以上の中和点から疲労度を求めて第二補充液を補充する方法を併用して樹脂層薄膜化処理液の管理を行い、1日50枚ずつの薄膜化処理を10日間続けたところ、感光性樹脂層の薄膜化後の膜厚は、平均値より−1μm〜+1μmの範囲に収まっており、樹脂層薄膜化処理液の能力が一定に保たれていた。
(実施例2)
実施例1において、中和滴定において、第二中和点(pH8付近)のみで第二滴定量を測定し、第二疲労度を算出した。管理例2において、第二補充液として補充液Aを選択し、第二補充液の補充量である補充量50kgを補充した後、中和滴定を行い、第二疲労度を算出したところ、110%であった。このように、中和滴定において1つの中和点から疲労度を求めた以外は、実施例1と同様にして、10日間薄膜化処理を続けた結果、感光性樹脂層の薄膜化後の膜厚は、平均値より−3μm〜+3μmの範囲に広がっていた。カウンターフロー法と中和滴定で1つの中和点から疲労度を求めて第二補充液を補充する方法を併用して樹脂層薄膜化処理液の管理を行った実施例2よりも、カウンターフロー法と中和滴定で2つ以上の中和点から疲労度を求めて第二補充液を補充する方法を併用して樹脂層薄膜化処理液の管理を行った実施例1の方が、樹脂層薄膜化処理液の能力がより一定には保たれていた。
(比較例1)
実施例1において、第一補充液の補充を行わなかった。また、中和滴定において、第二中和点(pH8付近)のみで第二滴定量を測定し、第二疲労度を算出した。管理例2において、第二補充液として補充液Aを選択し、第二補充液の補充量である50kgを補充した後、中和滴定を行い、第二疲労度を算出したところ、110%であった。また、処理槽中の樹脂層薄膜化処理液の液面が低下していた。このように、第一補充液の補充を行わず、中和滴定において1つの中和点から疲労度を求めた以外は、実施例1と同様にして、10日間薄膜化処理を続けた結果、感光性樹脂層の薄膜化後の膜厚は、平均値より−5μm〜+5μmの範囲に広がっていた。中和滴定で1つの中和点から疲労度を求めて第二補充液を補充する方法を用いて樹脂層薄膜化処理液の管理を行った比較例1よりも、カウンターフロー法と中和滴定で疲労度を求めて第二補充液を補充する方法を併用して樹脂層薄膜化処理液の管理を行った実施例1及び2の方が、樹脂層薄膜化処理液の能力がより一定に保たれていた。
本発明の樹脂層薄膜化処理液の管理方法は、絶縁層の片面又は両面に金属層が設けられてなる積層基板上にドライフィルムレジストを貼り付けて感光性樹脂層を形成した後、感光性樹脂層の薄膜化工程を行い、次に、回路パターンの露光工程、現像工程、エッチング工程を行うサブトラクティブ法による導電パターンの形成方法や導電性パターンを有する回路基板上にソルダーレジストからなる感光性樹脂層を形成した後、感光性樹脂層の薄膜化工程を行うソルダーレジストパターンの形成方法等に適用できる。

Claims (3)

  1. 基板の表面に感光性樹脂層を形成する工程、樹脂層薄膜化処理液によって感光性樹脂層を薄膜化する工程をこの順に含む感光性樹脂層を薄膜化する方法における樹脂層薄膜化処理液の管理方法において、基板処理量に応じて第一補充液を定量補充する方法と、中和滴定法によって樹脂層薄膜化処理液の疲労度を求め、樹脂層薄膜化処理液の能力を所定の範囲内に保持するように第二補充液を補充する方法とを併用することを特徴とする樹脂層薄膜化処理液の管理方法。
  2. 中和滴定法において、2つ以上の中和点から樹脂層薄膜化処理液の疲労度を求める請求項1記載の樹脂層薄膜化処理液の管理方法。
  3. 第一補充液が、未使用の樹脂層薄膜化処理液と同じ疲労度の処理液であり、第二補充液が未使用の樹脂層薄膜化処理液と同じ疲労度の処理液、水及び未使用の樹脂層薄膜化処理液を水で希釈した処理液からなる群から少なくとも一つ選ばれた補充液である請求項1又は2記載の樹脂層薄膜化処理液の管理方法。
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