JP2022025407A - レジストパターンの形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、レジストパターンが基材から脱離し難く、微細なレジストパターンを基材上に安定に形成することができるレジストパターンの形成方法を提供することである。【解決手段】基材と感光性樹脂層の界面に水が存在した状態で、基材上に感光性樹脂層を貼り付ける積層工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程を含むレジストパターンの形成方法において、感光性樹脂層が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)アクリレートモノマーを少なくとも含有し、(D)メタクリレートモノマーをさらに含有してもよく、(C)アクリレートモノマーに対して(D)メタクリレートモノマーの含有率が0~20質量%であることを特徴とするレジストパターンの形成方法。【選択図】なし

Description

本発明は、レジストパターンの形成方法に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、プリント配線板、メタルマスク等におけるパターンの微細化が進んでいる。そのため、プリント配線板の導体回路作製又はメタルマスクの作製においては、(セミ)アディティブ法によって、金属層が作製されている。
例えば、プリント配線板における(セミ)アディティブ法は、まずガラスエポキシ樹脂等の絶縁樹脂の表面に無電解めっきにより薄い無電解めっき層を形成し、次に無電解めっき層表面に感光性樹脂層を形成し、次に露光、現像を行ってレジストパターンを形成する。次に、電解めっきによって、無電解めっき層上に電解めっき層を積層した後、レジストパターンを剥離し、剥離後に現れた無電解めっき層を(フラッシュ)エッチングする方法である(例えば、特許文献1)。
また、例えば、メタルマスクの作製方法として、基板上に所定の厚さの感光性樹脂層を形成する第1工程と、感光性樹脂層の上にメタルマスクの開口に合わせてパターン露光する第2工程と、現像して感光性樹脂層の非露光部だけ除去してレジストパターンを形成し、基板を露出させる第3工程と、この第3工程によって得た基板の露出部分に電解めっきによって、メタルマスク材層を形成する第4工程を行った後、残余の感光性樹脂層を除去する第5工程と、メタルマスク材層を基板から分離する第6工程を行って、メタルマスクを作製する方法がある(例えば、特許文献2)。
これらのプリント配線板の導体回路作製又はメタルマスクの作製において、レジストパターンを形成するために、支持体フィルムと感光性樹脂層とを含む感光性樹脂積層体(ドライフィルムレジスト)が使用されている。感光性樹脂積層体を使用したレジストパターンの形成方法は、基材の少なくとも片面に、感光性樹脂層が接するように、感光性樹脂積層体をラミネート法で貼り付ける積層工程、支持体フィルムに密着させたフォトマスクを介してパターン露光する露光工程、支持体フィルムを除去し、現像液によって感光性樹脂層の未露光部を現像除去することによって、レジストパターンを形成する現像工程を含む。近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、レジストパターンの微細化が進んでおり、例えば、感光性樹脂層の厚さが30μm以上の場合、幅20μm以下のラインパターン、直径20μm以下の柱パターン等の微細なレジストパターンを基材上に形成することが求められている。
しかしながら、このような微細なレジストパターンにおいては、現像工程以降において、搬送部材との接触や、現像液の液流れによって、レジストパターンが基材から脱離してしまう問題が発生する場合があった。この問題を解決するために、例えば、基材の前処理を実施し、基材表面に凹凸を生じさせ、感光性樹脂層と基材との密着力を高くする方法、現像後の水洗を極限まで少なくする方法が実施されているが、充分な解決には至っていない。また、ウェット(湿式)ラミネーション方法、すなわち感光性樹脂層と基材との間に液体を塗布してから、基材上に感光性樹脂層をラミネート法によって貼り付け、基材と感光性樹脂層との密着力を強くする方法が提案されている(例えば、特許文献3及び4)。しかしながら、ウェットラミネーション方法においても、充分な効果が得られず、幅20μm以下のラインパターン、直径20μm以下の柱パターン等の微細なレジストパターンを基材上に形成することは困難であった。
特開2004-101617号公報 特開平4-166844号公報 特開平2-265668号公報 特開2016-024396号公報
本発明の課題は、レジストパターンが基材から脱離し難く、微細なレジストパターンを基材上に安定に形成することができるレジストパターンの形成方法を提供することである。
上記課題は、下記手段によって解決された。
基材と感光性樹脂層の界面に水が存在した状態で、基材上に感光性樹脂層を貼り付ける積層工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程を含むレジストパターンの形成方法において、感光性樹脂層が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)アクリレートモノマーを少なくとも含有し、(D)メタクリレートモノマーをさらに含有してもよく、(C)アクリレートモノマーに対して(D)メタクリレートモノマーの含有率が0~20質量%であることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
本発明のレジストパターンの形成方法によって、感光性樹脂と基材との密着性が向上し、微細なレジストパターンが脱離し難く、微細なレジストパターンを基材上に安定に形成することができるという効果を達成できる。
以下、本発明のレジストパターンの形成方法について詳細に説明する。
本発明のレジストパターンの形成方法は、基材と感光性樹脂層の界面に水が存在した状態で、基材上に感光性樹脂層を貼り付ける積層工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程を含む。そして、感光性樹脂層が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)アクリレートモノマーを少なくとも含有し、(D)メタクリレートモノマーをさらに含有してもよく、(C)アクリレートモノマーに対して(D)メタクリレートモノマーの含有率が0~20質量%であることを特徴とする。
(A)アルカリ可溶性樹脂とは、対象となる樹脂を皮膜(フィルム)にし、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液に25℃で10分間浸漬したとき、膜厚0.01μm以上が溶解する樹脂を言う。(A)アルカリ可溶性樹脂は、具体的には、酸性基を含む樹脂であり、酸価が40mgKOH/g以上である樹脂が挙げられる。該酸性基としては、具体的にはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、リン酸基が挙げられる。
(A)アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等の有機高分子が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも、(メタ)アクリル系樹脂を用いることが好ましい。該(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレートを主とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸を共重合させてなる(メタ)アクリル系重合体が好ましい。また、これには、その他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーを共重合させたものでもよい。
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等と記載したときは、それぞれ、「アクリル又はメタクリル」、「アクリレート又はメタクリレート」等を意味する。
上記エチレン性不飽和カルボン酸として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸や、それらの無水物やハーフエステルを用いることもできる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-エトキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ビニル-n-ブチルエーテル等が挙げられる。
(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像速度、レジスト剥離速度、露光感度、感光性樹脂層の柔らかさ、感光性樹脂層と基材の密着性等に影響する。(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、40~500mgKOH/gであることが好ましく、100~300mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が40mgKOH/g未満では、現像時間が長くなる傾向があり、一方、500mgKOH/gを超えると、基材と感光性樹脂層の界面に水が存在した状態で、感光性樹脂層と基材との密着性が悪くなる場合がある。酸価はJIS K2501:2003に準拠して測定した値である。
また、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、5,000~150,000であることが好ましく、10,000~100,000であることがより好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量が5,000未満では、硬化前の感光性樹脂層をフィルム状態に形成することが困難になる場合がある。一方、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量が150,000を超えると、現像液に対する溶解性が悪化する傾向や、レジスト剥離液への溶解する速度が遅くなる傾向がある。
本発明に係わる(B)光重合開始剤としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン等の芳香族ケトン;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチルジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。上記2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。中でも、イミダゾール二量体が、高感度であり好適に使用でき、さらに2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が有用に使用できる。
本発明に係わる(C)アクリレートモノマーとしては、1以上のアクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
1つのアクリロイル基を有した化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(エトキシ基が1以上)、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシジルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアクリレート、グリセリンモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エトキシ基数が2~30)、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(エトキシ基数が2~30)、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート(プロポキシ基数が2~30)、フェノキシポリプロピレングリコールアクリレート(プロポキシ基数が2~30)、2-アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート等が挙げられる。「エトキシ基」とは、「-CHCHO-」である。「プロポキシ基」とは、「-CO-」であり、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
また、2つのアクリロイル基を有する化合物としては、例えば、多価のアルコールに2つのアクリル酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。また、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(エトキシ基数が2~30)、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(プロポキシ基数が2~30)、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジアクリレート(エトキシ基数が2~30)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジアクリレート(プロポキシ基数が2~40)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物のジアクリレート(エトキシ基及びプロポキシ基の和が2~40)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエステル)フェニル]フルオレイン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等が挙げられる。
また、3つ以上のアクリロイル基を有した化合物としては、例えば、多価のアルコールにアクリル酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。また、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリントリアクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
本発明に係わる(D)メタクリレートモノマーとしては、上記(C)アクリレートモノマーのアクリロイル基をメタクリロイル基に置き換えた化合物が挙げられる。本発明においては、メタクリレートモノマーの含有率は、(C)アクリレートモノマーに対して0~20質量%であり、より好ましくは0~16質量%であり、さらに好ましくは0~13質量%であり、特に好ましくは0~12質量%であり、それ以上に好ましくは0~10質量%であり、最も好ましくは0~5質量%である。(D)メタクリレートモノマーの含有率が20質量%超の場合、基材と感光性樹脂層の界面に水を存在させて貼り付けた場合においても、密着性の向上の効果があまり発現しない。
本発明に係わる感光性樹脂層には、必要に応じて、上記(A)~(D)以外の成分を含有させてもよい。このような成分としては、溶剤、光重合禁止剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(色素、染料、顔料)、光発色剤、光減色剤、熱発色防止剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱硬化剤、撥水剤、撥油剤等が挙げられ、各々、(A)~(D)の総量に対して、0.01~20質量%程度含有することができる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係わる感光性樹脂層において、(A)の含有率は、(A)、(B)、(C)及び(D)の総量に対して30~75質量%であることが好ましく、35~70質量%であることがより好ましく、40~65質量%であることがさらに好ましい。(A)の含有率が30質量%未満では、皮膜性が悪くなる場合や、現像性が低下する場合がある。(A)の含有率が75質量%を超えると、レジストパターンの解像性が低下することがある。
(B)の含有率は、(A)、(B)、(C)及び(D)の総量に対して0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~5質量%であることがより好ましい。(B)の含有率が0.1質量%未満では、光重合性が不十分となる場合がある。一方、10質量%を超えると、露光の際に感光性樹脂層の表面で吸収が増大して、感光性樹脂層内部の光架橋が不十分となる場合がある。
(C)の含有率は、(A)、(B)、(C)及び(D)の総量に対して15~60質量%であることが好ましく、17~55質量%であることがより好ましく、20~50質量%であることがさらに好ましい。(C)の含有率が15質量%未満では、架橋性が低下する場合があり、また、光感度が不十分となる場合がある。一方、60質量%を超えると、感光性樹脂層の膜表面の粘着性が増加しすぎる場合がある。
本発明のレジストパターンの形成方法では、基材と感光性樹脂層の界面に水が存在した状態で、基材上に感光性樹脂層を貼り付ける積層工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程を含む。
積層工程では、感光性樹脂積層体(ドライフィルムレジスト)を用いて、基材上に感光性樹脂層を貼り付けることが好ましい。感光性樹脂積層体は、支持体上に感光性樹脂層がこの順に積層している。また、さらに感光性樹脂層上にカバーフィルムを積層してもよい。支持体としては、活性光線を透過させる透明フィルムが好ましい。厚みは薄い方が、光の屈折が少ないので好ましく、厚い方が、塗工安定性に優れるため好ましいが、5~50μmが好ましい。このようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のフィルムが挙げられる。カバーフィルムとは、未硬化又は硬化した感光性樹脂層を剥離できればよく、離型性の高い樹脂が用いられる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコン等の離型剤が塗工されたポリエチレンフィルム等が挙げられる。
感光性樹脂層の厚みは、10~150μmであることが好ましく、30~120μmであることがより好ましい。この感光性樹脂層が厚すぎると、解像性の低下、コスト高等の問題が発生し易くなる。逆に、感光性樹脂層が薄すぎると、密着性、エッチング液やめっき液等の酸性液への耐性が低下する場合がある。
本発明に係わる基材としては、例えば、銅、銅系合金(チタン銅合金、銅ニッケル合金等)、ニッケル、クロム、鉄、タングステン、ステンレスや42アロイ等の鉄系合金、アルミ、アモルファス合金等の金属基材が使用できる。また、プリント配線板製造等に使用される、銅張積層板、(無)電解めっき済基板、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルステンレス板、積層体等が使用できる。
積層工程では、基材の少なくとも片面に感光性樹脂層が接するように、熱圧着(ラミネート)して貼り付ける。貼り付ける際に、基材と感光性樹脂層の界面に水を存在させる。あらかじめ基材上に水を塗布した後に感光性樹脂層を貼り付ける方法や、あらかじめ感光性樹脂層上に水を塗布した後に貼り付ける方法が挙げられる。基材又は感光性樹脂層を水で濡らす際、基材又は感光性樹脂層の一部が濡れていれば、貼り付けの際に水が広がるので問題ない。ラミネートの温度は、感光性樹脂層が軟化する温度であればよいが、具体的には、60~150℃が好ましく、80~120℃がより好ましい。水が界面活性剤を含有していてもよい。これらの貼り付け方法は、例えば、特開平2-265668号公報、特開2009-137276号公報、米国特許第4,976,817号等に具体的に説明されている。一般的にはウェットラミネート法と呼ばれる。使用できる装置としては例えば、DYNACHEM社のSMARLAM5200等のウェットラミネート装置が上げられる。
積層工程後、フォト法によりレジストパターンが形成される。フォト法は、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程及び感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程を含む。まず、パターン露光を実施し、露光部の感光性樹脂層を硬化させる。次いで、レジストパターンとして不要な部分である未非露光部の感光性樹脂層を現像除去し、露光部の硬化した感光性樹脂層を含むレジストパターンを形成する。
露光工程におけるパターン露光は、レーザー直接描画、フォトマスクを介した密着露光、投影露光等によって行われる。露光の光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等を用いることができる。
現像工程に使用する現像液としては、例えば、無機塩基性化合物の水溶液を用いることができる。無機塩基性化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウムの炭酸塩、水酸化物等が挙げられ、炭酸ナトリウムが好ましい。現像液における無機塩基性化合物の濃度は0.1~3質量%が好ましい。現像液には、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜少量混入することもできる。現像処理方法としては、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、スプレー方式が除去速度のためには最も適している。処理温度は15~35℃が好ましく、また、スプレー圧は0.02~0.3MPaが好ましい。
レジストパターンが形成された後の基材に対して、めっき処理又はエッチング処理を実施することができる。
めっき処理としては、銅めっき処理、ニッケルめっき等が挙げられる。具体的には、金属回路形成のアディティブ法、セミアディティブ法、高精細なメタルマスクを作製するアディティブ法等の用途に好ましく使用され、基材上にフォト法でレジストパターンを形成した後、レジストパターン部以外の露出した基材に、めっき液を用いてめっきを施して、金属パターン・回路パターンを形成する方法である。
例えば、プリント配線板を作製する場合は、まず、絶縁性基板に薄い金属層を設けた基板を基材として用意する。次に、回路パターンを形成しない部分にレジストパターンを形成する。次いで、電解めっきを行って、露出している薄い金属層の表面にめっき金属層を形成する。続いて、レジスト剥離工程によってレジストパターンが除去される。その後、薄い金属層を(フラッシュ)エッチング除去することにより、金属パターン・回路パターンが形成される。
エッチング処理であれば、エッチング液によって露出した基材を溶解除去する。本発明において、基材を溶解除去できるものであれば、どのようなエッチング液、装置、方法であってもよい。エッチング液としては、例えば、アルカリ性アンモニア液、硫酸-過酸化水素液、塩化第二銅液、過硫酸塩液、塩化第二鉄液、王水等が挙げられる。また、装置や方法としては、例えば、水平スプレーエッチング、浸漬エッチング等の装置や方法を使用できる。これらの詳細は、「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、1987年刊行、日刊工業新聞社発行)に記載されている。
めっき処理又はエッチング処理を実施した後に、剥離液によってレジストパターンを剥離する、レジスト剥離工程を実施することができる。剥離液としては、アルカリ水溶液が有用に使用される。剥離液に使用される塩基性化合物としては、例えば、ケイ酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム塩等の無機塩基性化合物;エタノールアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、モルホリン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機塩基性化合物;等を挙げることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
表1に示す各成分を混合し、感光性樹脂層用塗工液(感光層用塗工液)1~6を得た。なお、表1における各成分配合量の単位は[質量部]である。アプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:ダイアホイル(登録商標)T100、25μm厚、三菱ケミカル社製)上に感光性樹脂層用塗工液1~6を塗工し、80℃で10分間乾燥し、溶剤成分をとばし、PETフィルムの片面上に厚み35μmの感光性樹脂層1~6を得た。
Figure 2022025407000001
表1において、各成分は以下の通りである。
(A)メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比64/15/21で共重合させた共重合樹脂(質量平均分子量40,000、酸価136mgKOH/g)
(B-1)2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体
(B-2)4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(C-1)ポリエチレングリコールジアクリレート(エトキシ基数が4)
(C-2)ポリエチレングリコールジアクリレート(エトキシ基数が14)
(C-3)ペンタエリスリトールトリアクリレート
(D)ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジメタクリレート(エチレンオキサイドの繰り返し数が合計で10)
(実施例1~5及び比較例1)
<積層工程>
ステンレス鋼板(基材)に、アルカリ脱脂、酸処理等の表面処理を実施し、感光性樹脂層1~6をウェットラミネート法により貼り付けた。ウェットラミネート法では、基材をあらかじめイオン交換水で湿らせて、その上から感光性樹脂層1~6を貼り付けた。貼り付け条件は、ロール温度90℃、搬送速度1m/min、圧力10N/cmとした。
<露光工程>
ライン幅が40、30、20、15μmであるラインパターン及び直径が40、30、20、15μmである円パターンを有するフォトマスクを介してパターン露光を実施した。
<現像工程>
1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液(現像液)にて、感光性樹脂層の未露光部を現像除去し、レジストパターンを形成した。
感光性樹脂層1~3(実施例1~3)では、ライン幅40、30、20、15μmのラインパターン及び直径40、30、20、15μmの円柱パターンのすべてが基材上に形成されており、良好なレジストパターンが形成できた。
感光性樹脂層4(実施例4)では、ライン幅40、30、20μmのラインパターン及び直径40、30、20μmの円柱パターンが基材上に形成されており、ライン幅15μmのラインパターン及び直径15μmの円柱パターン以外は良好なレジストパターンが形成できた。
感光性樹脂層5(実施例5)では、ライン幅40、30μmのラインパターン及び直径40、30、20μmの円柱パターンが基材上に形成されており、ライン幅20、15μmのラインパターン及び直径15μmの円柱パターン以外、良好なレジストパターンが形成できた。
感光性樹脂層6(比較例1)では、ライン幅40、30μmのラインパターン及び直径40、30μmの円柱パターンが基材上に形成されていたが、ライン幅20、15μmのラインパターン、直径20、15μmの円柱パターンが脱離しており、微細なパターンの形成ができなかった。
(比較例2~7)
<積層工程>
ステンレス鋼板(基材)に、アルカリ脱脂、酸処理等の表面処理を実施し、感光性樹脂層1~6を貼り付けた。この際、基材をイオン交換水で湿らせなかった。貼り付け条件は、ロール温度90℃、搬送速度1m/min、圧力10N/cmとした。
<露光工程>
ライン幅が40、30、20、15μmであるラインパターン及び直径が40、30、20、15μmである円パターンを有するフォトマスクを介してパターン露光を実施した。
<現像工程>
1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液(現像液)にて、感光性樹脂層の未露光部を現像除去し、レジストパターンを形成した。
感光性樹脂層1~6(比較例2~7)において、ライン幅40、30μmのラインパターン及び直径40、30μmの円柱パターンが基材上に形成されていたが、ライン幅20、15μmのラインパターン及び直径20、15μmの円柱パターンが脱離しており、微細なパターンの形成ができなかった。
本発明は、プリント配線板、リードフレーム、メタルマスク、シャドウマスク、半導体パッケージ、電極部材、電磁波シールド等の製造において、エッチング処理又はめっき処理の際にレジストパターンを形成する際に利用できる。

Claims (1)

  1. 基材と感光性樹脂層の界面に水が存在した状態で、基材上に感光性樹脂層を貼り付ける積層工程、感光性樹脂層にパターン露光する露光工程、感光性樹脂層の未露光部を現像除去してレジストパターンを形成する現像工程を含むレジストパターンの形成方法において、感光性樹脂層が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤及び(C)アクリレートモノマーを少なくとも含有し、(D)メタクリレートモノマーをさらに含有してもよく、(C)アクリレートモノマーに対して(D)メタクリレートモノマーの含有率が0~20質量%であることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
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