JP3142095B2 - スウェード調化粧シートの製造方法 - Google Patents

スウェード調化粧シートの製造方法

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JP3142095B2
JP3142095B2 JP05057855A JP5785593A JP3142095B2 JP 3142095 B2 JP3142095 B2 JP 3142095B2 JP 05057855 A JP05057855 A JP 05057855A JP 5785593 A JP5785593 A JP 5785593A JP 3142095 B2 JP3142095 B2 JP 3142095B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スウェード調化粧シー
トの製造方法に関し、更に詳しくは成型加工性は良い
が、耐溶剤性、耐熱性に劣る熱可塑性樹脂シート上に、
該シートの変形、劣化等を起こさずに、ビーズ顔料入塗
料を塗工してなるスウェード調の塗膜が設けられたスウ
ェード調化粧シートを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、家具、家電、建材等の広い分野
でそれらの製品の表面を艶消し状に形成することが行わ
れているが、近年特にスウェードの如き超艶消し(スウ
ェード調)の表面を製品に付与することが好まれてい
る。これらの製品の表面をスウェード調の艶消しに形成
するためには、種々の方法があるが、なかでも予め基材
シート等の表面にスウェード調の表面層を形成した所謂
スウェード調化粧シートを製品の表面に貼着する方法
が、種々の製品の表面に貼るだけという簡単な作業でス
ウェード調の表面を製品に付与することかできるために
好まれている。
【0003】従来、上記スウェード調化粧シートとして
は、ビーズ顔料を添加した塗料を塗工して形成された艶
消し塗膜層を表面側に有する構成のものが使用されてい
る。上記ビーズ顔料とは、顔料微粉末を合成樹脂に分散
して粒状にしたものであって、該ビーズ顔料を塗料に添
加することで、被塗工物の艶消し効果が高くなり、どの
方向から見ても艶消しに形成された表面を得ることがで
き、スウェード調の艶消しを表現するための艶消し剤と
して一般に用いられているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如きビーズ顔料を添加した塗料は、該塗料中にビーズ顔
料を均一に分散させると共に、該塗料を塗工してなる艶
消し塗膜層に充分な艶をだすために、通常比較的低揮発
性の溶剤で希釈して用い、更に塗工時に高温で乾燥させ
る必要がある。
【0005】このため、例えば成型加工性の良いポリ塩
化ビニル等の汎用熱可塑性樹脂からなる基材シートを用
いて、該基材シートにビーズ顔料を添加した塗料を塗工
してスウェード調化粧シートを得る場合、塗工時の溶剤
と熱とにより基材シートに白化、溶解、膨潤、或いはタ
ルミ、ソリ等の変形といった劣化が生じる虞がある。特
に、熱可塑性樹脂は溶剤により溶解、膨潤すると軟化点
が低下し、より一層熱による変形を受け易くなるので、
このとき、化粧シートの製造を効率良く行うために基材
シートを捲取器等から供給したり、得られた化粧シート
を捲取器等に捲取る場合等において、基材シートの張力
による変形は避けられず、塗料塗工時に基材シートが溶
剤と熱とに曝されることは大きな問題となっていた。
【0006】上記の如き基材シートの劣化を防ぐため
に、基材シートに2軸延伸ポリエチレンテレフタレート
等の耐溶剤性、耐熱性の良好なものを用いることが考え
られるが、単に耐溶剤性、耐熱性を有する基材シートを
用いただけでは、該基材シートの劣化は防げるものの、
このような基材シートは成形加工性に乏しく、得られた
化粧シートは、真空成形、絞り加工、ラッピング加工、
Vカット加工等の後加工を良好に行うことができず、加
工によって亀裂、皺、シートの破れ等が発生する虞があ
り、形状追従性も不充分なものであるという問題があっ
た。
【0007】以上の如き問題を解決するために、溶剤に
侵されず、且つ溶剤乾燥時の熱により劣化しない、例え
ば2軸延伸ポリエステル等の耐熱性、耐溶剤性のある樹
脂シートを基材シートとし、該基材シートに上記塗料を
塗工して溶剤を加熱乾燥させた後、ポリ塩化ビニル等の
熱可塑性樹脂シートに低温硬化型接着剤を用いてドライ
ラミネートする方法が提案されている(特開平2−13
1941号公報、特開平2−24138号公報)。
【0008】しかしながら、これらの方法は耐熱性、耐
溶剤性のある基材シートにビーズ顔料を塗工した後、成
形加工性の良いポリ塩化ビニル等にラミネートすること
により、得られる化粧シートの成形性の改善を図ってい
るが、成型加工性に劣る耐熱性、耐溶剤性のある樹脂シ
ートが化粧シートの一構成要素となっているため、得ら
れる化粧シートの成形性は著しく改善されたものではな
かった。
【0009】又、例えばビーズ顔料を添加した塗料を2
軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の耐熱性、耐溶剤
性フィルムに一旦塗工製膜し、更にその表面に感熱接着
剤を塗工して、これを熱可塑性樹脂基材シートに熱転写
して該基材シート上に艶消し層を形成して、スウェード
調化粧シートを得るという方法も提案されている(特開
平2−26800号公報、特開平2−52796号公
報)。
【0010】しかしながら、これらの方法においては転
写時に感熱接着剤の接着力を発現させるために、熱可塑
性樹脂基材シートにも熱を加える必要がある。このよう
な感熱接着剤の接着力が発現する温度では、熱成形性の
熱可塑性樹脂基材シートが変形してしまい、該シートに
伸縮、歪み、タルミ、皺、ソリ等が生じ易いという問題
があった。
【0011】本発明は上記従来技術の欠点を解消するた
めになされたものであり、成形加工性のある熱可塑性樹
脂を基材としながらも、ビーズ顔料を添加した塗料の塗
工時における溶剤、熱、及び張力等による基材の変形や
劣化を防ぐことができる、成形加工性に優れたスウェー
ド調化粧シートの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明スウェード
調化粧シートの製造方法は、少なくともビーズ顔料、結
合剤樹脂、及び有機溶剤からなる塗料組成物を、耐溶剤
性及び耐熱性を有する剥離性基材上に塗工した後、該塗
料組成物を乾燥させて塗膜層を形成し、次いで該塗膜層
上に下記熱可塑性樹脂シートのビカット軟化点よりも2
0℃以上低い温度で硬化する接着剤を塗工して転写シー
トを形成し、該転写シートを接着剤を介してビカット軟
化点が80℃以上150℃以下の熱可塑性樹脂シートに
貼り合わせ、該熱可塑性樹脂シートのビカット軟化点よ
りも20℃以上低い温度で上記接着剤を硬化せしめて、
しかる後剥離性基材シートのみを剥離することにより熱
可塑性樹脂シート上に塗膜層を転写形成することを特徴
とする。
【0013】本発明方法では、接着剤として、液状の電
離放射線硬化型接着剤、又は2液反応硬化型接着剤を用
いることができる。
【0014】又、本発明では、塗料組成物中に含有され
る有機溶剤を、蒸発速度が酢酸n−ブチルの4倍以上の
揮発性速乾溶剤、及び/又は蒸発速度が酢酸n−ブチル
の1倍以上4倍未満の揮発性遅乾溶剤からなる溶剤、又
は該溶剤に蒸発速度が酢酸n−ブチルの0.8倍以下で
あり且つ沸点が115℃以上であると同時に接着剤の硬
化温度以上である残留性遅乾溶剤を混合した溶剤とし、
上記有機溶剤に115℃未満の温度で接しても溶解、膨
潤しない耐溶剤性及び耐熱性を有する剥離性基材上に塗
料組成物を塗工した後、該塗料組成物を115℃未満の
温度で乾燥させて塗膜層を形成することもできる。
【0015】更に、本発明では、接着剤を、蒸発速度が
酢酸n−ブチルの4倍以上の揮発性速乾溶剤、及び/又
は蒸発速度が酢酸n−ブチルの1倍以上4倍未満の揮発
性遅乾溶剤からなる溶剤、又は該溶剤に蒸発速度が酢酸
n−ブチルの0.8倍以下であり且つ沸点が115℃以
上であると同時に接着剤の硬化温度以上である残留性遅
乾溶剤を混合した溶剤で希釈して用い、転写シートを熱
可塑性樹脂シートに貼り合わせる前に、上記溶剤を11
5℃未満の温度で乾燥させることもできる。
【0016】本発明方法にて用いる塗料組成物は、少な
くともビーズ顔料、結合剤樹脂、及び有機溶剤からな
り、該ビーズ顔料は樹脂の球体微粒子よりなる顔料であ
って、必要に応じ内部に顔料、染料等の着色剤を含むも
のである。特に艶消し効果、耐擦傷性に優れた形態のも
のとしては、Fe2 3 、TiO2 、CaCO3 、キナ
クリドン等の常用の顔料微粉末を、ポリウレタン、エポ
キシ、アクリル、ポリエステル、ナイロン、フッ素樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の弾力性のある
樹脂、更に必要に応じて可塑剤、安定剤、界面活性剤等
を加えた組成物中に分散したり、又は該組成物で被覆し
たりして球又は球類似の粒子としたものである。又、ビ
ーズ顔料の粒径は、分布範囲が5〜80μm、且つ分布
の極大値が10〜35μmの範囲のものが特に良好な艶
消しを与え、スウェード調の艶消しを良好に表現するこ
とができる。
【0017】又、塗料組成物に含有させる結合剤樹脂と
しては、例えばエチルセルロース、硝酸セルロース、酢
酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セ
ルロースアセテートプロピオネート等セルロース誘導
体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレ
ン樹脂又はスチレン共重合体、ポリメタアクリル酸エチ
ル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等の
アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等
のビニル重合体、ロジン、ロジン変成マレイン酸樹脂、
ロジン変成フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエス
テル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリア
ミド樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、尿素樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミ
ン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ア
ミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素
樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ
る。
【0018】特に、ビーズ顔料の脱落防止(即ち、塗膜
の耐擦傷性)、スウェード調の触感等の点から、主剤と
してアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等
のポリオールの単量体又はプレポリマーを用い、硬化剤
としてトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ジ
メチルジフェニルジイソシアネート、ジアニシジンジイ
ソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ
ート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート等の1分子中に2個以上のイソ
シアネート基を有する脂肪族、又は芳香族ジイソシアネ
ート類の単量体又はプレポリマー、又はこれらのイソシ
アネート単量体をジオール、トリオール等のポリオール
でウレタン変成した変成イソシアネート等を用い、これ
らを混合して架橋重合反応により得られる2液硬化型の
ポリウレタンが好ましく、該2液硬化型ポリウレタン
は、分子量が20000〜40000、且つTgが−4
0℃〜−30℃程度のものであるのが好ましい。又、特
に上記イソシアネート類は直鎖状で主鎖が長いものが、
柔軟で耐擦傷性に優れたスウェード調の塗膜層を形成す
ることができるためにより好ましい。
【0019】又、本発明において、上記ビーズ顔料及び
結合剤樹脂を均一に分散させる有機溶剤は、揮発性速乾
溶剤及び/又は揮発性遅乾溶剤からなる溶剤、又は該溶
剤に残留性遅乾溶剤を混合した溶剤であるのが好ましい
が、該有機溶剤は塗膜層形成時に、少なくとも残留性遅
乾溶剤以外を完全に蒸発乾燥する必要がある。
【0020】本発明方法にて用いる接着剤としては、以
下に詳述する熱可塑性樹脂シートに接しても、該熱可塑
性樹脂シートの変形、劣化の原因となる虞がなく、無溶
剤状態、或いは溶剤に希釈された状態であっても熱可塑
性樹脂のビカット軟化点よりも20℃以上低い温度で硬
化し得ることが必要である。
【0021】このようなものとしては、加熱処理をせず
とも電子線、紫外線等の電離放射線により硬化して接着
力が発現する電離放射線硬化型の接着剤を用いることが
でき、分子中にエチレン性不飽和結合、エポキシ基、又
はチオール基を有する2官能以上のポリエステルアクリ
レート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート
等のアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリビニルピ
ロリドン等の単量体又はプレポリマーが挙げられる。
又、本発明では、常温程度の比較的低温で接着力が発現
する2液反応硬化型接着剤を用いることもでき、例えば
前述の2液硬化型ポリウレタン、又は硬化剤としてイソ
シアネート化合物、アミン等を用いた不飽和ポリエステ
ル又はエポキシ等が挙げられる。
【0022】上記の如き接着剤は、無溶剤状態で用いて
も良いが、レベリング等の塗工適性を出すために、揮発
性速乾溶剤及び/又は揮発性遅乾溶剤からなる溶剤、又
は該溶剤に残留性遅乾溶剤を混合した溶剤で希釈して用
いても良い。尚、該溶剤で接着剤を希釈した場合には、
転写シートを熱可塑性樹脂シートに貼り合わせる前に、
少なくとも残留性遅乾溶剤以外の溶剤を完全に蒸発乾燥
させる必要がある。
【0023】本発明において、塗料組成物に含有される
有機溶剤と、接着剤を希釈する溶剤とは、同じ組成のも
のであっても、異なる組成のものであっても良いが、前
述したように揮発性速乾溶剤及び/又は揮発性遅乾溶剤
からなる溶剤、又は該溶剤に残留性遅乾溶剤を混合した
溶剤であるのが好ましい。
【0024】上記揮発性速乾溶剤は、蒸発速度を酢酸n
−ブチルの単位時間における蒸発量を100(重量部)
とした場合の該溶剤の蒸発量(重量部)で表した際、蒸
発速度が400以上の溶剤が用いられ、具体的には表1
に示すような溶剤が挙げられる。
【0025】
【表1】 〔揮発性速乾溶剤〕 ─────────────────────────────────── 溶剤名 沸点(℃) 蒸発速度 ─────────────────────────────────── 酢酸メチル 59〜60 1040 アセトン 56.1 720 酢酸エチル 77.1 525 メチルエチルケトン 79.6 465 酢酸イソプロピル 89.0 435 ───────────────────────────────────
【0026】又、揮発性遅乾溶剤は、蒸発速度を酢酸n
−ブチルの単位時間における蒸発量を100(重量部)
とした場合の該溶剤の蒸発量(重量部)で表した際、蒸
発速度が100以上400未満の溶剤が用いられ、具体
的には表2に示すような溶剤が挙げられる。
【0027】
【表2】 〔揮発性遅乾溶剤〕 ─────────────────────────────────── 溶剤名 沸点(℃) 蒸発速度 ─────────────────────────────────── メタノール 64.5 370 イソプロパノール 82.5 205 エタノール 78.5 203 トルエン 111 195 酢酸イソブチル 118.3 152 酢酸n−ブチル 124〜125 100 ───────────────────────────────────
【0028】尚、上記揮発性速乾溶剤及び揮発性遅乾溶
剤は、115℃未満の温度で充分蒸発乾燥可能なもので
ある。
【0029】又、残留性遅乾溶剤としては、例えば表3
に示す溶剤が挙げられる。
【0030】
【表3】 〔残留性遅乾溶剤〕 ─────────────────────────────────── 溶剤名 沸点(℃) 蒸発速度 ─────────────────────────────────── キシレン 135〜145 68 エチレングリコールモノメチルエーテル 124.6 57 エチレングリコールモノエチルエーテル 124.5 55 ジエチレングリコールモノエチルエーテル 218 52 ジエチレングリコールモノブチルエーテル 119 30 酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル 246.8 0.1 イソアミルアルコール 132 36 ───────────────────────────────────
【0031】上記残留性遅乾溶剤は、前記2種類の溶剤
よりも乾燥が遅く、蒸発速度を酢酸n−ブチルの単位時
間における蒸発量を100(重量部)とした場合の該溶
剤の蒸発量(重量部)で表した際、蒸発速度が80以下
であり且つ沸点が115℃以上であると同時に接着剤の
硬化温度(最高130℃)以上である溶剤であって、前
述した結合剤樹脂や接着剤との相容性が良く、塗膜層や
接着剤層中に残留しても、化粧シートを構成する各層の
物性やブロッキング性に悪影響を及ぼさないものであれ
ば良い。
【0032】例えば、結合剤樹脂としてアクリル+塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体を使用した場合、速乾溶剤
に酢酸エチル/メチルエチルケトン、揮発性遅乾溶剤に
トルエンを使用した場合、残留性遅乾溶剤はジエチレン
グリコールモノエーテル類を用いるのが好ましい。この
場合、特に前記樹脂等との相容性や乾燥性等が良好なこ
とからジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ま
しい。又、塗膜層の耐水性等を考慮すると上記グリコー
ルエーテル類を酢酸でエステル化したようなグリコール
エーテル類のエステル化物が好ましい。
【0033】尚、揮発性速乾溶剤及び/又は揮発性遅乾
溶剤に、残留性遅乾溶剤を混合する場合、該残留性遅乾
溶剤の含有量は全溶剤の10重量%以下であるのが好ま
しく、残留性遅乾溶剤が10重量%を越えると、乾燥速
度が遅くなり転写シート製造の作業性が低下し、更に残
留した溶剤が多くなると気化して気泡や箔浮き等が起こ
り易くなり、ブロッキング性が低下する。より好ましい
残留性遅乾溶剤の含有量は8重量%以下である。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図1は本発明スウェード調化粧シートの製
造方法における工程を示す要部断面図である。
【0035】本発明では、先ず図1(1)に示すよう
に、剥離性の基材シート2の表面にビーズ顔料3aを添
加した塗料組成物を塗工し、115℃未満の温度で該塗
料組成物を乾燥させて塗膜層3を形成し、次いで図1
(2)に示すように、塗膜層3の上に重ねて接着剤4を
塗工して転写シート1aを形成する。次に、図1(3)
に示すように、転写シート1aに接着剤層4が未硬化の
液状のうちに、該接着剤層4を介して熱可塑性樹脂シー
ト5を貼り合わせた後、該熱可塑性樹脂シート5のビカ
ット軟化点よりも20℃以上低い温度で接着剤層4を硬
化せしめ、熱可塑性樹脂シート上に塗膜層3を転写形成
する。
【0036】本発明にて用いられる剥離性基材シート2
は、例えば該剥離性基材シート2を帯状のシートとして
捲取りから供給する等して基材シート2に張力を印加し
た状態で、最高115℃の温度条件のもとで塗工加工す
る際、塗料の溶剤に接してもシートの伸び、タルミ、切
断等の変形を起こさない耐熱性、耐溶剤性、及びこれら
に加えて塗膜層3との剥離性を有するものであって、ビ
カット軟化点が115℃以上であり、且つ厚みが25μ
m以上である2軸延伸したポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等のポリエステル、2軸延伸したポリプロピレ
ン、必要に応じて延伸したポリアミド、ポリアクリレー
ト、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の合成
樹脂フィルム、又はシートの単層、又は複数の積層体、
或いは上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙に離
型層としてポリプロピレン、ポリメチルペンテン等から
なる層を形成したものである。尚、接着剤の硬化温度が
115℃以上(最高130℃)の場合には、上記剥離性
基材シート2のビカット軟化点が115℃以上であると
同時に接着剤の硬化温度以上にもなるように選定する必
要がある。
【0037】上記剥離性基材シート2は、化粧シート1
が実際に使用される場合には剥離されて不要となるが、
製造工程や輸送、保存、施工作業において、化粧シート
1の表面を傷やほこり等から保護し、使用時に剥離する
ことで化粧シート1表面の美麗な状態を維持することが
できる保護シートとしても用いることができる。
【0038】又、剥離性基材シート2の塗膜層3を設け
る側の表面が、艶消し微凹凸となるように該剥離性基材
シート2表面に、マット加工、エンボス加工、ヘアライ
ン加工、サンドブラスト加工等、適当な表面処理を施し
ておくと、転写後の塗膜層3の表面光沢を低くすること
ができ、スウェード調艶消しが良好に表現されるので好
ましい。
【0039】更に、剥離性基材シート2には、図3に示
すように、必要に応じて該剥離性基材シート2と塗膜層
4との間の剥離性を促進するための剥離層7を設けるこ
ともできる。該剥離層7としては、フッ素系樹脂、各種
ワックス、シリコーン等の離型剤を公知のベヒクル、例
えばアクリル樹脂、繊維素系樹脂、ビニル系樹脂等の添
加した塗料の塗膜を形成したり、剥離性の樹脂、例えば
フッ素系樹脂、シリコーン系、メラミン系樹脂、ポリオ
レフィン樹脂、電離放射線架橋型の多官能のアクリレー
ト、ポリエステル、エポキシ等の樹脂を塗工、エクスト
ルージョンコート等で製膜したものを用いる。
【0040】上記剥離層7は基材シート2と剥離性を有
し、且つ転写後は塗膜層3の表面保護層として所望の物
性を有する樹脂組成を選定する。又、剥離層7の膜厚は
特に限定されないが、得られた化粧シート1表面のスウ
ェードの如き触感が阻害されない程度の厚みであること
が必要であり、乾燥時の膜厚が0.5〜10μm程度と
なるのが好ましい。
【0041】本発明方法において用いられる熱可塑性樹
脂シート5は、本発明方法によって得られる化粧シート
1を成型加工性の優れたものとするためのものであり、
例えば真空成型、圧空成型、又は絞り加工、或いは射出
成型同時貼合わせ(特公昭50−19132号公報等に
記載の方法。)、真空成型同時貼合わせ(特公昭47−
33263号公報、特公昭56−45768号公報等に
記載の方法。)、一旦基板に貼着した後のVカット折曲
加工(実公大15−31122号公報、特公昭56−7
866号公報等に記載の方法。)、柱状基材へのラッピ
ング加工(特公昭61−5895号公報、特公昭59−
51900号公報等に記載の方法。)等、熱成型等の後
加工を良好に行うことができるものを用い、室温、環境
温度等よりも充分高温域の80℃〜150℃のビカット
軟化点をもったものであれば良い。
【0042】一方、例えば未架硫ゴム等80℃以下のビ
カット軟化点を有するものであると、直射日光等による
環境温度であっても変形によりクリープ、剥離、タル
ミ、歪み等が生じ好ましくない。又、例えばテトラフル
オロエチレン等、ビカット軟化点が150℃以上の樹脂
は、通常普及している加工機の性能、作業性等の点から
扱い難く好ましくない。更に、熱可塑性樹脂シート5
は、上記範囲のビカット軟化点を有するとともに、接着
剤の接着適性、印刷適性等の点から、有機溶剤に対して
適度に溶解、膨潤する性質も必要である。
【0043】このような熱可塑性樹脂としては、ポリ塩
化ビニル樹脂、ポリスチレン(耐熱グレード又は耐衝撃
グレード)、ABS樹脂(耐熱グレード)、AS樹脂、
メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン(低
密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ナイロ
ン6、ナイロン6,6等が挙げられる。特に成型加工
性、可塑剤等の添加剤により物性の広範囲な調整が可能
であるため、硬質から軟質のポリ塩化ビニル樹脂、具体
的には重合度800〜2000、可塑剤量(DOP換
算)5〜30重量部のものが好ましい。尚、該熱可塑性
樹脂シート5の形状は可撓性のあるシート状であって
も、可撓性のない板状であっても良いが、5〜500μ
m程度の厚みであるのが好ましい。
【0044】又、本発明では上記後加工を容易ならしめ
るため、図3に示すように熱可塑性樹脂シート5の裏面
(塗膜層3の設けられていない面。)に粘着剤5aや接
着剤を塗工したり、或いはコロナ放電処理等を行ってか
ら他の基材に貼り合わせたものを用いることもできる。
【0045】本発明では、上記熱可塑性樹脂シート5上
に塗膜層3を転写形成する際、熱可塑性樹脂シート5に
熱変形を生じさせないために、該熱可塑性樹脂シート5
のビカット軟化点よりも20℃以上低い温度で接着剤の
接着力を発現させるが、このような条件で接着剤の接着
力を発現させるためには、接着剤として電離放射線硬化
型接着剤を用いた場合、電磁波又は荷電粒子線のうち分
子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有する電離放射
線、例えば紫外線、電子線(但し、赤外線は除く。)等
を、転写シート1aに接着剤層4を介して熱可塑性樹脂
シート5を貼り合わせた後に照射する。
【0046】このとき、紫外線源としては超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラッ
クライトランプ、メタルハライドランプ等の光源を用い
ることができる。又、電子線源としてはコックロフトワ
ルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変
圧器型、或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等
の各種電子線加速器を用いることができ、100〜10
00keV程度、好ましくは100〜300keV程度
のエネルギーを持つ電子を照射する。尚、照射線量は通
常0.1〜30Mrad程度である。
【0047】一方、接着剤として2液硬化型の接着剤を
用いた場合には、転写シート1aに接着剤層4を介して
熱可塑性樹脂シート5を貼り合わせた後、該熱可塑性樹
脂シート5のビカット軟化点よりも20℃以上低くい常
温程度の比較的低い温度に加熱し、反応促進のために加
熱養生する。このときの温度は、通常40〜60℃であ
るのが好ましく、又、養生期間は2〜5日間程度である
のが好ましい。
【0048】尚、上記いずれの接着剤を用いた場合であ
っても、接着剤を溶剤で希釈して用いたならば、前述し
たように熱可塑性樹脂シート5に転写シート1aを貼り
合わせる時点で、少なくとも残留性遅乾溶剤以外を乾燥
除去しておく必要がある。
【0049】本発明製造方法では、剥離性基材シート2
の表面に形成した塗膜層3の上に、熱可塑性樹脂シート
5のビカット軟化点よりも20℃以上低い温度で接着力
が発現する接着剤4を塗工して転写シート1aを形成
し、該転写シート1aと特定のビカット軟化点を有する
熱可塑性樹脂シート5とを接着剤層4を介して貼り合わ
せた後、熱可塑性樹脂シート5のビカット軟化点よりも
20℃以上低い温度で上記接着剤層4を硬化せしめたこ
とが重要である。
【0050】これにより、熱可塑性樹脂シート5に対し
て、塗料組成物の溶剤による熱可塑性樹脂シートの膨
潤、溶解、白化、タルミ、引っ張り強度等の物性低下等
による劣化を防止することができる。又、熱可塑性樹脂
シート5のビカット軟化点よりも20℃以上低い温度で
接着剤4の接着力を発現させるので、熱変形によるシー
ト5の伸縮、皺、タルミ、歪み、ソリ等の変形が生じる
ことがない。よって、しかる後、図1(4)に示すよう
に剥離性基材シート2のみを剥離すると、熱可塑性樹脂
シート5を劣化、変形させることなく、成型加工性に優
れた該シート5上にスウェード調の艶消しが表現された
塗膜層3が転写形成されたスウェード調化粧シートが得
られる。
【0051】又、本発明方法では、特定の溶剤を用いる
ことにより、揮発性速乾溶剤、又は揮発性遅乾溶剤のそ
れぞれを単独で用いた場合であっても、通常の乾燥温度
115℃以下で充分な乾燥性が得られるが、特に揮発性
速乾溶剤、揮発性遅乾溶剤、及び残留性遅乾溶剤の3種
類の溶剤を混合した溶剤を用いるのがより好ましく、こ
のような混合溶剤を用いると、作用機構は不明ながら相
対的に乾燥速度の速い溶剤の蒸発乾燥が促進され、相対
的に乾燥速度の遅い溶剤を添加しない場合に比較して揮
発性速乾溶剤、及び揮発性遅乾溶剤の蒸発乾燥が早ま
り、従来完全に乾燥するのが困難であった、揮発性遅乾
溶剤までも完全に揮発乾燥させることができ、塗膜層3
から接着剤層4を透過してきた残留溶剤による熱可塑性
樹脂シート5の劣化を防ぐことができる。
【0052】更に、接着剤を上記の如き特定の溶剤で希
釈した場合であっても、溶剤中の熱可塑性樹脂シート5
を劣化させる虞のある残留性遅乾溶剤以外の溶剤は予め
完全に蒸発乾燥されているので、接着剤中の残留溶剤に
より熱可塑性樹脂シート5が劣化する虞がない。
【0053】本発明では、塗料組成物を乾燥させるため
に115℃の温度未満に加熱するが、塗料組成物に含有
される有機溶剤に115℃未満の温度で接しても溶解、
膨潤しない耐溶剤性及び耐熱性を有する基材シート2を
用いることにより、塗料乾燥時に該基材シート2が熱劣
化することがない。尚、このときの乾燥温度が115℃
以上の温度になると、基材シート2や塗膜層3自体が熱
劣化したり、溶剤の発泡が起こり易くなる。
【0054】又、化粧シート1のさらされる環境の温度
は通常115℃よりも十分低いこと、完全に揮発させる
揮発性溶剤の殆どすべてのものが115℃未満の沸点で
あり且つ残留を許容する残留性遅乾溶剤の多くが115
℃を越える沸点を有することから、本発明方法では、残
留性遅乾溶剤の沸点の上限を115℃以上とし、乾燥温
度を115℃未満とすることで、揮発性溶剤を完全に乾
燥させることと、残留性遅乾溶剤の発泡等を防止させる
ことを両立させることができる。即ち、残留溶剤は沸点
以上に加熱されないので、化粧シート1製造時に塗膜層
3(及び、接着剤を溶剤で希釈した場合には接着剤層
4)に発泡や箔浮き等が生じることがなく、製造後経時
的にさえも発泡や箔浮き等が生ずることが防止される。
尚、接着剤の硬化温度(最高130℃)が115℃を超
える場合には、沸点が115℃以上であると同時に接着
剤の硬化温度以上であるよな残留性遅乾溶剤を選定する
必要がある。
【0055】本発明製造方法を実施するにあたって、
1)基材シート2に塗膜層3を設ける工程、2)塗膜層
3上に接着剤4を塗工する工程、及び3)基材シート2
と熱可塑性樹脂シート4とを貼り合わせる工程は、適当
な大きさに成形された基材シート2及び熱可塑性樹脂シ
ートを用意して各工程ごとに独立して行っても良いが、
図2に示すようなドライラミネート装置等を用いて、帯
状の基材シート2を捲取った捲取9、及び帯状の熱可塑
性樹脂シート5を捲取った捲取15から、それぞれ基材
シート2と熱可塑性樹脂シート5とを連続供給して、各
工程を連続的に行うのが作業効率の点から好ましい。
【0056】本発明製造方法を図2の如き製造装置にて
行うには、先ず上記捲取9から供給された基材シート2
に、塗料塗工装置11によって塗料を塗工し、次いで該
塗料中の残留性遅乾溶剤以外の溶剤を温風乾燥装置12
で蒸発乾燥させ、基材シート2上に塗膜層3を設ける。
続いて、接着剤塗工装置13で塗膜層3の上に重ねて接
着剤を塗工し、該接着剤を希釈するために用いた残留性
遅乾溶剤以外の溶剤を温風乾燥装置14によって蒸発乾
燥させて転写シート1aを形成する。尚、接着剤を溶剤
で希釈せずに用いた場合には、温風乾燥器14は不要で
ある。又、図中10、16はコンベンセータローラであ
る。
【0057】転写シート1aを形成した後一対のラミネ
ートニップローラー17間で、該転写シート1aを捲取
15から供給された熱可塑性樹脂シート5に圧着して得
られたシート19を捲取13に捲取り、必要に応じて熱
可塑性樹脂シート5のビカット軟化点よりも20℃以上
低い温度で養生する。しかる後、該シート19から剥離
性基材シート2のみを剥離することにより、化粧シート
1が得られる。尚、電離放射線硬化型接着剤を用いて貼
り合わせを行った場合には、ラミネートニップローラー
17で転写シート1aと熱可塑性樹脂シート5とを圧着
した後、特に図示しないが電子線加速器、水銀灯等の電
離放射線照射装置により電離放射線を照射して、接着剤
を硬化させてからシート19を捲取13に巻き取る。
【0058】又、本発明方法では、剥離性基材シート2
/塗膜層3、及び/又は、塗膜層3/接着剤層の界面
に、必要に応じて、絵柄模様8、金属薄膜等の装飾層を
設けることもできる。尚、スウェード調艶消しの外観を
生み出すため、塗膜の表面(転写後の最表面)に設ける
場合は、余白部を設ける必要がある。
【0059】上記絵柄層8は全面に形成しても又部分的
に形成しても良く、模様としては、木目、石目、布目等
の天然物の意匠、文字、図形、記号、各種抽象模様等の
いずれでもよい。
【0060】以下、具体的実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。
【0061】〔実施例1〕 マット加工を施して片面に艶消し微凹凸を付与し
た、厚さ25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム
〔東レ製:YM−17〕の微凹凸面に、最頻出粒径20
μmの球状ポリウレタン樹脂ビーズ顔料と、アクリルポ
リオールのプレポリマーとトルエンジイソシアネートの
プレポリマーとを、メチルエチルケトン40重量%、ト
ルエン45重量%、キシレン10重量%、酢酸ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル5重量%からなる混合
溶剤に添加した塗料組成物をロールコータで塗工し、次
いで40℃の温風を吹きつけて酢酸ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル以外を完全に乾燥させ、塗工量2
5g/m2 の塗膜層を設けた。
【0062】 ポリエステルポリオールのプレポリマ
ーに、トルエンジイソシアネートのプレポリマーを加
え、更に、の塗料に用いたのと同様な混合溶剤で希釈
した2液硬化型接着剤を、上記塗膜層の上に重ねてロー
ルコータで塗工し、次いで40℃の温風吹きつけによ
り、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル以外
を完全に乾燥させて、塗工量20g/m2 の接着剤層を
設けて転写シートを得た。
【0063】 上記転写シートを、厚み100μm、
重合度1500であるDOP20重量部入のポリ塩化ビ
ニル樹脂シートに、図2に示すドライラミネート装置を
用いてで塗工した接着剤が未硬化のうちに接着剤層を
介して貼り合わせ、ラミネートニップロールの表面温度
を40℃にして、該ラミネートニップロールの間に挟ん
で両者を圧着した。
【0064】 得られたシートを、40℃の温度条件
で3日間養生した後、ポリプロピレンシートのみを剥離
して、スウェード調化粧シートを得た。
【0065】化粧シート製造の際、塗膜層及び接着剤層
には、発泡、或いは箔浮き等が発生せず、最終的に得ら
れた化粧シートは、ポリ塩化ビニル樹脂シートに皺、タ
ルミ、歪み等の熱変形、又は溶剤による発泡、膨潤等の
劣化が生じることなく、該シート上に物性等良好な塗膜
層が転写形成されたものであった。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスウェー
ド調化粧シートの製造方法は、成型加工性の良好な熱可
塑性樹脂シート上に、スウェード調の艶消しが表現され
た塗膜層を転写形成するため、該熱可塑性樹脂シートを
劣化させる虞のある有機溶剤で希釈したビーズ顔料入塗
料組成物を用いて塗膜層を形成したとしても、上記熱可
塑性樹脂シートに対して、溶剤による溶解、膨潤、白
化、強度低下等の劣化を引き起こすことがない。又、ビ
カット軟化点80〜150℃の熱可塑性樹脂シートを採
用し、該熱可塑性樹脂シートのビカット軟化点よりも2
0℃以上低い温度でも接着力の発現する接着剤を用い
て、転写シートと熱可塑性樹脂シートとを貼り合わせる
ため、熱変形によるシートの伸縮、皺、タルミ、ソリ等
の変形も生じない。従って、本発明方法によれば、熱可
塑性樹脂シートを劣化、変形させることなく、熱成形加
工性に優れたスウェード調化粧シートを、得ることがで
きる。
【0067】又、本発明方法において特定の溶剤を用い
ることにより、残留溶剤による熱可塑性樹脂シートの劣
化を防ぐことができる。しかも、接着剤を特定の溶剤で
希釈した場合であっても、残留性遅乾溶剤以外の溶剤は
予め完全に蒸発乾燥させることができ、接着剤層の残留
溶剤によっても熱可塑性樹脂シートが劣化する虞がな
い。
【0068】更に、残留性遅乾溶剤の沸点を乾燥温度、
及び接着剤の硬化温度よりも高く(勿論室温よりも高
く)設定したため、残留溶剤の気化による塗膜層、及び
接着剤層(接着剤を溶剤で希釈した場合。)の発泡、或
いは剥離性基材シートからの塗膜層の部分的剥離、即ち
箔浮等による外観欠点も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明スウェード調化粧シートの製造方法にお
ける工程を示す要部断面図である。
【図2】本発明スウェード調化粧シートの製造方法にお
いて用いる製造装置の一例である。
【図3】本発明スウェード調化粧シートの製造方法によ
って得られる化粧シートの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート 1a 転写シート 2 剥離性基材シート 3 塗膜層 4 接着剤層 5 熱可塑性樹脂シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/00 - 3/18 B32B 7/02 105 B32B 7/06 B32B 7/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともビーズ顔料、結合剤樹脂、及び
    有機溶剤からなる塗料組成物を、耐溶剤性及び耐熱性を
    有する剥離性基材上に塗工した後、該塗料組成物を乾燥
    させて塗膜層を形成し、次いで該塗膜層上に下記熱可塑
    性樹脂シートのビカット軟化点よりも20℃以上低い温
    度で硬化する接着剤を塗工して転写シートを形成し、該
    転写シートを接着剤を介してビカット軟化点が80℃以
    上150℃以下の熱可塑性樹脂シートに貼り合わせ、該
    熱可塑性樹脂シートのビカット軟化点よりも20℃以上
    低い温度で上記接着剤を硬化せしめて、しかる後剥離性
    基材シートのみを剥離することにより熱可塑性樹脂シー
    ト上に塗膜層を転写形成することを特徴とするスウェー
    ド調化粧シートの製造方法。
  2. 【請求項2】接着剤として、液状の電離放射線硬化型接
    着剤、又は2液反応硬化型接着剤を用いる請求項1記載
    のスウェード調化粧シートの製造方法。
  3. 【請求項3】塗料組成物中に含有される有機溶剤が、蒸
    発速度が酢酸n−ブチルの4倍以上の揮発性速乾溶剤、
    及び/又は蒸発速度が酢酸n−ブチルの1倍以上4倍未
    満の揮発性遅乾溶剤からなる溶剤、又は該溶剤に蒸発速
    度が酢酸n−ブチルの0.8倍以下であり且つ沸点が1
    15℃以上であると同時に接着剤の硬化温度以上である
    残留性遅乾溶剤を混合した溶剤であり、上記有機溶剤に
    115℃未満の温度で接しても溶解、膨潤しない耐溶剤
    性及び耐熱性を有する剥離性基材上に塗料組成物を塗工
    した後、該塗料組成物を115℃未満の温度で乾燥させ
    て塗膜層を形成する請求項1又は2記載のスウェード調
    化粧シートの製造方法。
  4. 【請求項4】接着剤を、蒸発速度が酢酸n−ブチルの4
    倍以上の揮発性速乾溶剤、及び/又は蒸発速度が酢酸n
    −ブチルの1倍以上4倍未満の揮発性遅乾溶剤からなる
    溶剤、又は該溶剤に蒸発速度が酢酸n−ブチルの0.8
    倍以下であり且つ沸点が115℃以上であると同時に接
    着剤の硬化温度以上である残留性遅乾溶剤を混合した溶
    剤で希釈して用い、転写シートを熱可塑性樹脂シートに
    貼り合わせる前に、上記溶剤を115℃未満の温度で乾
    燥させる請求項1、2又は3記載のスウェード調化粧シ
    ートの製造方法。
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