JP7124279B2 - 転写シート及び化粧板の製造方法 - Google Patents
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Description
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してよい。
(転写シート1の構成)
図1は、第1実施形態の転写シート1の断面図である。転写シート1は、図1に示す形態で保管したり、搬送したりすることができる。
図1に示すように、転写シート1は、離型性支持体10、剥離層20、装飾層30、粘着層40及び剥離フィルム50を備える。
離型性支持体10は、装飾層30を支持するフィルムである。離型性支持体10は、剥離層20等から成る転写層に対して離型性を有し、転写シート1が被転写基材60(後述)に転写された後、剥離層20との界面から剥離される。離型性支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂等から成るフィルムが挙げられる。このうち、強度及び柔軟性に優れる点で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。なお、離型性支持体10における剥離層20側の表面には、従来公知の離型層が形成されていてもよく、離型処理が施されていてもよい。
離型性支持体10の膜厚は、好ましくは10μm以上200μmであり、より好ましくは20μm以上60μm以下である。
剥離層20は、転写シート1から離型性支持体10の剥離を容易にするために積層される層である。剥離層20は、転写シート1が被転写基材60に転写され、離型性支持体10が剥離された後、転写シート1の最も外側の層として残存する。
剥離層20に含まれる粘着剤としては、アクリル系、ポリエステル系、ゴム系等の従来公知のものを広く用いることができる。その中でも、アクリル系粘着剤が好ましい。具体的には、アクリル酸エステルを主たる構成単量体単位とする単独重合体及び共重合体から選ばれたアクリル系重合体、その他の官能性単量体との共重合体及びこれら重合体の混合物等が用いることができる。例えば、アクリル酸エステルとしては、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸2-エチルヘキシル、メタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸2-ヒドロキシエチル等を用いることができる。また、上記のメタクリル酸を、例えばアクリル酸に替えたもの等も好ましく用いることができる。
剥離層20の層厚(dry)は、1μm以上10μm以下程度である。
また、上記列記の各種アクリレート系オリゴマーにおいて、アクリレートをメタクリレートに置き換えた化合物、例えば、ウレタンアクリレート系オリゴマーに対するウレタンメタクリレート系オリゴマー等も同様に用いることができる。
装飾層30は、絵柄層31と、着色ベタ層32と、から構成される。
絵柄層31は、転写シート1の図柄(意匠)が形成される層である。絵柄層31を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、或いはこれらの樹脂から選んだ2種以上を混合した組成物、例えば、アクリル樹脂と塩酢ビ樹脂とを1:9から9:1までの範囲において、適宜の質量比で混合した組成物等が挙げられる。また、絵柄層31には、所望の色に着色するための着色剤、及び必要に応じて各種添加剤(紫外線吸收剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、可塑剤、体質顔料等)等が添加される。
絵柄層31の層厚(dry)は、約5μm程度である。
絵柄層31の絵柄としては、木目絵柄、石目絵柄、布目絵柄、皮シボ絵柄、各種幾何学模様、文字或いはこれらの組み合わせを用いることができる。
着色ベタ層32の層厚(dry)は、1μm以上が好ましい。
粘着層(粘着剤層)40は、転写シート1を被転写基材60に転写する際に、転写シート1と被転写基材60とを接着し、両者を接合する層である。本実施形態の粘着層40は、粘着剤組成物の硬化物から成る。粘着剤組成物は、主剤としてのアクリル系粘着剤と、イソシアネート系硬化剤と、を含有する。
粘着層40の層厚(dry)は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。
好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含有する。アクリル系粘着剤は、水酸基を有するため、イソシアネート系硬化剤を用いることにより、更に部分架橋を向上させることができ、粘着層40となったときに、内部破壊がなく適度な貯蔵弾性率を得られる。
剥離フィルム50は、転写シート1を被転写基材60に転写する際に、転写シート1から剥離されるフィルムである。剥離フィルム50を構成する材料としては、例えば、シリコン離型タイプのポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等が挙げられる。
剥離フィルム50の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
第1実施形態の転写シート1において、剥離層20は、粘着剤に熱硬化性樹脂を含有させた熱硬化性樹脂組成物であってもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を用いることができる。
次に、化粧板100の製造方法について説明する。
化粧板100の製造は、例えば、転写シート1を購入した化粧板100の製造業者により行われる。
図2及び図3は、それぞれ化粧板100の製造方法を説明する断面図である。
被転写基材本体61は、転写シート1が転写される被転写体である。被転写基材本体61としては、例えば、無機材、木材、樹脂、布絹等が挙げられる。このうち、無機材としては、例えば、石材、セメント、コンクリート、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。
シーラー層62は、被転写基材本体61の表面を滑らかにして、被転写基材本体61と転写シート1との粘着性を高めるための下塗り層である。被転写基材60の形状としては、例えば、板、シート乃至フィルム、各種立体形状(円柱、多角柱等)等、用途に応じて適宜の形状のものが選定される。一般的には、平板状のものが広く用いられる。
耐候性付与層70の厚さについては、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上500μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは1μm以上100μm以下である。
以上の工程を経ることにより、被転写基材60に転写シート1が転写された化粧板100が得られる。
離型性支持体として、26μm厚のPETフィルム(「ダイアホイル」 三菱樹脂株式会社製)を用意し、その一方の面に、ポリブチルアクリレート(粘着剤)とトリメチロールプロパントリアクリレート(電子線重合性化合物)との混合物を塗布して、膜厚(dry)5μmの剥離層を形成した。この剥離層の上に、アクリル-塩酢ビ樹脂組成物と着色顔料から成るグラビアインキ(「EIS」 昭和インク工業株式会社)を用いて複数回の印刷を行い、図1に示すような絵柄層31と着色ベタ層32を形成した。
このように、本実施例の転写シートによれば、転写層を被転写基材に転写する際に、PETセパレータ(剥離フィルム)及びPETフィルム(離型性支持体)を適切に剥離できることが明らかとなった。
10 離型性支持体
20 剥離層
30 装飾層
40 粘着層
50 剥離フィルム
60 被転写基材
70 耐候性付与層
Claims (4)
- 離型性支持体と、剥離層と、装飾層と、粘着層と、剥離フィルムと、がこの順に積層され、
前記剥離層は、粘着剤と、電離放射線重合性化合物、又は熱硬化性樹脂の未硬化組成物の何れかとを含有し、
前記離型性支持体と前記剥離層との間の剥離強度は、前記剥離フィルムと前記粘着層との間の剥離強度よりも大きい転写シート。 - 請求項1に記載の転写シートであって、
前記離型性支持体と前記剥離層との間の剥離強度は、前記剥離フィルムと前記粘着層との間の剥離強度の2倍以上である転写シート。 - 請求項1又は請求項2に記載の転写シートであって、
前記剥離層に電離放射線を照射又は加熱した後の前記離型性支持体と前記剥離層との間の剥離強度は、前記剥離フィルムと前記粘着層との間の剥離強度よりも小さい転写シート。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の転写シートを用いた化粧板の製造方法であって、
前記転写シートから前記剥離フィルムを剥離する工程と、
前記剥離フィルムが剥離された前記転写シートを、前記転写シートの粘着層側と被転写体とが対峙する向きで被転写体に接着する工程と、
被転写体に転写された前記転写シートの前記剥離層に電離放射線を照射して、前記剥離層に含まれる電離放射線重合性化合物を硬化させるか、又は加熱して、前記剥離層に含まれる熱硬化性樹脂の未硬化組成物を硬化させることにより、前記離型性支持体と前記剥離層との間の剥離強度を、被転写体と前記粘着層との間の剥離強度よりも小さくする工程と、
被転写体に転写された前記転写シートから前記剥離層と前記離型性支持体を剥離する工程と、
を含む化粧板の製造方法。
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