JP2007297484A - 可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents

可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物及び粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】可視光照射前には十分な粘着力を発揮し、可視光照射後には粘着力が十分に低下するため、容易に、かつ、糊残りなく剥離することが可能な可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有するモノマー(A成分)と、重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するオリゴマー(B成分)と、重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃であるポリマー(C成分)と、400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤(D成分)と、を含み、前記A成分を5〜70質量%、前記B成分を5〜70質量%、前記C成分を10〜80質量%、(但し、A成分+B成分+C成分=100質量%)含有する可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物に関するものである。更に詳しくは、可視光照射前には粘着力を発揮し、可視光照射により、硬化し、粘着力の低下が惹起される可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物及び粘着シートに関するものである。
従来、粘着テープや粘着シート(以下、「粘着シート等」と記す場合がある)は、包装用、梱包用、養生用といった用途に幅広く使用されている。このような粘着シート等としては、優れた粘着特性と同時に、貼着後の任意な時に被着体より簡単に剥離することができる性質を備えているものが知られている。具体的には、プラスチックフィルム等の基材の表面に上記性質を有する粘着剤組成物を塗工したものを挙げることができる。
上記粘着剤組成物としては、当初は被着体に対して粘着力を発揮するとともに、加熱、紫外線の照射等の刺激を加えることによって硬化することにより、その粘着力の低下が惹起されるもの(以下、「再剥離性粘着剤組成物」と記す場合がある)が知られている。例えば、特定の光重合開始剤を含有する紫外線硬化型の再剥離性粘着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載の再剥離性粘着剤組成物は、紫外線が照射されることにより、粘着力が低下するものであるため、紫外線が被着体にも照射されてしまう場合があり、この紫外線が被着体を劣化させるおそれがあるという問題があった。
このような問題を解決するため、紫外線ではなく可視光を照射することにより、粘着力が低下する粘着剤組成物が知られている。例えば、アクリル系ポリマー、熱架橋剤、及び光重合開始剤を主成分とする粘着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−240842号公報 特開2002−212521号公報
しかしながら、特許文献2に記載の粘着剤組成物は、可視光照射前の粘着力が十分ではなく、可視光照射後の粘着力が未だ高すぎるという課題が残されており、なお改善の余地を残すものであった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、可視光照射前には粘着力を発揮し、可視光照射により硬化し、粘着力の低下が惹起される再剥離性粘着剤組成物であって、可視光照射前には十分な粘着力を発揮し、可視光照射後には粘着力が十分に低下するため、容易に、かつ、糊残りなく剥離することが可能な可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の、モノマー、オリゴマー、ポリマー、及び光重合開始剤を含有し、これらのモノマー、オリゴマー、及びポリマーを所定の割合で含有することによって、上記課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により、以下の可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物及び粘着シートが提供される。
[1] 重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有するモノマー(A成分)と、重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するオリゴマー(B成分)と、重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃であるポリマー(C成分)と、400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤(D成分)と、を含み、前記A成分を5〜70質量%、前記B成分を5〜70質量%、前記C成分を10〜80質量%、(但し、A成分+B成分+C成分=100質量%)含有する可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物。
[2] 重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有するモノマー(A成分)と、重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するオリゴマー(B成分)と、重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃であるポリマー(C成分)と、400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤(D成分)と、を含む可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物であって、下記条件(1)にて、前記再剥離性粘着剤組成物からなる粘着剤層を可視光硬化した際に、可視光硬化前から可視光硬化後の下記条件(2)にて測定した前記粘着剤層の可視光硬化後の粘着力が前記粘着剤層の可視光硬化前の粘着力の1/5以下となる可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物。
条件(1):ポリエチレンテレフタレートからなる基材の片面に再剥離性粘着剤組成物からなる膜厚20μmの粘着剤層を形成し、この粘着剤層に空気が存在しない状態で蛍光灯による可視光を光強度2000ルックスで300秒間照射する。
条件(2):被着体をガラスとしたJIS Z0237に準拠した180°剥離力試験法。
[3] 更に、紫外線吸収剤(E成分)を含有する前記[1]又は[2]に記載の再剥離性粘着剤組成物。
[4] 基材と、前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層と、を備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の再剥離性粘着剤組成物を含有する粘着シート。
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、可視光照射前には粘着力を発揮し、可視光照射により硬化し、粘着力の低下が惹起されることにより、被着体を劣化させず、かつ、被着体に対して糊残りなく容易に剥離される。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
[1]再剥離性粘着剤組成物:
本発明の再剥離性粘着剤組成物の第一の実施形態としては、重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有するモノマー(A成分)と、重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するオリゴマー(B成分)と、重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃であるポリマー(C成分)と、400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤(D成分)と、を含み、A成分、B成分、及びC成分を所定量で含有するものである。以下、各成分毎に説明する。
[1−1]モノマー(A成分):
モノマー(A成分)は、重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有することが必要である。A成分は、D成分の作用によって可視光の照射を契機として重合反応が惹起され、A成分に由来する重合体や架橋物を形成する。この性質により、本実施形態の再剥離性粘着剤組成物によって形成された粘着剤層は、可視光照射により粘着力が効果的に低下し、被着体から容易に、かつ、糊残りなく剥離されるという利点がある。
本明細書において「重合性」というときは、重合反応が惹起されると、重合体や架橋物を形成することが可能な性質を意味するものとし、重合性の炭素−炭素二重結合としては、例えば、ビニル基等の重合性二重結合、アセチレン基等の重合性三重結合等が挙げられる。
A成分は、重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有する限り、その構造は特に限定されるものではない。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。また、市販品の中から、所望の構造のものを適宜選択して使用してもよい。
A成分は、A成分、B成分及びC成分の総量に占める含有率が、5〜70質量%の範囲で含有されることが必要である。A成分は、この範囲で含有されることにより、可視光が照射された後の粘着力が十分に低下するという利点がある。含有率が5質量%未満であると、可視光が照射された後の粘着力が十分に低下し難く、糊残りを生じる傾向がある。一方、70質量%超であると、可視光が照射される前の初期の粘着力が不十分となる傾向があり好ましくない。
A成分の上記含有率は、10〜65質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることが更に好ましい。
[1−2]オリゴマー(B成分):
オリゴマー(B成分)は、重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するものであることが必要である。B成分は、可視光により重合したA成分由来の重合体及び/又はC成分などと結合することにより、本実施形態の再剥離性粘着剤組成物の粘着力を低下させるものである。このB成分を含有することにより、上記再剥離性粘着剤組成物の粘着力を効果的に低下させることができるという利点がある。
B成分は、重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するものである限り、その構造は特に限定されるものではない。例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン系アクリレート等を挙げることができる。これらは、一種または二種以上を併用してもよい。また、市販品の中から、所望の構造のものを適宜選択して使用してもよい。なお、本明細書において「オリゴマー」というときは、重量平均分子量が500〜20,000の重合体を意味するものとする。オリゴマー(B成分)の重量平均分子量は、500〜20,000であることが好ましく、500〜10,000であること更に好ましく、500〜7,000であることが特に好ましい。
ポリウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、以下、全て商品名で、NKオリゴUA−340P、UA−511、UA−4200、UA−512、UA−122P、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−324A、U−15HA、U−108A、U−200AX、UA−5201A、UA−4100、UA−4400(以上、新中村化学工業社製)、ライトタックPSA−705、PSA−805、PSA−901、PSA−903(以上、共栄社製)オレスターRA1500、RA1574、RA1573、RA1353(以上、三井化学社製)、KAYARAD UX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−6101、MU−2100(以上、日本化薬社製)、CN−962、CN−964、CN−965、CN−968、CN−980、CN−981、CN−983、CN−972、CN−975、CN−978(以上、サートマー社製)、Ebecryl230、270、8402、8804、8807、9260、8210、210、4827、6700、220(ダイセル・ユーシービー社製)などを挙げることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、以下、全て商品名で、リポキシVR−77、VR−90、VR−60、SP−1506、SP−1509、SP−1519、SP−1563(以上、昭和高分子社製)、CN−104、CN−116、CN−118、CN−119、CN−120、CN−124(サートマー社製)、ビスコート540(大阪有機化学工業社製)、EA−1020、EA−1025、EA−1026、EA−1028(以上、新中村化学工業社製)、Ebecryl600、2958、3700、3701、3708、6040(以上、ダイセル・ユーシービー社製)、ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、Ebecryl84、657、810(ダイセル・ユーシービー社製)、オレスターRA2003、RA1050、RA1328、RA1491、RA1205(以上、三井化学社製)、アロニックスM−6100、6200、6500、7100(以上、東亞合成社製)、ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、ブレンマーPDE400、PDE600、PDE1000、ADE400、30PDC−950BH、PP−500、PP−800、55PET−800、PME−4000、PSE−1300(以上、日本油脂社製)、脂肪族(メタ)アクリレートとしては、TEAI−1000(日本曹達社製)、UC−1(クラレ社製)、シリコーン系(メタ)アクリレートとしては、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C(以上、信越化学工業社製)などを挙げることができる。
B成分は、A成分、B成分及びC成分の総量に占める含有率が、5〜70質量%の範囲で含有されることが必要である。含有率が5質量%未満であると、可視光が照射される前の初期の粘着力が不十分となる傾向があり好ましくない。一方、70質量%超であると、可視光が照射された後の粘着力が十分に低下し難くなるため、糊残りを生じる傾向がある。
B成分の上記含有率は、5〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることが更に好ましい。
[1−3]ポリマー(C成分):
ポリマー(C成分)は、重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃であることが必要である。C成分は、本実施形態の再剥離性粘着剤組成物の可視光硬化前の粘着力を発揮させるとともに、可視光により重合したA成分由来の重合体及び/又はB成分などと結合することにより、粘着力を低下せしめるものである。
なお、本明細書において「重量平均分子量」というときは、GPC法(Gel Permeation Chromatography法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味するものとする。
更に、本明細書において「ガラス転移温度」というときは、C成分を含む溶液をガラス板に薄く引き伸ばし、25℃で7日間乾燥させて乾燥フィルムを得、得られた乾燥フィルムを示差走査熱量分析計(例えば、商品名:DSC、理学電気社製等)により、チッ素雰囲気下、昇温速度20℃/分、サンプル量20mgの条件で測定した値を意味するものとする。
C成分は、重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃である限り、その構造は特に限定されるものではない。例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、又は、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、及び極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含むポリマー等を挙げることができる。
「(メタ)アクリル系ポリマー」とは、官能基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、及びその他共重合可能なモノマーの群から選択される少なくとも一種に由来する(共)重合体を意味する。「官能基を有するモノマー」としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸などのカルボキシル基含有モノマー、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有モノマー、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチルなどのイソシアネート基含有モノマー、アクリル酸アミノエチル、メタアクリル酸アミノエチルなどのアミノ基含有モノマー等を挙げることができる。「(メタ)アクリル酸エステル系モノマー」としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜15である(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどを挙げることができる。「その他共重合可能なモノマー」としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、及び塩化ビニル等を挙げることができる。
更に、C成分は、例えば、上記ポリマーを基本骨格とし、この基本骨格に重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが結合されたものを用いることもできる。このようなポリマー(C成分)は、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマーを予め合成し、この(メタ)アクリル系ポリマーに、上記官能基と反応する官能基及び重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、「官能基含有不飽和化合物」と記す場合がある)を反応させることにより得ることができる。
官能基を含有する(メタ)アクリル系ポリマーとしては、アルキル基の炭素数が、通常、1〜15の範囲にある(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、この主モノマーと、官能基を有するモノマーと、更に必要に応じて、これらモノマーと共重合可能な他の改質用モノマーと、を常法によって共重合することにより得られる。
このような官能基を有する(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記ポリマーの官能基に応じて、上述した官能基を有するモノマーと同様のものを使用することができる。例えば、上記ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアミノ基含有モノマーが、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが、それぞれ用いられる。
C成分中の重合性の炭素−炭素二重結合の割合は、繰返し構造体中に、通常、0.0005ミリ当量/g以上、3.0ミリ当量/g以下である。好ましくは0.0005ミリ当量/g以上、2.0ミリ当量/g以下である。3.0ミリ当量/gを超えると、過度の架橋構造が形成されることなり、可視光照射前の粘着性が低下するおそれがある。
C成分の重量平均分子量は、10万〜200万であることが必要であり、この範囲とすることにより、可視光が照射される前の再剥離性粘着剤組成物においては、十分な粘着力が発揮され、かつ、可視光が照射されて硬化した後の再剥離性粘着剤組成物においては被着体に対して糊残りなく剥離されるという利点がある。C成分の重量平均分子量は、好ましくは10万〜150万であり、更に好ましくは10万〜100万である。重量平均分子量が10万未満であると、可視光が照射される前の初期の粘着力が不十分となる傾向があり好ましくない。一方、200万超であると、粘着剤としての粘度が高くなりすぎ使用が困難となる傾向があり好ましくない。
C成分のガラス転移温度は、−60〜+45℃であることが必要である。C成分のガラス転移温度は、好ましくは−55〜+40℃であり、更に好ましくは−50〜+35℃である。ガラス転移温度が−60℃未満であると、可視光が照射された後の粘着力が十分に低下し難くなるため、糊残りを生じる傾向があり好ましくない。一方、+45℃超であると、可視光が照射される前の初期の粘着力が不十分となる傾向があり好ましくない。
C成分は、A成分、B成分及びC成分の総量に占める含有率が、10〜80質量%の範囲で含有されることが必要である。C成分の含有率が10質量%未満であると、可視光が照射される前の初期の粘着力が不十分となる傾向がある。一方、80質量%超であると、可視光が照射された後の粘着力が十分に低下し難くなるため、糊残りを生じる傾向がある。
C成分の上記含有率は、15〜75質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。なお、A成分+B成分+C成分=100質量%であることが必要である。
[1−4]光重合開始剤(D成分):
光重合開始剤(D成分)は、400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有することが必要である。D成分は、重合系に添加しておくと、光照射によって重合反応を惹起する作用を有するものである。即ち、D成分は可視光の照射を契機としてA成分の重合反応を惹起し、A成分に由来する重合体や架橋物の形成に寄与する。このような光重合開始剤を用いれば、紫外線を照射する必要がないため、紫外線よる被着体の劣化を回避することができる。
D成分は、最大吸収波長(λmax)が400nm以上の波長領域にあるため、紫外線ではなく可視光が照射されることにより、A成分の重合反応を惹起し、A成分に由来する重合体や架橋物を形成する。一方、400nm未満の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤を用いた場合、可視光を照射してもA成分の重合反応を惹起させることができず、粘着力を低下させることができない。
本明細書において「最大吸収波長(λmax)」というときは、紫外可視分光光度計(例えば、商品名:U−BestV−570、日本分光社製等)を用い、波長320〜800nmにおける対象化合物の分光スペクトルを測定し、グラフ化した際の極大値を意味するものとする。本発明者らは、D成分の最大吸収波長を測定する場合には、例えば、対象物1.0mgをトリクロロメタン100mlに溶解させ、その溶液を10mmセルに投入し、分光スペクトルを測定する方法により測定した。
D成分は、400〜800nmの可視光領域に最大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、400〜500の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有することが更に好ましい。
D成分は、400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する限り、その構造に特に制限はない。例えば、カンファーキノン、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸等のカンファーキノン系:ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルフェニルホスフィンオキサイド(λmax:405nm)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(λmax:405nm、435nm)等のホスフィンオキサイド系:ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(λmax:405nm、435nm)等のメタロセン系:等を挙げることができる。この中でも、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが好ましい。
D成分としては、前記化合物の一種のみを含有するものであってもよいし、二種以上を含有するものであってもよい。また、本実施形態の再剥離性粘着剤組成物は、D成分が少なくとも一種含有されている限り、D成分以外の光重合開始剤が含有されていてもよい。また、D成分は、増感剤として、ジメチルアミノエチルアクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の化合物を併用することもできる。
D成分の配合量は、A成分、B成分及びC成分の化合物の内容、D成分の種類、塗膜に要求される色調、塗膜の物性等によっても異なるが、A成分、B成分及びC成分の総量100質量部に対して、通常、0.01〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部である。0.01質量部未満であると、光重合開始剤としての作用が十分に発揮されず、硬化性が不十分となるおそれがある。一方、20質量部超であると、D成分の分解物に由来する臭気が強くなる傾向がある。
[1−5]紫外線吸収剤(E成分):
本実施形態の再剥離性粘着剤組成物は、上記成分以外に更に、紫外線吸収剤(E成分)を含有することが好ましい。E成分は、紫外線を吸収する性質を有する添加剤である。仮に照射光に紫外線が含まれていた場合であっても、E成分が紫外線を吸収するので、被着体に紫外線が照射されてしまうことを防ぐことができる。そのため、紫外線によって劣化を受けてしまう被着体であっても、その劣化をより確実に防止することができる。
E成分としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物の他、サリチル酸エステル類、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系紫外線吸収剤;等が挙げられる。
E成分の配合量は、A成分、B成分及びC成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8.0質量部であることが更に好ましい。E成分の配合量が0.1質量部未満であると、紫外線吸収剤としての作用が十分に発揮されなくなるおそれがある。一方、10質量部超であると、可視光が照射された後の粘着力が十分に低下し難くなるため、糊残りを生じる傾向がある。
[1−6]その他の添加剤:
本実施形態の再剥離性粘着剤組成物には、前記構成成分以外に、例えば、粘着付与剤(タッキファイヤー)、硬化剤、老化防止剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、光安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、保存安定剤、熱重合禁止剤、可塑剤、濡れ性改良剤などを必要に応じて配合することもできる。
粘着付与剤(タッキファイヤー)としては、脂環族飽和炭化水素樹脂、ロジンエステル系樹脂、マレイン酸レジン、テルペンフェノール共重合体などが挙げられ、市販品としては、全て商品名で、アルコンP−70、P−90、P−100、M−90、M−100、M−135、SP−10、KR−1840、KR−1842、スーパーエステルA−75、A−115マルキードNo.8、マルキードNo.33(以上、荒川化学工業社製)、YSポリスターU115、YSポリスターT100(以上、ヤスハラケミカル社製)を挙げることができる。
硬化剤としては、例えば、イソシアネート基を有する化合物が挙げられ、市販品として商品名:コロネート(日本ポリウレタン工業社製)を挙げることができる。
[2]再剥離性粘着剤組成物の製造方法:
本実施形態の再剥離性粘着剤組成物は、モノマー(A成分)と、オリゴマー(B成分)と、ポリマー(C成分)と、光重合開始剤(D成分)とを含み、これらを所定の比率で混合することによって得ることができ、この際、必要に応じて、紫外線吸収剤(E成分)及び上記その他の添加剤を所定の比率で混合することもできる。混合温度については特に制限はないが、常温(20℃程度)〜60℃で加熱混合すると、各成分が均一に分散し易いため好ましい。
[3]再剥離性粘着剤組成物の使用方法:
本実施形態の再剥離性粘着剤組成物は、可視光を照射することによって、硬化させ、その粘着力を低下させて使用するものである。このように可視光を照射するため、紫外線の照射により劣化してしまう被着体にも適用することができる。なお、照射する光としては、可視光以外に赤外光(波長800nm以上)を含んでいてもよい。また、E成分(紫外線吸収剤)を含む場合は、仮に照射光に紫外線が含まれていた場合であっても、E成分が紫外線を吸収するので、被着体が紫外線によって劣化されることを防ぐことができる。本実施形態の再剥離性粘着剤組成物は、例えば、粘着シートに好適に使用することができる。以下、本発明の粘着シートについて説明する。
[4]再剥離性粘着剤組成物:
本発明の再剥離性粘着剤組成物の第二の実施形態としては、重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有するモノマー(A成分)と、重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するオリゴマー(B成分)と、重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃であるポリマー(C成分)と、400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤(D成分)と、を含む可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物であって、下記条件(1)にて、再剥離性粘着剤組成物からなる粘着剤層を可視光硬化した際に、可視光硬化前から可視光硬化後の下記条件(2)にて測定した粘着剤層の可視光硬化後の粘着力が粘着剤層の可視光硬化前の粘着力の1/5以下となるものである。
条件(1):ポリエチレンテレフタレートからなる基材の片面に再剥離性粘着剤組成物からなる膜厚20μmの粘着剤層を形成し、この粘着剤層に空気が存在しない状態で蛍光灯による可視光を光強度2000ルックスで300秒間照射する。
条件(2):被着体をガラスとしたJIS Z0237に準拠した180°剥離力試験法。
本実施形態の再剥離性粘着剤組成物は、モノマー(A成分)、オリゴマー(B成分)、ポリマー(C成分)、及び光重合開始剤(D成分)については、既に上述した各成分を同様に使用することができる。
本実施形態の再剥離性粘着剤組成物は、上述したように、条件(1)にて、再剥離性粘着剤組成物からなる粘着剤層を可視光硬化した際に、可視光硬化前から可視光硬化後の下記条件(2)にて測定した粘着剤層の可視光硬化後の粘着力が粘着剤層の可視光硬化前の粘着力の1/5以下となるものである。そのため、可視光照射前には十分な粘着力を発揮し、可視光照射により硬化し、粘着力の低下を惹起されて、被着体からの剥離が容易になるという利点がある。
上記条件(1)にて、前記再剥離性粘着剤組成物からなる粘着剤層を可視光硬化する際には、まず、ポリエチレンテレフタレートからなる基材の片面に再剥離性粘着剤組成物からなる膜厚20μmの粘着剤層を形成する。上記ポリエチレンテレフタレートからなる基材としては、例えば、市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名;コスモシャイン4300;東洋紡社製)を基材として用いることができる。また、この基材は透明であり、その片面に粘着剤層を形成する際には、例えば、アプリケーター等の従来公知の方法によって再剥離性粘着剤組成物を塗工して形成することができる。
このようにして粘着剤層を形成した後、粘着剤層に被着体であるガラスに貼り付けることにより、形成した粘着剤層に空気が存在しない状態とし、この粘着剤層に蛍光灯による可視光を光強度2000ルックスで300秒間照射することにより粘着剤層を可視光硬化する。
光強度はJIS C1609に準じた照度計にて測定する。照度計としては、例えば、いずれも商品名で、T−10P、T−10M(コニカミノルタ社製)を挙げることができる。蛍光灯としては、例えば、3波長形白色のFPL1灯(ナショナル社製)を用いることができる。本実施形態の再剥離性粘着剤組成物は、このようにして粘着剤層を可視光硬化することにより、粘着剤層の粘着力が1/5以下となるものである。
上記条件(2)にて粘着剤層の粘着力を測定する際には、上記した再剥離性粘着剤組成物からなる粘着剤層を上記透明基材に形成させた後に、被着体としてのガラスを貼着させ、JIS Z0237に準拠した180°剥離力試験法によって、温度23℃の雰囲気下において、剥離速度を300mm/分として測定する。被着体としてのガラスは、例えば、JIS R3202に準拠した厚さ5mmのガラス、例えば、エンジニアリングテストサービス社製のガラスを用いることができる。
なお、条件(1)は、本実施形態の再剥離性粘着剤組成物に可視光を照射するための条件を示したものであり、本発明の粘着シートの製造時において、基材の種類、粘着剤層の膜厚、照射する可視光の光強度、照射時間については、上記条件に限定されることはない。即ち、例えば、光強度としては、50〜10,000ルックスの範囲とすることができる。また、可視光の照射時間は、5秒〜30分間することができる。条件(2)は、本実施形態の再剥離性粘着剤組成物の粘着力をJIS Z0237に準拠した180°剥離力として測定するための条件を示したものであり、本実施形態の再剥離性粘着剤組成物及び粘着シートの被着体はガラスに限定されることはない。
[5]粘着シート:
本発明の粘着シートは、基材と、前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層と、を備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、前記再剥離性粘着剤組成物を含有するものである。このような粘着シートは、可視光照射前は十分な粘着力を有し、可視光の照射によって粘着剤層が硬化することにより、その粘着力を低下させて被着体から容易に剥離させることができる。
[5−1]基材:
基材は、その材質に特に制限はなく、例えば、合成樹脂製のフィルムやシート、ガラス、金属、又はセラミックからなるシート等を挙げることができる。なお、この基材は、透明または光透過性の材料を用いることにより、粘着剤層側とは反対側の面から可視光を照射しても、基材を透過して可視光が粘着剤層に照射されるものとすることができる。例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、ポリイミド等の透明なシートや透明なガラス板を好適な例として挙げることができる。
また、基材は、既に述べたE成分(紫外線吸収剤)を含有しているものであることが好ましい。E成分を含有することによって、照射光中に紫外線が含まれていた場合であっても、基材中のE成分によって紫外線が吸収され、被着体に紫外線が照射されてしまうことを回避することができる。
更に、基材の厚さは、特に制限はないが、上記のように、粘着剤層側とは反対側の面から可視光を照射することも考慮し、可視光が基材を透過可能な厚さであることが好ましい。例えば、10〜300μmであることが好ましく、20〜250μmであることが更に好ましく、30〜200μmであることが特に好ましい。
[5−2]粘着剤層:
本発明の粘着シートに用いられる粘着剤層は、可視光の照射によって硬化し、粘着力が低下する上記再剥離性粘着剤組成物を含有するものである。従って、直接、又は基材を透過して可視光が照射されると、粘着剤層中の上記組成物に含まれるD成分がA成分の重合反応を惹起することにより、粘着剤層の粘着力が低下する。このような粘着剤層は、膜厚を20〜30μmとした場合には、上記条件(2)により測定した、可視光照射前の粘着力が、0.2〜20N/25mmであることが好ましい。
[6]粘着シートの製造方法:
上記粘着シートは、まず、モノマー(A成分)と、オリゴマー(B成分)と、ポリマー(C成分)と、光重合開始剤(D成分)とを含み、これらを所定の比率で混合した可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物を得る。得られた再剥離性粘着剤組成物を上記基材の少なくとも片面に塗工して粘着剤層を形成することにより製造することができる。なお、モノマー(A成分)、オリゴマー(B成分)、ポリマー(C成分)、及び光重合開始剤(D成分)を混合する際、必要に応じて、紫外線吸収剤(E成分)及び上記その他の添加剤を所定の比率で混合することもできる。
具体的には、以下の方法で製造することができる。まず、粘着シートに使用する基材を用意する。この基材としては、上述の基材を用いることができる。次に、粘着剤層となる組成物を調整する。この組成物は、上述の組成物を用いることができる。この組成物を基材の少なくとも片面上に塗工し、粘着剤層を形成する。このようにして、基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着シートを製造することができる。なお、組成物の塗工方法は、特に制限はなく、上述した、アプリケーター等の塗工装置を使用し、公知の方法を採用することができる。
[7]粘着シートの使用方法:
本発明の粘着シートは、被着体を固定台等に固定するために用いられるものであり、被着体を固定する必要がなくなった場合には、可視光を照射することによって被着体から容易に剥離できるものである。具体的には、アプリケーター等の従来公知の塗工装置によって被着体の表面に上記組成物を塗工して、予め粘着剤層を形成した粘着シートを、例えば、ガラス等の被着体に貼り、これを固定台に固定する。作業終了後、粘着シートに可視光を照射すると、粘着シートの粘着剤層の粘着力が低下し、ガラス等から粘着シートを容易に剥離させることができる。なお、粘着シートをガラス等に貼り付けた後、剥離させるまでは、粘着シートを照射光以外の光が当たらないような場所(例えば、暗所)に保存することが好ましい。また、この粘着シートがその基材及び/又は粘着剤層に、既に述べたE成分(紫外線吸収剤)を含有しているものである場合、照射光中に紫外線が含まれていたときであっても、基材及び/又は粘着剤層中のE成分が紫外線を吸収するため、被着体に紫外線が照射されてしまうことを回避することができる。
本発明の再剥離性粘着剤組成物及び粘着シートは、被着体を特に制限することなく使用することができるが、紫外線の照射により劣化してしまう被着体に用いることが好適である。このような被着体としては、例えば、EMI(電磁波シールド)フィルタ、NIR(近赤外線)カット機能付きの光学フィルタ等を挙げることができる。なお、劣化とは、被着体が変色してしまったり、近赤外線カット機能等の機能が低下したりすることにより、商品価値を損ねることを意味する。
上記照射光の光源としては、例えば、蛍光灯、紫外線カットフィルタを付設したUVランプ等を挙げることができる。なお、粘着力を発揮させて所望の作業を終了させるまでは、上記組成物は、照射光以外の光が当たらないような場所(例えば、暗所)に置かれることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[合成例1]:
n−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びアクリル酸の合計量が100部となるように以下のように各成分を配合した。トルエン150部、n−ブチルメタクリレート10部、メチルメタクリレート40部、2−エチルヘキシルアクリレート48部、アクリル酸2部、アゾビスイソブチロニトリル0.01部、を4口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で70℃、6時間反応させ、更に80℃で1時間反応させることにより、ポリマー(C−1)を合成した。
[合成例2]:
シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びメタクリル酸の合計量が100部となるように以下のように各成分を配合した。トルエン150部、シクロヘキシルメタクリレート29部、メチルメタクリレート35部、2−エチルヘキシルアクリレート26部、メタクリル酸10部、アゾビスイソブチロニトリル0.4部、を4口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で70℃、6時間反応させ、更に80℃で1時間反応させることにより、ポリマー(C−2)を合成した。
[評価方法]:
以上のようにして得られたポリマー(C−1)、(C−2)は、以下の方法により各種評価を行った。
[ガラス転移温度(Tg)]:
上記ポリマー(C−1)を含む溶液をガラス板に薄く引き伸ばし、25℃で7日間乾燥させて乾燥フィルムを得る。得られた乾燥フィルムを示差走査熱量分析計(商品名:DSC、理学電気社製等)により、チッ素雰囲気下、昇温速度20℃/分、サンプル量20mgの条件で測定した。上記乾燥フィルムのガラス転移温度(Tg)をポリマー(C−1)とした。また、ポリマー(C−2)のガラス転移温度(Tg)も同様に測定した。
[重量平均分子量]:GPC法(Gel Permeation Chromatography法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
[評価結果]:
ポリマー(C−1)は、重量平均分子量が300,000であり、ガラス転移温度(Tg)が−10℃であった。ポリマー(C−2)は、重量平均分子量が140,000であり、ガラス転移温度(Tg)が40℃であった。評価結果を表1に示す。
Figure 2007297484
(実施例1):
[再剥離性粘着剤組成物の調製]:
モノマー(A成分)として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA;日本化薬社製)20部、オリゴマー(B成分)として、ポリウレタンアクリレート(分子量1500、商品名:Ebecrly270;ダイセル・ユーシービー社製)35部、ポリマー(C−1)(C成分)45部、光重合開始剤(D成分)として、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名:イルガキュア(Irgacure)784;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製(表中「D−1」と記す))1部、溶剤としてメチルエチルケトン混合し、再剥離性粘着剤組成物を調製した。
[粘着シートの作製]:
上記再剥離性粘着剤組成物をそのまま塗工液とし、この塗工液を、市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名;コスモシャイン4300;東洋紡社製)を基材として、その表面にアプリケーターにより塗布し、乾燥(100℃で3分間)後の膜厚が約20μmとなるように粘着剤層を形成することにより粘着剤層/基材からなるプレ粘着シートを作製した。その後、別途用意した市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:PET3811;リンテック社製)を離型基材として、この離型基材に2kgゴムロールを押し当てることで、離型基材/粘着剤層/基材からなる粘着シートを作製した。
(実施例2〜7、比較例1〜5):
表2に示す配合処方とすること以外は、上述した実施例1と同様にして実施例2〜7、比較例1〜5の再剥離性粘着剤組成物を調製し、以下の各種評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、表中のA−1は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA;日本化薬社製)、B−2は、ポリウレタンアクリレート(分子量5000、商品名:Ebecrly230;ダイセル・ユーシービー社製)、D−2は、α−ヒドロキシアセトフェノン(商品名:イルガキュア184;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、λmax;254nm、302nm、313nm)、D−3は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、E−1は、2,5チオフェンジイル(5−tert−ブチル−1,3−1,3ベンソオキサゾール)(商品名:ユビテックスOB;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を示すものである。
[評価方法]:
以上のようにして得られた再剥離性粘着剤組成物及び粘着シートは、以下の方法により各種評価を行った。
[可視光照射前の粘着シートのピール強度]:
可視光照射前は十分な粘着力を発揮し、可視光照射により、粘着力が低下されることを評価するため、粘着シートの粘着剤層のピール強度を測定した。具体的には、まず、離型基材/粘着剤層/基材からなる粘着シート(以下、「粘着シート」と記す場合がある)から、離型基材を剥がし、被着体としてのガラスに貼り合わせた。即ち、ガラス/粘着剤層/基材を形成した。その後、ピール強度の測定は、JIS Z0237に準拠する180°ピール試験によって、雰囲気温度23℃、剥離速度300mm/分の条件で測定した。
[可視光照射後の粘着シートのピール強度]:
一方、可視光照射後の粘着シートのピール強度は、以下のようにして測定した。まず、上記と同様にして、粘着シートをガラスに貼り合わせてガラス/粘着剤層/基材を形成した。次に、この粘着シートに基材側から光強度2000ルックスで300秒間、蛍光灯を照射し、粘着剤層を硬化させた。硬化後、上記と同様にして、JIS Z0237に準拠する180°ピール試験によって、雰囲気温度23℃、剥離速度300mm/分の条件でピール強度を測定した。
評価結果は、可視光照射前の粘着シートのピール強度に対して、可視光照射後の粘着シートのピール強度が1/5以下になった場合を「○」、可視光照射前のピール強度に対して、可視光照射後のピール強度が1/5以下まで低下しなかった場合を「×」とした。
[糊残り]:
粘着シートの剥離後、被着体に粘着剤層が残ってしまう状態、いわゆる糊残りは、被着体を汚染する一因であるため好ましくない。従って、この糊残りを評価した。評価は、粘着シートの剥離後、被着体を目視することにより行った。評価結果は、目視により被着体に対する糊残りが全く確認されなかった場合を「○」、目視により被着体に対する糊残りが確認された場合を「×」とした。
Figure 2007297484
[評価結果]:
表2に示すように、実施例1〜7の再剥離性粘着剤組成物は、これら再剥離性粘着剤組成物により形成した粘着剤層の可視光硬化後の粘着力が可視光硬化前の粘着力に比べて1/5以下となり、粘着力が十分に低下していた。また、糊残りの評価についても、糊残りが全く確認されなかった。このように、いずれの評価についても良好な結果が得られた。
比較例1〜5の再剥離性粘着剤組成物は、これら再剥離性粘着剤組成物により形成した粘着剤層の可視光硬化後の粘着力が可視光硬化前の粘着力に比べて1/5以下まで低下しなかった。また、糊残りの評価についても、糊残りが確認された。このように、いずれの評価についても良好な結果は得られなかった。
本発明の再剥離性粘着剤組成物及びその接着シートは、可視光照射前には粘着力を発揮し、可視光照射により、硬化し、粘着力の低下が惹起されるものである。従って、被着体を劣化させず、かつ、被着体に対して糊残りなく容易に剥離させることが可能である。そのため、紫外線を照射されると劣化してしまう被着体や破損し易い被着体に貼着される接着剤、接着シート等として好適である。

Claims (4)

  1. 重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有するモノマー(A成分)と、
    重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するオリゴマー(B成分)と、
    重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃であるポリマー(C成分)と、
    400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤(D成分)と、を含み、
    前記A成分を5〜70質量%、前記B成分を5〜70質量%、前記C成分を10〜80質量%、(但し、A成分+B成分+C成分=100質量%)の割合で含有する可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物。
  2. 重合性の炭素−炭素二重結合を3個以上有するモノマー(A成分)と、
    重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有するオリゴマー(B成分)と、
    重量平均分子量が10万〜200万で、ガラス転移温度が−60〜+45℃であるポリマー(C成分)と、
    400nm以上の波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤(D成分)と、を含む可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物であって、
    下記条件(1)にて、前記再剥離性粘着剤組成物からなる粘着剤層を可視光硬化した際に、可視光硬化前から可視光硬化後の下記条件(2)にて測定した前記粘着剤層の可視光硬化後の粘着力が前記粘着剤層の可視光硬化前の粘着力の1/5以下となる可視光硬化型の再剥離性粘着剤組成物。
    条件(1):ポリエチレンテレフタレートからなる基材の片面に再剥離性粘着剤組成物からなる膜厚20μmの粘着剤層を形成し、この粘着剤層に空気が存在しない状態で蛍光灯による可視光を光強度2000ルックスで300秒間照射する。
    条件(2):被着体をガラスとしたJIS Z0237に準拠した180°剥離力試験法。
  3. 更に、紫外線吸収剤(E成分)を含有する請求項1又は2に記載の再剥離性粘着剤組成物。
  4. 基材と、前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層と、を備えた粘着シートであって、
    前記粘着剤層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の再剥離性粘着剤組成物を含有するものである粘着シート。
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