JP7251073B2 - 粘着シート、剥離シート付き粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents
粘着シート、剥離シート付き粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 Download PDFInfo
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そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、高温高湿条件下においても優れた基材密着性と耐久性を発揮し得る粘着シートであって、加工性に優れた粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
多官能単量体をホモポリマーとした際のガラス転移温度(Tg)が65℃以上200℃未満である粘着シート。
[2] アクリル共重合体は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基及びイソシアネート基から選択される少なくとも1種の基を含有する(メタ)アクリレートに由来する単位を含む[1]に記載の粘着シート。
[3] アクリル共重合体は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、及びメチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有し、
アクリル共重合体の全質量に対して、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が50~90質量%であり、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5~35質量%であり、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5~15質量%である[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4] 粘着シートの全質量に対して、熱硬化型架橋剤の含有量が0.1質量%以下である[1]~[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5] 粘着シートは後硬化性を有する粘着シートであって、後硬化前のゲル分率が20質量%以下である[1]~[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6] 単官能単量体が、アルキル(メタ)アクリレートである[1]~[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7] 多官能単量体の含有量は、アクリル共重合体100質量部に対して、5~40質量部である[1]~[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8] 単官能単量体の含有量は、アクリル共重合体100質量部に対して、1~20質量部である[1]~[7]のいずれかに記載の粘着シート。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の粘着シートの両表面に剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを備える剥離シート付き粘着シート。
[10] [1]~[8]のいずれかに記載の粘着シートに活性エネルギー線を照射することで硬化させた粘着シートと、硬化後の粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体と、を備える積層体。
[11] [1]~[8]のいずれかに記載の粘着シートを被着体に貼合した後、活性エネルギー線を照射して粘着シートを硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”は同義であり、“重合体”と“ポリマー”は同義である。
本発明の粘着シートは、アクリル共重合体、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体及び水素引抜型光重合開始剤を含有する粘着剤組成物から形成されるものである。ここで、多官能単量体をホモポリマーとした際のガラス転移温度(Tg)は、65℃以上200℃未満である。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着シートの採取質量)×100・・・式1
(プローブタック値の測定条件)
測定機器:NSプローブタックテスター(ニチバン株式会社製)
プローブ直径:5mmφ
プローブ基材:ステンレススチール表面仕上げAA#400研磨による鏡面
ウェイト:19.6±0.2g(真鍮製)
プローブ移動速度:1.0cm/秒
デュエルタイム:1秒間
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-4527、SD-7220等や、信越化学工業(株)製のKS-3600、KS-774、X62-2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH3)3SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-843、SD-7292、SHR-1404等や、信越化学工業(株)製のKS-3800、X92-183等が挙げられる。
剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである軽セパレータフィルムを挙げることができる。
粘着シートを形成する粘着剤組成物は、アクリル共重合体を含む。アクリル共重合体は、アクリル単量体単位を有するものであれば特に制限はないが、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。例えば、アクリル共重合体は、架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートに由来する単位を含むものであることが好ましい。なお、本明細書および特許請求の範囲において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
カルボキシ基含有単量体単位としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
ヒドロキシ基含有単量体単位は、ヒドロキシ基含有単量体に由来する繰り返し単位である。ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
アミノ基含有単量体単位としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等のアミノ基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
エポキシ基含有単量体単位としては、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートは、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートである。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルコキシ基の炭素数が1~12であり、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数が1~18であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルコキシ基の炭素数は1~8であることが好ましく、1~4であることがより好ましく、1もしくは2であることが特に好ましい。また、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数は1~12であることが好ましく、1~8であることがさらに好ましく、1~4であることが一層好ましく、1~3であることが特に好ましい。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及び8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種は好ましく用いられる。
アクリル共重合体は、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有する。メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。また、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
アクリル共重合体は、窒素含有単量体に由来する単位をさらに含んでいることが好ましい。なお、窒素含有単量体に由来する単位は、上述した架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートに由来する単位であってもよい。
アクリル共重合体の重量平均分子量は、10万~200万が好ましく、20万~150万がより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、粘着シートが後硬化した際に高硬度となりやすく、加工性に優れる。重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。アクリル共重合体としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体であって、ホモポリマーとした際のガラス転移温度(Tg)が65℃以上200℃未満の多官能単量体を含有する。多官能単量体は反応性二重結合を2つ以上有するものであり、中でも、多官能単量体は反応性二重結合を2つ以上5つ未満有するものであることが好ましく、2つ以上4つ未満有するものであることがより好ましい。
粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体を含有する。
粘着剤組成物は、水素引抜型光重合開始剤を含む。水素引抜型光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により上述したアクリル共重合体やアクリル単量体の重合反応を開始させるものである。水素引抜型光重合開始剤は、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることにより重合を促進する光重合開始剤である。
粘着剤組成物は、自己開裂型光重合開始剤を含んでもよい。自己開裂型光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により上述したアクリル共重合体やアクリル単量体の重合反応を開始させるものである。粘着剤組成物が自己開裂型光重合開始剤を含む場合、粘着シートが後硬化した際により高硬度を発揮することができ、基材密着性と耐久性を高めることができる。また、粘着剤組成物が自己開裂型光重合開始剤を含む場合、粘着シートは、より優れた加工性を発揮することができる。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE184として市販)等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤として具体的には、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4-ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド系開始剤として具体的には、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)製、IRGACURE819として市販)等が挙げられる。
本発明の粘着シートにおいては、熱硬化型架橋剤の含有量は、粘着シートの全質量に対して、0.1質量%以下であることが好ましい。これは、粘着シートが実質的に熱硬化型架橋剤を含有しないことを意味する。すなわち、粘着シートにおいては、熱硬化型架橋剤の含有量は、粘着シートの全質量に対して、0質量%であることがより好ましい。なお、熱硬化型架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤が挙げられる。
粘着シートを形成する粘着剤組成物は、溶剤を含んでいてもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性の向上のために用いられる。溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10~90質量%であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ましい。溶剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。なお、粘着剤組成物中の溶剤の一部は、粘着シートにも残留する場合があってもよい。
粘着シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。また、着色を目的に染料や顔料を添加してもよい。
可塑剤としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、粘着剤の相溶性や効果の高さから、ベンゾリアゾール系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。ただし、後硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重合反応を阻害しない範囲で添加することが好ましい。
本発明の粘着シートの製造方法は、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程を含むことが好ましい。粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
本発明の粘着シートの使用方法においては、粘着シートの粘着シートを被着体表面に接触させることが好ましい。特に、粘着シートが未硬化状態のときに被着体と貼合し、例えば活性エネルギー線を照射するなどして粘着シートを硬化させることが好ましい。
本発明の粘着シートは、高温高湿条件下においても耐久性が必要とされる光学部材、特に形状が複雑で積層体になってからの打抜き加工や切削加工が必要な用途に好ましく用いられる。
本発明は、上述した粘着シートに活性エネルギー線を照射することで硬化させた粘着シートと、硬化後の粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体と、を備える積層体に関するものでもある。ここで、被着体は、基材および光学部材であることがより好ましく、TACフィルム、ポリカーボネート基材、偏光板、透明フィルム、透明樹脂またはガラスであることが特に好ましい。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
本発明は、上述した粘着シートを被着体に貼合した後、活性エネルギー線を照射して粘着シートを硬化させる工程を含む積層体の製造方法に関するものでもある。積層体の製造方法は、上述した粘着シートの粘着シートを被着体に対して未硬化状態で貼合した後、活性エネルギー線を照射して粘着シートを硬化させる工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射する前は、粘着シートの粘着シートは未硬化状態であることから、基材への初期密着性が良好となる。このように、粘着シートを被着体に貼合した後、粘着シートを活性エネルギー線で後硬化させることで、粘着シートの凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。また、後硬化した粘着シートは基材が変形したり、歪んだりすることを防止できる。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種類の電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
紫外線の照射出力は、積算光量が100~10000mJ/cm2となるようにすることが好ましく、500~5000mJ/cm2となるようにすることがより好ましい。
<アクリル共重合体(A-1)の合成>
アクリル共重合体(A-1)を、酢酸エチル中での溶液重合により作製した。2-メトキシエチルアクリレートモノマー(MEA)、2-ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(2HEA)、メチルメタクリレート(MMA)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)及びブチルアクリレート(BA)を質量比で70:10:10:5:5となるように配合し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、固形分濃度が35質量%、23℃における溶液粘度が2000mPa・sのアクリル共重合体溶液(A-1)を得た。
この粘着シートの片面に第1の剥離シートより剥離性の高い離型処理が施された第2の剥離シート(軽セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム(株)製)を貼り合わせ、剥離シート付きの粘着シートである実施例1の粘着シートを得た。
単官能単量体としてイソボルニルアクリレートに代えて、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、ISTA、Tg=-18℃)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2の粘着シートを得た。
自己開裂型光重合開始剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして実施例3の粘着シートを得た。
多官能単量体としてM211Bに代えて、ポリプロピレンジアクリレート(東亞合成社製、二官能モノマーM270、Tg=-32℃)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の粘着シートを得た。
多官能単量体、単官能単量体及び自己開裂型光重合開始剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして比較例2の粘着シートを得た。
多官能単量体、単官能単量体、自己開裂型光重合開始剤及び水素引抜型光重合開始剤を配合せず、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD-110N)を0.2質量部配合した以外は実施例1と同様にして比較例3の粘着シートを得た。
<剪断貯蔵弾性率G’>
粘着剤層の厚みが200μmとなるように8枚の粘着シート(1枚25μm)を重ねあわせ、測定用サンプルを作製した。
粘着剤層の厚みが200μmとなるように8枚の粘着シート(1枚25μm)を重ねあわせ、重セパレータフィルムである第1の剥離シート側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、後硬化後の測定用サンプルを作製した。
各測定用サンプルの粘着シートの粘着剤層について、動的粘弾性装置Rheogel―E4000(株式会社ユービーエム製)を用いて、個体剪断モード、周波数1Hz、歪み0.1%の条件で、0℃~150℃までの温度領域における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を測定した。23℃における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を、下記表1に記載した。
実施例及び比較例で得た粘着シートを100mm×60mmとなるようにカットし、硬化前の測定用サンプルを作製した。
粘着シートを100mm×60mmとなるようにカットし、重セパレータフィルムである第1の剥離シート側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、後硬化後の測定用サンプルを作製した。
各測定用サンプルの粘着シート約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうした。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥質量(g)を測定した。得られた乾燥質量から下記式1によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着シートの採取質量)×100・・・式1
JIS K 7161-1に準拠してヤング率を測定した。その際、引張速度は10mm/minとし、23℃、相対湿度50%の環境下で測定した。また、測定サンプルとしては、厚さ25μm、幅60mm、長さ200mmの粘着シートを長さ方向に丸め、断面積5mm2、高さ60mmの円柱形状に加工し、酸素阻害の影響受け難いように第1の剥離シートと第2の剥離シートでこの円柱状に加工したサンプルを挟んだ状態で第1の剥離シート側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、後硬化したものを用いた。チャック間距離が30mmとなるようサンプルをセットして引っ張り、サンプルの破断伸度が0~3%での破断応力と破断伸度との比をヤング率とした。なお、測定機器としては、島津製作所製のオートグラフAGS-Xを用いた。
JIS K 7161-1に準拠して破断伸度を測定した。その際、引張速度は10mm/minとし、23℃、相対湿度50%の環境下で測定した。また、測定サンプルとしては、厚さ25μm、幅60mm、長さ200mmの粘着シートを長さ方向に丸め、断面積5mm2、高さ60mmの円柱形状に加工したものを用いた。チャック間距離が30mmとなるようサンプルをセットして引っ張り、サンプルが破断した時の伸度を破断伸度とした。なお、測定機器としては、島津製作所製のオートグラフAGS-Xを用いた。
重セパレータフィルムである第1の剥離シート側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射したA4サイズの粘着シートを、50枚重ねあわせ、後硬化後の裁断用サンプルを作製した。
後硬化後の裁断用サンプルとした粘着シートをギロチン断裁機にて断裁した際のギロチン刃、粘着シートの断裁面である端面を目視判定した。
○:粘着シートの断裁面である端面から粘着剤のはみ出しがなく、ギロチン刃および断裁面である端面にベタツキがなく良好
×:粘着シートの断裁面である端面から粘着剤のはみ出しが酷く、ギロチン刃および断裁面である端面ベタツキが実用上問題となるレベルである
粘着剤層の軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、厚み25μmのPETフィルムに貼合した。次に重セパレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、PC板に貼着した。PET/粘着剤層/PCの構成のサンプルをオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、次いで、PETフィルム側より紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、試験サンプルを得た。次いで、試験サンプルの端部をギロチン断裁機を用いてカットし、カット端部をPC板側から手でPETフィルムを剥がすようにこすった。その際の剥がれ距離を測定した。
◎:剥がれ距離が0.05mm未満
○:剥がれ距離が0.05mm以上0.1mm未満
×:剥がれ距離が0.1mm以上
第2の剥離シートである軽剥離セパレーターを剥がして、剥がしたセパレーターの代わりにトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、フジタックTD60UL 厚み60μm)をハンドローラーを用いて貼合し、積層フィルムを作製した。この積層フィルムを幅25mm、長さ100mmの大きさにカットし、第1の剥離シートを剥がした。次いで、露出した幅25mm、長さ100mm粘着面のうち幅25mm、長さ75mmの領域を被着体(ハードコート層付ポリカーボネート板:三菱ガス化学社製、ユーピロンMR58 厚み1mm)のハードコート面側に2kgの圧着ローラーを用いて貼り付けた。この状態で、40℃、5気圧の条件のオートクレーブ内に30分間保持させてPC板に密着させた後、トリアセチルセルロースフィルム側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、試験片を作製した。
この試験片を、85℃、相対湿度85%の環境下で24時間 放置した後、85℃、相対湿度85%の環境下で図4のように、粘着シート1とトリアセチルセルロースフィルム30からなる積層フィルムの非貼合領域(幅25mm、長さ25mm)の長さ方向端部に100gの錘34を吊るし、被着体32の平面に対して90°の方向に100gの荷重を加え、その状態で5分放置した。その間に積層フィルムが剥離した箇所の長さL(mm)を測定し、下記基準で評価した。
◎:L<5mm
○:5mm≦L<25mm
△:25≦L<50
×:50≦L
軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、トリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、フジタックTD60UL 厚み60μm)に貼合した。
次に重セパレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、PC板(ハードコート層付ポリカーボネート板:三菱ガス化学社製、ユーピロンMR58 厚み1mm)に貼着した。トリアセチルセルロースフィルム/粘着剤層/PCの構成のサンプルをオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、次いで、トリアセチルセルロースフィルム側より紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、100mm×200mmの大きさの試験サンプルを得た。次いで、試験サンプルを85℃、相対湿度85%の環境下に置き、240時間後の浮き及び剥がれの発生の有無を観察した。
○:1.0mm以上の浮き及び剥がれが観察されない
×:1.0mm以上の浮き及び/又は剥がれが観察される
11 粘着シート
12a 透明基材または剥離シート
12b 剥離シート
20 積層体
21 粘着シート
22 基材
24 光学部材
27a、27b、27c、27d 段差部
30 トリアセチルセルロースフィルム
32 被着体
34 錘
L 定荷重剥離距離
Claims (9)
- アクリル共重合体、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体及び水素引抜型光重合開始剤を含有する粘着剤組成物から形成される粘着シートであって、
前記アクリル共重合体は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、及びメチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有し、
前記アクリル共重合体の全質量に対して、前記アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が50~90質量%であり、前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5~35質量%であり、前記メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5~15質量%であり、
前記多官能単量体をホモポリマーとした際のガラス転移温度(Tg)が65℃以上200℃未満である粘着シート。 - 前記粘着シートの全質量に対して、熱硬化型架橋剤の含有量が0.1質量%以下である請求項1に記載の粘着シート。
- 前記粘着シートは後硬化性を有する粘着シートであって、後硬化前のゲル分率が20質量%以下である請求項1又は2に記載の粘着シート。
- 前記単官能単量体が、アルキル(メタ)アクリレートである請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記多官能単量体の含有量は、前記アクリル共重合体100質量部に対して、5~40質量部である請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記単官能単量体の含有量は、前記アクリル共重合体100質量部に対して、1~20質量部である請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着シートの両表面に剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを備える剥離シート付き粘着シート。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着シートに活性エネルギー線を照射することで硬化させた粘着シートと、硬化後の粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体と、を備える積層体。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着シートを被着体に貼合した後、活性エネルギー線を照射して前記粘着シートを硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
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