JP7247622B2 - 粘着シート、剥離シート付き粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
1.粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層を有する粘着シートであって、
前記粘着剤組成物が、酸成分を有する架橋性アクリル共重合体A、架橋剤B、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体C及び光重合開始剤Dを含有し、
前記架橋性アクリル共重合体Aのガラス転移温度(Tg)が-40℃以上であり、
前記多官能単量体Cは1分子内にビスフェノール骨格を有し、前記多官能単量体Cの含有量が前記架橋性アクリル共重合体A100質量部に対して1~15質量部であり、
前記光重合開始剤Dの含有量が前記架橋性アクリル共重合体A100質量部に対して0.1~5質量部であり、
前記粘着剤層は後硬化性を有し、
前記粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射して後硬化した場合に前記粘着剤層が下記物性(1)及び(2)を満たす粘着シート;
物性(1):引張速度10mm/minの引張試験測定における破断伸度が300%以上である;
物性(2):下記測定条件で測定されるi)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満における各定荷重剥離距離が50mm以下である:
(測定条件)
幅25mm、長さ100mmの大きさの粘着剤層の粘着面のうち幅25mm、長さ75mmの領域を被着体に貼合し、後硬化させる。i)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満の各環境下において、粘着剤層の非貼合領域が下方に垂れ下がるように被着体を水平方向に固定する。粘着剤層の非貼合領域の長さ方向端部に100gの荷重を5分間かけ、この間に粘着剤層の貼合領域が被着体から剥離した距離をi)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満における各定荷重剥離距離として測定する。
2.前記粘着剤組成物が、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体Eを有する、上記項1に記載の粘着シート。
3.前記単官能単量体Eの含有量が、前記架橋性アクリル共重合体A100質量部に対して1~20質量部である、上記項2に記載の粘着シート。
4.前記架橋性アクリル共重合体Aの酸価が1mgKOH/g以上である、上記項1~3のいずれかに記載の粘着シート。
5.前記粘着剤層の前記半硬化状態におけるゲル分率と後硬化後のゲル分率との差が15%以上である、上記項1~4のいずれかに記載の粘着シート。
6.上記項1~5のいずれかに記載の粘着シートの両面に、剥離力が互いに異なる一対の剥離シートを備えた、剥離シート付き粘着シート。
7.上記項1~5のいずれかに記載の粘着シートと、前記粘着シートの少なくとも一方の面側に備えた被着体とを有する積層体であって、前記粘着シートの粘着剤層は活性エネルギー線を照射することにより後硬化している、積層体。
8.上記項1~5のいずれかに記載の粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体を積層する工程1、及び前記粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射することにより前記粘着剤層を後硬化させる工程2を順に有する、積層体の製造方法。
本発明の粘着シートは、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層を有する。粘着剤組成物は、酸成分を有する架橋性アクリル共重合体A、架橋剤B、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体C及び光重合開始剤Dを含有し、
前記架橋性アクリル共重合体Aのガラス転移温度(Tg)が-40℃以上であり、
前記粘着剤層は後硬化性を有し、
前記粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射して後硬化した場合に前記粘着剤層が下記物性(1)及び(2)を満たす;
物性(1):引張速度10mm/minの引張試験測定における破断伸度が300%以上である;
物性(2):下記測定条件で測定されるi)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満における各定荷重剥離距離が50mm以下である:
(測定条件)
幅25mm、長さ100mmの大きさの粘着剤層の粘着面のうち幅25mm、長さ75mmの領域を被着体に貼合し、後硬化させる。i)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満の各環境下において、粘着剤層の非貼合領域が下方に垂れ下がるように被着体を水平方向に固定する。粘着剤層の非貼合領域の長さ方向端部に100gの荷重を5分間かけ、この間に粘着剤層の貼合領域が被着体から剥離した距離をi)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満における各定荷重剥離距離として測定する。なお、i)の条件の定荷重剥離距離は高温高湿基材密着性を示し、ii)の条件の定荷重剥離距離は高温基材密着性を示す。
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有する。粘着シートは、粘着剤層のみから構成される単層の粘着シートであってもよい。また、粘着シートは、片面に基材(好ましくは透明基材)を備えた片面粘着シートでも、両面粘着シートでもよい。粘着シートとしては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シート、支持体の片面に粘着剤層が積層し、他方の面に他の粘着剤層が積層した多層の粘着シートが挙げられる。両面粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。支持体としては、透明基材と同様に光学分野に用いられる一般的なフィルムを用いることができる。このような両面粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
本発明の粘着シートは、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層を有し、粘着剤層は後硬化性を有する。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着剤層の採取質量)×100・・・式1
物性(1):引張速度10mm/minの引張試験測定における破断伸度が300%以上である;
物性(2):下記測定条件で測定されるi)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満における各定荷重剥離距離が50mm以下である:
(測定条件)
幅25mm、長さ100mmの大きさの粘着剤層の粘着面のうち幅25mm、長さ75mmの領域を被着体に貼合し、後硬化させる。i)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満の各環境下において、粘着剤層の非貼合領域が下方に垂れ下がるように被着体を水平方向に固定する。粘着剤層の非貼合領域の長さ方向端部に100gの荷重を5分間かけ、この間に粘着剤層の貼合領域が被着体から剥離した距離をi)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満における各定荷重剥離距離として測定する。
測定機器:NSプローブタックテスター(ニチバン社製)
プローブ直径:5mmφ
プローブ基材:ステンレススチール表面仕上げAA#400研磨による鏡面
ウェイト:19.6±0.2g(真鍮製)
プローブ移動速度:1.0cm/秒
デュエルタイム:1秒間
上述の粘着剤層は、粘着剤組成物を半硬化状態としたものである。本発明で用いられる粘着剤組成物は、デュアル硬化型粘着剤組成物である。粘着剤組成物は酸成分を有する架橋性アクリル共重合体A(但しガラス転移温度(Tg)が-40℃以上)、架橋剤B、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体C及び光重合開始剤Dを含有する。
架橋性アクリル重合体Aは、酸成分を含有するアクリル単量体単位を有するものであって、且つガラス転移温度(Tg)が-40℃以上であれば特に制限はないが、例えば、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と、酸成分を含有する架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を共重合したものであることが好ましい。架橋性アクリル重合体Aは、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。なお、本明細書および特許請求の範囲において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
計算式(1)中、cKOHは、0.1N水酸化カリウム-2-プロパノール溶液のモル濃度(mol/L)であり、V1は試料の滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム-2-プロパノール溶液の量(mL)であり、V0は空試験の滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム-2-プロパノール溶液の量(mL)であり、Sは、試料の採取量(g)である。
粘着剤組成物は架橋剤を含有する。架橋剤は、架橋性アクリル重合体Aが有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から選択できる。これらの中でも、カルボキシ基含有アクリレートを容易に架橋できることから、エポキシ化合物を用いることが好ましい。すなわち、架橋剤は二官能以上のエポキシ化合物であることが好ましい。
粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体Cを含有する。
粘着剤組成物は光重合開始剤Dを含有する。光重合開始剤は、活性エネルギー線照射により架橋性アクリル重合体や多官能単量体の重合を開始させるものであることが好ましい。光重合開始剤Eとしては、公知の光重合開始剤を用いることができる。
粘着剤組成物は、上記必須成分に加えて、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体Eを有していてもよい。
粘着剤組成物は、溶剤を含んでいてもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性の向上のために用いられる。溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。また、着色を目的に染料や顔料を添加してもよい。
本発明の粘着シートの製造方法は、剥離シート上に上述した粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により半硬化状態の硬化物とする工程を含むことが好ましい。塗膜の加熱により、架橋性アクリル重合体A及び架橋剤Bの反応が進行して半硬化状態の硬化物(粘着剤層)が形成される。つまり、加熱の際、塗膜中では光重合開始剤Eによる単量体の重合反応が進行しないか、進行してもわずかであるため、粘着剤層中には、粘着剤組成物に含まれる単量体C,D及び光重合開始剤Eの少なくとも一部が未反応の状態で含まれている。本発明の粘着シートは、後硬化性を有し、活性エネルギー線硬化性を有していることが好ましい。
本発明の粘着シートの使用方法においては、粘着シートの粘着剤層を被着体表面に接触させることが好ましい。粘着シートの使用方法においては、粘着シートの粘着剤層が半硬化状態のときに被着体と貼合し、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を後硬化させることが好ましい。すなわち、本発明の粘着シートは、2段階硬化型の粘着シートであり、貼合前は熱のみによって半硬化された粘着剤層を有し、貼合後に活性エネルギー線により粘着剤層は後硬化される。
本発明の粘着シートは、耐久性を必要とする光学部材であって、光学部材との積層後に成形加工が必要な光学部材の貼合用に好ましく用いられる。
本発明は、上述した粘着シートと被着体を有する積層体に関するものでもある。積層体は、上述した粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射して後硬化させた後硬化後の粘着剤層と、後硬化後の粘着剤層の少なくとも一方の面側に被着体を備える。つまり、本発明の積層体は、粘着シートと、前記粘着シートの少なくとも一方の面側に備えた被着体とを有する積層体であって、前記粘着シートの粘着剤層は活性エネルギー線を照射することにより後硬化している。粘着シートが両面粘着シートである場合、2つの被着体を半硬化状態の粘着シートで貼合した状態で活性エネルギー線を照射して、粘着剤層を後硬化することで積層体を形成することが好ましい。ここで、被着体は、基材及び光学部材であることがより好ましく、ポリカーボネート基材、偏光板、透明フィルム、透明樹脂またはガラスであることが特に好ましい。
積層体の製造方法は、上述した粘着シートの粘着剤層を被着体に対して半硬化状態で貼合した後、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を後硬化させる工程を含む。つまり、本発明の積層体の製造方法は、粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体を積層する工程1、及び前記粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射することにより前記粘着剤層を後硬化させる工程2を順に有する。活性エネルギー線を照射する前は、粘着シートの粘着剤層は半硬化状態であることから、基材への初期密着性が良好となる。このように、粘着シートを被着体に貼合した後、粘着剤層を活性エネルギー線で後硬化させることで、粘着剤層の凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。また、後硬化した粘着剤層は基材が変形したり、歪んだりすることを防止できる。
酸成分を有する架橋性アクリル重合体A(A-1)を、酢酸エチル中での溶液重合により作製した。詳細には、ブチルアクリレートモノマー(BA)、メチルアクリレートモノマー(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、アクリル酸(AA)を質量比で90:1:4:6となるように配合し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、架橋性アクリル重合体A(A-1)を得た。
酸成分を有さない架橋性アクリル重合体A(A-2)を、酢酸エチル中での溶液重合により作製した。詳細には、2-メトキシエチルアクリレートモノマー(MEA)、2-ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(2HEA)、メチルメタクリレート(MMA)、ジエチルアクリルアミド(DEAA)及びブチルアクリレート(BA)を質量比で70:10:10:5:5となるように配合し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、架橋性アクリル重合体A(A-2)を得た。
架橋性アクリル重合体A(A-1)100質量部に対して、架橋剤Bとしてエポキシ系化合物(三菱ガス化学社製、テトラッドX)を0.05質量部、多官能単量体Cとして、エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM211B、Tg=75℃)を5質量部、単官能単量体Eとしてイソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業社製、IBXA、Tg=97℃)を5質量部、光重合開始剤Dとして1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASFジャパン社製、IRGACURE184)を0.7質量部添加し、固形分濃度が40質量%となるように溶剤として酢酸エチルを添加して粘着剤組成物を得た。
実施例1において多官能単量体C及び単官能単量体Eの添加量をそれぞれ7質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
実施例1において多官能単量体C及び単官能単量体Eの添加量をそれぞれ15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
実施例1において多官能単量体Cの添加量を15質量部に変更するとともに、単官能単量体Eを添加しないように変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
実施例1において架橋剤Bの添加量を0.5質量部に変更し、多官能単量体Cの添加量を20質量部に変更するとともに、単官能単量体Eの添加量を15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
架橋性アクリル重合体A(A-2)100質量部に対して、架橋剤Bとしてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学社製、タケネートD-110N)を0.5質量部、多官能単量体Cとして、エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM211B、Tg=75℃)を15質量部、単官能単量体Eとしてイソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業社製、IBXA、Tg=97℃)を15質量部添加し、固形分濃度が40質量%となるように溶剤として酢酸エチルを添加して粘着剤組成物を得た以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
<酸価>
精密天秤で100ml三角フラスコに、試料として上記で調製した架橋性アクリル重合体Aの固形分が約2g程度となるように粘着剤組成物を精秤し、これにトルエン/2-プロパノール/水=5/5/0.5(重量比)の混合溶媒10mlを加えて溶解した。次いで、この容器に指示薬としてp-ナフトールベンゼン溶液を1~3滴添加し、試料が均一になるまで充分に攪拌した。これを、0.1N水酸化カリウム-2-プロパノール溶液で滴定し、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを、中和の終点とした。その結果から下記の計算式(1)を用いて得た値を、試料の酸価とした。
計算式(1)中、cKOHは、0.1N水酸化カリウム-2-プロパノール溶液のモル濃度(mol/L)であり、V1は試料の滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム-2-プロパノール溶液の量(mL)であり、V0は空試験の滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム-2-プロパノール溶液の量(mL)であり、Sは、試料の採取量(g)である。
粘着剤層を100mm×60mmとなるようにカットし、半硬化状態の測定用サンプルを作製した。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着シートの採取質量)×100・・・式1
粘着シートの軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、PETフィルムに貼着し、半硬化状態の測定用サンプルを作製した。
測定機器:NSプローブタックテスター(ニチバン社製)
プローブ直径:5mmφ
プローブ基材:ステンレススチール表面仕上げAA#400研磨による鏡面
ウェイト:19.6g(真鍮製)
プローブ移動速度:1.0cm/秒
デュエルタイム:1秒間
JIS K 7161-1に準拠して破断伸度を測定した。その際、引張速度は10mm/minとし、23℃、相対湿度50%の環境下で測定した。また、測定サンプルとしては、厚さ25μm、幅60mm、長さ200mmの粘着剤層を長さ方向に丸め、断面積5mm2、高さ60mmの円柱形状に加工したものを用いた。チャック間距離が30mmとなるようサンプルをセットして引っ張り、サンプルが破断した時の伸度を破断伸度とした。なお、測定機器としては、島津製作所製のオートグラフAGS-Xを用いた。
第2の剥離シートである軽剥離セパレーターを剥がして、剥がしたセパレーターの代わりにトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、フジタックTD60UL 厚み60μm)をハンドローラーを用いて貼合し、積層フィルムを作製した。この積層フィルムを幅25mm、長さ100mmの大きさにカットし、第1の剥離シートを剥がした。次いで、露出した幅25mm、長さ100mm粘着面のうち幅25mm、長さ75mmの領域を被着体(ハードコート層付ポリカーボネート板:三菱ガス化学社製、ユーピロンMR58 厚み1mm)のハードコート面側に2kgの圧着ローラーを用いて貼り付けた。この状態で、40℃、5気圧の条件のオートクレーブ内に30分間保持させてPC板に密着させた後、トリアセチルセルロースフィルム側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、試験片を作製した。
◎:剥がれが確認されない、もしくは1mm未満の剥がれが観察される
○:1mm以上50mm以下の剥がれが観察される
×:50mmを超える剥がれが観察される
粘着剤層の軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、トリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、フジタックTD60UL 厚み60μm)に貼合した。
○:1.0mm以上の浮き及び剥がれが観察されない
×:1.0mm以上の浮き及び/又は剥がれが観察される
上記耐久性試験の試験環境ii)85℃,相対湿度10%未満のサンプルにおいて、シワの発生の有無を目視により観察した。
◎:シワの発生が観察されない
○:5mm未満のシワの発生が観察される
×:5mm以上のシワの発生が観察される
11 粘着剤層
12a 透明基材または剥離シート
12b 剥離シート
20 積層体
21 粘着シート
22 基材
24 光学部材
27a、27b、27c、27d 段差部
30 トリアセチルセルロースフィルム
32 被着体
34 錘
L 定荷重剥離距離
Claims (8)
- 粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層を有する粘着シートであって、
前記粘着剤組成物が、酸成分を有する架橋性アクリル共重合体A、架橋剤B、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体C及び光重合開始剤Dを含有し、
前記架橋性アクリル共重合体Aのガラス転移温度(Tg)が-40℃以上であり、
前記多官能単量体Cは1分子内にビスフェノール骨格を有し、前記多官能単量体Cの含有量が前記架橋性アクリル共重合体A100質量部に対して1~15質量部であり、
前記光重合開始剤Dの含有量が前記架橋性アクリル共重合体A100質量部に対して0.1~5質量部であり、
前記粘着剤層は後硬化性を有し、
前記粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射して後硬化した場合に前記粘着剤層が下記物性(1)及び(2)を満たす粘着シート;
物性(1):引張速度10mm/minの引張試験測定における破断伸度が300%以上である;
物性(2):下記測定条件で測定されるi)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満における各定荷重剥離距離が50mm以下である:
(測定条件)
幅25mm、長さ100mmの大きさの粘着剤層の粘着面のうち幅25mm、長さ75mmの領域を被着体に貼合し、後硬化させる。i)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満の各環境下において、粘着剤層の非貼合領域が下方に垂れ下がるように被着体を水平方向に固定する。粘着剤層の非貼合領域の長さ方向端部に100gの荷重を5分間かけ、この間に粘着剤層の貼合領域が被着体から剥離した距離をi)85℃,相対湿度85%、及びii)85℃,相対湿度10%未満における各定荷重剥離距離として測定する。 - 前記粘着剤組成物が、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体Eを有する、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記単官能単量体Eの含有量が、前記架橋性アクリル共重合体A100質量部に対して1~20質量部である、請求項2に記載の粘着シート。
- 前記架橋性アクリル共重合体Aの酸価が1mgKOH/g以上である、請求項1~3のいずれかに記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層の前記半硬化状態におけるゲル分率と後硬化後のゲル分率との差が15%以上である、請求項1~4のいずれかに記載の粘着シート。
- 請求項1~5のいずれかに記載の粘着シートの両面に、剥離力が互いに異なる一対の剥離シートを備えた、剥離シート付き粘着シート。
- 請求項1~5のいずれかに記載の粘着シートと、前記粘着シートの少なくとも一方の面側に備えた被着体とを有する積層体であって、前記粘着シートの粘着剤層は活性エネルギー線を照射することにより後硬化している、積層体。
- 請求項1~5のいずれかに記載の粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体を積層する工程1、及び前記粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射することにより前記粘着剤層を後硬化させる工程2を順に有する、積層体の製造方法。
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