JP5521948B2 - 熱転写フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材、等の各種の被転写基材の表面に、少なくとも保護層を含む転写層を転写形成するための転写フィルムに関する。
従来、物品の装飾方法として、合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材、等の各種の被転写基材の表面に、乾式工法により簡便に保護層等を形成可能な、転写フィルムを用いた転写法が利用されている。この転写法とは、紙や熱可塑性樹脂フィルム等からなる基材フィルム上に、硬度や耐溶剤性等の表面物性に優れた樹脂組成物からなる保護層を剥離可能な状態に設け、更に必要に応じて絵柄層、接着層等(以後これらを前記保護層と合わせて転写層という)を設けて転写フィルムを作製し、この転写フィルムの転写層面を基材(被転写基材)の表面に圧着して転写層を被転写基材と接着させた後、転写層と基材フィルムとの界面で剥離して基材フィルムを除去することにより、被転写基材上に転写層が転写形成された目的の加飾品等を製造する方法である。
上記保護層としては、転写後の製品の表面に、例えば表面硬度、耐磨耗性、耐擦傷性、耐溶剤性、耐薬品性等の優れた表面物性を付与するために、熱硬化型樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が用いられるのが一般的であり、具体的には、ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応生成物である2液硬化型ポリウレタン系樹脂や、分子中にラジカル重合性二重結合を有する電離放射線硬化型アクリレート系樹脂を用いたものなどが、既に各種用いられている。(例えば特許文献1参照)
一方、基体フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂系フィルムが汎用されており、特に、厚み精度や表面平滑性が良好であることから二軸延伸を施されたものがほとんどである。更に、該剥離面をプラズマ処理やメラミン樹脂離型層等を設けて剥離強度を調節する方法も知られている。
しかしながら、これらのポリエステル系樹脂フィルムは、前記剥離面にメラミン樹脂離型層等を設ける必要があるため生産性が悪く、また二軸延伸フィルムを用いた場合には成形加工時の形状追随性が不十分であった。
基材フィルムとして、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系重合体樹脂を使用することで、メラミン樹脂離型層等を設けなくても剥離強度の安定した転写フィルムを得る方法が特許文献2に記載されている。
また、段落0011には、転写層として、アクリル樹脂を主成分とした組成物が好適である。とあり、更に、転写後の被転写体の表面に耐擦傷性等が要求される場合に各種硬化性樹脂を選定する必要がある旨が記載されている。
しかしながら、基材フィルムとしてビニルアルコール系重合体樹脂を使用した場合、アクリル樹脂を主成分とした組成物を転写層に使用すると、転写後の剥離強度は低く安定するが、反面剥離強度が弱すぎるために、グラビア印刷等により加飾層を設ける時、フィルムをロール化して保存や搬送時、および、転写加工のためフィルムを巻き出した時に剥離や浮きが生じる場合がある。更に、剥離強度が弱すぎると、フィルムを被転写基材に圧着した後に基材フィルムを剥離する際、被転写基材端末における転写塗膜の箔切れ性(トリミング性)が悪く、非転写部分の塗膜が残滓として加飾成形品に残り、生産性に欠ける場合が多い。一方、活性エネルギー線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を適宜選択したのでは、基材フィルムを剥離する際に、剥離強度が高すぎて基材フィルムが全く剥離できない場合や、転写層の破壊を引き起こす場合がある。
特開平7−314995号公報 特開平09−277458号公報
本発明が解決しようとする課題は、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)樹脂を基材フィルムとして使用し、且つ保護層としてラジカル重合性樹脂組成物層を用いる転写フィルムであって、加熱により容易に基材フィルムを剥離でき、且つ、剥離時の転写塗膜のトリミング性が良好であり、更に、得られる保護層の表面物性に優れる熱転写フィルムを提供することにある。
本発明者らは、PVA樹脂を主成分とする基材フィルムを用いて、保護層中に、全固形分量に対して熱可塑性樹脂を20〜80質量%、数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を10〜70質量%含有するラジカル重合性樹脂組成物層を有し、且つ、前記ラジカル重合性樹脂組成物層のFT−IRを用いた全反射法(ATR)による160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%である熱転写フィルムが、上記課題を解決することを見出した。
本発明においては、保護層成分が、熱可塑性樹脂を前述量使用することで、未硬化であっても常温下で層膜厚を維持でき、且つ、PVA基材フィルムに対する適度な密着性を維持しており、加熱・転写した際には基材フィルムと容易に剥離できる。
一方、数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は、フィルム製造・保管時および加熱時に転写層内部で流動し、PVA層と保護層との界面付近に移動し、且つ、加熱により(メタ)アクリロイル基が重合反応することで、基材フィルムであるPVA層との界面で離型層として機能することを突き止めた。従って、一般的な熱転写時間内にPVA層との界面で離型層として機能できる程度の量を特定し、更に、フィルム製造・保管時および一般的な成形温度程度で転写層内部における流動が可能な分子量を特定し、加熱による(メタ)アクリロイル基の反応率を制御することで、加熱により容易に基材フィルムを剥離でき、且つ、良好なトリミング性を確保でき、更に、得られる保護層の表面物性に優れる熱転写フィルムが得られることを見出した。
具体的には、前記ラジカル重合性樹脂組成物層のFT−IRを用いた全反射法(ATR)による160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%となる、本発明の熱転写フィルムを、保持した状態で、前記ラジカル重合性樹脂組成物層中に含まれる(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%となるように加熱することで、更にポリビニルアルコール層との剥離性が容易に、且つ、転写塗膜のトリミング性が良好になる。
また、前記(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は、絵柄層・接着層(加飾層)に浸透・透過して、被転写基材と加飾層との界面付近にも存在し、紫外線や電子線を照射することにより硬化することで、被転写基材との密着性を向上させる効果もあることを見出した。
即ち本発明は、PVA樹脂を主成分とする基材フィルム上に、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層した転写層を有する熱転写フィルムであって、前記ラジカル重合性樹脂組成物層が、全固形分量に対して熱可塑性樹脂を20〜80質量%、数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を10〜70質量%含有し、且つ、前記ラジカル重合性樹脂組成物層のFT−IRを用いた全反射法(ATR)による160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%である熱転写フィルムを提供する。
また本発明は、前記記載の熱転写フィルムの製造方法であって、ラジカル重合性樹脂組成物層を設けたPVA樹脂を主成分とする基材フィルムと、加飾層を設けた基材フィルムとを、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とが接するようにラミネートした後エージングする熱転写フィルムの製造方法を提供する。
また本発明は、前記記載の熱転写フィルムを、保持した状態で、前記ラジカル重合性樹脂組成物層中に含まれる(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%となるように加熱した後、前記熱転写フィルムを真空成形法により被着体に貼り付けて一体化させ、基材フィルムを剥離する加飾品の製造方法を提供する。
本発明により、加熱により容易に基材フィルムを剥離でき、且つ、転写塗膜のトリミング性が良好であり、更に、得られる保護層の表面物性に優れる熱転写フィルムが得られる。
本発明においては、熱可塑性樹脂を特定量添加しているので、未硬化であっても常温下で層膜厚を維持でき、且つ、PVA基材フィルムに対する適度な密着性を維持できる。
本発明では、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を、フィルム製造・保管時および一般的な熱転写時間内にPVA層との界面で離型層として機能できる程度の量に特定し、且つ、一般的な成形温度程度において転写層内部で流動が可能な程度の分子量に特定し、更に、加熱時の(メタ)アクリロイル基の反応率を特定しているので、加熱により容易に基材フィルムを剥離でき、且つ、転写塗膜のトリミング性が良好であり、更に、得られる保護層の表面物性に優れる熱転写フィルムが得られる。
本発明の保護層の組成とすることで、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は加飾層との界面にも移動し、更に加飾層の被転写基材との接面付近に移動する。従って接着層等を設けない場合であっても、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が基材との接着剤としての役割を果たし、転写後に活性エネルギー線硬化させることで、被転写基材との密着性に優れた熱転写フィルムが得られる。
(基材フィルム)
本発明で使用する基材フィルムは、PVA樹脂を主成分とする。本発明で使用するPVAは、未変性PVAであっても、あるいはPVAの主鎖中にエチレン、プロピレンなどのオレフィン類、アクリル酸およびアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル、アリル化合物、マレイン酸およびその塩またはエステル類、ビニルシリル化合物などのモノマーが1種類又は2種類以上共重合された変性PVAであってもよい。
本発明において、PVAの重合度は500〜3000であり、好ましくは700〜2500であり、より好ましくは1000〜2400である。PVAの重合度が500未満の場合には、ベースフィルムとしての機械的強度が不足する場合があり、特に連続的に印刷やコーティングを施す際などにフィルムが破断することがある。一方、PVAの重合度が3000を超える場合には、PVAの生産効率が低下する場合がある。
また、PVAのけん化度は一般的に80〜99.9%であるが、本発明の場合、80〜95%の範囲内であることが好ましい。本発明における(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は、PVA樹脂基材表面に高密度で存在することにより、転写層を転写させた後、PVA基材と転写層に適度な剥離性を発現させる効果がある。この観点から、PVAのけん化度が95%を越えると、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物とPVA基材との親和性が低下し、基材表面での(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物の濃度が低くなり、転写後に剥離性が低下するおそれがある。また、真空成形法などにより三次元形状に賦形する場合には、けん化度が95%を越えると結晶性が高くなり、形状追随性が劣るため好ましくない。
また、PVAフィルムに柔軟性を付与する目的で可塑剤を添加することや、機械的強度や塗工性、安定性等を調節する目的で澱粉、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤等の各種添加剤を含んでいても構わない。また膜厚は特に限定はないが、薄すぎると熱転写後剥離時にフィルムが裂ける恐れがあり、一方厚すぎると、被転写基材の形状に追従しきれないおそれがあることから、膜厚は10〜200μm程度が好ましい。より好ましくは20〜100μmである。
被転写基材へ転写された転写層の表面性状は、使用する基材フィルムの表面性状が反転される傾向がある。従って、基材フィルムとして表面が平滑な鏡面状のものを使用すれば、転写後の転写層の表面も平滑な鏡面仕上げとすることができるし、基材フィルムとして表面が艶消状のものや凹凸のエンボス形状を有するものを使用すれば、これらの艶状態やエンボス形状を転写後の転写層の表面に賦形することができる。これらは所望する意匠に応じて適宜選択すればよい。
なお本発明の熱転写フィルムは、PVA樹脂基材と転写層との界面に(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が高濃度で存在した状態で転写されるため、使用する基材フィルムの表面粗さを緩和する効果がある。即ち、本発明の熱転写フィルムを被転写基材上に転写した加飾品の転写面は、前記転写面の最表面に(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が高濃度で存在するため、活性エネルギー線硬化後の転写面は表面硬度に優れ、使用する基材フィルム表面よりもさらに高光沢となる傾向にある。
(転写層)
本発明の熱転写フィルムにおいて、転写層とは、少なくとも、被転写基材に転写して得られる転写体の、最表層となるラジカル重合性樹脂組成物層と、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と被転写基材との間となる加飾層とを少なくとも有する層である。加飾層は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と被転写基材との間となるように、PVA樹脂を主成分とする基材フィルム上には、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層するように設ける。また、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層の他に、接着層や被転写基材表面の凹凸を隠蔽する中間層等の層を設けてもよい。
(転写層 ラジカル重合性樹脂組成物層)
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層は、ラジカル重合反応により硬化可能な樹脂層である。中でも活性エネルギー線照射により硬化可能な樹脂を含む樹脂層であると、転写後に表面硬度に優れる塗膜が得られ好ましい。該重合性樹脂組成物層は、加飾層の意匠性が良く発現できることから透明であることが好ましいが、転写体の要求特性や意匠性により基本的に得られる転写体の加飾層の色や柄が透けて見えれば良く、完全に透明であることは要しない。即ち、透明から半透明なものまでを含む。また、着色されていてもよい。また、熱転写フィルムは後述する、ラジカル重合性樹脂組成物層を設けた基材フィルムと、加飾層を設けた基材フィルムとを、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とが接するようにラミネートする方法が好ましく、ラミネート時の1次密着性を付与するために、僅かにタックを有することがより好ましい。
(ラジカル重合性樹脂組成物)
本発明においては、前記ラジカル重合性樹脂組成物層が、全固形分量に対して熱可塑性樹脂を20〜80質量%、数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を10〜70質量%含有し、且つ、前記ラジカル重合性樹脂組成物層のFT−IRを用いた全反射法(ATR)による160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%であることを特徴とする。
(熱可塑性樹脂)
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステルなどが挙げられる。これらはホモポリマーまたは複数のモノマーが共重合したものであって良い。
中でも、アクリル系樹脂は、Tgが高く硬化性樹脂層の粘着性低減に適しているために好ましい。これらの樹脂の具体例とは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等の(メタ)アクリル系モノマーからなる単独又は共重合体であり、必要に応じてこれらと共重合可能な重合性二重結合を有するモノマー、すなわち例えばエチレン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、スチレン、α − メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N − シクロヘキシルマレイミド、N − エチルマレイミド、N − フェニルマレイミド等が共重合成分として添加された共重合体であっても良い。これらの各種のアクリル系樹脂の中でも、(メタ)アクリル酸メチルの単独重合体又は(メタ)アクリル酸メチルを主体とする共重合体が、透明性、耐候性および耐擦傷性に優れる点で好ましい。
また、前記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよく好ましい。本発明で使用する(メタ)アクリロイル基を含有するアクリル系樹脂は、特に限定はなく公知の方法で得たアクリル系樹脂を使用することができる。
具体的には例えば、予め前記共重合成分としてアクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体や、ジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有重合性単量体を配合し共重合させ、カルボキシル基やアミノ基を有する前記共重合体を得、次に該カルボキシル基やアミノ基と、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基及び(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法、予め前記共重合成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有単量体を配合し共重合させ、水酸基を有する前記共重合体を得、次に該水酸基と、イソシアネートエチルメタクリレートの等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法、重合の際にチオグリコール酸を連鎖移動剤として使用して共重合体末端にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基に、グリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法、重合開始剤として、アゾビスシアノペンタン酸の等のカルボキシル基含有アゾ開始剤を使用して共重合体にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法等が挙げられる。
中でも、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体あるいはジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基あるいはアミノ基とグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法、あるいは、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法が最も簡便であり好ましい。
前記熱可塑性樹脂を20〜80質量%使用することで、未硬化であっても常温下で層膜厚を維持でき、且つ、PVA基材フィルムに対し適度な密着性を維持しており、加熱・転写した際には基材フィルムと容易に剥離することができる。
中でも、特に、層膜厚の維持とPVA基材フィルムに対し適度な密着性と加熱・転写時の基体フィルムとの剥離性とに優れることから、重量平均分子量が150000以下の熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、重量平均分子量100000以下の熱可塑性樹脂を使用することがなお好ましい。重量平均分子量が150000以下である熱可塑性樹脂は、フィルム製造・保管時および熱転写時にかかる熱により転写層内を(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が流動する際に一緒に移動し、加飾層に浸透・透過することが確認されている。これにより、被接着基材との密着性を補助する効果もあると推定される。
また、熱可塑性樹脂が80質量%を超えると、PVA基材フィルムとの剥離が軽くなり、塗膜強度も高くなるため、トリミング性が悪化し、また活性エネルギー線硬化後の表面物性も低下する。また、熱可塑性樹脂が20質量%未満であると、PVA基材フィルムとの剥離が重くなり、塗膜強度が弱くなるため、剥離時に塗膜破壊が発生する場合がある。
前記範囲内であっても、熱可塑性樹脂が多くなると、PVA基材フィルムの剥離が軽くなり、トリミング性と表面物性が低下する傾向にある。一方、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が多くなると、PVA基材フィルムとの剥離が重くなり、箔切れ性と表面物性は向上するが、塗膜強度が弱くなることや、加熱時の(メタ)アクリロイル基の反応により、塗膜が脆くなる傾向にあり、剥離した基材フィルムに衝撃を与えると塗膜剥がれが発生する場合がある。このように、剥離した基材フィルムの塗膜剥がれが発生すると、周囲に散乱して生産性が著しく低下することになる。基材フィルムの剥離性、塗膜剥がれを含むトリミング性および得られる加飾品の表面物性を両立させるためには、熱可塑性樹脂として(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂を用いる方法が好ましい。(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂は、50〜80質量%の範囲であれば、前記トリミング性に優れるものが得られる。より好ましくは60〜80質量%の範囲が好ましい。
((メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物)
本発明で使用する数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート(以下、合わせてメチル(メタ)アクリレートのように表記する)、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン等の単官能モノマー、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能モノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の6官能モノマー等が挙げられる。また、トリブチレングリコールビス(マレイミド酢酸エステル)のようなマレイミド化合物を使用することもできる。また、活性エネルギー線硬化後に、転写面の表面硬度が優れることから、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーを用いることが好ましい。
また、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを使用しても好ましい。具体例としては、例えば、数平均分子量100〜1500の範囲でありウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートおよびエポキシ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
中でも、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類を主原料とするポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3−ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートから得られる脂肪族ポリイソシアネートであるアロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアヌレート型ポリイソシアネート等のイソシアネートと、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを反応させたものが挙げられ、いずれも好適に使用することができる。活性エネルギー線硬化後の転写面の表面硬度や耐候性に優れる点から、特に、イソホロンジイソシアネートや1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等の脂環式イソシアネートと、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を2種類以上混合して用いてもよく好ましい。ラジカル重合性樹脂組成物層のFT−IRを用いた全反射法(ATR)による160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率が、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が1種類のみの組成では5%未満、又は、30%を超えるものでも、2種類以上混合することにより、反応率を5〜30%に調整することができ、基材フィルムを容易に剥離でき、且つ、転写塗膜のトリミング性が良好となる。
また、前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリロイル基を含むアクリル樹脂である場合、前記(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物と組み合わせで、160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率を容易に調整することができ、基材フィルムを容易に剥離でき、且つ、転写塗膜のトリミング性が良好となることから更に好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は、数平均分子量100〜1500であり、且つ、常温で液体であることがより好ましい。熱可塑性樹脂と混合し、ラジカル重合性組成物層を形成すると塗工面にタック性を付与し、ラミネート時の一次密着性に寄与することができるうえ、フィルム製造・保管時および加熱時に転写層内部で流動し、PVA層と保護層との界面付近に移動することが確認されており、基材フィルムであるPVA層との界面では離型層として機能すると推定される。本発明においては、前記(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を全固形分量に対して10〜70質量%含有することで、該機能が有効に働くと推定される。また、前記(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は、加飾層に浸透・透過して、被転写基材と加飾層との界面付近にも存在することが確認されており、紫外線や電子線を照射することにより硬化させれば、被転写基材との密着性を向上させる効果もある。
(光重合開始剤)
本発明の熱転写フィルムを活性エネルギー線で硬化させる場合は、光重合開始剤を使用してもよく好ましい。光重合開始剤の例としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;ポリエーテル系マレイミドカルボン酸エステル化合物などが挙げられ、これらは併用して使用することもできる。光重合開始剤の使用量は用いる活性エネルギー線硬化性樹脂に対して、通常、0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜8質量%である。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミン類が挙げられる。さらに、ベンジルスルホニウム塩やベンジルピリジニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩は、光カチオン開始剤として知られており、これらの開始剤を用いることも可能であり、上記の光重合開始剤と併用することもできる。
前記ラジカル重合性樹脂組成物層は、FT−IRを用いた全反射法(ATR)による160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%となる。
ATR測定装置としては、(株)島津製作所社製の赤外分光光度計IR−Prestige21で、PIKE社製のMIRACLE ATR(ZnSeプリズム、1回反射45°)を用いた。また(メタ)アクリロイル基の反応率は、アルケンのC−H面内変角振動である1410cm−1付近のピークを、メチレン由来の1460cm−1付近のピークとの補正高さ比から算出した。尚、ラジカル重合性樹脂組成物の塗料をPETなどの基材フィルムにバーコーターで塗工し、60℃で30分間真空乾燥し、完全に溶剤を除去したものをラジカル重合性化合物の(メタ)アクリロイル基の反応率0%とした。
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層は、160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%となる。該範囲とすることで、フィルムを被転写基材に圧着した後、容易にPVA基材フィルムを剥離でき、且つ、転写塗膜のトリミング性が良好となる。反応率が5%未満であると、フィルムを被転写基材に圧着した後に基材フィルムを剥離する際の剥離強度が高く、保護層の破壊を生じる場合があるので好ましくなく、一方反応率が30%を超えると、基材フィルムの剥離強度が低すぎる為に、被転写基材端末における転写塗膜のトリミング性が悪化し、非転写部分の塗膜が残滓として加飾成形品に残る場合があるので好ましくない。具体的には、被転写基材へのフィルム圧着時、本発明の熱転写フィルムを保持した状態で、前記ラジカル重合性樹脂組成物層中に含まれる(メタ)アクリロイル基の反応率が5%〜30%の範囲となるように加熱した後、前記熱転写フィルムを真空成形法により被着体に貼り付けて一体化させ、基材フィルムを剥離することで、容易に基材フィルムを剥離でき、且つ、転写塗膜のトリミング性が良好となる。
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層の厚みとしては、被転写基材の表面保護および塗工性の観点から、1〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。
(加飾層)
加飾層には、汎用の印刷インキまたは塗料を使用することができ、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成することができる。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜10μmである。また絵柄のない着色層や、無色のワニス樹脂層についても塗工によって形成することができる。
また、印刷の場合の印刷柄は、版を起こせるあるいは印字できる模様や文字であればどのような印刷柄も可能である。またベタ版であってもよい。
印刷インキまたは塗料に使用する着色材としては、公知の有機顔料あるいは無機顔料を使用して印刷することができ好ましい。
前記有機顔料としては、たとえば、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾレーキ顔料系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等が挙げられる。
また、無機顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄系、酸化チタン系等の無機顔料、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料等が挙げられる。
前記インキに含有されるワニス用樹脂は、特に限定はないが、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、塩素化オレフィン樹脂系、エチレン−アクリル樹脂系、石油樹脂系、セルロース誘導体樹脂系などの公知のインキを用いることができる。
また、インキに含有される有機溶剤としては、後述の剥離性フィルムを侵すものでなければ特に制限なく使用でき、具体例として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはミネラルスピリット等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートもしくは酢酸アミル等のエステル系有機溶剤、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルもしくはジエチレングリコール等のエーテル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミノケトン、ジイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、N−メチルピロリドン等の含窒素系、「スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500」〔コスモ石油(株)製〕等の芳香族石油溶剤系を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
印刷インキ又は塗料には、基材樹脂と着色剤のほか、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、溶媒などを含有させてよい。
(熱転写フィルムの製造方法)
本発明の熱転写フィルムは、ドライラミネーション(乾式積層法)により、前記ラジカル重合性樹脂組成物層を設けた支持体フィルムと、前記加飾層を設けた任意の剥離性フィルムとを、前記重合性樹脂層と前記加飾層とが相対するように重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせる方法が最も好ましい。
基材フィルムの主原料であるPVAは耐熱性が低く、130℃を超える温度条件下では、フィルムの収縮やラミ皺が入りやすくなる問題が生じ易いことから、乾燥、加熱加圧による貼り合わせは、30〜120℃、より好ましくは、40〜100℃の温度範囲で行うことが好ましい。
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を一定量含有するため、前記手法で熱転写フィルムを作製した直後から、転写層内部で(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物の流動再配置が発生する。具体的には、前記(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が、PVA樹脂基材との界面および加飾層を透過して加飾層表面に移動することが確認されている。この流動再配置を効果的に促進するために、ドライラミネーションで貼り合わせた熱転写フィルムを加熱エージング処理して養生することが効果的であり、具体的には30〜60℃で24時間以上養生することが好ましい。
前記PVA基材フィルム上に前記ラジカル重合性樹脂組成物層を設ける方法、あるいは、任意の剥離性フィルム上に前記加飾層を設ける方法としては特に限定はなく、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の各種印刷方法や、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ロッドコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種公知の塗工方法を適宜用いることができる。
前記任意の剥離性フィルムは、加飾層を設けることが可能であり、ドライラミネーションにより熱変質等を生じることがなく、一方熱転写加工前には良好に加飾層から剥離可能なフィルムであれば特に限定はない。具体的には例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(いわゆるアイオノマー樹脂)等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル− 酢酸ビニル共重合体等のポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン− テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、あるいは該フィルムをプラズマ照射や、フッ素系化合物やシリコーン系化合物等の剥離剤で表面処理したものが挙げられる。
剥離性フィルム上での加飾層の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などにより行うことができ、高画質画像を得やすいため、グラビア印刷が好ましい。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜10μmである。
転写前には良好に加飾層から前記剥離性フィルムを剥離させるために、加飾層と剥離性フィルムとの最大剥離力を測定し、加飾層に用いる印刷インキまたは塗料の組成を調整するか、剥離性フィルムの素材樹脂を選択するか、あるいは剥離性フィルムの表面を剥離剤で処理することは好ましい。剥離力は、加飾層と剥離性フィルムとの最大剥離力が5.8mN/24mm以上40mN/24mm以下、より好ましくは7.5mN/24mm以上30mN/24mm以下に調整することが好ましい。
(熱転写フィルム 膜厚)
本願の熱転写フィルムの全体の膜厚は、熱転写方法によるため特に制限されないが、被転写基材への形状追随性の観点から20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
(接着剤層)
その他、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の層を更に積層させることもできる。例えば、加飾層の、被転写基材と接する面に、接着層や粘着層を設けることは好ましい。接着層や粘着層は、被着体と接着力を高める目的で付与する層であり、接着剤でも粘着剤でも構わなく、被転写基材と接着する材質のものを適宜選択することが可能である。
また、本発明の熱転写フィルムにおいて、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は加飾層との界面にも移動し、更に加飾層の被転写基材との接面付近に移動するので、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が基材との接着剤としての役割を果たす効果が得られるが、この効果を最大限生かすためには、接着層や粘着層は、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物の相溶性あるいは透過性に優れるものが好ましい。これらは、樹脂組成や膜厚で適宜コントロールすることが可能である。
接着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム等の合成ゴムなどがあげられ、溶剤型又は無溶剤型のものが使用出来る。
また、粘着剤としては、熱成形する温度でタック性を有するものであれば良く、例えば、アクリル樹脂、イソブチレンゴム樹脂、スチレン−ブタジエンゴム樹脂、イソプレンゴム樹脂、天然ゴム樹脂、シリコーン樹脂などの溶剤型粘着剤や、アクリルエマルジョン樹脂、スチレンブタジエンラテックス樹脂、天然ゴムラテックス樹脂、スチレン−イソプレン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテルなどの無溶剤型粘着剤などがあげられる。
本発明の熱転写フィルムに前記接着層や粘着層を設ける場合は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層を設けたPVA樹脂を主体成分とする基材フィルムと、剥離性フィルム上に、接着層や粘着層と加飾層とをこの順に設けたフィルムとを、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と前記加飾層とが相対するように重ねてドライラミネーションにより貼り合わせる方法等で得ることができる。
(熱転写方法)
本発明の熱転写フィルムは、公知の転写方法に使用することができる。具体的には、必要に応じ予備成形した熱転写フィルムを、雌型の表面に設置し、両型を閉じ、射出孔から両型間のキャビティ(成形窩洞)内に熔融樹脂を射出し、射出樹脂を冷却固化させた後、両型を開き、成形品とこれに密着した熱転写フィルムとを型から取出し、基体フィルムのみを剥離して、被転写基材上に転写層が転写形成された加飾品を得る、射出成形同時転写法や、成形された被転写基材の上方に熱転写フィルムを、転写層が被転写基材側に向くよう載置しフィルムを軟化温度以上に加熱した後、真空下で、金型を用いずに被転写基材を用いて成形すると同時に、直接被転写基材に貼り付ける、真空成形同時転写法等や、ラッピング同時転写法等の、熱転写時に転写フィルムに伸び、変形が加わる立体形状への成形転写方法に特に好適に本発明の熱転写フィルムを使用することができる。また、ホットスタンプ等、転写フィルムに伸び、変形の加わらない転写法に本発明の熱転写フィルムを用いてもよい。
中でも、真空成形同時転写法が好ましい。具体的には、前記熱転写フィルムを、保持した状態で、前記ラジカル重合性樹脂組成物層中に含まれる(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%となるように加熱した後、前記熱転写フィルムを真空成形法により被着体に貼り付けて一体化させることで、基材フィルムを綺麗に剥離でき、加飾品を得ることができる。
多くの場合、真空成形法、圧空真空成形法等に用いる既存の熱成形機には、加熱手段として赤外線照射装置が設置あるいは外付けできるようになっているので、これを利用してもよい。赤外線照射装置は熱発生物質のみが吸収可能な波長を照射する必要があるため、中赤外から近赤外の領域に強い波長ピークをもつハロゲンヒーター、短波長ヒーター、カーボンヒーター、中赤外線ヒーター等を使用することが好ましい。これら赤外線照射装置のメイン波長のピークは1.0〜3.5μm内にあることが好ましい。これら赤外線照射装置を用いた場合、本発明の熱転写フィルムを110〜190℃とすると、前記ラジカル重合性樹脂組成物層中に含まれる(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%となり、基材フィルムを容易に剥離でき、且つ、転写塗膜のトリミング性が良好となる。更に、加飾品の外観が良好となることから、熱転写フィルムを130〜180℃に加熱することがより好ましい。
また、赤外線照射装置を用いてPVA基材フィルム側から間接加熱した場合、加飾層の色調や使用する顔料によっても、前記ラジカル重合性樹脂組成物中に含まれる(メタ)アクリロイル基の反応率が変化する。例えば、アルミニウム顔料を用いた金属調意匠は、通常の木目柄などと比較して反応率が低くなる傾向があり、加飾層の意匠性に応じて、ラジカル重合性樹脂組成物の組成比率や、熱転写時の加熱温度などを(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%となるよう適宜調整する必要がある。
(活性エネルギー線照射)
本発明の熱転写フィルムを転写した加飾品のラジカル重合性樹脂組成物層を、活性エネルギー線等で硬化させる。活性エネルギー線は、通常は可視光や紫外線を使用するのが好ましい。特に紫外線が好適である。紫外線源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。また、熱を併用する場合の加熱源としては、熱風、近赤外線など公知の熱源が適用可能である。
この時の照射量としては、硬化性樹脂層が完全に硬化するような照射量であることが好ましく、具体的には250mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲が好ましい。特に、加飾層との界面に移動した(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を充分に硬化させ、被転写基材との密着性を向上させるために、1000mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲がより好ましい。
(被転写基材)
本発明の熱転写フィルムが転写できる被転写基材は特に特に限定されず、樹脂、金属、ガラス、木、紙などの各種形状物を用いることができ、前記形状物は、塗装、メッキ、スクラッチ等の常用加飾法により加飾されていてもよい。
また、被転写基材の被着面の材質と、本発明の熱転写フィルムに使用する熱可塑性樹脂やインキバインダーとの材質とが熱接着あるいは熱融着可能な材質同士であると、より密着性に優れ好ましい。例えば被転写基材の被着面の材質がアクリル系樹脂やスチレン系の樹脂である場合には、熱転写フィルムに使用する熱可塑性樹脂の材質はアクリル系樹脂が好ましい。
以下、本発明を実施例により説明する。特に断わりのない限り「部」、「%」は質量基準である。
(熱可塑性樹脂Pの製造)
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、メチルエチルケトンの666部を仕込んで90℃に昇温し、同温度に達したところで、 メタクリル酸メチル320部、アクリル酸ブチル280部、メタクリル酸400部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の15部からなる混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後も、同温度に10時間保持して反応を続行した。
反応液の温度を50℃に下げ、t−ブチルピロカテコールの0.8部をメチルエチルケトンの20部に溶解した溶液を加え、さらにメタクリル酸グリシジル666部、ジメチルアミノエタノールの60部を加えた後に、80℃まで昇温し、同温度で10時間反応を行う事でTg50℃、アクリル当量300g/eq、質量平均分子量60000の熱可塑性樹脂Pの溶液を得た。
(製造例1)ラジカル重合性樹脂組成物A1の製造
数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物として、「アロニックスM−305」(商品名、東亞合成社製、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、数平均分子量約300)12部と、5〜6官能ウレタンアクリレート(DIC社製、商品名「ユニディック17−813」、数平均分子量約800)48部と、熱可塑性樹脂として「パラロイドA−11」(商品名、ロームアンドハース社製、アクリル樹脂、Tg=100℃、重量平均分子量125,000)40部をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解した後、光重合開始剤としてBASFジャパン製「イルガキュア184」3部(不揮発分比)と「イルガキュア819」1部(不揮発分比)を溶解することにより、ラジカル重合性樹脂組成物A1の塗料を製造した。
(製造例2)ラジカル重合性樹脂組成物A2の製造
熱可塑性樹脂として、「パラロイドA−11」20部と、「パラロイドB−60」(商品名、ロームアンドハース社製、アクリル系樹脂、Tg=75℃、重量平均分子量50,000)20部を用いた他は、製造例1と同様にして、ラジカル重合性樹脂組成物A2の塗料を製造した。
(製造例3)ラジカル重合性樹脂組成物A3の製造
熱可塑性樹脂として、「パラロイドA−11」20部と、アクリルスチレン樹脂「アクリット7QX−154」(商品名、大成ファインケミカル社製、Tg=85℃、重量平均分子量16,000)20部を用いた他は、製造例1と同様にして、ラジカル重合性樹脂組成物A3の塗料を製造した。
(製造例4)ラジカル重合性樹脂組成物A4の製造
熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Pを樹脂固形分量に換算して40部を用いた他は、製造例1と同様にして、ラジカル重合性樹脂組成物A4の塗料を製造した。
(製造例5)ラジカル重合性樹脂組成物A5の製造
数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物として、「アロニックスM−305」10部と、「ユニディック17−813」22部と、熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂Pを樹脂固形分量に換算して68部を用いた他は、製造例1と同様にして、ラジカル重合性樹脂組成物A5の塗料を製造した。
(製造例6)ラジカル重合性樹脂組成物A6の製造
数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物として、「アロニックスM−240」(商品名、東亞合成社製、ポリエチレングリコールジアクリレート、数平均分子量約300)10部と、「ユニディック17−813」22部と、熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂Pを樹脂固形分量に換算して68部を用いた他は、製造例1と同様にして、ラジカル重合性樹脂組成物A6の塗料を製造した。
(加飾層を設けた基材フィルムB1の製造)
基材フィルムとして、東洋紡社製の厚さ50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと略す)を用い、該フィルムにウレタン系インキ(DIC社製、商品名:AF−Dシリーズ)をグラビア4色印刷機にて厚さ3μmの木目柄を印刷して、加飾層を設けた基材フィルムB1を製造した。
(加飾層を設けた基材フィルムB2の製造)
加飾層として、ウレタン系インキ(DIC社製、商品名:AF−Dシリーズ)をグラビア4色印刷機にて厚さ3μmの金属調柄(シルバー)を印刷した他は、加飾層を設けた基材フィルムB1と同様にして、加飾層を設けた基材フィルムB2を製造した。
以下に、本発明の熱転写フィルムとそれを転写して得た加飾品の製造方法及び評価結果を示す。なお評価は、基材フィルム剥離性、端面密着性、箔切れ性、加飾品外観、加飾部の密着性、加飾部の鉛筆硬度について行った。3段階評価(○、△、×)のものは○を合格であると判定した。
(160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率測定)
ATR測定装置としては、(株)島津製作所社製の赤外分光光度計IR−Prestige21で、PIKE社製のMIRACLE ATR(ZnSeプリズム、1回反射45°)を用いた。また(メタ)アクリロイル基の反応率は、アルケンのC−H面内変角振動である1410cm−1付近のピークを、メチレン由来の1460cm−1付近のピークとの比から算出した。尚、ラジカル重合性樹脂組成物の塗料をPETなどの基材フィルムにバーコーターで塗工し、60℃で30分間乾燥し、完全に溶剤を除去したものをラジカル重合性化合物の(メタ)アクリロイル基の反応率0%とし、熱風乾燥機にて160℃×10分の加熱処理後のラジカル重合成樹脂組成物層の(メタ)アクリロイル基の反応率を測定した。
(基材フィルム剥離性)
熱転写フィルムが転写された加飾品が常温になるまで5分間程度放置した後、基材フィルムを剥離し、以下の基準で基材フィルム剥離性を評価した。
○:基材フィルムが容易に剥離できる。
△:基材フィルムを剥離できるが抵抗があり、保護層表面に剥離痕が残る。
×:基材フィルムの剥離強度が高く剥離し難く、転写層の破壊が生じる、または、基材フィルムを剥離できない。
(端面密着性)
熱転写フィルムが転写された加飾品から基材フィルムを剥離した際の転写部分の端面密着性について、以下の基準で評価した。
○:転写部分の末端まで強く密着しており、末端部の剥がれがない。
△:転写部分の末端の密着性が弱く、基材フィルムを剥離した際に転写部分の末端部に浮きが生じる。
×:基材フィルムを剥離した際に、転写部分の末端部にて剥がれが生じている。
(トリミング性)
熱転写フィルムが転写された加飾品から基材フィルムを剥離する際の転写塗膜のトリミング性について、以下の基準で評価した。
○:加飾成形品端末において、非転写部分の塗膜が全く残っておらず、綺麗にトリミングされている。
△:加飾成形品端末において、非転写部分の塗膜が僅かに残滓として残り、綺麗にトリミングされていない。
×:加飾成形品端末において、非転写部分の塗膜が残滓として残り、また、剥離した基材フィルムからも塗膜が剥がれ、脱落する。
また、箔切れ性が○で、且つ、剥離した基材フィルムの塗膜面を手でこすっても塗膜剥がれが生じなかった場合を◎とした。
(加飾品外観)
熱転写フィルムが転写された加飾品の外観について以下の基準で評価した。
○:加飾成形品において、印刷した絵柄が鮮明に再現されている。
△:加飾成形品において、僅かにシワ、割れ等が発生し、印刷した絵柄が鮮明に再現されていない。
×:加飾成形品において、シワ、割れ等が発生し、印刷した絵柄が全く再現されていない。
(成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率測定)
熱転写フィルムが転写された加飾品から基材フィルムを剥離した後、加飾成形品表面のラジカル重合成樹脂組成物層を、160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率測定と同様に、FT−IRを用いた全反射法(ATR)によって(メタ)アクリロイル基の反応率を測定した。
(加飾品の転写層密着性)
熱転写フィルムが転写された加飾品から基材フィルムを剥離した後、1200mJ/cmの照射量でUV照射を行い、ラジカル重合性樹脂組成物層を完全に硬化させた。その後、該転写層の密着性をクロスカット法(JIS K5600−5−6)に準じて評価した。
○:塗膜状態に変化がない。
△:転写層内部の凝集破壊により、塗膜の一部が剥離する。
×:転写層が被転写基材から完全に剥離する。
(加飾品の鉛筆硬度評価)
熱転写フィルムが転写された加飾品から基材フィルムを剥離した後、1200mJ/cmの照射量でUV照射を行い、ラジカル重合性樹脂組成物層を完全に硬化させた。得られた転写層の表面硬度を鉛筆硬度法(JIS K5600−5−4、加重750g)に準じて評価した。
(実施例1)
(熱転写フィルムD1の製造)
フィルム基材として日本合成化学社製のPVA樹脂フィルム(膜厚30μm)の光沢面に、製造例1で得たラジカル重合性樹脂組成物A1の塗料をアプリケーターで固形分膜厚30μmになるように塗工し、次いで60℃で5分間乾燥して、ラジカル重合性樹脂組成物塗工フィルムC1を製造した。このフィルムC1のラジカル重合性樹脂組成物塗工面側と、加飾層を設けた基材フィルムB1の印刷面側とが相対するように、加熱ロール温度60℃でラミネートし(ニップ圧力0.2MPa、ロール速度1.2m/分)、ロール状に巻き取って後に、40℃で24時間エージング処理して熱転写フィルムD1を製造した。
(加飾品E1の製造)
前記熱転写フィルムD1のOPPフィルムを剥離し、加飾層側が被転写基材の加飾されるべき面側となるように、布施真空株式会社製の両面真空成形機「FVF−0709」にセットした。ABS樹脂製の被転写基材を用いて、加熱温度160℃で、前記の熱転写フィルムD1と被転写体を真空成形同時貼り付けし、加飾品E1を得た。前記のABS樹脂製の被転写基材では、熱転写フィルムの延伸倍率が110〜230%となり、端面密着性は延伸倍率が約200%の部位、転写層密着性および鉛筆硬度は延伸倍率約120%の部位で評価を行った。
加飾品E1についての評価結果を表1に示す。基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が○、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度が2Hであり優れた表面硬度を有していることが解った。また、ラジカル重合性樹脂組成物層A1の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は20%、加飾品E1の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は22%であった。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA2を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E2を得た。この加飾品E2について、実施例1と同様に評価した結果、基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が○、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度が2Hであり優れた表面硬度を有していることが解った。ラジカル重合性樹脂組成物層A2の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は22%、加飾品E2の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は24%であった。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA3を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E3を得た。この加飾品E3について、実施例1と同様に評価した結果、基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が△、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度がHであり優れた表面硬度を有していることが解った。ラジカル重合性樹脂組成物層A3の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は28%、加飾品E3の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は34%であった。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA3、加飾層を設けた基材フィルムとしてB2を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E4を得た。この加飾品E4について、実施例1と同様に評価した結果、基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が○、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度がHであり優れた表面硬度を有していることが解った。ラジカル重合性樹脂組成物層A3の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は28%、加飾品E4の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は24%であった。この結果より、実施例3との比較で、加飾層を木目柄から金属調柄にすることにより、加飾品E4の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%の範囲内となり、トリミング性が向上していることが判る。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
ラジカル重合性樹脂組成物層としてA4を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E5を得た。この加飾品E5について、実施例1と同様に評価した結果、基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が○、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度が2Hであり優れた表面硬度を有していることが解った。ラジカル重合性樹脂組成物層A4の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は17%、加飾品E5の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は19%であった。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA5を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E6を得た。この加飾品E6について、実施例1と同様に評価した結果、基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が◎、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度が2Hであり優れた表面硬度を有していることが解った。ラジカル重合性樹脂組成物層A5の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は9%、加飾品E6の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は12%であった。この結果より、実施例5との比較で、熱可塑性樹脂として、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂である熱可塑性樹脂Pを高濃度で用いることによりトリミング性が向上することが判る。評価結果を表2に示す。
(実施例7)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA5、加飾層を設けた基材フィルムとしてB2を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E7を得た。この加飾品E7について、実施例1と同様に評価した結果、基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が◎、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度が2Hであり優れた表面硬度を有していることが解った。ラジカル重合性樹脂組成物層A5の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は9%、加飾品E7の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は8%であった評価結果を表2に示す。
(実施例8)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA6を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E8を得た。この加飾品E8について、実施例1と同様に評価した結果、基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が◎、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度が2Hであり優れた表面硬度を有していることが解った。ラジカル重合性樹脂組成物層A6の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は19%、加飾品E6の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は23%であった。評価結果を表2に示す。
(実施例9)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA6、加飾層を設けた基材フィルムとしてB2を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E9を得た。この加飾品E9について、実施例1と同様に評価した結果、基材フィルム剥離性が○、端面密着性が○、トリミング性が◎、加飾品外観が○、転写層密着性が○、鉛筆硬度が2Hであり優れた表面硬度を有していることが解った。ラジカル重合性樹脂組成物層A6の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は19%、加飾品E9の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は18%であった。評価結果を表2に示す。
Figure 0005521948
M−305:アロニックスM−305の略である。
17−813 ユニディック17−813の略である。
A11:パラロイドA11の略である。
Figure 0005521948

M−305:アロニックスM−305の略である。
17−813 ユニディック17−813の略である。
A11:パラロイドA11の略である。
(製造例7)比較例用ラジカル重合性樹脂組成物A7の製造
数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である「アロニックスM−305」をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解した後、光重合開始剤として「イルガキュア184」3部(不揮発分比)と「イルガキュア819」1部(不揮発分比)を溶解することによりラジカル重合性樹脂組成物A7の塗料を製造した。
(製造例8)比較例用ラジカル重合性樹脂組成物A8の製造
数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である「ユニディック17−813」をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解した後、光重合開始剤として「イルガキュア184」3部(不揮発分比)と「イルガキュア819」1部(不揮発分比)を溶解することによりラジカル重合性樹脂組成物A8の塗料を製造した。
(製造例9)比較例用ラジカル重合性樹脂組成物A9の製造
数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である「アロニックスM−305」50部と「ユニディック17−813」50部をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解した後、光重合開始剤として「イルガキュア184」3部(不揮発分比)と「イルガキュア819」1部(不揮発分比)を溶解することによりラジカル重合性樹脂組成物A9の塗料を製造した。
(製造例10)比較例用ラジカル重合性樹脂組成物A10の製造
数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である「ユニディック17−813」60部と、熱可塑性樹脂である「パラロイドA−11」40部をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解した後、光重合開始剤として「イルガキュア184」3部(不揮発分比)と「イルガキュア819」1部(不揮発分比)を溶解することによりラジカル重合性樹脂組成物A10の塗料を製造した。
(製造例11)比較例用樹脂組成物A11の製造
熱可塑性樹脂である「パラロイドA−11」100部をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解することにより比較用樹脂組成物A11の塗料を製造した。
(比較例1 基材フィルムがPVAではない例)
基材フィルムとして東洋紡社製の易成形性PETフィルム「A1532」(商品名、膜厚125μm)(以下、PETフィルムと略す)を用いた他は、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムHD1および加飾品HE1を得た。次に、基材フィルムであるPETフィルムの剥離を試みたが、剥離強度が著しく高く、転写層の破壊を生じた為、剥離不可能であると判断した。ラジカル重合性樹脂組成物層A1の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は20%であったが、加飾品HE1の成形後の反応率は測定不可能であった。この結果から、基材フィルムとしてPVAが好ましいことが判る。評価結果を表3に示す。
(比較例2 (メタ)アクリロイル基の反応率が範囲外、且つ、熱可塑性樹脂を含まない例1)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA7を用いた他は、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムHD2の作製を試みたが、モノマー成分のみの組成の為ラジカル重合性樹脂組成物A7が柔軟すぎて印刷層の積層ができなかった。ラジカル重合性樹脂組成物層A7の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は35%であった。積層ができない為、熱転写フィルムHD2、及び、加飾品HE2は得られず、加飾品HE2の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は測定ができなかった。評価結果を表3に示す。
(比較例3 (メタ)アクリロイル基の反応率が範囲外、且つ、熱可塑性樹脂を含まない例2)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA8を用いた他は、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムHD3を得た。ラジカル重合性樹脂転写層の硬化が促進しすぎた為、成形に必要なフィルム柔軟性が得られず、転写層全体の破壊が生じた。ラジカル重合性樹脂組成物層A8の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は38%であった。加飾品HE3の一部転写できた部分のラジカル重合性樹脂組成物の(メタ)アクリロイル基の反応率を測定したところ44%であった。評価結果を表3に示す。
(比較例4 熱可塑性樹脂を含まない例)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA9を用いた他は、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムHD4および加飾品HE4を得た。加飾品HE4からPVAフィルムは容易に剥離でき、1200mJ/cmの照射量でUV照射を行った後の密着性は良好で、鉛筆硬度は2Hであった。ラジカル重合性樹脂組成物層A9の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は19%、加飾品HE4の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は25%であった。しかし、端面密着性が不十分であり、且つ、加飾成形品の端末における転写塗膜の箔切れ性が悪く非転写部分の塗膜が残滓として残り、更に、加飾層に割れが生じ、印刷した絵柄が全く再現されていなかった。この結果より、熱可塑性樹脂は必須成分であることが分かる。評価結果を表3に示す。
(比較例5 (メタ)アクリロイル基の反応率が範囲外である例)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA10を用いた他は、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムHD5および加飾品HE5を得た。ラジカル重合性樹脂組成物層A10の160℃×10分加熱後の(メタ)アクリロイル基の反応率は33%、加飾品HE5の成形後の(メタ)アクリロイル基の反応率は40%であった。加飾品HE5からPVAフィルムは容易に剥離できたが、印刷層の割れが生じ、外観不良の加飾品となった。さらに、端面密着性が悪く、PVAフィルム剥離時に転写部分の末端が剥がれてしまった。1200mJ/cmの照射量でUV照射を行った後密着性を評価した結果、転写層の一部が被転写基材から剥離した。転写層の密着性が不充分であるために転写層が破れ、鉛筆硬度の判定はBであった。この結果から、ラジカル重合性樹脂組成物の反応率を5〜30%にする必要があることが分かる。評価結果を表3に示す。
(比較例6 数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を含まない例)
ラジカル重合性樹脂組成物の代わりに比較用樹脂組成物A11を用いた他は、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムHD6および加飾品HE6を得た。加飾品HE6からPVAフィルムは容易に剥離でき、外観良好な加飾品が得られたが、端面密着性が悪く、PVAフィルム剥離時に転写部分の末端が剥がれてしまい、且つ、加飾成形品端末において、非転写部分の塗膜が残滓として残り、大部分が綺麗にトリミングされず、また、塗膜が剥離したPVAフィルムからも剥がれ、脱落した。さらに、転写層密着性を評価した結果、被転写基材と転写層の界面での剥離はみられなかったが、転写層の破壊(保護層内での凝集破壊、及び、保護層と加飾層との間の剥離)が生じたので、△と判定した。また、鉛筆硬度も2Bであり、表面硬度が不十分であることが解った。この結果から数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が必須成分であることが分かる。評価結果を表3に示す。
Figure 0005521948

M−305:アロニックスM−305の略である。
17−813 ユニディック17−813の略である。
A11:パラロイドA11の略である。
(参考例)
本発明の熱転写フィルムの、ラジカル重合性組成物層のラジカル反応性希釈剤の分布を分析した。
代表例として、本願実施例1で得た熱転写フィルムD1を140℃×5分、160℃×5分、180℃×5分加熱後、PVAフィルムを剥がし、剥がしたPVAフィルムをアセトンに浸積し、日本電子社製ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー装置「JMS−K9」を使用し、GC/MS分析を行った。測定条件としては、カラム:DB−5MS、カラム温度:40℃(3min)−15℃/min−300℃、インジェクション温度:300℃、キャリアガス流量:1.0ml/min、イオン化:EIである。
その結果、ラジカル重合性樹脂組成物A1の組成はアロニックスM−305/ユニディック17−813/パラロイドA11=12/48/40であるにも関わらず、ペンタエリスリトールトリアクリレート由来のピーク面積が他のピーク面積の3〜6倍と見積もられ、他のピークはユニディック17−813、パラロイドA11中に含まれる低分子量不純物及び重合開始剤であると同定された。ペンタエリスリトールトリアクリレート由来のピーク比は加熱温度が高くなるほど大きくなった。従って、熱転写によりラジカル反応性希釈剤であるペンタエリスリトールトリアクリレートは加熱時に転写層内部で流動し、ポリビニルアルコール層と保護層との界面付近に移動することが確認できる。

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール樹脂を主成分とする基材フィルム上に、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層した転写層を有する熱転写フィルムであって、前記ラジカル重合性樹脂組成物層が、全固形分量に対して熱可塑性樹脂を20〜80質量%、数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を10〜70質量%含有し、且つ、前記ラジカル重合性樹脂組成物層のFT−IRを用いた全反射法(ATR)による160℃×10分加熱後のアクリロイル基の反応率が5〜30%であることを特徴とする熱転写フィルム。
  2. 前記熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂であり、且つ、前記(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物が1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である請求項1記載の熱転写フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂である請求項2記載の熱転写フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写フィルムの製造方法であって、ラジカル重合性樹脂組成物層を設けたポリビニルアルコール樹脂を主成分とする基材フィルムと、加飾層を設けた基材フィルムとを、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とが接するようにラミネートした後エージングすることを特徴とする熱転写フィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写フィルムを、保持した状態で、前記ラジカル重合性樹脂組成物層中に含まれる(メタ)アクリロイル基の反応率が5〜30%の範囲となるように加熱した後、前記熱転写フィルムを真空成形法により被転写基材に貼り付けて一体化させ、基材フィルムを剥離することを特徴とする、加飾品の製造方法。
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