JP2014172278A - 熱転写用フィルム、その製造方法、及びそれを使用した加飾品の製造方法 - Google Patents

熱転写用フィルム、その製造方法、及びそれを使用した加飾品の製造方法 Download PDF

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友一 竹内
Satoru Oya
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Abstract

【課題】 低分子量重合性化合物層が、転写層と被転写基材との界面に存在する熱転写フィルムであって、特に被転写基材との密着性と耐アルコール性を両立する熱転写フィルムを提供する。
【解決手段】 保持層上に、低分子量重合性化合物層、加飾層、アンカー層、ラジカル重合性樹脂組成物層、及び剥離フィルムをこの順で積層した熱転写フィルムであって、前記低分子量重合性化合物層が数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物を含むことを特徴とする熱転写フィルム、熱転写フィルムの製造方法、及び加飾品の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材、等の各種の被転写基材の表面に、少なくとも保護層を含む転写層を転写形成するための転写フィルムに関する。
従来、物品の装飾方法として、合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材、等の各種の被転写基材の表面に、乾式工法により簡便に保護層等を形成可能な、転写フィルムを用いた転写法が利用されている。この転写法とは、紙や熱可塑性樹脂フィルム等からなる剥離フィルム上に、硬度や耐溶剤性等の表面物性に優れた樹脂組成物からなる保護層を剥離可能な状態に設け、更に必要に応じて絵柄層、接着層等(以後これらを前記保護層と合わせて転写層という)を設けて転写フィルムを作製し、この転写フィルムの転写層面を基材(被転写基材)の表面に圧着して転写層を被転写基材と接着させた後、転写層と剥離フィルムとの界面で剥離して剥離フィルムを除去することにより、被転写基材上に転写層が転写形成された目的の加飾品等を製造する方法である。
上記保護層としては、転写後の製品の表面に、例えば表面硬度、耐磨耗性、耐擦傷性、耐溶剤性、耐薬品性等の優れた表面物性を付与するために、熱硬化型樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が用いられるのが一般的であり、具体的には、ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応生成物である2液硬化型ポリウレタン系樹脂や、分子中にラジカル重合性二重結合を有する電離放射線硬化型アクリレート系樹脂を用いたものなどが、既に各種用いられている。(例えば特許文献1参照)
本出願人らは、特許文献2の技術、即ち、剥離フィルムとしてポリビニルアルコール(以下、PVA)樹脂フィルムを用い、活性エネルギー線硬化性樹脂層として、全固形分量に対して熱可塑性樹脂を20〜80質量%、数平均分子量100〜1500のアクリロイル基、又はメタクリロイル基(以下、合わせて(メタ)アクリロイル基のように表記する)を有する重合性化合物を10〜70質量%含有し、且つ、前記ラジカル重合性樹脂組成物層のFT−IRを用いた全反射法(ATR)による160℃×10分加熱後のアクリロイル基の反応率が5〜30%であり、ラジカル重合性樹脂組成物層を設けたPVA樹脂を主成分とする剥離フィルムと、加飾層を設けた剥離フィルムとを、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とが接するようにラミネートした後エージングして得た熱転写フィルムが、加熱により容易に剥離フィルムを剥離でき、且つ、剥離時の転写塗膜のトリミング性が良好であり、更に、得られる保護層の表面物性に優れる熱転写フィルムを提供できることを見出している。
また、本出願人らは、前記の保護層の組成とすることで、数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有する低分子量重合性化合物が、熱転写フィルムを作製した直後から転写層内を流動(以下、流動再配置と称する)して隣接する加飾層へ染み出し(以下、ブリードと称する)、転写層と被転写基材の界面に存在すること、更に、前記界面にブリードした低分子量重合性化合物を活性エネルギー線照射によって硬化させることで、転写層と被転写基材層との密着性を向上させる効果があることを見出した。
しかしながら、転写層と被転写基材層との界面付近に存在する低分子量重合性化合物は、加飾層によって遮蔽を受ける為に活性エネルギー線照射による硬化反応が進行しにくく、未反応状態で残存した該化合物は、特にエタノール浸漬などの耐アルコール性試験によって膨潤し、密着性を低下させてしまうことがある。
特開平7−314995号公報 特開2012−71456号公報
本発明が解決しようとする課題は、低分子量重合性化合物層が、転写層と被転写基材との界面に存在する熱転写フィルムであって、特に被転写基材との密着性と耐アルコール性を両立する熱転写フィルムを提供することにある。
本発明者らは、低分子量重合性化合物の硬化反応による転写層と被転写基材との密着性向上効果を最大限に活用するために、流動再配置しやすい低分子量重合性化合物の分子量を特定し、更に加飾層と保護層との層間にアンカー層を導入することで、該化合物の過剰なブリードを抑制することができ、硬化後には被転写基材との密着性と耐アルコール性を両立できることを見出した。
即ち本発明は、保持層上に、低分子量重合性化合物層、加飾層、アンカー層、ラジカル重合性樹脂組成物層、及び剥離フィルムをこの順で積層した熱転写フィルムであって、前記低分子量重合性化合物層が数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物を含む熱転写フィルムを提供する。
また本発明は、前記熱転写フィルムを、積層した後にエージングする熱転写フィルムの製造方法を提供する。
また本発明は、前記記載の熱転写フィルムを、真空成形法により被転写基材に貼り付けて一体化させた後に剥離フィルムを剥離し、活性エネルギー線照射により硬化させる加飾品の製造方法を提供する。
本発明により、特に被転写基材との密着性と耐アルコール性を両立する熱転写フィルムを提供できる。
(保持層)
保持層は、低分子量重合性化合物層や加飾層といった転写層を設けることが可能であり、塗工、乾燥や、ドライラミネーションにより熱変質等を生じることがなく、一方、熱転写加工前には良好に低分子量重合性化合物層から剥離可能なフィルムであれば特に限定はない。具体的には例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(いわゆるアイオノマー樹脂)等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル− 酢酸ビニル共重合体等のポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン− テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、あるいは該フィルムをプラズマ照射や、フッ素系化合物やシリコーン系化合物等の剥離剤で表面処理したものが挙げられる。
被転写基材への転写加工前に、良好に低分子量重合性化合物層から保持層を剥離させるために、低分子量重合性化合物層と保持層との最大剥離力を測定し、低分子量重合性化合物層の塗料の組成を調整するか、保持層に用いる剥離性フィルムの素材樹脂を選択するか、あるいは保持層に用いる剥離性フィルムの表面を剥離剤で処理することは好ましい。低分子量重合性化合物層と保持層との剥離力は、剥離フィルムと転写層との剥離力よりも低ければ特に限定はしないが、最大剥離力が5.8mN/24mm以上40mN/24mm以下、より好ましくは7.5mN/24mm以上30mN/24mm以下に調整することが作業性の点から好ましい。
また保持層の膜厚は特に限定はないが、印刷適性、塗工適性が良好なことから、膜厚は10〜200μm程度が好ましい。より好ましくは20〜100μmである。
(転写層)
本発明の熱転写フィルムにおいて、転写層とは、最表層となるラジカル重合性樹脂組成物層と、アンカー層と、加飾層と、低分子量重合性化合物層を少なくともこの順で有する層である。また、これらの他に、接着層や被転写基材表面の凹凸を隠蔽する中間層等の層を設けてもよい。
(転写層 ラジカル重合性樹脂組成物層)
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層は、ラジカル重合反応により硬化可能な樹脂層である。中でも活性エネルギー線照射により硬化可能な樹脂を含む樹脂層であると、転写後に表面硬度に優れる塗膜が得られ好ましい。該重合性樹脂組成物層は、加飾層の意匠性が良く発現できることから透明であることが好ましいが、転写体の要求特性や意匠性により基本的に得られる転写体の加飾層の色や柄が透けて見えれば良く、完全に透明であることは要しない。即ち、透明から半透明なものまでを含む。また、着色されていてもよい。
また、未硬化であっても常温で層膜厚を維持でき、剥離フィルムとの適度な密着性を付与することができるため、全固形分量に対して熱可塑性樹脂を20〜80質量%、数平均分子量100〜1500の範囲である(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を10〜70質量%含有していることが好ましい。前記範囲内であれば、ラジカル重合性樹脂組成物層が、塗工、乾燥後にも適度なタック性を有し、ドライラミネーション(乾式積層法)による積層が容易となる。また、熱転写後には、容易に剥離フィルムを剥離することができる。更に、特許文献2に記載されているとおり、前記のラジカル重合性樹脂組成物層の組成とすることで、分子量100〜1500の範囲である(メタ)アクリロイル基を有する低分子量重合性化合物を、流動再配置によってブリードさせ、簡便に被転写基材側表面へ低分子量重合性化合物層を形成することができるため、好ましい。
本発明において、ラジカル重合性樹脂組成物層に含まれる熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステルなどが挙げられる。これらはホモポリマーまたは複数のモノマーが共重合したものであって良い。
中でも、アクリル系樹脂は、Tgが高く硬化性樹脂層の粘着性低減に適しているために好ましい。これらの樹脂の具体例とは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等の(メタ)アクリル系モノマーからなる単独又は共重合体であり、必要に応じてこれらと共重合可能な重合性二重結合を有するモノマー、すなわち例えばエチレン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、スチレン、α − メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N − シクロヘキシルマレイミド、N − エチルマレイミド、N − フェニルマレイミド等が共重合成分として添加された共重合体であっても良い。これらの各種のアクリル系樹脂の中でも、(メタ)アクリル酸メチルの単独重合体又は(メタ)アクリル酸メチルを主体とする共重合体が、透明性、耐候性および耐擦傷性に優れる点で好ましい。
また、前記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよく好ましい。本発明で使用する(メタ)アクリロイル基を含有するアクリル系樹脂は、特に限定はなく公知の方法で得たアクリル系樹脂を使用することができる。
具体的には例えば、予め前記共重合成分としてアクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体や、ジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有重合性単量体を配合し共重合させ、カルボキシル基やアミノ基を有する前記共重合体を得、次に該カルボキシル基やアミノ基と、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基及び(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法、予め前記共重合成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有単量体を配合し共重合させ、水酸基を有する前記共重合体を得、次に該水酸基と、イソシアネートエチルメタクリレート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法、重合の際にチオグリコール酸を連鎖移動剤として使用して共重合体末端にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基に、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法、重合開始剤として、アゾビスシアノペンタン酸等のカルボキシル基含有アゾ開始剤を使用して共重合体にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基にグリシジルメタクリレート等のグリシジル基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法等が挙げられる。
中でも、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体あるいはジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基あるいはアミノ基とグリシジルメタクリレート等のグリシジル基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体を反応させる方法、あるいは、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法が最も簡便であり好ましい。
本発明において、ラジカル重合性樹脂組成物層に含まれる、数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン等の単官能モノマー、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能モノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の6官能モノマー等が挙げられる。また、トリブチレングリコールビス(マレイミド酢酸エステル)のようなマレイミド化合物を使用することもできる。また、活性エネルギー線硬化後に、転写面の表面硬度が優れることから、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーを用いることが好ましい。
また、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを使用しても好ましい。具体例としては、例えば、数平均分子量100〜1500の範囲であるウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートおよびエポキシ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
中でも、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類を主原料とするポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3−ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートから得られる脂肪族ポリイソシアネートであるアロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアヌレート型ポリイソシアネート等のイソシアネートと、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを反応させたものが挙げられ、いずれも好適に使用することができる。活性エネルギー線硬化後の転写面の表面硬度や耐候性に優れる点から、特に、イソホロンジイソシアネートや1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等の脂環式イソシアネートと、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を2種類以上混合して用いてもよく好ましい。前記重合性化合物を2種類以上混合して用いることで、塗工、乾燥時のタック性、及び、表面物性について調整することができる。特に低分子量重合性化合物層を流動再配置によるブリードで形成する場合には、前記重合性化合物を2種類以上混合して用いることで、流動再配置が起こる際に共に内部移動し、フィルム内での濃度傾斜が緩和される傾向にあるので、好ましい。
(光重合開始剤)
本発明の熱転写フィルムを活性エネルギー線で硬化させる場合は、光重合開始剤を使用してもよく好ましい。光重合開始剤の例としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;ポリエーテル系マレイミドカルボン酸エステル化合物などが挙げられ、これらは併用して使用することもできる。光重合開始剤の使用量は用いる活性エネルギー線硬化性樹脂に対して、通常、0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜8質量%である。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミン類が挙げられる。さらに、ベンジルスルホニウム塩やベンジルピリジニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩は、光カチオン開始剤として知られており、これらの開始剤を用いることも可能であり、上記の光重合開始剤と併用することもできる。
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層の厚みとしては、被転写基材の表面保護および塗工性の観点から、1〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。
(アンカー層)
本発明で使用するアンカー層としては、隣接するラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層との密着性に優れ、ブリードによって低分子量重合性化合物層を得る場合には、流動再配置によるアクリロイル基を有する低分子量重合性化合物の過剰なブリードを抑制できれば特に限定はないが、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、塩素化オレフィン樹脂系、エチレン−アクリル樹脂系、石油樹脂系、セルロース誘導体樹脂系などの公知の樹脂を用いることができる。中でもポリエステル系樹脂はアクリロイル基を有する重合性化合物との相溶性、密着性に優れることから、好ましい。低分子量重合性化合物層をブリードで得る場合には、アンカー層が存在することで過剰なブリードを抑制でき、この結果、活性エネルギー線照射後も未硬化状態で残存する低分子量重合性化合物量が減少し、エタノール浸漬などの耐アルコール性を向上させることができる。
アンカー層に使用するポリエステル系樹脂としては、市販品を使用することもでき好ましい。市販品としては、例えば、NUV−5(大日精化工業株式会社製)、バイロン200(東洋紡株式会社製)等があげられる。
またアンカー層の膜厚は特に限定はないが、アンカー層の膜厚を大きくすることで、流動再配置による低分子量重合性化合物のブリードを抑制する効果は高まるが、対照的に転写層と被転写基材層との界面付近に存在する低分子量重合性化合物の存在量が少なくなり、被転写基材との密着性向上効果が低下してしまうため、ブリードによって低分子量重合性化合物層を得る場合には、薄膜であることが好ましい。印刷適性、塗工適性との両立も考慮して、膜厚は1〜10μm程度が好ましい。より好ましくは1〜5μmである。
また、アンカー層は塗工法で積層しても良いし、加飾層と同時に積層することもできる。特に限定はしないが、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の各種印刷方法や、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ロッドコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種公知の塗工方法を適宜用いることができる。また、アンカー層は、完全に透明であることは要せず、転写体の要求特性や意匠性により、着色されていてもよい。
(加飾層)
加飾層には、汎用の印刷インキまたは塗料を使用することができ、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成することができる。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜10μmである。また絵柄のない着色層や、無色のワニス樹脂層についても塗工によって形成することができる。
また、印刷の場合の印刷柄は、版を起こせるあるいは印字できる模様や文字であればどのような印刷柄も可能である。またベタ版であってもよい。
印刷インキまたは塗料に使用する着色材としては、公知の有機顔料あるいは無機顔料を使用して印刷することができ好ましい。
前記有機顔料としては、たとえば、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾレーキ顔料系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等が挙げられる。
また、無機顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄系、酸化チタン系等の無機顔料、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料等が挙げられる。
前記インキに含有されるワニス用樹脂は、特に限定はないが、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、塩素化オレフィン樹脂系、エチレン−アクリル樹脂系、石油樹脂系、セルロース誘導体樹脂系などの公知のインキを用いることができる。
また、インキに含有される有機溶剤としては、前記の保持層を侵すものでなければ特に制限なく使用でき、具体例として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはミネラルスピリット等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートもしくは酢酸アミル等のエステル系有機溶剤、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルもしくはジエチレングリコール等のエーテル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミノケトン、ジイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、N−メチルピロリドン等の含窒素系、「スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500」〔コスモ石油(株)製〕等の芳香族石油溶剤系を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
印刷インキ又は塗料には、基材樹脂と着色剤のほか、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、溶媒などを含有させてよい。
(低分子量重合性化合物層)
本発明における低分子量重合性化合物層は、数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物を含む。これは例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン等の単官能モノマー、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能モノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の6官能モノマー等が挙げられる。また、トリブチレングリコールビス(マレイミド酢酸エステル)のようなマレイミド化合物を使用することもできる。また、活性エネルギー線硬化後に、凝集力が高まり、密着性に優れることから、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。また、低分子量重合性化合物層として、前記数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物を50質量%以上含有することが好ましい。より好ましくは80質量%以上である。
また、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを使用しても好ましい。具体例としては、例えば、数平均分子量100〜1500の範囲であるウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートおよびエポキシ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
中でも、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類を主原料とするポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3−ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートから得られる脂肪族ポリイソシアネートであるアロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアヌレート型ポリイソシアネート等のイソシアネートと、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを反応させたものが挙げられ、いずれも好適に使用することができる。耐候性や活性エネルギー線硬化後の凝集力に優れる点から、特に、イソホロンジイソシアネートや1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等の脂環式イソシアネートと、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
また、これらの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を2種類以上混合して用いてもよく好ましい。
本発明における低分子量重合性化合物層を設ける方法としては、特に限定はなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の各種印刷方法や、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ロッドコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種公知の塗工方法を適宜用いても良く、また前記のとおり、ラジカル重合性樹脂組成物層からの流動再配置によるブリードで得ることも可能である。特に数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する低分子量重合性化合物は、常温で液体であることが多く、印刷適性が低いため、低分子量重合性化合物層上に加飾層を直接積層することは困難である場合が多く、ブリードによって形成することが簡便で好ましい。
ブリードにより低分子量重合性化合物層を得る方法としては、具体的には、保持層、加飾層、アンカー層、ラジカル重合性樹脂組成物層、剥離フィルムをこの順に積層したフィルムであって、前記ラジカル重合性樹脂組成物層にあらかじめ所定量の低分子量重合性化合物を添加したフィルムを、後述の条件によるエージング処理することで、保持層と加飾層の層間に低分子量重合性化合物層を得ることができる。前記ラジカル重合性樹脂組成物層に含有する低分子量重合性化合物は、フィルム作製直後から転写層内を流動再配置によって移動し、ブリードすることによって、保持層と加飾層の層間に低分子量重合性化合物層を形成する。このブリード現象を効果的に促進させるために、前記ラジカル重合性樹脂組成物層に含有する低分子量重合性化合物は、数平均分子量100〜1500の範囲であり、且つ、常温で液体であることが好ましく、また熱転写フィルム作製後にはエージング処理を施すことが好ましい。こうして得られた低分子量重合性化合物層を、転写加工後に活性エネルギー線照射によって硬化させれば、被転写基材との密着性を向上させる効果がある。ただし、前記のとおり、低分子量重合性化合物が過剰にブリードし、未硬化のままで残存していると、耐アルコール性が低下するおそれがある。
本発明における低分子量重合性化合物層は、前記のとおり、加飾層によって活性エネルギー線照射が遮蔽され、充分に硬化反応が進行しないことが想定される。低分子量重合性化合物が未硬化状態のままで残存していると、エタノール浸漬等の耐アルコール性が低下する可能性があるため、低分子量重合性化合物層の膜厚としては、ごく薄膜であることが好ましい。よって、膜厚としては1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以下である。
(剥離フィルム)
本発明で使用する剥離フィルムは、転写加工前には転写層と適度な密着力を有しており、一方熱転写加工後には良好に転写層と剥離可能なフィルムであれば特に限定はない。具体的には例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(いわゆるアイオノマー樹脂)等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル− 酢酸ビニル共重合体等のポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン− テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、あるいは該フィルムをプラズマ照射や、フッ素系化合物やシリコーン系化合物等の剥離剤で表面処理したものが挙げられる。また、特許文献2に記載のPVA、変性PVA等を用いても良い。
また剥離フィルムの膜厚は特に限定はないが、薄すぎると熱転写後剥離時にフィルムが裂ける恐れがあり、一方厚すぎると、被転写基材の形状に追従しきれないおそれがあることから、膜厚は10〜200μm程度が好ましい。より好ましくは20〜100μmである。
被転写基材へ転写された転写層の表面性状は、使用する剥離フィルムの表面性状が反転される傾向がある。従って、剥離フィルムとして表面が平滑な鏡面状のものを使用すれば、転写後の転写層の表面も平滑な鏡面仕上げとすることができるし、剥離フィルムとして表面が艶消状のものや凹凸のエンボス形状を有するものを使用すれば、これらの艶状態やエンボス形状を転写後の転写層の表面に賦形することができる。これらは所望する意匠に応じて適宜選択すればよい。
(熱転写フィルム 膜厚)
本発明の熱転写フィルムの全体の膜厚は、熱転写方法によるため特に制限されないが、被転写基材への形状追随性の観点から20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
(接着剤層)
その他、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の層を更に積層させることもできる。例えば、加飾層と低分子量重合性化合物層と間に、接着層や粘着層を設けることは好ましい。接着層や粘着層は、活性エネルギー線硬化前の段階において、一次的に被着体との接着力を高める目的で付与する層であり、接着剤でも粘着剤でも構わなく、被転写基材と接着する材質のものを適宜選択することが可能である。
また、本発明の熱転写フィルムにおいて、低分子量重合性化合物層が接着剤としての役割を果たす効果が得られるが、この効果を最大限生かすためには、接着層や粘着層は、(メタ)アクリロイル基を有する低分子量重合性化合物との相溶性あるいは透過性に優れるものであることが好ましい。これらは、樹脂組成や膜厚で適宜コントロールすることが可能である。
接着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム等の合成ゴムなどがあげられ、溶剤型又は無溶剤型のものが使用出来る。
また、粘着剤としては、熱成形する温度でタック性を有するものであれば良く、例えば、アクリル樹脂、イソブチレンゴム樹脂、スチレン−ブタジエンゴム樹脂、イソプレンゴム樹脂、天然ゴム樹脂、シリコーン樹脂などの溶剤型粘着剤や、アクリルエマルジョン樹脂、スチレンブタジエンラテックス樹脂、天然ゴムラテックス樹脂、スチレン−イソプレン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテルなどの無溶剤型粘着剤などがあげられる。
本発明の熱転写フィルムに前記接着層や粘着層を設ける場合は、加飾層の一部として絵柄層と同時に作製することが、簡便で好ましい。特に限定はしないが、ブリードによって低分子量重合性化合物層を得る場合には、保持層に対して、前記接着剤や粘着層と、加飾層とをこの順で積層することにより、得ることができる。ブリードによらない場合には、低分子量重合性化合物層を設けた保持層に対して、前記接着剤や粘着層と、加飾層とをこの順で積層することにより、得ることができる。印刷適性のないタック性の強い粘着剤を用いる場合は、熱転写フィルムを作製した後に、保持層を剥離し、粘着剤を付与した別の保持フィルムと、粘着剤層と加飾層とが接するように、ドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせることで付与することができる。
(熱転写フィルムの製造方法)
本発明の熱転写フィルムは、保持層上に、低分子量重合性組成物層、加飾層、アンカー層、ラジカル重合性樹脂組成物層、剥離フィルムを、この順で積層した熱転写フィルムであって、前記低分子量重合性化合物層が数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物であることを特徴とする。
各層の積層工程としては、特に限定はなく、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の各種汎用印刷方法によって、保持層上に加飾層とアンカー層を設け、次いでアンカー層上に、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ロッドコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種公知の塗工方法を用いて、ラジカル重合性樹脂組成物層を塗工、乾燥し、ラジカル重合性樹脂組成物層と剥離フィルムとが相対するようにドライラミネーションすることで積層することができる(この場合、低分子量重合性化合物層は流動再配置によるブリードで得る)。
または、保持層上に加飾層を印刷し、次いで、加飾層上にアンカー層を塗工積層し、一方で、別工程にて剥離フィルムにラジカル重合性樹脂組成物層を設け、前記アンカー層と、ラジカル重合性樹脂組成物層が相対するようにドライラミネーションし、更に、保持層を剥離し、低分子量重合性化合物層を加飾層に塗工積層する方法等を挙げることができる。これらは一例であり、即ち、保持層上に、低分子量重合性組成物層、加飾層、アンカー層、ラジカル重合性樹脂組成物層、剥離フィルムを、この順で積層した熱転写フィルムであって、前記低分子量重合性組成物層が数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物を含む層であれば、特に限定はしない。
本発明において前記低分子量重合性化合物層を、ラジカル重合性樹脂組成物層からのブリードによって得る場合には、前記のとおり、熱転写フィルムを作製した直後から、転写層内部で(メタ)アクリロイル基を有する低分子量重合性化合物の流動再配置が発生する。この流動再配置によるブリードを効果的に促進するために、作製した熱転写フィルムを加熱エージング処理して養生することが効果的であり、具体的には30〜60℃で24時間以上養生することが好ましい。
(熱転写方法)
本発明の熱転写フィルムは、公知の転写方法に使用することができる。具体的には、必要に応じ予備成形した熱転写フィルムを、雌型の表面に設置し、両型を閉じ、射出孔から両型間のキャビティ(成形窩洞)内に熔融樹脂を射出し、射出樹脂を冷却固化させた後、両型を開き、成形品とこれに密着した熱転写フィルムとを型から取出し、剥離フィルムのみを剥離して、被転写基材上に転写層が転写形成された加飾品を得る、射出成形同時転写法や、成形された被転写基材の上方に熱転写フィルムを、転写層が被転写基材側に向くよう載置しフィルムを軟化温度以上に加熱した後、真空下で、金型を用いずに被転写基材を用いて成形すると同時に、直接被転写基材に貼り付ける、真空成形同時転写法等や、ラッピング同時転写法等の、熱転写時に転写フィルムに伸び、変形が加わる立体形状への成形転写方法に特に好適に本発明の熱転写フィルムを使用することができる。また、ホットスタンプ等、転写フィルムに伸び、変形の加わらない転写法に本発明の熱転写フィルムを用いてもよい。
中でも、真空成形同時転写法が好ましい。具体的には、前記熱転写フィルムから保持層を剥離し、転写層が被転写基材側となるように保持した状態で加熱した後、前記熱転写フィルムを真空成形法により被着体に貼り付けて一体化させることで、剥離フィルムを綺麗に剥離でき、加飾品を得ることができる。
多くの場合、真空成形法、圧空真空成形法等に用いる既存の熱成形機には、加熱手段として赤外線照射装置が設置あるいは外付けできるようになっているので、これを利用してもよい。赤外線照射装置は熱発生物質のみが吸収可能な波長を照射する必要があるため、中赤外から近赤外の領域に強い波長ピークをもつハロゲンヒーター、短波長ヒーター、カーボンヒーター、中赤外線ヒーター等を使用することが好ましい。これら赤外線照射装置のメイン波長のピークは1.0〜3.5μm内にあることが好ましい。これら赤外線照射装置を用いた場合、本発明の熱転写フィルムを110〜190℃とすると、前記ラジカル重合性樹脂組成物層中に含まれる(メタ)アクリロイル基が効果的に反応し、熱転写後には剥離フィルムを容易に剥離でき好ましい。更に、加飾品の外観が良好となることから、熱転写フィルムを130〜180℃に加熱することがより好ましい。
(活性エネルギー線照射)
本発明の熱転写フィルムを転写した加飾品のラジカル重合性樹脂組成物層、及び低分子量重合性化合物層を、活性エネルギー線等で硬化させる。活性エネルギー線は、通常は可視光や紫外線を使用するのが好ましい。特に紫外線が好適である。紫外線源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。また、熱を併用する場合の加熱源としては、熱風、近赤外線など公知の熱源が適用可能である。
この時の照射量としては、硬化性樹脂層が完全に硬化するような照射量であることが好ましく、具体的には250mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲が好ましい。特に、加飾層と被転写基材との層間に存在する(メタ)アクリロイル基を有する低分子量重合性化合物層を充分に硬化させ、被転写基材との密着性を向上させるために、500mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲がより好ましい。
(被転写基材)
本発明の熱転写フィルムが転写できる被転写基材は特に限定されず、樹脂、金属、ガラス、木、紙などの各種形状物を用いることができ、前記形状物は、塗装、メッキ、スクラッチ等の常用加飾法により加飾されていてもよい。
また、被転写基材の被着面の材質と、本発明の熱転写フィルムに使用する熱可塑性樹脂やインキバインダーとの材質とが熱接着あるいは熱融着可能な材質同士であると、より密着性に優れ好ましい。例えば被転写基材の被着面の材質がアクリル系樹脂やスチレン系の樹脂である場合には、熱転写フィルムに使用する熱可塑性樹脂の材質はアクリル系樹脂が好ましい。
以下、本発明を実施例により説明する。特に断りのない限り「部」、「%」は質量基準である。
(熱可塑性樹脂P((メタ)アクリロイル基を含有するアクリル系樹脂)の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、メチルエチルケトン666部を仕込んで90℃に昇温し、同温度に達したところで、メタクリル酸メチル320部、アクリル酸ブチル280部、メタクリル酸400部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)15部からなる混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後も、同温度に10時間保持して反応を続行した。
反応液の温度を50℃に下げ、t−ブチルピロカテコール0.8部をメチルエチルケトン20部に溶解した溶液を加え、さらにメタクリル酸グリシジル666部、ジメチルアミノエタノール60部を加えた後に、80℃まで昇温し、同温度で10時間反応を行う事でTg50℃、アクリル当量300g/eq、質量平均分子量60000の熱可塑性樹脂Pの溶液を得た。
(製造例1)ラジカル重合性樹脂組成物A1の製造
ラジカル重合性樹脂組成物として、数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である「アロニックスM−305」(商品名、東亞合成社製、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、数平均分子量約300)14部と、5〜6官能ウレタンアクリレート(DIC社製、商品名「ユニディック17−813」、数平均分子量約800)21部と、熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂Pを樹脂固形分量に換算して65部を、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解した後、光重合開始剤としてBASFジャパン製「イルガキュア184」2部(不揮発分比)と「イルガキュア819」0.5部(不揮発分比)を溶解することにより、ラジカル重合性樹脂組成物A1の塗料を製造した。
(製造例2)ラジカル重合性樹脂組成物A2の製造
ラジカル重合性樹脂組成物として、数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である「アロニックスM−240」(商品名、東亞合成社製、ポリエチレングリコールジアクリレート、数平均分子量約300)24部と、「ユニディック17−813」36部と、熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂Pを樹脂固形分量に換算して40部を用いた他は、製造例1と同様にして、ラジカル重合性樹脂組成物A2の塗料を製造した。
(製造例3)ラジカル重合性樹脂組成物A3の製造
ラジカル重合性樹脂組成物として、数平均分子量100〜1500の範囲であり(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である「アロニックスM−305」12部と、「ユニディック17−813」48部と、熱可塑性樹脂として「アクリット7CJ−601」(商品名、大成ファインケミカル社製、アクリルスチレン系樹脂、数平均分子量35,000)を樹脂固形分量に換算して40部を用いた他は、製造例1と同様にして、ラジカル重合性樹脂組成物A3の塗料を製造した。
(加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB1の製造)
保持層として、東洋紡社製の厚さ50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと略す)を用いて、該フィルムにグラビア4色印刷機にて厚さ3μmのウレタン系インキ(DIC社製、商品名:AF−Dシリーズ)の木目柄を印刷し、次いで、該木目柄層上に、アンカー層としてポリエステル系インキ(DIC社製、商品名:UCシーラー CA−034)を同グラビア印刷機にて厚さ1μmとなるようにベタ印刷し、加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB1を製造した。
(加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB2の製造)
加飾層として、ウレタン系インキ(DIC社製、商品名:AF−Dシリーズ)を用いてグラビア4色印刷機にて厚さ3μmの金属調柄(シルバー)を印刷し、アンカー層としてポリエステル系インキ(大日精化社製、商品名:NUV−5)を同グラビア印刷機にて厚さ1μmとなるようにベタ印刷した他は、加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB1と同様にして、加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB2を製造した。
(加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB3の製造)
加飾層として、ウレタン系インキ(DIC社製、商品名:AF−Dシリーズ)を用いてグラビア4色印刷機にて厚さ3μmの金属調柄(シルバー)を印刷し、アンカー層としてウレタン系インキ(DIC社製、商品名:ユニビアシリーズ)を同グラビア印刷機にて厚さ1μmとなるようにベタ印刷した他は、加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB1と同様にして、加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB3を製造した。
(低分子量重合性化合物C1の塗料の製造)
塗工積層により低分子量重合性化合物層を設ける場合の低分子量重合性化合物として、「アロニックスM−240」をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解した後、光重合開始剤として「イルガキュア184」2部(不揮発分比)と「イルガキュア819」0.5部(不揮発分比)を溶解することにより低分子量重合性化合物C1の塗料を製造した。
以下に、本発明の熱転写フィルムとそれを転写して得た加飾品の製造方法及び評価結果を示す。なお、評価は転写加飾品の密着性、及び耐エタノール性について行った。2段階評価(○、×)とし、○を合格であると判定した。
(密着性)
熱転写フィルムを転写した加飾品から剥離フィルムを剥離した後、1000mJ/cmの照射量でUV照射を行い、ラジカル重合性樹脂組成物層を完全に硬化させた。得られた加飾品を常温下で24時間以上静置した後、該転写層の密着性をクロスカット法(JIS K5600−5−6)に準じて評価した。
○:塗膜状態に変化がない。
×:塗膜の剥離が発生する。
(耐エタノール性)
前記密着性の評価と同様に、熱転写フィルムを転写した加飾品から剥離フィルムを剥離した後、1000mJ/cmの照射量でUV照射を行い、ラジカル重合性樹脂組成物層を完全に硬化させた。得られた加飾品を常温下で24時間以上静置した後、加飾品表面に対して、50%エタノール水溶液を用いたリング浸漬にて55℃で4時間試験した。その後、常温になるまで放置した後に試験面を水洗して拭き取り、表面の状態について、以下の基準で評価した。
○:塗膜状態に変化がない。
×:塗膜の変色、膨潤、浮き、シワ、割れ、剥がれ等の異常が発生する。
(実施例1)
(熱転写フィルムD1の製造)
加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムB1のアンカー層面に、製造例1で得たラジカル重合性樹脂組成物A1の塗料をアプリケーターで固形分膜厚30μmになるように塗工し、次いで70℃で5分間乾燥した。次いで、ラジカル重合性樹脂組成物塗工面と、剥離フィルムである日本合成化学工業社製のPVA樹脂フィルム(膜厚30μm)の光沢面側とが相対するように、加熱ロール温度60℃でラミネートし(ニップ圧力0.3MPa、ロール速度1.2m/分)、ロール状に巻き取った後に、40℃で24時間エージング処理して熱転写フィルムD1を製造した(D1の保持層であるOPPを剥離し、FT−IRを用いた全反射法(ATR)によって、アクリロイル基に由来するピーク、即ち低分子量重合性化合物層がブリードによって加飾層と保持層との層間に形成されていることを確認した)。
(加飾品E1の製造)
前記熱転写フィルムD1の保持層であるOPPフィルムを剥離し、転写層側が被転写基材の加飾されるべき面側となるように、布施真空株式会社製の両面真空成形機「FVF−0709」にセットした。ABS樹脂製の被転写基材を用いて、加熱温度150℃で、前記の熱転写フィルムD1と被転写体を真空成形同時貼り付けし、加飾品E1を得た。加飾品E1について評価した結果、密着性が○、耐エタノール性が○であった。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA2を用い、加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムとしてB2を用い、剥離フィルムとして東レフィルム加工社製の離型層を施したPETフィルム(以下離型PETと略す;膜厚50μm)を用いて、実施例1と同様の方法でラミネート積層を実施した。得られたフィルムから保持層であるOPPフィルムを剥離し、転写層面側である加飾層上に、低分子量重合性化合物としてC1の塗料をバーコーターで固形分膜厚0.1μmになるように塗工した後に60℃で1分間乾燥し、熱転写フィルムD2を製造した。
熱転写フィルムとしてD2を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E2を得た。加飾品E2について評価した結果、密着性が○、耐エタノール性が○であった。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA3を用い、加飾層、及びアンカー層を設けた保持フィルムとしてB3を用い、剥離フィルムとして離型PETを用いて、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムD3を製造した(D3の保持層であるOPPを剥離し、FT−IRを用いた全反射法(ATR)によって、アクリロイル基に由来するピーク、即ち低分子量重合性化合物層が、ブリードによって加飾層と保持層との層間に形成されていることを確認した)。
熱転写フィルムとしてD3を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品E3を得た。加飾品E3について評価した結果、密着性が○、耐エタノール性が○であった。評価結果を表1に示す。
Figure 2014172278

M−305:アロニックスM−305の略である。
M−240:アロニックスM−240の略である。
17−813:ユニディック17−813の略である。
7CJ−601:アクリット7CJ−601の略である。
(製造例4)ラジカル重合性樹脂組成物の比較例用塗料A4の製造
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂Pをトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解した後、光重合開始剤として「イルガキュア184」2部(不揮発分比)と「イルガキュア819」0.5部(不揮発分比)を溶解することにより比較例用塗料A4の塗料を製造した。
(製造例5)ラジカル重合性樹脂組成物の比較例用塗料A5の製造
熱可塑性樹脂として「アクリット7CJ−601」をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合比1/1)に不揮発分50%となるように溶解し、比較例用塗料A5を製造した。
(加飾層のみを設けた保持フィルムB4の製造)
保持層としてOPPフィルムを用い、加飾層として、ウレタン系インキ(DIC社製、商品名:AF−Dシリーズ)を用いてグラビア4色印刷機にて厚さ3μmの木目柄を印刷し、加飾層のみを設けた保持フィルムB4を製造した。
(比較例1 低分子量重合性化合物層を設けない例)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA4を用い、剥離フィルムとして離型PETを用いた他は、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムHD1を製造した(HD1の保持層であるOPPを剥離し、FT−IRを用いた全反射法(ATR)によって、アクリロイル基に由来するピークが無いこと、即ち低分子量重合性化合物層が加飾層と保持層との層間に形成されていないことを確認した)。
熱転写フィルムとしてHD1を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品HE1を得た。加飾品HE1について評価した結果、転写層と被転写基材とが全く密着しておらず、密着性が×、耐エタノール性が○であった。この結果から、低分子量重合性化合物層が被転写基材との密着向上効果を生み出していることが判る。評価結果を表2に示す。
(比較例2 保護層にラジカル重合性樹脂組成物を含まない例)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA5を用いた他は実施例2と同様の方法で熱転写フィルムHD2を製造した。
熱転写フィルムとしてHD2を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品HE2を得た。加飾品HE2について評価した結果、密着性が○であったが、耐エタノール性試験において転写層が著しく白化し、更に転写層の膨れ、浮きが発生したため、×であると判断した。この結果から、保護層としてラジカル重合性樹脂組成物が必須であることが判る。評価結果を表2に示す。
(比較例3 アンカー層を設けない例)
ラジカル重合性樹脂組成物としてA3を用い、加飾層のみを設けた保持フィルムとしてB4を用い、剥離フィルムとして離型PETを用いて、実施例1と同様の方法で熱転写フィルムHD3を製造した(HD3の保持層であるOPPを剥離し、FT−IRを用いた全反射法(ATR)によって、アクリロイル基に由来するピーク、即ち低分子量重合性化合物層がブリードによって加飾層と保持層との層間に形成されていることを確認した)。
熱転写フィルムとしてHD3を用いた他は、実施例1と同様の方法で加飾品HE3を得た。加飾品HE3について評価した結果、密着性が○であったが、耐エタノール性試験において転写層が著しく白化し、更に転写層の膨れ、浮きが発生したため、×であると判断した。この結果から、アンカー層によって、低分子量重合性化合物の過剰なブリードを抑制する必要があることが判る。評価結果を表2に示す。
Figure 2014172278


M−305:アロニックスM−305の略である。
17−813:ユニディック17−813の略である。
7CJ−601:アクリット7CJ−601の略である。
以上の結果より、保持層上に、低分子量重合性化合物層、加飾層、アンカー層、ラジカル重合性樹脂組成物層、剥離フィルムを、この順で積層した熱転写フィルムであって、前記低分子量重合性化合物層が数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物を含む熱転写フィルムを用いた実施例1〜3では、被転写基材との密着性に優れ、且つ、耐アルコール性に優れた加飾成形品を得ることができた。
一方、低分子量重合性化合物層を設けない熱転写フィルムを用いた比較例1では、被転写基材との密着性に優れた加飾成形品が得られなかった。また、保護層にラジカル重合性樹脂組成物を含まない熱転写フィルムを用いた比較例2、及び、アンカー層を設けない熱転写フィルムを用いた比較例3では、耐アルコール性に優れた加飾成形品を得られなかった。

Claims (6)

  1. 保持層上に、低分子量重合性化合物層、加飾層、アンカー層、ラジカル重合性樹脂組成物層、及び剥離フィルムをこの順で積層した熱転写フィルムであって、前記低分子量重合性化合物層が数平均分子量100〜1500の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物を含むことを特徴とする熱転写フィルム。
  2. 前記低分子量重合性化合物層が1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を含む請求項1に記載の熱転写フィルム。
  3. 前記アンカー層がポリエステル系樹脂である請求項1〜2に記載の熱転写フィルム。
  4. 前記低分子量重合性化合物層が、ラジカル重合性樹脂組成物層からのブリードによって得られる請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写フィルムを、積層した後にエージングすることを特徴とする、熱転写フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写フィルムを、真空成形法により被転写基材に貼り付けて一体化させた後に剥離フィルムを剥離し、活性エネルギー線照射により硬化させることを特徴とする、加飾品の製造方法。
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