JP3134874B2 - T細胞表面タンパク質t4をコードするdna並びにt4フラグメントのaids治療への使用 - Google Patents

T細胞表面タンパク質t4をコードするdna並びにt4フラグメントのaids治療への使用

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JP3134874B2 JP62505271A JP50527187A JP3134874B2 JP 3134874 B2 JP3134874 B2 JP 3134874B2 JP 62505271 A JP62505271 A JP 62505271A JP 50527187 A JP50527187 A JP 50527187A JP 3134874 B2 JP3134874 B2 JP 3134874B2
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ザ・トラステイーズ・オブ・コロンビア・ユニヴアーシテイ・イン・ザ・シテイ・オブ・ニユー・ヨーク
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    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本明細書では、参照する幾つかの刊行物を括弧に入れ
たアラビア数字によって示す。参照文献の完全な表記
は、明細書末尾の“請求の範囲”直前に掲げてある。こ
れらの刊行物の開示は参照によってその全体が、本発明
の係わる分野の技術水準をより完全に説明するため本出
願に含まれる。 機能上異なるクラスのTリンパ球は、別個の標的細胞
集団の表面上の抗原を認識する。ヘルパーT細胞は主に
マクロファージ及びB細胞と相互作用する。細胞障害性
T細胞は、より広範囲の抗原保有標的細胞と相互作用す
る。これらの細胞認識事象は、エフェクター及び標的細
胞両方の表面分子の特異的結合によって媒介されると考
えられる。T細胞の表面は、大部分がTリンパ球に限定
される幾つかの多型性及び非多型性タンパク質によって
特徴付けられる。これらの分子の殆どは全T細胞に共通
であるが、表面タンパク質の二つの群のものだけは機能
の異なるクラスのT細胞において常に異なり、これらの
タンパク質がT細胞−標的細胞相互作用に関係してい
る。 上記のうち一方の群の表面分子は、Tリンパ球の主要
な機能的サブセットを識別する。即ち、表面糖タンパク
質のT4及びT8である。胸腺発生の初期において、糖タン
パク質T4及びT8は共に胸腺リンパ球表面で発現する
(1)。末梢免疫系では、T4分子とT8分子とはT細胞の
互いに別個のサブセットで発現し、同一細胞ではまれに
しか発現しない(2、3)。T4分子は、クラスIIの主要
組織適合遺伝子複合体(MHC)分子を保有する標的と相
互作用するT細胞で発現し、一方T8保有T細胞はクラス
IのMHCタンパク質を発現する標的と相互作用する
(4、5、6、7、8、9)。Tリンパ球のT4集団はヘ
ルパー細胞を含み、一方T8集団は細胞障害性細胞及びサ
プレッサー細胞の大部分を含む(6、10)。しかし、T4
+T細胞はまれにしか細胞障害性細胞あるいはサプレッサ
ー細胞として機能し得ず(6、10)、このことからは、
T4あるいはT8の発現がエフェクター機能よりMHCクラス
認識の方に緊密に関連することが示唆される。上記分子
のT細胞−標的細胞相互作用における重要性は、モノク
ローナル抗体を用いた研究によって提示され得る。T4分
子(あるいはマウスでの等価物L3T4)の特異的なエピト
ープに対する抗体は、抗原によって誘発されるT細胞増
殖、リンフォカイン放出並びにヘルパー細胞機能を阻害
する(7、8、11、12、13)。同様に、T8(あるいはマ
ウス等価物Ly12)に対するモノクローナル抗体は細胞障
害性T細胞によって媒介される破壊作用を阻害する(1
4、15)。これらの観察を、T4及びT8が重大な多型性を
示さないという事実と合わせると、T4及びT8がクラスII
及びクラスI分子の非多型性領域をそれぞれ認識すると
いう仮定が成り立つとされていた。 異なるエフェクターT細胞において異なると考えられ
る上記2群のタンパク質のうちの他方のものは、MHC分
子の多型性領域に関連する抗原を認識するレセプターで
ある(16、17、18)。ヘルパーTリンパ球の相互作用は
主にクラスIIのMHCタンパク質を発現する抗原保有標的
細胞に限定され、一方応細胞障害性T細胞及びサプレッ
サーT細胞はクラスIのMHC分子を保有する標的細胞に
限定される(4、5、6、7、8、9)。これらの特異
的相互作用は、特定MHC分子に関連する抗原を認識する
(1個以上の)T細胞レセプターによって媒介され得る
(17、18)。即ち、Tリンパ球はMHCタンパク質の定常
の(抗原)決定基及び多型の(抗原)決定基両方を認識
し得る二つの独立のレセプターを有し得、これらのレセ
プターは機能の異なるT細胞集団が特異的に標的を定め
ることを可能にし得る。 ヒト後天性免疫不全症候群(ADIS)はT4+リンパ球の
欠乏を特徴とする。従って、AIDS患者においてはT細胞
性免疫が損なわれ、その結果重度の日和見感染並びに異
常な腫瘍(新生物)が出来する。AIDSは、現在ヒト免疫
不全ウイルス(HIV)と呼称される、互いに密接な関係
を有する一連のレトロウイルス(LAV、HTLV−IIIあるい
はARV)にTリンパ球が感染することに起因する。これ
らウイルスの感染範囲は、表面にT4糖タンパク質を発現
する細胞に限定される。 従って、T4糖タンパク質は標的細胞表面の分子のレセ
プターとしてのみでなく、AIDSウイルスのレセプターと
しても機能し得る。T4に対するモノクローナル抗体は、
T4+細胞のAIDSウイルス感染をin vitroで阻止する。更
に、最近の研究によれば、T4+Tリンパ球をAIDSウイルス
に暴露すると、ウイルスの110kdエンベロープ(外被)
タンパク質が宿主細胞上のT4分子と関連して結合する。
従って、ウイルスのリンパ球指向性は、該ウイルスのレ
セプターであるT4がTリンパ球の亜集団において限定的
に発現するとすることによって説明できよう。 AIDSにおけるT4+Tリンパ球の欠乏は細胞性免疫応答の
低下をもたらす。そのうえ、AIDSはしばしば、たいてい
は亜急性脳炎の結果である中枢神経系(CNS)の機能不
全を伴う。AIDSウイルスのRNA及びDNAが冒された脳にお
いて同定され、かつ神経障害を有した患者の脳及び脳脊
髄液の両方からウイルスが単離されている。ことこと
は、AIDSウイルスが脳細胞に感染し、AIDS患者に認めら
れるCNS障害に直接関与し得ることを示唆する。即ち、A
IDSウイルスはリンパ球指向性であると同時に向神経性
であり得る。従って、T4がCNSにおいても発現するかど
うか、あるいは更に別の脳特異的表面分子がAIDSウイル
スのレセプターとして機能し得るかどうかを決定するこ
とが重要である。 T4及びT8の特異的相互作用の解明は、T4及びT8遺伝子
の単離、単離した遺伝子の構造決定、並びに該遺伝子を
異なる細胞環境内に導入する可能性によって容易となろ
う。T8分子をコードするcDNAの単離並びに該cDNAの配列
は最近報告された(19、20、21)。推定されたタンパク
質配列は、T8が、免疫グロブリンL鎖の可変部と相同性
の有るN末端ドメインを有する膜結合糖タンパク質であ
ることを示している。 「本発明者等により発表されたCell、vol.42、(Augu
st 1985)、pp.93−104において、T4糖タンパク質のシ
グナル配列を含めた完全なアミノ酸配列及び対応するDN
A配列が開示されている(Figure 6)。」 発明の概要 本発明は、T4糖タンパク質の少なくとも一部を含むア
ミノ酸配列をコードする単鎖核酸分子を提供する。本発
明はまた、T4糖タンパク質の少なくとも一部を含むアミ
ノ酸配列をも提供する。このアミノ酸配列は、ヒト免疫
不全ウイルスエンベロープ糖タンパク質との複合体を特
異的に構成する可能性を有し得る。ヒト免疫不全ウイル
スエンベロープ糖タンパク質との複合体を特異的に構成
する可能性に加え、上記アミノ酸配列は水溶液に溶解可
能であり得る。 本発明の溶解性アミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイル
ス感染者処置用の治療薬、即ち予防薬として用いること
ができる。そのうえ、本発明の溶解性アミノ酸配列に対
するモノクローナル抗体は、人間をヒト免疫不全ウイル
スに対して免疫するワクチンとして有用であり得る。本
発明の溶解性アミノ酸配列に対するモノクローナル抗体
はまた、T4糖タンパク質抗イディオタイプ抗体の製造に
も有用であり得る。上記T4糖タンパク質抗イディオタイ
プ抗体は、ヒト免疫不全ウイルス感染者処置用の予防薬
として有用であり得る。 図面の簡単な説明 第1図:OKT(登録商標)4及びOKT8での間接蛍光抗体法
染色の流動細胞計測パターン 細胞(5×105個)を、マウスモノクローナル抗体OKT
4BあるいはOKT8と共に保温(インキュベーション)し、
洗浄し、その後FITC結合ヤギ抗マウス免疫グロブリンと
共に保温した。細胞をFACS IV Cell Sorterで分析し、
蛍光対数に対する細胞個数のグラフをVAX 11/780コンピ
ューターによって描いた。形質転換(トランスフォーメ
ーション)していないNIH 3T3細胞及びL細胞は同等の
流動細胞計測カーブを示した。Fro2.2は、表現型T3-;T4
+;T8+;T11+の白血病T細胞系である。LTD−4は、全ゲ
ノムDNAの転移によって得られるT4+一次L細胞形質転換
体である。3A+は、T4−pMV6tk/neoレトロウイルス発現
構成体(組換えベクター)で形質転換したNIH 3T3細胞
系である。 第2図:T4+及びT4-L細胞及びヒト細胞に由来するRNAの
ノザン法分析 3μgのポリ(A)+RNAかあるいは12μgの全RNA
(末梢T細胞及び胸腺リンパ球)を0.8%アガロース−
ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動させ、GeneScreen
(New England Nuclear)に染み込ませ(ブロッティン
グし)、32Pで標識した0.6kb T4 cDNAインサートをプロ
ーブとして探査した。T4+細胞には、LTD−4(T4+、T8-
L細胞形質転換体)、SK−7 T細胞ハイブリドーマ(T
4+、T8-)、OT−CLL白血病細胞(T4+、T8-)、Fro2.2白
血病細胞(T4+、T8-)、T4に富む末梢Tリンパ球並びに
ヒト胸腺リンパ球が含まれる。T4-細胞には、未形質転
換細胞、tk7(T8+L細胞形質転換体)、HeLa細胞、ヒト
神経芽腫細胞(IMR)並びにT8に富む末梢Tリンパ球が
含まれる。ヒト胸腺リンパ球レーンは、露出時間を4倍
にし、かつ高コントラストフィルムを用いて撮影した。 第3図:pT4B及びT4遺伝子の制限ヌクレアーゼマップ、
配列決定法並びに組換え体ベクター A. pT4B cDNA及びT4遺伝子のBamH I制限フラグメント
の整列(alignment)。T4遺伝子におけるBamH Iフラグ
メントの順位は、サザン法分析及びゲノムクローンマッ
ピングによって決定した。pT4B及びT4遺伝子の5′末端
の整列(対応する位置)を点線で示す。pT4Bの影付き領
域はコード配列に対応する。図示寸法はキロベース(k
b)を単位とする。 B. 配列決定法。矢印は、フラグメントをM13中にサブ
クローニングし、かつジデオキシターミネーション法
(36)での配列決定によって決定した配列の長さを示
す。 C. 真核発現ベクター。これらの構成体は2個のMolone
yマウス白血病ウイルスの長い末端繰返し配列(LTR)を
含み、これらのLTRの向きは矢印で示してある。pT4B cD
NAは、矢印で示した向きで各ベクターのEcoR I部位にサ
ブクローニングした。(a)T4−pVcos7構成体。(b)
T4−pMV6tk/neo構成体は、HSVチミジンキナーゼプロモ
ーターと融合したネオマイシンホスホトランスフェラー
ゼ遺伝子を含む。 第4図:未形質転換L細胞及びT4+L細胞並びにT、B及
び非リンパ球様ヒト細胞から得たDNAのサザン法分析 10μgの細胞DNAをBamH Iで消化し、0.8%アガロース
ゲル中で電気泳動させ、GeneScreenに染み込ませ、ニッ
クトランスレーションで製造したpT4B cDNAインサート
で探査した。図示した寸法目盛はキロベースを単位とす
る。寸法20kb、6.6kb、4kb、1.8kb及び1kbのハイブリッ
ド形成バンドが総てのヒトDNAに認められる。DNAを得た
細胞のうちT4-非リンパ球様細胞には、形質転換してい
ないL細胞、ヒト繊維芽細胞(GM)、ヒト神経芽腫細胞
(NB)並びにHeLa細胞が含まれる。CB、CP58及びCP94
は、EBV形質転換ヒトB細胞系である。LTD−4はT4+
次L細胞形質転換体である。RPMI及びHSB2はT4-ヒト白
血病T細胞系であり、E+細胞及び胸腺リンパ球(Thy
m.)はT4+T細胞を含む。OT−CLL、Jurkat(Jurk.)、Fr
o 2.2、CEM及びMolt 4はT4+T細胞である。gλM4は、T4
遺伝子の3′末端に及び(apanning)配列を含むゲノム
クローンである。 第5図:レトロウイルス発現構成体で形質転換したNIH
3T3細胞から得たT4糖タンパク質の免疫沈降 2個の独立のNIH 3T3形質転換細胞、末梢Tリンパ球
並びに形質転換していない3T3細胞から得てL−[35S]
メチオニンで標識したタンパク質をレンズマメレクチン
クロマトグラフィーに掛け、糖タンパク質を富化した。
各試料が2.5×106cpmであることを予め確保した後、OKT
4モノクローナル抗体及びプロテインA−Sepharoseで免
疫沈降させた。ビーズを洗浄し、試料緩衝液に溶解さ
せ、還元(レーンa〜d)及び非還元(レーンe及び
f)条件下に10%SDS−ポリアクリルアミドゲル中で電
気泳動させた。レーンaは形質転換していないNIH 3T3
細胞である。レーンbは、T4−pVcos7構成体で形質転換
したNIH 3T3細胞T4C2である。レーンc及びeは、T4−p
MV6tk/neo構成体で形質転換したNIH 3T3細胞3A+であ
る。レーンd及びfはヒト末梢Tリンパ球である。相対
分子量(Mr)は、キロドルトン単位で示す。 第6図:T4 cDNAのヌクレオチド配列並びにT4タンパク質
の翻訳配列 第3B図に概略的に示した配列決定法によって得られた
cDNAクローンpT4Bのヌクレオチド及び推定アミノ酸配
列。アミノ酸配列上に記した数字はアミノ酸残基位置を
示す。図中右手に記した数字はヌクレオチド位置を示
す。細胞外システインは総て、(●)あるいは(○)で
示してある。リーダー配列部(L)、可変様部(V)、
接合(joining)様部(J)、膜透過部(transmembran
e,TM、膜結合部)及び細胞質部(CYT)を配列下の水平
矢印によって示すが、正確な境界は不明である。2個の
可能なN結合グリコシレーション部位(Asn−Leu−Th
r)も示してある(CHO)。 第7図:SP6転写から得られるRNAのin vitro翻訳 完全長のT4 cDNAインサートをRNA発現ベクターpSP65
(Promega Biotec)中にサブクローニングした。線状化
したプラスミドDNAをSP6ポリメラーゼで転写し(40)、
L−[35S]メチオニンを含む小麦胚系(Bethesda Rese
arch Laboratories)においてRNAを翻訳した。in vitro
翻訳産物を10% SDS−ポリアクリルアミドゲル中で電
気泳動させた(レーンT4)。対照としてウシ下垂体RNA
(BP)を用いた。相対分子量(Mr)は、キロドルトン単
位で示す。 第8図:細胞膜を貫通するT4糖タンパク質の概略図 T4は、四つのタンデム型(縦に連なった)VJ様ドメイ
ン(V1J1〜V4J4)と、疎水性の膜横断セグメント(線形
部分)と、荷電細胞質部(CYT)とから成る。細胞外部
分に位置する2個の可能なN結合グリコシレーション部
位を(●)によって示す。T4遺伝子中のイントロン2〜
8の位置も、(▲)によって示す。 第9図:T4の可変部、接合部及び膜透過部と免疫グリブ
リン遺伝子ファミリー内の幾つかのメンバーとの整列
(alignment) A. T4の可変部アミノ酸配列と、マウスκL鎖免疫グロ
ブリンJ606(66)、T8(20)、ヒトT細胞抗原レセプタ
ーβ鎖YT35(97)及びヒトT細胞抗原レセプターα鎖HP
B−MLTα(98)との整列(位置合わせ)。L鎖可変部中
の不変残基を整列に含める(Inv.)。整列はT4との同一
性(identity)及び構造的相同性を最大にするべく実施
し、同一部及び相同部は残基を枠で囲って表してある。
記号A、B、C、C′、D、E、F及びGを付与した配
列下法の線は、β鎖を構成する残基を示す(67)。β鎖
GはJ配列へと続く。 B. T4の接合部アミノ酸配列と、T細胞抗原レセプター
β鎖のコンセンサスJ配列、免疫グロブリンλ及びκL
鎖のコンセンサスJ配列並びにヒトT細胞レセプターα
鎖のJ配列(99)との整列。 C. T4の膜透過部とMHCクラスII β鎖(100)との整
列。推定される膜透過部(TM)を配列下方において示
す。 第10図:ヒト染色体DNAのT4遺伝子の制限ヌクレアーゼ
マップ 9個のエキソンの位置を、ゲノムクローンマッピン
グ、サザン法分析及びヌクレオチド配列決定によって決
定した。リーダー配列部(L)、可変様部(V)、接合
様部(J)、膜透過部(TM)及び細胞質部(CYT)を四
角く囲って示す。開始コンセンサス配列によって囲繞さ
れたメチオニンコドンは、リーダーエキソン(L)の始
まりに位置する(ATG)。終結コドンTGAは、第二の細胞
質エキソン(CYT)の最後に位置する。図示寸法はキロ
ベース(塩基)kbを単位とする。 第11図:組換え体レトロウイルス発現ベクター並びに形
質転換細胞の製造 A. 組換え体レトロウイルス発現ベクター。pMV7は、矢
印で示した向きにおいて直接繰返す2個のMoloneyマウ
ス肉腫ウイルスの長い末端繰返し配列(LTR)を含む。p
MV7はまた、HSVチミジンキナーゼプロモーター(tk)と
融合した細菌ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺
伝子(neo)を含む。T4(T4B)をコードする(70)かあ
るいはT8(T8F1)をコードする(20)完全長のcDNAイン
サートを矢印で示した向きにおいてEcoR I部位にサブク
ローニングして、T4−pMV7及びT8−pMV7をそれぞれ作製
した。コード配列を影付き領域によって示す。図示寸法
はキロベース(kb)を単位とする。 B. レトロウイルスに媒介される遺伝子の転移方法。 第12図:天然単位T4+細胞及び形質転換T4+細胞の感染効
率 連続的に10倍に希釈したAIDSウイルスを接種した細胞
を37℃に18時間保温し、洗浄し、マイクロカルチャープ
レートで培養した。感染培養物頻度を、感染12日後の酵
素結合免疫吸着検定(ELISA)によって決定した(4
6)。結果を、ウイルス希釈度の対数に対する陽性培養
物(%)のグラフとして描いた。感染ウイルス力価(ID
−50)は、培養物の50%がウイルスに対して陽性となる
時の稀釈度の逆数と定義する(47)。天然単位T4+細胞
には、フィトヘマグルチニン(PHA)で刺激した正常末
梢リンパ球 並びにT細胞系CEM が含まれる。T4+にトランスフェクションした細胞系に
は、HSB2−T4+T細胞 及びRaji−T4+B細胞 が含まれる。この実験では、T8+にトランスフェクショ
ンした細胞系HSB2−T8+及びRaji−T8+(□ □)に対照
として用いた。 第13図:T4+HeLe形質転換細胞でのシンシチウム形成 A. 単層HeLa−T4+形質転換細胞2×105個をAIDSウイル
ス産生性H9細胞2×104個と混合し、37℃に保温した。1
8時間後に培養物を調べた結果、単層シート中の90%を
上回る核がシンシチウム中に含まれたことが判明した。 B. 播種時点で混合培養物に、抗T4Aモノクローナル抗
体(1:20)を添加した。18時間後に培養物を調べた結
果、細胞融合が全く存在しないことが判明した。 培養物は、倍率160倍で撮影してある。 第14図:T4+形質転換細胞と結合したAIDSウイルスの流動
細胞計測法分析 A列:細胞(5×105個)を、フルオレセイン結合抗T4A あるいは抗T8 モノクローナル抗体と共に保温し、洗浄して、細胞蛍光
定量法(cytofluorometry)で分析した。 B列:細胞(5×105個)を、緩衝液 あるいはAIDSウイルス と共に保温し、洗浄し、かつフルオレセイン結合抗AIDS
ウイルス抗体と共に保温して、細胞蛍光定量法で分析し
た。 C列:細胞(5×105個)を、緩衝液と共に か、先に抗T4Aモノクローナル抗体と、次いでAIDSウイ
ルスと共に か、あるいは先に抗T8モノクローナル抗体と、次いでAI
DSウイルスと共に 保温した。洗浄後、フルオレセイン結合抗AIDSウイルス
抗体を加え、細胞を細胞蛍光定量法で分析した。 各細胞系の蛍光ヒストグラム(蛍光強度に対する細胞
個数)を水平方向に示す。 第15図:ヒト及びマウスの脳細胞、リンパ球及び骨髄細
胞から得たRNAのノザン法分析 A. ヒトRNA試料のノザン法分析。Raji(T4-B細胞
系)、U937(T4+単球細胞系)及びJurkat(T4+T細胞
系)から得たポリ(A)+RNA 1μg並びに大脳皮質から
得たポリ(A)+RNA 5μgを1%アガロース−ホルムア
ルデヒドゲル中で電気泳動させ、Hybond(Amersham)に
染め込ませ、32Pで標識したT4 cDNAインサートpT4Bで探
査した(70)。 B. マウスRNA試料のノザン法分析。3T3細胞(繊維芽細
胞系)、前脳及び後脳から得たポリ(A)+RNA 5μg並
びに胸腺リンパ球から得た全RNA 20μgを1%アガロー
ス−ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動させ、Hybondに
移し取り、32Pで標識したL3T4 cDNAインサートpL3T4Bで
探査した。 発明の詳細な説明 本発明は、T4糖タンパク質の少なくとも一部を含むア
ミノ酸配列をコードする単鎖核酸分子を提供する。本発
明の一具体例において、上記核酸分子は、ヒト免疫不全
ウイルスエンベロープ糖タンパク質との複合体を特異的
に形成し得るアミノ酸配列をコードする。本発明の別の
具体例において上記核酸分子は、T4糖タンアク質の少な
くとも一部であるアミノ酸配列をコードする核酸分子と
少なくとも90%相同である。本発明の更に別の具体例に
おいて核酸分子は、ヒト免疫不全ウイルスエンベロープ
糖タンパク質との複合体を特異的に形成し得るのに加
え、水溶液に溶解し得るアミノ酸配列をコードする。本
出願において“水溶液”には、界面活性剤を含有しない
水性緩衝液、並びに血液、血漿及び血清のような体液が
非限定的に包含される。また、“溶解性T4"という表現
は、水溶液に溶解し得るT4糖タンパク質フラグメントを
意味する。本発明の更に別の具体例では、核酸分子はヒ
トT4糖タンパク質の少なくとも一部であるアミノ酸配列
をコードする。 本発明はまた、T4糖タンパク質の少なくとも一部を含
むアミノ酸配列をコードする単鎖核酸分子と相補性であ
る核酸分子を提供する。この相補的核酸分子は、検出可
能なマーカーで標識することができる。検出可能な上記
マーカーは本発明の係わる分野の当業者には公知であ
り、そのようなマーカーには、検出可能な酵素、放射性
に標識された物質、蛍光物質並びに科学発光物質が含ま
れる。 単鎖核酸分子はDNA分子であり得る。本発明の一具体
例において、上記DNA分子は、第10図に示した制限酵素
マップによって表されるゲノムDNA分子の少なくとも一
部を含む。本発明の別の具体例において単鎖核酸分子
は、第6図に示した核酸配列の少なくとも一部を含むcD
NA分子であり得る。本発明の特定具体例において、cDNA
分子は、ヒト免疫不全ウイルスエンベロープ糖タンパク
質との複合体を特異的に形成し得、かつ水溶液に溶解し
得るアミノ酸配列をコードする。このcDNA分子は、第6
図に示した核酸配列の少なくとも一部を含む。 本発明は更に、T4糖タンパク質の少なくとも一部を含
むアミノ酸配列をコードうるRNA分子を提供する。 本発明は、T4糖タンパク質の少なくとも一部であるア
ミノ酸配列をコードする単鎖核酸分子を検出する方法も
提供する。この方法は、単鎖核酸分子を、T4糖タンパク
質の少なくとも一部であるアミノ酸配列をコードする単
鎖核酸分子と相補性である標識した単鎖核酸分子と、相
補的単鎖核酸分子同士のハイブリッド形成を可能にする
条件下に接触させることを含む。ハイブリダイズした核
酸分子を単鎖核酸分子から分離して、T4糖タンパク質の
少なくとも一部であるアミノ酸配列をコードする単鎖核
酸分子を検出する。本発明の一具体例において、検出す
る単鎖分子は染色体DNA由来のDNA分子である。染色体DN
Aは、リンパ球、骨髄細胞あるいは脳細胞から取得でき
る。リンパ球はT細胞であってもB細胞であってもよ
い。また、骨髄細胞は顆粒球(部位)あるいはマクロフ
ァージであり得る。 本発明は、T4糖タンパク質の少なくとも一部を含むア
ミノ酸配列をも提供する。本発明の一具体例において、
上記アミノ酸配列はヒト免疫不全ウイルスエンベロープ
糖タンパク質との複合体を特異的に形成し得る。本発明
の別の具体例では、上記アミノ酸配列はT4糖タンパク質
の一部と少なくとも90%相同で、かつヒト免疫不全ウイ
ルスエンベロープ糖タンパク質との複合体を特異的に形
成し得る。本発明の更に別の具体例では、T4糖タンパク
質の一部と少なくとも90%相同であるアミノ酸配列は、
ヒト免疫不全ウイルスエンベロープ糖タンパク質との複
合体を特異的に形成し得るのに加え、水溶液に溶解し得
る。 本発明はまた、T4糖タンパク質の一部である本発明の
アミノ酸配列を少なくとも1個含むペプチドを提供す
る。このようなペプチドを少なくとも2個含むポリペプ
チドも、本発明は提供する。 本発明の一具体例において、ヒト免疫不全ウイルスエ
ンベロープ糖タンパク質との複合体を特異的に形成し
得、かつ水溶液に溶解し得るアミノ酸配列は、ヒト免疫
不全ウイルス感染者処置用の治療薬として、即ちAIDS予
防薬として有用である。本発明の好ましい具体例におい
て、上記アミノ酸配列は第6図に示したアミノ酸配列
を、少なくともアミノ酸−23から最高でアミノ酸+374
まで含む。本発明のその他の好ましい具体例には、第6
図のアミノ酸配列を少なくともアミノ酸+287から最高
でアミノ酸+374まで含むアミノ酸配列、少なくともア
ミノ酸+182から最高でアミノ酸+286まで含むアミノ酸
配列、少なくともアミノ酸+112から最高でアミノ酸+1
81まで含むアミノ酸配列、並びに少なくともアミノ酸+
1から最高でアミノ酸+111まで含むアミノ酸配列が含
まれる。 本発明は、ヒト免疫不全ウイルス感染者処置用の治療
薬として有用な医薬組成物も提供する。本発明の医薬組
成物は、ヒト免疫不全ウイルスエンベロープ糖タンパク
質との複合体を特異的に形成し得、かつ水溶液に溶解し
得る本発明のアミノ酸配列と、医薬に許容可能なキャリ
ア(担体)とを含む。医薬に許容可能なキャリアは本発
明の関わる分野の当業者に公知であり、そのようなキャ
リアには0.01〜0.1M、好ましくは0.05Mのホスフェート
緩衝液や0.8%生理食塩水が非限定的に含まれる。 本発明は、ヒト免疫不全ウイルス感染者を処置する方
法も提供する。この方法は、上記感染者が感染したヒト
免疫不全ウイルス(本明細書ではAIDSウイルスとも呼
称)がT4+細胞に感染することを不可能にするべく、感
染者に、ヒト免疫不全ウイルスエンベロープ糖タンパク
質との複合体を特異的に形成し得、かつ水溶液に溶解し
得る本発明のアミノ酸配列と医薬に許容可能なキャリア
とを含有する医薬組成物を有効量投与することを含む。 本発明は、第6図に示した核酸配列の少なくとも一部
を含むcDNA分子によってコードされた精製ポリペプチド
も提供する。 更に本発明は、第6図に示した核酸配列の少なくとも
一部であるcDNA分子を含むベクターを提供する。本発明
の一具体例において、上記ベクターはプラスミドから成
る。本発明の別の具体例では、ベクターはウイルスから
成る。 本発明は、T4糖タンパク質の少なくとも一部であるア
ミノ酸配列の製造のための宿主ベクター系も提供する。
この宿主ベクター系は、適当な宿主中に本発明のプラス
ミドを含む。本発明の一具体例において、適当な宿主は
細菌細胞である。本発明の別の具体例において、細菌細
胞は大腸菌細胞である。本発明の更に別の具体例では、
適当な宿主は真核細胞である。本発明の更に別の具体例
において、真核細胞は哺乳類細胞である。本発明の更に
別の具体例では、真核細胞は酵母細胞である。本発明の
更に別の具体例において、適当な宿主は昆虫細胞であ
る。 本発明は、T4糖タンパク質の少なくとも一部であるア
ミノ酸配列を製造する方法も提供する。この方法は、T4
糖タンパク質の少なくとも一部の製造を可能にする条件
下に本発明の宿主ベクター系を増殖させること、及び得
られるT4糖タンパク質部分を回収することを含む。本発
明はまた、T4糖タンパク質の少なくとも一部であるアミ
ノ酸配列の製造のための宿主ベクター系並びに該製造の
方法を提供し、その際ベクターは本発明のcDNA分子並び
にウイルスを含む。適当な宿主には、例えば大腸菌のよ
うな細菌細胞、例えば哺乳類細胞及び酵母細胞のような
真核細胞、並びに昆虫細胞が非限定的に含まれる。T4糖
タンパク質の少なくとも一部であるアミノ酸配列は、ウ
イルス並びに本発明のcDNA分子を含む宿主ベクター系
を、T4糖タンパク質の少なくとも一部の製造を可能にす
る適当な条件下に増殖させることによって製造できる。
得られるT4糖タンパク質部分は、当業者に公知の方法で
宿主ベクター系から回収し得る。 本発明は、ヒト免疫不全ウイルスエンベロープ糖タン
パク質との複合体を特異的に形成し得、かつ水溶液に溶
解し得るアミノ酸配列との複合体を形成し得る物質も提
供する。本発明の一具体例において、上記物質は抵抗で
ある。本発明の別の具体例において、上記抗体はモノク
ローナル抗体である。本発明の更に別の具体例におい
て、モノクローナル抗体はヒトモノクローナル抗体であ
る。 本発明は更に、人間をヒト免疫不全ウイルスに対して
免疫感作するのに有用なワクチンを提供する。このワク
チンは、本発明のモノクローナル抗体と医薬に許容可能
なキャリアとを含む。有効免疫量の本発明ワクチンを人
間に投与することによって、ヒト免疫不全ウイルスを中
和し得る抗体の製造が惹起され得、それによって人間は
ヒト免疫不全ウイルスに対して免疫となり得る。 本発明は、本発明のモノクローナル抗体との複合体を
特異的に形成し得る物質も提供する。本発明の一具体例
において、上記物質はヒト免疫不全ウイルスエンベロー
プ糖タンパク質との特異的複合体を付加的に形成し得
る。本発明の好ましい具体例では、上記物質は、ヒト免
疫不全ウイルスエンベロープ糖タンパク質のレセプター
結合ドメインを認識し得るT4結合ドメインの“内部像”
を有するT4糖タンパク質抗イディオタイプ抗体を含む。 本発明は、本発明のT4糖タンパク質抗イディオタイプ
抗体と医薬に許容可能なキャリアとを含む医薬組成物を
提供する。本発明はまた、ヒト免疫不全ウイルス感染者
を、該感染者の感染したヒト免疫不全ウイルスがT4+
胞に感染することを不可能にするべく、T4糖タンパク質
抗イディオタイプ抗体と医薬に許容可能なキャリアとを
含有する本発明の医薬組成物を有効量投与することによ
って処置する方法も提供する。 本発明の提供する様々なAIDS予防及び免疫感作法は、
本明細書に開示した新規なペプチド、抗体及びDNA分子
の、特定分子との複合体を形成し、あるいは前記特定分
子とのハイブリッドを形成してAIDSウイルスの中和に有
効な免疫応答を惹起する能力に基づく。本発明の分子、
該分子の製造方法並びにAIDS処理方法は、本発明の理解
の一助とするべく以下に説明する実験及び実施例によっ
てより明瞭となり、その際該実験及び実施例は、本明細
書に付した“請求の範囲”各項に規定した本発明の範囲
を一切限定しないと看做されるべきである。 物質及び方法 細胞及び抗体 Ficoll−Hypaque密度勾配遠心法によって単離した末
梢血液白血球を分画して、ヒツジ赤血球ロゼット陽性
(E+)細胞とした。E+集団中のT4+及びT8+サブセット
を、抗T8抗体並びにアフィニティー精製したウサギ抗マ
ウスIgGと結合したヒト赤血球によるT8保有細胞の陽性
選択によって単離した(10)。単離したサブセットを細
胞蛍光定量法で分析したところ、T4+細胞は>95%T4+
び<2%T8+であり、一方T8+細胞は>95%T8+及び<2
%T4+であった。 Fro 2.2T細胞系(T3-、T4+、T8+、T11+)は未分化急
性白血病の成人患者から得た。JurkatはT3-、T4+、T
8+、T11-であり、RPMI 8402はT3-、T4-、T8-、T11+であ
る。OT−CLLは、T3+、T4+、T8-及びT11+である慢性リン
パ球白血病細胞である(22)。T4+細胞系CEM及びMolt 4
は、American Type Culture Collectionから入手した。
総ての白血病T細胞系は、5%ウシ胎児血清を含有する
RPMI 1640培地で連続的に増殖させた。形質転換B細胞
系CB、CP58及びCP94は先に述べたようにして取得した
(23)。 アフィニティーによって精製したウサギ抗マウスIgG
とヒト赤血球とは、塩化クロム法(24)で結合させた。 L細胞及びNIH 3T3細胞の同時形質転換 マウスtk-aprt-L細胞を、10%仔ウシ血清(Gibco)及
び50μg/mlジアミノプリン(DAP)を補ったDulbeccoの
改変Eagle培地(DME)中に維持した。形質転換の1日前
に、L細胞を10cm皿1個につき5×104個の密度で播種
した。Wigler et al.によって改良された(26)Graham
及びvan der Ebの方法(25)により、1皿当たり100ng
のpTK並びに20μgの高分子量T細胞あるいはL細胞DNA
を用いてリン酸カルシウム沈降物を製造した。翌日、L
細胞をDME中での10%仔ウシ血清、15μg/mlヒポキサン
チン、1μg/mlアミノプテリン及び5μg/mlチミジン
(HAT培地(27))による選択下に置いた。HAT選択の12
〜14日後、tk+形質転換細胞を、ロゼット形成アッセイ
を用いてスクリーニングした。 マウスNIH 3T3細胞は、10%新生ウシ血清(Gibco)を
補ったDME中に維持した。形質転換2日前に、NIH 3T3細
胞を10cm皿1個につき5×104個の密度で播種した。細
胞にリン酸カルシウム沈降物を、10μgのキャリアDNA
と、10μgのT4−pMV6tk/neoかあるいは10μgのT4−pV
cos7と、500ngのpSV2neoとを用いて付与した。2日後、
細胞をDMEでの10%仔ウシ血清及び500μg/ml G418(Gen
eticin(登録商標);Gibco)による選択下に置いた。選
択培地での増殖の1週間後、生存コロニーにロゼット形
成アッセイを実施した。 ロゼット形成アッセイ ホスフェート緩衝生理食塩水(PBS)で1回濯いだ
後、プレートを、5%ウシ胎児血清含有PBSで1/500に稀
釈した精製モノクローナル抗体OKT4A(1mg/ml)2.5mlと
共に室温に45分間保温した。PBSで3回穏やかに濯い
で、プレートから遊離抗体を除去した。精製ウサギ抗マ
ウスIgG抗体と結合したヒト赤血球(2%v/vストック懸
濁液、PBS/5%ウシ胎児血清で1/10に稀釈)6mlを添加
し、プレートを室温に放置した。45分後、遊離赤血球を
穏やかに吸い取り、ロゼット陽性コロニー検査前にPBS
を添加した。 細胞蛍光定量法分析 付着細胞をPBS中で0.005M EDTAによって取り、1%ウ
シ血清アルブミン(BSA)及び0.01%アジ化ナトリウム
を含有するPBS(細胞洗浄液(cytowash))で1回洗浄
した。0.1ml中の細胞(5×106個)を、OKT4、OKT8ある
いは対照抗体の適当な稀釈液の入った試験管に加えた。
細胞−抗体混合物を4℃に45分間保温し、その後細胞洗
浄液で2回洗浄した。フルオレセインイソチオシアネー
ト(FITC)と結合したヤギ抗マウスIgG+A+M(Cappe
l)を細胞に添加し、4℃に1時間保温した。次に細胞
を細胞洗浄液で3回洗浄し、0.01%アジ化ナトリウム含
有のPBS 0.5mlに再び懸濁させた。細胞をBecton Dickin
son FACS IV Cell Sorterで分析し、VAX 11/780コンピ
ューター(Digital Equipment Co.)を用いてデータを
蓄積し、かつ作図した。 RNA及びDNA単離 4Mグアニジニウムチオシアネート中で均質化し、続い
て5.7M CsCl層によって超遠心を異なうことによって、
細胞から全RNAを単離した(28)。オリゴ(dT)セルロ
ースクロマトグラフィー(タイプ3、Collaborative Re
search)によってポリ(A)選択を実施した(29)。
高分子量ゲノムDNAを、Wigler et al.(26)が述べてい
るようにして製造した。 cDNA及びゲノムライブラリー 二重鎖cDNAを、ヒト末梢T細胞由来のポリ(A)+RNA
から合成した(20)。EcoR Iメチラーゼ及びT4 DNAポリ
メラーゼで処理後、EcoR Iリンカーを用いて二重鎖cDNA
をλgt10のEcoR I部位にクローニングした(30)。Char
on 4ヒトゲノムライブラリーは、Dr.Tom Maniatis(Har
vard University)が大量に供与してくれた(31)。 サブトラクティドcDNAプローブの合成 32Pで標識したcDNAを、Davis et al.が述べているよ
うに一次形質転換細胞LTD−4由来のポリ(A)+RNAか
ら合成した(32)。cDNAを過剰量の未形質転換L細胞ポ
リ(A)+RNA(Rot=3000)にアニーリング後、ヒトcDN
Aを豊富に持つ単鎖配列をヒドロキシアパタイトクロマ
トグラフィーによって単離した(32)。フィルターハイ
ブリダイゼーションの前に、サブトラクティブcDNAプロ
ーブを第二ブタノールで濃縮し、かつTEで平衡化したG
−50 Sephadexカラムで脱塩した。 cDNA及びゲノムライブラリーのスクリーニング ヒト末梢T細胞ライブラリーを大腸菌C600/HFL上で、
またヒトゲノムライブラリーを大腸菌LE392上で培養(p
late)した。二重フィルターのスクリーニングを標準的
な操作(33)で実施し、50%ホルムアミド及び5×SSC
において42℃でハイブリダイゼーションを行なった。cD
NAライブラリーのスクリーンでは、137mmニトロセルロ
ースフィルター1個当たり6×104cpmのサブトラクティ
ドプローブを適用した。ゲノムライブラリーからのフィ
ルターを、ニックトランスレーションで製造した(34)
cDNAインサートとハイブリダイズした。68℃で複数回洗
浄し、最後の洗浄は0.2×SSCにおいて行なった。1〜2
日間、増感板を用いつつ−70℃でオートラジオグラフィ
ーを実施した。 DNA配列決定 pT4Bの制限フラグメントをM13ベクターmp18及びmp19
にサブクローニングした(35)。ジデオキシチェインタ
ーミネーシヨン法を用いて、配列決定反応を生起させた
(36)。配列決定法は第3B図に示す。 サザン法及びノザン法ハイブリダイゼーション 高分子量の細胞DNAを、製造者の薦めに従いDNA 1μg
当たり5単位の制限ヌクレアーゼで消化した(Boehring
er Mannheim)。試料(10μg)を0.8%アガロースゲル
で電気泳動させた。DNAフラグメントGeneScreen(New E
ngland Nuclear;(37))に移し取り、Church及びGilbe
rtが述べているようにしてハイブリダイズした(38)。 RNAを0.8%アガロース−ホルムアルデヒドゲル上に流
し(39)、GeneScreenに移し取った。製造者の提示する
操作に従ってノザン法ハイブリダイゼーションを実施し
た。サザン法でもノザン法でも、ハイブリダイゼーショ
ンはニックトランスレーションで製造したプローブとの
間で行なった。 SP6 RNAの合成及びin vitro翻訳 kb T4 cDNAをpSP65(Promega Biotec)のEcoR I部位
にサブクローニングし、かつHind IIIで直線化した。直
線化したプラスミドDNA(1μg)を、既に述べられて
いる(40)ように放射性同位体で標識したヌクレオチド
の不在下にSP6ポリメラーゼを用いて転写し、ただしそ
の際GpppG並びに標識していないGTPを転写用緩衝液に添
加した。反応混合物の1/10を、L−[32S]メチオニン
(Amersham)及び1μM S−アデノシルメチオニンを含
有する小麦胚系(Bethesda Research Laboratories)に
おいて翻訳した。in vitro翻訳産物に、後述のような還
元条件下でのSDS−ポリアクリルアミド電気泳動を行な
わせた。 細胞標識、レクチンクロマトグラフィー及び免疫沈降 細胞を先に述べた(41)ようにして、10%透析仔ウシ
血清並びに1mCiのL−[32S]メチオニン(Amersham)
を含有するメチオニンフリーのDME培地中で12時間増殖
させた。10mM Tris(pH7.4)、0.5%Nonidet P−40(Sh
ell)含有の150mM NaCl(TBS)、並びに0.2mMフェニル
メチルスルホニルフルオリド(Sigma)に細胞を溶解さ
せた。細胞溶解物を100,000×gで1時間遠心分離し、
上澄み液をHedo et al.の操作(42)に従ってレンズマ
メレクチンクロマトグラフィー(Pharmacia)に掛け
た。溶出液に、対照マウス腹水とプロテインA−Sephar
ose(Pharmacia)との混合物を用いた4℃で1時間の子
吸収(preabsorption)を1回、プロテインA−Sepharo
seのみを用いた4℃で1時間の予吸収を2回施した。次
に、各上澄み液2.5×104cpmを10μlのモノクローナル
抗体(約1mg/ml)及びプロテインA−Sepharoseと混合
し、ターンテーブル上で一晩4℃に保温した。その後ビ
ーズを、0.5%NP−40及び0.2%SDSを含有する冷たいTBS
で4回洗浄し、電気泳動試料緩衝液に再び懸濁させた。 ゲル電気泳動 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を、Laemmliの
操作(43)に従って実施した。免疫沈降物及びin vitro
翻訳産物を試料緩衝液に、2−メルカプトエタノールを
用いてかあるいは用いずに溶解させ、その後10%ポリア
クリルアミドゲルに載せた。増感板(DuPont Chemical
Company)を用いつつ、Kodak XAR−5フィルム上にオー
トラジオグラフィーを実施した。 同時形質転換及びロゼット形成アッセイ マウスΨ−2細胞(44)を、10%仔ウシ血清(CS)
(Gibco)を補ったDulbeccoの改変Eagle培地(DME)中
に維持した。形質転換の2日前に、Ψ−2細胞を10cm皿
1個当たり5×105個の密度で播種(plate out)した。
Wigler et al.の改良した(27)Graham及びvan der Eb
の方法(25)によってリン酸カルシウム沈降物を製造し
た。沈降物を、10μgのキャリアDNAと、10μgのT4−p
MV7かあるいは10μgのT8−pMV7とを用いて細胞に付与
した。2日後、細胞をDEM/10%CS及び500μg/ml G418
(Geneticin;Gibco)中での選択下に置いた。 選択培地での増殖の1週間後、生存コロニーにおいて
T4+あるいはT8+コロニーを同定するロゼット形成アッセ
イを実施した。ホスフェート緩衝生理食塩水(PBS)で
1回濯いだ後、プレートを、5%ウシ胎児血清(FCS)
含有のPBSで1/500に稀釈した精製モノクローナル抗体OK
T4AあるいはOKT8(1mg/ml;Ortho)2.5mlと共に室温に45
分間保温した。PBSで3回穏やかに濯いで、プレートか
ら遊離抗体を除去した。精製ウサギ抗マウスIgG抗体と
結合したヒト赤血球(2%v/vストック懸濁液、PBS/5%
FCSで1/10に希釈)6mlを添加し、プレートを室温に放置
した。45分後、遊離赤血球を穏やかに吸い取り、検査前
にPBSを添加した。T4+及びT8+Ψ−2クローンをコロニ
ー単離によって精製し、流動細胞計測法(フローサイト
メトリー)及びノザン法で分析した。 組換え体レトロウイルス製造及び感染 力価105cfu/mlの組換え体レトロウイルス株を産生す
るT4+及びT8+Ψ−2クローンを単離した。T4+あるいはT
8+Ψ−2クローンの集密的細胞単層に10mlの新鮮DME/10
%CSを加えることによって、ウイルスストック(株)を
製造した。24時間後培地を除去し、0.45μmフィルター
(Millipore)で過した。検査のため、5×105個の細
胞を8μg/mlポリブレン(Aldrich)の存在下に2mlのウ
イルス上澄み液(あるいは希釈液)と共に保温した。3
時間後、8mlの新鮮培地を添加した。感染の3日後、500
μg/ml G418を含有するDME/10%CSに細胞を再播種し、
2週間増殖させ、G418rコロニーについて評価し、かつ
用時(in situ)ロゼット形成法あるいは流動細胞計測
法を用いて表面T4あるいはT8発現に関しスクリーニング
を実施した。 先に述べたようなマウスΨ−AM細胞の感染に、Ψ−2
培養上澄み液を用いた。T4+あるいはT8+付着形質転換細
胞を、用時ロゼット形成アッセイ、続いてコロニー単離
を実施することによって精製した。付着しないT4+ある
いはT8+形質転換細胞は、蛍光活性化細胞選別(FACS)
によって精製した。非付着性ヒトリンパ球系(HSB2、RP
MI−T細胞;Raji−B細胞)及び付着性上皮細胞(HeL
a)をT4+あるいはT8+Ψ−AMクローン(10μg/mlマイト
マイシンCで2時間予処理;Sigma)との同時培養(co−
cultivation)によって感染させ、精製した。 濃度1.5mg/mlのG418に耐性な細胞系を選択した。ただ
し、HeLa細胞は1mg/mlを必要とし、繊維芽細胞は0.5mg/
mlを必要とした。組換え体アンフォトロフィックウイル
ス(Ψ−AM)を製造する全細胞培養物を、P3封じ込め条
件下に維持した。 AIDSウイルス HTLV−III/LAVのプロトタイプLAV株を、J.−C.Cherma
n(Institut Pasteur,Paris;(45))から得た。本研究
で用いたウイルス接種材料は、本発明者の研究室におけ
るウイルスの第二〜第五継代から得た。接種材料は、HT
LV−III/LAVに感染させ、かつフィトヘマグルチニン(P
HA)で刺激した末梢リンパ球の培養上澄み液であり、こ
の上澄み液は連続遠心法(300×gで7分間、続いて150
0×gで20分間)で収穫し、かつ液体窒素中に貯蔵し
た。結合研究のため、0.01M Tris、0.15M NaCl、1mM ED
TA、pH8.0においてRenograffin(E.R.Squibb)の15%ク
ッション上で90,000×gで90分間超遠心法を実施するこ
とにより、上記のように収穫した培養上澄み液からウイ
ルスを濃縮した。 抗HTLV−III/LAV試薬 HTLV−III/LAVに対する抗体を高レベルで有する血清
を、リンパ節障害を有する男性同性愛者から得た。この
血清の蛍光抗体法による特異性(46)、ウェスタン法分
析(47)及びラジオイムノ沈降(48)については既に述
べられている。IgGフラクションの一部を、フルオレセ
インイソチオシアネート(FITC;FITC:タンパク質比は1
0.7μg/ml)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HPO;
タイプVI;Sigma)並びに既に述べられている(47、49、
50、51)アガロースと結合させた。非免疫血清からのIg
Gの結合体を並行して製造した。 逆転写酵素アッセイ マグネシウム依存性粒状逆転写酵素(RT)活性を、7.
5mM Mg2+の存在下に(A)(dT)12-18(あるいは陰
性対照としての(dA)(dT)12-18)の鋳型プライマ
ーで測定した(52)。 細胞質AIDSウイルスの蛍光抗体法検出 培養細胞(0.1ml中に1×105個)をスライドグラス上
へ遠心分離し(Shandon Cytocentrifuge)、95%エタノ
ール及び5%酢酸中で−20℃で30分間固定し、かつPBS
(0.01M PO4、0.15M NaCl、pH8.0)を10分毎に3回換え
て再水和させた。スライドグラスをFITC−抗HTLV−III/
LAVの1/500稀釈液(19μg/ml)に、室温で30分間暴露し
た。その後、スライドグラスを洗浄し(10分毎に3回交
換)、PBS中の50%グリセロールと共にカバーグラスを
載せた。スライドグラスをエピ照射型Leitz Orthoplan
顕微鏡で、倍率630倍で調べた。上記条件下に、FITC−
抗HTLV−III/LAV試薬はHTLV−III/LAVに特異的である。
PHAで刺激した未感染細胞、Epstein−Barr(EB)ウイル
ス感染B細胞系、アデノウイルス感染細胞系、幾つかの
T細胞系、並びにHTLV−I及びHTLV−II感染細胞系は染
色しなかった。 AIDSウイルスイムノアッセイ(抗原捕捉アッセイ) これは、既に詳細に述べられている(47)サンドイッ
チイムノアッセイである。手短に言えば、抗HTLV−III/
LAV IgGで被覆したマイクロタイタープレートウェルに
培養上澄み液を添加する。プレート洗浄後、結合したウ
イルス抗原をHPO−抗HTLV−III/LAVで検出する。少なく
ともRTアッセイと同様の感度を有するこのアッセイは、
多数のドナーから得たPHA刺激リンパ球、EBウイルス感
染B細胞系、幾つかのT細胞系、ポリクローナル及びク
ローン化IL−2依存性T細胞系、骨髄細胞系K562、並び
にHTLV−IあるいはHTLV−II保有細胞系から得られる培
養上澄み液に関しては陰性である。陰性上澄み液を陰性
上澄み液から区別するカットオフOD490は、毎回のアッ
セイにおいて、同時に収穫した対照(未感染細胞培養
物)上澄み液に対して少なくとも10回繰返した測定値を
平均+2SDから決定した。 AIDSウイルス感染度(ID−50)アッセイ 感染性HTLV−III/LAVの滴定のためのマイクロカルチ
ャーアッセイは、既に詳細に述べられている(47)。手
短に言うと、PHAで刺激したリンパ球あるいは細胞系
(細胞2×106個/ml)に、ウイルス接種材料を10倍ずつ
連続的に稀釈した稀釈液を接種し、37℃に28時間保温す
る。その後細胞を洗浄し、マイクロカルチャープレート
(各稀釈液毎に培養基10〜20個:0.25ml培地において培
養基1個につき詳細1×105個)で培養した。3日おき
に100μlの上澄み液を除去し、新鮮培地に換えた。上
澄み液を、先に述べたような抗原捕捉アッセイによって
ウイルス抗原に関し評価した。感染性ウイルス力価(ID
−50)は、培養物の50%がウイルスについて陽性となる
稀釈の逆数と定義する(47)。 VSV偽型アッセイ 水疱性口内炎ウイルス(VSV;Indiana株、野生型)
を、既に述べられている(53)エンベロープ偽型に必要
なレトロウイルスを産生する細胞内で増殖させた。収穫
したVSVに高度免疫中和性ヒツジ抗VSV血清を添加し、偽
型でないビリオンを不活性した。偽型力価は、104〜105
PFU/mlであった。評価のため、VSV偽型に感染させるべ
き細胞2×105個を直径30mmの組織培養ウェルに接種し
た。HeLa、NIH 3T3及びL細胞はそのままで付着性であ
った。その他の種類の細胞は総て、50μg/mlポリLリシ
ンで基質を予め処理することによって付着した。1時間
のウイルス吸着後細胞を洗浄し、106個のミンクCCL64あ
るいはウシMDBK細胞を各ウェルに添加した。これらの細
胞は、二次VSV感染のための優れたプラークを提供する
が、偽型ビリオンによる感染に耐性である。プラーク指
示細胞を定着及び拡散させた後(約90分後)、単分子層
を寒天培地で覆った。感染2日後、VSVプラークを計数
した。細胞を(54)に述べられているように偽型添加30
分前に予め処理することによって偽型プラークの形成を
抑制するには、抗T4Aモノクローナル抗体(1:20)、抗H
TLV−III血清(1:10)あるいは抗HTLV−I血清(1:10)
を用いた。 シンシチウム誘導アッセイ 細胞2×105個を、HTLV−IIIに感染し、かつHTLV−II
Iを製造するH9細胞(55)2×104個と、10mm直径ウェル
で同時培養した。培養物を37℃に保温し、先に述べたよ
うに18時間後シンシチウム形成について調べた(54、5
6)。5個以上のシンシチウムを有する細胞を陽性であ
ると判定した。シンシチウム抑制は、播種時に混合培養
物に抗T4Aモノクローナル抗体(1:20)を添加すること
によってアッセイした。 細胞蛍光定量法分析及びAIDSウイルス結合 この方法は、既に詳細に述べられている(46)。手短
に言えば、細胞表面T4あるいはT8発現を、フルオレセイ
ンと結合した抗T4Aあるいは抗T8モノクローナル抗体(O
KT4A、OKT8)を用いた直接蛍光抗体法によって検出し
た。希釈/洗浄緩衝液は、0.1%ウシ血清アルブミン、
2%v/vAB+ヒト血清及び0.01%NaN3を含有する0.01M PO
4、0.15M NaCl、pH7.4であった。試薬は総て、最適(飽
和)結合について予め力価を測定した。細胞(5×105
個)を25μlのモノクローナル抗体稀釈液中で4℃に30
分間保温した。遠心法(300×gで7分間)で細胞を洗
浄し、生理食塩水中の1%パラホルムアルデヒド0.5ml
に再び懸濁させ、蛍光活性細胞選別機(FACS IV;Becton
Dickinson)で分析した。HTLV−III/LAV結合のため、
細胞5×105個をHTLV−III/LAV(10μl中に500ng)と
共に37℃に30分間保温した。洗浄した細胞を、フルオレ
セインと結合した抗HTLV−III/LAV 25mlに4℃で30分間
再懸濁させた。細胞を洗浄し、1%パラホルムアルデヒ
ドに再び懸濁させて、上記同様FACSによって分析した。
HTLV−III/LAV結合の抑制のため、細胞を抗T4Aあるいは
抗T8(2μl中に200ng)と共に4℃に30分間予め保温
し、続いてHTLV−III/LAV(10μl中に500ng)を37℃で
30分間添加した。細胞を洗浄し、フルオレセインと結合
した抗HTLV−III/LAVと共に保温し、洗浄し、パラホル
ムアルデヒドに再懸濁させ、上記同様FACSによって分析
した。 細胞表面の放射性ヨウ素化、免疫沈降及びゲル電気泳動 T4+NIH 3T3形質転換細胞の表面を、ラクトペルオキシ
ダーゼ法(18)によって次のように放射性同位体でヨウ
素化した。細胞4×107個を、0.5mM EDTA、2mCi Na125I
及び20μgラクトペルオキシダーゼを含有するPBS 1ml
に懸濁させた。懸濁の0、1、5、10及び15分後に10μ
lの0.03%H2O2を添加した。23℃で反応を生起させ、こ
の反応を、10mM NaI含有の冷たいPBS 50容量部中で2回
遠心分離することにより懸濁後20分に停止させた。標識
した細胞を分けて4本の試験管に入れ、上記のようにHT
LV−III/LAV(20μl中に2μg)と共に37℃に30分間
保温した。その後の洗浄及び取り扱いは0〜4℃で行な
った。洗浄した細胞を、1mlの界面活性剤含有溶解用緩
衝液(LB;0.2mMフェニルエチルスルホニルフルオリド、
5μg/mlアプロチニン、0.2mM EGTA、0.2mM NaF、0.2%
ナトリウムデオキシコーレート及び0.5%(v/v)Nonide
t P−40含有の0.02M Tris、0.12M NaCl、pH8.0)の添加
によって溶解させた。試験管を氷上に15分間維持し、30
00×gで20分間の遠心分離によって核を除去した。 吸収のため、ヒト抗HTLV−III/LAV IgG、ヒト非免疫I
gG、抗T4A抗体及び抗T8抗体のSepharose結合体を、既に
述べられている(48)ように製造した。溶解物を、200
μlのSepharose−非免疫ヒトIgGで回転下に1.5時間予
め吸収し、次いで20μlの(上記のような)Sepharose
結合体を用いて回転下に3時間免疫沈降させた。Sephar
ose吸収体を、LB、0.5M NaCl含有LB及び0.1%ナトリウ
ムドデシルスルフェート(SDS)含有LBで1回ずつ、都
合3回洗浄した。吸収された物質を、試料緩衝液(2%
SDS、5%2−メルカプトエタノール(v/v)、25μgブ
ロムフェノールブルー及び10%グリセロール(v/v)含
有の0.01M Tris、pH8.0)20μlを用いて65℃で30分間
溶離した。3%スタッキングゲルを伴った3.3〜20%勾
配のポリアクリルアミドゲル中で電気泳動を生起させ
(57)、オートラジオグラムをKodak XAR−5フィルム
を用いて現像した。 ウイルス抑制アッセイ 0分に、T4+JM T細胞2×105個をAIDSウイルスに暴露
した。インヒビター塩化アンモニウム(20mM)あるいは
アマンタジン(20mM)を、ウイルス感染の間の様々な時
点に添加した(0分、30分及び60分)。6時間後細胞を
洗浄し、新鮮な培地(RPMI/10%FCS)に再び接種した。
これらの薬剤のAIDSウイルス感染への影響を感染5日後
に測定した。ウイルス抗原を発現する培養物中の感染細
胞のフラクションを、先に述べたように蛍光抗体法での
顕微鏡観察(58)によって決定した。 RNA単離及びノザン法ハイブリダイゼーション 4Mグアニジニウムチオシアネート中で均質化し、続い
て5.7M CaCl層を用いて超遠心法を実施することによっ
て細胞から全RNAを単離した(28)。ポリ(A)選択
を、オリゴ(dT)−セルロースクロマトグラフィー(タ
イプ3;Collaborative Research)によって行なった(2
9)。 RNAを1%アガロース−ホルムアルデヒドゲル中で電
気泳動させ(39)、Hybond(Amersham)に移し取った。
製造者の提示する操作に従いノザン法ハイブリダイゼー
ションを実施した。α32P標識デオキシヌクレオチドト
リホスフェートでプローブをニックトランスレーション
して、0.5〜1×109cpm/μgの比活性とした(59)。 結果 T4 cDNAの単離 T4 cDNAの単離に用いた方法ではまず、表面にT4を発
現するL細胞形質転換体を形成する。T4+形質転換繊維
芽細胞のmRNAから合成したcDNAを消去式(substractiv
e)ハイブリダイゼーションによって富化し、T4をコー
ドするcDNAを末梢Tリンパ球のmRNAから成る。cDNAライ
ブラリーから単離するプローブとして用いた。T4+cDNA
クローンの存在をノザン法及びサザン法分析によって決
定し、最終的には該クローンのT4+表現型を受容細胞に
転移する能力によって決定した。これと同様の技術が、
T8タンパク質をコードする遺伝子の単離に以前用いられ
た(20)。 チミジンキナーゼ(tk)を欠損したマウスL細胞を、
tk含有プラスミドpTKとT細胞白血病細胞系HUT−102由
来ゲノムDNAとで同時形質転換させた(25、26)。T細
胞表面タンパク質を発現するtk+L細胞形質転換体を、用
時ロゼット形成アッセイによって同定した。tk+コロニ
ーをT4に対するマウスモノクローナル抗体に暴露し、そ
の後ウサギ抗マウス免疫グロブリンと結合した赤血球と
共に保温した。T4+形質転換細胞は、赤血球と特異的に
結合するために目に見える赤色を呈する。こうして、一
つの一次T4+形質転換細胞LTD−4が得られた。このクロ
ーンによるT4分子の発現は、細胞蛍光定量法分析によっ
て独立に確認した(第1図)。 T4+形質転換細胞LTD−4のmRNA集団は形質転換してい
ないL細胞のmRNA集団と、新たに形質転換した遺伝子の
発現以外相違しない。これらの配列は、T4+形質転換細
胞のポリ(A)+RNAから製造した高放射性cDNAを未形質
転換L細胞から得たきわめて過剰な量のRNAと共ににア
ニーリングすることによって富化した(32、60)。Rot
値が大きくてもハイブリッド形成し得ないcDNAをヒドロ
キシアパタイトクロマトグラフィーで単離し、λクロー
ニングベクターgt10中で構成されたヒト末梢T細胞cDNA
ライブラリーをスクリーニングするのに用いた。僅かに
ハイブリッド形成する4個のプラークを同定し、プラー
ク精製し、T4配列の存在について分析した。 上記クローンのいずれかがT4をコードしているかどう
か決定するため、まずT4+及びT4-末梢T細胞、白血病細
胞、胸腺リンパ球、L細胞形質転換体及び非リンパ球か
ら得たRNAを用いてノザン法分析を実施した(第2
図)。4個のクローンのうち1個は、T4+細胞にのみ存
在するRNAとハイブリッド形成した。このクローンは、T
4+形質転換細胞LTD−4に存在し、かつT4+末梢リンパ球
集団、様々なT4+白血病細胞系並びに胸腺リンパ球にも
存在する3kb RNAを検出する。形質転換していない繊維
芽細胞、T4-末梢リンパ球、HeLa細胞あるいはヒト神経
芽細胞種からのRNAとのハイブリッド形成は観察できな
かった。 上記クローンによって検出されるRNAの表現型は、該R
NAがT4をコードする可能性を損なわない。しかし、この
cDNAは0.6kbの長さしか有しないが3kbのmRNAとハイブリ
ッド形成する。従って、ヒト末梢T細胞cDNAライブラリ
ーを再びスクリーニングして、成熟メッセンジャーRNA
とほぼ同じ長さの3kbのインサートを有する1個のクロ
ーン(pT4B)を得た。このクローンの制限マップを、第
3A図及び第3B図に示す。 ゲノムパターン分析 次に、単離したcDNAクローンがT4+形質転換細胞から
のDNA並びにヒトDNAとはハイブリッド形成したが形質転
換していないマウスL細胞DNAとはハイブリッド形成し
なかったことを示すべくサザン法実験(37)を行なった
(第4図)。様々なヒト細胞からのゲノムDNA酵素BamH
Iでの開裂後、5個のハイブリッド形成フラグメントの
組を呈示する。予測どおり、T4配列は形質転換細胞LTD
−4において検出することができるが、形質転換してい
ないL細胞のDNAでは検出できない。遺伝子(6.6kb)の
3′末端に最も近いBamH Iフラグメントは、恐らくは組
込み事象の結果としてLTD−4には存在しない。そのう
え、リンパ球及び非リンパ球からのDNAと比較した場
合、このような低い分析レベルでは著しい転位は明らか
にならない。ハイブリッド形成フラグメントの分子量の
合計は33kbであり、このことはT4遺伝子が相当大きいこ
とを示唆している。上記領域を構成するゲノムクローン
の完全な組が得られ(後段参照)、これらのクローンの
制限分析によってBamH Iフラグメントの順序を求め(第
3A図)、遺伝子が大きいこと、及び相当の長さのイント
ロンを有するはずであることを確認した。 形質転換したマウス繊維芽細胞でのT4 cDNAの発現 単離したcDNAがT4をコードすることは、このクローン
が繊維芽細胞を形質転換後T4+表現型に変換し得れば、
それによっても証明されよう。染色体DNAのT4遺伝子は
大きく、かつ幾つかのゲノムクローンにわたる。従っ
て、cDNAクローンを、単一EcoR Iクローニング部位を挟
んで位置するMoloneyマウス白血病ウイルス長末端繰返
し配列(LTR)を有する二つのレトロウイルス発現ベク
ターpVcos7及びpMV6kt/neoに導入した(第3C図)。5′
−LTRはクローニング部位を通しての転写をプロモート
し、また3′−LTRは開裂及びポリアデニル化に必要な
配列を含む。ベクターpMV6tk/neoは、ネオマイシンホス
ホトランスフェラーゼ遺伝子のコード領域と融合したtk
プロモーターも含む。pVcos7を用いた構成体は連鎖して
いない選択可能モーカーでの形質転換を必要とし、一方
pMV6tk/neoは連鎖型同時形質転換を可能にするネオマイ
シン耐性マーカーを保持する。形質転換後に得られたNI
H 3T3細胞のneo+コロニーを、ネオマイシン類似物G418
を含有する培地で増殖する可能性によって選択し、かつ
ロゼット形成法を用いてスクリーニングして、細胞表面
でのT4の発現を検出した。このアッセイでは、pVcos7を
用いて得られたG418コロニーの約50%並びにpMV6tk/neo
を用いて得られたコロニーの75%がT4について陽性であ
った。ロゼット陽性コロニーを細胞蛍光定量法によって
更に分析し、形質転換細胞表面にT4が発現していること
を確認した(第1図)。 T4+形質転換繊維芽細胞及びTリンパ球が同じ分子量
のT4タンパク質を発現させることを示す代謝タンパク質
標識実験を行なった。形質転換していないNIH 3T3細
胞、T4+形質転換細胞及びTリンパ球をL−[35S]メチ
オニンの存在下に12時間標識した(41)。細胞を界面活
性剤に溶解させ、溶液をレンズマメレクチンカラムに通
して糖タンパク質を増量した(42)。結合した糖タンパ
ク質フラクションを溶離し、T4に対するモノクローナル
抗体を用いて免疫沈降させた(第5図)。還元条件下
に、Tリンパ球並びに2個の独立のT4+形質転換細胞か
らの抽出物において、相対分子量55kdで移動する糖タン
パク質を検出する。このタンパク質は、対照3T3繊維芽
細胞では検出できない。非還元条件下では、T細胞及び
形質転換繊維芽細胞において抗T4を用いて51kd糖タンパ
ク質を免疫沈降させた。 これらの実験は、形質転換細胞は抗T4によって免疫沈
降する55kd糖タンパク質を発現させ、この糖タンパク質
はTリンパ球表面に発現する糖タンパク質と同じ大きさ
を有することを示す。即ち、単離cDNAを用いたノザン法
及びサザン法分析の結果、並びに上記cDNAのマウス繊維
芽細胞にT4+表現型を付与する能力から、T細胞表面タ
ンパク質T4のコード配列全体がクローニングされたこと
が判明する。 T4 cDNAのヌクレオチド配列及び推定タンパク質配列 ジデオキシターミネーション法(35,36)を使用して3
kb cDNAインサートの二本の鎖を配列決定することによ
って、T4コード領域の完全ヌクレオチド配列を決定し
た。完全ヌクレオチド配列及び推定タンパク質配列を第
6図に示す。最も長い読取枠は、開始コンセンサス配列
PurNNATGPurで包囲された位置76のメチオニンコドンに
始まる(61)。この読取枠はヌクレオチド1374個を含む
長さであり、458個のアミノ酸を含むポリペプチドをコ
ードしている。このcDNAをRNA発現ベクターpSP6(40)
に挿入することによってこの読取枠の連続性(contigui
ty)を確認した。このベクターから合成されたRNAは、i
n vitro翻訳されると51kdの非変性タンパク質を合成す
る(第7図)。正確な分子量はヌクレオチド配列から予
想された。 T4は、リーダー配列と、タンデム形の4つの可変−接
合(V−J)様領域と膜横断部(membrane−spanning d
omaine)とから成り、各領域は、免疫グロブリン遺伝子
族(gene family)に属する種々のメンバーの対応領域
と相同性をもつ(62,63)(第6図及び第8図)。開始
コドンの直後には、Kyte−Dolittle疎水性基分布(hydr
opathicity)プロット(64)によって予想されたリーダ
ーペプチドに対応する疎水性残基の連鎖が続く。天然T4
タンパク質がプロセシングされる正確な位置を決定する
ことはできないが、既知の開裂パターンに基づいて、位
置(−1)のスレオニンの直後で開裂が生じると推定さ
れる(65)。従って、シグナルペプチドは23個のアミノ
酸を含み、プロセシングされたT4タンパク質は435個の
残基から成る。 成熟タンパク質の残基1〜94は、免疫グロブリンL鎖
可変部とアミノ酸的にも構造的にも相同である(第9
図)。このドメインと免疫グロブリン可変部とは全体と
して32%の相同性をもつ。L鎖免疫グロブリンのV領域
とT4のN−末端V様領域(V1)との配列を比較すると、
14個の不変残基のうちの8個が保存されていることが判
明した(66)。このドメインは67個のアミノ酸によって
隔てられた2つのシステイン残基を含み、これらの位置
及び間隔はL鎖免疫グロブリン及び関連分子で観察され
る位置及び間隔に類似している(67)。これらのシステ
インが、保存されたVドメインに特有の鎖内ジスルフィ
ド結合を形成し得るのであろう。この推論は、T4が還元
性条件下よりも非還元性条件下でより速く泳動する(こ
れは少なくとも1つの鎖内結合の形成と一致する。第5
図、レーンe及びf)というわれわれの観察によって支
持される。 個々のアミノ酸レベルでの相同以外にも、T4のV1ドメ
インは免疫グロブリン可変部と構造的特徴を共有してい
る。免疫グロブリンの可変部及び不変部は、一連の逆平
行β鎖が特徴的パターンに折り畳まれて2つのβシート
を形成する(67,68)。これらのβシートはジスルフィ
ドブリッジと特徴的疎水性相互作用との双方によって相
互保持されている。T4のV様ドメインの予想二次構造が
L鎖免疫グロブリンのVドメインの構造とどの程度似て
いるかを決定するために、平面上で構造の位置合わせを
行なった。また、Chou及びFasman(69)の実験に由来の
アルゴリズムを使用し、これらの配列中のβ鎖及びβタ
ーンの予想プロットを作成した。これらの分析は、免疫
グロブリンのVドメインで検出されたβ鎖と密接に対す
る7つのβ鎖がT4のV様領域を存在することを示唆する
(第9A図)。T4の2つの保存システインはβ鎖B及びF
の内部で検出され、免疫グロブリンの保存ジスルフィド
結合を形成する既知のV領域のシステインの位置と正確
に対応している。トリプトファン残基が第1システイン
の下流の12個目のアミノ酸として存在し、チロシン残基
が第2システインより2つ前のアミノ酸として存在す
る。これらの残基は夫々、L鎖V領域のβ鎖C及びFに
極めて特徴的である。更に、アスパラギン残基が第2シ
ステインの6つ前のアミノ酸として存在し、アルギニン
残基がβ鎖Dのベースとして存在する。これらの荷電残
基はV領域に極めて特徴的である(67)。最後に、交互
的疎水性残基のパッチがβ鎖全体に存在し、これは2つ
のβシートの相互作用を強化する。 T4のV1ドメインに続いて、免疫グロブリン及びT細胞
抗原レセプターの接合(J)領域と有意な相同性をもつ
アミノ酸残基の連鎖が存在する。第9B図においてはT4の
このJ様領域が免疫グロブリンL鎖とT細胞抗原レセプ
ターの2つの鎖とのコンセンサス接合配列に位置合わせ
されている。このJ様領域に続いて265個のアミノ酸連
鎖が存在し、これは更に、3つのVJ様ドメインに構造的
に分割され得、これらのドメインは、始原型免疫グロブ
リンVJ領域に対して統計的に有意な配列と構造上の相同
性をもつ(第6図及び第8図)。更に、この配列は、N
結合グリコシレーションが可能な部位を2つ含む(Asn
−Leu−Thr;第6図)。 細胞外ドメインに続いては疎水性(hydropathicity)
プロット(64)で予想された、疎水性及び中性のアミノ
酸残基だけを含む推定膜透過(transmembrane、膜結
合)配列が存在する。このセグメントは、クラスIIの主
要組織適合性(MHC)タンパク質のβ鎖の膜透過エキソ
ンに顕著な相同性をもつ(第9C図)。T4とMHCクラスII
のβ鎖との膜透過領域を位置合わせするとギャップがな
く48%の相同性をもつことが判明する。膜横断セグメン
トに後続する高電荷の40個のアミノ酸の配列は細胞質ド
メインを含む(第6図及び第8図)。 T4遺伝子:染色体上の位置及びイントロン−エキソンの
配置 T4 cDNAを使用してマウス−ヒト体細胞ハイブリッド
のパネルの分離パターンを分析し、ヒト中期染色体にin
situハイブリダイズすることによって(101)、染色体
上のT4遺伝子の位置を決定した。ゲノムブロット実験と
in situハイブリダイゼーションとによって、T4遺伝子
がヒト染色体12の短腕の上の領域12p12と12pterとの間
に存在することが判明した。 λクローニングベクターCharon4及びEMLB−3(31)
中で放射性標識pT4B cDNAインサート(70)を用いて構
築されたヒトゲノムライブラリーをスクリーニングする
ことによって、T4遺伝子を含むようにオーバーラップす
る一連のゲノムクローンが得られた。制限分析及びサザ
ンブロット分析の双方によってこれらのクローンの特性
決定を行なうと、これらのクローンが完全T4コード配列
を保有することが判明した。次に、ジデオキシターミネ
ーション法(35,36)を使用しゲノムクローンの特異的
フラグメントの配列決定を行なってT4遺伝子の完全なイ
ントロン−エキソン編成を決定した。 T4遺伝子は第8図及び第10図に示すごとく8個のイン
トロンによって分割された9個のエキソンを含む。第1
エキソンは5′−非翻訳領域とリーダーセグメントとを
含む。第1可変様部V1はヌクレオチド289に存在する大
きいイントロンによって分割されている(第6図)。従
って、V1J1ドメインは第2及び第3のエキソンによって
コードされ、V2J2、V3J3、V4J4及び膜透過(TM)ドメイ
ンの各々は別々のエキソン(エキソン4〜7)によって
コードされる。細胞質ドメイン(CYT)はイントロンに
よって分割され、細胞質ドメインの最終部分及び3′−
非翻訳領域は9番目のエキソンによってコードされる。 T4+及びT8+形質転換細胞の構築 AIDSウイルス感染におけるT4の役割を研究するために
使用した実験方法では、まず、ウイルス感染を支持でき
ない(ウイルスに感染することのない)T4-細胞系にT4
遺伝子を導入した。次に形質転換細胞のAIDSウイルス感
受性を試験し、T4によるウイルス感染媒介のメカニズム
を研究した。 表面タンパク質T4をコードする完全cDNAクローンをレ
トロウイルス発現ベクターpMV7中でサブクローニングし
た。発現ベクターpMV7(第11A図)は、直接反復してい
るMoloneyマウス肉腫ウイルスの長い末端リピート(LT
R)を2つ含んでおり、これらは単一のEcoR Iクローニ
ング部位で結合(flank)している。5′−LTRは、クロ
ーニング部位を通過する転写を構成的に(constitutive
ly)促進(プロモート)し、3′−LTRはRNAの開裂及び
ポリアデニレーションに必要な配列を与える。更に、pM
V7は、優性の選択可能マーカーである細菌性ネオマイシ
ンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo)のコード領
域に融合したヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモ
ーター(tk)を含み、これによって連鎖した同時形質転
換(linked cotransformation)と感染とが可能にな
る。 T4−pMV7を、欠陥ecotropic(同種指向性)及びampho
tropic(両指向性)プロウイルスを夫々含むNIH 3T3細
胞系であるψ−2及びψ−AM細胞に導入した(第11B図
(44,59)。両方の細胞系は、内因性ウイルスRNAをキャ
プシド内封入(encapsidation、パッケージング)する
ことはできないが、絶対のトランスに働くウイルス繊維
(obligate trans viral function)を全て与えること
はできる。これらの細胞系に対するT4−pMV7の安全なト
ランスフェクションの結果として、ヘルパーウイルスを
含まずにT4をコードする組換体レトロウイルス株が産生
される。これらの純粋ウイルス株は標的細胞でレトロウ
イルスを産生することなくマウス及びヒトの双方の細胞
にT4配列を有効に導入すべく使用され得る。 要するに、DNA媒介遺伝子運搬手順を使用してψ−2
細胞にT4−pMV7 DNAを導入した(第11B図(25,27)。ネ
オマイシン類似体G418(Geneticin(登録商標))を含
有する培地中での増殖能に基づいてNeo+陽性コロニーを
選択し、in situロゼット形成アッセイを使用し細胞表
面でのT4の発現に関してコロニーのスクリーニングを行
なった(20,70)。T4を発現するトランスフェクトψ−
2細胞のコロニーのうちから、105cfu/mlの力価で組換
体レトロウイルスを産生するコロニーを同定した。次に
T4+ψ−2クローンを使用し、マウスψ−AM細胞に感染
し得るレトロウイルスを生成した。104cfu/mlの組換体
レトロウイルス力価を生じるT4発現ψ−AMクローンを単
離した。マイトマイシン−C処理した(又は)ψ−AMク
ローンと(ヒト)細胞との同時培養によってT4+ヒト形
質転換体を産生した(第11B図)。次にT4+形質転換体を
ノザンブロット分析及び流動細胞計測法によって分析
し、T4が発現していること、及びT4が細胞表面に存在し
ていることを確認した。表面タンパク質T8を発現するコ
ントロール細胞系を同様にして構築した。 T4はAIDSウイルス感染に必須である 細胞をAIDSウイルス感染に感受性にするにはヒトリン
パ球の表面にT4タンパク質が存在するだけで十分である
か否かを決定するために、表面に初期Tリンパ球タンパ
ク質T1及びT11だけを発現する原始T細胞白血病細胞系H
SB2(71)の系質転換体をまず構築した。HSB2はT4及びT
8のいずれをも発現せず、T細胞抗原レセプター又は関
連T3タンパク質複合体も発現しない。細胞表面でT4又は
T8タンパク質を発現するHSB2の形質転換体を選択し、こ
れらを使用してAIDSウイルス感染に対するこれらの細胞
系の感受性を決定した。AIDSウイルスの感染を評価する
アッセイとして、逆転写酵素の発現(52)、免疫蛍光鏡
検による細胞の細胞質中のウイルス発現(46)、イムノ
アッセイを使用した培養上清中のウイルス抗原の検出
(47)及びフィトヘマグルチニン(PHA)−刺激末梢リ
ンパ球との上清サブカルチャーによる感染性ビリオンの
産生(46)を含むいくつかの異なる実験方法を使用し
た。これらのアッセイを使用してHSB2細胞系のAIDSウイ
ルス感染の証拠は観察されなかった(表I) また、AIDSウイルスレセプターを保有する非感染ヒト
細胞をAIDSウイルス産生細胞と共に培養すると広範囲の
細胞融合が生じることはこれまでに既に判明していた
(54)。このアッセイによれば、HSB2細胞をAIDSウイル
ス産生H9細胞と混合してもシンシチウムの誘発は生じな
いが(表I)、HTLV−I及びHTLV−II産生細胞と混合す
ると多量のシンシチウムが形成される(データ図示せ
ず)。 最後に、AIDSウイルスのエンベロープ糖タンパク質を
保有する水疱性口内炎ウイルス(VSV)の偽型を使用し
てウイルス侵入を試験した(表I)(53,54)。AIDSウ
イルス感染細胞がVSVで重複感染されると、ある程度の
割合の後代VSVが十分なAVDSウイルスエンベロープ糖タ
ンパク質と結合して超免疫−VSV血清による中和に抵抗
した。これらのVSV(AIDS)偽型ビリオンの宿主域はAID
Sウイルスに特異的なレセプターを発現する細胞に限定
されている。細胞への侵入及びビリオンの脱外被後にキ
ャプシドから放出された(transcapsidated)VSVゲノム
が複製され非偽型粒子を産生する。二次感染中には、感
染細胞から遊離した後代VSVがVSV(AIDS)偽型感染に耐
性の指示細胞(ミンクCCL64又はウシMDBK細胞)に侵入
してこれを破壊し、その結果形成されたVSVプラーク数
を測定する。従って、VSV(AIDS)偽型による感染は、
ウイルス侵入に対する定量的細胞変性プラークアッセイ
を与える(54)。このアッセイにおいて、HSB2細胞をVS
V(AIDS)偽型に暴露したときにバックグラウンド以上
のプラークは観察されなかった(表I)。HTLV−Iエン
ベロープ中にキャップシド化されたVSV RNAの偽型を用
いたコントロール実験によれば(VSV(HTLV−I))、
多数のプラークが観察され、これはHTLV−Iレセプター
を保有するHSB2細胞がVSVを有効に複製し得ることを示
す。これらの観察は、AIDSウイルスエンベロープ中にキ
ャプシド化されたVSVゲノムがHSB2細胞に侵入できない
ことを示す。 次に、機能的T4 cDNAをHSB2に導入するとこの細胞がA
IDSウイルス感染に感受性になるか否かを試験した(表
I)。HSB2−T4+形質転換体をAIDSウイルスに暴露し、
その結果生じた増殖性ウイルス感染を逆転写酵素活性の
発現(52)、免疫蛍光鏡検による細胞の細胞質中のウイ
ルスの発現(46)、イムノアッセイを使用した培養上清
中のウイルス抗原の検出(47)、及びPHA−刺激リンパ
球との上清サブカルチャーによる感染性ウイルスの産生
(表I)(46)によって決定した。コントロールHSB2−
T8+細胞はどのアッセイにおいても終始陰性であった。 更に、別のT4+ T細胞のAIDSウイルス感染効率につい
ても試験した。HSB2−T4+及びHSB2−T8+形質転換体、天
然単離T4+ T細胞系CEM及びPHA−刺激末梢リンパ球を系
列10倍希釈のAIDSウイルスに暴露し、洗浄し、マイクロ
カルチャープレートに播種(plate)した。ウイルス暴
露の12日後に感染培養物の頻度をイムノアッセイによっ
て測定した(第12図)(47)。このようにして、暴露培
養物の50%を感染させるために必要なAIDSウイルスの力
価(ID−50)を決定した。PHA−刺激末梢リンパ球のID
−50は天然単離T4+細胞又は形質転換T4+細胞系で観察さ
れた値より2〜3桁大きい。HSB2−T4+細胞の感染効率
は、天然単離T4+ T細胞系CEMで観察される値の約10倍で
ある(第12図)。コントロールHSB2−T8+細胞は試験さ
れた最高ウイルス力価でも感染に感受性でない。 また、VSV(AIDS)偽型のシンシチウム形成と複製と
の双方を支持するHSB2−T4+細胞の能力を試験した。HSB
2−T4+細胞をAIDSウイルス産生H9細胞と共生培養する
と、18時間以内にシンシチウム形成が容易に観察される
(表I及びII)。更に、培養物を抗T4Aモノクローナル
抗体で処理することによってシンシチウム誘発が阻止さ
れる(表II)。最後に、HSB2−T4+細胞をVSV(AIDS)偽
型に暴露すると、隣接の指示細胞を破壊する感染性VSV
粒子が産生される(表I及びIII)。更に、抗AIDSウイ
ルス抗体又はT4Aモノクローナル抗体で予処理するとプ
ラーク形成を阻害し得る(表III)。AIDSウイルス感染
の検出に使用された7つのアッセイのすべてにおいてコ
ントロールHSB2−T8+細胞は終始陰性である(表I、II
及びIII)。これらの観察は、未成熟ヒトTリンパ球中
にT4タンパク質が存在するだけでAIDSウイルス感染に必
要な必須機能が与えられることを遺伝的に証明する。 2×105細胞を2×104AIDSウイルス産生H9細胞(H9/A
IDS)と共生培養し、37℃でインキュベートした。18時
間後に培養物のシンシチウム形成を検査した。結果をシ
ンシチウム内部に含まれた核のパーセンテージの概数で
示す。−(シンシチウム無);++(25%);+++
(50%);+++++(90%);ND(測定不能)。播種
(seeding)のときに混合培養物に抗T4Aモノクローナル
抗体(αT4A;1:20)を添加するシンシチウム阻害アッセ
イも行なった。天然単離したT4+ T細胞系JM及び8166を
これらの試験のポジティブコントロールとして使用し
た。 2×105細胞をVSV(AIDS)偽型(53,54)と共に37℃
で1時間インキュベートした。次に細胞を洗い、VSV感
染に感受性でVSV(AIDS)に耐性の1×106のミンクCCL6
4又はウシMDBKのプラーク指示細胞を各ウェルに添加し
た。培養物を寒天培地に重ね、感染2日後にVSVプラー
ク数を測定した。VSV(AIDS)偽型プラーク形成を阻害
するために偽型(54)に暴露する前に抗T4Aモノクロー
ナル抗体(αTAA;1:20)又は抗AIDSウイルス血清(αAI
DS;1:10)で細胞を30分間予処理した。これらの実験で
は種々のヒト細胞型(54)に接種(plate)したVSV(HT
LV−I)偽型をコントロールとして使用した。VSV(HTL
V−I)偽型プラーク形成を阻害するために抗HTLV−I
血清(1:10)を使用した。結果をPFU/mlで示す。NDは測
定不能を示す。 AIDSウイルス感染はTリンパ球に限定されない 機能的T4 cDNAを2つのヒト非T細胞系、即ち子宮頚
癌に由来の上皮細胞系であるHeLa細胞(72)、及び、バ
ーキットリンパ腫患者に由来のBリンパ芽球様細胞系で
あるRaji(73)に導入した(第11B図)。レトロウイル
ス媒介遺伝子運搬以前にはこれらの細胞系は表面T4タン
パク質又はT4 mRNAを発現せず、また、AIDSウイルス感
染に感受性でない(表I)。更に、親細胞系はシンシチ
ウムの誘発を支持せず、またVSV(AIDS)偽型の感染・
増殖(plating)も支持しない(表I、II及びIII)。 対照的に、T4+ Raji及びHeLaの形質転換体は先に記載
したどの項目(表I)を基準にして判断してもAIDSウイ
ルス感染を支持する。Raji−T4+細胞に対するAIDSウイ
ルスの感染効率は、HSB2−T4+の場合とほぼ等しく、天
然単離T4+ T細胞系CEMに対する感染効率の約10倍である
(第12図)。更に、Raji−T4+及びHeLa−T4+細胞はAIDS
ウイルス産生H9細胞と同時培養されると、抗T4Aモノク
ローナル抗体で培養物を予処理することによって阻害さ
れるシンシチウムの誘発を支持する(表I及びII;第13
図)。更に、これらの細胞をVSV(AIDS)偽型に暴露す
ると感染性VSVが産生され、抗AIDSウイルス抗体又は抗T
4Aモノクローナル抗体で予処理することによって阻害さ
れるプラーク形成が生じる(表I及びIII)。これらの
アッセイのいずれにおいても、コントロールとして試験
したRaji−T8+及びHeLa−T8+の形質転換体は終始陰性で
ある(表I、II及びIII)。 従って、機能的T4遺伝子をヒトTリンパ球、Bリンパ
球又は上皮細胞に導入するためには、かかる細胞をAIDS
ウイルス感染に感受性にするだけでよい。これらの観察
から総合的に判断すると、in vivoで観察されたT4+ T細
胞指向性(tropism)は、T4分子の制限発現の結果とし
て生じたものであり、内部で該分子の発現が生じた細胞
型の性質には左右されない。 AIDSウイルスは表面T4タンパク質に結合する 上記の実験は、T4発現がAIDSウイルス感染に必要であ
るという遺伝的証明を与えるが、該ウイルスのライフサ
イクルにおけるこの分子の役割に関する情報は与えな
い。AIDSウイルス感染にT4の表面発現が必要であるとい
う観察は、T4がAIDSウイルスレセプターであることを示
唆する。従って、サイトフルオメトリイ(細胞蛍光光度
測定)を使用し、T4+及びT8+の形質転換ヒト細胞に表面
に対するAIDSウイルスの結合を試験した(表III;第14
図)。HSB2、Raji及びHeLa細胞のT4+又はT8+形質転換体
をAIDSウイルスと共にインキュベートした。ウイルス吸
収後、細胞を洗浄し、フルオレセイン結合抗AIDSウイル
ス抗体に暴露し、流動細胞計測法で分析した。このアッ
セイは、AIDSウイルスが表面T4を発現するヒト形質転換
体に有効に且つ特異的に結合するがT4-親細胞及びT8+
質転換体には結合しないことを証明した(第14図、B
列;表I)。T4+細胞に体するAIDSウイルスの結合は、
抗T4Aモノクローナル抗体とのプレインキュベーション
によって阻止することはできるが、抗T8モノクローナル
抗体とのプレインキュベーションによって阻止すること
はできない(第14図、C列)。更に、T4+形質転換細胞
をAIDSウイルスに暴露すると、T4糖タンパク質がウイル
スエンベロープ糖タンパク質と共に沈降し、これらの分
子間の物理的な直接結合を示唆する(データ図示せ
ず)。これらの結果は、AIDSウイルスが細胞表面でT4分
子に結合することを示し、また、この結合は試験したT4
+細胞型すべてにおいて生じるのでこの結合がその他の
T細胞特異的タンパク質と無関係であることを示す。 これまでの研究によって、エンベロープ被覆ウイルス
の異なる2つの侵入経路が説明されている(74,75,76,7
7)。ある種のウイルスは原形質膜と直接融合し、ヌク
レオキャプシドを細胞質中に放出する。ある種のウイル
スはレセプター媒介エンドサイトーシスによって取り込
まれる。エンドソームの酸性環境はウイルスエンベロー
プと液胞の境界膜との融合を促進する。エンドサイトー
シス経路によって細胞に侵入するウイルスによる感染
は、エンドソームを脱酸性化する弱塩基のごとき物質で
細胞を処理することによって阻害できる(58,78,79,8
0)。塩化アンモニウムの存在下でエンドソーム中での
融合は遮断される。しかしながら、リソソーム分解は減
速はされるが依然として進行する(80)。 従って、T4+ T細胞系JMのAIDSウイルス感染に対する
塩化アンモニウムの効果を試験した。塩化アンモニウム
が存在しない場合、AIDSウイルスに暴露されたJM細胞の
50%以上が感染5日後にウイルス抗原を発現しているこ
とが免疫蛍光鏡検で観察された。ウイルス添加と同時又
はウイルス添加後30分以内にJM細胞を塩化アンモニウム
暴露(6時間)すると95%を上回るウイルス感染阻害が
観察された。しかしながら、ウイルス添加の1時間後に
塩化アンモニウムで細胞を処理しても感染阻害は全く観
察されなかった。この観察は、レセプター媒介エンドサ
イトーシスを介して細胞に侵入する別のウイルスで説明
されたウイルス侵入動態(kinetics)と完全に一致す
る。また、塩化アンモニウムの効果は完全に可逆的であ
る。1時間塩化アンモニウムに暴露し次にこの化合物が
なくなるまで洗浄しAIDSウイルスに暴露した細胞は、コ
ントロールレベルのウイルス感染を支持した。これらの
結果は、塩化アンモニウムを除去するとエンドソームの
pHが1〜2以内に初期の低い値に戻るというこれまでの
観察(78,80)と一致する。エンドソームを脱酸性化す
る化合物であるアマンタジエンに関しても同様の結果が
得られた。 これらの結果は、ウイルス侵入のメカニズムと一致す
る。即ち、T4−AIDSウイルス複合体のエンドサイトーシ
スが生じ且つ低pHでウイルスエンベロープとエンドソー
ムの境界膜との融合が誘発され、細胞の細胞質中にウイ
ルスヌクレオキャプシドが放出される。 T4 mRNAは脳において発現される AIDSは細胞免疫系を破壊する以外にしばしば中枢神経
系(CNS)の疾患を生起する。これは脳細胞にAIDSウイ
ルスが直接感染するためであると考えられている(8
1)。従って、T4がCNS内部の細胞中で発現するか否かを
決定することは極めて重要であり、これがウイルスの向
神経性の説明を与える。ヒト及びマウスの脳から得られ
たRNAのノザンブロット分析を行なって、T4 mRNA配列が
CNS中で発現しているか否かを決定した(第15図)。ヒ
ト大脳皮質由来のPoly(A)+ RNAは、夫々分子量約3
及び1.8kbの異なる2つのT4 mRNAを含む(第15A図)。
より少ない3kb RNAのサイズは、2つのT4+白血病細胞
系、即ちU937(単球細胞系)及びJurkat(T細胞系)並
びに末梢Tリンパ球によって発現されるmRNAのサイズに
等しい。Tリンパ球には存在せずより多いがより小さい
1.8kb mRNAは、5′もしくは3′末端の選択的スプライ
シングによって生じたものであろう。 マウスの脳の特定領域からPoly(A)+ RNAを単離す
ることによってT4 mRNAの局在をより精密に分析した
(第15B図)。ネズミのT4相同体、L3T4をコードする放
射性標識cDNAと共にハイブリダイゼーションを行なう
と、マウス後脳サンプル中には存在しない2.2kb mRNAが
マウス前脳サンプルから集中的に検出される。2.2kb L3
T4 mRNAは大脳皮質、視床下部で検出され、線状体中に
最も豊富に存在し、小脳、脳幹又は脊髄には存在しない
(データ図示せず)。CNS中で検出されるこの2.2kb mRN
Aは胸腺細胞中のL3T4をコードする3.2kb mRNAより約1kb
小さい(第15B図)。これらの結果より、AIDSウイルス
が示す向神経性は脳細胞におけるT4分子の表面発現に起
因すると推定できる。前脳で検出されるmRNAのレベルは
胸腺細胞中の値の約1/30である。これは、多くの細胞に
よる低レベルの発現、又は、少さい細胞亜集団によるよ
り高いレベルの発現を反映する。T4がニューロン又は支
持細胞によって発現されるか否かは今の処わかっていな
い。しかしながらCNS中の変異転写物の存在は、侵入し
難いTリンパ球によって脳のT4 mRNAが発現されるとい
う仮説を否定する。 考察 T細胞の機能的に異なるサブセットをもつT4及びT8の
分離は、Tリンパ球と適当な標的細胞との相互作用にお
いてこれらの分子が重要な役割を果たすことを示唆す
る。これらのタンパク質の特異的機能を理解する第1段
階として、T4分子及びT8分子の両方からcDNAクローンを
取り出し、これらのクローンのヌクレオチド配列を決定
した(20,70)。T4及びT8の推定タンパク質配列を比較
すると、これらの分子は免疫グロブリン可変部(V)と
の間に有意な配列的及び構造的相同をもち、免疫グロブ
リン超遺伝子系列(family)に所属すると考えられる。
しかしながら、T4とT8とは全く異なるN−末端V様ドメ
インをもつ。これらのドメインは28%だけの相同性をも
ち、従って、これらのドメイン相互間の相同性は免疫グ
ロブリンに対する夫々の相同性よりも小さい(第9A
図)。更に、T4とT8との双方の最大不変部は、免疫グロ
ブリン及びT細胞レセプターV領域に対して最も強い相
同性をもつ。従って、これらの2つの分子の免疫グロブ
リン様ドメインは構造的には同様であるが有意な配列分
岐(divergence)を示し、これらが標的細胞の異なるサ
ブセットの異なる分子を認識するという仮説と一致す
る。 T4及びT8のN末端ドメインが共有するV様領域の構造
的相同はこれらのタンパク質の機能に特に関連があるら
しい。免疫グロブリン超遺伝子系列に所属する遺伝子の
実質的に全部が免疫応答に関与する(62)。更に、該遺
伝子の各々は互いに結合して二量体を形成する傾向を強
く示す。この結合は、免疫グロブリンのH鎖及びL鎖、
並びに、T細胞抗原レセプター、β−マイクログロブ
リン及びクラスIのMHCタンパク質のα鎖及びβ鎖、並
びに、クラスIIのMHC分子のα鎖及びβ鎖の相互作用に
おいて明らかである。T8糖タンパク質はMHC様分子と推
定されるT6と胸腺細胞の表面でジスルフィド結合を形成
し(62)、末梢Tリンパ球に32kdのサブユニットの多量
体として存在する(83)。T4中の4つのV様ドメインの
存在は、これらの領域が互いに結合しまた別の細胞又は
ウイルスの表面で特異的配位子と結合することを示す。
免疫グロブリン様分子のこれらの特異的親和性はT4及び
T8の認識機能に必須であろう。 T4の進化 免疫グロブリン及びT細胞抗原レセプター遺伝子にお
いて、V様エキソン及びJ様エキソンはかなり隔たった
存在しており、体細胞組換事象後にのみ並列する(62,6
3)。T4 mRNAはDNA組換事象を要せずに連続する4つの
V様及びJ様エレメントをコードする。従って、T4は再
配列メカニズムの出現以前に発生したより原始的な遺伝
子を反映すると考え得る。この推定の裏付けとして、T4
の第1V様領域(VI)が免疫グロブリン又はT細胞抗原レ
セプターをコードするV遺伝子中に存在しないイントロ
ンで分割されているという最近の観察がある。これらの
証拠の積み重ねによって、イントロンが予め存在しない
環境にイントロンが挿入される可能性よりも、進化中に
イントロンが正確に除去される可能性のほうがはるかに
大きいことが示唆される。従ってT4は、複製、発散(di
vergence)及び再配列によって通常の免疫グロブリン遺
伝子系列を生成する祖先免疫グロブリン遺伝子を示すと
考えることができる。実際にはT4は極めて複雑な免疫系
で機能するが、T4がより原始的な細胞免疫応答において
機能するレセプターを反映すると考えることもできる。
向脊椎動物のごとき原始的な免疫応答では多岐にわたる
レセプター分子がなく、最も簡単な場合にはセルフとノ
ンセルフとの区別しかなく、再配列を生じない遺伝子の
「静止」セットによって調節されると推測される。 進化中のT4の経時的出現順序にかかわりなく、この遺
伝子の編成はエキソンシャッフリングの重要な例を示
す。T4は4つのV−J様ドメインと1つのJ様領域と1
つの膜横断セグメントとから成り、各部が、免疫グロブ
リン超遺伝子系列に属する種々の遺伝子の対応部に対す
る相同性をもつ。このV様及びJ様ドメインは免疫グロ
ブリン及びT細胞抗原レセプター鎖の対応する領域と相
同である。膜横断ドメインはクラスIIのMHC分子のβ鎖
中の対応領域とかなり相同である(第9C図)。従ってT4
は、免疫応答に関与する多数の異なる分子を生成すべく
種々の方法でシャッフルされる免疫グロブリン超遺伝子
系列に属するいくつかの遺伝子中に保持された一群のエ
キソンから成る。 T4はAIDSウイルスレセプターである 本文中に与えられたデータは、AIDSウイルスと細胞表
面のT4分子との特異的結合から始まるAIDSウイルスの感
染メカニズムを示唆する。この結合は、Tリンパ球、B
リンパ球及び上皮細胞で観察され、従って、付加的なT
細胞特異的タンパク質の関与は不要である。更に、本文
中に与えられたデータから判断すると、T4−AIDSウイル
ス複合体がレセプター媒介エンドサイトーシスを介して
取り込まれ、次にウイルスエンベロープがエンドソーム
の境界膜と融合し、細胞質にヌクレオキャプシドを放出
する。次に、リンパ系細胞株及び非リンパ系細胞株の双
方においてウイルスの複製及び転写が生じ得る。更に、
T4遺伝子は脳においてもリンパ球においても発現され
る。これがAIDSウイルスの向神経性と向リンパ球性との
二重性を説明する。このように、ヒトレトロウイルスが
エフェクター細胞−標的細胞の相互作用の媒介に重要な
Tリンパ球表面タンパク質を利用することによって、AI
DSウイルスがT4+細胞の集団を特異的標的とする。 多数のエンベロープ被覆ウイルスで細胞表面レセプタ
ーが同定されている。これらのレセプターの発現パター
ンが特定ウイルスの宿主域と指向性とをしばしば決定す
る(74,76)。いくつかのウイルスは狭い範囲の細胞型
にのみ感染し、これは特定の標的細胞集団に対するウイ
ルスレセプターの発現を反映する。例えば、狂犬病ウイ
ルスはニコチン性アセチルコリン受容体と相互作用し
(87)、骨格筋及びニューロンに大いに感染するが、エ
プスタイン−バールウイルスはC3d補体レセプタータイ
プ2(88)と相互作用しBリンパ球に感染する。別のウ
イルス、例えばミクソウイルスは細胞表面に普遍的に分
布したシアル酸残基と相互作用し、はるかに広い範囲の
細胞型に感染する。 細胞表面レセプターの制限発現は向ウイルス性の説明
の1つにすぎない。ある種のウイルスは限られたセット
の分化細胞型中でのみ複製され、別のウイルスは特定細
胞型中でのみ有効に転写されるであろう。従って、Molo
neyマウス白血病ウイルス(Mo−MuLV)は新生マウスの
T細胞リンパ種を誘発する。また、極めて近縁のフロイ
ンドヘルパーマウス白血病ウイルス(Fr−MuLV)は主と
して赤白血病を誘発する(89,90,91)。このような指向
性の違いは、有効な転写を容易に生起するためにTリン
パ球中のMo−MuLVゲノムがもつLTRと赤血球系前駆物質
中のFr−MuLVゲノムがもつLTRとが違うことに起因する
と考えられている(92,93,94)。 本文中で示したごとく、AIDSウイルスの指向性決定一
次要因は標的細胞の表面におけるT4タンパク質の発現で
ある。In vivo感染はリンパ系細胞、骨髄系細胞及び脳
細胞に限定される。これらがT4を発現する3つの集団で
ある。In vitro試験では、AIDSウイルスの天然標的でな
い細胞、即ちT4-ヒトBリンパ球及び上皮細胞にT4を導
入するとこれらの細胞がAIDSウイルスによる増殖性感染
に感受性になることが判明した。 実施例1:可溶T4フラグメント 限定プロテアーゼ消化を使用して細胞調製物から可溶
T4糖タンパク質フラグメントを調製する。又は、前記の
ごときT4フラグメントを産生するために、膜横断ドメイ
ン、すなわち中性残基及び疎水性残基を含む領域の欠如
したT4フラグメントをコードするDNA発現ベクターを構
築して使用してもよい。これらのフラグメントは水溶液
に可溶であり、リーダー(シグナル)配列を含む。哺乳
類細胞中で発現されると、これらのフラグメントは平滑
でない小胞体/ゴルジ複合体に運搬され任意に細胞から
分泌される。 実施例2:AIDS患者の治療 実施例1に記載の可溶T4糖タンパク質フラグメント
を、典型的には薬剤として許容される担体と混合してヒ
ト免疫不全ウイルス感染者に投与し、感染者の血液及び
その他の体液中に存在するウイルスに結合させ、T4+
胞のin vivo感染を遮断する。及び/又は、固定したT4
糖タンパク質又は可溶T4フラグメントをいれたカラムに
患者の血液を循環させウイルスを血液から分離してもよ
い。かかる処置によってウイルスに対する免疫系のより
有効な免疫応答が増進される。即ち、非感染T4+ T細胞
が増殖する。 可溶T4フラグメントは治療薬として、即ち、HIV感染
の細胞外伝播及び細胞間伝播を阻害するインヒビターと
して使用され得る。出願人等は、可溶T4フラグメントが
HIVウイルスによるT4+標的細胞へのin vitro結合及び感
染を阻害することを証明した(実施例4参照)。 HIV感染者に可溶T4フラグメントを投与するとウイル
ス感染の細胞外伝播が阻害される。更に、HIV感染T4+
胞と非感染T4+細胞との結合もウイルス伝播の経路とな
り得るが、可溶T4フラグメントの投与によって該結合も
阻害される。 従って、可溶T4フラグメントの投与は病気の進行を遅
くし、AIDS関連症候群のいくつかの症状を軽減し、新し
い病的変化の発生を阻止する。 生化学的に純粋な水溶性物質たる可溶T4フラグメント
は、T4−HIV相互作用の拮抗物質(competitor)アッセ
イ用の別の試薬と共に使用され得る。従って、可溶T4フ
ラグメントは、ウイルス結合のインヒビターをスクリー
ニングするために、HIVエンベロープタンパク質と共に
使用されるか又はHIVエンベロープタンパク質を含有す
る生化学的混合物と共に使用される。 実施例3:可溶T4フラグメントの産生 膜結合したT4タンパク質をコードするcDNAを含有する
プラスミド(pT4B)を単離し、特性決定し、種々の哺乳
類細胞型において発現させた(70)。可溶T4フラグメン
トは細菌、酵母、昆虫、哺乳類の系で産生される。天然
T4タンパク質は複雑に折り畳まれグリコシル化され易い
ので哺乳類系中で発現させるのが好ましい。pT4BをV4J4
ドメインの後で切断することによって可溶T4フラグメン
トが産生される。かかるDNAフラグメントはヌクレオチ
ド位置約1264(第6図)で始まる膜横断セグメントの前
で終結する。 分泌されたタンパク質フラグメントを過剰発現する細
胞系の構築によって可溶T4フラグメントの精製及び特性
決定は大いに進歩する。細菌、酵母、昆虫及び哺乳類の
系でタンパク質を過剰発現させる戦略が使用された。ま
た、構成的に(constitutively)発現されると有毒にな
り得るタンパク質を過剰産生するために、細菌及び酵母
中で誘発可能な発現系が使用された。可溶T4フラグメン
トの過剰発現に伴って、可溶T4発現ベクターが増幅さ
れ、その結果、構成的な過剰発現が生じる。漸増濃度の
薬剤メトトレキセート中の増殖によって得られるヒドロ
葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子の増幅が広く使用され
ている。メトトレキセートはdhfrのアンタゴニストであ
る。増幅ユニットがdhfrコード配列に限定されないの
で、この方法では外配列に隣接の配列の共増幅(coampl
ification)が生じる。従って、dhfrを選択可能マーカ
ー及び新しく導入された配列の同時増幅手段として使用
する。この戦略を使用してdhfrプラスミドと共形質転換
(cotransformation)された複数の異なる遺伝子の発現
を増加させることに成功した。別の増幅スキームでは、
可溶T4 cDNA発現ベクターとプラスミドpdLAT−3とのコ
トランスフェクションと前記のごとき選択スキームとを
順次用いる(102)。 組換DNA技術を使用し、ヒトcDNAクローンpT4B(70)
によってコードされたT4の分泌された可溶細胞外フラグ
メントの発現ベクターを産生する。塩基対1〜1252のpT
4B(第6図)は分泌タンパク質の合成に必要なT4のリー
ダーペプチドと、4つのVJ様ドメイン(V1J1〜V4J4)を
保有する細胞外部分とをコードするが、膜内にタンパク
質を固定する膜横断領域及び細胞質領域をコードしな
い。このベクターはHIV結合ドメインを含むT4タンパク
質の細胞外部分をコードする配列を含む。これらの配列
はSV40早期領域プロモータから下流に位置する。更に、
ウシ成長ホルモン遺伝子のポリアデニレーション領域の
直前のTAA終結コドンは、頭を切断したT4 cDNAから下流
に位置しており、タンパク質の合成終了、転写終了及び
RNA転写物のポリアデニレーションに必要なシグナルを
与える。得られた可溶T4ミニ遺伝子を次にマウスジヒド
ロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子に結合し、dhfr欠失
(dhfr−)のチャイニーズハムスター卵巣(COH)細胞
に導入後に増幅され得るプラスミドを生成する。 例えば、完全T4コード配列を含むpT4Bの1.8kbのEcoR
I−BamH Iフラグメントを哺乳類発現ベクターDSP(10
3)のStu I部位とBgl I部位との間に挿入する。該ベク
ターは、SV−40早期プロモータとウシ成長ホルモンポリ
アデニレーション配列とを含むように変性されている。
合成リンカーを使用し、pT4BのHae II(bp124)−Hpa I
I(BP1252)フラグメントをプラスミドpUC18のKpn I部
位とXba I部位との間に挿入する。可溶T4発現ベクター
は以下のフラグメントの結合によって得られる。 1.pT4Bの1.8kbのEcoR I−BamH Iフラグメントを含む変
性DSPの0.95kbのBgl II−Sac Iフラグメント(このセグ
メントはSV40早期プロモーターとT4リーダー配列と細胞
外T4配列のアミノ末端部分とを含む); 2.pT4BのHae II−Hpa IIフラグメントを含むプラスミド
pUC18の0.66kbのSac I−Xba Iフラグメント(このセグ
メントは細胞外T4配列のカルボキシ末端部分と、該末端
部分に続いておりバリン371(第6図)の後に挿入され
たTAA終結コドンとを含む);及び 3.ウシ成長ホルモンポリアデニレーション配列を含む変
性DSPの2.4kbのBgl II−Xba Iフラグメント。 最後に、Bgl II及びBamH I部位に結合(flank)され
たマウスdhfr発現カセットを含む別の変性DSPから得ら
れた2.2kbのBgl II−BamH Iフラグメント(βグロブリ
ンプロモーター−マウスdhfrコード領域−SV40ポリアデ
ニレーション領域)を、プラスミドのBamH I部位に挿入
して可溶T4発現プラスミドを生成させる。 dhfrの欠失したチャイニーズハムスター卵巣細胞のク
ローンDXB−11(104)に可溶T4発現プラスミドをトラン
スフェクトする。DXB−11形質転換体を次に、10%の透
析ウシ胎児血清を含むヒポキサンチン又はチミジン欠失
のF12培地で増殖する。クローンを選択し、dhfrのアン
タゴニストである段階増加濃度のメトトレキセート(mt
x)を使用し、新しく導入されたdhfr遺伝子と隣接の可
溶T4配列とを増幅した安定な形質転換体を選択する。 mtx中で増殖した選択クローンの培養上清を放射性免
疫沈降処理(radioimmunoprecipitation)して可溶T4フ
ラグメントを検出する。選択クローンの集密的培養物を
35S−メチオニン及びシステインで18時間放射性標識
し、培養上清をT4特異的モノクローナル抗体(OKT4、OK
T4A)とコントロール抗体OKT8と非特異的マウスIgGと共
に免疫沈降させる。免疫沈降液をSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動にかけフィルムに露光する。OKT4及び
OKT4Aを用いた場合、可溶T4フラグメントの予想サイズ
に相当する分子量45kdのタンパク質が培養上清から特異
的に免疫沈降する。 状態調整した培地(CM)を選択クローンの培養物から
無血清で収集し、低速遠心で透明にし、10倍に濃縮す
る。濃縮サンプルを2倍に希釈して塩濃度を下げ、pH6
に調整し、S−Sepharose(Pharmacia)で処理する。可
溶T4フラグメントをこのpHで樹脂に保持し塩濃度勾配で
溶出する。 細菌、酵母及び昆虫中でも同様に処理して可溶T4フラ
グメントを得ることが可能である。更に、前記フラグメ
ントより小さいサイズのフラグメント、例えばV1J1ドメ
インだけを含むフラグメントを産生することも可能であ
る 実施例4:可溶T4フラグメントを使用した結合及び感染ア
ッセイ 実施例3に記載のごとく調製した可溶T4フラグメント
が示すT4+細胞に対する拮抗能及び該T4+細胞に対するHI
V結合の阻害能を試験した。標的T4+ T細胞系CEMに添加
する前に、選択された可溶T4フラグメント産生細胞から
得た系列希釈度の10倍濃縮CMを系列希釈度のHIVウイル
スと共にプレインキュベートした。FITC結合抗HIV抗体
とのインキュベーション及びサイトフルオロメトリイー
分析を順次行なうことによってCEM細胞に対するHIVの結
合を定量した。選択された可溶T4フラグメント産生細胞
系からのCMは、CEM細胞の表面に対するHIV結合を希釈度
依存的に阻害した。対応する非産生細胞からのCMは応答
を全く示さなかった。 また、可溶T4フラグメントがもつT4+細胞に対するHIV
感染の阻害能をin vitro試験した。選択された可溶T4フ
ラグメント産生細胞系からのCMを、系列希釈度のHIVを
接種したPHA−刺激T4+ T細胞の培養物に添加した。前記
抗原捕獲アッセイを使用し、4、8及び12日目に培養物
中のHIV複製モニマーした。各モニター時期に可溶T4フ
ラグメントはHIV感染を約1log倍ずつ阻害していた。 実施例5:抗可溶T4フラグメント抗体の調製 等容の完全フロインドアジュバントと混合した50μg
の(前記のごとく調製された)本発明の精製可溶T4フラ
グメントを、8週齢のBalb/cマウスの腹膜組織内に注射
した。次にブースターとして、不完全フロインドアジュ
バントと混合した可溶T4フラグメントを毎月1回マウス
に注射し、尾の静脈から瀉血した。硫酸アンモニウム沈
降によって血清の免疫グロブリン分画を生成し、固定T4
フラグメントを使用したアフィニティクロマトグラフィ
ーによって特異的抗可溶T4フラグメント抗体を精製す
る。 実施例6:可溶T4フラグメント抗イディオタイプ抗体の調
製 同遺伝子型及び類似遺伝子型のマウスの腹膜組織内に
完全フロインドアジュトと混合した50μgの(前記のご
とく調製された)本発明の精製抗可溶T4フラグメント抗
体を注射し、ブースターとして不完全フロインドアジュ
バントと混合した抗可溶T4フラグメント抗体を毎月1回
注射する。融合の4、3及び2日前にブースターとして
50μgの免疫グロブリン生理食塩水溶液をマウスに静注
する。次に当業界で公知の手順で脾細胞をP3X63 AG8.65
3非分泌骨髄腫細胞と融合させる。2週間後、ラジオイ
ムノアッセイを用いた抗可溶T4フラグメント抗体に対す
る結合活性に基づいてハイブリドーマ上清をスクリーニ
ングする。陽性クローンについて、ヒト免疫不全ウイル
スエンベロープ糖タンパク質及びAIDSウイルスに対する
結合能の測定アッセイを行なう。又は、「1段階」手順
を使用し、完全フロインドアジュバントと混合した可溶
T4フラグメントをマウスの腹膜組織内に注射し、生理食
塩水と混合した可溶T4フラグメントをブースターとして
静注し、マウス脾細胞を前記のごとき骨髄腫と融合させ
る。次にハイブリドーマ上清に対して、可溶T4フラグメ
ント抗イディオタイプ抗体の測定アッセイを直接行な
う。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マドン,ポール・ジエイ. アメリカ合衆国、ニユー・ヨーク・ 10032、ニユー・ヨーク、ヘイブン・ア ベニユー・60 (72)発明者 リツトマン,ダン・アール. アメリカ合衆国、カリフオルニア・ 94114、サン・フランシスコ、リバテイ ー・ストリート・367 (72)発明者 チエス,レナード アメリカ合衆国、ニユー・ヨーク・ 10583、スカースデイル、グリーンエイ カーズ・アベニユー・81 (72)発明者 アクスル,リチヤード アメリカ合衆国、ニユー・ヨーク・ 10027、ニユー・ヨーク、リバーサイ ド・ドライブ・445 (72)発明者 ウエイス,ロビン イギリス国、ロンドン、フインチリー、 サイプラス・アベニユー・25 (72)発明者 マクドウガル,ジエイ.ステイーブン アメリカ合衆国、ジヨージア・30306、 アトランタ、スプリングデイル・ロー ド・818 (56)参考文献 Cell,Vol.42,pp.93− 104(1985)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.ヒト免疫不全ウイルスエンベロープ糖タンパク質と
    特異的に複合体を形成するものである、膜透過部(TM)
    及び細胞質部(CYT)を欠失させた可溶性ヒトT4糖タン
    パク質。 2.ヒト免疫不全ウイルスエンベロープ糖タンパク質と
    特異的に複合体を形成するものである、膜透過部(TM)
    及び細胞質部(CYT)を欠失させた可溶性ヒトT4糖タン
    パク質を含むHIV感染阻害用医薬組成物。 3.膜透過部(TM)及び細胞質部(CYT)を欠失させた
    ヒトT4糖タンパク質をコードする遺伝子により形質転換
    された形質転換細胞を用いて、ヒト免疫不全ウイルスエ
    ンベロープ糖タンパク質と特異的に複合体を形成する、
    可溶性ヒトT4糖タンパク質を生産する方法。
JP62505271A 1986-08-21 1987-08-20 T細胞表面タンパク質t4をコードするdna並びにt4フラグメントのaids治療への使用 Expired - Lifetime JP3134874B2 (ja)

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