JP3094254B2 - パルス制御カメラとその制御基準位置設定方法およびその製作時における機械的誤差調整方法 - Google Patents

パルス制御カメラとその制御基準位置設定方法およびその製作時における機械的誤差調整方法

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JP3094254B2
JP3094254B2 JP04070273A JP7027392A JP3094254B2 JP 3094254 B2 JP3094254 B2 JP 3094254B2 JP 04070273 A JP04070273 A JP 04070273A JP 7027392 A JP7027392 A JP 7027392A JP 3094254 B2 JP3094254 B2 JP 3094254B2
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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03BAPPARATUS OR ARRANGEMENTS FOR TAKING PHOTOGRAPHS OR FOR PROJECTING OR VIEWING THEM; APPARATUS OR ARRANGEMENTS EMPLOYING ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ACCESSORIES THEREFOR
    • G03B9/00Exposure-making shutters; Diaphragms
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルスモータの正逆方
向の回転駆動力によって一つの基本往復運動部材を正逆
方向に順次に回動させ、この基本往復運動部材の正方向
の回動により撮影レンズの繰り出し動作を行わせ、引き
続く逆方向の回動によりシャッタ機構を作動させる形式
のパルス制御カメラとその制御基準位置設定方法および
その製作時における機械的誤差調整方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】この形式のパルス制御カメラは、例えば
本出願人の出願に係る特開昭62−220939号公報
に開示されていて既に公知に属するものであるが、この
特開昭62−220939号公報の技術では、本発明の
基本往復運動部材に相当する羽根開閉リング(公報上符
号:13)または駆動歯車(公報上符号:42)を往復
回動可能に設けると共に、リーフスイッチから成るポジ
ションスイッチ(公報上符号:25)のオン・オフ動作
を信号としてこの羽根開閉リング13の基準位置(本発
明のホームポジションに相当する)を設定するようにな
し、羽根開閉リング13をこの基準位置から往復方向に
順次に回動させることによって撮影レンズの繰り出し動
作と露光動作とを行わせるように構成されている。
【0003】一方、このような構成のパルス制御カメラ
では、撮影動作の開始前または終了後において、羽根開
閉リング13を正確に基準位置に位置させ或いは復帰さ
せることがカメラとしての精度を高く維持する上での必
要事項となるが、このような技術、すなわち、装置自身
の精度を維持するために特定の運動部材を強制的に基準
位置に復帰させるという技術についても、例えば特開昭
60−235125号公報において既に開示されてい
る。
【0004】この特開昭60−235125号公報に開
示され技術では、シャッタ羽根としてのセクタ(公報
上符号:1)の開閉動作をステップモータ(公報上符
号:2)で行わせるカメラ用シャッタ装置において、シ
ャッタ羽根1が基準位置に位置していることを検出し得
る基準位置復帰検出手段(公報上符号:3)を予め設置
して置き、露光動作の前後において、この検出手段3を
利用してシャッタ羽根1が基準位置に位置しているか否
かを検出し、シャッタ羽根1が基準位置に位置していな
いときには、ステップモータ2を逆転させてシャッタ羽
根2を強制的に基準位置に復帰させ得るように構成し
て、シャッタ羽根2が開放状態に放置されるのを防止す
るようにしている。
【0005】また、撮影レンズの繰り出し動作やシャッ
タ羽根の開閉動作、さらには、フィルム給送動作などの
撮影シーケンスをモータ駆動力を利用して一貫して実行
する形式のカメラの場合には、シーケンス作動に要する
全体時間を出来るだけ短くしようとする努力が払われる
のが普通である。
【0006】例えば特開昭62−257136号公報で
開示されている技術がそれである。この特開昭62−2
57136号公報の技術では、シャッタ羽根開閉時のモ
ータ制御のパルスレートを撮影レンズ繰り出し時のモー
タ制御のパルスレートよりも高くすることにより、パル
スモータの小型化と併せて作動速度の高速化を実現する
ようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最先の
特開昭62−220939号公報に開示された技術で
は、リーフスイッチ25がメカニカルな動作でオン・オ
フ信号を発する構造であるため、弾性接片の腐食進行や
経年変化による弾性劣化(いわゆる、へたり)などが生
じる可能性が高くなって、これらの異常現象の発生がス
イッチのオン・オフ作用に悪影響を与えるという問題が
生じ、また、振動などの外的要因が加わるとスイッチの
オン・オフ作用が不確実になるという問題をも生じると
いう欠点があった。
【0008】さらに大きな問題は、このような異常事態
が生じた場合にも、ユーザーがそのことを知ることが出
来ないためにそれ以後の撮影を質的に劣化した状態で行
なわざるを得ないという事態を惹き起すという欠点のあ
ることである。
【0009】また、リーフスイッチ25の採用というこ
とは、製造面から見た場合にも種々の問題を生じさせて
いる。
【0010】すなわち、実際の製造に際しては、撮影レ
ンズ繰り出し機構やシャッタ機構などの個々の機構にそ
れぞれ公差内の誤差が生じる。この場合、それぞれの機
構に生じる誤差は、異なるのが普通であるから、それぞ
れに異なる誤差を有する撮影レンズの繰り出し機構およ
びシャッタ機構に対して羽根開閉リング13を正確に組
み合わせるには、ポジションスイッチ25の最終位置設
定作業を個々のカメラに対して手作業で且つ試行錯誤を
繰り返しながら調整を行う必要が生じることになる。
【0011】しかしながら、調整しながらの手作業とい
うのは、一方において製造コストの増大を招く大きな要
因となり、他方ではカメラの自動組み立てを阻害する原
因となるという大きな問題を惹き起す。
【0012】次に、特開昭60−235125号公報の
技術では、1つのステップモータによりシャッタ装置の
みを駆動制御する形式のパルス制御カメラについては、
その目的を達することが出来ても、本発明のように、撮
影レンズの繰り出し動作とシャッタ羽根の開閉動作とを
一つの基本往復運動部材の正逆方向への順次動作で行
い、しかも、この基本往復運動部材の駆動を1つのステ
ップモータにより行う形式のパルス制御カメラに対して
は、この技術をそのまま適用することが困難であるとい
う問題を惹き起こすことになる。
【0013】これは、機械的な部品を製作するときや組
み立てのときに生じる公差と呼ばれるメカ的誤差に起因
して生じる。
【0014】すなわち、機械的な部品である運動部材や
この機械的運動部材の変位量および停止位置等を検出す
るセンサ手段を製作するときには、公差と呼ばれる加工
時のメカ的誤差を伴うのが不可避であるが、このような
誤差が生じると、運動部材の基準位置を駆動パルスの1
パルス幅で検出することの出来ないセンサ手段が出現す
る可能性も出て来る。
【0015】このような検出精度を持つセンサ手段を用
いて本発明のような運動部材に対する基準位置の検出を
行なおうとすると、特開昭60−235125号公報の
技術では運動部材をその基準位置に正確にセットするこ
とが出来ないという問題が生じる。
【0016】一方、このような検出精度を持つセンサ手
段を用い且つ特開昭60−235125号公報の技術を
利用して、どのような状況下においても確実に運動部材
の基準位置を検出出来るように構成しようとすると、運
動部材の基準位置を少なくとも1パルス以上の幅で形成
しなければならなくなるが、若しこのように構成する
と、今度は、運動部材が基準位置の近傍に位置している
ことは検出することが出来ても、運動部材が正確に基準
位置に位置していることを検出することが出来ないとい
う逆の問題が生じて来る。
【0017】従って、このような二律背反的な問題が存
在する上記公報記載の技術を、そのまま単純に本発明の
パルス制御カメラに適用することは困難であると云わざ
る得ない。
【0018】一方、撮影シーケンスの作動速度を高速化
する場合には、単純にモータ制御のパルスレートを高く
することだけでは精度的に不充分になる場合が生じる。
【0019】例えば、絞り兼用のシャッタ羽根を使用し
て露出制御を行うようなカメラでは、シャッタ羽根の開
き動作をその途中で強制的に止めることにより絞り開口
を形成するようになっている関係で、シャッタ羽根の開
き動作を止めるタイミングの設定精度および機械的な作
動遅れのバラつきがそのまま開口形成時の精度に直接関
係することになる。
【0020】この場合、シャッタ羽根の開き速度が遅け
れば、それだけ停止タイミングの設定精度が高まり、ま
た、機械的な作動遅れのバラつきもその分だけ小さなも
のになるから、精度面から考えるとこのようにシャッタ
羽根の開き速度の低速化が有利になる。従って、作動時
間の短縮化という問題は、撮影シーケンスの作動精度と
の関係で考えなければならないことになるが、前述した
特開昭62−257136号公報の技術では、この点で
の考慮が不足しているため、この技術をそのまま本発明
のパルス制御カメラに転用することが出来ないという問
題を生じる。
【0021】また、カメラを高精度で作動させようとす
ると、製作コストとの関係で別の問題が発生する。云う
迄もなく、レンズの繰り出し動作を行う機械的手段や絞
り兼用シャッタ羽根の開閉動作を行う機械的手段など
は、機械的部材の組み合せで製作されることになるか
ら、機械的部材の機械加工や組み立てには製作誤差ない
し組み立て誤差が生じるのが普通である。
【0022】この場合、カメラの作動精度を高く維持し
ようとするときに、機械的部材の加工精度や組み立て精
度を高くして製作時の誤差を可能な限り小さく抑えると
いう方法でカメラの高精度化を図ろうとすると、製作コ
ストの著しい高騰を招くことになる。そのため、製作コ
ストの高騰を防ぎながらカメラの高精度化を実現し得る
方法の出現が望まれていた。
【0023】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、撮影レンズを撮影距離に応じた焦点合せ位置
まで繰り出し得る合焦手段と、少なくとも被写体輝度を
測光して得られた適正露出値に応じた適正絞り開口の位
置までシャッタ羽根を開き得るシャッタ開き手段とを、
1つのパルスモータを回転駆動することにより作動する
形式のパルス制御カメラにおいて、撮影シーケンスにお
ける作動精度を良好に維持しながらその作動時間の短縮
化を図り、カメラの精度を高く維持しながら製造時の作
業能率を大きく向上させ得ると共に、鏡胴回りの構造を
よりコンパクトに構成し得るパルス制御カメラとその制
御基準位置設定方法およびその製作時における機械的誤
差調整方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明に係るパルス制御カメラ
は、1つのパルスモータにより、制御基準位置からその
ときの測距値に応じた量だけ正方向に駆動された後に前
記制御基準位置に戻され、引き続いて、前記制御基準位
置から逆方向に駆動された後、再び前記制御基準位置に
戻される基本往復運動部材と、この基本往復運動部材が
前記制御基準位置から正方向に駆動されるとき、自身に
付与された付勢力に抗して、このときの正方向駆動量に
応じて駆動させられ、且つ、撮影レンズを前記測距値に
応じた量だけその光軸方向に変位させる距離設定運動部
材と、この距離設定運動部材が前記付勢力により逆方向
に駆動されるのを阻止するように、前記距離設定運動部
材と係合する方向に付勢され、前記基本往復運動部材が
逆方向に駆動された位置から前記制御基準位置に戻され
るときにのみ、前記基本往復運動部材により前記係合方
向付勢力に抗して押し回されて、前記距離設定運動部材
に対する係合を解除する逆動阻止手段と、前記基本往復
運動部材が前記制御基準位置から逆方向に駆動されると
きに、絞り兼用シャッタ手段のシャッタ羽根を開く方向
に作動させられ、且つ、前記基本往復運動部材が逆方向
に駆動された位置から前記制御基準位置に戻されるとき
に、シャッタ羽根を閉じる方向に作動させられるシャッ
タ開閉手段と、前記基本往復運動部材の位置を検出し得
るように前記撮影レンズの光軸と平行に配置された光電
検出手段とを有するように構成されていることを特徴と
するパルス制御カメラであって、前記制御基準位置の付
近に設定された所定近傍位置を、自身の出力信号の変化
として光電的に検出し得るように設けられた光電検出手
段と、前記パルスモータを正方向または逆方向に駆動す
ることによって、前記光電検出手段の出力信号が変化し
たときの位置を探査し得るように設けられた領域境界位
置探査手段と、 この領域境界位置探査手段が前記境界点
を探査したときに、前記光電検出手段 の出力信号が変化
した位置からさらに前記パルスモータを同方向に回転さ
せ前記パルスモータへの通電位相が予め定めておいた位
相になったとき前記パルスモータを停止させて前記制御
基準位置を電気的に設定するように設けられた電気的制
御手段とを含むように構成したことを特徴としたもので
ある。
【0025】また、請求項2に記載の発明に係るパルス
制御カメラは、前記光電検出手段を、前記制御基準位置
を光電的に検出し得る検出用光路を備え且つこの検出用
光路が遮断状態にあるときと通過状態にあるときとで光
電的な出力信号を変化させ得るような光電検出手段とし
て構成し、前記領域境界位置探査手段を、前記基本往復
運動部材の一部に突出的に設けられ、且つ、自身の幅が
前記パルスモータに付与される駆動パルスの所定数に対
応する前記基本往復運動部材の回動角換算幅として設定
され、前記基本往復運動部材が前記制御基準位置から焦
点合せ動作を実現する位置に向って回動するとき、並び
に、前記基本往復運動部材が前記制御基準位置から少な
くとも前記シャッタ羽根を露光開始基準位置に位置させ
る位置に向って回動するときに、自身の合焦側の幅端部
並びに露光側の幅端部が、前記光電検出手段の検出用光
路をそれぞれ遮断状態から通過状態に変えて前記光電検
出手段の光電的検知信号を変化させ得るように構成され
た信号発生部と、この信号発生部の合焦側の幅端部並び
に露光側の幅端部が前記光電検出手段の検出用光路を遮
断状態から通過状態に変えるときの時点を、少なくとも
制御基準位置算出点として設定すると共に、前記基本往
復運動部材が前記制御基準位置からこの制御基準位置算
出点に至るまでの回動量を前記パルスモータに付与する
駆動パルスの所定パルス数として設定し、前記基本往復
運動部材が前記焦点合せ動作を実現した位置並びに少な
くとも前記シャッタ羽根を露光開始基準位置に位置させ
たときの位置から前記制御基準位置に向って回動する過
程において、前記パルスモータが前記所定パルス数だけ
前記制御基準位置算出点から回転したときの位置を前記
制御基準位置として設定するように制御する電気的制御
手段とを有する領域境界位置探査手段として構成したこ
とを特徴としたものである。
【0026】また、請求項3に記載の発明に係るパルス
制御カメラは、前記領域境界位置探査手段の信号発生部
が正逆方向に回動するときの運動面を前記撮影レンズの
光軸を軸とする円筒面内に位置させるように設定して成
ることを特徴としたものである。また、請求項4に記載
の発明に係るパルス制御は、前記絞り兼用シャッタ手段
に、被写体輝度を測光してそのときの適正露出値を演算
する適正露出演算手段と、前記基本往復運動部材の正方
向回動に追従して、前記シャッタ羽根を前記適正絞り開
口の位置から前記露光開始基準位置に復帰させ得る復帰
付勢手段とを設け、前記シャッタ羽根を前記露光開始基
準位置から前記適正絞り開口の位置まで開かせるときに
は、前記適正露出演算手段で決定された適正露出値に基
づいて設定された時間で制御される前記基本往復運動部
材の逆方向回動動作で開かせるように構成し、前記シャ
ッタ羽根が前記適正絞り開口の位置から前記露光開始基
準位置まで閉じるときには、前記復帰付勢手段の付勢力
で閉ざすように構成したことを特徴としたものである。
【0027】また、請求項に記載の発明に係るパルス
制御は、前記基本往復運動部材を前記制御基準位置から
正方向に回動させる段階において前記パルスモータに付
与する駆動パルスの幅、前記基本往復運動部材を前記正
方向回動後の位置から前記制御基準位置に向って逆方向
に回動させる段階において前記パルスモータに付与する
駆動パルスの幅、前記基本往復運動部材を前記制御基準
位置から逆方向に回動させる段階において前記パルスモ
ータに付与する駆動パルスの幅、および、前記基本往復
運動部材を少なくとも前記シャッタ羽根の適正絞り開口
が形成されたときの位置から前記制御基準位置に向って
再び正方向に回動させる段階において前記パルスモータ
に付与する駆動パルスの幅の内、いずれか1つの段階に
おいて付与する駆動パルスの幅を、他の段階において付
与する駆動パルスの幅と異ならせるように構成したこと
を特徴としたものである。
【0028】また、請求項に記載の発明に係るパルス
制御カメラは、前記基本往復運動部材を前記制御基準位
置から正方向に回動させる段階において前記パルスモー
タに付与する駆動パルスの幅、前記基本往復運動部材を
前記正方向回動後の位置から前記制御基準位置に向って
逆方向に回動させる段階において前記パルスモータに付
与する駆動パルスの幅、前記基本往復運動部材を前記制
御基準位置から逆方向に回動させる段階において前記パ
ルスモータに付与する駆動パルスの幅、および、前記基
本往復運動部材を前記シャッタ羽根の適正絞り開口が形
成されたときの位置から前記制御基準位置に向って再び
正方向に回動させる段階において前記パルスモータに付
与する駆動パルスの幅の内、いずれか1つの段階におい
て付与する前記駆動パルスの幅を、その段階中で変化さ
せるように構成したことを特徴としたものである。
【0029】さらにまた、請求項に記載の発明は、
影レンズをそのときの撮影距離に応じた焦点合せ位置に
繰り出す動作と、シャッタ羽根を少なくともそのときの
被写体輝度に応じた適正露出値に基づく適正絞り開口の
位置まで開く動作とを1つのパルスモータにより駆動す
るパルス制御カメラの制御基準位置設定方法において、
前記撮影レンズを前記焦点合せ位置に繰り出すときの繰
り出し開始基準位置と前記シャッタ羽根を前記適正絞り
開口の位置まで開かせるときの露光開始基準位置との間
に前記カメラの制御基準位置を設定すると共に、この制
御基準位置の付近に少なくとも1つの所定近傍位置を設
定し、前記制御基準位置から前記所定近傍位置までの領
域と前記所定近傍位置から前記制御基準位置とは反対の
側に位置する外方領域との境界位置を光電検出手段の出
力信号の変化として光電的に検出し得るように構成し、
前記パルスモータを正逆方向の少なくとも一方の方向に
駆動して前記光電検出手段の出力信号が変化した位置を
探査し、 前記光電検出手段の出力信号変化により前記境
界位置を探査したときに、前記光電検出手段の出力信号
が変化した位置から所定の駆動パルス数を前記パルスモ
ータに付与することにより、前記制御基準位置を電気制
御的に設定するように構成したことを特徴としたもので
ある。
【0030】
【作用】上記のように構成されたパルス制御カメラは、
撮影レンズを撮影距離に応じた焦点合せ位置まで繰り出
し得る合焦手段と、少なくとも被写体輝度を測光して得
られた適正露出値に応じた適正絞り開口の位置までシャ
ッタ羽根を開き得るシャッタ開き手段とを、1つのパル
スモータを回転駆動することにより作動する形式のパル
ス制御カメラであって、少なくとも、自動測距手段から
の撮影距離情報に基づいてそのときの撮影距離を演算す
る被写体距離演算手段と、被写体輝度を測光してそのと
きの適正露出値を演算する適正露出演算手段と、パルス
モータの正逆回転駆動によって正逆方向に回動される基
本往復運動部材と、基本往復運動部材がそのホームポジ
ション(制御基準位置)の所定近傍位置に位置したとき
にその状態を出力信号の変化として検出し且つこの出力
信号の変化に基づいてホームポジションを演算的に設定
し得る光電検出手段と、撮影レンズをその繰り出し位置
に係止し且つ基本往復運動部材の所定方向(再度の正方
向)への回動動作により撮影レンズへの係止状態を解除
し得る逆動阻止手段と、この逆動阻止手段による撮影レ
ンズへの係止状態が解除されたときに撮影レンズを繰り
出し位置から繰り出し開始基準位置に復帰させるレンズ
復帰手段とをもって構成してある。
【0031】そのため、先ず被写体距離演算手段の演算
値に基づいて設定された所定の駆動パルス数をパルスモ
ータに付与することにより、付与した駆動パルス数に対
応した回動量だけ基本往復運動部材をそのホームポジシ
ョンから、例えば正方向に回動させて、撮影レンズを予
め設定された繰り出し開始基準位置からそのときの焦点
合せ位置まで繰り出す。
【0032】この場合、所定の駆動パルス数とは、ホー
ムポジションから起算された駆動パルス数またはホーム
ポジションから外れた位置に予め設定された起算開始位
置から起算された駆動パルス数をいう。
【0033】次に、この正方向回動の後に、基本往復運
動部材の正方向回動の際に付与された所定の駆動パルス
数と同数の方向性の異なる駆動パルス数、または、方向
性の異なる継続的な駆動パルス数をパルスモータに付与
して、基本往復運動部材を焦点合せ時の位置からホーム
ポジションに向って逆方向に回動させる。
【0034】この場合、撮影レンズは逆動阻止手段によ
りそのときの繰り出し位置に係止されるから、基本往復
運動部材だけがホームポジションに向って回動すること
になる。
【0035】さて、基本往復運動部材がホームポジショ
ンに向って逆方向に回動すると、基本往復運動部材は、
パルスモータに付与された所定数の駆動パルスにより基
本往復運動部材を回動させる場合には、その駆動パルス
数が達成された時点でホームポジションに復帰し、ま
た、継続的な駆動パルス数により基本往復運動部材を回
動させる場合には、基本往復運動部材がホームポジショ
ンの所定近傍位置に至ったときに作動する光電検出手段
のホームポジション設定作用によりホームポジションに
復帰する。
【0036】このようにして基本往復運動部材が、ホー
ムポジションに復帰すると、次に、基本往復運動部材
を、前記ホームポジションから少なくともシャッタ羽根
の前記露光開始基準位置まで回動させるのに必要な駆動
パルス数をパルスモータに付与する。
【0037】そして、この付与した駆動パルス数に対応
した回動量だけ基本往復運動部材をホームポジションか
ら逆方向に回動させて、シャッタ羽根を露光開始基準位
置に位置させるようにする。
【0038】この後、基本往復運動部材を時間制御また
はパルス数制御することにより、シャッタ羽根を露光開
始基準位置から適正露出演算手段で演算された適正露出
値により決定された適正絞り開口の位置まで開かせる。
【0039】そして、シャッタ羽根が適正絞り開口の位
置まで開いたときに、パルスモータを逆方向に回転させ
て基本往復運動部材をこの位置からホームポジションに
向って再び正方向に回動させる。
【0040】この場合、基本往復運動部材は、シャッタ
羽根を適正絞り開口まで開かせた位置から露光開始基準
位置を経て前記ホームポジションに向って回動するが、
この露光開始基準位置を過ぎた所定の位置まで回動する
と、基本往復運動部材が逆動阻止手段を作動させて逆動
阻止手段による撮影レンズへの係止を解除させる。その
ため、撮影レンズは、レンズ復帰手段によって繰り出し
開始基準位置に復帰する。
【0041】しかしながら、このようにして撮影レンズ
が、繰り出し開始基準位置に復帰した後も基本往復運動
部材の正方向への回動動作は続き、基本往復運動部材
が、ホームポジションの所定近傍位置に至ったときに光
電検出手段のホームポジション設定作用によってホーム
ポジションに最終復帰することになる。
【0042】
【実施例】以下、図示実施例に基づいて本発明に係るパ
ルス制御カメラについて、詳細に説明する。図1は、本
発明に係るパルス制御カメラの鏡胴部分を示す正面図、
図2は、図1における断面図、図3は、同じく図1にお
けるB矢視方向の部分側面図である。なお、各図におけ
る回転方向については、この例において時計方向を正方
向と表現し、反時計方向を逆方向と表現するものとす
る。但し、この逆の関係であってもよい。
【0043】図1〜図3に示すパルス制御カメラでは、
本来的には、無限遠距離から最至近距離まで連続してい
る撮影距離を予め複数区画(例えば31区画)に分割的
に設定し(いわゆる量子化し)、それぞれの撮影距離区
画に対する撮影レンズLの繰り出し量(焦点合せ量)
を、無限遠距離に対応する図2に示したレンズ初期位置
(繰り出し開始基準位置)から起算された複数段(例え
ば31段)の合焦ステップL1 〜L31として設定して置
き、焦点合せに際しては、撮影レンズLを撮影光軸(以
下、単に「光軸」という)Oに沿って図2のレンズ初期
位置から前方(図2におい左方向)に段階的に繰り出し
て、31個の撮影距離区画に対する焦点合せを行うよう
に構成されている。
【0044】すなわち、本来がアナログ的な撮影距離
を、デジタル的に焦点合せするように構成されている。
なお、設定する撮影距離区画および合焦ステップの数
は、無限遠距離から最至近距離までの範囲内に位置する
被写体を全て鮮鋭に撮影し得るように、各合焦ステップ
における撮影レンズLの被写界深度を考慮して決定する
ことになる。
【0045】1は、このパルス制御カメラの鏡胴固定部
で、その光軸O上に位置する領域に撮影光束を通過させ
るための撮影光束通過孔1aを備えている。
【0046】Lは後述するレンズ保持枠4を介して鏡胴
固定部1に内蔵された撮影レンズで、例えば図2に示す
ような1群構成のレンズ系から成る撮影レンズとして構
成されているが、この撮影レンズLのレンズ系を、例え
ば前群レンズおよび後群レンズから成る2群構成のレン
ズ系或いはそれ以上のレンズ群から成る多群構成のレン
ズ系として構成する場合には、図示の撮影レンズLを合
焦用の前群レンズとして構成すると共に図示なき後群レ
ンズを絞り位置(シャッタ羽根25および26の設置位
置)の後方光軸上に配置するように構成するものとす
る。
【0047】2は、光軸Oを中心として正逆方向に回動
し得るような状態で鏡胴固定部1に嵌合しているレンズ
繰り出し部材で、特許請求の範囲に記載した距離設定運
動部材の一部材を構成する部材として設けられている。
【0048】このレンズ繰り出し部材2は、光軸O上に
位置する領域に撮影光束を通過させるための撮影光束通
過孔2aを有し、さらに、その内部端面の3等分した領
域には、互いに協同してレンズ保持枠4を光軸Oに沿っ
て前方(図の左方向)に変位させるための、例えば3個
の面カム部2bが形成されている。
【0049】この場合、3個の面カム部2bは、前述し
た撮影レンズLの合焦ステップL1〜L31を正確に実現
し得るカム作用を果すことの出来る形状に形成されてい
る。そして、カメラが非作動の状態にあるときには、レ
ンズ初期位置に位置するように構成されている。
【0050】なお、図示実施例では、このレンズ初期位
置を繰り出し開始基準位置として設定してあるが、この
レンズ初期位置よりも微小量だけ繰り出したときの位置
を繰り出し開始基準位置として設定してもよい。
【0051】3は、光軸Oに対して互いに平行に鏡胴固
定部1上に植設された一対のレンズ保持枠案内ポール
で、各ポール3の先端近傍部分に鍔部3aを有する。4
は、レンズ繰り出し部材2の内部において撮影レンズL
を保持するレンズ保持枠で、その後半部分は、レンズ繰
り出し部材2に対し光軸O方向に相対変位し得るような
状態でレンズ繰り出し部材2の内部に収容され、自身の
後端面(図の右端面)4aがレンズ繰り出し部材2の面
カム部2bで押されたときに光軸Oに沿って直進的に変
位し得るように構成されている。
【0052】そして、カメラが非作動の状態にあるとき
には、図2のレンズ初期位置に位置するように構成され
ている。また、このレンズ保持枠4の外周部分のほぼ対
向する位置には2個の腕部4bが形成され、さらに、こ
の2個の腕部4bには、前述した2本のレンズ保持枠案
内ポール3にそれぞれ精密に嵌合する各1個の貫通孔4
cが形成されている。
【0053】そして、レンズ保持枠4が光軸Oに沿って
直進的に変位する際には、この2組のレンズ保持枠案内
ポール3と貫通孔4cとの嵌合作用によってレンズ保持
枠4を精密に支持し且つ案内し得るように構成されてい
る。
【0054】5は、レンズ保持枠4の後端面4aをレン
ズ繰り出し部材2の3個の面カム部2bに均等に圧接さ
せるための一対の付勢スプリングで、それぞれのレンズ
保持枠案内ポール3の外周にそれぞれ巻回されたコイル
スプリングとして、それぞれのレンズ保持枠案内ポール
3の鍔部3aとレンズ保持枠4の腕部4bとの間に設け
られている。
【0055】6は、撮影レンズLの焦点合せと後述する
絞り兼用シャッタ羽根25、26の開閉とを行うための
基本往復運動部材で、レンズ繰り出し部材2の外周部位
において、ホームポジション(以下、「HP」と略称す
るが、特許請求の範囲に記した「制御基準位置」に相当
する)を基準として光軸Oの回りを正方向(時計方向)
および逆方向(反時計方向)に回動し得るような嵌合状
態で鏡胴固定部1に設けられている。
【0056】この基本往復運動部材6の外周部位には、
例えば約120度の角度範囲に亘って形成された部分歯
車部61と、図2に示すように、先ず外周から半径方向
に突出しさらにその突出位置から被写界方向に突出する
ように屈曲された押動突起部62と、この押動突起部6
2の先端部分に形成された突起構造のHP信号発生部6
3とが形成されている。
【0057】この場合、部分歯車部61は、後述する減
速歯車36の小径歯車部36aと噛合するように構成さ
れ、また、押動突起部62の正方向側の側端面は、基本
往復運動部材6が正方向に回動した際に、後述するラチ
ェット基板9の被動端面9bを押動し得るような押動係
接面62aとして形成されている。
【0058】一方、HP信号発生部63は、図示実施例
では、光軸Oを中心とする円弧軌跡上を回動する円弧壁
部分を有する信号発生部として構成され、この円弧壁部
分が後述するフォトインタラプタ31の検出用光路上に
位置したときには、フォトインタラプタ31の検出用光
線33を遮断し、円弧壁部分がフォトインタラプタ31
の検出用光路から外れたときには、フォトインタラプタ
31の検出用光線33を自由に通過させ得るような構造
のものとして構成されている。
【0059】この場合、反時計方向を向いた円弧壁部分
の側端面(以下、「CCW側端面」という)63aが特
許請求の範囲に記された露光側の所定近傍位置となり、
また、時計方向を向いた円弧壁部分の側端面(以下、
「CW側端面」と63bいう)が特許請求の範囲に記さ
れた合焦側の所定近傍位置となるように構成されてい
る。
【0060】そして、図示実施例では、HP信号発生部
63の幅を、CCW側端面63aとCW側端面63bと
を限界とする円弧壁部分の角度的間隔(すなわち、基本
往復運動部材6の回動角換算幅)として設定すると共
に、その値を、後述のパルスモータ34に付与される2
種類の駆動パルスPM0、PM2を組み合わせたパルス
(以下、「組み合せパルス」と略称する)で複数のパル
ス数になるように設定してある。
【0061】具体的には、HP信号発生部63の幅を、
例えば組み合せパルスの13パルス(HPの1パルス分
を含む)に相当する基本往復運動部材6の回動角換算幅
となるように設定してある。
【0062】ところで、本実施例では、基本往復運動部
材6の設計上のHPを、このHP信号発生部63の幅方
向の例えば中央点に設定するように構成してある。すな
わち、HPからHP信号発生部63のCCW側端面63
aまでの幅とHPからCW側端面63bまでの幅とを、
それぞれ組み合せパルス数で6パルスに相当する回動角
換算幅に設定し、基本往復運動部材6がHP信号発生部
63のCCW側端面63aおよびCW側端面63bから
組み合せパルス数でそれぞれ6パルスだけ内側に回動し
た位置を基本往復運動部材6のHPとして設定してあ
る。
【0063】このように設定したのは次の理由による。
パルスモータに付与する駆動パルスの個数で撮影距離の
設定やシャッタ羽根の開閉を行うパルス駆動カメラで
は、或る機械的運動部材を運動させるために付与する駆
動パルスの個数を、所定の基準位置から起算するように
構成するのが普通である。
【0064】そして、このときカメラが設計値の通りに
製作されていれば、所定数のパルス数に対応した位置ま
で運動した機械的運動部材に所定数のパルス数と同じパ
ルス数だけ逆方向に付与すれば、機械的運動部材を前述
した所定の基準位置に復帰させることが出来る。
【0065】この場合、所定の基準位置を、例えば光電
検出手段を用いて設定するように構成したときには、輸
送間の振動や経年変化などによって機械的運動部材と光
電検出手段との相対位置が狂う虞れがあり、このような
ことが生じると、たとえ設計値通りの駆動パルス数をパ
ルスモータに付与したとしても機械的運動部材が設計値
通りに所定の基準位置に復帰しなくなる。
【0066】従って、この種のパルス駆動カメラを設計
する場合には、機械的運動部材を必ず設計値通りの基準
位置に復帰させるように構成しておくことが好ましい。
【0067】そのため、図示実施例では、HP信号発生
部63のCCW側端面63aおよびCW側端面63bが
フォトインタラプタ31の検出用光線33を遮断したと
きにフォトインタラプタ31が発生する出力信号H、並
びに、HP信号発生部63のCCW側端面63aおよび
CW側端面63bがフォトインタラプタ31の検出用光
線33を透過可能の状態にしたときにフォトインタラプ
タ31が発生する出力信号Lを利用して、機械的運動部
材を常に設計値通りの基準位置(図示実施例のHPに相
当)にまで復帰させるように構成している。
【0068】すなわち、基本往復運動部材6の設計上の
HPをHP信号発生部63の幅方向の略中間の位置に設
定すると共に、このように設定されたときのHPのパル
ス位相を、(例えば「HH」の位相として)予め記憶手
段に記憶させるように構成し、フォトインタラプタ31
からの出力信号がLからHに変った時点の後に現れる最
初の「HH」の位相を検出し、この「HH」の位相の次
に現れる「HH」の位相位置(図示実施例では、例えば
4パルス目の位置)でパルスモータ34を急速に停止さ
せることにより、基本往復運動部材6をそのときの位置
に停止させるように構成している。
【0069】この場合、基本往復運動部材6の停止した
位置が必ず上記記憶手段に記憶させた位相と同一の「H
H」の位相となるから、図示実施例では、この2番目の
「HH」の位相位置を基本往復運動部材6の制御上のH
Pとして設定すると共に、このHPから正逆方向に例え
ば6個のパルス数(具体的には5〜7パルスでもよい)
だけ離れた角度位置をHPの所定近傍位置として設定
し、さらに、HP信号発生部63のCCW側端面63a
およびCW側端面63bから、例えば6パルスの位置を
基本往復運動部材6のHPとして設定するように構成し
たのである。
【0070】このように、基本往復運動部材6のHP
は、HP信号発生部63のCCW側端面63aおよびC
W側端面63bから5個〜7個のパルス数に対応する角
度範囲内に設定すればよいので、HP信号発生部63の
CCW側端面63a、CW側端面63bとHPとの関係
については、HPを必ずしもHP信号発生部63の中央
位置に設定しなければならないというものではない。
【0071】さて、HP信号発生部63の構造は、光電
検出手段としてのフォトインタラプタ31の構成とその
出力信号処理の仕方によって種々の構造に変えることが
出来る。例えばHP信号発生部63を円弧状の空間部分
として形成し、その周囲部分を光線遮断部分として構成
することも出来る。
【0072】但し、この場合では、基本往復運動部材6
がHPの所定近傍位置に位置しているときにフォトイン
タラプタ31からの検出用光線33がこの空間部分を通
過し、基本往復運動部材6が周囲部分に位置するときに
検出用光線33がこの周囲部分で遮断されることになる
から、フォトインタラプタ31から出力される信号出力
は、図示実施例の場合と逆になることになる。
【0073】なお、基本往復運動部材6の正逆回動動作
並びに基本往復運動部材6がHPに位置しているか否か
の判定方法については、HP信号発生部63の具体的な
幅寸法をも含めて後述する。
【0074】7は、この基本往復運動部材6の外周近傍
の部位に植設または形成された第一係脱ピンで、基本往
復運動部材6が正逆方向に回動した際に、後述するリセ
ット部材16の逃げ傾斜面16aおよび解除被動部16
bと係接し得るように構成されている。
【0075】この場合、第一係脱ピン7の先端部分は、
図3に示すように、リセット部材16の逃げ傾斜面16
aと係脱可能に摺接し得る押動傾斜面7aとして形成さ
れている。
【0076】8は、第一係脱ピン7と同様に基本往復運
動部材6の外周近傍の部位に植設された第二係脱ピン
で、基本往復運動部材6がそのHPから逆方向に回動し
た際に、後述するシャッタ羽根開閉レバー20の突出腕
部20aと係接し得るように構成されている。
【0077】9は、光軸Oを中心として往復回動可能に
設けられたラチェット基板で、自身に形成された長円弧
孔9eと固定ねじ10とによって相対位置調整可能な状
態でレンズ繰り出し部材2に結合されるように構成され
ている。
【0078】この場合、ラチェット基板9とレンズ繰り
出し部材2との結合の仕方は、先ず、ラチェット基板9
を長円弧孔9eの範囲内でレンズ繰り出し部材2に対し
て左右に回動させて両者9、2間の相対位置を調節し、
その後、固定ねじ10を締め付けて両者9、2を完全に
固定するような順序で行うものとする。なお、このレン
ズ繰り出し部材2とラチェット基板9との2部材で特許
請求の範囲に記された「距離設定運動部材」を構成する
ことになる。
【0079】ところで、このラチェット基板9の外周部
位には、前述した長円弧孔9eの他に、付勢歯車11と
噛合する部分歯車部9aと、基本往復運動部材6の押動
係接面62aによって正方向(時計方向)に押圧される
被動端面9bと、後述のラチェット爪部材14の爪部1
4aと係合するラチェット歯列9cとが形成されてい
る。
【0080】さらに、ラチェット歯列9cには、撮影レ
ンズLの各合焦ステップ(図示はしないが「1
31 」のステップからなる)を実現するための31個の
合焦ステップ用係止歯(図示はしないが「9c1 〜9c
31 」の係止歯からなる)と、ラチェット基板9の初期位
置を定めるための初期位置ストッパ9dとが、いずれも
ラチェット基板9の逆方向(反時計方向)への回動を阻
止するような形状のものとして形成されている。なお、
各合焦ステップ用係止歯9c1 〜9c31の回動方向の長
さ(円弧上の長さ)並びに初期位置ストッパ9dの構造
については後述する。
【0081】11は、このラチェット基板9の部分歯車
部9aに噛合する付勢歯車で、鏡胴固定部1に植設され
た回転支持軸12によって回転可能に支持されており、
焦点合せ動作時には付勢ばね13を付勢し、シャッタの
閉じ動作後に引続く復帰動作には、その付勢ばね13に
より時計方向へ回動するように付勢されている。その結
果、付勢歯車11は、付勢ばね13の付勢力によって合
焦位置からホームポジションへラチェット基板9を回動
させるように作用することになる。
【0082】14は、鏡胴固定部1に植設された回転支
持軸15によって回転可能に支持されたラチェット爪部
材で、図3にも示すように、ラチェット基板9のラチェ
ット歯列9cの合焦ステップ用係止歯9c1 〜9c31
係脱可能に係合し得る爪部14aを有するように構成さ
れている。
【0083】このラチェット爪部材14は、焦点合せ時
にラチェット基板9がその初期位置から正方向(時計方
向)に回動したときに、ラチェット基板9をそのときの
焦点合せ位置に係止し、さらに、後述する絞り兼用シャ
ッタ羽根25、26の開閉後における基本往復運動部材
6の正方向(時計方向)への回動時に、第一係脱ピン7
およびリセット部材16の働きによりラチェット基板9
への係止を解除し得るように構成されている。
【0084】16は、弾性中継ぎ板17の先端部にイン
サート成形されたリセット部材である。この弾性中継ぎ
板17は、その他端部が2個所の熱融着結合部18でラ
チェット爪部材14の上面に熱融着されるように構成さ
れていて、これにより、ラチェット爪部材14、リセッ
ト部材16および弾性中継ぎ板17の三者が一体化した
部材となるように構成されている。
【0085】このリセット部材16の下面には、図3に
も示すような逃げ傾斜面16aと解除被動部16bとが
形成されている。この逃げ傾斜面16aは、第一係脱ピ
ン7が図1の位置から反時計方向へ回動されたときに、
第一係脱ピン7の押動傾斜面7aに押されてリセット部
材16を弾性中継ぎ板17の弾性に抗して上方に変位さ
せる働きをするような形状ないし構造に構成されてい
る。
【0086】また、解除被動部16bは、第一係脱ピン
7が図1に示す位置から一度反時計方向へ回動しその後
に時計方向へ復帰回動するときに、第一係脱ピン7によ
って半径方向に押動され得るような働きをするような形
状ないし構造に構成されている。
【0087】なお、ラチェット基板9のラチェット歯列
9cの合焦ステップ用係止歯9c1〜9c31とラチェッ
ト爪部材14との係脱作用、並びに、リセット部材16
と第一係脱ピン7との相対位置関係については、具体的
な駆動制御方法の項ないし作用説明の項で詳しく説明す
る。
【0088】19は一体化されたラチェット爪部材14
およびリセット部材16と不動部との間に掛けられた付
勢ばねで、一体化された両部材14、16を、回転支持
軸15を中心として時計方向(ラチェット爪部材14の
爪部14aをラチェット歯列9cに圧接させる方向)に
付勢するように構成されている。
【0089】20は、中央部に突出腕部20aを有する
シャッタ羽根開閉レバーで、鏡胴固定部1に植設された
回転支持軸21により回転可能に支持され、ストッパ2
3によって非作動の位置を決められるように構成されて
いる。22は、このシャッタ羽根開閉レバー20を反時
計方向に回動するように付勢するための適宜の付勢ばね
である。
【0090】24は、後述する絞り兼用シャッタ羽根2
5、26を開閉するための絞り駆動ピンで、シャッタ羽
根開閉レバー20の一端部に植設されている。そして、
その先端部分は、鏡胴固定部1の図示なき貫通孔を貫通
した後、図4に示すように、鏡胴固定部1の背面側の空
間内に設けられた一対の絞り兼用シャッタ羽根25およ
び26のカム孔25a、26aに同時に、しかも、精密
に嵌入するように構成されている。
【0091】二枚羽根形式の絞り兼用シャッタ手段を構
成する一対の絞り兼用シャッタ羽根(以下、「シャッタ
羽根」と略称する)25,26は、2本の回転支持軸2
7および28によりそれぞれ回転可能に支持されてい
る。この一対のシャッタ羽根25、26は、鏡胴固定部
1の背面側の空間内においてそれぞれのの一部分が重な
り合う状態で互いに対向的に配設されている。
【0092】さらに、それぞれのシャッタ羽根25、2
6には、互いに交差するような状態で配置された一対の
カム孔25aおよび26aが形成されており、これらの
カム孔25a、26aの交点位置に前述の絞り駆動ピン
24が嵌入するようにも構成されている。
【0093】そして、それぞれのシャッタ羽根25、2
6は、常態では、それぞれの開口縁25b、26bが相
手側のシャッタ羽根(26または25)と重なるような
全閉位置に位置して、後述する背面基板29の最終的な
撮影光束通過孔29aを完全に遮蔽するように、また、
露光時には、絞り駆動ピン24のそのときの運動量に応
じて互いに離れる方向(反対方向)に回動して、それぞ
れの開口縁25b、26bによって所定の大きさの絞り
開口を形成し得るように構成されている。
【0094】この場合、シャッタ羽根25、26は、後
述する総合制御部CPUの指令に基づいて、先ず、その
全閉状態の位置から露光開始基準位置(ピンホール状態
に至る直前の位置(以下、「トリガーポイント」とい
う)まで開き、その後、そのときの適正露出量に対応し
た適正絞り開口の位置まで開き、その後再びトリガーポ
イントに復帰し、さらに、このトリガーポイントから全
閉状態の位置に復帰するような往復動作を行うように構
成されている。
【0095】そして、このシャッタ羽根25、26によ
るシャッタ露光時間tは、図示実施例では、シャッタ羽
根25、26がトリガーポイントに位置する時点をt=
0として起算し、シャッタ羽根25、26がそのとき
の適正露出量に対応した開口(「適正絞り開口値」とい
う)まで開いた時点をt=tAE(自動露出制御の場合)
またはt=tFM(フラッシュマチック制御の場合)とな
し、さらに、シャッタ羽根25、26がこの位置から再
びトリガーポイントに復帰した時点を露光時間の終了点
t=tとして設定するように構成してある。
【0096】すなわち、図示実施例の二枚羽根形式の絞
り兼用シャッタ手段では、t=t0からt=tAEを経て
t=tに至る時間が、自動露出制御の場合のシャッタ露
光時間tとなり、また、t=t0 からt=tFMを経てt
=tに至る時間がフラッシュマチック制御の場合のシャ
ッタ露光時間tとなるように設定している。
【0097】そして、これらのシャッタ露光時間tは、
シャッタ羽根25、26がトリガーポイントに位置した
時点(t=t0 )からそのときの適正絞り開口の位置ま
で開く時点(t=tAE、または、t=tFM)までの時間
に基づいて制御されるように構成されている。なお、以
下の説明では、シャッタ羽根25、26がトリガーポイ
ントからそのときの適正絞り開口の位置まで開く時間を
「シャッタ羽根開き時間」と称する。
【0098】29は、鏡胴固定部1の背面側空間を覆い
得るように鏡胴固定部1に取り付けられた背面基板で、
その光軸O上の領域には最終的な撮影光束通過孔29a
が形成されている。
【0099】30は、撮影レンズLの押えリング部材
で、レンズ保持枠4の前端部に螺合するように構成され
ている。31は、基本往復運動部材6のHPを設定する
ための光電検出手段で、例えば適宜の構造を有するフォ
トインタラプタ或いはフォトレフレクタとしてカメラ側
の固定部分に設置されている。
【0100】例えば、この実施例の場合、基本往復運動
部材6のHP信号発生部63の回動軌跡に沿って設けら
れた次のような構造を有するフォトインタラプタ31と
して構成してある。
【0101】すなわち、このフォトインタラプタ31
は、図6に示すように、凹形断面通路「32と図2に示
す凹形断面通路」32を挟んで一直線上に横断的に配置
された赤外線発光素子31aと受光素子31bとから成
る投光−受光ユニットとして構成されている。
【0102】この場合、凹形断面通路32は、レンズ保
持枠4の外側空間部分であって、且つ、基本往復運動部
材6が光軸Oを中心として時計方向および反時計方向に
回動した際に、HP信号発生部63が、これに伴って凹
形断面通路32内を通過し得るような位置に、光軸Oと
平行するような状態で設けられ、赤外線発光素子31a
と受光素子31bとは、凹形断面通路32内において、
赤外線発光素子31aからの検出用光線33が、図1の
半径方向で且つ図2の上下方向に投光されるように構成
されている。
【0103】なお、光電検出手段をフォトレフレクタと
して構成する場合には、前述のHP信号発生部63の形
状ないし構造を検出用光線33を反射し得る形状ないし
構造に構成すると共に、検出用光線33の光路を反射光
路として構成する必要がある。また、以後の説明では、
この反射光路を含めて検出用光線33の光路を検出用光
路と称することにする。
【0104】ところで、図示実施例では、この光電検出
手段としてのフォトインタラプタ31から総合制御部C
PUに出力される信号を予め次のように設定してある。
【0105】すなわち、 (a)基本往復運動部材6がHPから正方向または逆方
向に回動する過程で、HP信号発生部63の円弧壁状部
分(CCW側端面63aとCW側端面63bとの間の部
分)がフォトインタラプタ31の検出用光路上に位置し
ているとき(検出用光線33が遮断されているとき)に
は、フォトインタラプタ31からの出力信号がH信号に
なる。
【0106】(b)基本往復運動部材6がHPから正方
向または逆方向に回動する過程で、HP信号発生部63
のCCW側端面63aまたはCW側端面63bのいずれ
かが、フォトインタラプタ31の検出用光路から外れる
位置に位置したとき(検出用光線33が自由通過状態に
なるとき)には、その時点でフォトインタラプタ31か
らの出力信号がH信号からL信号に変化する。
【0107】(c)基本往復運動部材6が焦点合せ位置
またはシャツタ開き位置からHPに復帰する過程で、H
P信号発生部63のCCW側端面63aまたはCW側端
面63bのいずれかがフォトインタラプタ31の検出用
光路上に位置したとき(検出用光線33が遮断されたと
き)には、その時点で、フォトインタラプタ31からの
出力信号がL信号からH信号に変化する。ように設定し
てある。
【0108】すなわち、基本往復運動部材6が、HP信
号発生部63の一方の側端面(例えば、CCW側端面6
3a)がフォトインタラプタ31の検出用光路上に位置
するときの角度位置と、他方の側端面(例えば、CW側
端面63b)がフォトインタラプタ31の検出用光路上
に位置するときの角度位置との間の角度範囲内に位置し
ているときに、フォトインタラプタ31の検出用光線3
3を遮断するように構成されている。
【0109】換言すれば、この角度範囲内であれば、基
本往復運動部材6がどのような位置にあろうとも、フォ
トインタラプタ31からはH信号が出力されるように構
成されている。
【0110】しかし、このような構成では、本来が「ポ
イント」で設定されなければならない基本往復運動部材
6のHPを精密に設定することは出来ない。そこで、図
示実施例では、HP信号発生部63の両側端面63aお
よび63bの位置とフォトインタラプタ31の検出用光
路との相対関係において、基本往復運動部材6のHPを
正確に且つ確実に設定し得るように構成してある。すな
わち、次のように構成してある。
【0111】(1)基本往復運動部材6が焦点合せ位置
からHPに向って復帰する過程で、HP信号発生部63
のCCW側端面63aがフォトインタラプタ31の検出
用光路を遮断し始めてから所定のパルス数(本実施例で
は、6パルス)進んだ位置をHPとし、カメラの組立て
調整時にそのときの組合せパルスの位相(例えば、H
H)を記憶手段に記憶しておく。この基本往復運動部
材6の逆方向回動角を以下、「逆方向へのHP設定回動
角」という。そして、カメラ使用時に、基本往復運動
部材6が焦点合せ位置からHPに向って復帰する過程に
おいて、フォトインタラプタ31の出力信号がL信号か
らH信号に変化したときに、その変化時点(位置)から
引き続いてパルスモータ34を同方向に回転させ、パル
スモータ34への通電位相が予め定めておいた位相にな
ったら(但し、本実施例の場合は、信号が変化してから
2回目にその位相になったら)パルスモータ34を急速
に回転停止させ、このパルスモータ34の停止位置に対
応する位置に基本往復運動部材6を停止させるように駆
動制御する。
【0112】なお、引き続きシャッタ羽根25、26を
開閉するように構成されたカメラでは、基本往復運動部
材6をこの位置に停止させずに、この位置をシャッタ羽
根開閉動作の基準位置として設定し、シャッタ羽根開閉
動作をこの基準位置からスタートさせるように構成す
る。
【0113】(2)基本往復運動部材6がシャッタ開き
位置からHPに向って復帰する過程で、HP信号発生部
63のCW側端面63bがフォトインタラプタ31の検
出用光路を遮断してから所定のパルス数(本実施例では
6パルス数)進んだ位置をHPとし、カメラの組立て調
整時にそのときの組合せ位相(例えば、HH)を記憶手
段(E PROM47)に記憶しておく。上記光路遮断
位置からHPまで回動するときの基本往復運動部材6の
正方向回動角以下、「正方向へのHP設定回動角」と
いう。そして、カメラ使用時に、基本往復運動部材6が
シャッタ開き位置からHPに向って復帰する過程におい
て、フォトインタラプタ31の出力信号がL信号からH
信号に変化したときに、この変化時点(位置)からさら
にパルスモータ34を同方向に回転させ、パルスモータ
34への通電位相が予め定めておいた位相になったら
(但し、本実施例の場合は、信号が変化してから2回目
にその位相になったら)パルスモータ34を急速に回転
停止させ、このパルスモータ34の停止位置に対応する
位置に基本往復運動部材6を停止させるように駆動制御
する。
【0114】図示実施例では、この(1)項および
(2)項の駆動制御によって実現される基本往復運動部
材6の停止位置を自身のHPとするように想定し、フォ
トインタラプタ31の出力信号がL信号からH信号に変
化する時点(位置)を信号として基本往復運動部材6を
HPに正確に復帰させるように構成している。
【0115】このように構成することにより、パルス制
御カメラとしての精度を高く維持する上での最重要必要
条件である撮影動作の開始前または終了後における基本
往復運動部材6のHP設定を行っている。なお、具体的
な設定方法ないし構成については、後述する。
【0116】34は、基本往復運動部材6を正逆方向に
回動させるためのパルスモータで、例えば図5に示すよ
うに、後述する総合制御部CPUからの組み合せパルス
による二相励磁法をもって正逆方向に回転制御されるよ
うに構成されている。
【0117】35は、パルスモータ34の出力軸34a
に固定的に取り付けられた出力歯車である。
【0118】36は、大径歯車部36bと小径歯車部3
6aとから成る減速歯車で、鏡胴固定部1に植設された
回転支持軸37によって回転可能に軸支され、その大径
歯車部36bがパルスモータ34の出力歯車35と噛合
し、小径歯車部36aが基本往復運動部材6の部分歯車
部61と噛合するように設けられている。
【0119】図5に示すのは、図示例のパルス制御カメ
ラの制御系全体に係る電気回路の構成を示す制御ブロッ
ク図であり、図6に示すのは、図5における総合制御部
とパルスモータ駆動回路との信号授受関係を中心として
説明するための回路ブロック図である。両図において、
40は、例えば3Vの直流電圧を発生する作動電源で、
パワースイッチ41によりオン、オフされるように構成
されている。
【0120】このパワースイッチ41は、図示例のパル
ス制御カメラの始動スイッチを兼用するような構造のス
イッチとして構成され、これをオン操作すると、後述の
総合制御部CPUが電気的にリセットされると共に、昇
圧制御手段49および定電圧制御手段50が作動して総
合制御部CPUおよびパルスモータ駆動回路48を始め
とする各種の対象手段に所定の電圧を印加するように構
成されている。
【0121】42は、カメラの適宜個所に設けられたシ
ャッタレリーズ部材で、2段階のストローク操作が可能
な操作部材として構成されている。このシャッタレリー
ズ部材42は、その1段目のストローク操作で、例えば
測光動作および測距動作を開始させる信号を、引き続く
2段目のストローク操作で、撮影レンズLの繰り出し動
作および露光動作を開始させる信号を後述する総合制御
部CPUに出力し得るように構成されている。
【0122】なお、前述したパワースイッチ41のオン
操作による総合制御部CPUの電気的なリセットに代え
て、シャッタレリーズ部材42の1段目のストローク操
作で総合制御部CPUを電気的にリセットするように構
成することも可能である。
【0123】43は、カメラの適宜個所に設けられた自
動測距手段(以下、「AF手段」と略称する)で、例え
ば赤外線LEDのような赤外線発光源とその前方に配設
された投射光学系とから成る赤外線投光部(図示せず)
と、一次元半導体位置検出素子(PSD:Position S
ensitive Detector )とその前方に配設された受光光
学系とから成る測距受光部(図示せず)とを有する三角
測量式自動測距装置として構成されている。
【0124】すなわち、赤外線投光部から被写体に向っ
て所要波長の赤外線を投射し、被写体から反射された赤
外線を測距受光部の一次元半導体位置検出素子の受光面
上に光点として結像させ、基準点からこの結像光点まで
の間隔を検出してその間隔データを被写体距離相当値
(アナログ値)として総合制御部CPUに出力するよう
に構成されている。
【0125】44は、このカメラの適宜個所に設けられ
た被写体輝度検出手段で、逆光状態をも検出し得るよう
に、例えば二分割Cd S素子から成る測光手段(図示せ
ず)を有し、その検出値を被写体輝度情報として総合制
御部CPUに出力するように構成されている。
【0126】45は、閃光撮影を行うように構成された
カメラにのみ設置されるフラッシュマチック機構手段
で、閃光発光手段(図示せず)の持つガイドナンバーと
そのときの撮影距離とに基づいてシャッタ羽根25、2
6の適正絞り開口を決定し、その情報を総合制御部CP
Uに出力するように構成されている。
【0127】なお、フラッシュマチック機構手段45と
前述の被写体輝度検出手段44とは、いずれも特許請求
の範囲に記載された適正露出演算手段に含まれる手段と
して構成されている。これは、被写体輝度検出手段44
およびフラッシュマチック機構手段45の両方を備えた
カメラも、また、一方だけの手段44または45を備え
たカメラも本発明に含まれることを意味する。
【0128】46は、総合制御部CPUに接続された撮
影不能警告手段で、例えば基本往復運動部材6がHPに
正確に復帰していないとき或いはカメラに何等かの異常
事態が生じたときに、総合制御部CPUからの指令に基
づいて、異常事態であることを視覚的または聴覚的な作
用でユーザーに警告し得るように構成されている。この
場合、視覚的または聴覚的な警告作用としては、例えば
LEDの点滅発光を利用した表示警告や音響を利用した
発音警告などが考えられる。また、撮影不能警告手段4
6を、警告だけではなく、例えばシャッタレリーズ動作
や露光動作を強制的に不能にするような機能強制停止手
段を併用する手段として構成することも可能であり、図
示実施例ではそのように構成されている。
【0129】ところで、前述したようにレンズLの繰り
出し動作を行う機械的手段や絞り兼用シャッタ羽根の開
閉動作を行う機械的手段などを製作する場合には、機械
加工時や組み立て時の製作誤差ないし組み立て誤差が生
じるのが普通であるから、実際にカメラを作動させるた
めには、この機械的誤差の影響が及ばないような状態で
制御する必要がある。
【0130】そのため、図示実施例では、レンズLの繰
り出し動作を行う機械的手段(例えば、ラチェット基板
9)に機械加工時や組み立て時の誤差がある場合を想定
して、レンズLの繰り出しの基準位置である合焦ステッ
プ用係止歯(図示はしないが、基準位置である係止歯を
以下「9c0 」と称する)の設計位置を、基本往復運動
部材6をHPからの時計方向(正方向)に回動させる際
にパルスモータ34に付与する組み合せパルス数を調整
するという電気制御的手法を用いて調整的に設定し得る
ように、また、絞り兼用シャッタ羽根の開閉動作を行う
機械的手段(例えば、絞り兼用シャッタ羽根25、2
6)に機械加工時や組み立て時の誤差がある場合を想定
して、露光時間算定の基準となるシャッタ羽根25、2
6のトリガーポイント(t=t0 の位置)を、基本往復
運動部材6をそのHPからの反時計方向(逆方向)に回
動させる際にパルスモータ34に付与する組み合せパル
ス数を調整するという電気制御的手法を用いて調整的に
設定するように構成している。
【0131】さらに、後述する基本往復運動部材6のH
P設定制御の際にパルスモータ34に付与する組み合せ
パルス数も、機械的誤差を考えて、パルスモータ34に
付与する組み合せパルス数を調整するという電気制御的
手法を用いて調整的に設定するように構成している。
【0132】これらの具体的な調整値については、動作
ないし作用の項で説明するが、図示実施例では、各カメ
ラ毎に調整されたこれらの値(調整値)を総合制御部C
PUに接続された記憶手段47に書き換え可能なように
記憶させるように構成されている。そのため、この記憶
手段47には、E2 PROMが用いられている。
【0133】尚、その具体的なデータについては、後述
する駆動制御方法の項で説明する。48は、パルスモー
タ34の駆動および停止を制御するためのパルスモータ
駆動回路で、総合制御部CPUのパルスモータ駆動制御
回路77から後掲の表1に示すような「0」および
「1」の駆動パルスPM0〜PM3が、4本の入力ピン
No.2(IN1)、No.17(IN2)、No.8(IN
3)、No.11(IN4)を介して付与されたときに、
その駆動パルスPM0〜PM3を図7に示すようなH
H、HL、LH、LLから成る2系統(種類)の組み合
せパルスに変え、それを4本の出力ピンNo.3(OUT
1)、No.16(OUT2)、No.7(OUT3)、N
o.12(OUT4)を介してパルスモータ34に出力し
て、パルスモータ34を正逆方向に所定のタイミングで
所定数だけ回転させ且つ所定のタイミングで停止させる
ように駆動制御するように構成されている。なお、図7
〜図9で示されているPM1とPM3(図示されてはい
ない)は、それぞれ、パルスモータ34へ通電されてい
るときのみに現れる駆動パルスPM0とPM2の逆極性
である。また、本実施例の説明では、組み合せパルスに
ついてはPM0の信号を先に記すという表記法を用いて
表現している。また、図7〜図9において、PM1とP
M3(図示せず)は、それぞれPM0とPM2の逆極性
である(但し、パルスモータ34へ通電しているときの
み)。
【0134】49は、例えば消耗に起因して作動電源4
0の電圧が低下した場合でも回路の規定電圧3Vを維持
するための昇圧制御手段である。50は、定電圧2.3
Vであることを要求される、例えばパルスモータ駆動回
路48の作動電圧を確保するための定電圧制御手段であ
る。
【0135】さて、総合制御部CPUは、このパルス制
御カメラ全体の制御を司るために適宜のマイコンから構
成されており、その内部には、パルス発生回路71、パ
ルス幅変更手段72、被写体距離演算回路73、適正露
出演算回路74、フラッシュマチック制御演算回路7
5、HP設定演算回路76、パルスモータ駆動制御回路
77、パルスカウンタ78、撮影不能警告判定回路79
などの各種の回路および手段が設けられている。
【0136】この場合、パルス発生回路71は、後述す
るプログラム格納手段ROMの(イ)項〜(チ)項にお
いて時系列的に設定された組み合せパルスを発生させる
ためのパルス発生回路で、それ自体公知の構成から成る
回路として構成されている。パルス幅変更手段72は、
このパルス発生回路71で発生された組み合せパルス
(駆動パルス)の幅を、例えば、図7の全体動作タイミ
ングチャート図上のパルス幅に変更するための手段であ
る。
【0137】被写体距離演算回路73は、AF手段43
から入力された被写体距離相当値に基づいて被写体まで
の距離(以下、「撮影距離」ともいう)を自動的に演算
すると共に、この演算値に基づいてそのときの撮影距離
を実現し得る撮影レンズLの合焦ステップLn の位置
(段数)を自動的に決定し、さらに、決定された合焦ス
テップLn の位置に基本往復運動部材6(ラチェット基
板9でもある)を回動するのに必要なパルスモータ34
の第一段階の正方向回転数とこの回転数を得るのに必要
な組み合せパルス数とを演算して、これらを総合制御部
CPU内に一時的に記憶させ得るように構成されてい
る。
【0138】適正露出演算回路74は、被写体輝度検出
手段44から入力された被写体輝度情報とフィルム感度
値検知手段(図示せず)からの使用フィルムのISO感
度値情報とに基づいてそのときの適正露出量(適正EV
データ)を算出すると共に、この適正露出量の値に基づ
いて、シャッタ羽根25、26の適正絞り開口値とシャ
ッタ羽根25、26がトリガーポイントに位置した時点
t=t0 からこの適正絞り開口値に開く時点t=tAE
での時間を決定し、これらを総合制御部CPU内に一時
的に記憶させ得るように構成されている。
【0139】フラッシュマチック制御演算回路75は、
閃光撮影を行うように構成されたカメラにだけ設けられ
るもので、フラッシュマチック機構手段45から入力さ
れたそのときのガイドナンバーによって決定された適正
絞り開口の情報に基づき、シャッタ羽根25、26がト
リガーポイントに位置した時点t=t0 からこの適正絞
り開口値に開く時点t=tFMまでの時間を決定し、これ
らを総合制御部CPU内に一時的に記憶させ得るように
構成されている。
【0140】HP設定演算回路76は、後述するプログ
ラム手段の(イ)項〜(チ)項の記憶データに基づいて
基本往復運動部材6のHP設定シーケンスを演算し得る
ように構成されている。
【0141】パルスモータ駆動制御回路77は、パルス
幅変更手段72によりパルス幅を変更された組み合せパ
ルスを、プログラム手段の(イ)項〜(チ)項で時系列
的に設定されたパルス数および各演算回路73〜76で
演算されたパルス数に従って、パルスモータ駆動回路4
8に付与し得るように構成されている。
【0142】パルスカウンタ78は、パルスモータ駆動
制御回路77からパルスモータ駆動回路48に付与され
る組み合せパルスの数をカウントするように構成され、
プログラム手段からリセット信号が付与されたときに
は、それまでのカウントをリセットし得るようにも構成
されている。
【0143】撮影不能警告判定回路79は、カメラの作
動が正常であるか否かを判定するための回路で、例えば
基本往復運動部材6がそのHPに正確に復帰していない
ときや、カメラに何等かの異常事態が生じたときには、
その事態を検出して撮影不能警告手段46にその旨を出
力し得るように構成されている。
【0144】80は、前述のシャッタ羽根開き時間を設
定するための計時回路(タイマー)で、シャッタ羽根2
5、26がトリガーポイントに位置した時点t=t0
計数を開始し、この時点からそのときの適正絞り開口値
の位置(t=tAEまたはt=tFM)までシャッタ羽根2
5、26が開く時間を計数し得るように構成されてい
る。
【0145】さらに、この総合制御部CPUは、基本往
復運動部材6のHP設定シーケンス、レンズ繰り出しシ
ーケンス、シャッタ羽根開閉シーケンス等のサブシーケ
ンスを含む撮影シーケンスを実行するのに必要な種々の
プログラムが記憶されたプログラム手段RMと一時記
憶機能とを有するようにも構成されている。
【0146】図示実施例では、このプログラム手段およ
び記憶手段に、例えば次に述べるような基本的なデータ
を記憶させるように構成してある。
【0147】(イ)本実施例の場合、31段に設定され
た合焦ステップ用係止歯9c1 〜9c31のそれぞれの係
止歯の回動方向の長さ(円弧上の長さ)を、いずれも組
み合せパルス数で4パルスとなるように設定してあり、
また、最初の係止歯9c1 の位置を、HPから起算して
組み合せパルスの12番目のパルス位置(HPからの組
み合せパルス数で11パルスになる)となるように設定
してあるが、この12個のパルス数に、撮影レンズL
(レンズ保持枠4)の繰り出し開始基準位置のバラツキ
に相当する調整パルス数を加算したデータ。
【0148】(ロ)焦点合せに際して、基本往復運動部
材6(距離設定運動部材9)をHPから正方向に最大量
回動するために、パルスモータ34に付与する正方向の
組み合せパルス数を、図8に示すように、2パルス分の
余裕を含めて137パルスとして設定するデータ。な
お、この137パルスには、基本往復運動部材6(HP
信号発生部63)の正方向への補正回動角である6パル
ス分が含まれる。
【0149】(ハ)基本往復運動部材6を(ロ)項で回
動された位置からHPに復帰させるために、パルスモー
タ34に付与する逆方向性の組み合せパルス数を、
(ロ)項で付与した組み合せパルス数と同数の137パ
ルスとして設定するデータ。
【0150】(ニ)シャッタ羽根25・26を露光開始
基準位置(t=t0 の位置)にセットするのに必要な基
本往復運動部材6のHPからの回動量を得るために、パ
ルスモータ34に付与する逆方向性の組み合せパルス数
を、図9に示すように例えば15パルス(このパルス値
は、個々のシャッタによってバラツく。以下同じ)とし
て設定するデータ。
【0151】すなわち、シャッタ羽根開閉レバー20を
介して、シャッタ羽根25・26を全閉状態の位置から
トリガーポイント(t=t0 の位置)まで開かせるのに
要する基本往復運動部材6の逆方向回動量に対応する組
み合せパルス数を、原則的にHPから例えば15パルス
として設定するデータ。
【0152】(ホ)シャッタ羽根25・26を露光開始
基準位置から最大絞り開口(t=tAE-max)の位置まで
開かせるのに必要な基本往復運動部材6の露光開始基準
位置からの回動量を得るために、パルスモータ34に付
与する逆方向性の組み合せパルス数を、図9に示すよう
に10パルスとして設定するデータ。
【0153】従って、図示実施例では、自動露出制御の
場合でもフラッシュマチック制御の場合でも、この10
パルスの中で時間制御により適正絞り開口(t=tAE
たはt=tFM)を実現するように構成されている。
【0154】(ヘ)基本往復運動部材6をシャッタ羽根
25・26の最大絞り開口(t=tAE-max)の位置から
HPに復帰させるために、パルスモータ34に付与する
正方向性の組み合せパルス数を、(ニ)項の15パルス
と(ホ)項の10パルスとの合計パルス数と同数のパル
ス数として設定するデータ。
【0155】なお、このパルス数には、前述した基本往
復運動部材6(HP信号発生部63)の正方向への補正
回動角である6パルス分が含まれるのは云うまでもな
い。
【0156】(ト)実際の露光動作に際して、シャッタ
羽根25・26が時間制御によって露光開始基準位置か
ら適正露出演算回路74で演算されたそのときの適正露
出値に対応する適正絞り開口の位置まで開いたときに、
その時点でパルスモータ34を急速停止させ且つパルス
モータ34を正方向に回転させるデータ。
【0157】そのため、実際の露光動作では、基本往復
運動部材6をHPから逆方向に回動するためにパルスモ
ータ34に付与される組み合せパルス数は、結果的に
(ニ)項での15パルスと、シャッタ羽根25・26が
露光開始基準位置からそのときの適正絞り開口の位置に
開くまでの間に付与されたパルス数との合計パルス数と
なる。
【0158】(チ)実際の露光動作に際して、基本往復
運動部材6をシャッタ羽根25・26のそのときの適正
絞り開口の位置からHPまで復帰させるときの正方向回
動量を得るために、パルスモータ34に付与する組み合
せパルス数を、シャッタ羽根25・26が露光開始基準
位置からそのときの適正絞り開口の位置に開くまでの間
にパルスモータ34に付与された逆方向性の組み合せパ
ルス数と同数の正方向性の組み合せパルス数と15パル
スとの合計パルス数として設定するデータ。
【0159】なお、これら(イ)項〜(チ)項で述べた
各組み合せパルスの幅tW は原則的には全て同一値とし
て設定することが出来るが、必要のある場合、例えばカ
メラとしての各機能に係る精度を高く維持しながらシー
ケンス全体の作動時間を短縮したいような場合には、例
えば図7の全体動作タイミングチャート図に示すよう
に、その目的に適合するような時間が得られるように、
それぞれの組み合せパルスの幅tW を任意の時間(単
位、ms)に変更することが可能である。
【0160】この場合、パルス幅の変更作業は、カメラ
設計の段階で適宜に行うものとし、また、パルス幅を変
更したときには、図7の全体動作タイミングチャート図
上でのパルス幅の変更点設定および変更後のパルス幅の
値などをプログラム手段に記憶させるように構成する。
【0161】例えば、撮影レンズLの繰り出し時(基本
往復運動部材6の最初の正方向回動時)には、それぞれ
4パルスの長さに設定された各合焦ステップ用係止歯9
1〜9c31に対するラチェット爪部材14の爪部14
aの係止動作が確実に行われる時間を確保しながら、よ
り高速化を達成し得るようなパルス幅を選択する必要が
あるし、また、基本往復運動部材6の第二段階の回動時
には精度的に何等の問題も生じないから、このときのパ
ルス幅はレンズ繰り出し時のパルス幅よりも短い高速と
なるパルス幅に設定するようにする。
【0162】また、基本往復運動部材6のHPからシャ
ッタ羽根25、26を適正絞り開口の位置に開かせるま
での逆方向回動時には、シャッタ羽根25、26が開き
動作を行うので、前述したようにシャッタ羽根25、2
6の停止精度を充分に確保し得る速度であって且つより
高速が得られるようなパルス幅を選択する。
【0163】また、基本往復運動部材6が適正絞り開口
に対応する位置から再び正方向に回動する過程で、シャ
ッタ羽根25、26がその適正絞り開口位置から閉じ動
作に移行するときには、シャッタ羽根25、26の機械
的な作動遅れを少なくする意味で高速時のパルス幅に設
定するようにする。
【0164】なお、撮影レンズLを焦点合せ位置からレ
ンズ初期位置に復帰させるときの動作は、例えば長い時
間を必要とするフィルム給送動作と並行処理することが
可能であり、また、ラチェット爪部材14の爪部14a
の外し動作は、円滑に行う必要があるから、基本往復運
動部材6が露光動作終了後の位置(露光開始基準位置)
からHPに向って再び正方向に回動するときのパルス幅
は、特に短くする必要はない。従って、適宜のパルス幅
を設定するようにする。
【0165】ところで、被写体距離演算回路73の演算
結果(自動測距手段43の撮影距離情報)で設定される
駆動パルス数の起算開始位置を前述した合焦側の所定近
傍位置の外方領域(例えば、フォトインタラプタ31が
HからLに変化した位置から所定の位相になった位置)
に設定し、この起算開始位置から起算される駆動パルス
数を、前述の(ロ)項においてパルスモータ34に付与
する組み合せパルス数の代りとして設定することも可能
である。
【0166】また、前述の(ハ)項においてパルスモー
タ34に付与する逆方向性の組み合せパルス数を付与数
を定めない継続的な組み合せパルスとして設定し、基本
往復運動部材6がこの合焦側の所定近傍位置に至ったと
きに、フォトインタラプタ31のHP設定作用を利用し
て基本往復運動部材6をHPに位置させるように構成し
てもよい。
【0167】さらに、前述の(ヘ)項および(チ)項に
おいてパルスモータ34に付与する正方向性の組み合せ
パルス数を付与数を定めない継続的な組み合せパルスと
して設定し、基本往復運動部材6が前述した露光側の所
定近傍位置に至ったときに、フォトインタラプタ31の
HP設定作用を利用して基本往復運動部材6をHPに停
止させるように構成してもよい。
【0168】ところで、図示実施例のカメラの具体的な
駆動制御方法は、次のように設定されている。 [基本往復運動部材6のHPへの設定制御について]図
示実施例のカメラでは、基本往復運動部材6がHPに位
置し、距離設定運動部材ラチェット基板9、レンズ繰り
出し部材2(レンズ保持枠4でもある)およびシャッタ
羽根開閉レバー20とが、それぞれの初期位置に位置し
ている場合を基準状態として撮影シーケンスのタイミン
グを設定している。
【0169】この場合、カメラとしての精度を維持する
には、撮影動作の開始時(または、撮影動作の終了時)
に基本往復運動部材6を必ずHPに位置させることが必
要になり、さらに、そのことを監視する必要も生じる。
【0170】そのため、図示実施例では、撮影に先立っ
てパワースイッチ41をオンすると自動的に図10およ
び図11に示すような基本往復運動部材6のHP設定シ
ーケンスが進行するように構成してある。
【0171】すなわち、パワースイッチ41をオンする
と、総合制御部CPUを始めフォトインタラプタ31、
自動測距手段43、自動露出演算手段44、撮影不能警
告手段46、記憶手段47、パルスモータ駆動回路48
などに対して給電が行われて、カメラ全体が作動可能の
状態にセットされ、それと同時に電気的なリセットが行
われ、さらに、総合制御部CPU内のパルスカウンタ7
8がn=0の状態にリセットされるように構成されてい
る[S1およびS2]。
【0172】そして、フォトインタラプタ31からはH
信号またはL信号が総合制御部CPU内のHP設定演算
回路76に出力されることになる。例えばフォトインタ
ラプタ31からH信号がHP設定演算回路76に出力さ
れたものとする[S3]。
【0173】フォトインタラプタ31からH信号が出力
されていることは、基本往復運動部材6のHP信号発生
部63がフォトインタラプタ31の検出用光路(検出用
光線33)を遮断していることを示すものであるから、
基本往復運動部材6をこのときの位置から組み合せパル
ス数で12パルス以下のパルスを正逆いずれかの方向に
回動させれば、HP信号発生部63の一方の側端面63
aまたは63bがフォトインタラプタ31の検出用光路
から外れて、フォトインタラプタ31からの信号がH信
号からL信号に変る筈である。
【0174】そのため、HP設定演算回路76は、基本
往復運動部材6を先ず反時計方向(逆方向)に組み合せ
パルス数で13パルスだけ回動させるように制御するこ
とになる[S4]。
【0175】このとき、パルスカウンタ78がパルスモ
ータ駆動回路48からパルスモータ34に付与される組
み合せパルス数をカウントすることになる。この場合、
カメラが正常に作動する状態にあれば、図10および図
12の〈A行程〉→〈C行程〉に示すように、この13
パルスに至る間に、基本往復運動部材6のHP信号発生
部63がフォトインタラプタ31の検出用光路から外れ
ることになり、フォトインタラプタ31からの信号がH
信号からL信号に変ることになる[S5およびS6]。
【0176】このようにしてフォトインタラプタ31か
らの信号がH信号からL信号に変ると、HP設定演算回
路76は、パルスカウンタ78を0にリセットし、基本
往復運動部材6を反時計方向に組み合せパルス数で7パ
ルスだけ回動させるように制御する[S6′,S7]。
【0177】そして、この反時計方向への7パルスの回
動動作が終了すると、HP設定演算回路76は、引き続
いて基本往復運動部材6を時計方向(正方向)に組み合
せパルス数で15パルスだけ回動させるように制御する
[S8]。このときも、パルスカウンタ78がパルスモ
ータ駆動回路48からパルスモータ34に付与される組
み合せパルス数をカウントすることになる。
【0178】この場合、カメラが正常状態にあれば、図
10および図12の〈D行程〉に示すように、この15
パルスに至る間に、基本往復運動部材6のHP信号発生
部63のCW側端面63bがフォトインタラプタ31の
検出用光路を遮断することになり、フォトインタラプタ
31からの信号がL信号からH信号に変ることになる
[S9およびS10]。
【0179】そして、フォトインタラプタ31からの信
号がL信号からH信号に変ると、図10および図12の
〈E行程〉に示すように、HP設定演算回路76は、信
号が変った時点から、先ず予め組立調整時に記憶設定し
てある組合せパルスの位相、例えばこの実施例では、パ
ルスの位相がHHになるまで組み合せパルスを付与し、
さらに、この時点から次に現われるHHの位相となる位
置、即ち、4パルス分進行させたHHの位相でパルスモ
ータ34を急速停止させるように制御する。
【0180】そして、このパルスモータ34の停止した
カメラ調整時に求めた位相、例えばHH位相に対応する
基本往復運動部材6の位置が、予め設定した基本往復運
動部材6のHPとなる[S11]。
【0181】この場合、ステップS7において基本往復
運動部材6を7パルス分だけ反時計方向に回動し且つそ
の後にステップS8において基本往復運動部材6を7パ
ルス分以上時計方向に回動させるように構成しているの
は、図示実施例のカメラが、電気的なリセットと同時に
メカ的なリセットをも行うように構成されているからで
ある。
【0182】すなわち、図示実施例では、撮影に先立っ
て、先ず基本往復運動部材6を反時計方向に所定量だけ
回動させて、基本往復運動部材6上の第一係脱ピン7が
リセット部材16の逃げ傾斜面16aを押し上げて解除
被動部16bとの係接位置を通過するようになし、引き
続いて基本往復運動部材6を時計方向に回動させて、図
13〜図15に示すように、第一係脱ピン7でリセット
部材16の解除被動部16bをラチェット基板9のラチ
ェット歯列9cから離脱させる方向(反時計方向)に押
し回して、ラチェット爪部材14の爪部14aをラチェ
ット歯列9cの合焦ステップ用係止歯9c1 〜9c31
ら離脱させて、ラチェット基板9および撮影レンズLを
それぞれの初期位置に復帰させ得るように構成してあ
る。
【0183】この場合、図示実施例では、基本往復運動
部材6の反時計方向への所定量の回動量を組み合せパル
ス数で例えば7パルス分と設定してあるので、HP設定
演算回路76は、これに則って基本往復運動部材6を両
方向に順次に回動するように制御している。
【0184】そのため、このラチェット爪部材14のラ
チェット歯列9cからの離脱動作によりラチェット基板
9および撮影レンズLがそれぞれの初期位置に復帰し
て、メカ的なリセットが終了する。そして、この状態で
基本往復運動部材6のHP設定シーケンスが終了する
[S12]。
【0185】なお、ステップS9およびS10において
フォトインタラプタ31からの信号がL信号のままのと
きには、パルスカウンタ78は、組み合せパルス数で1
5パルスまでカウントするが、図示実施例では、この1
5パルスまでのカウントが終了すると、HP設定演算回
路76から撮影不能警告判定回路79に対して異常状態
信号が発せられるように構成してあるから、撮影不能警
告判定回路79は、カメラが異常状態に在ることを判定
してその判定信号を撮影不能警告手段46に対して出力
することになる。
【0186】すなわち、カメラが正常状態にあれば、ス
テップS7において、基本往復運動部材6を7パルス分
だけ反時計方向に回動させた位置から15パルス分だけ
時計方向に回動すれば、必ずフォトインタラプタ31の
信号がL信号からH信号に変わる筈であるが、それが変
わらないということは、カメラの何処かに異常状態の部
分があることを意味するから、図示実施例では、15パ
ルスまでカウントした時点で撮影不能警告手段46を作
動させるようにしているのである[S13およびS1
4]。
【0187】この場合、撮影不能警告手段46は、ユー
ザーに対して撮影不能の警告を発し、シャッタレリーズ
操作が禁止されることになる。そして、HP設定演算回
路76は、この状態で基本往復運動部材6のHP設定シ
ーケンスを終了させることになる[S15]。
【0188】さて、前述したステップS4およびS6に
おいては、基本往復運動部材6を組み合せパルス数で最
大限13パルスだけ反時計方向に回動させるように制御
するが、パルスカウンタ78のカウント数が13パルス
に達してもフォトインタラプタ31からの出力信号がH
信号のままであるときは、基本往復運動部材6が所定通
りに回動していないことを意味するから、この場合に
は、HP設定演算回路76は、パルスカウンタ78によ
るカウントを13パルスで打ち切り、図10および図1
2の〈B行程〉に示すように、基本往復運動部材6を時
計方向(正方向)に組み合せパルス数で13パルス分だ
け回動させるように制御する。すなわち、基本往復運動
部材6を基本往復運動部材6のHP設定制御以前の位置
に戻すように制御する[S16およびS17]。
【0189】そして、基本往復運動部材6が、HP設定
制御以前の位置に復帰したならば、前述したステップS
14およびS15の制御を実行して、撮影不能警告手段
46を作動させると共にシャッタレリーズ操作を禁止さ
せるように制御し、この状態で基本往復運動部材6のH
P設定シーケンスを終了させる[S15に戻る]。
【0190】次に、前述したステップS3において、フ
ォトインタラプタ31からL信号がHP設定演算回路7
6に出力された場合について図11を中心として説明す
る。フォトインタラプタ31からL信号が出力されてい
ることは、基本往復運動部材6のHP信号発生部63
が、フォトインタラプタ31の検出用光路(検出用光線
33)から時計方向(正方向)の側または反時計方向
(逆方向)の側に外れていることを示すものであるか
ら、HP設定演算回路76は、先ず、HP信号発生部6
3がフォトインタラプタ31の検出用光路から反時計方
向の側に外れているか否かを検出するために、基本往復
運動部材6を組み合せパルス数で24パルス分だけ時計
方向に回動させるように制御することになる。
【0191】これは、基本往復運動部材6のHPから反
時計方向への回動限界が、組み合せパルス数で25パル
スになるように予め設定されているためである[図11
のS21]。
【0192】このとき、パルスカウンタ78がパルスモ
ータ駆動回路48からパルスモータ34に付与される組
み合せパルス数をカウントすることになる。この場合、
HP信号発生部63が、フォトインタラプタ31の検出
用光路から反時計方向の側に外れているとすれば、図1
1および図12の〈F行程〉に示すように、カウント数
が24パルスに至る間に、基本往復運動部材6のHP信
号発生部63のCW側端面63bがフォトインタラプタ
31の検出用光路を遮断して、フォトインタラプタ31
からの信号がL信号からH信号に変る筈である[S22
およびS23]。
【0193】そして、パルスカウンタ78のカウントが
24パルスに至る間にフォトインタラプタ31からの信
号がL信号からH信号に変ると、図11および図12の
〈I行程〉に示すように、HP設定演算回路76は、信
号が変った時点から、先ずパルスの位相が予めカメラ調
整時に求めた位相、例えばHHになるまで組み合せパル
スを付与し、さらに、この時点から、組み合せパルスで
4パルス分進行させたHHの位相でパルスモータ34を
急速停止させるように制御する。この制御の仕方は、前
述のステップS11の場合と同じである[S24]。
【0194】パルスモータ34が停止すると、HP設定
演算回路76は、その状態でフィルムを1駒分巻き上
げ、その終了と同時に基本往復運動部材6のHP設定シ
ーケンスを終了させるように制御することになる[S2
5およびS26]。
【0195】しかしながら、ステップS23において、
パルスカウンタ78のカウント数がn=24に達したと
きは、HP信号発生部63がフォトインタラプタ31の
検出用光路から時計方向の側に外れていることを示す
(あるいは全く不動の場合もあり得る)ものであるか
ら、この場合には、HP設定演算回路76は、先ずパル
スカウンタ78をリセット(n=0)し、それから、基
本往復運動部材6を組み合せパルスで136パルス分だ
け反時計方向に回動させるように制御することになる。
【0196】これは、基本往復運動部材6のHPから時
計方向への回動限界が、組み合せパルス数で137パル
スになるように予め設定されているためである[S27
〜S29]。このとき、パルスカウンタ78がパルスモ
ータ駆動回路48からパルスモータ34に付与される組
み合せパルスをカウントすることになる。
【0197】この場合、カメラが正常に作動していれ
ば、図11の〈G行程〉に示すように、カウント数が1
36パルスに至る間に、基本往復運動部材6のHP信号
発生部63のCCW側端面63aがフォトインタラプタ
31の検出用光路を遮断して、フォトインタラプタ31
からの信号がL信号からH信号に変る筈である[S30
およびS31]。
【0198】そして、パルスカウンタ78のカウント数
が136パルスに至る間にフォトインタラプタ31から
の信号がL信号からH信号に変ると、図11および図1
2の〈J行程〉に示すように、HP設定演算回路76
は、信号が変った時点から、さらに組み合せパルスで1
9パルス+α分だけ基本往復運動部材6を反時計方向に
回動させるように制御する[S32]。
【0199】このように制御すると、基本往復運動部材
6は、フォトインタラプタ31の検出用光路を通過して
HPから反時計方向の側に少なくとも7パルス分だけ回
動することになって、前述したステップS7(〈C〉行
程)のときと同じ位置に至ることになる。従って、HP
設定演算回路76は、この回動終了後の時点でパルスカ
ウンタ78をリセット(n=0)するように制御する
[S33]。
【0200】この後、HP設定演算回路76は、引き続
いて前述した図10のステップS8〜S11の制御を実
行して、〈D行程→E行程〉に示すように、基本往復運
動部材6をそのHP(本実施例の場合、付与パルスの二
つ目のHH位相に対応する位置)に停止させ、その終了
と同時に基本往復運動部材6のHP設定シーケンスを終
了させるように制御することになる[S12に戻る]。
【0201】しかし、前述のステップS31において、
パルスカウンタ78のカウント数がn=136に達して
もフォトインタラプタ31からの出力信号がL信号のま
まであるときは、基本往復運動部材6が所定通りに回動
していないことを意味するから、この場合には、HP設
定演算回路76は、パルスカウンタ78によるカウント
を136パルスで打ち切り、図11および図12の〈H
行程〉に示すように、基本往復運動部材6をその位置か
ら組み合せパルス数で26パルス以上時計方向に回動す
ると共に、パルス位相がカメラ調整時に求めた位相HH
になる時点でパルスモータ34を急速停止させるように
制御する[S34およびS35]。
【0202】この後、HP設定演算回路76は、引き続
いて前述した図10におけるステップS14およびS1
5の制御を実行して、撮影不能警告手段46を作動させ
ると共にシャッタレリーズ操作を禁止させるように制御
し、その後、この状態で基本往復運動部材6のHP設定
シーケンスを終了させる[S15に戻る]。
【0203】そして、このような基本往復運動部材6の
HP設定シーケンスの終了後にシャッタレリーズ操作が
行われるが、電子制御カメラの場合には、シャッタレリ
ーズ操作後にもカメラないし電気回路が非正常の状態に
なることも考えられるので、図示実施例では、シャッタ
レリーズ直後にも基本往復運動部材6のHP設定シーケ
ンスを点検するように構成されている。
【0204】すなわち、撮影に際してシャッタレリーズ
部材42を押圧操作すると、HP設定演算回路76が先
ずパルスカウンタ78をリセット(n=0)し、次い
で、フォトインタラプタ31からの出力信号を確認する
[図10のS41〜S43]。そして、フォトインタラ
プタ31からの信号がL信号であるときには、前述した
図11のステップS21以下のHP設定シーケンスを再
び実行するように制御し、フォトインタラプタ31から
の信号がH信号である場合にはそのまま撮影シーケンス
を進行させるように制御する[S44]。
【0205】次に、このように構成されたパルス制御カ
メラの動作ないし作用を、図7〜図9の各タイミングチ
ャート図を参照しながら説明する。なお、説明の都合
上、露出制御については、自動露出演算の場合を想定
し、さらに、基本往復運動部材6の正逆方向への回動制
御は、焦点合せ位置からHPに復帰する場合およびシャ
ッタ羽根25、26の適正絞り位置からHPに復帰する
場合に、基本往復運動部材6がそれぞれ組み合せパルス
数により復帰するケースを例にして説明する。
【0206】撮影に際して、パワースイッチ41をオン
すると、総合制御部CPUを始め、フォトインタラプタ
31、自動測距手段43、被写体輝度検出手段44、撮
影不能警告手段46、記憶手段47、パルスモータ駆動
回路48などに所定の電圧が印加されてカメラ全体が作
動可能の状態になり、同時に、総合制御部CPUがHP
設定演算回路76を介して基本往復運動部材6のHP設
定シーケンスを進行させる。
【0207】このため、カメラが正常な状態にあれば、
前述したように基本往復運動部材6がHP(パルス位相
がHHの位置)に正確に位置し、それにつれて、ラチェ
ット基板9、レンズ繰り出し部材2およびレンズ保持枠
4の3部材もそれぞれの初期位置に位置することにな
る。
【0208】この状態において、シャッタレリーズ部材
42の1段目のストローク操作を行うと、その操作信号
に基づいてプログラム格納手段ROM内に記憶された撮
影シーケンスが進行し、先ず、AF手段43と被写体輝
度検出手段44に対して、それぞれ被写体に対する測距
動作と測光動作とを開始するように指令する。
【0209】そのため、AF手段43は、そのときの被
写体距離相当の情報を検出してそれを総合制御部CPU
の被写体距離演算回路73に出力し、また、被写体輝度
検出手段44は、そのときの被写体輝度情報を検出して
それを適正露出演算回路74に出力する。
【0210】従って、被写体距離演算回路73は、AF
手段43からの被写体距離相当情報に基づいてそのとき
の被写体距離(撮影距離)を演算し、その演算結果に対
応する撮影レンズLの繰り出し量(焦点合せ量)を合焦
ステップL1 〜L31内の一つの合焦ステップLn を選択
するという形で決定する。
【0211】この場合、選択された合焦ステップLn
設定値は、基本往復運動部材6をそのHPから合焦ステ
ップLn の位置まで正方向(時計方向)に回動させるの
に必要なパルスモータ34の第一段階の正方向回転数と
して設定され、さらに、この設定値は、パルスモータ駆
動制御回路77からパルスモータ駆動回路48を介して
パルスモータ34に付与される正方向への組み合せパル
ス数(4n+αパルス)として総合制御部CPU内に設
定されることになる。なお、このαパルスは、後述する
調整値である。
【0212】また、このとき同時に、パルスモータ34
の第二段階の逆方向回転数に対応する組み合せパルス数
が、第一段階のときとは方向性の異なる同数の組み合せ
パルス数として総合制御部CPU内に設定されることに
なる。
【0213】一方、適正露出演算回路74は、被写体輝
度検出手段44からの被写体輝度情報とフィルム感度値
検知手段(図示せず)からのISO感度値情報とに基づ
いてそのときの適正露光量(適正EVデータ)を演算
し、その演算結果に対応するシャッタ羽根25、26の
適正絞り開口値と、シャッタ羽根25、26がトリガー
ポイントに位置した時点t=t0 からこの適正絞り開口
値まで開く時点t=tAEまでの時間を決定する。
【0214】この場合、シャッタ羽根25、26のトリ
ガーポイント(t=t0 )から適正絞り開口値(t=t
AE)までの時間は、パルスモータ34の第二段階の逆方
向回転によりHPに復帰した基本往復運動部材6がHP
からトリガーポイントの位置t=t0 まで回動するのに
必要な組み合せパルス数(例えば15パルス)以後の時
間として設定されることになる。
【0215】その結果、パルスモータ34の第三段階の
逆方向回転数は、基本往復運動部材6がHPからトリガ
ーポイントの位置t=t0 まで回動するのに要する例え
ば15パルスと、シャッタ羽根25、26の適正絞り開
口値まで開く時間に対応する組み合せパルス数との合計
パルス数となる。
【0216】また、このとき同時に、パルスモータ34
の第四段階の正方向回転数に対応する組み合せパルス数
が、第三段階のときとは方向性の異なる同数の組み合せ
パルス数(合計数)として総合制御部CPU内に設定さ
れることになる。
【0217】さて、シャッタレリーズ部材42の2段目
のストローク操作を行うと、その操作信号に基づいて撮
影シーケンスが進行し、先ず、パルスモータ駆動制御回
路77から正方向への組み合せパルス数(例えば4n+
αパルス)がパルスモータ駆動回路48を介してパルス
モータ34に付与される。
【0218】そのため、パルスモータ34は、正方向に
回転して、その回転駆動力を、出力歯車35→減速歯車
36の大径歯車部36b→小径歯車部36aの順に基本
往復運動部材6の部分歯車部61に伝達し、基本往復運
動部材6をそのHPから図1の時計方向に回動させるこ
とになる。
【0219】このとき、基本往復運動部材6の押動突起
部62が、その押動係接面62aでラチェット基板9の
被動端面9bを押しながら時計方向に回動するので、ラ
チェット基板9も付勢歯車11に付与された付勢ばね1
3の付勢力に抗して同方向に回動し、最終的には、基本
往復運動部材6と共に選択された合焦ステップLn の位
置まで回動することになる。
【0220】この場合、ラチェット基板9の回動方向が
正方向であるので、ラチェット爪部材14の爪部14a
は、ラチェット基板9の回動している間中、ラチェット
基板9のラチェット歯列9cを乗り越える逃げ運動(光
軸Oから離れる方向の運動)を繰り返して、ラチェット
基板9(基本往復運動部材6でもある)の正方向への回
動を許容する。
【0221】このようにしてラチェット基板9が正方向
に回動すると、固定ねじ10によりラチェット基板9と
結合されたレンズ繰り出し部材2もラチェット基板9と
共に正方向に回動して、その3個の面カム部2bのカム
作用によってレンズ保持枠4を光軸Oに沿って前方に繰
り出すことになる。そのため、レンズ保持枠4は、一対
のレンズ保持枠案内ポール3上を付勢スプリング5の付
勢力に抗して被写体方向に変位する。
【0222】そして、パルスモータ34が、付与された
組み合せパルス数だけ回転すると、総合制御部CPUが
その時点でパルスモータ34を停止させるように制御す
るから、基本往復運動部材6とラチェット基板9とは、
選択された合焦ステップLnの位置に急速に停止するこ
とになり、これに伴ってレンズ保持枠4も付勢スプリン
グ5の付勢力により繰り出し位置に保持される。
【0223】すなわち、撮影レンズLは、そのときの撮
影距離に応じた焦点合せ位置に位置することになり、こ
の時点で焦点合せ動作が実現することになる。また、こ
の過程で、付勢ばね13は、ラチェット板9の回動によ
り、付勢された状態となる。なお、基本往復運動部材6
が正方向へ回動するときには、その回動初期において、
基本往復運動部材6に形成されたHP信号発生部63の
CCW側端部63aがフォトインタラプタ31の検出用
光路上から外れてフォトインタラプタ31からの出力信
号がH信号からL信号に変化するが、前述したように、
フォトインタラプタ31からの信号がL信号に変化して
も基本往復運動部材6の正方向への回動を継続するよう
にプログラムされている。そのため、基本往復運動部材
6は、フォトインタラプタ31の信号変化に拘りなくそ
のまま回動を続けることになる。
【0224】さて、基本往復運動部材6とラチェット基
板9とが選択された合焦ステップLn の位置(焦点合せ
位置)まで回動してその位置に停止すると、パルスモー
タ駆動制御回路77は、直ちにパルスモータ34に対し
て第二段階の逆方向への回転に必要な組み合せパルス数
を付与する。この組み合せパルス数が、第一段階で付与
した組み合せパルス数と方向性の異なる同数のパルス数
であることは前述した通りである。
【0225】さらに、図示実施例では、この第二段階の
組み合せパルス数に付加する形で第三段階の逆方向の組
み合せパルス数(例えば、15パルス+10パルス)を
付与するように構成してあるから、パルスモータ34
は、先ず、第二段階の組み合せパルス数だけ反時計方向
(逆方向)に回転して基本往復運動部材6を合焦ステッ
プLn の位置からHPに向って回動させ、基本往復運動
部材6がHPに至ると、引き続き第三段階の組み合せパ
ルス数だけ引き続き同じ逆方向に回転して、基本往復運
動部材6をそのHPからそのときの適正絞り開口を形成
し得る位置に向って反時計方向へ回動させることにな
る。
【0226】この場合、基本往復運動部材6のみが反時
計方向に回動するだけでラチェット基板9は、合焦ステ
ップL n の位置にそのまま留め置かれることになる。そ
れは次の理由による。
【0227】前述したように、基本往復運動部材6とラ
チェット基板9とが選択された合焦ステップL n の位置
まで回動し且つその位置に停止すると、ラチェット基板
9の停止と同時に、ラチェット爪部材14の爪部14a
が付勢ばね19の付勢力によってこの合焦ステップL n
に対応するラチェット歯列9cのラチェット用係止歯9
n の谷部分に係合することになるが、このような状態
になると、HPに向って回動する基本往復運動部材6の
回動に追従してラチェット基板9が付勢ばね13の付勢
力により反時計方向に回動しようとしても、ラチェット
爪部材14の爪部14aが合焦ステップL n に対応する
ラチェット用係止歯9c n の歯の部分(逆動阻止部)に
食い込んで、ラチェット基板9の反時計方向への回動を
阻止してしまうからである。
【0228】このようにしてラチェット基板9の反時計
方向への回動がラチェット爪部材14により阻止される
ため、レンズ繰り出し部材2のレンズ初期位置への復帰
動作が阻止され、基本往復運動部材6が第二段階および
第三段階の逆方向回動を行っている間中、レンズ保持枠
4(すなわち、撮影レンズL)が、被写体距離演算回路
73で設定されたそのときの焦点合せ位置に保持される
ことになる。
【0229】ところで、基本往復運動部材6が第二段階
および第三段階の回動を行う過程においては、基本往復
運動部材6に植設された第一係脱ピン7がリセット部材
16の逃げ傾斜面16aと接触するが、このときには、
第一係脱ピン7の押動傾斜面7aが弾性中継ぎ板17を
撓ませながら逃げ傾斜面16aを押し上げ、リセット部
材16だけを上方(弾性中継ぎ板17の板厚方向)に変
位させながらこの位置を通過するので、指定されたラチ
ェット用係止歯9c n に対するラチェット爪部材14の
爪部14aによる阻止作用は、そのまま継続されること
になる。
【0230】また、この第二段階および第三段階の回動
を行う過程では、先ず、第二段階の回動過程においてH
P信号発生部63のCCW側端部63aがフォトインタ
ラプタ31の検出用光路を遮って、フォトインタラプタ
31の出力信号をL信号からH信号に変化させる。
【0231】その後、第三段階の回動過程においてHP
信号発生部63のCW側端面63bがフォトインタラプ
タ31の検出用光路から外れて、フォトインタラプタ3
1の出力信号をH信号からL信号に変化させることにな
るが、図示実施例では、いずれの場合にも、この信号変
化に係りなくパルスモータ34の駆動を制御を継続する
ように構成してあるから、基本往復運動部材6は反時計
方向への回動を続けることになる。
【0232】さて、第三段階の回動を行う過程で、基本
往復運動部材6に植設された第二係脱ピン8がシャッタ
羽根開閉レバー20の突出腕部20aに係接し、シャッ
タ羽根開閉レバー20をそのストッパ23に圧接してい
る初期位置(係止位置)から時計方向に押し回す。その
ため、シャッタ羽根開閉レバー20は、付勢ばね22の
付勢力に抗して回転支持軸21の周りを時計方向に回動
することになる。
【0233】このようにしてシャッタ羽根開閉レバー2
0が時計方向に回動すると、図4において、シャッタ羽
根開閉レバー20に植設された絞り駆動ピン24が、シ
ャッタ羽根25、26のカム孔25a・26a内を移動
してシャッタ羽根25、26をそれぞれの回転支持軸2
7・28を軸として互いに逆の方向へ回動させて、シャ
ッタ羽根25、26をその全閉状態から最大絞り開口に
向って開かせるように作用する。
【0234】そして、基本往復運動部材6が組み合せパ
ルス数で例えば15パルスに対応する回動量だけ回動す
るとシャッタ羽根25、26は、トリガーポイントに至
ることになる。
【0235】前述したようにこのトリガーポイントは、
シャッタ露光時間tの起算点(t=t 0 )であるから、
基本往復運動部材6がこの位置に至ると、総合制御部C
PUは、計時回路80を作動させて適正露出演算回路7
4で設定されたシャッタ羽根開き時間の計数を開始させ
ることになる。
【0236】しかし、パルスモータ34は、計時回路
(タイマー)80による計数が所定値に達するまでは逆
方向に回転を続けて基本往復運動部材6の反時計方向へ
の回動を続けさせることになる。
【0237】さて、計時回路80による計数が所定のシ
ャッタ羽根開き時間に達すると、その時点で総合制御部
CPUが、パルスモータ34を急速停止させるように制
御するから、基本往復運動部材6(パルスモータ34で
もある)はシャッタ羽根開き時間に達した時点で一度急
速的に停止することになる。
【0238】この場合、このトリガーポイントから基本
往復運動部材6の停止位置までの時間が、そのときのシ
ャッタ羽根開き時間(t=t 0 →t=t AE )となり、こ
のときの停止位置がシャッタ羽根25、26のそのとき
の適正絞り開口値の位置となる。
【0239】パルスモータ34が急速停止すると、総合
制御部CPUが、第四段階のパルスモータ34の回転数
として、第三段階の反時計方向への組み合せパルス数と
同数のパルス数(例えば、15パルス+シャッタ羽根開
き時間に対応するパルス数)をパルスモータ34に付与
するように制御するから、パルスモータ34は、正方向
への回転を開始することになる。
【0240】そのため、基本往復運動部材6は、適正絞
り開口値の位置から直ちにHPに向って時計方向(正方
向)に回動し始めることになり、シャッタ羽根開閉レバ
ー20も、これに追従する形で付勢ばね22の付勢力に
より初期位置に向って反時計方向に回動(復帰)し始め
ることになる。なお、シャッタ羽根25、26が開くと
きの組み合せパルスのパルス幅と、閉じるときのパルス
幅とが異なることは前述した通りである。
【0241】さて、基本往復運動部材6が時計方向に向
って回動するとこれに追従してシャッタ羽根開閉レバー
20が反時計方向に回動するが、この過程で、シャッタ
羽根25、26が適正絞り開口値(t=t AE )の位置か
ら再びトリガーポイント(t=t 0 の位置)に復帰して
所定の露光時間を完成し、その後、ストッパ23に圧接
する初期位置(全閉状態の位置)に復帰する。そして、
この一連の動作により自動露出制御方式に係る露光動作
が終了することになる。
【0242】なお、フラッシュマチック機構45を利用
して撮影を行う場合には、シャッタ羽根25、26は、
先ず初期位置から最初のトリガーポイント(t=t 0
位置)を経てフラッシュマチック機構45の絞り値情報
で決定される適正絞り開口値の位置(t=t FM の位置)
まで開き、基本往復運動部材6が時計方向に回動し始め
た時点で、この適正絞り開口値の位置から再びトリガー
ポイント(t=t 0 の位置)を経て初期位置に復帰する
ように運動し、この一連の動作によってフラッシュマチ
ック方式に係る露光動作を終了することになる。
【0243】このように、いずれの露光方式による場合
であっても、露光動作は、シャッタ羽根開閉レバー20
が初期位置に復帰した時点をもって終了するが、基本往
復運動部材6の第四段階の時計方向への回動動作は、こ
れらの露光動作が完了した後も続くことになる。
【0244】さて、基本往復運動部材6が、時計方向へ
回動してその回動終期の所定近傍位置に至ると、基本往
復運動部材6上の第一係脱ピン7が図13に示すように
リセット部材16の解除被動部16bと係接して、リセ
ット部材16の解除被動部16bをラチェット基板9の
ラチェット歯列9cから離脱させる方向(反時計方向)
に押し、リセット部材16(ラチェット爪部材14でも
ある)をその回転支持軸15を中心として反時計方向に
回動させる。
【0245】そのため、ラチェット爪部材14の爪部1
4aは、図14に示すように、それまで係合していたラ
チェット歯列9cの合焦ステップ用係止歯9c n から離
脱することになる。
【0246】従って、焦点合せ位置(合焦ステップ用係
止歯9c n の位置)に係止されていたラチェット基板9
は、ラチェット爪部材14の爪部14aが合焦ステップ
用係止歯9c n から離脱した時点でその係止状態を解除
され、付勢歯車11に付与された付勢ばね13の付勢力
によってその初期位置に向って反時計方向(逆方向)に
向って回動し始める。この離脱位置は、前述したよう
に、フォトインタラプタ31の信号がH信号からL信号
に変った時点から組み合せパルス数で7パルス以内の位
置である。
【0247】さて、ラチェット基板9が、合焦ステップ
用係止歯9c n の位置から初期位置に向って反時計方向
に回動し始めると、これに伴ってレンズ繰り出し部材2
も同方向に回動してレンズ保持枠4の後端面4bに対す
る面カム部2bの繰り出しカム作用を解消することか
ら、焦点合せ位置に繰り出されていたレンズ保持枠4
(すなわち、撮影レンズL)は、付勢スプリング5の付
勢力によってレンズ初期位置(図2に示す位置)に復帰
する。
【0248】しかし、ラチェット基板9の反時計方向へ
の回動動作は、ラチェット爪部材14の爪部14aが合
焦ステップ用係止歯9c n から離脱した後も続き、最終
的には、図15に示すように、ラチェット爪部材14の
爪部14aがラチェット基板9の初期位置ストッパ9d
に係合した位置で停止する。そして、この係合位置がラ
チェット基板9の初期位置となる。それは次の理由によ
る。
【0249】ラチェット爪部材14の爪部14aがラチ
ェット歯列9cから離脱した状態にあるのは、第一係脱
ピン7がリセット部材16の解除被動部16bを押し回
して、今までラチェット歯列9cと係合していた爪部1
4aを係止位置から離脱させた時点から第一係脱ピン7
が解除被動部16bとの接触を断つ時点までの短い時間
内であり、この時間が過ぎると、離脱状態の位置にあっ
た爪部14aは、付勢ばね19の付勢力で時計方向に回
動して再びラチェット基板9の外周に係合することにな
る。
【0250】そのため、図示実施例では、ラチェット基
板9の反時計方向への回動速度およびそのときの時間と
基本往復運動部材6の時計方向への回動速度およびその
ときの時間との関係を考慮して、一度離脱したラチェッ
ト爪部材14の爪部14aが再びラチェット歯列9cに
係合しようとするときの位置に、予めラチェット歯列9
cの初期位置ストッパ9dの位置を設定し、この短い時
間を利用してラチェット基板9の初期位置を設定し得る
ように構成してあるからである。なお、図示実施例で
は、係合位置の設定に当って位置的・時間的に多少の余
裕を持たせるように構成してある。
【0251】一方、基本往復運動部材6は、第一係脱ピ
ン7がリセット部材16の解除被動部16bを押し回し
てラチェット爪部材14の爪部14aを往復動させた後
も、すなわち、ラチェット基板9がその初期位置に向っ
て反時計方向への回動を始めても、第四段階の時計方向
(正方向)への回動を続け、その回動終期において、基
本往復運動部材6のHP信号発生部63のCW側端面6
3bがフォトインタラプタ31の検出用光路を遮る位置
に至る。
【0252】このとき、フォトインタラプタ31の出力
信号がL信号からH信号に変化することになるから、こ
の信号変化を受けた総合制御部CPUは、パルスモータ
駆動制御回路77を介して、さらにパルスモータ34を
回転させ、予め記憶手段に記憶させておいた組合せ位相
が2回現れた時点でパルスモータ34を急速停止させる
ように制御する。すなわち、基本往復運動部材6は、精
度および信頼性の極めて高い制御でHPに復帰すること
になる。
【0253】この後、総合制御部CPUによるフィルム
の給送制御が行われることになり、フィルム給送動作が
終了した時点で撮影シーケンスが終了することになる。
【0254】ところで、本発明では、レンズLの繰り出
し動作を行う機械的部材および露光動作を行う機械的部
材と基本往復運動部材6との組み立て調整作業をも、パ
ルス制御で行い得るように構成している。
【0255】前述したように、レンズLの繰り出し動作
を行う機械的手段や絞り兼用シャッタ羽根の開閉動作を
行う機械的手段などを製作する場合には、機械加工時や
組み立て時の製作誤差ないし組み立て誤差が生じるのが
普通であるが、図示実施例では、機械加工時や組み立て
時の誤差を電気制御的な手法で解消するように構成して
ある。
【0256】この目的を達成するため、図示実施例で
は、 (イ)先ず、レンズLの繰り出し動作を行う機械的手段
や絞り兼用シャッタ羽根の開閉動作を行う機械的手段
を、それぞれ独立した機械的手段として製作し且つ組み
立てるように構成すると共に、これらの機械的手段を基
本往復運動部材6のHPからの正逆方向への回動動作で
作動させる。
【0257】(ロ)この基本往復運動部材6のHP設定
状況を常時監視するようにして、カメラ作動の基準位置
であるHPを常に設計値通りの位置に一致させる。
【0258】(ハ)レンズLの繰り出し位置を、被写界
深度を利用して、例えば31段の合焦ステップL 1 〜L
31 として設定すると共に、この合焦ステップL 1 〜L 31
を実現する合焦ステップ用係止歯9c 1 〜9c 31 の谷部
分の長さをいずれも組み合せパルス数で4パルスの長さ
(回動角)に形成して、実際にステップ位置を決定する
ラチェット爪部材14の爪部14aとの係合精度をこの
4パルスの長さ範囲内で行うようにして、係止歯9c 1
〜9c 31 および爪部14aとの機械的な係合精度を一般
的な機械的精度で達成させる。
【0259】(ニ)撮影レンズLの繰り出し開始基準位
置である合焦ステップ用係止歯9c 0 の設計位置を、基
本往復運動部材6をそのHPからの時計方向(正方向)
に回動させる際にパルスモータ34に付与する組み合せ
パルス数を調整するという電気制御的手法を用いて、そ
れぞれのカメラの機械的誤差に合わせて調整的に設定す
る。
【0260】(ホ)同様に、露光時間算定の基準となる
シャッタ羽根25、26のトリガーポイント(t=t 0
の位置)も、基本往復運動部材6をそのHPからの反時
計方向(逆方向)に回動させる際にパルスモータ34に
付与する組み合せパルス数を調整するという電気制御的
手法を用いて、それぞれのカメラの機械的誤差に合わせ
て調整的に設定する。というように構成してある。
【0261】なお、パルスモータ34に付与する組み合
せパルス数を調整する場合、例えば図9の点線で示すよ
うに、各カメラ毎に、例えば一律に1パルスを増減する
ような方法で設定し、さらに精密な調整は、時定数で調
整するように構成してある。そして、これらの調整値
は、前述したように各カメラ毎に、例えば、E 2 PRO
Mからなる記憶手段47に記憶され、基本往復運動部材
6の作動時に、焦点合せ時および露光時に被写体距離演
算回路73および適正露出演算回路74から出力される
組み合せパルス数に合算されて、パルスモータ駆動制御
回路77からパルスモータ34に出力されることにな
る。
【0262】以下、この補正値を用いた具体的な制御方
法について説明する。図16および図17に示すのは、
レンズLの焦点合せ動作に係るフローチャート図であ
る。
【0263】先ず、レンズL(レンズ保持枠4)をレン
ズ初期位置から焦点合せ位置に繰り出すときであるが、
このときには、図16に示すように、被写体距離演算回
路73からの撮影距離情報に対応した合焦ステップL n
と記憶手段47からの調整値とを、記憶手段47から総
合制御部CPUの読み書き自在な記憶手段(以下単に
「記憶手段」という)RAMに代入して、レンズLを実
際に繰り出すときの合焦ステップ用係止歯9c n までの
組み合せパルス数を設定する。
【0264】この場合、組み合せパルス数は、基本往復
運動部材6のHPから調整値(例えば1パルス)を含む
レンズ初期位置までのステップ数「STEP」+初期位
置からの撮影レンズLの繰り出しパルス数(AFSD)
×4パルスとして設定される。このとき同時に、総合制
御部CPUは、パルス幅変更手段72に対してこのとき
付与される組み合せパルスのパルス幅t w を図7に示す
ように、2msにするように指令する[S51およびS5
2]。
【0265】このように撮影レンズLの繰り出し時の組
み合せパルス数とパルス幅とが設定されると、総合制御
部CPUは、パルスモータ駆動制御回路77を介して、
このときの組み合せパルス数を2ms毎にパルスモータ3
4を正方向に駆動するような順序でパルスモータ34に
対して付与し、パルスモータ34を正方向に回転駆動す
るように制御する[S53]。
【0266】そして、総合制御部CPUは、パルスモー
タ34が回転している間、付与され記憶手段RAMに記
憶された組み合せパルス数を1パルスづつ減算し、この
減算結果が0になった時点(パルスモータ34が所定の
組み合せパルス数だけ回転した時点)でパルスモータ3
4を急速停止させるように制御する[S54およびS5
5]。
【0267】さて、基本往復運動部材をHPに復帰させ
るときには、図17に示すように、LENR_Sの前述
のステップS51で代入した組み合せパルス数と同数の
パルス数を記憶手段RAMにセットする。このとき同時
に、総合制御部CPUは、パルス幅変更手段72に対し
てこのとき付与される組み合せパルスのパルス幅t w
図7に示すように、1.4msにするように指令する[S
56]。
【0268】このようにして基本往復運動部材の復帰時
の組み合せパルス数とパルス幅t w とが設定されると、
総合制御部CPUは、パルスモータ駆動制御回路77を
介して、前述の組み合せパルス数を1.4ms毎にパルス
モータ34を逆方向に駆動するような順序でパルスモー
タ34に対して付与し、パルスモータ34を逆方向に回
転駆動するように制御する[S57]。
【0269】そして、総合制御部CPUは、パルスモー
タ34が回転している間、付与された組み合せパルス数
を1パルスづつ減算し、減算が終了する毎にフォトイン
タラプタ31の出力信号の状態をチェックする。
【0270】そして、フォトインタラプタ31の出力信
号がH信号に変ったならば、このループを抜けて基本往
復運動部材6のHP設定制御に移行するように制御する
[S64]。
【0271】このとき同時に、総合制御部CPUは、付
与された組み合せパルス数を1パルスづつ減算してい
く。
【0272】若し、組み合せパルス数の減算結果が0に
なり、STフラグが“1”となってもフォトインタラプ
タ31の出力信号がH信号に変らないときには、カメラ
が異常状態であるので、総合制御部CPUは、撮影不能
警告手段46を作動させるように制御する[S61]。
【0273】一方、図18および図19に示すのは、シ
ャッタ羽根25、26の開閉動作(露光動作)に係るフ
ローチャート図である。
【0274】先ず、シャッタ羽根25、26を開くとき
であるが、このときには、図18に示すように、総合制
御部CPUは、基本往復運動部材6をHPからシャッタ
羽根25、26のトリガーポイントに回動するまでに必
要なパルス数=調整(EVP)を、記憶手段47から
呼び出して記憶手段RAMに代入し、同時に、パルス幅
変更手段72に対してこのとき付与される組み合せパル
スのパルス幅t w を図7に示すように、1.536msに
するように指令する[S71および72]。
【0275】このようにしてHPからトリガーポイント
までの組み合せパルス数とパルス幅とが設定されると、
総合制御部CPUは、パルスモータ駆動制御回路77を
介して、このときの組み合せパルス数を1.536秒毎
にパルスモータ34を逆方向に駆動するような順序でパ
ルスモータ34に対して付与し、パルスモータ34を逆
方向に回転駆動するように制御する[S73]。
【0276】そして、総合制御部CPUは、パルスモー
タ34が回転している間、付与された組み合せパルス数
を1パルスづつ減算し、この減算結果が0になった時点
(パルスモータ34が所定の組み合せパルス数だけ回転
した時点)でSTフラグが“1”にセットされるように
なる[S74およびS75]。
【0277】この後は、前述したように、総合制御部C
PUが適正露出演算回路74で設定されたシャッタ羽根
開き時間に対応する量だけパルスモータ34の逆方向へ
の回転を継続し、引き続いてパルスモータ34を正方向
に回転駆動するように制御して、シャッタ羽根25、2
6の開閉動作を実行することになる。
【0278】一方、レンズLの焦点合せ動作に係るフロ
ーチャート図を示す図17におけるステップS58で、
YESに分岐した場合の動作について説明する。
【0279】ステップS58でYESに分岐した場合
は、フォトインタラプタ31の出力信号がH信号に変っ
たということであるから、正常な基本往復運動部材6の
HP設定制御動作を行うサブルーチン「RDHP_S」
に移行する[S64]。
【0280】このサブルーチン「RDHP_S」のフロ
チャートは、図19に示す通りであり、先ず、ステップ
S57の「RDT0_S」で出力された逆方向駆動パル
スデータがそのつど、HP設定演算回路76に入力され
るので、フォトインタラプタ31の出力信号がL信号か
らH信号に変化した時点の駆動パルスデータ、(例え
ば、PM0=H,PM2=H)を記憶手段RAMに代入
して記憶しておく[S77]。
【0281】次に、RAMに1をセットし[S77]、
パルスモータ駆動制御回路77が、ステップS57の処
理と同様に、1.4ms毎にパルスモータ34を逆方向に
駆動するような順序でパルスモータ34に対して付与
し、パルスモータ34を回転駆動するように制御する
[S78]。
【0282】そして、総合制御部CPUは、記憶手段4
7に格納されている初期データPMEを呼び出し、次々
と入力される駆動パルスデータPMDDと対比し、この
駆動パルスデータPMDDが初期データPMEと一致す
るまで繰り返し、PMDD=PMEとなったら1を代入
したRAMから−1(減算)する[S80]。
【0283】上記減算結果よりSTフラグがセットされ
るわけであるが、フォトインタラプタ31がL信号から
H信号に変化してから2回目のPMDD=PMEとなる
時点でボローが発生しSTフラグが、“1”にされ、パ
ルスモータ34が急速停止制御され、ホームポジション
設定制御動作が終了する。
【0284】なお、ホームポジション(HP)の調整
(ホームポジションへの駆動パルスを求めるに)は、実
際にパルスモータ34を駆動して、フォトインタラプタ
31の出力が「L」から「H」に変った時点の駆動パル
スを検出することにより行う。すなわち、ホームポジシ
ョンの駆動パルスデータは、フォトインタラプタ31の
出力が「L」から「H」に変った時点の駆動パルスが分
れば、それから求めることができる。
【0285】以上、図示実施例に基づいて説明したが、
本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を
逸脱しない範囲内で種々変形実施することが出来るもの
である。
【0286】
【発明の効果】以上詳しく説明したところから明らかな
ように、請求項1〜に記載の発明によれば、第1に、
基本往復運動部材のホームポジション(制御基準位置)
への復帰動作を、従来の、例えばリーフスイッチや摺動
スイッチからなるポジションスイッチを用いる場合のよ
うに弾性劣化や接触不良などに伴うトラブルがなく、高
い信頼性をもって正確に行うことができ、第2に、1つ
のパルスモータで撮影レンズの繰り出し動作およびシャ
ッタ羽根の開閉動作を行い得るにもかかわらず、そのパ
ルスモータの作動精度を高く維持しつつ作動時間の短縮
化を図ることができ、第3に、調整範囲が広く融通性が
あり、その調整作業も簡易であって、機械加工精度およ
び組み立て精度をそれ程高くせずとも、作動精度を高く
設定できると共に自動組立が容易に実現化でき、第4
に、構成の簡略化とスペースの節減化を実現し得るパル
ス制御カメラを提供することがてきる。
【0287】また、請求項に記載の発明によれば、カ
メラの使用時に、基本往復運動部材のホームポジション
への復帰が実現されているか否かのチェックを行い得る
ようになり、若し基本往復運動部材のホームポジション
への正確な復帰がなされていない場合、並びにカメラに
異常事態が生じた場合には、その旨をユーザーに報知し
得るパルス制御カメラの制御基準位置設定方法を提供す
ることができる。
【0288】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパルス制御カメラの鏡胴部分を示
す正面図である。
【図2】図1の断面構成図である。
【図3】図1における矢印B視の部分側面図である。
【図4】図1に示す鏡胴部分に使用されている絞り兼用
シャッタ羽根の構成を拡大して示す正面図である。
【図5】図1に示すパルス制御カメラの制御系全体に係
る電気回路的な構成を示す制御ブロック図である。
【図6】図5における総合制御部とパルスモータ駆動回
路との信号授受関係を中心として説明するための回路ブ
ロック図である。
【図7】図1に示すパルス制御カメラにおける全体の動
作ないし作用を説明するための全体タイミングチャート
図である。
【図8】図1に示すパルス制御カメラにおける撮影レン
ズの繰り出し動作時の作用を説明するための部分的タイ
ミングチャート図である。
【図9】図1に示すパルス制御カメラにおけるシャッタ
羽根の開き動作時の作用を説明するための部分的タイミ
ングチャート図である。
【図10】図1のパルス制御カメラに使用されている基
本往復運動部材のHP設定制御シーケンスの前半部分を
説明するための前半フローチャート図である。
【図11】図1のパルス制御カメラに使用されている基
本往復運動部材のHP設定制御シーケンスの後半部分を
説明するための後半フローチャート図である。
【図12】図1のパルス制御カメラに使用されている基
本往復運動部材のHP設定制御時における、基本往復運
動部材の回動位置とパルスモータに付与する駆動パルス
数とフォトインタラプタの出力変化との関係を略示する
相対運動関係図である。
【図13】図1のパルス制御カメラに使用されている基
本往復運動部材の第一係脱ピンとリセット部材の逃げ傾
斜面および解除被動部との係接関係、並びに、ラチェッ
ト基板のラチェット歯列とラチェット爪部材の爪部との
係接関係を説明するための作動説明図の内、基本運動部
材がシャッタ羽根の適正絞り開口の位置からHPに向っ
て正方向回動を行う過程で、第一係脱ピンがリセット部
材の解除被動部に係接したときの状態を示す作動説明図
である。
【図14】図1のパルス制御カメラに使用されている基
本往復運動部材の第一係脱ピンとリセット部材の逃げ傾
斜面および解除被動部との係接関係、並びに、ラチェッ
ト基板のラチェット歯列とラチェット爪部材の爪部との
係接関係を説明するための作動説明図の内、基本運動部
材が図13の状態からさらに正方向に回動し、第一係脱
ピンがリセット部材の解除被動部を反時計方向に押し回
して、ラチェット爪部材の爪部をラチェット基板のラチ
ェット歯列から離脱させたときの状態を示す作動説明図
である。
【図15】図1のパルス制御カメラに使用されている基
本往復運動部材の第一係脱ピンとリセット部材の逃げ傾
斜面および解除被動部との係接関係、並びに、ラチェッ
ト基板のラチェット歯列とラチェット爪部材の爪部との
係接関係を説明するための作動説明図の内、基本運動部
材が図14の状態からさらに正方向に回動し、ラチェッ
ト爪部材の爪部がラチェット歯列の初期位置ストッパに
係接したときの状態を示す作動説明図である。
【図16】図1に示すパルス制御カメラの製作時におけ
る機械的誤差調整方法を実現するときの機械的誤差調整
フローチャート図の内、撮影レンズの焦点合せ動作の前
半部分を説明する部分的フローチャート図である。
【図17】図1に示すパルス制御カメラの製作時におけ
る機械的誤差調整方法を実現するときの機械的誤差調整
フローチャート図の内、撮影レンズの焦点合せ動作の後
半部分を説明する部分的フローチャート図である。
【図18】図1に示すパルス制御カメラの製作時におけ
る機械的誤差調整方法を実現するときの機械的誤差調整
フローチャート図の内、シャッタ羽根の開き動作を説明
するフローチャート図である。
【図19】図に示すパルス制御カメラの製作時における
機械的誤差調整方法を実現するときの機械的誤差調整フ
ローチャート図のうち、HP設定制御動作に係るフロー
チャート図である。
【符号の説明】
L 撮影レンズ L 1 〜L 31 合焦ステップ(例えば31段) O 撮影光軸(光軸) 1 鏡胴固定部 1a,2a 撮影光束通過孔 2 レンズ繰り出し部材 2b 面カム部 3 レンズ保持枠案内ポール 4 レンズ保持枠 5 付勢スプリング 6 基本往復運動部材 61 部分歯車部 62 押動突起部 62a 押動係接面 63 信号発生部 63a CCW側端面 63b CW側端面 7 第一係脱ピン 7a 押動傾斜面 8 第二係脱ピン 9 ラチェット基板 9a 部分歯車部 9b 被動端面 9c ラチェット歯列 9c 1 〜9c 31 合焦ステップ用係止歯 9d 初期位置ストッパ 11 付勢歯車 13 付勢ばね 14 ラチェット爪部材 14a 爪部 16 リセット部材 16a 逃げ傾斜面 16b 解除被動部 17 弾性中継ぎ板 19 付勢ばね 20 シャッタ羽根開閉レバー 24 絞り駆動ピン 25,26 絞り兼用シャッタ羽根(シャッタ羽根) 29 背面基板 29a 撮影光束通過孔 30 押えリング部材 31 光電検出手段(フォトインタラプタ) 31a 赤外線発光素子 31b 受光素子 32 凹形断面通路 34 パルスモータ 34a 出力軸 35 出力歯車 36 減速歯車 36a 大径歯車部 36b 小径歯 40 作動電源 41 パワースイッチ 42 シャッタレリーズ部材 43 自動測距手段(AF手段) 44 被写体輝度検出手段 45 フラッシュマチック機構手段 46 撮影不能警告手段 47 記憶手段 48 パルスモータ駆動回路 49 昇圧制御手段 50 定電圧制御手段 CPU 総合制御部 RAM 記憶手段 71 パルス発生回路 72 パルス幅変更手段 73 被写体距離演算回路 74 適正露出演算回路 75 フラッシュマチック制御演算回路 76 ホームポジション設定演算回路 77 パルスモータ駆動制御回路 78 パルスカウンタ 79 撮影不能警告判定回路 80 計時回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−257136(JP,A) 特開 平2−53009(JP,A) 特開 昭60−184230(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03B 9/00 - 9/54

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つのパルスモータにより、制御基準位
    置からそのときの測距値に応じた量だけ正方向に駆動さ
    れた後に前記制御基準位置に戻され、引き続いて、前記
    制御基準位置から逆方向に駆動された後、再び前記制御
    基準位置に戻される基本往復運動部材と、 この基本往復運動部材が前記制御基準位置から正方向に
    駆動されるとき、自身に付与された付勢力に抗して、こ
    のときの正方向駆動量に応じて駆動させられ、且つ、撮
    影レンズを前記測距値に応じた量だけその光軸方向に変
    位させる距離設定運動部材と、 この距離設定運動部材が前記付勢力により逆方向に駆動
    されるのを阻止するように、前記距離設定運動部材と係
    合する方向に付勢され、前記基本往復運動部材が逆方向
    に駆動された位置から前記制御基準位置に戻されるとき
    にのみ、前記基本往復運動部材により前記係合方向付勢
    力に抗して押し回されて、前記距離設定運動部材に対す
    る係合を解除する逆動阻止手段と、 前記基本往復運動部材が前記制御基準位置から逆方向に
    駆動されるときに、絞り兼用シャッタ手段のシャッタ羽
    根を開く方向に作動させられ、且つ、前記基本往復運動
    部材が逆方向に駆動された位置から前記制御基準位置に
    戻されるときに、シャッタ羽根を閉じる方向に作動させ
    られるシャッタ開閉手段と、 前記基本往復運動部材の位置を検出し得るように前記撮
    影レンズの光軸と平行に配置された光電検出手段とを有
    するように構成されていることを特徴とするパルス制御
    カメラであって、 前記制御基準位置の付近に設定された所定近傍位置を、
    自身の出力信号の変化として光電的に検出し得るように
    設けられた光電検出手段と、 前記パルスモータを正方向または逆方向に駆動すること
    によって、前記光電検出手段の出力信号が変化したとき
    の位置を探査し得るように設けられた領域境界位置探査
    手段と、 この領域境界位置探査手段が前記境界点を探査したとき
    に、前記光電検出手段の出力信号が変化した位置からさ
    らに前記パルスモータを同方向に回転させ前記パルスモ
    ータへの通電位相が予め定めておいた位相になったとき
    前記パルスモータを停止させて前記制御基準位置を電気
    的に設定するように設けられた電気的制御手段とを含む
    ように構成したことを特徴とするパルス制御カメラ。
  2. 【請求項2】 請求項に記載されたパルス制御カメラ
    において、 前記光電検出手段を、前記制御基準位置を光電的に検出
    し得る検出用光路を備え且つこの検出用光路が遮断状態
    にあるときと通過状態にあるときとで光電的な出力信号
    を変化させ得るような光電検出手段として構成し、 前記領域境界位置探査手段を、前記基本往復運動部材の
    一部に突出的に設けられ、且つ、自身の幅が前記パルス
    モータに付与される駆動パルスの所定数に対応する前記
    基本往復運動部材の回動角換算幅として設定され、前記
    基本往復運動部材が前記制御基準位置から焦点合せ動作
    を実現する位置に向って回動するとき、並びに、前記基
    本往復運動部材が前記制御基準位置から少なくとも前記
    シャッタ羽根を露光開始基準位置に位置させる位置に向
    って回動するときに、自身の合焦側の幅端部並びに露光
    側の幅端部が、前記光電検出手段の検出用光路をそれぞ
    れ遮断状態から通過状態に変えて前記光電検出手段の光
    電的検知信号を変化させ得るように構成された信号発生
    部と、 この信号発生部の合焦側の幅端部並びに露光側の幅端部
    が前記光電検出手段の検出用光路を遮断状態から通過状
    態に変えるときの時点を、少なくとも制御基準位置算出
    点として設定すると共に、前記基本往復運動部材が前記
    制御基準位置からこの制御基準位置算出点に至るまでの
    回動量を前記パルスモータに付与する駆動パルスの所定
    パルス数として設定し、前記基本往復運動部材が前記焦
    点合せ動作を実現した位置並びに少なくとも前記シャッ
    タ羽根を露光開始基準位置に位置させたときの位置から
    前記制御基準位置に向って回動する過程において、前記
    パルスモータが前記所定パルス数だけ前記制御基準位置
    算出点から回転したときの位置を前記制御基準位置とし
    て設定するように制御する電気的制御手段とを有する領
    域境界位置探査手段として構成したことを特徴とするパ
    ルス制御カメラ。
  3. 【請求項3】 請求項またはに記載されたパルス制
    御カメラにおいて、 前記領域境界位置探査手段の信号
    発生部が正逆方向に回動するときの運動面を前記撮影レ
    ンズの光軸を軸とする円筒面内に位置させるように設定
    して成ることを特徴とするパルス制御カメラ。
  4. 【請求項4】 請求項ないしのいずれか1つに記載
    されたパルス制御カメラにおいて、 前記絞り兼用シャッタ手段に、被写体輝度を測光してそ
    のときの適正露出値を演算する適正露出演算手段と、前
    記基本往復運動部材の正方向回動に追従して、前記シャ
    ッタ羽根を前記適正絞り開口の位置から前記露光開始基
    準位置に復帰させ得る復帰付勢手段とを設け、 前記シャッタ羽根を前記露光開始基準位置から前記適正
    絞り開口の位置まで開かせるときには、前記適正露出演
    算手段で決定された適正露出値に基づいて設定された時
    間で制御される前記基本往復運動部材の逆方向回動動作
    で開かせるように構成し、前記シャッタ羽根が前記適正
    絞り開口の位置から前記露光開始基準位置まで閉じると
    きには、前記復帰付勢手段の付勢力で閉ざすように構成
    したことを特徴とするパルス制御カメラ。
  5. 【請求項5】 請求項ないしのいずれか1つに記載
    されたパルス制御カメラにおいて、 前記基本往復運動部材を前記制御基準位置から正方向に
    回動させる段階において前記パルスモータに付与する駆
    動パルスの幅、前記基本往復運動部材を前記正方向回動
    後の位置から前記制御基準位置に向って逆方向に回動さ
    せる段階において前記パルスモータに付与する駆動パル
    スの幅、前記基本往復運動部材を前記制御基準位置から
    逆方向に回動させる段階において前記パルスモータに付
    与する駆動パルスの幅、および、前記基本往復運動部材
    を少なくとも前記シャッタ羽根の適正絞り開口が形成さ
    れたときの位置から前記制御基準位置に向って再び正方
    向に回動させる段階において前記パルスモータに付与す
    る駆動パルスの幅の内、いずれか1つの段階において付
    与する駆動パルスの幅を、他の段階において付与する駆
    動パルスの幅と異ならせるように構成したことを特徴と
    するパルス制御カメラ。
  6. 【請求項6】 請求項ないしのいずれか1つに記載
    されたパルス制御カメラにおいて、 前記基本往復運動部材を前記制御基準位置から正方向に
    回動させる段階において前記パルスモータに付与する駆
    動パルスの幅、前記基本往復運動部材を前記正方向回動
    後の位置から前記制御基準位置に向って逆方向に回動さ
    せる段階において前記パルスモータに付与する駆動パル
    スの幅、前記基本往復運動部材を前記制御基準位置から
    逆方向に回動させる段階において前記パルスモータに付
    与する駆動パルスの幅、および、前記基本往復運動部材
    を前記シャッタ羽根の適正絞り開口が形成されたときの
    位置から前記制御基準位置に向って再び正方向に回動さ
    せる段階において前記パルスモータに付与する駆動パル
    スの幅の内、いずれか1つの段階において付与する前記
    駆動パルスの幅を、その段階中で変化させるように構成
    したことを特徴とするパルス制御カメラ。
  7. 【請求項7】 撮影レンズをそのときの撮影距離に応じ
    た焦点合せ位置に繰り出す動作と、シャッタ羽根を少な
    くともそのときの被写体輝度に応じた適正露出値に基づ
    く適正絞り開口の位置まで開く動作とを1つのパルスモ
    ータにより駆動するパルス制御カメラの制御基準位置設
    定方法において、 前記撮影レンズを前記焦点合せ位置に繰り出すときの繰
    り出し開始基準位置と前記シャッタ羽根を前記適正絞り
    開口の位置まで開かせるときの露光開始基準位置との間
    に前記カメラの制御基準位置を設定すると共に、この制
    御基準位置の付近に少なくとも1つの所定近傍位置を設
    定し、 前記制御基準位置から前記所定近傍位置までの領域と前
    記所定近傍位置から前記制御基準位置とは反対の側に位
    置する外方領域との境界位置を光電検出手段の出力信号
    の変化として光電的に検出し得るように構成し、 前記パルスモータを正逆方向の少なくとも一方の方向に
    駆動して前記光電検出手段の出力信号が変化した位置を
    探査し、 前記光電検出手段の出力信号変化により前記境界位置を
    探査したときに、前記光電検出手段の出力信号が変化し
    た位置から所定の駆動パルス数を前記パルスモータに付
    与することにより、 前記制御基準位置を電気制御的に設定するように構成し
    たことを特徴とするパルス制御カメラの制御基準位置設
    定方法。
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