JP3044235B2 - 高分子量脂肪族ポリエステルカーボネート及びその製造方法 - Google Patents
高分子量脂肪族ポリエステルカーボネート及びその製造方法Info
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Description
有する高分子量脂肪族ポリエステルカーボネート及びそ
の製造方法に関するものである。
の合成高分子は、日常生活に欠かせない原材料として大
量に使われているが、自然環境で分解されないことから
消費量の増加に伴って環境保全面で問題となっている。
そこで、生分解性の脂肪族ポリエステルが注目されてい
る。しかし、従来の脂肪族ポリエステルはコストや強度
等で解決すべき問題が多い。例えば、ポリヒドロキシブ
チレートは融解温度が高く、性能の良いポリエステルで
あるが、融解温度と分解温度の差が少ないことから成形
時に熱分解して性能低下や臭気発生等の問題を起し易い
上に、微生物を用いて生産される高分子なので生産性が
低く、コスト高である。また、ポリカプロラクトンは現
在工業生産されている数少ない脂肪族ポリエステルであ
るが、融解温度が約60℃にすぎないことから用途が制
限される。さらに、ヒドロキシカルボン酸の重合体は生
分解性の良い重合体として注目されており、特に乳酸の
重合体は生体吸収材料に使われるほど生体親和性の重合
体であるが、これらはその製造工程が複雑である。
に関する諸問題を解決するため、脂肪族ジカルボン酸又
はその無水物とグリコールの重縮合で得られるポリエス
テルが注目されている。このポリエステルの製造法は古
くから知られており、酸としてはコハク酸、アジピン
酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカジカルボン酸等を
使い、グリコールにはエチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール等を使う方法が報告さ
れている。そして、コハク酸を原料とする重合体は融解
温度が70℃以上と報告されている。しかし、このよう
な重合体はいずれも数平均分子量が数千程度なので、フ
ィルムや繊維にできる程度の機械的強度がない。
スチックとして脚光を浴びており、そのため下記のよう
に数平均分子量が大きく機械的強度の高いポリエステル
製造法が多数提案されている。しかし、これらの提案で
はいずれも製造工程が増える上に重合体性能が下がる場
合もあり、充分満足できる方法は見当らない。特開平4
−189822号及び特開平4−189823号公報に
よれば、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とグリコー
ルから数平均分子量1.5万程度の脂肪族ポリエステル
を製造し、これをジイソシアネートで架橋して分子量を
増やす方法が示されている。しかし、この方法ではミク
ロゲルが生成して重合体品質を低下させる等の問題があ
る。また、特開平5−287041号及び287042
号公報によれば、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多
価イソシアネートの3者を共重合し、これによって数平
均分子量が高く、分子量分布の広い高分子を得ている。
この高分子は、分子量が高く、機械的強度が大きい上
に、分子量分布が広いことから溶融粘度が高く、フィル
ム等の成形品を製造するのに好適である。同様な目的
で、特開平5−287068号公報には、前記3成分の
他に3,3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
無水物を加えた4成分共重合体が、特開平5−2950
71号公報には前記3者の他にペンタエリスリット等の
多価アルコールを加えた4成分共重合体が提案されてい
る。しかし、これらの共重合体にはゲルが生成する等の
問題がある。このほか、特開平6−192374号公報
には、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多価アルコー
ル又は多価カルボン酸から低分子量脂肪族ポリエステル
を合成し、これに末端がイソシアネート基となっている
脂肪族ポリエステルを反応させ、ミクロゲル不含の高分
子量重合体を得る方法が提案されている。しかし、この
方法では更に製造工程が増加する。
カルボン酸ではなく脂肪族ジカルボン酸ジエステルとグ
リコール類を重縮合させることにより、実用的に十分な
強度を持つに足る分子量を有する脂肪族ポリエステルの
製造方法が提案されている。しかしながら、このような
脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコールの組
み合わせより得られるほとんどの脂肪族ポリエステル
は、非常に低い融解温度を持つため実用的には好ましく
ない。またこれらの脂肪族ポリエステル中で比較的高い
融解温度を持つものは、その生分解性が高くなく、やは
り生分解性プラスチックとしては好ましくない。
れば、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコー
ルにさらにカーボネート化合物を共重合させ、脂肪族ポ
リエステルカーボネートにすることにより、生分解性を
向上させることができ、さらにその共重合比を変化させ
ることにより生分解性を制御できることが提案されてい
る。しかしながら、このポリエステルカーボネートの場
合、カーボネート化合物を共重合することにより機械的
強度の低下が見られる。
な程度の融解温度をもち、機械的強度及び加工性に優れ
ている新規な線状構造を有する高分子量脂肪族ポリエス
テルカーボネートを提供するとともに、該脂肪族ポリエ
ステルカーボネートを工業的に有利に製造する方法を提
供することをその課題とする。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、下記一般式(1)
R2及びR3は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表さ
れる脂肪族ジカルボン酸ジエステルと、下記一般式
(2)
で表される脂肪族グリコールと、下記一般式(3)
肪族基を示す場合、両者は結合していてもよい)で表さ
れる炭酸ジエステルと、下記一般式(4)
族基を示し、nはその脂肪族基の価数に対応する整数を
示す〕で表される多価脂肪族アルコールとの縮合物から
なり、該多価脂肪族アルコールの反応割合が、前記脂肪
族ジカルボン酸ジエステルと炭酸ジエステルの和100
モル当り0.05〜10モルの割合であることを特徴と
する数平均分子量が2万以上の線状構造を有する高分子
量脂肪族ポリエステルカーボネートが提供される。さら
に、本発明によれば、前記高分子量ポリエステルカーボ
ネートの製造方法が提供される。
テルカーボネートは各種の方法で製造することができる
が、その好ましい方法の1つは、下記一般式(1)で表
わされる2価脂肪族ジカルボン酸ジエステルと、下記一
般式(2)で表わされる脂肪族グリコールと、下記一般
式(3)で表わされる炭酸ジエステルと、下記一般式
(4)で表わされる多価脂肪族アルコールを縮合反応さ
せる方法である。
好ましくは2〜6の2価脂肪族基である。このような2
価脂肪族基には、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が
包含され、その具体例としては、例えば、エチレン、プ
ロピレン、ブチレン、オクチレン、ドデシレン等が挙げ
られる。
ルキル基を示す。このようなアルキル基としては、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチルが挙げられる。
族基を示す。この場合の脂肪族基には鎖状又は環状のア
ルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素
数1〜8、好ましくは1〜5の鎖状アルキル基や、シク
ロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘ
プチル、シクロオクチル等の3〜10、好ましくは5〜
7の環構成炭素を有するシクロアルキレン基、シクロヘ
キシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシル
プロピル、シクロヘキシルブチル、シクロペンチル、シ
クロヘプチル等の脂肪族環を有するシクロアルキレンが
挙げられる。芳香族基としては、フェニル、トリル、キ
シリル、ナフチル、ベンジル、フェネチル等が挙げられ
る。また二つのR5及びR6は結合していてもよい。この
場合は、結合している二つのR5及びR6は2価脂肪族基
を示すが、この2価脂肪族基は、鎖状又は環状のもので
あることができ、このようなものには、アルキレン基
や、シクロアルキレン基、シクロアルキレンジアルキレ
ン基が包含される。アルキレン基としては、炭素数1〜
12、好ましくは2〜8のアルキレン基、例えば、エチ
レン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレ
ン、ヘプチレン、オクチレン等が挙げられる。シクロア
ルキレン基としては、シクロブチレン、シクロペンチレ
ン、シクロヘキシレン、メチルシクロヘキシレン、シク
ロオクチレン等の3〜10、好ましくは5〜7個の環構
成炭素を有するものが挙げられる。シクロアルキレンジ
アルキレン基としては、シクロヘキシレンジメチレン、
シクロヘキシレンジエチレン、シクロヘキシレンジプロ
ピレン等が挙げられる。
〜8価の脂肪族基を示す。
は、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、
ドデカン酸等の炭素数2〜10、好ましくは2〜7の脂
肪族ジカルボン酸ジエステルが挙げられる。
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール等が挙げられる。前記炭酸ジエステ
ルとしては、ジフェニルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネー
ト、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネ
ート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート
等が挙げられる。前記多価脂肪族アルコールとしては、
ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリ
ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリ
ン、エリトリット、D及びL−トレイット及びそのラセ
ミ体、フィシット、エリトログルシン、アドニット、D
及びL−アラビット及びそのラセミ体、キシリット等が
挙げられる。
反応用触媒の存在下で好ましく行われる。このような触
媒としては、リチウム、カリウムなどのアルカリ金属、
マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土
類金属、スズ、アンチモン、ゲルマニウム等の典型金
属、鉛、亜鉛、カドニウム、マンガン、コバルト、ニッ
ケル、ジルコニウム、チタン、鉄等の遷移金属、ビスマ
ス、ニオブ、ランタン、サマリウム、ユウロピウム、エ
ルビウム、イッテルビウム等のランタノイド金属等の各
種金属の化合物、アルコラート、アセチルアセトネート
キレート等を挙げることができる。また含窒素塩基性化
合物や、ホウ酸、ホウ酸エステルなども触媒として用い
られる。
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、
酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、
水酸化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、
安息香酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二
水素カリウム、リン酸二水素リチウムなどが挙げられ
る。
には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水
素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどが挙げられる。
ブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、三酸
化アンチモン、酸化ゲルマニウム、炭酸ビスマスオキシ
ド、酢酸ビスマスオキシドなどが挙げられる。
酸鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトネート亜鉛、酢酸カド
ニウム、酢酸マンガン、マンガンアセチルアセトネー
ト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、酢
酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸ジル
コニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸チ
タン、テトラプトキシチタネート、テトライソプロポキ
シチタネート、チタニウムオキシアセチルアセトネー
ト、酢酸鉄、アセチルアセトネート鉄、酢酸ニオブなど
が挙げられる。
酸サマリウム、酢酸ユウロピウム、酢酸エルビウム、酢
酸イッテルビウムなどが挙げられる。
は、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラブチルアン
モニウムヒドロオキシド、トリメチルフェニルアンモニ
ウムヒドロオキシド、トリメチルベンジルアンモニウム
ヒドロオキシドなどの四置換アンモニウムヒドロオキシ
ド類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル
ベンジルアミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン
類、R2NH(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキ
ル、フェニル、トルイルなどのアリール基である)で示
される二級アミン類、RNH2(式中、Rは上記と同じ
である)で示される一級アミン類、あるいはアンモニ
ア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テト
ラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチル
アンモニウムテトラフエニルボレート、テトラメチルア
ンモニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩など
が挙げられる。これらのうち、テトラアルキルアンモニ
ウムヒドロオキシド類が特に好ましい。
ウ酸トリメチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプ
チル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリトリル、ホウ酸
トリナフチルなどが挙げられる。
上組合せて用いてもよい。また、触媒は、原料として用
いられる脂肪族ジカルボン酸ジエステルと炭酸ジエステ
ルの和1モルに対して、10-7〜10-3モル、好ましく
は10-6〜5×10-4モルの割合で用いることが好まし
い。この範囲より触媒量が少なくなると反応がうまく進
行せず反応に長時間を要する。この範囲より多くなると
重合時のポリマーの熱分解、架橋、着色等の原因とな
り、また、ポリマーの成形加工において熱分解等の原因
となり好ましくない。
ルボン酸ジエステルと炭酸ジエステルの和に対して2〜
50モル%、好ましくは5〜30モル%である。脂肪族
グリコールの使用割合は、脂肪族ジカルボン酸ジエステ
ルと炭酸ジエステルの和1モル当り、1〜1.5モル、
好ましくは1〜1.1モルの割合である。
使用割合は、線状構造のポリマーを与える範囲であれば
よく、通常、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと炭酸ジエ
ステルの和100モル当り、0.05〜10モル、好ま
しくは0.1〜4モルの割合である。多価脂肪族アルコ
ールの反応割合が前記範囲より多くなると、得られるポ
リマー(重縮合体)が実質的な線状構造を示さず、ゲル
状を示すようになるので好ましくなく、一方、前記範囲
より少なくなると、得られるポリマーの分子量が低くな
るので好ましくない。
反応により副生する、脂肪族ジカルボン酸ジエステル及
び炭酸ジエステル由来のヒドロキシル化合物が反応系に
おいて気体として存在する温度である。例えば、副生す
るR2OH、R3OH、R5OH及びR6OHがいずれもメ
タノールである場合には、100〜300℃、好ましく
は120〜250℃である。反応圧力は、減圧、常圧又
はやや加圧(0.5kg/cm2G以下)であることが
できるが、好ましくは、常圧ないし減圧である。また、
反応は、副生するヒドロキシ化合物を反応系外へ迅速に
留出させるために、窒素ガス等の不活性ガスの流通下に
行うか又は反応装置として蒸留塔を結合した反応装置
(反応蒸留塔)を用いて副生するヒドロキシ化合物を留
出させながら行うのが好ましい。
工程(第1工程)と、高分子量化工程(第2工程)との
2つの工程で行うのが好ましい。前記予備縮合工程にお
いては、末端に脂肪族グリコールの結合した低分子量の
縮合物を生成させる。この縮合物の数平均分子量は、5
00〜10000、好ましくは1000〜5000程度
にするのがよく、その分子量は反応条件及び反応時間に
より適当に調節することができる。また、この場合の反
応条件は、副生するヒドロキシ化合物が反応条件下で気
体として存在し得る条件であればよい。
の縮合物の末端に結合する脂肪族グリコールを脱離させ
ながら縮合させて高分子量の縮合物を生成させる工程で
あり、この工程により、数平均分子量が20,000以
上の縮合物を生成させることができる。この場合の反応
条件は、副生する脂肪族グリコールが気体として存在し
得る条件であればよい。この高分子量化工程は、前記予
備縮合工程を実施する反応装置と同じ装置で実施するこ
とができ、この場合には、予備縮合反応の終了後に、反
応条件を変えて、例えば、反応温度を高くしかつ反応圧
力を低くして、予備縮合体の縮合反応を行えばよい。
ボネートを製造するための他の方法は、従来公知の脂肪
族ポリエステルカーボネートと多価脂肪族アルコールを
反応させる方法である。前記反応はエステル交換反応用
触媒の存在下において、減圧、常圧又はやや加圧下で行
われる。反応温度は反応原料として用いる脂肪族ポリエ
ステルカーボネートが溶融し、反応圧力下においてHO
−R4−OHが気体として存在し得る温度である。この
反応で副生するHO−R4−OHは、反応系内に不活性
ガスを流通させたり、反応装置として反応蒸留塔を用い
ること等により、反応系外へ迅速に排出させる。
カーボネートの数平均分子量は、通常、500〜100
000、好ましくは2000〜50000である。この
ものは、従来公知の方法に従って製造することができ
る。例えば、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グ
リコールと炭酸ジエステルを縮合させることにより得る
ことができる。この反応を行う場合、脂肪族ポリエステ
ルカーボネートの製造とこのポリエステルカーボネート
と多価脂肪族アルコールの反応を同じ反応装置で実施す
ることもでき、この場合は脂肪族ポリエステルカーボネ
ートの製造後多価脂肪族アルコールを添加し、反応条件
を変えて、例えば、反応温度を高くしかつ反応圧力を低
くして、さらに重縮合反応を行えばよい。
は、下記式(5)
肪族炭酸エステル基と、下記一般式(6)
れる脂肪族エステル基とがランダムに結合して形成され
たポリエステルカーボネート鎖が、前記多価脂肪族アル
コ−ル由来の連結構造基[Z(OCO)n−]を介して
結合している全体としては実質上線状構造を有するポリ
マーである。
トは、2万以上、好ましくは3万以上の数平均分子量を
有するものである。この場合、その数平均分子量の上限
は100万程度である。本発明の高分子量ポリエステル
カーボネートは、その分子中に、前記多価脂肪族アルコ
ール由来の連結構造(連結基)を有することから、高め
られた融解温度を有するとともに、機械的強度及び加工
性にすぐたものである。さらに、生分解性をも有するも
のである。
る。脂肪族ポリエステルカーボネートの種々の物性値は
下記の方法によって測定した。 (分子量及び分子量分布) ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を用
いて標準ポリスチレンから校正曲線を作成し、数平均分
子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布
(Mw/Mn)を求めた。溶離液はクロロホルムを用い
た。 (熱的性質) 示差走査熱量分析装置(DSC)により融解温度及びガ
ラス転移点を求めた。また熱重量分析装置(TG)によ
り熱分解温度を求めた。
にコハク酸ジメチル21.0g(144ミリモル)、ジ
フェニルカーボネート7.7g(36ミリモル)、1,
4−ブタンジオール16.8g(187ミリモル)、ペ
ンタエリスリトール72mg(0.53ミリモル)、チ
タンテトライソプロポキシド24.5mgを仕込み、窒
素雰囲気下、160℃で反応を開始しメタノールの流出
を行った。1時間後反応温度180℃にした。更に30
分後200℃にした。30分後反応温度を215℃にし
て、徐々に減圧し30分で真空度0.5Torrに到達
した。その後さらに6時間反応を続けた。得られたポリ
マーは、Mn38000、Mw767000を有し、そ
のMw/Mnは20.2であった。またその融解温度は
96.8℃であり、その熱分解温度は273℃であっ
た。このポリマー中に含まれるペンタエリスリトール由
来の連結基(連結構造)の割合は、ポリマー中に含まれ
る脂肪族ジカルボン酸成分と炭酸ジエステル成分との和
100モル当り、20モルの割合である。
にコハク酸ジメチル21.0g、1,4−ブタンジオー
ル16.8g、ペンタエリスリトール24.5mg、チ
タンテトライソプロポキシド24.5mgを仕込み、窒
素雰囲気下、160℃で反応を開始しメタノールの流出
を行った。1時間後、反応温度を180℃にした。更に
30分後、200℃にした。30分後、反応系中へジエ
チルカーボネート4.25gを添加し、何も反応系外へ
流出させず1時間還流状態を続けた後、発生したエタノ
ールを流出させた。1時間後、反応温度を215℃にし
て、徐々に減圧し30分で真空度0.5Torrにし
た。その後さらに6時間反応を続けた。得られたポリマ
ーは、Mn35000、Mw133000を有し、その
Mw/Mnは3.80であった。またその融解温度は9
8.7℃、熱分解温度は287℃であった。このポリマ
ー中に含まれるペンタエリスリトールの由来の連結基の
割合は、ポリマー中に含まれている脂肪族ジカルボン酸
成分と炭酸ジエステル成分との和100モル当り0.1
モルの割合である。
にコハク酸ジメチル21.0g、1,4−ブタンジオー
ル16.8g、ペンタエリスリトール72mg、チタン
テトライソプロポキシド24.5mgを仕込み、窒素雰
囲気下、160℃で反応を開始しメタノールの流出を行
った。1時間後反応温度180℃にした。更に30分後
200℃にした。30分後反応系中へジエチルカーボネ
ート4.25gを添加し、何も反応系外へ流出させず還
流状態を1時間続けた後、発生したエタノールを流出さ
せた。1時間後反応温度を215℃にして、徐々に減圧
し30分で真空度0.5Torrにした。その後さらに
6時間反応を続けた。得られたポリマーは、Mn390
00、Mw2600000を有し、そのMw/Mnは6
6.7だった。またその融解温度は98.7℃、その熱
分解温度287℃だった。また、機械的強度を測定した
ところ、弾性率250MPa、降伏強度17.9MP
a、破断強度30.7MPa、伸度352%であった。
ーボネートは全体として線状構造を有し、高められた耐
熱性(融解温度)を有するとともに、良好な機械的強度
及び加工性を有し、熱成形材料として有利に使用するこ
とができる。しかも、この高分子量脂肪族ポリエステル
カーボネートは、その脂肪族エステル結合に基づく生分
解性を有する。
Claims (4)
- 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1は炭素数2〜12の2価脂肪族基を示し、
R2及びR3は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表さ
れる脂肪族ジカルボン酸ジエステルと、下記一般式
(2) 【化2】 HO−R4−OH (2) (式中、R4は炭素数2〜12の2価脂肪族基を示す)
価の脂肪族基を示し、nはその脂肪族基の価数に対応す
る整数を示す〕で表される脂肪族グリコールと、下記一
般式(3) 【化3】 (式中、R5及びR6は脂肪族基又は芳香族基を示し、脂
肪族基を示す場合、両者は結合していてもよい)で表さ
れる炭酸ジエステルと、下記一般式(4) 【化4】 Z(OH)n (4) 〔式中、Zはn(nは4〜12の整数を示す)価の脂肪
族基を示し、nはその脂肪族基の価数に対応する整数を
示す〕で表される多価脂肪族アルコールとの縮合物から
なり、該多価アルコールの反応割合が、前記脂肪族ジカ
ルボン酸ジエステルと炭酸ジエステルの和100モル当
り0.05〜10モルの割合であることを特徴とする数
平均分子量が2万以上の線状構造を有する高分子量脂肪
族ポリエステルカーボネート。 - 【請求項2】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1は炭素数2〜12の2価脂肪族基を示し、
R2及びR3は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表さ
れる脂肪族グリコールと、下記一般式(2) 【化2】HO−R4−OH (2) (式中、R4は炭素数2〜12の2価脂肪族基を示す)
で表される脂肪族ジカルボン酸ジエステルと、下記一般
式(3) 【化3】 (式中、R5及びR6は脂肪族基又は芳香族基を示し、脂
肪族基を示す場合、両者は結合していてもよい)で表さ
れる炭酸ジエステルと、下記一般式(4) 【化4】Z(OH)n (4) 〔式中、Zはn(nは4〜12の整数を示す)価の脂肪
族基を示し、nはその脂肪族基の価数に対応する整数を
示す〕で表される多価脂肪族アルコールとの混合物を縮
合反応させることからなり、該多価アルコールの割合
が、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと炭酸ジエステルの
和100モル当り0.05〜10モルの割合であること
を特徴とする数平均分子量が2万以上の線状構造を有す
る高分子量脂肪族ポリエステレカーボネートの製造方
法。 - 【請求項3】 該混合物を縮合反応させて末端に脂肪族
グリコールが結合した予備縮合物を生成させる第1工程
と、得られた予備縮合物をその末端に結合する脂肪族グ
リコールを脱離させながら縮合させて高分子量化させる
第2工程からなる請求項2の方法。 - 【請求項4】 ポリエステルカーボネートに下記一般式
(4) 【化4】Z(OH)n (4) 式中、Zはn(nは4〜12の整数を示す)価の脂肪族
基を示し、nはその脂肪族基の価数に対応する整数を示
す〕で表わされる多価脂肪族アルコールを縮合反応させ
ることからなり、該多価アルコールの反応割合が、原料
脂肋族ポリエステルカーボネート中に含まれている脂肪
族ジカルボンと炭酸ジエステルの和100モル当り0.
05〜10モルの割合であることを特徴とする数平均分
子量が2万以上の線状構造を有する高分子脂肪族ポリエ
ステルカーボネートの製造方法。
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